(原題:The Departed)
----これって確かハリウッド史上最高額でリメイク権が落札されたという
あの『インファナル・アフェア』のことだよね。
監督がマーティン・スコセッシだっけ?
それにしてもスゴく贅沢なキャスティングだ。
「うん。トニー・レオンの役がレオナルド・ディカプリオ、
アンディ・ラウの役はマット・デイモンだ。
この二人で果たしてあの暗黒映画の雰囲気が出せるのかなと思っていたけど、
それはまったくの杞憂だったね」
----ふうん。二人ともまだあどけなさが抜けない感じがするけど…。
「いやいやどうして。
特にディカプリオは渾身の演技。
あの『アビエイター』でさえもオスカーに蹴られてしまった無念を
今度こそ晴らしてほしいと思ったね。
でも、何よりも褒めたたえたいのはスコセッシの演出力。
オリジナルでは100分ほどにすぎない映画を、
なんと150分もの超大作に仕上げ、
それでいて決して冗長になることなく、
一瞬たりとも飽きさせずに最後まで見せきる。
これだけの時間、緊迫感を持続させるというのは、
それこそ、昨日今日出てきた監督にはまず無理だろうね」
----どうすれば、そんなに膨らませることできるの?
「結局は映画として豊かにするため、
いかに肉付けするかなんだけどね。
う~ん。じゃあ、それを説明するために
簡単にストーリーをおさらいしよう。
この映画は、基本はシンプル。
犯罪組織から警察内部にスパイとして入り込んだ男コリン(マット・デイモン)と、
警察から組織にスパイとして送り込まれた男ビリー(レオナルド・ディカプリオ)。
この二人の男が、
いつ自分の正体がバレるやもしれないという不安に苛まされながら、
それぞれの任務を遂行していく姿が描かれる。
香港映画ではその状態を『無間道』と呼んでいるけれど、
このハリウッド・リメイク版では、その言葉にインスパイアされたかのように、
安息の時が一瞬たりとも許されない地獄の日々が
ディカプリオの熱演によって
さらに狂おしくスクリーンに刻印されてゆく」
----ふうん。香港版とまったく同じというわけじゃニャいんだ?
「もちろん基本は変わらないんだけどね。
ネタバレになるから詳しくは言えないけど、
映画館からの尾行、屋上からの墜落、
女性カウンセラーへの想いといった、
オリジナルを観た人ならば、
すぐに思い浮かぶ名シーンはいずれも残してある。
ただ、それらの一つひとつに時間をかけ、
じっくりと描き込んでいるため、
それこそ『真の映画を観た』という充足感を
心ゆくまで味わうことができるわけだ。
たとえば、映画館での尾行シーンでは、
二人それぞれに野球帽を目深にかぶらせることで
オリジナルでの甘さを打ち消すことができる。
おそらくオリジナルでは、
トニー・レオン、アンディ・ラウ、
二人のスターそれぞれの表情を見せたかったのだろうけど、
スコセッシ版ではそれよりもサスペンスに重きを置いたということだね。
また、屋上からの墜落シーンの後、
ビリーの正体が実は仲間にバレているというのも
スコセッシ版が付け加えたアイデア。
さらにもっとも大きな変更は
オリジナルでケリー・チャンが演じた女性カウンセラーを
コリンの彼女と同一人物としたことだね。
演じるのはビーラ・ファミーガだ」
---へ~え。他にもキャラの変更はあるの?
「うん。
覆面警官の正体を知っているビリーの上司。
香港版では一人だったけど、
その役を演じたマーティン・シーンに加えて
もう一人マーク・ウォルバーグが加わる。
これは強烈!注目してもいいと思うよ。
彼は口が悪く罵詈雑言でビリーを挑発し、
脅しにも似た文句で任務に就かせるんだ。
物語の根幹にも関わる重要な役となっているしね」
---あれっ。
ジャック・ニコルソンは?
