ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『NOEL(ノエル)』

2005-10-31 23:22:59 | 新作映画
----この映画、タイトルから女性映画ってイメージがあるけど…。
「女性映画って言葉もどうかとは思うけど、
まあアクションやSF、ホラーじゃないことは明らかだ(笑)。
ただ、甘い恋愛映画かと言うとそうでもないし、
だからってファミリー・ムービーってわけでもない。
一言では説明しにくいタイプの映画だね」

----スーザン・サランドンが主人公ということから見ても、
青春映画の路線もありえないしね(笑)。
「そうだね。いわゆるクリスマスのイヴからクリスマスにかけて起こった
いくつかのドラマを一つに紡いだ一種の群像ドラマ。
一人ひとりの人生が他の人の人生と微妙に関わり合ってくる」

----わかった。『ラブ・アクチュアリー』みたいな感じなんでしょ。
「あそこまで登場人物が多くはないけどね。
重病の母親の看病に明け暮れるバツイチ女性ローズ(スーザン・サランドン)、
誰もが見ほれる美しいニーナ(ペネロペ・クルス)と
彼女に常識を超えた嫉妬心を抱いてしまう婚約者マイク(ポール・ウォーカー)、
そのマイクに「君は妻の生れ変りだ」と言って近づくアーティ(アラン・アーキン)、
子供の頃に病院で体験したクリスマス・パーティが忘れられず
自傷によって入院しようとするジュールズ(マーカス・トーマス)。
この4つのエピソードが中心だね」

----あれっ、ホラーじゃないと言ったけど、
リーインカーネーションのエピソードがあるじゃニャい。
「さあ、これはどうかな。
この映画のオモシロいところは、
現実の向こうに
クリスマスならではの<奇跡>をかいま見せながら映画が進んでゆくところ。
実はある大物スターがカメオ出演しているんだけど、
このエピソードもやはり<奇跡>がらみだしね」

----だれよだれよ?そのカメオって?
「うん。プレスにも書かれていないばかりか、
エンド・クレジットにも出てこないから、
これは伏せておいた方がいいんだろうね。
カメオってもともとは
「クレジットされた俳優には最低補償額を支払わなければいけない」と言う
ユニオンの規定を逃れるために始まったようなものだけど、
いまでは<サプライズ>による話題作りの意味合いも多いからね。
ま、ヒントとしてはよくカメオ出演するスターと言うことで…」

----う~ん。だれか分かったような気もするニャ。
でも、カメオ出演するからには監督の方も気になる。
なんか理由がありそうなんだもの。
「いいところ突いているね。
俳優のチャズ・パルミンテリの第一回監督作品。
最近、あんまりスクリーンでは見なかったけど、
ここでは出演者としてもチラリその姿を覗かせている」

----チャズ…あ~、あのデ・ニーロの監督作品
『ブロンクス物語/愛につつまれて』で主役を務めた人だ。
「うん。あの作品でも実は脚色を担当していた。
ここではそれぞれのキャラクターを脇に至るまで丁寧に描き込んでいる。
たとえばローズにアプローチする男。
その口説き文句とムード作りなんてお手本にしたいくらい(笑)。
でもそれに『ごめんなさい』のローズ…。
いやあ、しみじみうまいなあと思ったね」

----出演者で印象に残ったのは?
「やはり出てきたなのポール・ウォーカー。
『イントゥ・ザ・ブルー』の灼熱のバハマから雪のニューヨークへ。
ああいう男はどこにいても絵になるね」

----ひがまない、ひがまない。
あっ、それ以前の問題か。
「mmmm………」
              (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「今年のクリスマス・プレゼントは何かニャ」バレました?

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『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』

2005-10-29 23:32:41 | 新作映画
-----『ハリポタ』も早くも第4作目だね。
今回は原作が2巻に分かれたあの大長編。
冒険もスケールが大きくて映画化は難しそうな気がするけど。
「そうなんだよね。原作を読んでいるときから、
これは果たして映画になるんだろうかと…。
でもよくここまでやったと思う」

----監督がまた変わったよね。マイク・ニューウェルだっけ?
「そうなんだ。これがいい方に転がったね。
そもそも一作目を監督したのがクリス・コロンバス。
いかにもハリウッド的な監督で大丈夫かなと思ったのを覚えている。
結果、原作に忠実にまとめていたけど、
いま考えると、
『百味ビーンズ』に代表されるポップな世界になっていた」

----でも、まだ一年生だったんだし、それはそれでよかったんでは?
「うん、ぼくもそうだと思う。
映画としても世界中で爆発的ヒットを記録したしね。
ところがその後に
ファンタジーの本家『ロード・オブ・ザ・リング』が出てきたあたりから
『ハリポタ』の旗色は悪くなってきた。
ターゲットを大人に絞った『L・O・T・R』に比べると、
こちらは少々お子さまランチ的。
特に男性からの評判が悪かった。
しかし彼の出生にまつわる秘密が明かされ始めた前作『アズカバンの囚人』、
そしてヴォルデモート卿がついに復活を遂げるこの『炎のゴブレット』と、
物語はダークかつヘビーなモノになってくる。
やはりこれはクリス・コロンバスにはあわなかったのかも知れない。
もちろん公式的にはコロンバスが辞退したことになってるけどね。
『家族との時間を作りたい』と…」

----ニャるほど。で、今回の監督交代は正解だったと…。
「うん。これも意外なんだけど、
あれほどイギリスの俳優で固めていながら
これまでは監督はイギリス人ではなかった。
ところが今回のマイク・ニューウェルは生粋のイギリス人。
かつてアイルランドの伝説を現代に甦らせた
『白馬の伝説』という傑作を撮ったことがある彼だけど、
今回の映像はそのときのテイストと近い。
2時間37分、青みがかった暗い映像で統一されている」

----そう言えば、今回は音楽も変わってなかった?
「ジョン・ウィリアムズからパトリック・ドイルにね。
彼は王立スコットランド音楽アカデミー出身。
さらにダンス・パーティのシーンの曲は
バルブのジャービス・コッカーの手によるもの。
ラジオヘッドにも協力を求めたというから、
ブリティッシュ・ロック・ファンにはたまらないだろうね」

