(英語題=TIME)
「恐るべし、キム・ギドク」
----おっ、いきなりだニャ?
「最近の映画って、
みんなそれなりに巧くなっていて
ある程度のレベルまではいくんだけど、
『映画作家』と言う言葉が流行った60~70年代のような
超個性的な監督が少なくなっている。
でも彼は特別、今回のプレスを引用すれば『異常天才』。
しかも映画のキャッチコピー、
『唖然呆然!美しい!面白い!ひたすら、凄い!
これがスーパー・ギドク・ラブストーリー』を
まったく裏切ることはない」
----それはまたべたボメだニャ。
どんなラブストーリーなの?
「今や韓国では整形がブームを超えて
すっかり市民社会の中に根付いているよね。
ノムヒョン大統領さえも
瞼を一重から二重に整形したと言われている。
この映画は、そんな韓国社会を背景に物語が進められていく。
セヒ(パク・チョン)は恋人ジウ(ハ・ジョンウ)を愛するあまり、
周囲のことが見えなくなってくる。
彼が自分に飽きて他の女性に心変わりするのではないか…
毎日が不安でたまらない彼女はジウの前から突然姿を消す」
----えっ。なぜ?
「彼女自身、美女であるにもかかわらず、
まったく別の顔に整形してもらうわけだ。
そして手術跡が完治した6ヶ月後に彼の前に姿を現す」
----ちょ、ちょっと。
その6ヶ月の間、セヒは心配じゃないの?
だって、ジウは他の人と付き合ってしまうかもしれないよね。
「ジウはセヒを愛しているから
他の女性には目もくれず、
ひたすらセヒの失踪の謎について考える。
それでも友人が彼を慰めようとセッティングした合コンなどでは、
酒の勢いもあって相手とベッドイン寸前になったり、
その昔、好きだった女性から誘われたりする。
ところがそこにいつも邪魔が入る。
ここはサスペンスの常道的な描き方。
揺れる手持ちカメラ、しかもセヒの視線で
ジウと女性を映し出すんだ」
----ニャるほど。セヒがいつも見張っているんだね。
「ジウはかつてセヒと行ったペミクミ彫刻公演で
彼女との想い出に浸る。
と、そこで彼はマスクで顔を隠した謎の女性と出会う。
そして6ヶ月後、ジウの前に
今度はスェヒ(ソン・ヒョナ)と名乗る女性が媚を含んだ目で現れる。
もちろんふたりともセヒだけど、ジウには分かってはいない。
やがてジウはスェヒに惹かれ、
男と女の関係になる」
----ゴクっ。
「それはスェヒ=セヒの望んだこと。
だが、ここで彼女は悩み出す。
ジウはスェヒを愛し、セヒを忘れたのではないかと…。
そこでセヒの名前で手紙を彼に出すんだ。
それを見てセヒの元へ戻ろうとするジウ。
ところが、今度はスェヒの方の自分が納得いかなくなってくる」
----あらあら。こうなると
先がまったく読めなくなってくるね。
「うん。
この映画のオモシロさは
その奇想天外なストーリーもさることながら、
やはり話法に尽きると思う。
先ほどのサスペンスを盛り上げる写し方もさることながら、
この後の展開では
分裂を始めたスェヒ=セヒの内面を
社会からの孤絶感という形で描き出す」
----でも、スェヒがセヒであると言うことは
ジウには、いずれ分かるんでしょう?
「そう、
そこは最初のハイライトだけに
明かすわけにはいかないけど、
こんな<恐怖>の描き方もあったのかと思うほど怖かったね。
さて、その事実を知ったジウは<ある行動>に出る。
そこから始まるカタストロフィは、
もう圧巻の一言。
ヌーヴェルヴァーグを思わせる突然の終止符。
しかし、そこからギドクはまだ話を続けていく。
ラストを目撃したほとんどの人は
もう一度、最初から見直してみたくなること間違いないと思うよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「フォーンもびっくりニャ」
※異常天才だ度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
「恐るべし、キム・ギドク」
----おっ、いきなりだニャ?
「最近の映画って、
みんなそれなりに巧くなっていて
ある程度のレベルまではいくんだけど、
『映画作家』と言う言葉が流行った60~70年代のような
超個性的な監督が少なくなっている。
でも彼は特別、今回のプレスを引用すれば『異常天才』。
しかも映画のキャッチコピー、
『唖然呆然!美しい!面白い!ひたすら、凄い!
これがスーパー・ギドク・ラブストーリー』を
まったく裏切ることはない」
----それはまたべたボメだニャ。
どんなラブストーリーなの?
「今や韓国では整形がブームを超えて
すっかり市民社会の中に根付いているよね。
ノムヒョン大統領さえも
瞼を一重から二重に整形したと言われている。
この映画は、そんな韓国社会を背景に物語が進められていく。
セヒ(パク・チョン)は恋人ジウ(ハ・ジョンウ)を愛するあまり、
周囲のことが見えなくなってくる。
彼が自分に飽きて他の女性に心変わりするのではないか…
毎日が不安でたまらない彼女はジウの前から突然姿を消す」
----えっ。なぜ?
「彼女自身、美女であるにもかかわらず、
まったく別の顔に整形してもらうわけだ。
そして手術跡が完治した6ヶ月後に彼の前に姿を現す」
----ちょ、ちょっと。
その6ヶ月の間、セヒは心配じゃないの?
