ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『2013 フォーンと“天国にいちばん近い島”で観るならこの映画』(年間ベスト)

2013-12-30 23:17:23 | 新作映画
----あれれ、今年は“無人島”じゃないんだ。
「うん。
2013年、最大のできごとはフォーンが天国に旅立ったこと。
幸いに、こうやって時空を超えてお話しているけど、
それはあくまでウェブでのお話。
やはり、どこかで会いたいなと…。
そう考えていたら、この島、
天国にいちばん近い島”かなと…」

----このお正月は、
そこで一緒に映画を見ようってワケだニャ。
変なのを選ばニャいでよ。
「もちろん。
観ているのがつらくなるようなヘビーな作品は、
それが映画として“意味ある”ものでも
あえてはずしてある」

----たとえば?
「そうだね。
『ぼっちゃん』だとか『日本の悲劇』だとか。
あと『共喰い』 なんかもベスト1級に好きだけど、
お正月にフォーンと一緒に南の島で観るにはふさわしくないからカット。

ということで、今年の初めから順番に振り返ってみようか?
●1日目●『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』
これは外せないね。もとより3Dが苦手なぼくに、
SFとは別の方向性を指し示してくれた。
水面を蒼く光らせるクラゲの大群、蒼いクジラの親子…。
生死の境でギリギリの闘いを続けている者に、
神がそっと見せてくれた大自然の神秘。
その幻想的な時間は、
これなら漂流してもいいかもと、
とんでもない錯覚に襲わせてくれた。
それだけで十分だね。
●2日目●『横道世之介』
今年の日本映画のベストを選べと言われたら、
ぼくはこの作品か『共喰い』 だな。
自分の生きてきた人生のどこかにいたような、ごく普通の人の、なんてことのない日常。
でも、それが心をじわ~っと、甘酸っぱく懐かしく、
そして幸せな気持ちでいっぱいに満たしてくれる。
思うにそれは、この時代が、
普通に生きることさえ難しくなってきているからなんだな。
その意味ではこれは
映画という形で今の社会にもの申している作品でもあるんだ。
声高らかに主張を叫ばずとも内なるメッセージは伝えられる。
そのことを実証したのがこの『横道世之介』なんだ。
●3日目●『王になった男』
これはイ・ビョンホンの演技を楽しむ映画。
そっくりな顔立ちと言うだけで、
意識不明に陥った王の影武者を務めることになった道化。
それまで政治とはとんと無縁だった彼が今の政治の在り方に疑問を抱き、
自分の意志で政治に関わっていく。
しかし、それは彼を影武者としての役割しか望まない周囲にとっては余計なこと。
王の政敵は元より、意識を取り戻した王も、彼の命を狙い始める。
果たしてその運命は?
映画ならではの高揚と感動に縁取られたこのラストは
今年屈指の感動だったね。
●4日目●『ジャンゴ・繋がれざる者』
ここからはちょっとはしょって…。
これは、マカロニウエスタン好きにはたまらない一本。
冒頭から『続荒野の用心棒』へのオマージュが炸裂。
●5日目●『キャビン』
ホラーからはこの作品を。
とにかくキャッチコピーがうまい。
『あなたの想像力なんて、たかが知れている』
『死霊のはらわた』、そして『CUBE・キューブ』と、
過去の名作ホラーをなぞるかに見えて、
まったく違う方向へと映画は走りだしていく。
いったい今、何が起こり始めているのか?
次々に飛び出すクリーチャーに口をあんぐりしているうちに、
とんでもないとどめの一発が…。
この衝撃は漫画『幻魔大戦』連載最終回の衝撃に並ぶ。
●6日目●シュワルツェネッガー『ラストスタンド』
マカロニウエスタンを現代の甦らせたのが『ジャンゴ』だとしたら、
この映画は
往年のハリウッド西部劇を
シュワルツェネッガーという、今や伝説の域に入ろうとしている大スターで楽しもうという作品。
それだけに、ここには昨今流行りのブンブン振り回すカメラもなければ、
めまぐるしい編集も耳をつんざく効果音もない。
そう、監督がシュワルツェネッガーの存在に映画を任せているんだ。
なんという潔さ!
いとおしく、そして胸のすく映画だったね。
●7日目●『シュガー・ラッシュ
これも泣ける映画だったな。
タイムリミットサスペンス、ヒューマンドラマ、ラブストーリー…。
そこにカーレース、プリンセス・ストーリーなど、
ディズニーの得意とするモチーフもいれ込んでいく。
それぞれに解像度が違うゲームが入り乱れるという“絵”のオモシロさも忘れ難い。
●8日目●『華麗なるギャツビー』
リメイクからはこの一本。
これも3Dの新しい魅力を見せてくれた。
狂乱のパーティもさることながら、
観る人の網膜に余韻を残すラストカットが秀逸。
なんと監督バズ・ラーマンは光と闇だけでその<余韻>を創りだしている。
ゾクゾクするエンディングだったね。
●9日目●『パシフィック・リム』
これは、みんなが大絶賛!
あえてぼくが言う必要もないだろう。
個人的には、平成ゴジラ以前の東宝特撮映画、
なかでも『フランケンシュタイン対地底怪獣』
そして『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』が持っていたホラー・テイストが織り込まれていたことが嬉しかった。
平成ゴジラ以降はクリアすぎて、返ってしらけちゃっていただけにね。
●10日目●『パッション』
双子、シャワー、マスク、鬘、殺人、悪夢、覗き、ベッド、ナイフ…。
ここには、ブライアン・デ・パルマ監督の初期作品を形作っていたモチーフがいっぱい。
サスペンス・スリラーとも言えるし、サイコ・ミステリーとも言える。
その映像ギミックやオチも含めて、
自作の焼き直しにすぎないと見る向きもあるだろうが、
ファンにとっては些細なこと、
いや、むしろ歓迎すべきことかも。
●11日目●『42 世界を変えた男』
『相手の低いレベルに自分を落とすな』。
『好かれなくてもいい。敬意もいらない。でも自分には負けたくない』。
『必要なのは――“やり返さない勇気”を持つことだ』
今年、もっとも涙を流した映画がこれ。
●12日目●『鑑定士と顔のない依頼人』
この映画は、監督の語り口を愉しむ作品。
あとで考えたら、よくあるオチ。
でも観ている間にはそのことに気づかせずに、
ただ、ことの成り行きが気になってしまう。
モリコーネの音楽も
あ~、映画を見ているなっていう
少し懐かしい雰囲気に浸らせてくれた。
●13日目●『陽だまりの彼女』
これは今年のスペシャル枠。
映画の出来不出来以前に、
その設定が泣かせる。
特にフォーンが旅立ったこの年はね。
●14日目●『ペコロスの母に会いに行く』
「記憶は愛である」と言う森崎東監督、
ベストセラーのマンガを原作としながら、
自らが映画の中で追求してきたテーマの延長線上に位置する
“作家の映画”へと仕上げて見せた。
クライマックスでは現実と記憶が邂逅――。
これを映画と言わずして何を映画と言おう
後に、テレビで森崎東監督自身が認知症に冒されながら、
この作品を取り上げたと知り、さらにビックリした作品。

