ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『グミ・チョコレート・パイン』

2007-10-31 00:20:47 | 新作映画
----変なタイトルだね、
あまり期待できないニャあ。
「だよね。ぼくも最初聞いたときはそう思ってたんだけど、
監督がケラリーノ・サンドロヴィッチと聞いて
俄然観に行く気になったね」

----そうか、えいは『1980』好きだったものね。
「うん。今回も舞台は80年代。
それも1986年という、なんとも微妙な時代に
高校生だった若者のお話なんだ。
主人公の賢三(石田卓也)は高校二年生。
仲間と映画研究会らしきものを作り、
くだらない話で盛り上がるヤツらを尻目に
『オレはアイツらと違う』と思いながら、
アンダーグラウンドなロックを聴いている。
そんな彼が密かに想いを寄せているのが美甘子(黒川芽以)。
彼女をヒロインに映画を作りたいと叶わぬ願いを抱いている賢三だったが、
なんと名画座で思いもかけぬ出会いを果たしてしまう。
美甘子もやはり映画ファンだったんだね」

----う~ん。ここまで聞いただけでも
ニャンとも酸っぱいニャあ。
「うん。
この映画はぼくが体験したのとは違う時代の青春を描いているけど、
やはり共通項と言うか普遍性を感じたね。
しかも映画を媒介にしているだけに、
余計に親近感を感じてしまう。
賢三が観に行った映画は今関あきよしの『フルーツ・バスケット』。
そこで出会った美甘子と交わす会話が
ジョン・カーペンターやジョージ・A・ロメロ。
しかも『マーティン』だったりする。
もう、映画ファンはたまらないね。
しかも二人が一緒に観に行くオールナイトが石井聰亙特集。
上映されているのは僕の目に間違いがなければ『突撃!博多愚連隊』
そして『狂い咲きサンダーロード』。
さらには、美甘子の人生に決定的なターニングポイントを与えるのが
大林森監督(笑)」

----それだけ映画の話が出てくると、
それは嬉しいよね。
「うん。それだけで映画の見方が甘くなってしまう。
ここに描かれているのは、結局は『虹の女神 RainbowSong』と同じく男目線の女性。
いわゆる男が望む女性。
初めてのデート=オールナイト、
そして別れ=踏み切り。
この二つのシーンはぼくの記憶に永遠に残ること間違いないね」

----ヒロインの黒川芽以も久しぶりじゃニャい。
「ぼくは彼女の映画デビューの『クラヤミノレクイエム』の頃からのファンなんだけど、
その後、あまりにも多くの同じ年代の女優が出てきて、
いつしかその陰に隠れてしまった感があったよね。
『問題のない私たち』も『青空のゆくえ』もよかったんだけどな」

----そうか、『問題のない私たち』が沢尻エリカ
『青空のゆくえ』が多部未華子共演。
「ついでに言えば
『ケータイ刑事 THE MOVIE バベルの塔の秘密~銭形姉妹への挑戦状』は
いま旬の堀北真希だったりする。
ちょっと話がそれたけど、この映画は他の出演者も超個性的。
なかでも山崎一と犬山イヌコは絶品だね。
主演の石田卓也も彼らに負けじと体重を8Kgも増加!」

----それはスゴいニャあ。
「映像としても、
あえて褪色させてソフトフォーカスをかけたような淡い感じにしている。
これも彼らの青春が記憶の彼方で
もはや消えそうになっていることを表しているんだろうね」


(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「せつなそうな映画だニャ」小首ニャ

※原作は大槻ケンヂだ度

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『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』

2007-10-29 23:45:11 | 新作映画
(原題:Mr.Bean's Holiday)

-----確かローワン・アトキンソンって嫌いなんじゃなかったっけ。
「うん。『Mr.ビーン』の彼はね。
あまりにも作り上げている感じで、
そのキャラクターがイヤミっぽい。
まだ『ラットレース』なんかは受け入れられたんだけどね」

----じゃあ、今回もダメ?
「いや、これが意外にオモシロくってね。
ストーリーにも動きがあって
子連れロードムービーになっているし…」

-----子連れロードムービー…ニャんだそれ?
「じゃあ、簡単にストーリーを話そうかな。
教会のくじ引きで1等賞を当てたビーンは、
副賞のビデオカメラを手に
南フランスで過ごす1週間のヴァカンスに旅立つ。
ところが財布もパスポートもなくしてあっという間に無一文。
そんな中で、彼はロシアの映画監督を父に持つ10才の少年と知り合う。
かくして父とはぐれた言葉の通じないこの少年を相棒に、
フランス縦断アドベンチャーが始まる!」

-----う~ん。
ありふれてる気がしないでもないけど…。
「それはそうなんだけどね。
今回のビーンは前回と違って、よく喋る。
これがいい方に作用している気がする。
パントマイムにこだわってないんだね。
結果、演技にも演出にも幅が出ている。
それと笑えるのがウィレム・デフォーの
勘違い芸術監督ぶり。
やたらと自分の苦悩をモノローグ。
そういえば、最近そんな映画観たな。
何かは言えないけどね」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「アトキンソンの顔にも皺が増えたニャあ」身を乗り出す

※頭空っぽになれる度

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画像はイギリス・オフィシャルより。
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『母べえ』