----そろそろ、中身の方も話してよ。
「ストーリーを長々と語っても仕方ないから、見どころをかいつまんで…。
この『炎のゴブレット』は他の巻のように、
マグル(人間)世界のハリーから始まるのではなく、
ワームテール、バーティ・クラウチJr.による
ヴォルデモート復活の謀議から始まる。
このシーンは、原作よりイメージがつかみやすくなっていた。
で、続いてクィディチ・ワールドカップという最初のヤマがくるわけだけど、
ここもヴィジュアルとしては及第点。
サポーター席なんて天にそびえるかのよう。
そのイメージに圧倒されてしまう。
ここだけでも美術のスチュアート・クレイグの名は映画史に記録されるべきだと思う。
ただ、そこに突如として現れる死喰い人にからむイメージは弱かった。
よりの映像で、その数も少ないため、
周囲との距離感が出ず<恐怖>が描ききれていなかった。
確か原作ではこの事件がきっかけで、
ハリーは周囲から疑いの目を向けられると記憶しているけど、
そこもあまり突っ込んで描かれていない」

-----ちょ、ちょっと。「かいつまんで」といいながら
結局ディテールに走って長くなっていない?
「あっ。そうかゴメンゴメン。
ま、その後はホグワーツ主催による三大魔法学校対抗試合、
その間に開かれるダンス・パーティ、
そしてこの対抗試合の果てにあるヴォルデモートとの対決と
全編クライマックスとでも呼びたくなるハイテンションで突き進んでいくわけだけど、
いずれも食い入るようにスクリーンを見つめてしまったね。
こんなに緊張が途切れなかった『ハリポタ』は初めてだ。
ドラゴンとの対決しかり、グリンデローに襲われる湖しかり、
邪念を持った迷路しかりだ」

-----分かった。分かった。興奮してまとまらないんだね。
新しく出た人たちはどうだった?
「ブレンダン・グリーソンのマッド・アイ・ムーディがなかなかオモシロい。
あんまりずっとは見たくないけどね(笑)。
個人的にはミランダ・リチャードソンのリータ・スキーターが受けたね。
なるほどこうくるかというメイクと衣装。
あっ、レイフ・ファインズのヴォルデモートもよく考えてあるよ」

----ふうん。でも今日のお話はまとまらないなあ。
「うん。この映画、喋ることが多すぎるからね。
ただ言えるのは、今回映画化された作品を観て
シリーズの中でこの巻が占める意味が初めて分かった気がする。
原作を読んでいない人にはネタバレになってしまうけど、
この三大魔法学校対抗試合であるひとりが、
生徒や先生たちみんなの前で死んでしまう。
<死>を目前にした彼ら生徒は、もう昨日と同じではいられない。
ラスト、ハーマイオニーはハリーやロンに向かって言う。
『わたしたち、みんな変わってゆくのね』。
そう、彼らの子供の時間は終わった。
そこに流れる静かな悲しみ。
この映画のダークなトーンはそれを強調するための
監督やスタッフの選択だったということなんだろうね」

                 (byえいwithフォーン)

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『ロード・オブ・ウォー』

2005-10-28 18:55:10 | 新作映画
----この映画、最初『アメリカン・ビジネス』という
タイトルで公開される予定だったよね。
結局、原題に戻っちゃったね。
「うん。なぜだろう?あまりにも生々しいからかな。
旧ソ連のウクライナから家族とともに
移民としてアメリカに渡ったユーリー(ニコラス・ケイジ)。
武器の密売に手を染め始めた彼を
インターポールの刑事バレンタイン(イーサン・ホーク)が追いつめていく…」

----ということはアクション映画なの?
「いやいや。それが違うんだ。
監督がアンドリュー・ニコルだけあって、
冒頭のタイトルバックからして意表を突いている。
一発の銃弾が作られ、紛争国に運ばれ、実際に使われるまでを
その銃弾を常にフレームの中心に据えたショットで繋いでいくんだ」

----へぇ~。凝ってるニャあ。
「ユーリーには
憧れの美女エヴァ(ブリジット・モイナハン)がいるんだけど、
彼が彼女に接近しモノにするまでもスケールがでかい。
運命の出会いを演出するべく、孤島のホテルを借り切るばかりか、
エヴァを島から送り届けるために、
自家用機に見せかけたジェット機のレンタルまでやってしまう。
さすが『トゥルーマン・ショー』という
とてつもないホラ話を作り上げた監督だけある」

----そう言えばあの映画って風刺が効いてたよね。
この『ロード・オブ・ウォー』もそんな感じなのかな?
あっ、内容が内容だけにそうか。
世界を股にかけ、紛争国のトップやゲリラ相手に
武器を売りつける武器商人の話だものね。
「うん。
現代の世界の状況がその矛盾とともに克明に描き出される。
砂漠の真ん中で、相手は軍服や戦闘服なのに、
ユーリーはいつもスーツ姿と言うのも皮肉が利いている」

----でも、そんなあくどい商売に手を出しながら
なかなか捕まらないってのも不思議。
「まあ、それが彼の才覚と言うことかな。
捕まらない決定的理由が最後の最後に明らかとなるんだけど、
実はそのことこそが
最初決まりかけた邦題『アメリカン・ビジネス』の由来ともなっている」

-----うん?どういうこと?
「つまり彼ら武器商人は国によって保護されていると言うわけだ。
彼はお金さえ払ってくれれば商売の相手を選ばない。
敵の敵=味方にも武器を売るわけだから、
アメリカとしては大歓迎と言うことになる。
これって直球勝負でいけば社会派映画の極となるテーマだけど、
そこはアンドリュー・ニコル、変化球でブラックに攻めたわけだ。
それでも脚本提出がアメリカのイラク侵攻一週間前。
周囲は難色を示し、結局アメリカでの資金調達はゼロだったらしい」

----ふうん。そう言えばこういう問題作の常連となった
ジャレッド・レトが出ているね。
「彼はユーリーの弟役。
途中でドラッグ中毒になってしまう。
『レクイエム・フォー・ドリーム』のイメージを引き継いでいるのかも。
ジャレッド・レトって美形なのに作品のセレクトが通好み。
ジョニー・デップの路線を歩もうと思っているのかもね」

                   (byえいwithフォーン)

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『ダイヤモンド・イン・パラダイス』

2005-10-27 18:19:13 | 新作映画
----これって『007』シリーズのピアース・ブロスナン主演の映画だね。
どうも雰囲気からすると、
肩の力を抜いたアクション・エンターテイメントって感じだけど。
「そのとおりだね。
主人公は世紀の大泥棒。
しかもタイトルで分かるようにそのターゲットはダイヤモンド。
彼の相棒を務めるのがサルマ・ハエックだ」