ということで、この映画の中のセリフを今年の。締めに
『生きとかんば。何が何でも生きとかんばならん』――」

----そう言われても、フォーンは雲の上だしニャあ。


フォーンの一言「もう少し寝ると、新しい年なのニャ」
もう寝る

※そのほかにも忘れられない作品がいっぱい…。
『はじまりのみち』
『箱入り息子の恋』
『さよなら渓谷』
『みなさん、さようなら』
『麦子さんと』
『舟を編む』
『あの頃、君を追いかけた』
『ウルヴァリン: SAMURAI』
『マーサ、あるいはマーシー・メイ』 etc…

※2012年の五つ星だ度


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『ラヴレース』

2013-12-27 19:55:27 | 新作映画
(原題:Lovelace)




「これはちょっとフォーン相手には喋りづらい映画なので、
さらっと、独り言で。
この映画のモデルとなっているリンダ・ラヴレースアマンダ・セイフライド)というのは、
70年代に一世を風靡したポルノ女優の名前。
『ディープ・スロート』という映画が大ヒット。
映画の中で大胆な “秘技”を披露したラヴレースだったが、
その後は一本も出ないまま映画界から姿を消した。
しかし、そのインパクトはあまりにも強く、
この映画にちなんで
ウォーターゲート事件ではワシントン・ポストへ情報提供を行ったとされる人物の名として登場。
さらにはTVシリーズ『X-ファイル』でも同じく情報を提供する内部告発者のコードネームとして使われた。
と、話は横道にそれたが、
今回、映画『ラヴレース』の中で描かれているのは、
そのリンダ・ラヴグレースが著した自伝を基にしたもの。
そこでは彼女がポルノ映画に出ることになった背景が描かれている。
それは今で言うところのドメスティック・バイオレンス。
リンダが信仰深い母(シャロン・ストーン)の支配下で
うんざりしていることを見抜いたチャック(ピーター・サースガード)が、
彼女を家から引き離し、さらにはセックスの快楽を教えていく。
まあ、ここまで聞けば、
どろどろの肉欲ドラマを想定しがちだが、
主演が、いまをときめく『レ・ミゼラブル』のアマンダ・セイフライドということもあり、
そうはならないところがミソ。
じゃあ、だからと言って『エマニエル夫人』のようなファッショナブルな作品かと言えば、
DVが背景に横たわっているだけに、こちらもそうはならない」