2007-10-28 22:18:43 | 新作映画
----これって最近、よく聞くタイトル。
お母さんの話だろうということは想像つくけど、
この“べえ”というのは一体ニャによ。
「じゃあ、順番に分かりやすく説明しよう。
この映画は、黒澤明監督のスクリプターとして知られる野上照代が、
幼い頃の家族の想い出を綴ったノンフィクションが原作。
彼女の父であるドイツ文学者の滋(坂東三津五郎)は、
家族全員に“べえ”をつけて呼ぶようにしていたんだ。
自分は“父べえ(とうべえ)”
母親・佳代(吉永小百合)は“母べえ(かあべえ)”。
長女・初子は“初べえ(はつべえ)”。
そして次女・照美は“てるべえ”。
この映画は大人になった“輝べえ(てるべえ)”のナレーションによって
彼女の回想の中に綴られていく」

----ふうん。それってどんなお話ニャの?
「昭和15年2月。
戦争反対の姿勢を曲げない父・滋が治安維持法違反で検挙されてしまう。
映画は、その苦難の中で夫を信じ、
娘たちを愛し、つつましくも気高く生きる“母”の姿を描く----。
あらら。こんな簡単に要約しちゃっていいのかな」

----あれっ、浅野忠信の役は?
「滋のかつての教え子で、
今は小さな出版社に勤める山崎徹の役。
これまでぼそぼそと喋る役が多かった彼だけど、
ここでは思わぬコメディのセンスを披露して
思いっきり場を和ませてくれるよ」

----笑いと言えば、鶴瓶も出ていなかった?
「彼の役はさらに印象的だったね。
我が道を行くその姿が
窮屈な世相に風穴を開けてくれて痛快。
でもやはり見どころは主演の吉永小百合だろうね。
ここでは幼い子供たちの母親役。
たくましくも情愛深く、凛々しく美しくそして若々しい。
実年齢と役の差による違和感をまったく感じさせないんだ。
なかでも溺れる山崎を助けるべく
海に飛び込むシーンは息を飲んだね。
ワンカットでカメラに収めているんだもの」

----ふうんボディダブルじゃないんだ。
当時の風景はどうやって撮影したの?
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』を始め、
昭和を描いた最近の映画は時代再現のために
CGを多用するのが常となってきているけど、
ここではオープンセットが中心。
おそらくノスタルジーにはしたくなかったんだろうね」

----そうか、テーマがテーマだからね。
「そうだね。
キャッチコピーは『日本はもう、この「母」を忘れている----』。
確かにラストでは
“日本の母親の偉大さ”をたたえる印象的な詩(?)が流れるけど、
その少し前、“母べえ”の最期の言葉には、
これ以上ないくらいに強く平和への思いが込められていた。
原爆詩の朗読等を通じて、
長年にわたって平和の尊さを訴え続けてきた吉永小百合にとっても、
これは忘れられない記念碑的作品となるだろうね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「そういう映画とは思わなかったニャ」身を乗り出す

※山田洋次の思いがいっぱいにつまった映画だ度

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※ちょっとCM。けっこう凝ってるかも。
(画像のどこでもクリックしたら動画が観られます)

<キスミント
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『チャプター27』

2007-10-26 23:28:27 | 新作映画
(原題:Chapter 27)

-----この映画ってジョン・レノン射殺犯の
マーク・デイヴィッド・チャップマンを描いているんだよね。
それにしてもタイトルの意味がよく分からないけど…。
「このチャップマンという男は、
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に深い影響を受け、
その主人公ホールデンに自分を重ね合わせていたんだ。
で、この『ライ麦畑でつかまえて』が全26章。
その次の章を彼が書き加えるような思いで
事件を起こしたという意味のようだね」

----うわあ、凝ったタイトルだニャあ。
「映画は、そのホールデンと同じ行動をチャップマンが取る姿を
ドライなタッチで描いていく。
レノンが『イマジン』の中で
“想像してご覧、財産のない世界”と歌いながら、
自分は贅沢三昧な生活を送っていることなどを
この『ライ麦畑~』の中の言葉を借りて
“偽善者”“インチキ”と彼は見るわけだ。
もちろん、それだけではなく
ファンのジュードやパパラッチのポールに、
執拗なまでに身勝手な主張をする彼の病んだ精神、
その闇の部分も描いていく。
クライマックス近くでは、
彼の人格が分裂。
ゴラム的な描き方がなされている」

-----チャップマンはだれが演じているの?
「これが驚き。ジャレッド・レト。
最近では 『ロンリーハート』
の中で頭の毛を抜いて異常殺人鬼を演じていたけど、
ここでは30Kgもの体重増加でこの難役に挑戦。
まるでそこにチャップマン本人がいるかのようだったね」

-----うわあ。だったらサスペンスも盛り上がりそう。
「いやあ。それがそうはならない。
もちろん誰もが結末を知っているということもあるだろうけど、
映画はそのようなドラマチックな手法をとらず、
チャップマンの3日間の心の軌跡を
彼のモノローグを中心に追っていく。
レノンへの感傷なども描かれず、
ビートルズ・ソングも皆無。
そういう意味では、多くの人が期待している映画とは
おそらく異なっているんじゃないかな」