「彼には脱帽だね。
最近は、作品によっては枯れた味わいも見せていた彼だけど、
やはりニコルソンにはクレイジーな役がよく似合う。
組織のボスを演じたこの映画では、
もう、役を楽しんでいるとしか思えないほどにハマっている」
----エリック・ツァンも悪くなかったけどな。
「あっ、それはもちろんそうだよ。
彼は『インファナル・アフェア』の功労者の一人だと思う」
----そう言えば、予告編では「ザ・ウォール」の中の曲が使われていたよね。
「『Comfortably Numb』だね。
あれはいつ聞いてもゾクゾクするね。
他にもローリング・ストーンズの
『ギミー・シェルター』など6~70年代の名曲がいっぱい。
音楽面でも充実の2時間32分だったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「これはカッコいいニャ」
※十分に堪能した度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
※画像はアメリカ・オフィシャルサイトの壁紙です。
----これって確かハリウッド史上最高額でリメイク権が落札されたという
あの『インファナル・アフェア』のことだよね。
監督がマーティン・スコセッシだっけ?
それにしてもスゴく贅沢なキャスティングだ。
「うん。トニー・レオンの役がレオナルド・ディカプリオ、
アンディ・ラウの役はマット・デイモンだ。
この二人で果たしてあの暗黒映画の雰囲気が出せるのかなと思っていたけど、
それはまったくの杞憂だったね」
----ふうん。二人ともまだあどけなさが抜けない感じがするけど…。
「いやいやどうして。
特にディカプリオは渾身の演技。
あの『アビエイター』でさえもオスカーに蹴られてしまった無念を
今度こそ晴らしてほしいと思ったね。
でも、何よりも褒めたたえたいのはスコセッシの演出力。
オリジナルでは100分ほどにすぎない映画を、
なんと150分もの超大作に仕上げ、
それでいて決して冗長になることなく、
一瞬たりとも飽きさせずに最後まで見せきる。
これだけの時間、緊迫感を持続させるというのは、
それこそ、昨日今日出てきた監督にはまず無理だろうね」
----どうすれば、そんなに膨らませることできるの?
「結局は映画として豊かにするため、
いかに肉付けするかなんだけどね。
う~ん。じゃあ、それを説明するために
簡単にストーリーをおさらいしよう。
この映画は、基本はシンプル。
犯罪組織から警察内部にスパイとして入り込んだ男コリン(マット・デイモン)と、
警察から組織にスパイとして送り込まれた男ビリー(レオナルド・ディカプリオ)。
この二人の男が、
いつ自分の正体がバレるやもしれないという不安に苛まされながら、
それぞれの任務を遂行していく姿が描かれる。
香港映画ではその状態を『無間道』と呼んでいるけれど、
このハリウッド・リメイク版では、その言葉にインスパイアされたかのように、
安息の時が一瞬たりとも許されない地獄の日々が
ディカプリオの熱演によって
さらに狂おしくスクリーンに刻印されてゆく」
----ふうん。香港版とまったく同じというわけじゃニャいんだ?
「もちろん基本は変わらないんだけどね。
ネタバレになるから詳しくは言えないけど、
映画館からの尾行、屋上からの墜落、
女性カウンセラーへの想いといった、
オリジナルを観た人ならば、
すぐに思い浮かぶ名シーンはいずれも残してある。
ただ、それらの一つひとつに時間をかけ、
じっくりと描き込んでいるため、
それこそ『真の映画を観た』という充足感を
心ゆくまで味わうことができるわけだ。
たとえば、映画館での尾行シーンでは、
二人それぞれに野球帽を目深にかぶらせることで
オリジナルでの甘さを打ち消すことができる。
おそらくオリジナルでは、
トニー・レオン、アンディ・ラウ、
二人のスターそれぞれの表情を見せたかったのだろうけど、
スコセッシ版ではそれよりもサスペンスに重きを置いたということだね。
また、屋上からの墜落シーンの後、
ビリーの正体が実は仲間にバレているというのも
スコセッシ版が付け加えたアイデア。
さらにもっとも大きな変更は
オリジナルでケリー・チャンが演じた女性カウンセラーを
コリンの彼女と同一人物としたことだね。
演じるのはビーラ・ファミーガだ」
---へ~え。他にもキャラの変更はあるの?
