ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ホームレス中学生』

2008-08-31 00:10:08 | 新作映画
----これって大ベストセラーになった本の映画化でしょ。
お笑いの人が書いた自叙伝とか聞いたけど…。
「らしいね。
人気お笑いコンビ、麒麟。
と言ってもこれまたぼくは知らないわけだけど…(笑)。
その中の一人、田村裕という人のノンフィクション」

----しかし、ニャンと言っても
ネーミングが上手いよね。
「そうだよね。
普通ホームレスと中学生は結びつかない。
だってまだ義務教育を受けている年齢だし…。
そういう好奇心も手伝ってのベストセラーだろうと
ちょっと高をくくってたんだけど、
いやあ、映画を観た限りでは、
これはなかなかのものだ」

----ふうん。どういうお話ニャの?
「う~ん。
ベストセラーだけにあえて
ストーリーを詳しく話すこともないような…」

----でもフォーンは知らニャいもの。
「だよね。
じゃあ、さわりだけ。
一学期の授業を終え、
学校から帰ってきた田村裕(小池徹平)を待っていたのは
玄関に貼られた“差し押さえ”の黄色いテープ。
しかも自転車で帰ってきた父親(イッセー尾形)は“解散!”を宣言。
裕は兄(西野亮廣)や姉(池脇千鶴)とも別れて
公園でホームレス生活を始める…」

----それって、ひどい父親!
たまらないね。
あれっ、お母さんは?
「そこが実はこの物語のポイント。
彼ら3人はその昔、
母親(古手川祐子)を病気で失っているんだね。
裕はまだそのとき子供で“死”というものが実感できていない。
いつか母は戻ってくるのではないかと…。
ところが民生委員の西村スミ子(いしだあゆみ)や
友人・よしや(柄本時生)の両親(宇崎竜童&田中裕子)らの
努力と親切により兄弟一緒に暮らせるようになった矢先に西村が急死。
初めて死を現実のものとして実感した裕は
人生を空しく感じ、
学校にも行かず荒れ始め、ついには家を飛び出してしまう…」

----ありゃりゃ。
思いっきり話をはしょってニャい?
「バレたか(笑)。
しかし、これは仕方がいないんだ。
というのもこの映画が見応えを発揮するのは
3人が一緒に暮らし始めてから。
前半で描かれる公園でのホームレス生活、
ダンボールを食べたり、自販機の下の小銭を探したりというその描写は、
たまたま彼が中学生だったわけで、
想像の範囲内でしかないもの」

----ニャるほどね。
ところで主人公を演じるのが小池徹平ってどうよ?
もう22歳だよね。
中学生って無理がニャくニャい?
「それを言うなら、
池脇千鶴27歳の高校生も無理がある(笑)。
でもこれは実に的を射たキャスティング。
ふたりとも童顔で、しかもコミカルなところがある。
だから映画が暗く沈まないんだ。
そうそう、この西野亮廣という人も
やはり、お笑いグループ、キングコングの人らしいしね。
彼らのアンサンブルは
この映画の成功の要因の一つだと思うよ。
田村裕は、
『もし映画化されたら、主役は小池徹平さんに…』と
希望していたらしい。
そうそう、オールヌードで頑張ってたよ」

----それは観なくてもいいけど(笑)。
「まあ、そう言わないの。
体張って頑張っているんだから…。
この映画、脇役も実力派で固めていて、
なかでも圧巻はイッセー尾形。
『太陽』と同じ人とはとても思えない庶民ぶり。
しかも身勝手で怒りっぽいダメオヤジ。
しかし、観客にそう思わせながら、
実はほんとうは
妻を心から深く愛していたんだと分からせる。
これは演技もさることながら、
演出プランも巧くいっていると思うな」

----監督は誰だっけ?
「古厩智之。
『奈緒子』とはうってかわって、
映画ならではの世界を繰り広げる。
なかでも、牛丼屋のシーンはお見事。
あんなに牛丼をおいしそうに見せた監督は初めてじゃないかな。
もう少し粘れば 『崖の上のポニョ』のインスタントラーメンと双璧だったのに。
僕はこのシーンがとにかく好きで、まさかの落涙。
原作にあるのかな、あの兄のセリフ。
最初のうちは、お笑い界からの他流試合にしか見えなかった西野亮廣の演技も
ここではぼくの心をわしづかみに。
これはタレント本の映画化などという
先入観を捨てて、とにかく観てほしい作品だね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ぼくも危うくホームレスになるとこだったのニャ」複雑だニャ

※まあ、とにかく観てみる度

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猫ニュー

『さくらんぼ 母ときた道』

2008-08-29 19:29:37 | 新作映画
(原題:桜桃)

----この映画って、『初恋のきた道』の脚本家パオ・シーが書いたんでしょ?
あれはフォーンも好きだったニャあ。
「そうだね。
あれは主演のチャン・ツィイーが走ること、
それだけで<映画>になっている
奇跡のような作品だったものね」

----いまのチャン・イーモウからは想像もつかニャいよね。
「そうだね。
この映画は、タイトルこそ
『初恋のきた道』を意識しているけど、
もっとドキュメンタリーっぽい。
途中、都会に出るシーンなんか
同じチャン・イーモウでも『秋菊の物語』や
『あの子を探して』の方を連想したな」

----あっ、それあまり意味ない。
これ、チャン・イーモウは絡んでいないもの。
「あらら、失敬失敬(笑)。
さて、この映画、
お話は美しい棚田が目を引く
雲南省の農村を背景に進んでゆく。
足が悪く嫁の来手がない葛望(グォワン)。
母は、そんな彼に知的障がいをもつ女・桜桃を嫁に娶らせる。
桜桃は子供を欲しがるが、二人の間には子供が出来ない。
ここはけっこうエロチック・コメディっぽい処理だよ。
そんな中、桜桃は村に捨てられた赤ん坊を拾う」

----えっ、子供が捨てられていたの?
「中国は一人っ子政策を実施していたからね。
働き手になれない女子は余計者扱いされるってワケだ。
戸惑う夫の葛望。
しかも桜桃は紅紅(ホンホン)と名付けられた
その赤ちゃんに夢中になり、
前はあんなにもせがんでいた夜の営みさえも拒否する始末。
そんなこんなで葛望は桜桃に内緒で
その赤ん坊を売り飛ばそうとする。
桜桃は赤ん坊を乗せて去っていった赤い車を追って町に…」

----あっ、そこが『秋菊の物語』『あの子を探して』。
田舎から都会へってワケだ。
「そういうことだね。
さて、実を言うと、
この映画は、大きくなった紅紅の回想のナレーションで進行していく。
小さい頃は、とても仲のよかった母娘。
ところが成長するにつれ、
彼女は知的障がいを抱えた母がうっとうしくなってくる。
そしてついに母親が問題を起こしてしまう」