----ということは、これは
ジャレッド・レトの演技を観るための映画?
「そうだと思うよ。
あとジュードをリンジー・ローハンが演じているのも見モノだけどね」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「もう27年も経つのかニャあ」悲しい

※渋い映画だ度

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『ALWAYS 続・三丁目の夕日』

2007-10-25 23:01:49 | 新作映画
----この映画、前作『ALWAYS 三丁目の夕日』は大ヒットだったよね。
日本アカデミー賞も独占したし。
「うん。今回もヒット間違いなしだろうね。
ただ、個人的にはデジャヴというか、
既視感にとらわれてしまったね」

----どういうこと?
「登場人物がほとんど同じの上、
物語としても
茶川龍之介(吉岡秀隆)とヒロミ(小雪)、
そして吉行淳之介(須賀健太)が一緒に暮らせるかどうかという、
前作の流れを引き継いだ話が軸になっているからね」

----あれっ。鈴木オートが中心じゃニャいんだ?
「いやいやもちろん、鈴木オートにも
新しい<事件>は起こるよ。
六子(堀北真希)と同郷の武雄(浅利陽介)、
そして一平(小清水一揮)のはとこ美加(小池彩夢)をめぐるエピソードは、
かなり楽しませてくれる。
そしてトモエ(薬師丸ひろ子)の元恋人・信夫(上川隆也)との再会。
このシーンは昔の日本橋の上という設定。
まだ高速道路ができてなくて、
その情景はこれぞ昭和って感じだったね。
まるで『君の名は』(笑)」

----じゃあ、なかなかオモシロかったということじゃ?
「う~ん。
ある意味『男はつらいよ』を思い出したね。
これって、いくらでもシリーズ化できるのではないかと…。
まあ、これだけのスターを集めることや、
さらにはセット、CG、衣装、小道具の大変さまで考えると、
実際には難しいだろうけどね。
第一、いつまでも年を取らない寅さんと違って、
子供はそうはいかないからね。」

----そうか。この映画は子供目線のシーンが多いものね。
「そうだね。
もはや恒例(と言っちゃっていいのかな)の感さえある、
クライマックスの夕景シーンも子供のセリフあってのもの。
ただ、思うんだけどあまり撮影の舞台裏、
ブルーやグリーンバックの撮影風景は表に出さない方がいいと思う。
夢が壊れてしまうもの」

----そう言えば、ぜひこれを言いたいということがあったのでは?
「大島弓子の『グーグーだって猫である』、
結局は小泉今日子に決まってしまったけど薬師丸ひろ子で観たかった。
それと堀北真希。
彼女こそいま公募中の『20世紀少年』のカンナ役にピッタリ」

-----う~ん。趣味が出すぎ(笑)。

(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンのいる窓からはなぜ夕日が見えないのニャ?」小首ニャ

※『20世紀少年』、不安と期待でいっぱいだ度

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『ディセンバー・ボーイズ』

2007-10-23 23:52:35 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


(原題:December Boys)

-----“ディセンバー・ボーイズ”?
これって“12月の少年たち”という意味だよね。
「うん。カトリック教会付属の孤児院で育った少年たちのお話。
彼らは、 『この道は母へとつづく』の孤児たちと同じく
いつの日か自分が引き取られていくことを夢見ている。
そんなある日、12月生まれの少年
マップス、スパーク、ミスティー。スピットの4人が
海辺で年末の夏休みを過ごすことを許されるんだ」

----年末なのに夏休み?
冬休みの間違いでは…。
「いや。舞台がオーストラリア、南半球だからね。
彼らはそこで子供を授からない若い夫婦と親しくなる。
夫婦が4人の中から一人を養子にもらおうと思っていることを知ったミスティーは
身なりを整えて早起きを心がけるなど、
どうにかして彼らに気に入られようとし始める。
それまではこっそり雑誌で女性の水着姿を覗き見たり、
タバコを喫ったリ、ビールを回し飲みしたりしていただけに、
周りはその返信を怪しみ始める。
片やミスティーも巡回の牧師に告解するなど、
細かいエピソードの積み重ねがこの映画を盛り上げていく。」

-----たしか、ダニエル・ラドクリフが出ているんだよね。
「そう。実は彼だけが年長。
他の少年と一緒にいると少し浮いて見える。
そのため最初、これは少しキツいなと思っていたんだけど、
最後はきっちり彼の存在が前面に出てくる
見事な脚本になっていたね。
そうそう、言い忘れたけど、
この作品は大人になったミスティーの回想と思考によって描かれるんだ。
4人という人数も含めて『スタンド・バイ・ミー』を
意識している気がしたな」

----ニャるほど。
ラドクリフについてもっと教えてよ。
「実はこの映画、
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の間に作られている。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で彼はシリーズ初のキスシーンに挑戦して話題となったけど、
なんとここでは彼の恋が描かれるばかりか
キスに加えてもっと先まで体験している」

----うわあ。それはファンとしては複雑だよね。
「でも、それでも観た方がいいだろうね。
なんとラドクリフは歌まで歌っているからね。
それもThe Creedence Clearwater Revivalの
『Who'll Stop The Rain』。
これは嬉しかったね」


