ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

2007-12-18 23:22:27 | 新作映画
(原題:Sweeney Todd THE DEMON BARBER OF FLEET STREET)

-----この映画って、ミュージカルなんでしょ。
ティム・バートンにしては少し珍しくニャい?
「そうだね。
でも、その内容からしてバートン向き。
確かに“歌”はあるものの、
そのベースはサイレント期のユニヴァーサル・ホラーって感じ。
そこにハマー・プロのドラキュラものよろしく
血塗られた映画に仕上げている」

-----やはりスプラッター・シーンは多いんだ。
「それはもう、やりすぎじゃないかと思うほど。
まあ、内容が内容だから仕方ないけどね。
ここで、この物語をおさらいしておこう。
舞台は19世紀のロンドン。
フリート街で理髪店を営むベンジャミン・パーカー(ジョニー・デップ)。
彼はその美しい妻に目を付けた悪徳判事ターピン(アラン・リックマン)によって
監獄送りとなってしまう。
15年後に脱獄を果たした彼は
“スウィーニー・トッド”と名前を変えてフリート街へと戻ってくる。
そこで彼が大家のミセス・ラペット(ヘレナ・ボナム=カーター)から聞かされたのは、
妻が毒をあおり、娘がターピンの養女となっているという、おぞましい事実。
この世を呪うスウィーニー・トッドは商売道具のカミソリで
次々と客の喉をかっ切っていく。
しかもその死体は、ミセス・ラペットが作るミートパイの肉となるのだった…」

------そ、それはスゴいニャ。
原作は150年も前なんでしょ。
最初からそんなお話ニャの?
「最初の頃は、“復讐”の部分はなかったみたい。
確か、ぼくが以前に観たジョン・シュレシンジャー監督版(1997)にも
その話はなかったと記憶している」

------やはり“復讐”が加わることで
“愛”の要素は、かなり強くなるよね?
「そうだね。血塗られし狂気の愛。
畳み掛けるように殺人が行なわれるクライマックスなんて、
少し『ロミオとジュリエット』の墓場のシーンを思い出した。
ある偶発により、取り返しのつかない悲劇が起こってしまう」

----ニャるほど。『ロミジュリ』かあ…。
そういえば
予告ではジョニー・デップ、歌っていたけど
あれは吹き替えニャの?
「いやいや。
ちゃんと、自分で歌っているよ。
彼自身はかつてバンドを組んでいたものの、
ヴォーカルだったわけではなし。
ここまで喉を聞かせたのは初めてだから、
ファンも楽しみにしていいんじゃないかな」

----あの『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』
サシャ・バロン・コーエンも出ているんだよね。
「うん。
彼はインチキ理髪師を軽妙に演じている。
これも見どころの一つだね」

----ティム・バートン&ジョニー・デップ。
その組み合わせだけでも観たくなるのに、
さらに豪華なおまけがついているってワケだね。
「そういうこと。
しかもいつもに比べてノリやすい」

----ん?どういう意味?
「最近のティム・バートン映画って
最初はオモシロいんだけど
いつも後半失速している感があった。
でもそれって、彼独自の語り口で
あえてクライマックスをおかないようにしているのかもしれないんだけど…。
ところがこれはオリジナルがミュージカル。
大きく改変するわけにはいかない。
そのため後半、盛り上がっていくという通常の作劇術に乗っ取っているんだけど、
これがピタっとハマってるんだ」

----ティム・バートンって
長い間、CGを使わないことでも知られていたよね。
「うん。手作りの味わいね。
今回は、グリーンバックを極力避けて
きちんとしたセットを作っている。
その美術監督がフェリーニ映画で知られるダンテ・フェレッティ。
懐かしのマットペインティングなども使ってるみたい。
冒頭のロンドンの風景から引き込まれること間違いなし。
全体をとおしてモノクロに近く褪色させ、
そこに鮮血の赤だけが際立つ……。
特にラストの映像なんて、動く一枚の画みたい」

----“動く画”?
「う~ん。これは観てもらうしかないだろうね。
ティム・バートンは
このラストカットが一番撮りたかったのでは……なんて、
そんな気がする見事なショットだったね。」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ミセス・ラペットの向かいのパイ屋もひどいらしいニャ」もう寝る


※ちょっとCM。けっこう凝ってるかも。
(画像のどこでもクリックしたら動画が観られます)

<キスミント



※血に弱い人には少しキツいかもだ度

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画像はアメリカ・オフィシャル(ダウンロードサイト)より。