----彼が大泥棒を演じると言えば
『華麗なる賭け』のリメイク『トーマス・クラウン・アフェア』もあった。
「そうだね。彼は、こう言うタイプの映画にロマンを感じているのかもしれない。
さて映画は冒頭から大仕掛けな盗みのテクニックを見せてくれる。
クライマックスは『ミッション:インポッシブル』。
しかもスキューバ・ダイビングまで登場して、
ブロスナン陸に海に大活躍だ。
もっとも海が出てくるのはサルマ・ハエック絡みかも」

----どういうこと?
「最近ラテン系の主役はペネロペ・クルズにさらわれている感があるけど、
ここではほとんどへそ出し。スゴいアピールだ(笑)」

----それで今日の画像(※wallpaper使用)は
サルマ・ハエックなんだね(笑)。
舞台がバハマと言うのもゴージャス。
でもなぜにバハマ?
「世界最大の3つの財宝“ナポレオン・ダイヤモンド”を狙うマックスとローラ。
3つのうちの2つを手に入れたふたりはバハマで悠々自適の生活を送る。
ところがそこに7年間にも渡って彼らを追い続けながら
翻弄されてばかりのFBI捜査官スタンがやってくる。
彼は港に停泊している豪華客船に
最後のナポレオン・ダイヤモンドがあるとの情報をもたらす。
そう、挑発しているんだね。
ローラはマックスに危険な橋を渡らないようにと懇願するが…」

----でも、盗みをやらなきゃ話は進まないよね。
「(笑)。そのとおり。
ここにマックスとローラの愛の行方も絡んでくるけど、
まあ、それは刺身のツマみたいなもの。
果たしてマックスはどんなアリバイを作って
盗みを実行するか…?というお話さ」

----でも「盗んでハイ終わり」と言うわけではないよね。
この手の映画の常道として…。
「さあ、どうでしょう。
この映画公開が来年に伸びたようだから、
その間にゆっくり考えて」

     (byえいwithフォーン)

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『力道山』

2005-10-26 20:07:06 | 新作映画
----力道山って戦後最大のプロレスラーだよね。
これって彼の伝記が映画になったということ?
「そう。実はすでに昨年にはでき上がっていて、
力道山の命日の12月15日に韓国で公開されたらしい」

----えっ、韓国で?
「うん。この映画は日韓合作。
97%が日本語という画期的なものなんだ」

----そうか、力道山って戦前に朝鮮から海を渡ってきたんだものね。
ひとりの在日の生き方をとおして、両国の関係が浮かび上がるわけか…。
でも力道山役のソル・ギョングは大変だったろうね。
ずっと日本語を喋らなければいけないわけだから。
「いやあ、それも驚いたけど、
何よりもスゴかったのは撮影と美術だね。
撮影監督は『殺人の追憶』のキム・ヒョング。
おそらく監督のソン・ヘソンと彼は
昭和20~30年代の日本映画を研究しつくしたのではないかな。
まるで当時の日本映画を観ているような
くすんだ色調の画作りになっている。
これは多分に美術監督の巨匠・稲垣尚夫の功績もあると思うけどね」

----えっ、美術は日本人がやってるんだ。
「そう。そのことは後で知ったんだけどね。
ある意味『ALWAYS 三丁目の夕日』『カーテンコール』よりも、
当時の日本の空気を再現しているかもしれない。
この『力道山』に比べれば、それらの映画で描かれている昭和はあまりにも美しすぎる。
もちろん映画の趣旨が違うわけだから、それはそれでいいんだけど」

----ドラマの背景作りをおろそかにしてないわけだね。
それだけ監督が映画に力を入れている証拠ってことかな?
「そうなんだよね。
実は内容の方は
力道山が自分の出生地を隠そうとしたり、
日本人に同化しようとするシーンとかがやたらと出てきて、
正直なぜこの映画が今韓国で作られる必要があるのか、
よく分からなかった。
でも、そこはさすが勢いのある韓国映画。
ラストに突き進むにつれて、
力道山が「史上最高」の横綱を目指した<本音>が明かされ、
観る者の胸を激しく揺さぶる。
しかも物語が完結した後に出てくる
エピローグが実に泣かせる」

----その<本音>って?エピローグも聞きたいな?
「う~ん。公開が来年3月4日だからね。
まだちょっと明かせないかな。
あっ、でもこの映画、東京国際映画祭で30日に上映だっけ。
その後だったらコメント欄で書くかも」

-----えっ、ほんと?
「(笑)ま、あまり期待しないで。
そうそう、日本人の俳優はみんなよかったよ。
力道山の後見人で裏社会の大物・菅野に扮した藤竜也なんて、
これを円熟と言わずして何を言うんだって感じのいぶし銀の演技。
力道山の妻・綾を演じた中谷美紀も彼女のベストアクトじゃないかな。
メイクや衣装のおかげもあるけど、
そのまま、あの時代の映画の中に入ってもおかしくないほど。
マネージャー役の萩原聖人も役になり切っていた」

----そうか、あの頃の女優さんって正統派の美人が多かったものね。
「正統派と言えば、この映画の作りはまさに正統派。
今後、力道山の伝記を映画化しようという人にとっては
高いハードルが生まれたものだ。
変化球でいくしかなくなるんじゃないかな」

     (byえいwithフォーン)

※本作は新たに12分の未公開シーンを加えた完全オリジナル版です。
※力道山の名言
「力道山は泣きません。ただ、涙が流れているだけです。」
「人生は短い。善人ぶってる時間はない。」(少し違っているかも)

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『フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い』

2005-10-25 23:08:38 | 新作映画
-----この映画も全米初登場でボックスオフィスのトップを飾ったんだって?
あまりスターらしいスターも出てないけど…。
「そうだね。マーク・ウォルバーグ以外の3人はどちらかというと、
日本ではまだそんなには知られていない。
でも俳優のことはともかくとして、これがよくできた映画なんだ。
ストーリーは義母マーサの葬儀に集まった4人の兄弟が
彼女の死の真相を暴くために立ち上がるというシンプルなもの。
ただ、そこにガン・アクションやカーチェイス、
そして謎解きのスリルといったさまざまな肉付けを施すことで、
観る者を最後まで飽きさせないようにしている。
この映画を観て思ったのは、
ストーリーは簡単であればあるほどいい。
でも、それをいかにオモシロく見せるかが、
監督の<力量>なんだってことかな」