「うん。
覆面警官の正体を知っているビリーの上司。
香港版では一人だったけど、
その役を演じたマーティン・シーンに加えて
もう一人マーク・ウォルバーグが加わる。
これは強烈!注目してもいいと思うよ。
彼は口が悪く罵詈雑言でビリーを挑発し、
脅しにも似た文句で任務に就かせるんだ。
物語の根幹にも関わる重要な役となっているしね」
---あれっ。
ジャック・ニコルソンは?
「彼には脱帽だね。
最近は、作品によっては枯れた味わいも見せていた彼だけど、
やはりニコルソンにはクレイジーな役がよく似合う。
組織のボスを演じたこの映画では、
もう、役を楽しんでいるとしか思えないほどにハマっている」
----エリック・ツァンも悪くなかったけどな。
「あっ、それはもちろんそうだよ。
彼は『インファナル・アフェア』の功労者の一人だと思う」
----そう言えば、予告編では「ザ・ウォール」の中の曲が使われていたよね。
「『Comfortably Numb』だね。
あれはいつ聞いてもゾクゾクするね。
他にもローリング・ストーンズの
『ギミー・シェルター』など6~70年代の名曲がいっぱい。
音楽面でも充実の2時間32分だったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「これはカッコいいニャ」
※十分に堪能した度
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※画像はアメリカ・オフィシャルサイトの壁紙です。
オリジナル未見というハンデはありましたが、最近傑出したクライム・アクション・ムービーでした。
作品賞はまだわかりませんが、スコセッシの監督賞はいけるのではないかと見ています(アルトマンの件~あげられる時にあげておかないと後悔~があるので、更に有利かと)。
この作品は、期待していいと思います。
実はだいぶ前に観たのですが、
あまりにもオモシロくてレビューなんてできない。
どこから書いていいのか分からない。
そんな作品でした。
■ramblerさん
そうか。そちらは夜でしたね。
<傑出>、この言葉がほんとうに当てはまる作品でした。
アルトマンの死は大きいですね。
スコセッシはまだまだ若いですが、
ハリウッドも正当な評価をしないと、
他の国に笑われてしまいますよね。
そうそう。ramblerさんのレビューを読んで
確認がとれました。
『Comfortably Numb』は
ロジャー・ウォーターズ(元ピンク・フロイド)&ヴァン・モリソンでしたね。
この映画、息を飲んで見守っていました。
おそらく
公開されたらまた観に行くことと思います。
えいさんのレビューを読んでから見に行けばきっともっと楽しめたかもしれないワタクシです…泣
私は主役とされる三人よりもコステロの部下や、マーク・ウォルバーグのディグナムの方に注目して見ていました。結構オリジナルと変更があったりするんですね。オリジナルを知った上でもう一度見たら、もっと面白く感じるかしら??
オリジナルは俳優がもっとオトナっぽいので、
このリメイクは最初少し心配していました。
でもさすが実力ある二人。
しかも脇も演技派ばかりで、
悠然たる作りになっていたという気がします。
よくも悪くも、
これがハリウッド映画のスゴさでしょうね。
(えいさんの記事にある映画は、まだ公開されないよなー、なんてのんきにしていると、次々始まっていたりすることもあるので、慌てることもあります。)(^^;)
ぼくはこの映画は大満足でした。
正直、出だしはノレなかったのですが、
映画が進むにつれて入り込んでいました。
この映画は1月末の公開予定です。
もう一回、行こうと思っています。
リメイクにしてはかなり良い味の作品になっていたんですが、人名と人の顔を覚えるのが苦手な私は相関関係を整理するのにヒマが掛かりました…
バイオレンスシーンはさすがスコセッシ監督ですね~。かなりエグいけど、これ、15禁とかじゃないんでしょうかね?