----じゃあ、どこニャのよ。
見どころは?
「あらら、フォーン聞いていたの?」
----もう。
フォーンはもう子供じゃニャいの。
それに天国にいるんだから、
全部“尾美としのり
「またまた、だれも知らないような古いギャグを…。
う~ん。この映画の魅力はね、
オールスター・ムービーってことかな?」

----えっ。
他に誰が出ているの?
雑誌『プレイボーイ』の編集者ヒュー・ヘフナーにジェームズ・フランコ
ラヴレースの父親にロバート・パトリック
さらにはクロエ・セヴィニー、ハンク・アザリア、エリック・ロバーツ」

----ほんとだ。
個性派ばかり。
「でも、
その中でもっとも目を引くのは、
やはりピーター・サースガード
『17歳の肖像』のとき同様に、
自分が世間からは遊離していると思い込んでいる若い女の子を手篭めにしちゃう。
彼は、自分の得意とするキャラを手にしたって感じだね」

----あの眠そうな目に女の子はコロリといっちゃうのかな?
えいには、到底できない技。
でも、猫に好かれるから、まあいいか…。
「mmmmm……」


フォーンの一言「もっとどぎついかと思ったいたらしいのニャ」身を乗り出す

※70年代ファッションが懐かしい度

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画像はポスターより。

『ドラッグ・ウォー 毒戦』

2013-12-22 18:19:57 | 新作映画
(原題:毒戦)



----う~ん。
またまた日があいてしまったニャあ。
映画の喋り方、忘れたんじゃニャいの?
「もう言うなあ、フォーンも。
あまりにも忙しくて
なかなかブログにまで手が回らなかったんだ。、
少し多めに見て…。
でもそれでもこれだけは喋っておきたいというのが
年末になっていくつか出てきて…」

----そのひとつが
この『ドラッグ・ウォー 毒戦』ってワケだニャ。
確か、監督がジョニー・トー
「そう。
この監督、実に多作で、
作品によっては自分と合わないものもあるんだけど、
これは、もうフルスロットル。まったく出し惜しみしていない」

----タイトルからすると、
麻薬を扱った話?
「さすがフォーン。
アメリカでは『「フレンチ・コネクション」の進化形』なんて評も出ているんだ。
物語は、ジャンを中心とする中国公安警察の麻薬捜査官チームが、
組織の大物相手に立ち向かう…というきわめてシンプルなものなんだけど、
そのストーリーの中に、
ひねったアイデアと
しつこいまでのアクションを投入

その両輪で観る者をスクリーンの中に叩き込んでいくんだ」

----じゃあ、まずはその
ひねったアイデアというのについて教えてよ。
「そうだね。
冒頭のエピソードは、
爆発事故に遭ったコカイン製造工場から車で逃亡した
香港出身のテンミン(ルイス・クー)が衝突事故を起こし、
病院に担ぎ込まれるというもの。
ジャンは、テンミンが麻薬取引に大きく関わっていると察し、
死刑と引き換えに彼に捜査協力を要請する。
中国本土では、
香港とは比較にならないほど
麻薬の罪が大きいんだ。
誰だって自分の命は惜しい。
ジャンは仲間を裏切り、
組織の大物相手に架空取引を仕掛けるが…。
さて、ここが第一の見どころ。
ジャンは、まず黒社会の大物チェンビャオになりすまし、
取引相手のハハに会う。
そこでハハの特徴を掴んだジャンは、
今度はハハになりすましてチェンビャオに会うんだ」

----『』を思い出すニャあ。
「もしかして
ジョニー・トーの頭にはあの映画があったのかもね。
ただ、キャラ的にはこっちの方が濃い。
物語上の必然性から生まれるスン・ホンレイの一人三役演技
これを観るだけで十分お釣りがくる。
なかでもハハ(実はジャン)が
チェンビャオからその場での麻薬吸引を要求されるシーンは見モノ。
ジャンは疑われないようにやむなく吸引、
急性麻薬中毒に陥ってしまう」

