ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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2011年、フォーンと無人島に行くならこの10本(ネタバレ編)

2011-12-31 22:38:10 | 映画
----8年目を迎えた「フォーンとの映画おしゃべり」。
あれ、今年は“ネタバレ”だって…。
どういうこと?
「ツイッターを覗くと、
みんな、ベスト10をやっているじゃない。
それで改めて考えちゃったんだ。
自分の好きな、あるいはおススメの映画って、
どういう基準だろうって…」

----その答って出たの?
「実は、これはずっと変わらないことなんだけど、
観ている間、日常を忘れさせてくれること。
これがまず大前提。
で、その上で、さらにぼくが求めるのが、
その“持っていかれ感”が最後まで続くこと。
ということは、どういうことか…。
いわゆる
記憶に残るラストシーンを備えた映画。
これがぼくのベストムービーだね。
しかしそれを語ると、必然的にネタバレになっちゃう…
と、まあ
こういうことなんだ」

----でも、映画ってそれだけじゃニャいよネ?
「うん。
で、その次に来るのが、
あっ、これこそ映画、と思わせる瞬間があること。
ということで、今回はその二段構えで…。」

----じゃあ、まずその…記憶に残るラストシーンからだね。

「それでは…。

●1日目●『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
■ラスト、イーサン・ハント(トム・クルーズ)の泳ぐ目線。そしてその先にあるのは…。
このスパイアクションから、あの甘酸っぱいエンディングは、とても想像つかない。
●2日目●『トゥルー・グリット』
■復讐を終え、平原を馬で駆け抜けていくコグバーグ(ジェフ・ブリッジス)とマティ。
そこで彼女が目にしたものとは? やがて空には無数の美しい星が…。
●3日目●『まほろ駅前多田便利軒』
■別れを覚悟で、自分の過去を語る多田(瑛太)。
その気持ちを組んで、いったんは彼の元を去った行天(松田龍平)だったが…。
友情は孤独をも埋める…? 夢のようなラストのワンカット。
●4日目●『マイ・バック・ページ』
■確かに沢田(妻夫木聡)は、きちんと泣けた。
倉田眞子(忽那汐里)が望むように…。
だが、ラストのあの涙の意味は? 100人いれば100人の答がありそう。
●5日目●『八日目の蝉』
■長い心の旅の末、恵理菜(井上真央)が到達したある境地。
とめどもなく湧き出てくる涙は、決して悲しみからではない。
観る者にも高揚感を与えずにはおかない、最高のアップ。
●6日目●『恋の罪』
■闇の引力とは、かくも強いものなのか? 
ゴミ収集車を追う彼女(水野美紀)の前に現れたのは…?
この映画は次作『ヒミズ』 と並べてみることで、さらに強度が増す。
●7日目●『ゴーストライター』
■風に舞う文字。そのラストは、高橋和巳の小説『憂鬱なる党派』を思い起こさせる。
人生の無為感、ここに極まれり。
●8日目●『ブラック・スワン』
■ブライアン・デ・パルマもかくやの、めくるめくトリッキーな映像。
ラスト、ヒロイン、ニナ(ナタリー・ポートマン)の口から出る言葉は…。
思わずブラボー!と、スタンディング・オベイションを送りたくなった。
●9日目●『猿の惑星・創世記<ジェネシス>』
■チンパンジーのシーザーが見下ろすものは…?
オリジナルの『猿の惑星』と対をなす見事なショット。
ウィル(ジェームズ・フランコ)との別れも泣けるが、
この映画史を繋ぐショットが、さらなる感動を誘う。
●10日目●『リアル・スティール』
■『ロッキー』嫌いの自分。
なのに、この映画には完全に心奪われた。
とりわけファイナル・ラウンドは。
父親(ヒュー・ジャックマン)を見る息子の目線がスクリーンを至福感で満たす。
映画は、やはり“目線”が重要だ。


※さて、もし10日で帰れなかったら…(あっ、これこそ映画、と思った瞬間

●11日目●『孫文の義士団』
■次々と襲いかかる刺客との技を駆使しての戦い。
アクションは、かくありたいもの。
●12日目●『ザ・タウン』
■絶体絶命の中から、脱出はありえるのか?
圧巻!キャメラににじり寄るジェレミー・レナーの最期!
●13日目●『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2』
■CGに対する偏見を捨てさるに十分!
ホグワーツでの最終決戦!!
●14日目●『SUPER8 スーパーエイト』
■映画『ザ・ケース』のヒロイン=探偵の妻を演じるエル・ファニング。
突然、別の人になりきって悲しげな訴える目線にドキッ。
まるでヒッチコック映画におけるグレース・ケリーのようだ。
●15日目●『コクリコ坂から』
■これは、日活青春映画だ。生徒集会で一斉に歌い出すシーンだけでも十分に意味がある。