----えっ、ニャにがあったの?
「娘を苛める同級生を追い回して怪我をさせてしまうんだ。
いきり立って治療費の請求に葛望の家へやってくる大人たち。
そのとき葛望の取った態度、
そしてその後の言葉が…」

----どうしたの?
「いや、目にゴミが…。
実はここまでは正直言うと、
ぼくはあんまりこの映画にノレなかったんだけど、
ここからグッときたね。
監督チャン・ジャーベイの言わんとすることが
痛いほど胸に突き刺さる」

----う~む。でも見どころはそういうお話だけじゃニャイでしょ?
「うん。一つはロケーションの魅力。
村長役の人は棚田の写真家として有名なマー・リーウェン。
それだけに、霧に煙ったような幻想的情景から
青空の下のそれこそ風光明媚な景色まで
魅力をあますことなく伝えてくれる。
撮影は『眠る男』などで知られる丸池治。
音楽も日本人で安田芙充央が三宝を思わせる
オリエンタルな曲を作っている。
でも最大の功労者は主演のミャオ・プゥだろうね。
彼女が登場するファースト・カットから
その不幸な境遇を分からせる見事な演技。
最後まで服も一着だけで泥だらけ。
圧巻というほかはなかったね」


       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも辛い話だよニャあ」悲しい

※それはそうだけ度

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猫ニュー 

『イエスタデイズ』

2008-08-28 07:34:36 | 新作映画
----最近、ミステリーがブームだよね。
次々と映画化されている気がするニャあ。
「あ~、この『イエスタデイズ』ね。
原作者・本田孝好の『MISSING』は
『このミステリーすごい!』でトップ10入り。
でも、この本は、
そうでもなかったのかな。
映画を観ると、
あまりミステリー的な要素はなく
ファンタジー・テイストの恋愛映画に仕上がっている」

----ふうん。どんなお話ニャの?
「主人公は22歳の青年・聡史(塚本高史)。
彼は余命わずかな父・昭彦(國村隼)から
32年前に姿を消した音大生・青山澪の行方を探してほしいと頼まれる。
なんと、父とその女性との間には子供までいるという。
もとよりレストラン経営で成功した冷徹な父に反発していた聡史だが、
妻の節子(風吹ジュン)はもちろん、
長男の慎一(蟹江一平)にも頼めないという父の言葉を聞き、渋々承諾。
唯一の手がかりとなるスケッチブックを手に、
そこに描かれている場所を訪ね歩くが…」

----う~ん。たいしたお話じゃないニャ。
あんまり、興味引かれないや。
「確かにここまでだとね。
尺も2時間近くあるし、
導入部にこんなに時間かける必要はないのでは?
と、実は少し心配しながら観ていたんだ。
ところが、これが驚きの展開を迎える。
父が住んでいた昔のアパートの部屋をあけると、
なんとそこには32年前の若い日の父(和田聰宏)と
恋人の真山澪(原田夏希)」

----えっ?聡史はタイムスリップしたってワケ?
「う~ん。難しいねそれは。
『ある日どこかで』のように
想念、強い思いだけで過去に行ったとも言えるし…。
でも監督の窪田崇は、
これを父の青春時代の夢や思いが強烈にこもった
スケッチブックが起こす奇跡と解釈している。
もしタイムスリップだったら、
聡史は過去を変えていけないわけだしね」

----ニャルほど、奇跡ね。
で、この映画のテーマというか、
見どころはどこニャの?
「うん。父が過去に下した人生の決断、
そのときの真の思いを知ることで、
息子と父が和解してゆく----。
まあこれだけだと、よくある話だけど…」

----あれれ、話が飛んでいるから
よくわからニャいなあ。
聡史の父・昭彦は
過去に愛した女性、
その澪とは別れていまの妻と結婚しているわけだよね?
「うん。そういうこと。
もし、聡史が父と澪の愛が壊れないようにと力を貸せば、
自分はこの世に生まれてはこないことになる。
つまりこれがさっき話した、
この映画がタイムスリップものではなくて奇跡の話という意味」

----ニャるほどね。
やっぱりフォーンも
「あのときこうすればよかった」と
後で悔やむような生き方はイヤだニャあ。
「だったら、この映画を観ても大丈夫。
あとで後悔しないように今日を生きていこう。
これがこの映画のテーマ。
でも人間って弱いところあるから、なかなか難しいけどね」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「それはそうと、この原田夏希ってかわいいニャあ」身を乗り出す

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猫ニュー

『宮廷画家ゴヤは見た』

2008-08-26 23:43:10 | 新作映画
(原題:Goya's Ghosts)

----これって久しぶりのミロス・フォアマン監督作品だよね。
なかなか気に入ってるみたいじゃニャい?
「うん。実に見応えがあったね。
映画とはこうあってほしいというお手本のような作品。
なんといってもジャン=クロード・カリエールが
脚本を担当しているのがなによりも嬉しい」

----だれ?その舌を噛みそうな名前の人…。
「よく知られているのはルイス・ブニュエル監督との仕事だね。
『ブルジョワジーの密かな愉しみ』や『自由の幻想』など、
主に後期の破天荒なスタイルのブニュエル作品を多く手がけている。
この映画もさすがにあそこまでシュールというわけではないけれど、
なかなか一筋縄ではいかない。
いい意味で最後まで翻弄される」

----ふうん。でもこのタイトル変だよね。
まるで『家政婦は見ていた』って感じ(笑)。
「確かにそうかも。
でもゴヤというのは、
『歴史上、最初に戦争を視覚的に捉えたレポーター』------
と、これはゴヤの伝記の著者ロバート・ヒューズの言葉だけどね。
実際、観る前に抱いていた先入観とは違い、
ゴヤは意識的に政治に関わっているわけではない。
絵の方も宮廷の人々を描くと同時に、
普通の人々をも描いている」

----ピーター・グリーナウェイが監督した
『レンブラントの夜警』のレンブラントのように
反骨精神溢れた画家というわけではなかったわけだニャ。
ところで彼は何を見たわけ?
「じゃあ、そろそろ映画のお話に入るとしよう。
舞台は1792年、マドリッド。
そこでゴヤ(ステラン・スカルスガルド)は2枚の肖像画を描いていた。
1枚はゴヤの友人で裕福な商人トマスの娘イネス(ナタリー・ポートマン)。
もう1枚は初めて依頼されたロレンソ神父(ハビエル・バルデム)だ。
まったく接点がないように見えるふたりのモデル。
ところがロレンソ神父のある野心がきっかけで
彼らの運命の歯車が回り始める」

----ゴクッ。オモシロくなってきたニャあ。
いったいなにが起こるんだろう?
「当時、カトリック教会は国王の監督の下、
異教徒や無神論者を罰する権限を持っていた。
だが、それは実際はほとんど機能していなかったんだ。
そこでロレンソ神父は教会の力を復活させるべく、
異端審問を強化させることを提案。
そしてその網に引っかかってしまったのがこのイネス。
彼女は居酒屋で豚肉を嫌がったために
ユダヤ教徒と疑われてしまったんだね。
審問に続いて残酷な拷問が開始。
イネスはなんと裸で吊るし上げられてしまう」