----ニャあるほど。それって
『フレンチ・コネクション2』
監禁されて麻薬中毒にされたポパイ刑事だ。
「だよね。
さて、この大筋と並列して
テンミンの手下のエピソードが語られる。
それが、原材料を積んで指示を待つトラックのふたりだったり、
工場で覚せい剤を生成する弟子だったり…。
前者がコメディリリーフとして使われるのに対し、
後者は情に厚い聾唖の兄弟。
ところが、この兄弟が強いなんてものじゃない。
とんでもない重火器を使用するんだ。
そんな中、真の黒幕7人衆が姿を現す…」

----おおっ。
でも、テンミンはほんとうに
警察側に寝返ったの?
「そこが捜査官の中でも
たびたび意見が割れるところ。
観ている方も、
それまで観てきた映画の記憶、
今回の映画の中の設定、
そしてルイス・クーの演技から
彼の真意を読むことが要求される。
そして訪れる、
クライマックスのカーチェイス&銃撃戦。
もう、これがいつ終るのか、
果たしてだれが生き残るのか、
まったく先が読めない。
これは、観ている人ほとんどが唖然とするに違いないね」

----ふうん。
でも、ラストのエピソードが余計だとか言っていなかった?
「うん。
初めは確かにそう思ったんだけど、
次のエピソードを知ってなるほどと…。
実はこれは
ジョニー・トーが中国大陸で撮った初めての作品。
その間の苦労は、
それはもう大変だったらしい。
公安を扱っているだけに、
その当事者がきて、
不正確なことを言っていないか、
イメージを壊してはないかとか、
さらには、あまり死者が出てはいけないとか、
あまり銃を撃ってはいけないとか…。
その仲で彼が感じた“中国”。
それが一見蛇足にも見えるあのラストに繋がったんだろうな」

---ふうむ。
それってニャんだろう?
興味あるニャあ。



フォーンの一言「香港の暗黒街映画は韓国のそれとはまた違う味わいなのニャ」身を乗り出す

※ここまでオモシロさを追求してれば言うことはない度

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画像はアメリカのティーザーポスターより。

『新しき世界』

2013-12-15 22:46:21 | 新作映画
(英題:Next Entertainment World)


----『新しき世界』?
「新世界」ならドヴォルザークだけど…。
タイトルからすると、
もしかしてこれって文芸作?
「いやいや。
暗黒街映画
もっと言えば“潜入捜査官”モノだね。
プレスとかを見ると、
『インファナル・アフェア』が引き合いに出されているけど、
ぼくがこの映画で思い出したのは、
ハリウッド映画の『フェイク』

----『フェイク』って、
ジョニー・デップアル・パチーノが共演したヤツだよね。
「そう。
あの映画は、
そういう“潜入捜査”の話とは知らずに観たものだから、
正直、途中までよく分らなくて…。
ただ、いま振りかえると、
この『新しき世界』は、
その『フェイク』と構図がよく似ている」

----へぇ~っ。
ということは、
イ・ジョンジェが捜査官で
チェ・ミンシクが犯罪組織の兄貴分ってこと?
「いやいや、
チェ・ミンシクは
イ・ジョンジェ扮する警察官ジャソンを犯罪組織に潜入させた上司のカン課長。
ジャソンと固い絆で結ばれていくのは
組織No.2のチョン・チョン(ファン・ジョンミン)。
『フェイク』の場合、
アル・パチーノはそこまでの地位には登りつめていないから、
当然に、ここは描き方も違ってくる。
この『新しき世界』を映画としてオモシロくしているのは、
カン課長のキャラクター。
“組織の壊滅”という目的のためには手段を選ばず。
ある意味、全てのコマが使い捨て。
映画は、物語が進むにつれて、
ジャソンさえも知らなかった事実、
たとえば、別の警察官がやはり潜入していたことなどが分ってくる。
しかも、それを観客にさえも知らせないでいるため、
その事実はまさに衝撃」

----突然に明かされる真実。
観客も彼と一緒に驚愕するってわけだね。
でも、サスペンスの方法としては
少し安直な気がするニャあ。
「もちろん、サスペンスには、
観客にだけはあらかじめ事実を明かしておき、
それによって緊張を高めるという手法もある。
ただ、この映画の場合、
全てを知っているカン課長を徹底して非情な人間と描くことで、
ジャソンをどこまでも追いつめていくことができる」