※ここでThe Creedence Clearwater Revivalの
『Who'll Stop The Rain』をYou Tubeよりご紹介。
ただしこの映像は、比較的最近のもののようです。


http://www.youtube.com/watch?v=3RNDNlhYl58

----そうか、えいはCCR好きだものね。
でも、映画としてはどうニャの?
「この映画は、『おもいでの夏』に始まる
“あの夏、ぼくは大人への階段を上がった”パターンの映画。
カーニバルなんかも出して、
夏の終わりの切なさをさらにかき立てる。
ただ、クレームを一つだけ。
この歌の生まれた時代から考えて
大人になった彼らはどう見ても老けすぎている。
それだけが不満だね。
せいぜい40代後半から50代前半じゃなくっちゃ」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「甘酸っぱそうだニャあ」もう寝る

※こういう映画はたまらない度

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画像はアメリカ・オフィシャルより。
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『ヒトラーの贋札』

2007-10-22 23:02:53 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


(原題:Die Fascher)

-----ヒトラー? ということは、またドイツ映画かニャ?
「うん。これを観ると
映画の題材というのは、
まだまだ転がっているんだなと思ったね。
舞台は第二次世界大戦中のザクセンハウゼン強制収容所。
そこに各地の収容所からユダヤ系の技術者たちが運ばれてくる。
彼らに課された使命は“完璧な贋札”作り。
ナチス・ドイツは、大量のポンド紙幣贋造を行なうことで
イギリスへ経済的打撃を与えようとしていたわけだ」

----へぇ~っ。それはオモシロい発想。
でもありえないよね。
「いやいや、実は1959年、
オーストリア・トプリッツ湖から大量のポンド紙幣が発見。
一緒に見つかった資料から
これがナチスの“ベルンハルト作戦”なるものが存在したことが分かるんだ。
映画は、その史実を基に
彼ら“特権”を与えられた男たちの葛藤を描いていく」

-----その葛藤って?
「他の収容所のユダヤ人に比べて
まず寝るベッドが違う。
さらには遊ぶための卓球台まで与えられるという優遇ぶり。
しかし、外では同じユダヤ人が銃殺されていて、
その流れ弾が施設内にまで飛んできたりする。
壁一枚を隔ててのこの差。
彼ら贋札作りに従事する男たちは、
同胞が死んでいくのを間近に見るわけだから
その胸中は複雑だ」

----贋札作り自体がナチスに加担しているんだものね?
「そういうこと。
そのためわざとサボタージュをするものも出てくる。
そこでナチスの担当者は
期日までに仕上げないと5人ずつ銃殺すると宣告。
かくして物語は、
自分たちが生き延びるために贋札作りを進めようとするサリーと、
たとえ自分が殺されてでもそれを食い止めようとするブルガー。
その対立を軸に、結核にかかったコーリャ、
あるいは技術がないことを偽ったロセックなど、
多様な人物を配置しながら、
ナチス崩壊の日へと突き進んでゆく」

----さっき史実って言ってたけど、
その中に実在のモデルはいるの?
「原作はブルガーのモデルでもある
アドルフ・ブルガーの著書。
さっきも話したように彼は主義に殉じようとする男。
ところがこの映画は
主人公をブルガーにはしないで
対立するサリーとしている。
このサリーというのがナチに捕まる以前から、
贋札やパスポート偽造などを行なっている、
いわば小悪党。
やはり映画は、こういう男を主人公にした方がオモシロい。
冒頭は、このサリーが
貧しい身なりで戦後のモンテカルロのホテルに現れるところから始まる。
そのファースト・カットがまた美しい。
まるでモネの絵のような淡い色合いの中、
彼が水辺にたたずんでいるんだ」

----ふうん。物語だけじゃなくて
<画>の方も決まっているんだ?
「うん。さらに言えば、
その語り口もね。
ナチスが負けるということは
もう彼らが御用ずみになるということ。
果たして彼らの運命は?」

----ニャるほど。
『ライフ・イズ・ビューティフル』の例もあるしね。
主人公が生き延びるとは限らない…。
いや待てよ。
最初でに生きている姿が出てくるということは…。
「そうなんだよね。
これはネタバレに近いかもしれないけど、
ナチスが収容所を捨てて逃げた後、
初めて壁のこちらと向こう、
まったく違う境遇のユダヤ人同士が顔を合わせる。
ここにこの映画の全てが込められている気がしたな」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは観た方がよさそうだニャあ」身を乗り出す

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(画像のどこでもクリックしたら動画が観られます)

キスミント

画像はオーストリア・ポスター
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『キングダム 見えざる敵』

2007-10-21 11:57:53 | 映画
(原題:The Kingdom)

-----せっかく映画館に一緒に観に行ったのに、
ニャんだか複雑な顔しているね。
「いや、最初はオモシロかったんだよ。
特にあのオープニング・クレジットのバックに流れる説明。
サウジアラビアという国の歴史を分かりやすく紐解いてくれる。
アメリカとの関係も『華氏911』の記憶を呼び覚ましてくれて
これはスゴいことになるのでは……と興奮」

----あの世界貿易センターを模したグラフもよかったよね。
「うん。
すると、映画としてはサウジとアメリカの関係の暗部が絡むのかと思うじゃない。
ところが、FBIの一人がテロに巻き込まれて死んだことから4人が現地へ。
そこでの捜査が中心になって物語が平板になってしまう。
それってそんなに目新しいものでもなく
申しわけないけど欠伸が…」