----つ、つまりナタリー・ポートマンは汚れ役を演じちゃうってこと?
「そう。イネスというのは
ゴヤが彼女を天使のモデルにしたというくらいに清楚。
それだけにここはほんとショッキングだったね。
さてイネスの父トマスに頼まれたゴヤはロレンソに、
肖像画の代金と教会の修復費を引き換えにイネスの解放を願う。
ところがロレンソが異端審問所を訪ねると、
彼女はすでに拷問を受けていた。
脅えるイネスを慰めるロレンソ。
その心には情欲の炎が湧いてくる」

----!!!!!
「さて、ここから物語はだれもが思いもよらぬ方向へと発展。
トマスがまさかの行動に出るんだ。
それによってロレンソは窮地に陥り、
ついには姿を消してしまう」

----えっ、トマスは何をしたの?
それにロレンソがいないんじゃ、
話は終わっちゃうじゃニャい。
「う~ん。喉まで出かかっているけど、
やはりこれは観るまでの楽しみに取っておいた方がいいだろうね。
ジャン=クロード・カリエール。
その大胆な脚本術を味わうためにもね。
15年後。
フランスでは革命に続いて、ナポレオンがヨーロッパ中を侵略。
ここスペインでも彼はその内紛に介入し、
自分の兄ジョゼフをスペイン国王に任命する。
異端審問も廃止され、
イネスもようやく外へ。
しかし、かつての美貌は見る影もなく…」

----ニャるほど。
この映画のオモシロさはその脚本の妙と、
ナタリー・ポートマンってわけか…。
「詳しくは明かせないけど、
実はポートマンはもう一役演じている。
彼女のファンにはたまらないだろうね。
もちろん、ミロス・フォアマンの演出もぼく好み。
たとえば遠くで鳴り響く爆音。
その凄まじさを、
音の一つひとつに驚く鶏を写すことで表したり、
また、いまにも処刑が行なわれようかというまさにそのときに、
処刑台そばのロバが地面の草を食むカットを入れたり。
こういう何気ないショットがかえって
ドラマの緊迫をいや増す。
ゴヤという人物を普通の常識人にする設定も含めて
映画らしい映画を観させてもらったという気がしたね」


           (byえいwithフォーン)

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『夢のまにまに』

2008-08-25 23:25:57 | 新作映画
----木村威夫?知らない監督だニャあ。
ん?でもスタッフロールで見たような記憶も…。
「おっ、なかなかいいところ突いているね。
彼こそは正真正銘、映画美術界の巨匠。
豊田四郎、黒木和雄、鈴木清順、熊井啓、伊丹十三、篠田正浩と、
日本を代表するさまざまな監督と組んでいる」

----ス、スゴいニャあ。
みんな日本を代表する監督ばかりだ。
「だよね。
現在、彼はいくつかの大学で客員教授として教鞭をふるう一方、
日活芸術学院では学院長を務めている。
この映画は、その彼自身をモデルとしたといってもいいんじゃないかな。
主人公はNK学院の学院長・木室創(長門裕之)。
映画は、この木室が見た戦時中の夢から始まり、
学生・村上大輔(井上芳雄)との世代を超えた交流、
そして自らの青春の日々の回想、
そして戦争が現代に及ぼしている陰りを
美術監督ならではの独自の映像美で描いていくんだ」

----そうか、新藤兼人監督の 『石内尋常高等小学校 花は散れども』と同じく
ここでも戦争が大きな意味を持っているんだね。
「うん。
木室の妻・エミ子(有馬稲子)は
ヒロシマの原爆で姉を亡くしている。
そんな中、統合失調症の病を抱えて苦悩する村上は、
かつて戦争によって若者が命を散らしたことを知り、
さらにその苦悩を深めてゆく。
この井上の設定がちょっと変わっていて
腕にはマリリン・モンローの刺青なんかしている。
ところが実生活で彼が恋するのは、なんと巫女さん。
この両極端にも見える井上の嗜好は
彼の分裂した内面を象徴しているとも言えるけど、
やはり美術監督・木村威夫が
自分の世界を描きたかった----そっちの方が大きいんじゃないかな」

----自分の世界って?
「それはねこういうこと。
木村威夫の仕事。
それは過去、長きに渡って美術という側面から
幾多の監督が創りあげてきた世界をサポートすること。
そこには熊井啓のようなリアリズムもあれば清純美学もある。
そんな現場に居合わせてごらんよ。
自分の映画的引き出しは増えこそすれ決して減ることはない。
この映画には、そんな“美術監督”木村威夫ならではの
ビジュアル的なオモシロさが満ちあふれているんだ」

----ニャるほど。
でもそれって
テーマはどうでもいいってことじゃニャイよね…。
「もちろんだよ。
木村威夫の反戦平和への願い。
この映画は、それがいかに強いものかを
ぼくらに教えてくれる」

----そういえばキャスティングもそんな感じ。
「若い日の木室に永瀬正敏、
そしてヒロインとも言える女性に宮沢りえ。
それぞれ『紙屋悦子の青春』『父と暮せば』の主演。
いずれも黒木和雄監督が戦争の犠牲者を悼んだ作品だ。
この映画には、知覧の特攻平和会館も出てくるけど、
そこで監督が取り上げた、ある一通。
それを読み上げる声の向こうには、
まさしく戦争で失われた命への慟哭が聞こえくる。
90歳という高齢になってもいまなお
映画に対する情熱を持ち続けている木村威夫。
その彼がなぜ長編初監督の題材としてこの映画を選んだ理由----
それは痛いほど伝わったね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも映画としてはどうなのニャ?」複雑だニャ

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猫ニュー

『アルビン 歌うシマリス3兄弟』

2008-08-24 15:41:51 | 新作映画
(原題:Alvin and the Chipmunks)


----この映画 『ライラの冒険:黄金の羅針盤』
『レミーのおいしいレストラン』よりもヒットしたんだって?
「いやあ、
それ分からない気がしないでもないな。
とにかく観ていて楽しい。
こういうファミリー・アニメはあまり難しいこと言わずに、
シンプルなプロットで押し通した方がいいと
改めて認識したね。
この映画を観て楽しめないような子供にはなってほしくない」

----あらら。またはっきり言うニャあ。
で、そのシンプルなプロットって?
「3匹のシマリス兄弟、
アルビン、サイモン、セオドア。
ある日、彼ら3兄弟の住む森の木は伐採されトラックで
大都会にあるジェット・レコード社のロビーに運ばれる。
そこにたまたま売り込みにやってきていたのが、
ソングライターのデイブ・セビル(ジェイソン・リー)。
大学時代の友人、今ではジェット・レコード会社トップの
イアン・ホーク(デビッド・クロス)に才能をけなされ、
乱暴にオフィスから追い出されたデイブは、
知らぬ間にシマリスの3兄弟を家に連れて帰ることに…」