----あれ、ちょっと待って。
このポスター見ると、4人の肌の色違うね。
「4人は身寄りがない。つまり孤児なんだね。
普通はマーサが里親を探すわけだけど、
みな非行歴がひどくだれからももらわれなかったため、
彼女に養子として迎えられたというわけだ」

----ニャるほど、そこは分かった。
じゃあ、そのオモシロくしている肉付けというのを教えてよ。
「たとえばカーチェイスは吹雪の中で行われる。
タイヤはスリップするし、車はあちこちぶつけてボコボコ。
でも、親の敵を討ちたい一心で彼らは追跡を止めない。
一方、ガン・アクションのシーンでも
敵の一味が大量の銃器で彼らの家を包囲。
身動きするのも困難な激しい銃火の中、
壮絶な撃ち合いが始まる。
ここでは敵が家の中の4人を狙いやすくするため銃撃を一ヶ所に集中。
家に大きな穴を開けようとする。まさに絶体絶命。
これだけの銃痕を見たのは『スズメバチ』以来。
でもテイストとしてはイーストウッドの『ガントレット』に近いかな」

----ニャるほど。えいの好きなドラマがアクションを引っ張るというヤツだね。
「うん。12月公開の大作にも似たようなシーンがあるけど緊迫感がまるで違う。
ただ撃ち合うだけじゃ弾の無駄遣い。
これは最近のガン・アクション映画ほとんどに言えることだけどね」

----でも、この映画は違うってわけだ。
「プロデューサーのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラいわく
『私はいつでも70年代の映画から刺激を受けています。(中略)
ジョンは70年代の映画がやったことを、
現代のレベルで実現させることができます』。
このジョンというのは監督のジョン・シングルトンのことだ。
でもロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラってよく知らない。
誰だろうと調べてみたら
『コンスタンティン』を製作している。
これからちょっと追っかけてみようかな」

           (byえいwithフォーン)

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『輪廻』

2005-10-24 21:14:28 | 新作映画
※カンの鋭い方によってはネタバレにつながる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



「いやあ驚いたね。
“新絶叫クイーン”は優香で決まりだね」

----そんな決めつけして大丈夫?
「だってあの恐怖の表情はスゴいよ。どこで習得したんだろう?」
----(笑)もうそれは分かったから、これどんな映画なの?
監督が清水崇でこのタイトルだとオカルト・ホラーだよね。
「ぼくもそう思っていたんだけど、
そこに異常殺人鬼ホラー、果てはゾンビ・ホラー的な描写まで登場する。
ホラーのてんこ盛り。もうおなかいっぱいって感じだ」

----そんなギャグ的な言い方していいの?
ほんとは怖いんでしょ。怖くてそんな風に言ってるんでしょ(笑)
「そりゃあ、怖いよ。設定からしてね。
昭和45年。群馬県のホテルで大量無差別殺人事件が発生。
法医学教授・大森範久は自らの家族を踏む11人を殺し、
自らも謎の死を遂げてしまう。
35年後、現代。
映画監督の松村郁夫(椎名桔平)は、この猟奇事件の映画化に取り組んでいた。
新人女優の杉浦渚(優香)は、
『記憶』と名付けられたこの映画のオーデョンに行った直後から、
人形を抱えた少女の不気味な幻覚にとらわれる。
渚は見事オーディションに合格するが…」

----分かった。幻覚の少女は自分が演じる役のモデルだったんだ。
「そう、そこまではだれでも分かる。
ところが、映画はこれにもう一つのエピソードが絡み、
思わぬ方向へ進んでゆく」

----ニャんだろう?ドキドキ。
「女子大生の木下弥生(香里奈)は奇妙な夢を見続けていた。
その夢では、子供の頃からいつも赤い屋根のホテルが現れるものの、
彼女の親はそんなところには行ったことがないと言う。
やがて彼女の前に、前世の記憶を持っていると言う
森田由香(松本まりか)という女性が現れる…」

----ちょ、ちょっと待った。松本まりかってどこかで聞いたことが…。
あっ『ノロイ』の主役。確かあそこでも霊感が強いという設定だったよね。
「そう。これで大まかな設定の話は終わり。
この枠組みの中で、いままで僕たちを怖がらせてきた
さまざまなJホラーの手法がこれでもかとばかりに展開する」

----じゃあ、女の人がカクカクしながら迫ってくるとか、
エレベーターの霊とか、目のどアップとかだね。
「いや、まんまそのとおりってわけじゃないよ。
でも清水崇ならではの<入れ子構造の悪夢>や、
<足下から見上げる子供の霊>なんてのは出てくるね。
でも今回の一番の見どころは、その凝った脚本にあると思う。
『呪怨』では時制をバラしていくつかのエピソードを繋いでみせたわけだけど、
この映画では、前世で行われた殺戮、当時の再現撮影、そして蘇り(輪廻)による復讐と、
ひとつの<惨劇>を3つの<恐怖>へと拡大。
やがてそれは衝撃の結末へと収斂。恐怖も結晶化していく」

----えっ、衝撃って?ぼく、結末読めたと思っているんだけど。
「なになに、小さな声で言ってごらん」
----だって、死んだあの人がこの人に生まれ変わって…ぼそぼそぼそ。
「ぜ~んぜん違います。
いやあ、やっぱり分からないんだわ。安心した。
ぼくもこのからくりは見抜けなかったもんね。
でもよくよく考えたら彼の『呪怨』にしても、
彼の恐怖の本質は、
その本人がなにも悪いことをしてもいないのに呪われてしまうところに…。
あっ、これはヒントの出しすぎかな。
そうそう、一つだけクレームを。
劇中、出てくる8ミリ映像がクリアすぎるのはまだしも
ビスタサイズはないでしょ。
かつての8ミリ少年としてはどうしても気になってしまう」

----8ミリも出てくるんだ。どういう風に使われているんだろう?
「それもナイショ」
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『変身』

2005-10-22 11:33:43 | 新作映画
-----これって原作が東野圭吾。彼、映画に向いているのかな?
『秘密』『@game』『レイクサイドマーダーケース』と、
すでに3本も映画化されているね。
「うん。でもこの原作は売れなかったらしい。
本人いわく『評論家たちからも無視され、
文学賞の候補にもならなかった』んだって」