----申しわけない?
「うん。テーマがテーマだけに
襟を正して観なくてはいけないとは思うんだけど、
どうしてもこの演出にはノレなかった」

----テーマは“復讐の連鎖”だよね?
「そのテーマについては前に人から聞いていたため、
あのラストの二つの会話のカットバックは
ある程度想像が…。
でも、それでもテロリストの孫の視線にはゾクッときたね。
ただ、そのテーマ性は別として
FBI員の一人の誘拐に始まる追跡、銃撃、奪還のアクションは
完全に眠気を吹き飛ばしてくれたね。
一瞬の気のゆるみが死につながるという極度の緊張状態の中の戦い。
生か死かを賭けたあの戦いは
それこそ現場に居合わせたかのような迫力。
ピーター・バーグって監督、
ドラマよりもアクションの方が向いていると言ったら、
やはりこれは失礼かな」

---そう言えば彼が監督した『プライド・栄光への絆』でも
手持ちカメラで
ドキュメンタリー的な雰囲気を出していたよね。
「『ベリー・バッド・ウェディング』もブラック感覚が秀逸な映画だったよね。
やはり本質はエンターテイメントの監督なのかも」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも怖かった。目が開けられなかったニャあ」もう寝る

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『夜顔』

2007-10-20 22:20:05 | 新作映画
(原題:Belle Toujours)


----朝顔とか昼顔、夕顔は聞いたことがあるけど、
この“夜顔”っていうのは初めてだニャ。
「うん。これはね。
ルイス・ブニュエル監督の名作『昼顔』をモチーフに、
そのヒロイン、セヴリーヌと、
当時の彼女の秘密を知るアンリ二人の
38年後の出会いを描いたものなんだ」

----へぇ~っ。そんな恐れ多いことヤル監督は誰?
「長編映画監督としては世界最高齢、
現在88歳のマノエル・ド・オリヴェイラ。
セヴリーヌ役はカトリーヌ・ドヌーヴからビュル・オジエに替わっている。
アンリ役は前作と同じミシェル・ピコリだね」

----ふうん。その『昼顔』って
どんな話ニャの?
「詳しい説明は省略してアウトラインだけ。
子供の頃の体験が基で性的妄想に囚われているセヴリーヌ。
夫ピエールと仲睦まじく幸せな日々を送っている彼女だが、
アンリの紹介で娼館に出向き、
夫には内証で売春を始める。
ところが客の一人がセヴリーヌに本気になってしまい、
ピエールを狙撃してしまう」

----あらら。スゴい話だニャあ。
「さて、ここからが本作『夜顔』のお話。
38年後。アンリはセヴリーヌをパリの街角で見かける。
ところがセヴリーヌは彼を避けてばかり。
やっとのことで彼女を捕まえたアンリは、
胸に秘めていた過去の出来事の真実打ち明けたいという口実で、
セヴリーヌと会う約束を取り付ける。
物語はただ、それだけ。
この映画には、飲む、喋る、食べるという
シンプルすぎるほどシンプルな状況しか描かれない」

----へぇ~っ。そんなのでオモシロいの?
「そう思われても仕方ないよね。
でも、ぼくは意外に楽しめたね。
おそらくそれは<秘密>が映画のキーとなっているからかも。
さらに言えば、映像が官能的。
キャンドルだけの暗い部屋の中、
テーブルで向かいあってのディナー。
このシーンにおいて
娼婦呼ぶところの“好紳士アンリ”が
実は腹の底にどす黒い欲望を隠し持っているのが分かる。
それは性とは別のもっと悪魔的な部分」

----最初翻弄されているかに見えたアンリが
結局は、そうではなかったわけだ
「そういうこと。
この展開はちょっと驚きだったね。
さらに言えば、この映画でキーとなる<秘密>は
結局明らかにされない。
それはやはりブニュエル、
そして共同脚本のジャン・クロード・カリエールに
敬意を表してのことだと思うな。
基本的なキャラはきっちり継承されているしね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「この世界、フォーンにはちょっと分からないニャ」小首ニャ

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猫ニュー 

画像はフランス版ポスターより。
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『象の背中』

2007-10-19 22:52:45 | 新作映画
-----これって秋元康の原作ニャんだって?
「そうらしいね。
新聞小説で連載されて話題を読んだみたい」

----どんなお話ニャの?
またホラーだったりして…。
「いや、予告編を観たら分かるけど、
これが末期癌を宣告された男の話なんだ。
会社でも辣腕を振るう部長の藤山(役所広司)。
あと半年の命を宣言された彼は治療を拒否して、
わずかな残りの人生を
これまでと同じように生きていこうとする」

----じゃあ、家族には話さないの?
「息子の俊介(塩谷瞬)にだけは話し、
妻の美和子(今井美樹)と妹・はるか(南沢奈央)を
支えるように伝える。
これは、悲しい思いをさせるのは短い方がいいという気持ちからなんだ」