----ニャるほど、そういう出会いか…。
で、このシマリスが歌を歌うってワケだ…。
「そう。
それまでまったく売れなかったデイブの曲を
アルビンたちが歌ったところ、たちまち空前の大ヒット!
しかしそこに目を付けたイアンの企みによって
シマリス3兄弟とデイブは引き離されてしまう」

----確かに、ありがちなお話だニャあ。
「うん。デイブが大人になりきれない男だってところもね。
彼の元ガールフレンドのクレア(キャメロン・リチャードソン)も
いつまでもまともに働こうとはしなく、
しかもなぜか家族というものを毛嫌いするデイブを見限っている。
イアンはそこのところを巧く突いてアルビンたちを揺さぶるわけだ。
『デイブは家族なんて嫌い。君たちを追い出したがっている。
でも、うちにくればなんでもある』とね」

----そうか。この映画は一人の男の
大人へのめざめの話でもあるんだ。
「そう。ちょっと前の言葉で言えば
デイブはモラトリアム人間てわけだ。
でもなんといっても楽しいのは、アルビンたち3人のキャラ。
アルビンはリーダー格でしっかり者。
サイモンは知性的でメガネをプレゼントされて大喜び。
なかでもいちばんかわいいのは末っ子のセオドア。
彼はスゴい甘えん坊。
夜、『一緒に寝ていい』とベッドに入ってくるところなんて
ほんとキュートだよ」

----それってぼくみたいだニャ。
「……………」
----あらっ??
「まあ、どこでもここでもかまわずに飛び乗って
部屋中、めちゃくちゃにしちゃうところは
少し似ているかな」

----ヒドいニャあ。
でも、アルビンたちってCGなんでしょ。
『チャーリーとチョコレート工場』のときとは
イメージが違うけど…。
「(笑)。もちろんだよ。
この映画は実写とCGの合成。
ところがいつしか
その作られたシマリスが
まるでホンモノのように見えてくる。
歌声もユニークだし、振り付けもお尻フリフリで文句なくかわいい。
巧く公開すればきっと人気爆発だと思うよ」

----ふうん。ピカチュウなんかも
こういう感じで映画化できたらオモシロそうだね。
「う~ん。
あのアニメは最近スケールが大きくなりすぎてるから
ちょっと無理だろうね」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも歌いたくなったニャあ」ぼくも観たい

※「バッド・デイ-ついてない日の応援歌」が楽しい度

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猫ニュー

画像はアメリカ・オフィシャル(ダウンロードサイト)より。

『フロンティア』

2008-08-23 17:04:40 | 新作映画
(原題:Frontiere(s))


「いやあ、
これはあまりと言えばあまり。
ちょっと喋るの止めようかとも…」

----えっ、ニャんで。
確かリュック・ベッソンが絡んでなかった?
「うん。ユーロコープね。
でも『ハイテンション』のアレクサンドル・ハジャにしてもそうだけど、
ここから輩出される人って
どうしてこうも過激な映画作りに走っちゃうんだろう。
その流血の量たるや『キャリー』をも凌駕。
全身が真っ赤っか。
しかもアキレス腱を鋏で切られたり、
高温の蒸気で蒸し殺されたり…。
撮影しながらよく正常な心理でいられるなと…。
ヒロインはまたしても 『屋敷女』状態だし…」

----それって妊娠してるってこと?
「うん。
ちょっと気になって調べてみたら
撮影監督のローラ・バンはその『屋敷女』も撮影していた」

----でも、こうして喋っちゃったってコトは、
どこか言いたいことがあったんでしょ?
「鋭いね。さすがフォーンだ。
実はこの映画の設定が現代のフランスの情勢を背景にしているんだ。
監督のザヴィエ・ジャンいわく
『この映画のアイディアは、2002年の大統領選挙で
極右勢力が決選投票にまで進んだときに思いついた。
事態の深刻さに、心の底から恐怖を感じた。
この不安な感情を脚本の中で表現したかった』
と、こういうことなんだね」

----へぇ~っ。でもそれと映画は
まったく関係なさそうだけど…。
「いや、そうでもないよ。
映画は大統領選挙の結果、
極右勢力が優勢となり各地で暴動が起きているパリのシーンから始まる。
主人公たち5人の若者は、いずれも移民家庭出身。
その混乱に乗じて強盗を計画し、
オランダへ逃走しようと計画する。
ところが国境近くの宿屋で
彼らはこの世の地獄に会うことに。
なんとそこに住んでいたのは
ナチスを信奉する残忍な狂人とその子供たち。
彼らは宿泊客をダマしては監禁、殺害を繰り返していた」

----ニャるほど。
『クライモリ』 や『テキサス・チェーン・ソー』と似たような
狂人家族の設定でも、
ナチスをもってきたことでずいぶんと変わるよね。
「うん。得体の知れない不気味さが増すね。
彼らが誘い込まれた屋敷には
拾われてきた女の子が下働きさせられているんだけど、
彼女は純血を産むことを強いられている。
しかし、産んだ子たちはいずれも…。
いやあ、この設定も歪だ。
彼ら子供たちは正常には産まれず、
豚と一緒に薄暗く汚い地下に閉じ込められている」

----もうイヤ。聞きたくないニャあ。
「ぼくもいま喋りながらしかめっ面になったよ。
ただ、この映画は同じフレンチ・ホラーでも
後半は屋外に出た上に大銃撃戦が加わり、
少し開放感を出してある。
実はこの映画、
『エイリアン』のリプリーのように、
最後は一人のヒロインの戦いとなるんだけど、
彼女を演じるカリーナ・テスタは
強い女性が出てくる映画を観て研究したというだけあって
その戦いぶりはさすがにスゴい。
最初の頃とは様相がまったく変わっていたよ」

----でも、それって頭から血かぶってたからじゃニャいの?
「あらら…」

           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「だから、怖いのはいやニャって…」もう寝る

※春に公開された『ヒットマン』はこの監督のハリウッド進出第一弾だ度

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猫ニュー

『イキガミ』

2008-08-21 09:25:49 | 新作映画
----『イキガミ』?
死神なら分かるけど…。
まさか天使のことじゃないよね。
「いやいや、カミはカミでも
神ではなくて紙のこと。
“逝紙”----これは『国家繁栄維持法』により
1000人に1人の確率で選ばれた18歳から24歳の若者の命が
自動的に奪われるシステムの下、
政府より発行される死亡予告証。
これを受けとったものは24時間後に必ず死亡するんだ」