----でも、こうして映画になっている。
「そう。映像関係者からの注目は高く、
映画にしようという話が持ち上がり、
それが流れても何度も同様の企画が浮上したらしい。
これを本人は『映像関係者にしてみれば、
作品のイメージがつかみやすいのかもしれない』と分析している」

----ふ~ん、どんなお話ニャの?
「病室で目ざめた一人の青年・純一。
彼はなぜ自分がここにいるか分からない。
だが、そんな中にも蘇ってくる、ある女性・恵との想い出。
やがて彼は自分が脳移植されて一命を取り留めたことが分かる。
そんな彼に入院以前と変わらず献身的につくす恵。
ところが事態は思わぬ方向へ…」

----ははあ~っ、読めた。新たにドナーの人格が芽生えてくるんだな。
「やはり分かってしまったか(笑)。
ところがこのドナーがある事件に関わる凶暴な男だった。
しかも純一の入院のきっかけともなっていた…というお話だ」

----ニャんだか、とてもあっさりしているけど?
「うん。これは脚本の問題か、それとも演出の問題か?
もしかしたら原作もそうなっていて、
純一がまったく違う男に変わっても恵は彼を愛せるか、
純一は恵の愛にどう応えるか?……
ここにポイントを置いているのかもしれないけど、
これまで東野圭吾原作の映画を観てきた者としては、
もっと謎解きの方を楽しみたかった気がする」

----ニャるほどね。主演は玉木宏と蒼井優だっけ。
「玉木宏演じる純一は、前半おどおどした気弱な青年として登場。
それが医療チームの一人・橘(佐田真由美)と強引に関係を持つほどの
野性的な男に変身。
その演じ分けが巧くいっていたと思う」

----えいおススメの蒼井優は?
「感情表現がいつも以上にオーバーアクト。
とにかく激しく泣き続ける。
テストも含めて20回も泣き、絶叫したらしい。
でも、それはよくも悪くも
テレビドラマ的な肌合いを持つこの映画のテイストに乗っ取った演技とも言えるかも」

----そう言うのを贔屓の引き倒しと言うんじゃニャイの。
       (byえいwithフォーン)

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『イン・ハー・シューズ』

2005-10-20 22:29:41 | 新作映画
----この映画、キャメロン・ディアスの演技が話題になっているようだね? 
「うん。
どちらかと言うとコメディエンヌのイメージが強い彼女だけど、
久しぶりに内的苦悩を見せる演技で勝負に出ている。
セクシーであることに疲れた表情がとてもいい」

----でもスチールとか見ると、着ている服とか、
相変わらずそのグラマラスなボディを強調しているようだけど?
「そうだね。この映画ではおそらく多くの、
特に男性ファンが彼女に抱くであろうイメージを生かした
キャラクター設定となっている。
彼女が演じるマギーは恵まれたルックスを持ち
一夜の相手を務めるレベルの男には全く不自由しない。
しかし難読症を患っていることから自分に自信を持てないでいる。
そのためまともな定職に就かず姉のローズの手を煩わせてばかり。
一方のローズは、弁護士として成功を収めたものの
実は外見にコンプレックスを持っている。
ふたりの母親は交通事故で亡くなり、父親は再婚。
ある日、マギーがローズの恋人と関係を持ったことから
ふたりは完全に対立してしまう。
そんなマギーが向かった先は、
最近まで存在さえ知らなかった祖母の住むフロリダだった…」

----フロリダ?じゃあ最初はどこから始まるの?
「フィラデルフィア。
この二つの土地の空気感の違いも映画を特色づける大きな要素かな。
このフロリダで彼女は祖母の教育(?)により、
初めて仕事らしい仕事をするんだけど、
その祖母に扮しているのがなんと大女優シャーリー・マクレーン。
映画は、この離れていた祖母と孫の再会、
そして決別した姉妹の和解といった家族のドラマを感動的に紡ぎあげていく。
で、ぼくがうまいなあと思ったのは、
いくつかの<秘密>を、映画のスパイスとしたこと」

----<秘密>って?
「なぜ祖母が孫たちの前から姿を消していたか?
そしてなぜ父親は祖母が孫に送っていたカードを封印していたか?
このことへの興味が最後まで観る者を引きつけ、
正反対の姉妹の葛藤といった、いわばどこにでもありそうな設定を
幾層ものドラマを持つ深みのあるものへと変えている。
ベストセラーの原作にもその設定はあるんだろうけど、
スザンナ・グラントの脚色による部分も大きいんじゃないかな」

----スザンナ・グラント。
確か彼女は『エリン・ブロコビッチ』でも自立を目指す女性を描いてたよね。
「うん。あの映画はひとりのヒロイン、
エリン・ブロコビッチにスポットを当てていたけど、
この映画で描かれるのは姉妹、ふたりの女性だ。
彼女らは仲違いをして独り立ちをせざるを得なくなる。
でも、それによって明らかになるのは、
ふたりが本心では、お互いをとても必要としていたということ。
愛ゆえの感情爆発。このあたりの愛と憎悪のサジ加減が実に巧い」

----他の俳優たちはどうだったの?
「『ミュリエルの結婚』の19.5kgに続き
またまた11.3kgも体重を増加させてローズ役に挑んだトニ・コレット。
ローズが子供の頃からいかに妹マギーを大切にしていたかが分かるシーンは、
この映画の白眉だね。
ロースを食事に誘うことでアプローチを続ける
サイモン役マーク・フォイアスタインもいい。
スマートな男の優しさというものを見せながらも
そこに猜疑と嫉妬心が潜んでいるいるところもきちんと押さえてある。
そしてもちろん主演のキャメロン・ディアスと、大御所シャーリー・マクレーン。
彼ら全員に演技のアンサンブル賞をあげたいくらい。
監督は『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン。
3人の個性ある男たちを描き分けたあの映画と同じく、
ここでも俳優たちの手綱さばきはさすがというしかないね」


      (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも妹に会いたくなったニャ」ぱっちり

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猫ニュー

※画像はアメリカのオフィシャル・サイトの壁紙です。

『ポビーとディンガン』

2005-10-19 00:23:51 | 新作映画
-----このチラシに
「この物語は、21世紀の"星の王子さま"だ。」って書いてあるね」
「うん。それはシドニー・タイムズ誌のレビューだね。
『星の王子さま』ではキツネが
『いちばん大切なものは目に見えない』と言うけど、
この映画では妹ケリーアンが"目に見えない友だち"を信じているんだ」