----ニャんだか、ひどいニャあ?
「いやいや。
これはこの手のサスペンスとしてはもっとも効果的な方法。
分りやすく言えば、
この映画の<敵役>は、
チョン・チョンでもなければ、
彼と対立する他の幹部たちでもない。
カン課長その人

----う~ん。
じゃあ、結末が読めちゃうニャあ。
「さあ、どうかな。
潜入捜査モノにつきものの、
いつバレルかのハラハラドキドキもあるし、
これはなかなかのおススメ」

----監督は有名な人?
「監督としてよりも
脚本家としての彼の方が日本では名を知られている。
『悪魔を見た』『生き残るための3つの取引』のパク・フンジョン

----ニャるほど。
『悪魔を見た』もどっちが真の悪か、
よく分からなかったものニャあ


フォーンの一言「韓国の暗黒街モノをクールだニャ」身を乗り出す

※男の匂いプンプンだ度

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『ハンガー・ゲーム2』

2013-12-12 22:07:14 | 新作映画
(原題:THE HUNGER GAMES:CATCHING FIRE)




----ずいぶん間があいちゃったね。
忙しいのは分るけど、
そろそろ喋ってくれなくちゃ、
忘れられちゃうよ。
「そうなんだよね。
分っちゃいるんだけど…。
う~ん。どれから話そうかな。
そうだ『ハンガー・ゲーム2』

----それはまた予想外。
前作は観ているのに、
話してくれていないよね。
「うん。
前作はそれほどでもなかったんで、
今回も最初は観る気がなかったんだけど、
これがやたら評判いいもので…。
話そのものは単純なんだけどね。
いわゆる近未来のディストーピアもの」

----と、言われてもよく分かんないんだけど…。
「それではこの世界の設定を簡単におさらい…。
独裁国家パネム、
そこでは12の地区から選ばれた18歳までの男女ひと組が
最後のひとりになるまでて殺し合う“ハンガー・ゲーム”が開かれている。
前作で勝ち残ったのはカットニス(ジェニファー・ローレンス)と
ピーター(ジョシュ・ハッチャーソン)。
ふたりは、全国民注目のそのゲームを通じて
いつしか“反国家”の象徴に祭り上げられていた」

----そのふたりは実際にも恋人ニャの?
「いやいや、
そうじゃないところがひとつのミソ。
カットニスには恋人がいる。
しかし民衆の前では
あたかもピーターと恋人であるかのように振る舞っているんだ。
生き残るためにね。
ここについては前作を見てもらった方がいいかな」

----ふうん。
ピーターの方はどうニャのよ。
「そう、そこが問題。
ピーターは実はカットニスに気がある。
というわけで、
ここにひとつのドラマが生まれるんだけど、
まあ、今回の眼目はそこよりも、
またまた行なわれた新たなゲームの行方にある」

----えっ、
ふたりはまたゲームに参加するの?
「うん。
25年に一度の記念大会。
それは過去24年の優勝者を戦わせるというもの。
そこにまたまたカットニスが選ばれちゃうワケだ。
これは、
ふたりの人気が高まることで
国民の中で革命の気運が起こっていることを察した
スノー大統領(ドナルド・サザーランド)の目論見」

----ニャるほど。
そこで合法的にカットニスを殺しちゃおうということだニャ。
でも、彼らだけじゃなく、
他の優勝者たちもこれには頭にきそう。
「そう、そこなんだね、
この映画のポイントは…。
実は、途中、
何度も“あれっ?”と納得のいかない
他の参加者の行動が飛び出してくる。
ここでその動きはないんじゃないの?というヤツ。
今回は前作よりスケールがアップしたことが
もっとも強調されているけど、
個人的には、
胸の中に残る“?”、そのしこりのふくらみが
一気に瓦解するクライマックスこそが
この映画の“肝”と言えるだろうね。
実は、ラストの方で
それぞれの参加者の動きの意味が分からなくなり、
観ていて混乱に陥る。
ところが、そこにはとんでもない<真実>が隠されていたんだ」

----分った。だからツイッターで
『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』
引き合いに出していたワケだ。
「うん。
実を言うとぼくは
映画が終わって、
すぐに次が観たくなった。
もっと言えば、
なぜ、エンドクレジットの後に
『3』につながる何かを見せてくれないの?という
フラストレーションさえ起こった。。
もちろん、この
思わぬ真実の暴露>は原作がそうなっているからなんだろうけど、
やはりシナリオの方もよくできているんだろうね。
これ観て、次を観たくならない人はいるわけはないもの」