----なんて無茶苦茶ニャ!
でも、ほんとうにそんなことできるの?
「この世界では小学校入学直前にすべての児童に
『国繁予防接種』が行なわれる。
そのアンプルには1000人に1人の割合で特殊なナノ・カプセルが仕込まれ、
そのカプセルが18歳から24歳までの若者の体内で、
あらかじめ設定された日時に静脈瘤内で自動的に破裂する------
まあ、こう言う仕組みだね。
主人公は厚生保険省の国家公務員・藤本賢吾(松田翔太)。
彼は、対象者の死の24時間前にこのイキガミを配達することなんだ」

----いやな仕事だニャあ。
「ぼくも最初、このプロットを聞いたときには、
なんていやな話だろうと…・。
だって、この法律が施行されている理由が
国民の“生命の価値”を高めることで、
社会の生産性を向上させる----というんだから。
国家繁栄のため“国家の礎”となる、この思想って戦前の---」

----あっ「赤紙」。
「でしょ。
おいおい時代はこんなところまできているのかと
暗澹たる気持ちになったんだ。
ところが観てみて納得。
これはそういう流れというか、
管理社会に対して真っ向から異を唱えている。
つまり、いまの時代の傾向に楔を打ち込んでいるんだ。
藤本賢吾は、この自分の仕事に疑問を抱き、
任務上は許されていない
対象者への感情移入、介入をしばしば行なってしまう。
そんな彼が思想犯として捕まることを危惧し、
冷静な忠告を与える石井課長(笹野高史)。
彼らが勤めているオフィスもどこか『未来世紀ブラジル』を思わせる」

----ニャルほど。少し納得。
じゃあ、映画はその藤本と
彼が関わる対象者の物語で進んでいくんだ。
しかし暗そうだニャあ。
「確かに。
プロローグは
イキガミを受けとってやけになり、
少年時代に自分をいじめた男を捜し出し、
道連れにしようとする男のエピソード。
この後も、こんな陰惨な感じだったらどうしようと思ったら、
これがなんと3つのエピソード、すべてが涙を誘うものばかり。
生テレビに出るその日に死ぬことを告知されるミュージシャン(金井勇太)、
息子(佐野和馬)にきたイキガミを
自分の選挙に利用しようとする超保守派の政治家(風雪ジュン)、
そして交通事故で視力を失った妹(成海璃子)のために
人生の最後に自分の角膜で彼女を救おうとする兄(山田孝之)」

----でも、それってすべて原作にあるわけでしょ。
映画としての良さには見えないけどニャあ。
「正直言って原作を読んでいないからそこのところは分からないけど、
この監督は映画としての見せ方をよく知っているのは確かだ」

----たとえば?
「映画の中には、ある狙撃シーンがあるんだけど、
ここでは狙撃者が撃つ瞬間を見せず、
標的側から写す。その背後で突然銃弾が炸裂するんだ。  
こういう撮影、編集は
ただ派手な撃ち合いを見せればいいという昨今の映画とは一線を画する。
サスペンス、いやドラマそのものを見せてくれるんだ。
あるいは、劇団ひとりの使い方。
最初だけのちょい役で
あらあらもったいないと思ったら、見事な形で再登場。
それは塚本高史にしてもそうだね。
俳優の演技もおしなべていいけど、
見どころはやはり吹雪ジュン。
ショートカットの鬘までつけて大演説。
『美しい国』だの『若者』だの『命』だの言っている姿は
何年か前に深夜放送の討論番組で見た
保守派の女性論客を思い出したな。
名前までは思い出せないけど…。」

----音楽も気に入ってダウンロードしてなかった?
「フィルハーモニックの『みちしるべ』。
劇中でも意味ある使い方がなされ、
エンドクレジットでもじっくり聞かせてくれる、
安易なタイアップと違って映画の中身に即した歌詞。
こういうのは、ほんと好きだな」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「こんな国になったらいやニャ」悲しい

※シナリオも演出も泣かせる度

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猫ニュー

『ブーリン家の姉妹』

2008-08-20 09:53:54 | 新作映画
(原題:The Other Boleyn Girl)

----ブーリン家って、どこの家のこと?
「家?(笑)
でもそうだよね。
この名前、ちょっと日本にはなじみないものね。
ところがなんと、
これはかの有名なヘンリー8世の話だった」

----その人、有名ニャの?
「うん。有名も有名。
なにせ当時のヨーロッパの宗教地図を塗り替えたんだからね。
それまで熱心なカトリック教信者で
法王から『信仰の擁護者』とまで言われていたのに、
なんと自分をイギリス国教会の長としてしまった。
確か、日本の聖公会がこの流れを組んでいるんじゃなかったかな」

----へぇ~っ、何がきっかけニャの?
「それがこの映画のお話。
国王ヘンリー8世はブーリン家の姉妹の姉アンと結婚をしたかった。
しかし王には妻キャサリン・オブ・アラゴンがいる。
カトリックでは離婚が認められていない。そこで-------
と、こういうことだ」

----えっ、自分の結婚のため?
それはスゴいニャあ。
「話はそれるけどヘンリー8世は結局6回も結婚。
ちなみに
ロックグループ、イエスの絶頂期に発表された
リック・ウェイクマンの初のソロアルバムは
この『ヘンリー8世と6人の妻』をタイトルとしているよ。
さて、映画に話を戻すと、
これはベストセラー小説が基になっていて、
フィクションがけっこう多く含まれている。。
アン(ナタリー・ポートマン)には
メアリー(スカーレット・ヨハンソン)という妹がいる。
メアリーはヘンリー8世(エリック・バナ)の愛人。
ここは史実どおり。
ただ、映画ではメアリーが男の子を産んでいるけど、
実際に男の子を産んだのは、
彼女とは違う別の愛人らしい。
と、このように姉妹の相克が数多く脚色されているため
観ていてほんと飽きないんだ」

----そうか、映画はこの姉妹の戦いのお話ニャんだ。
「まあ、ちょっと待ってよ。
アンとメアリー、
ふたりの母レディ・エリザベス(クリスチャン・トーマス・スコット)の弟にあたる
ノーフォーク伯爵(デビッド・モリッシー)は
ヘンリー8世の妻キャサリン・オブ・アラゴン(アナ・トレント)が
男の子を産まないことに目を付けて、
莫大な富と権力を得ようと姪のアンを差し出そうとする。
ところがヘンリー8世は
機知に富み男まさりのアンよりも
気だてがよくて愛らしい新婚のメアリーに惹かれていく。
そこでアンは別の公爵と結婚をあげるが彼には許嫁が…。
そのことをメアリーから聞いた家族は
ヘンリー8世の耳に入ってはまずいと
アンをその公爵と別れさせフランスの宮廷に送る。
やがてメアリーは懐妊するも体を衰弱。
彼女への興味を徐々に失っていくヘンリー8世を繋ぎ止めるために
今度はアンを呼び戻す。
さて、物語はここから急展開。
すっかり洗練された女性として生まれ変わったアンは、
その魅力で国王を虜にしてしまう…」