----そうか、その友だちがポビーとディガンなんだね。
「物語の舞台はオパールの採掘地で知られるオーストラリアの田舎町。
アシュモルとケリーアン、ふたりの兄妹の両親も
運を試しにここへやってきた。
ケリーアンにはイマジナリーフレンド(空想上の友だち)
ポビーとディンガンがいる。
ある日、母親はケリーアンを連れて近くのパーティへ。
ケリーアンに本物の友だちを作ってもらいたい父親とアシュモルは
ポビーとディンガンが見えている振りをして一緒に採掘場へ。
ところが戻ってくると、
ケリーアンはポビーとディンガンがいないと騒ぎ始める。
仕方なく夜の採掘場へふたりを探しに戻った父親は泥棒と決めつけられ
警察に突き出されてしまう。
そんな中、ケリーアンは体調を崩して、日に日に弱っていく。
これはポビーとディンガンがいなくなったからではないか・・・。
そう思ったアシュモルはふたりを探し始める・・・というお話だ」

----そうか、家族はその想像上の友だちを信じ始めるんだ。
すてきなお話だね。原作とかあるの?
「うん。ベン・ライスという人の小説『ポビーとディンガン』。
彼の当時の恋人モリーが子供の頃に
空想の友だちと遊んでいたという思い出が基になっているんだって。
日本だけで10万部以上売り上げているらしい」

----でも、こういうベストセラー文学って映画として語りにくくない?
「そうでもないよ。
監督が『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ。
2作品の共通点とかが読み取れてなかなかオモシロかったよ」

----たとえばどういうところ?
「父親が、夢はあるんだけどどこか情けない。
現実としての生活力に欠けている。
でも、それでも息子は父親を愛していていて、
まるで庇護するかのように見守っているところがある。
この映画でも、父親の行動にあきれ果てた母親が
複雑な思いで自分の昔の恋人の写真を見ていると、
その男はダメだ。自分はこの名前に生まれてよかったと、
親を叱咤するような言葉をアシュモルが吐く。
苦境に立ち心が揺らぐ大人より、よっぽどしっかりしている」

----ニャるほどね。
「この映画ではその純粋な思いと夢がある奇跡を起すんだけど、
そのシーンは『フィールド・オブ・ドリームス』を思い出したな」

----「それをすれば、彼はやってくる」か。
ニャんだろう。少し楽しみだな。
      (byえいwithフォーン)

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猫ニュー

『東京ゾンビ』

2005-10-17 22:08:55 | 新作映画
※ちょっとだけ結末に触れる部分もあります。取り扱い注意かな。

----この映画はタイトルどおり東京にゾンビが出ると思っていいの?
それとも何かの比喩なの? 
「タイトルどおりだよ。
ガロ系漫画家・花くまゆうさくの同名漫画を映画化したものだ。
しかも主演が浅野忠信に哀川翔というから、
好きな人にはたまらないだろうね」

----で、彼らがゾンビに襲われるわけ?それとも戦うわけ?
「そうだね。簡単にあらましを説明すると…。
ちょっと未来の東京。
町の片隅にある消火器工場に働くフジオとミツオ。
毎日柔術の練習に明け暮れるふたりの前に、
産業廃棄物のゴミ山“黒富士”からゾンビが現れる。
最強の男になるという夢を叶えてロシアを目指すふたりを
増殖を続けるゾンビが襲う…。
これが映画の前半だね」

----前半?と言うことは後半はまったく違う展開になるわけ。
「うん。原作ものだから喋ってもいいと思うけど、
ミツオはゾンビに噛まれ、川の中へ。
残ったフジオは後を追うが、彼はカナヅチ。
ヤバい!…というところで5年の月日が流れる…。
壊滅した東京の中、生き残った金持ちたちは
高い城壁で守られたマンションの中で暮らし、
貧乏人を奴隷として働かせていた。
そんな金持ちたちの唯一の娯楽は、ゾンビと人間を戦わせるゾンビファイト。
フジオはそんなゾンビファイターとして活躍。
だが、その前に最強のゾンビが現れる…という話だ」

----ニャるほど、普通のゾンビ・ホラーじゃないところがミソだね。
ところで、どっちがどっちの役を演じるの?
「フジオ役に浅野忠信、ミツオ役に哀川翔。
哀川翔はつるっぱげのメイクなんだけど、
あらかじめ知らなければ、ちょっと気づかないかも。
こんな役も演れるんだって、改めて感心したね」

----話を聞いてると、残酷な感じだけど?
「ゾンビは脳を破壊しない限り活動を続けるからね。
頭がポンポンぶっ飛ぶ。血糊もけっこう出るし、
その手の描写に弱い人にはキツい、はずだけど…」

-----はずだけど…、ということは違うの?
「いやキツいことはキツい。
ただね、全体的に漫画的な誇張描写が多く、
残酷シーンもブラックな笑いに転化している。
そのため残酷なあまり目を瞑ってしまう…というほどではない」

-----あまりリアルじゃないんだ?
「そうだね。
SFXも、ゾンビの造型、コロシアムの壁など、
いまの日本映画の水準からすると、
もっとリアルにできるはずと思うけど、
これらは、あえてチープにしている感がある」

-----それって、あえてなの?
「だと思うよ。
荒廃した東京の街はもちろんのこと、
この映画のCGのレベルはかなり高いしね」

-----そう言えば、思わず笑ったんだって?
「原作ありきの映画だから、喋ってもいいと思うけど、
この映画最大の驚きは、
“理性を持ったゾンビ”が出てくること。
でもそのワケは?
いやあ、これは受けたね」

-----なによなによ?
「ヒントは入れ歯」
-----なんだそれ?
      (byえいwithフォーン)

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『イントゥ・ザ・ブルー』

2005-10-16 01:07:38 | 新作映画
-----ジェシカ・アルパ、これで今年の日本公開3本目だね。
「うん。今回の映画はそのほとんどが海、しかも海中で起こる物語だけに、
彼女はずっとビキニ。
露出度も高く、ファンは大満足だろうね」