----ふうん。周りにも知らせないの?
「いやいや。
彼は初恋の女性(手塚理美)や
喧嘩別れしたままの高校の同級生(高橋克美)に会いに行く。
もしかしてこれは『舞踏会の手帖』?とも思ったけど、
途中で、昔倒産に追いこんだ会社の元社長(笹野高史)に
偶然会ったあたりから映画は別の展開を見せていく。
後半は『病は気から・病院へ行こう2』と『大病人』の併せ技のような感じ」

----ということはホスピスとかも出てきそうだニャ。
もしかして後半は夫婦愛を描いているってわけ?
「そういうこと。
ただ、このお話、
なんか納得がいかないんだよね。
片方では妻に対し『お前は最高の女房だ。
生まれ変わってもプロポーズする』と言いながら、
愛人(井川遥)をホスピスに呼ぶわ、
その愛人に骨を分けるように兄(岸部一徳)に頼むわで、
男の身勝手さが目立つ。
そう思ってプレスを見ると、
やはり連載当時から賛否両論だったとか。
男の理想の死に方という人もいるらしい」

----ふん。えいが考える見どころは?
「もう、それは役所広司につきるね。
これまで彼が見せてきたさまざまな役をここに凝縮した感じ。
企業戦士(『金融腐蝕列島[呪縛]』)もあれば不倫(『失楽園』)もある。
冒頭で、医者に自分の余命について聞くときの表情など絶品だね。
あと、笹野高史扮する元社長とのステーキ屋での会話、
そしてそれに続く雨の中のアクション。
この一連の流れは見逃せない。
いまノリに乗ってる笹野高史の名演が光る。
それともう一つ、12年も会わなかった兄との再会シーン。
そしてホスピスで
兄弟が初めて自分の胸の奥を語るシーンも秀逸。
ここもやはり岸部一徳の名演あってこそ。
映画としてはぼくは正直言って冗長に感じたけど、
日本が誇る名優たちのバトル、これは
もう十分すぎるくらい見応えがあったね」


        (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも死を扱った映画は嫌だニャあ」悲しい

※とにかく役所広司につきる度

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『ここに幸あり』

2007-10-18 21:40:27 | 新作映画
(原題:jardins en Automne)

----まるで日本の昔の歌謡曲みたいなタイトルだニャ。
「うん。でも原題はまったく違っていて
フランス語で『秋の庭』を意味する言葉。
監督のオタール・イオセリアーニいわく
『秋は失ってしまった時間を悔いる季節』。
そう、この映画は、生きる喜びの再発見の物語なんだ」

----再発見?
「物語はいたってシンプル。
職を追われた大臣が、
酒を酌み交わしたり、音楽を奏でたり、
さらには幼い頃過ごした場所に帰ったりする中で
仲間とともに生きる喜びを再発見するというもの。
その中で、
権力に固執したり成功の道を目指す人が滑稽に描かれる。
まあ、一種の寓話でもあるね」

----でもテ-マとしては
そう珍しくもないよね。
「うん。ただ、いまの日本では“勝ち負け”が人生の価値基準とされやすいだけに
このような生き方はあまり描かれることがない。
それだけに新鮮に映るかもよ」

----映画としてはどうニャの?
「至るところに象徴的なエピソードが詰め込んである。
たとえば冒頭、
棺桶屋で自分にあった棺桶を争う老人たちが登場。
でもその後、彼らは最後まで物語には関わらない。
他にも大臣がチーターを飼っていたりとかね。
それらの出演者はほとんどが無名。
これは監督オタール・イオセリアーニの特徴らしいけどね」

----ニャるほど。映画ということを意識させないようにしてるんだ。
「うん。俳優は映画を引きずってやってくるから、
その映画の記憶が観客の頭の中で結びつかないようにという
なかなかユニークな考え方」

----でも、名優ミシェル・ピコリが出ているんだよね。
「これが実はどこに出ているか…。
気づいた人はエラい。
実は僕はその役はジェラール・ドパルデューじゃないかと思ったけど(笑)。
あっ、これはスゴいヒントになってしまったかな。
でも、この映画、実はスゴい作りこみだと思う。
省略に省略を重ねてシーンとシーンを繋ぎながら、
そのシーンの中身は、
おそらく何度もリハーサルを重ねたであろう俳優の動きと
それを追うカメラ移動という、バックステージがほの見える。
実に緻密に計算されているんだ。
街角シーンなんて『アメリカの夜』の冒頭の撮影シーンを思い出したな」

----でも、それってスタッフたちが
映画製作を楽しんでいるということだよね。
「だと思うよ。
見ていてこっちも楽しくなったもの」


(byえいwithフォーン)

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※画像はイタリアのポスター
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『サラエボの花』

2007-10-17 10:26:58 | 新作映画
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



(原題:CRBVICA)

----今年、ボスニアをテーマにした映画って多くニャい?
『あなたになら言える秘密のこと』『こわれゆく世界の中で』
そしてこの『サラエボの花』。
そのいずれも銃弾が飛び交う戦時下を描いたものではなく、
その地獄を経験した女性たちの<現在>が描かれている」