----おおっ。
そりゃまた、言うニャあ(笑)。



フォーンの一言「フィリップ・シーモア・ホフマンがいいらしいのニャ」身を乗り出す

※脚本は『フル・モンティ』『スラムドッグ$ミリオネア』などのサイモン・ボーフォイだ度

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『小さいおうち』

2013-12-01 23:14:42 | 新作映画

----『小さいおうち』--。
山田洋次監督が挑む、新しい世界”って、どういうこと?、
山田洋次監督の前作って『東京家族』
その前も
『母べえ』だの『おとうと』だのって
“家族”の話ばかりのような気がするけど…。
「う~ん。
ぼくも観る前まではそう思っていたんだけどね。
ところが、一方ではどこからともなく
山田洋次監督が描くメロドラマ”との話も」

----実際はどうだったの?
「うん。
“家族”は家族でも
ここで描かれるのはその“絆”ではなく“秘密”。
それも“家政婦は見た”じゃなかった“女中は見た”」

----うわっ。これってそんな下世話な話ニャの?
「いやいや、そう決めつけてはいけない。
それが純愛だろうと不倫だろうと、
“愛”は生きる上でその礎をなすもの。
それなしでは人生は無味乾燥となる。
ところが、そんなに重要なものでありながら、
それ(愛)はどこからともなく突然現れ、
そしてその中にいる人たちの理性を奪ってしまう。
この映画は、子どもへの慈愛に満ちた女主人・時子(松たか子)に訪れた恋の嵐。
その一部始終を、女中タキの目線で語っていく」

----そのタキを演じるのが黒木華ってわけだね。
あれれ、倍賞千恵子は?
「彼女が演じるのは、
老境で人生の晩年を迎えた、平成に生きるタキ。
この物語は、
青年・健史(妻夫木聡)に促されて
タキが書いた自叙伝に添って話が進むんだ」

----ニャるほど、そういうことか?
あの予告編のシーンは、昭和の頃の話ニャんだね。
「この物語、
実を言うと、そう珍しいものではない。
可愛くおしゃれな妻・時子(松たか子)が
夫・雅樹(片岡孝太郎)の部下・板倉(吉岡秀隆)の放つ
サラリーマンにはあらざる魅力に惹かれていく。
だが、それは出口のない恋。
時代が戦争へと向かう中、
やがて板倉には召集令状がくる。
明後日には出征というそのとき、
果たして時子は? そして板倉は?というもの」

----ほんとだ。
苦しい恋の背景に戦争というのも
よくある話だよね。
「うん。
戦争への道という非日常が正常な感覚を狂わせていく
しかもふたりが決定的に近づくのが台風の夜。
ぼくの子どもの頃、
それはこの時代よりだいぶ後だけど、
それでも父親はこの映画の板倉のように、
台風の前には雨戸に板を打ち付けて補強。
母親は停電に備えてロウソクを用意と、
なんだか不思議な高揚感があったのを覚えている。
“吊り橋”理論じゃないけど
そんなドキドキワクワクの夜には
恋も生まれやすいことは想像に難くない」

----ふむふむ。
でも、メロドラマはメロドラマでしょ?
「そうなんだけど、そうでもない(笑)。
この映画、小津安二郎風ショットの積み重ねで始まり、
次第に野村芳太郎調に。
と、一方では
その不倫をめぐるミステリーの形式で話が進みながら
ラストに至って
ある、とんでもないセリフが待ち構えている。
さすがにそのセリフをここで明かすわけにはいかないけど、
それこそが山田洋次監督がこの映画で言いたかったこと。
普通に聞いていれば、
そのセリフというのは
なんと言うことはない、
年老いた女性の嘆きなんだけど、
監督はあえて健史の口から
その意味が分からなかった』とダメを押す。
そうなると、その言葉の奥にあるものについて
思いが及ばないわけにはいかない。
これは、
あの“戦争に向かっていった時代”と“今の時代”を重ね合わせたセリフ
でも、漫然と見ていると気づかないかもね」

----へぇ~っ、そこまで言われると
フォーンも観たくなるニャあ。


フォーンの一言「う~む。みんなでその言葉の意味を考えるのニャ」身を乗り出す

※これは森崎東監督『ペコロスの母に会いに行く』と並んで
ぶれない作家、その魂ということについて考えさせる映画。
だけど、山田洋次監督のほうがシニカルだ度

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