----そうか、タイトルの意味もそこにあるわけだ。
ところでこの映画は青春映画なの?
いまいち、よく分からないんだけど・・・。
「簡単に言えば<南海映画>」
----えっ?難解?
「そうじゃなくて、南の海の映画。
海洋アドベンチャーと言うよりもその言葉の方が雰囲気を出している。
舞台はバハマのニュー・プロヴィデンス島。
ダイビングのインストラクターをしている
ジャレッド(ポール・ウォーカー)は、
ガールフレンドのサム(ジェシカ・アルバ)や、
幼なじみのブライス(スコット・カーン)、
その新しいガールフレンド、アマンダ(アシュレー・スコット)と
ダイビングをしているときに、
何百万ドルもの金塊を積んでいると噂される伝説の沈没船を発見。
ところがすぐそばに墜落した麻薬密輸飛行機が
横たわっていたことからさまざまな欲望が交錯し、
事態は思わぬ方向へと進んでゆく」

----分かりやすい話だね。
「そうなんだね。
この映画は一昔前で言えば、
名画座なんかで2本立てで観るのにいい感じ。
難しいこと考えずに、
どこまでも透き通った海の中での、手に汗握る冒険を楽しめる。
映画ならではの恋と夢と冒険、そのスリルってやつだ。
話はご都合主義極まれりで、
ちょっと間違えれば全員死んでるはずなのに、
巧く危機を切り抜けちゃう。
途中、おバカなアマンダのせいで、
とんでもない事態を招くところも
一昔前のハリウッド映画の設定。
先日、ある人から「暗くなるまで待てない」の掲示板
<どうしていつも、「バカな役回り」は「女」なんでしょう?>
< 映画の世界って、なんかあまりにも
「女は胸がでかくて、バカがいい!」がまかり通りすぎている気がするんですよね。>
という書き込みをもらったんだけど、
まさしくこの映画はその典型。
ただ、後でブライスもバカなこと連発するけどね。
でも、結局はこのアマンダに引きずられた結果という感もあるしなあ」

----そう言えばサメも出てくるんだよね。
「そう。そのサメがうようよ泳いでいるそばで金塊引き上げの作業をするんだけど、
先ほども話した海中の透明度が信じられないほど高く、
最初はプールでの撮影かと思ったくらい。
エンド・クレジットに海洋写真家タルボットの名もあったけど、
プレスにはどこにも触れられていなかった。
あっ、また最後になったけど、
主演のポール・ウォーカーって、キアヌ・リーヴスをワイルドにした感じ。
この映画にあってたと思うよ」

      (byえいwithフォーン)

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『少林キョンシー』

2005-10-14 23:20:21 | 新作映画
----あちゃ~っ。ついに出るべくして出たという感じだね。
こんなビッグなキャラクターを香港映画界が放っておくはずはない。 
「うん。ただね、ぼくは映画中心だからすっかり忘れていたけど、
80年代にキョンシー・ブームを作ったのは映画の『霊幻道士』シリーズと言うよりも、
それを受けて作られた台湾の『幽幻道士』(ビデオ発売)。
テレビ放映で人気が出て30分のシリーズ番組にもなった。
でも今回は本家の香港版。
伝統のワイヤー・ワークにデジタルSFXが組み合わされ、
派手な戦いが展開する」

----でもキョンシーは道士が操るんだよね。
それだと戦いにならない気がするけど…(笑)。
「簡単に言えば、
かつて大軍を率いた将軍の霊が甦るんだね。
で、このキョンシー大魔王と白道士が戦うわけだ。
もともとキョンシーと言うのは、
恨みを持って死んだり、間違った埋葬法で成仏できなかった死体が甦ったもの。
今回は、そんなキョンシーたちが操られて沸いたようにたくさん出てくる。
その数はハンパではない。おそらくキョンシー映画史上最多だろうね」

----ちょ、ちょっと待った! 白道士というからには、
他の道士もいるってこと?
「正解。黒道士ね。
ふたりは、かつて共に同じ師の下で道教の教えを学んでいたものの、
実の父親である師が
弟弟子の白道士を一門の後継者に選んだことから黒道士が激怒。
道中も、ふたりはことごとくぶつかりあい、
最後には、黒道士はキョンシー大魔王に体を乗っ取られてしまう。
ここに白道士と黒道士、それぞれの弟子の恋も絡んでくる」

----ふむふむ。それも見どころの一つなんだね。
「後は、ゾンビかな?」
----えっ、ゾンビ?
「うん。これも香港映画のパターンと言えばパターンなんだけど、
必ずと言っていいくらい戦いは“飯店”で行われる。
途中、一行が立ち寄った飯店はゾンビの巣窟、死霊飯店だったわけだ」

-----死霊飯店。怖いと言うより笑えそう。
「笑えると言えば。ゾンビの魂を封じ込めた卵を
幼い弟子が飲み込み、おなかがどんどん大きくなって、
ついにトイレで産んでしまうと言うハチャメチャなシーンがある。
これが白塗りで弟子と同じくらい大きく、
『ママ、ママ』と甘えてくるんだ」

----気持ち悪そう。
「話を本筋に戻して、
クライマックスではその戦いが宇宙規模に広がって決着がつく。
三池崇史『DEAD OR ALIVE 犯罪者』の線を考えると分かりやすいかも。
そうそう、本作は本国や欧米での公開より28分長い、
世界<初>のオリジナル完全版。
あっ忘れていたけど、
主演は『キル・ビル』で世界的になったゴードン・リュウだ」

----どう、反応していいのやら(笑)      (byえいwithフォーン)

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猫ニュー


『秘密のかけら』

2005-10-13 21:54:57 | 新作映画
----ねえねえ、最近少し喋りすぎてニャい?
ぼくはいいけど、みんな疲れて飽きちゃうかもよ。 
「結局はまとめるのが下手なんだね。
あれも言いたい、これも言いたいになってしまう。
じゃあ、今日の映画はサクッといくかな」

----おやおや。それは単に話すのが難しい映画だからじゃニャいの(笑)。
「イヤミと言うべきか、鋭いと言うべきか(笑)。
これは『スウィート ヒアアフター』でぼくもスゴくショックを受けた
アトム・エゴヤン監督の新作。
あの映画は
あるバス転落事故で多くの犠牲者を生んだ町を舞台に、
ヴェールを剥がしてゆくように、
いくつかのエピソードが重層的に語られ、
その町の裏に隠された秘密が明らかになっていくところが
蠱惑的な映像で描かれ、ぼく好みの映画になっていた」