----今回は、外から見た視線じゃなくて
サラエボ生まれの女性監督作品だよね。
「そうだね。
ヤスミラ・ジュバニッチ。
彼女は言う。
『戦争が勃発したとき、実は喜んだんです。
なぜかと言うと、数学のテストがキャンセルになったので』。
このあたりはジョン・ブアマンの『戦場の小さな天使たち』にも
描かれていたよね。
続けて彼女は言う。
『当時ティーンエイジャーだった私の一番の興味はセックスでした。
愛の最上の形がセックスだと信じていました。
でも1992年からはすべてが変わりました。
自分がまさに戦争のまっただ中に生きていることを実感したのです。
セックスは戦争戦略の一つとして、
そして女性に屈辱を与える手段の一つとして利用されました』。
長々と引用したけど、
ボスニアの最大の悲劇は、
そこで行なわれた民族浄化のための集団レイプという
おぞましい行為にあると言える」

----どうしてそんなことを!?
「敵の民族の子供を産ませることで、
所属民族までを辱め、後世に影響を残すことが
作戦として組織的に行なわれたわけだ」

----まるで悪魔だ!
「なぜ、この背景を喋ったかと言うと、
それを知らなくてはこの映画の意味が分かりにくいと思うから。
この映画の主人公エスマは12歳の娘サラと二人暮らし。
政府からの生活補助金と裁縫で得る収入だけでは生活が厳しく、
子供がいることを隠してナイトクラブでウェイトレスとして深夜まで働いている。
一方のサラは、エスマから父親はシャヒード(殉教者)と聞かされていたが…」

----事実は違うんだね。
でもそんなこと、早めに明かしちゃっていいの?
「いいと思うよ。
そのためにさっき長々と背景を話したんだ。
エスマは娘とじゃれているとき押さえつけられ、
急にはねのける。
また、バスの中での男の胸毛に気分が悪くなったり、
ナイトクラブでタバコを手にした男の手が
セクシーな衣装で働く女の胸に近づくのを見て
気分が悪くなってトイレに駆け込む。
つまりこれらは12年前の辛い日々を彼女に思い出させているわけだ。
彼女はセラピーの場に通ってはいるけど、
決して口を開こうとはしない」

----でも、娘が母親の
そして自分の出生の秘密に気づいてしまうワケだね。
「うん。そこはこの映画のハイライト。
母と娘の感情が爆発する」

----でも、そこまでいって
どうやって収束するんだろう?
『ウェイトレス ~おいしい人生のつくりかた』じゃないけど、
エスマは赤ちゃん(サラ)を胸に抱いたことにより、
すべてが変わったことを告白する。
映画のラストも含め、
子供たち、次世代に期待するポジティブな映画になっていたね」

(byえいwithフォーン)

※この記事、実は12時間以上も未完成のままアップしていました。
お恥ずかしいところをお見せしてごめんなさい。


フォーンの一言「人間はどうしてここまで残酷になれるのかニャ」悲しい

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画像はオーストリア・オフィシャル(ダウンロードサイト)より。
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『ザ・シンプソンズ MOVIE』

2007-10-16 23:16:42 | 新作映画
(原題:The Simpsons Movie)

----この映画って2Dアニメ映画としては
歴代1位の大ヒットを記録って、
それ、ほんとうニャの?
「そうみたいだね。
テレビアニメとしてもアメリカ史上最長寿というから、
もとより人気の下地はあったんだろうね。
ぼくはこの作品には詳しくなく、
普通にコメディ・タッチのアニメと思っていたから、
ここに描かれたブラック・ユーモア、
そしてあまりのシニカルさにはビックリ。
さすがに『サウスパーク』などのルーツと言われるだけのことはある」

----『サウスパーク』?
ということはけっこう過激ニャんだ。
「そうだね。セクシャル面でもかなりアブナい表現が出てくるし、
モラル的にも主人公ホーマーは少しいかれてる」

----ふうん。それってどういうこと?
「それはこの映画のストーリーをちょっと聞いただけで分かると思うよ。
アメリカの田舎町、スプリングフィールド。
シンプソン一家のダメ親父ホーマーは息子のバートに
『素っ裸でスケボーに乗ってバーガーショップまで行ってこい』
とけしかける。
一方、長女のリサは湖の汚染に心痛め、環境保護運動に熱中。
ところがホーマーが
変な愛情を抱くようになったペットのブタの排泄物を
まとめて湖に捨てたことから、
業を煮やした当局は彼らが住むスプリングフィールドを封鎖。
外界から遮断してしまう。
その方法というのがまたスゴく、
街をすっぽりと透明のドームで包んで
兵糧攻めにしてしまうんだ。
街の人々の怒りを買いリンチにあいそうになった
ホーマーとその一家は、
ほうほうの体でアラスカへ逃げるものの、
そこで当局がスプリングフィールドを爆破して
初めから街が存在しなかったものにしようとしていることを知る。
スプリングフィールドの人々のことは忘れて
このままアラスカに住もうと言うホーマーにあきれ果てた妻マージは
ついに離婚を申し出る…。
あとは自分で確認してね」

----ニャるほど。ということは
この『デビルマン』の牧村家の悲劇を思わせる群衆の画像は
ホーマーをリンチしようとしている街の人々ニャんだね。
「そういうこと。
しかもそのリンチは当局のお墨付き」

----それはまた大胆。
でもこの映画、いろんな楽しみ方ができそうだね。
「うん。
コメディはもちろんのことSFからホラーまで、
いろんなジャンルが詰め込まれている。
しかもそのテーマとして
環境問題から政治の風刺、
そして家族間の絆まで入れこんでいるんだ。
まあ、贅沢な映画だね」