だって、ジウは他の人と付き合ってしまうかもしれないよね。
「ジウはセヒを愛しているから
他の女性には目もくれず、
ひたすらセヒの失踪の謎について考える。
それでも友人が彼を慰めようとセッティングした合コンなどでは、
酒の勢いもあって相手とベッドイン寸前になったり、
その昔、好きだった女性から誘われたりする。
ところがそこにいつも邪魔が入る。
ここはサスペンスの常道的な描き方。
揺れる手持ちカメラ、しかもセヒの視線で
ジウと女性を映し出すんだ」
----ニャるほど。セヒがいつも見張っているんだね。
「ジウはかつてセヒと行ったペミクミ彫刻公演で
彼女との想い出に浸る。
と、そこで彼はマスクで顔を隠した謎の女性と出会う。
そして6ヶ月後、ジウの前に
今度はスェヒ(ソン・ヒョナ)と名乗る女性が媚を含んだ目で現れる。
もちろんふたりともセヒだけど、ジウには分かってはいない。
やがてジウはスェヒに惹かれ、
男と女の関係になる」
----ゴクっ。
「それはスェヒ=セヒの望んだこと。
だが、ここで彼女は悩み出す。
ジウはスェヒを愛し、セヒを忘れたのではないかと…。
そこでセヒの名前で手紙を彼に出すんだ。
それを見てセヒの元へ戻ろうとするジウ。
ところが、今度はスェヒの方の自分が納得いかなくなってくる」
----あらあら。こうなると
先がまったく読めなくなってくるね。
「うん。
この映画のオモシロさは
その奇想天外なストーリーもさることながら、
やはり話法に尽きると思う。
先ほどのサスペンスを盛り上げる写し方もさることながら、
この後の展開では
分裂を始めたスェヒ=セヒの内面を
社会からの孤絶感という形で描き出す」
----でも、スェヒがセヒであると言うことは
ジウには、いずれ分かるんでしょう?
「そう、
そこは最初のハイライトだけに
明かすわけにはいかないけど、
こんな<恐怖>の描き方もあったのかと思うほど怖かったね。
さて、その事実を知ったジウは<ある行動>に出る。
そこから始まるカタストロフィは、
もう圧巻の一言。
ヌーヴェルヴァーグを思わせる突然の終止符。
しかし、そこからギドクはまだ話を続けていく。
ラストを目撃したほとんどの人は
もう一度、最初から見直してみたくなること間違いないと思うよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「フォーンもびっくりニャ」
※異常天才だ度
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レビュー観てさらに惹きつけられました。
3月が楽しみです♪
対話形式のブログも楽しんで読んでます^^;
ぼくはそんなに彼の映画を観ている方ではないのですが、
この作品の個性は際立っていました。
途中で、椅子に座り直して
スクリーンに正対したほどです。
自信もってのオススメです。
低予算だろうがなんだろうか、これだけ引き込まれるのは、まさに脚本のチカラ。今作に限らずその発想力がすさまじいです。
僕はこの監督の作品を観ると、
60年代の「作家の時代」を思い出します。
だれにもマネできない、
自分だけの世界を持っている監督たち。
フェリーニやパゾリーニ、
ゴダール、アラン・レネ、ベルイマン…。
最近、観ただけでこの人の映画と分かる監督が減ってきたような…。
テオ・アンゲロプロスは別ですが……。
えいさんもお好きでいらっしゃったのですね。嬉しい♪
なんだか、ハマってしまうんですよ~。魔力があるというか。
えいさんは、ギドクの中ではなにがお好きなんでしょうか?
自分は、『春夏秋冬そして春』や『うつせみ』のような、セリフがあまり少ないものの方がより魅せられてしまいます。
この新鮮なテイストや驚きが真剣に好きです・・。
ぼくもキム・ギドクにハマったのは遅く、
この一年です。
ただ、その後、
観る作品観る作品がいずれもユニークで、
常に新作が待ち遠しくてなりませんでした。
とりわけ本作の常人ならざる発想、
そして映画を知りつくした人ならではの
スリリングな話法に
大いに心打ち震わせられました。
セヒ=スェヒの揺れが見事でした。
延々とループする時間は終わることなく、
フィルムが永遠に続くのならばまた最初に戻って見たいですね。
そうなんですよ。
この映画は続けてまた観たくなる。
エンドレスフィルムですね。
いまは総入れ替え性が当たり前となって
なかなかそういうことができなくなりましたが…。
現象さんご指摘の
<木の割れ目>も確認したいです。
唖然某然という触れ込みがちょっと過剰な期待をさせてしまうのではと思ったりもしたのですが、そんな心配もなく大変強烈で今後も忘れる事が出来そうにない作品となりそうです。
とにかく発想が素晴らしいです。映像主義の私でもストーリー展開には身震いしましたです。
深層心理をするどく突く魅せ方・・・はまります~
この映画はそのユニークなストーリーと
映画的記憶に基づいていながらも
なおかつ独創的な映像が見事に融合していたと思います。
こういうぼくにとっての理想型の映画は
一年にそう現れるものではなく、
それだけに心ゆくまで堪能させてもらいました。