----と言うことは、今回もその延長線上の映画なんだ…。
「物語を要約すると、こうなる。
1972年、ロサンゼルス。
女性ジャーナリスト、カレン(アリソン・ローマン)は、
50年代に人気絶頂だったラニー(ケヴィン・ベーコン)と
ヴィンス(コリン・ファース)のデュオを取材しようとする。
ふたりは、ある女性の変死事件がきっかけでコンビを解消。
カレンは、その秘密を暴くことで
自分の名声を獲得しようという野心を持っていたわけだ」

----ニャるほど。映画は二つの時代を行き来するんだね。
「そう。それによって観客は
50年代と70年代、ふたつの時代の空気感の違いが楽しめる。
しかもカレンの取材と、カレンの元にどこからか送られてくる
ラニー自ら執筆した手記など、
いくつかの異なる視点から描かれていて、
観る方は翻弄されっぱなし。
しかも、カレンは取材のため、
ラニーの前で自分を別の人物と偽ったりもしているため、
よく集中して観ていないと、頭がこんがらがってくる」

----それでも最後まで観られたということは、
映画に相応の吸引力はあったということだね。
「うん。そこがエゴヤン映画のオモシロさだろうね。
死体を最初に映し出す時なんか、ゆったりとしたキャメラ移動。
ヒッチコックの後継者か…と言われていた頃の
ブライアン・デ・パルマを思い出したよ」

----うわあ。それは楽しみだ。
でも、それだと、けっこうHなシーンもあったでしょ。
「そうなんだね。蠱惑的と言ったけど、悪魔的と言った方がいいかも。
一つのレズシーンも含めて、3つのベッドシーンと
4人の女性のヌードが出てくる。
しかもそれぞれ趣向を凝らしてね」

----なになに、それ?
「(笑)さすがにそれは言えないよ。
でも一つだけ教えると
“不思議の国のアリス”とカレンのレズシーン。
これはスゴい発想だったね。
音楽もブラッド・スウェット&ティアーズや
ジェファーソン・エアプレーン、サンタナなど
70年代ロック満載で、ドラッグの匂いもぷんぷん。
アリスがジェファーソン・エアプレーンの
『ホワイト・ラビット』を歌うなんていかにも70年代的。
あっ、またまたケヴィン・ベーコンがキュートな(笑)お尻を見せるよ。
そして、なんとコリン・ファースもね(笑)」

----ニャんで笑っているの、気になるなあ。
ねえねえ、これってミステリーなんでしょ?
結果、どうニャるの?ねえってば……。

      (byえいwithフォーン)

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『カーテンコール』

2005-10-12 19:52:46 | 新作映画
----これって映画黄金期の頃にいたと言われる幕間芸人の話でしょ?
またまた、泣いたんじゃニャいの? 
「ぼくもそう覚悟していたんだけど、
涙腺が緩みはしても涙がこぼれるまでにはいかなかったな」

----おやおや意外だニャ。涙もろいはずなのに。
「それはおそらくこの映画が、
いろんなテーマを詰め込みすぎていたからじゃないかな。
想像していたのとはかなり違ったしね」

----じゃあ、エピソードも多いんだ?
「そういうわけでもないんだけどね。
主人公は、東京の出版社で働く契約社員・橋本香織(伊藤歩)。
清純派女優のスキャンダルのスクープに成功し、
正社員確実との喜びもつかの間、
写真を撮られた女優が自殺未遂を起こし、
彼女は福岡のタウン誌に異動を命じられる。
そこでの香織の仕事は読者の投稿ハガキを元にした取材。
その中の一通のハガキに目を留めた彼女は、
昭和30年代終わりから昭和40年代中頃まで
下関の映画館にいたという幕間芸人を探す…というお話だ」

----あれっ、シンプルじゃニャい。どこが詰め込みすぎなの?
「香織は自分の出身地でもある下関の映画館<みなと劇場>を取材。
そこでモギリの女性・宮部絹代(藤村志保)に、
その芸人が安川修平(藤井隆)であるということを聞かされる。
この回想シーンはモノクロで、
映画黄金期時代から斜陽までが
当時の映画とともに綴られるわけだけど、
ここは藤井隆の明るい笑顔が時代の空気を巧く出していたね」

----へぇ~っ、藤井隆かあ。
それでどんな映画が出てくるの?
「『いつでも夢を』『網走番外地』『下町の太陽』『座頭市物語』など、
日活、松竹、東映、大映のプログラムピクチャーが次々出てくるから、
これはファンにはたまらない」

----あれっ、東宝がないね?
「ないね。なぜだろう?
ま、そこは深く追及しないことにして、
幕間ではこれらの主題歌がふんだんに聞けて、
あの時代を鮮やかに甦らせてくれる。
ところがこの後、香織が修平の行方を探す過程で、
仕事がなくなった修平が、
生活苦から置き去りにしてしまった長女・美里が出てくることで、
物語は思わぬ方向へ向かってゆく。
ネタバレ程度にならない程度に喋れば、
<在日問題><父と子の絆>などが語られるわけだ。
ここに香織自身の父との関係性の修復まで描かれる」

----そう言えば『チルソクの夏』にも韓国が出てきたよね。
「監督の佐々部清が下関出身ということも大きいようだね。
実際にこの映画でも
下関では韓国がどのように見られるか…ということが言及されていた」

----『四日間の奇蹟』も下関だった。
「うん。彼のように自分の生地にこだわった作品を撮り続ける監督って
意外と少ないから、これは貴重だと思う。
その土地の出身者ならではのロケハンも映画に生かすことができるしね。
でもその広がりによって、
逆に<映画>というモチーフから離れていったのが個人的には残念だ」

----現代の修平を演じているのは?
「井上堯之。
若い頃の修平に比べてギターが巧くなりすぎてるのは、
これは仕方ないよね。
あと細かいこと言えば映写技師が映写室でタバコ喫っていたけど、
これはどうだろう?
あの時代のフィルムって燃えやすいはずだから
映写室でのタバコは御法度だと思うけど…」

----えいは、実際に<幕間芸人>を観たことあるの?
「ない……と言うか、観られなかった。
しかもそのおかげで映画そのものも観られなくなった」

----どういうこと?
「ぼくが通っていたその映画館では、なんと幕間にストリップを始めたんだね。
映画館に人が来なくなったための苦肉の策だったんだろうけど、
ぼくら子供は映画館に行けなくなって寂しい思いをしたもんだ」

----その映画館、どうなったの?
「それは言わないでも分かるでしょ?」
      (byえいwithフォーン)

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※原案はかつて狂映舎で大屋龍二、石井聰亙と共に活躍した秋田光彦。懐かしいです。

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