----なんだかイギリス版『大奥』って感じだね。
どこの国でも絶対的権力者がいて、
周りはそれにあやかろうとするわけだ。
「そう。
で、その権力者は決まって女好き(笑)。
さて史実では
アンは10代の頃のほとんどをフランスで過ごしている。
ところがこの映画では、
彼女の行動のすべては、自分が受けた仕打ちへの復讐として描かれる。
つまりドラマチックな改変がなされているんだね。
アンは王になかなか体を許さず、相手をじらしていく。
『愛人では嫌だ。正式な結婚がしたい……』」

----ニャるほど。そこで王は宗教さえも変えた。
「うん。
で、その裏にアンがいた------。
『映画で観ると歴史は分かりやすくオモシロい』という
まさにこれはそのお手本のようなものだね」

----ストーリー面以外ではどうニャの。
「歴史に登場する候補地。
その大部分は観光名所となっているとかで
そのほとんどはセット。
監督はなんとインドの町からベルリンのクラブまで、
世界中のさまざまな写真からそのヒントを得たらしい。
あと、目を引くのは衣装。
チューダー朝のドレスには
それほど多くの種類の形やシルエットの違いはないということで、
アンとメアリーの衣装は色合いを変えてその差を出したらしい。
これは観てみたらすぐ分かるよ。
アンの色の方が原色に近く、くっきりしているからね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「こういう映画は気づくと、のめり込んでいるのニャ」身を乗り出す

※『ミツバチのささやき』の女の子が女王キャサリン・オブ・アラゴン役だ度

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猫ニュー

『ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』

2008-08-17 12:40:33 | 新作映画
(原題:Every Little Step)


----これってミュージカルのオーディション風景を追った
ドキュメンタリーなんでしょ。
そんなのオモシロくなるの?
「いやいや、それが観る前に思っていた以上に感動したね。
というのも、このミュージカルというのがただのミュージカルじゃない。
ブロードウェイに立つことを夢見て、
オーディションに集まった若者たちの心の葛藤を描いた
名作『コーラスライン』の16年ぶりの再演。
そのオーディションを受けるために集まった若者たちの姿を描くという、
二重の構造になっているんだ。
さらにそれに加えて、
初演の『コーラスライン』がいかにして生まれたか、
その秘蔵フィルムが、これまたおそらく初めての公開と思われる
貴重なテープとともに紹介される」

----えっ、そのテープってニャによ。
「オリジナルの『コーラスライン』、
それはその振付・演出を担当したマイケル・ベネットが
実際にダンサーたちに行なったインタヴューから生まれている。
これはそのときに収録されたテープ。
なんとオープンリールだよ」

----うわあ、それはスゴいニャあ。
でも『コーラスライン』といえば、
劇団四季もやったし、
リチャード・アッテンボロー監督の映画もあったよね。
「うん。いずれもきらびやかなイメージがあるけど、
ここに映し出されるのは
その役を獲得するまでのダンサーたちの“戦い”。
人生を賭けた真剣勝負だけに息を飲まざるを得ない。
同じ役を争う若者たち。
彼らはそれぞれ役に対するアプローチが違う。
この映画がグッとオモシロくなってくるのは、
候補者が数名に絞られてから。
ダンサーAの演技でなるほどと思ったことが
ダンサーBの演技を見ることによって
自分の中にまた違った感慨がわいてくるんだ」

----それを選びぬく審査員たちは大変だ。
やはり彼らは超一流のプロっってわけだね。
「でも、彼らだって生身の人間。
たとえばオリジナル版の共同振付を担当したボブ・エイヴァンは、
あるダンサーの演技を目にして
オーディション中にもかかわらず感動のあまり泣いてしまう。
かと思えば、オリジナル版のコニーを演じたバイヨーク・リーは
沖縄出身のユカ・タカラ(高良結香)を
アメリカにきて10年にも満たないという理由で気に入らなかったりもする。
バイヨークはマンハッタンのチャイナタウン生まれなんだ」

----えっ、日本人も出ているの?
「うん。高良結香は3000人もの中から選ばれたわずか19名の一人。
映画は、彼女とコニー役を最後まで争うライバルが
実は無二の親友だったことを明らかにする。
ほかにも代役にすぎなかったのに最終的に逆転で役を勝ち得る者、
あるいは、
評判がよかった数ヶ月前の一次選考での自分の演技が思い出せない者など、
さまざまな人間像が描かれる。
観ているうちに、なんだか彼らダンサーがすべて
自分の知り合いのように思えてくる。
落ちた者、受かった者。
どちらに対しても最後は暖かい涙が湧いてくるんだ。
そういう意味でもこれは稀有な映画だと思うよ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ぼくも踊りたいニャ」ぼくも観たい

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猫ニュー

『天国はまだ遠く』

2008-08-15 21:30:49 | 新作映画
----ニャんとも微妙なタイトルだね。
“天国”ということは難病もの?
「いや、そうではなく
ここでは“自殺”をモチーフにしていたね」

----えっ、主演は加藤ローサだよね。
彼女って
あっけらかんとしたイメージで
自殺とは対極にある感じがするけど…。
「うん。ぼくも彼女が冒頭、
暗い顔で駅に立ったときには
あらら大丈夫かなと思ったんだけど、
これはおそらく長澤雅彦監督の狙いだね。
加藤ローサとは『夜のピクニック』でも組んでいるだけに、
キャスティングにミスがあるはずがない」

----う~ん。でもイメージ違うニャあ。
「主人公は千鶴。
彼女が自殺しようとした理由というのは、
仕事のことが中心。
ただ、それにしても
観るだれもが納得するほどの強いモノじゃない。
さて、お話は
彼女がタクシー運転手に教えてもらってたどり着いた
山奥の『絶景の宿 民宿たむら』での日々を中心に進んでいく。
そこで千鶴を迎えた宿の主人・田村も
実はサラリーマン生活を辞めて自給自足の生活を送っている」

----その田村っていうのはだれがやっているの?
「チュートリアルの徳井義実。
といっても、このチュートリアルがなにかをぼくは知らなかったわけだけど…(汗)」

----あらら。でもニャンだか
話を聞いているとありふれたストーリーっぽいけど…。
「確かにそう。
でも、そこにこの加藤ローサを持ってきた意味がある。
千鶴というのは、
立ち直りが早く、順応性があって、ひょうきんな性格。
絵を描くことを目指していたと言いながら、
『それは無理でしょ』とツッコミたくなるようなヒドいできばえ。
しかも、田村にそれを飾ってくれと言う(笑)」

----ははあ。
「ぼくが思うに、
この映画は安易に自分の命が失われているこの時代に、
『ほんのちょっとそれを先延ばしにすれば
いいことがあるかも。
人生は一つだけではないよ。
別の生き方もある』----と、
こういうことを言っているような気がする。
原作は瀬尾まいこ。
もっともそっちは読んでないけどね」