----そうか、それはオモシロそう。
いわゆる大人向けのアニメってワケだね。
「うん。公開規模が小さいことがほんと残念だね」


(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「こういうアニメ、日本でも受けるかニャ」小首ニャ

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画像はアメリカ・オフィシャルより。
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『ベティ・ペイジ』

2007-10-15 23:03:18 | 新作映画
(原題:The Notorius Bettie Page)

-----この人って名前は知らなかったけど、
ニャんだか見たことがあるような気がするニャあ。
「フォーンが見たといったら嘘っぽいけど、
確かに彼女は世界でも有名な伝説のピンナップ・ガール。
たった7年間で表舞台から姿を消したけど、
いまだにカルチャーやファッションに影響を与えている。
たとえばユマ・アーマンやレニー・ゼルウィガーも
彼女のヘアスタイルを取り入れたりしているんだ」

----ふうん。じゃあ、これは伝記映画?
最初、ドキュメンタリーかと思った。
「それも分かるな。
タイトル・ロールを演じている
グレッチェン・モルが彼女そっくりだしね」

----見どころはどこ?
「記録映像を大胆に取り入れていることかな。
予算がそれほどないため
当時を再現するセットなどは望むべくもない。
そこで記録映像の登場となったわけだけど、
これが実にオモシロい効果を上げているんだ。
それもベティ・ペイジの記録ではなく
主に背景となる当時の街や人々の映像を使っている。
それがドラマと巧く混じり合っていくんだから…。
その映像にあわせるように、
映画はモノクロになったりカラーになったり。
ただ、だんだん慣れて新鮮味が薄れてくるけどね。
いま、ふと思い出したけどウディ・アレンの『カメレオンマン』が
やはり記録映像を使っていたっけ。
もっとも、あの映画では人々の証言コメントを使って
実際にはいない人物をあたかもいるように見せていたけどね」

----ふうん。けっこうオモシロそうだね。
「映画は彼女の生きざまを通して、
“性”がまだおおっぴらに語られることのなかった
ある時代の空気を写し出していく。
と同時に、ボンデージやSMbの滑稽さもね」

----滑稽さ?
「うん。ベティ・ペイジにとっては
ボンデージ・ファッションや鞭たたきといったSM的行為などは
吹き出すほどおかしくてたまらない。
決してエロティシズムをかき立てるものではないんだ。
だから彼女ピンナップはほとんど笑顔。
さらに言えば、彼女は平然とオールヌードになる」

----ええっ?
「アダムとイブは服を着たからエデンの園を追われたというのが
ベティ・ペイジの考え方。
彼女はもとより信仰の厚い女性なんだ。
そんなベティが最後に選んだ道とは?
彼女が表舞台から姿を消す理由とも絡み、
これはなかなか興味深いお話だったよ」



         (byえいwithフォーン)

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『ディスタービア』

2007-10-14 14:03:17 | 新作映画
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


(原題:Disturbia)

-----部屋から覗き見をしていた少年が
事件を目撃する……。
まるでヒッチコック『裏窓』だね。
「うん。間違いなく原点はそこだね。
あの映画では足を骨折していて主人公が
そのことで動きが取れないことが
巧く映画の中にサスペンスとしていかされていた。
この映画の少年ケール(シャイア・ラブーフ)も
同じように身動きが取れないんだ」

----えっ?どういう理由で…?
「ケールは父の死が引き金となり、
警察沙汰を起こして自宅軟禁処分を受けている。
足首には監視システムの付いた輪がはめられていて
家から半径30m以上出ると、
その信号をキャッチした警察がすっ飛んでくるんだ」

----現代的だニャあ。
「他にもパソコン、
デジカメにiPod、携帯電話と、
この時代ならではのアイテムをたくさん取り入れている。
映画としては隣に引っ越してきた美少女への
性衝動と恋がないまぜになった
思春期特有の感情が繊細に描かれるなど見どころも多く、
全米3週連続No.1もなるほどとうなずけたね。
ただなあ…」

----ただ?
「物語は、
そのケールが覗き見している隣人を
現在起こっている女性失踪事件の犯人ではないかと疑うというもの。
で、彼の推理が正しいと
観ている誰もがすぐにうなずいてしまう。
ぼくとしてはもう少し、
実際はどうなんだろうと
迷わせる描き方にしてくれた方が好きだな。
映画の中で、ケールの母親(キャリー=アン・モス)は
息子より隣人(デヴィッド・モース)を信じるものの、
観客からすれば答は歴然。
犯人は隣人(笑)。
でも、先ほどの<行動半径30m限定>を逆手に使ったサスペンスなどは
なかなかオモシロかったけどね」

----逆手に使うって?
「その30mを越えると警察官がやってくる」
----あっ、そうか。
危機一髪のときにはそこから出さえすればいいんだ。
「そういうことだね。
でも、ケールが隣人の家へ侵入。
大きく騒いだことで隣人が当件の当事者になり、
それでも凶行を重ねていくというのが
なんとも納得いかなかったね。
これじゃあ、真相がすぐバレてしまうよ」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「覗き見はよくないニャあ」身を乗り出す

※最初のセリフに注目だ度

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画像はアメリカ・オフィシャルより。
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