----ふうん。
ところでふたりの間に愛は芽生えないの?
「そこなんだよね。
少し、古めかしい
しかもメロドラマ的テイストで描かれる愛の芽生えがある。
だけど、おそらくこの映画を観ている人は、
ほぼ100%が
このふたりが結ばれたらいいなと思うに違いないよ」

----それだけふたりの共演もしっくりいっていたということかもね。


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「天国はまだ遠い。死んだらだめニャ!」気持ちいいニャ

※エンディングテーマ、熊木杏里の「こと」が泣ける度

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『女工哀歌』

2008-08-14 22:37:02 | 新作映画
(原題:CHINA BLUE )


----今日も中国のお話?
中国と言えば、北京オリンピックの開会式で歌っていた女の子が
実は「口パク」だったってことが問題になっているよね。
「うん。その話聞いて少し分かった気がするな。
『女工哀歌』の舞台となったこの会社の社長が
なぜこんな問題映画を撮ることを許可したか。
口パクを決めた政治局員たちと同じく、
自分が悪いことをやっているという認識がないんだね」

----どういうこと?
「いま、日本って、
例の中国餃子を始め、冷凍食品の多くが中国製。
しかもアパレルもタグを見ると中国製ばかり。
ところが実はこれは日本だけの問題ではなく、
海外でも同じなんだ。
その理由というのが、とにかく仕入値が安いこと」

----ニャるほど。分かってきた。
この映画は、ジーンズ工場で働いている女の子たちの話だ。
「そう。
小平の改革開放路線提唱以降、
この国はまるで資本主義国のように
極端な市場経済となっている。
これは一見、
だれにでも豊かになれるチャンスありと見えながら、
実は、すさまじいまでの貧富の格差、
それに官僚主義、財産権の侵害といった弊害を生み出している」

----それって、新聞にも載っていたよね。
オリンピックがあるものだから
街を整備しようと旧市街を取り壊して
結果、住む場所を失っている人までいるんでしょ。
「そういうこと。
現在、中国では1億3000万人(全人口の10%程度)もの人々が
農村から都会に出稼ぎにきているんだ。
あれだけ『Made in China』が安いからには
そこで働く人たちはそうとうな低賃金なんだろうなと
一応の予測はしていたけど、
この映画を観たら、
もう自分がここに座っているのさえ、
何か悪いことをしている気になったね」

----?????
「この工場で働く女の子たちは、
とにかく効率のみを要求される。
納期までに経営者が決めた予定量をこなすためには徹夜に継ぐ徹夜も珍しくない。
しかも全寮制の上、部屋代も食事代も天引きされて
給料はほとんど手元に残らない。
最初のうちの時給なんて日本円でわずか7円ほど。
カメラは、ジャスミンという名の女の子を中心に
この奴隷としか呼びようのない
彼女たちの24時間を追っていく。
しか全てのルールは経営者が一方的に通達。
たとえば、無断外出したら2日間の給料に匹敵する罰金」

----しかし、よくそんな映画が撮れたね
「だから、さっきも言ったように
社長は自分が悪いことをしているという認識がまったくないんだ。
元警察署長だったというこの社長は、
田舎出身の子を学がないと決めつけ、
自分が書道をやっていて
それが経営上の効果をもたらしているとを自慢げに語る。
普通ならスノッブという言葉で嘲り笑ってすませられるけど、
人を人とも思わぬその態度が
従業員たちに苛酷な労働条件を強いているのを見るにつけ、
怒りで体がわなわな震えてくる。
しかもジャスミンが辿った道は……。
いやあ、もうこれ以上は言えないな。
ドキュメンタリーで涙がにじんだのは久しぶりだ」

----でも話を聞いていると、
あまりドキュメンタリーとは思えないね。
「うん。いわゆる事実は小説より奇なりというヤツ。
でも、この監督ミカ・X・ペレドは、その構成も巧い。
ドキュメンタリーとして密着取材しながらも、
最後はこの映画の舞台裏も含む衝撃の事実を、
次々と畳み掛け、
最後は椅子に座ってスクリーンを見つめている観客をも射抜く。
ナレーションを入れて声高にメッセージを読み上げるわけでも、
社長をインタビューで問いつめるわけでもなく
少女たちの日常をずっと丁寧に追いながら、
グローバル化の問題を浮き彫りにする。
これは映画としてもよくできている。必見だ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「こんなヒドいことは許されないニャ!」ご不満

※日本の貧富格差なんて問題にならないヒドさだ度

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猫ニュー

『小さな赤い花』

2008-08-13 10:51:44 | 新作映画
(原題:看上去很美/英題:Little Red Flowers)

「これ、かなり変だ」
----えっ、中国の全寮制幼稚園のお話じゃニャいの?
良いことをした子は紙で作った赤い花がもらえると言うんで、
主人公の少年チアンが努力するんでしょ。
「そう。だけど、それも途中まで。
ここの幼稚園の統制はあまりにも厳しく、
女性の先生なんて
まるで昔映画によく出てきたナチスの女将校という感じ。
たとえば、チアンが怖い夢を見て
女の子のベッドに夢遊病のように潜り込み、
そこでおしっこしてしまうエピソードがあるんだけど、
それを先生みんなで輪になってあざけり笑う。
『たいしたものだ(笑)』とね」

----それは少年も悪いけど、先生も悪い。
フォーンだって、ちゃんと砂のトイレでするのに。
「そうそう。トイレと言えば、これがまたスゴい。
溝みたいなところに一列に並んで一緒に。
それも男の子と女の子が一緒。
で、ちゃんとうんちが出たら赤い花がもらえる」

----スゴい話だニャあ。
そんなの映像で写すの?
「そうなんだよね。
しかもこのシーンに限らず、
やたらと子供たちの下半身が露出されるんだ。
一人ずつ下着を脱いでお尻を拭かれたりとか、
お尻の部分が破れたズボンを履いたりという風に。
おねしょした後は、下半身何も身に付けていない」

----それはまた過激だね。
「話をストーリーに戻すと、
チアンはそのあまりにも厳しいしつけに疑問を抱き、
というか本能的に嫌悪し、
いよいよ反抗的になる。
みんなをけしかけ、先生を妖怪に仕立て上げる。
このシーンもシュールだよ。
夜、子供たちが先生のベッドにうじゃうじゃ」

----うわあ。でもそれはただじゃすまないよニャ。
「うん。先生側はチアンを孤立化させ、
やがてチアンはみんなから無視されるようになる。
そこで耐えきれず外へ飛び出した彼が目にしたものは…。
と、少し『大人は判ってくれない』を思い出したね。
もっとも本国では『カッコーの巣の上で』や『ソドムの市』と比喩されたらしいけど」

----でも、これっていつの時代のお話ニャの?
「どうやら文化大革命の頃らしいということは
クライマックスで明らかとなってくる。
でも監督のチャン・ユアンは、『時間を特定したつもりはなく
わざと架空の年代を作った』ということのようだ。
『現在の中国では、
私は直接の手法で社会問題を具体化することができない。
だから私は子供の小さい世界に助けを借りることしかできず、
今日の社会を比喩している』」

----へぇ~っ。そんなにまでして監督が言いたかったことって?
「じゃあ、監督の言葉を続けよう。
『私はここで皆さんが集団と個人の矛盾した関係を見られること、
また個人と栄誉の錯誤を見つけることを望む』」

----ふうん。それにしてもこの夏は
アジアの子供を主人公にした映画が多いね。
『闇の子供たち』もそうだし 『地球でいちばん幸せな場所』もそう。
「うん。地球の未来は子供たちが創り出してゆくもの。
いまの世界をこんな風に
大人たちの勝手にしていいのかということを感じさせられるよね。
そうそう、『闇の子供たち』といえば現在大ヒット街道を驀進中。
興行だけでなく評価も 「試写室ランキング」8月号表ベストで第一位と高いけど、
なんとこの「試写室ランキング」が
「MovieWalker」のリニューアルとともに
次回9月号でその幕を下ろすんだ」

----えっ、なくなるニャりか?
「うん。もったいないよね。
前例がないくらいにユニークな企画だし、
ぼくなんかも休みの日に、
何を観るかの参考にしていたのに…。
編集のれがあるFさんは
現在、受け皿となるウェブ媒体を探しているところ。
どこか名乗りを上げないかなあ。
詳しくは「MovieWalker試写室ランキング ただ今、編集中」(7.31)を」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「かなり変態チックな映画みたいだニャあ」なにこれ?

※まるで昔作られた映画を発掘したみたいな、ぼわ~んとした映像だ度

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『次郎長三国志』

2008-08-12 00:47:20 | 新作映画
----この映画、確か観るのが
延ばし延ばしになっていたよね。
「うん。
試写室でお年を召した方たちが交わされる会話。
それがあまりいい評判じゃなかったからね」

----で、どうだったの?
「いやあ、これは怪作。
ある意味、水野晴郎の『シベリア超特急』に通じるところがあると思った。
ちょっとしたカルト的作品だね」

----それはまたスゴい言い方。
どういうところが怪作ニャの?
「まず任侠股旅ものなのにテンポはユルい。
ギャグは滑って笑いが取れない。
しかも、こんなところで挟むかというようなゼリフ回しが
これまた不思議なアングルで出てくる」

----それじゃあ、めちゃくちゃじゃニャい。
「いやあ、それが慣れてくると
妙に快感となる。
この映画、マキノ監督の甥のマキノ雅彦(津川雅彦)が
長年かけて会得した“俳優・津川雅彦”としての芸を
そのまま映画にした-----と、そういう気がする」

----それってどういうの?
『落語娘』で見せた独特の語りと間。
それを映画全般に出そうとしたんじゃないかと…。
原作も有名で何度も描かれているから
物語的目新しさはまったくないわけで、
後は、どうアプローチするか
それが問題だったと思う。
そこで重要となるのがキャスティングなわけだけど、
次郎長の中井貴一、大政の岸部一徳は、
まあいいとしよう。
しかし 森の石松に温水洋一。
これは普通誰も考えないだろう。
そして法印大五郎に髪の毛の薄い笹野高史をもってきて
鬘で紙を増やした上に、
恋物語まで演じさせている。
その他の出演者も鬼吉に近藤芳正、小政に北村一輝。
さらには木下ほうかなど、
ちょっと考えられない配役。
ただ、映像的には編み笠、股旅衣装の六人衆が
青空をバックにちょっと前屈みで歩いてゆくその姿が実にいなせ。
マキノ雅彦監督、これを撮りたかったんじゃないかな」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「変わった映画みたいだニャあ?」もう寝る

※股旅衣装が懐かしい度

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『LOOK』

2008-08-10 22:25:26 | 新作映画
(原題:Look)

----これっていま一つ、
どういう映画かよく分からニャいんだけど?
「そうだよね。
よく使われているビジュアルが
レンズが捕えた試着室の中の半裸の女性ふたりの映像。
ある人なんか、
『これ覗きの映画でしょ?』と言っていたくらい」

----えっ、違うの?
「うん。観る前はぼくもドキュメンタリーかと思っていたけど、
よくよく考えてみたら、
それやっちゃうと肖像権で引っかかっちゃう」

----それはそうだ(笑)。
あと、この映画に関してよく聞く言葉が
「9.11テロ以後、人々は安全と引き換えに
プライバシーを捨てた」というもの。
それってこの映画に、ほんとうに関係あるの?
どう見てもいやらしそうなんだけど…。
「うん。いまやアメリカでは
防犯のために3000万台以上の監視カメラが設置されているらしい。
37の州では更衣室(試着室)やトイレに監視カメラを設置することが許可され、
60%の高校に隠しカメラが設置。
また従業員の勤務態度に問題がある会社は、
法的許可を得れば隠しカメラを設置することができるらしい。
この映画は、
このように至るところに設置されているカメラが捕えた映像を見せることによって
人々にはもはやプライバシーがないということを明らかにするばかりでなく、
それを繋ぎあわせるだけで、
さまざまなドラマが生み出されるということを実証してみせている。
いわば一種のフェイク・ドキュメンタリーだね」

----ふうん。そんなことやってオモシロいの?
「まあ、それは人それぞれのとらえ方だけど…。
ここには強盗、殺人、幼児誘拐、セクハラという犯罪から
淫行、いじめ、噂話、悪口、衝突事故、追跡中継、爆弾処理、
そして映画撮影(ジョン・ランディス登場!)まで、
さまざまな<現場>が
監視カメラの映像によって描かれる。
もちろん、それは監視カメラを装った
カメラマンによるれっきとした撮影なんだけどね。
ぼくは最初のうち、フェイクと言い切る自信がなく、
スクリーンを凝視していたけど…(汗)。」

----じゃあ、いま喋ってることってネタバレになるのでは?
「いや、喋っちゃっていいんじゃないかな。
だって、いま巷に出回っているチラシ等の情報だけじゃ
この映画を観ようという決定的なきっかけにはなりにくいもの」

----あっ、それは確かにそうだよね。
“覗き”の映画と誤解されたままじゃヤバいよね。
「そういうこと。
これはある意味、アダム・リフキン監督の実験的かつ野心的な作品。
監視カメラ映像だけでいくつもの
しかも赤裸々なドラマを撮ろうというわけだからね。
ただ、そこで描かれている世界というのが
ショッピング・モールで子供を物色しつきまとう男、
職場の女性たちに次々と手を出す男、
さらには担任教師と寝るために色じかけを繰り返す女高生と、
下ネタ系、あるいは三面記事風の話が多いのも事実。
そういう意味では“覗き”映画と思って観に行った人の
好奇心をも大いに満足させてくれるかもね」


       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもフォーンは覗かれたくはないニャあ」小首ニャ

※だけどその発想はユニークだ度

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