※他にも忘れられないラストシーンを。

●16日目●『婚前特急』
●17日目●『復讐捜査線』
●18日目●『サラの鍵』
●19日目●『風にそよぐ草』
●20日目●『探偵はBARにいる』

■おまけ
『アンチクライスト』


----こうやって振り返ると、
今年は、いろんな映画があったね。

「うん。例年以上に豊作だった。
ぼくにとってはだけどね。
来年もこの流れが続くといいなあ」



フォーンの一言「果報は寝て待てニャのニャ」
もう寝る


※2011年の五つ星だ度


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『リアル・スティール』

2011-12-30 14:32:24 | 映画

※ネタバレもありますが、もう公開から3週間経っているので…


(原題:Real Steel)


----これって、今年のラスト・ピクチャー・ショーって
決めていた映画だよね。
だから、ギリギリになって…。
フォーンも一緒に行ったけど、泣けたよね。
「巧い映画だよね。
よどみなく物語が流れていく。
ロングに引いた画の中、トラックが左から右に走っている姿を捉えた
あのオープニングだけでも、
傑作の予感が漂う。
物語は、もうあらかじめ知っていたし…。
かつてはボクシングで鳴らしながらも私生活はグータラ。
恋人との間にできた息子(ダコタ・ゴヨ)とも別れ、
いまはロボット・ボクシングの稼ぎで暮らすチャーリー(ヒュー・ジャックマン)。
恋人が急逝し、真剣争いが起こるも
彼はまったく興味なし。
金のためだけに、ある期間の間、
やむなくその息子を引き取ることになる。
この時点で、もう流れは予想できちゃう。
泣かせのポイント、その第一は、
せっかく結ばれ始めた父と子の絆。
しかし、そこに“別れ”がくるということ」

----そうそう。
で、フォーンが驚いたのは、
昔の、同じくボクシングがキーワードになっていた
『チャンプ』とは違って
この息子というのがしっかりしていて現代っぽいということ」
「そうなんだよね。
なにせ、日本語は知っているし、
ロボットにダンスは教えるし…。
ついにはリング上で、
ロボット格闘技“リアル・スティール”のチャンピオンに戦いを申し込むんじゃう。
その裏に、チャンピオン・サイドによる、
ある汚い画策を持ってくるところなんて、
この映画、
観る側の心のつかみ方がほんとうにうまい」

----あと、いいセリフも多かったよね。
ほら、キャッチコピーにも使われている
『僕のために戦って』とか…。
「あ~。あれも泣けたね。
大人のセリフとしては
『キスだけのために2,000キロ…』とか。
で、キャメラもいい。
チャーリーが女性を見る時、
薬指の指輪の有無を確認するところを
さりげなく入れたりとかね。
でも、やはりこの映画の白眉はクライマックス。
ある人がツイッターで
『ロッキー』と『ザ・ファイター』を引き合いに出しながら
そのラストを示唆していたこともあって、
結果がどうなるかは読めちゃったけど、
それを超える展開があった。
もう、始まってずいぶん経つから言ってもいいと思うけど、
キーとなるのは、シャドーボクシング。
リング状ではATOMが戦っているけど、
そこでは、元ボクサーのチャーリーも戦っている。
そしてそれを仕掛けたのは我が子。
これは自分の息子によって復権を成し遂げた父親のお話。
もう、その設定だけで泣けちゃうよね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ショーン・レヴィ監督『ナイト ミュージアム2』も、父と息子のお話だったのニャ」身を乗り出す

『A.I.』『センチメンタル・ジャーニー』も少し入っていた度



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『マイウェイ 12,000キロの真実』

2011-12-28 19:13:30 | 新作映画
(英題:my way)


----おおっ。これは珍しく、観てすぐのお話だね。
「うん。公開がもう目目前(1月14日)に迫っているからね。
宣伝の時間も短いし、
少しお手伝いしたくなって…。
とにかくタフな映画。
これは、ヒットしてほしいなあ」

----タフって?
「全篇、すべてが見せ場の連続。
しかもテンポよく
最初から最後まで一気呵成に見せるんだ。
これだけの演出をするには
監督に人並み外れたタフな精神力がないと務まらない」

----チラシとかには
「日本・ソ連・ドイツ3つの軍服を着ることになった数奇な運命」って
書いてあるよね。
オダギリジョーとチャン・ドンゴンのふたりがクレジットされているけど、
主人公はどっちなの?
「ふたりともだね。
物語は1928年、日本占領下の朝鮮から始まる。
憲兵隊司令官を祖父に持つ辰雄(オダギリジョー)は、
使用人の息子ジュンシク(チャン・ドンゴン)と出会う。
走ることが好きな彼らは、互いにライバルとして成長していくものの、
オリンピック選考会である事件が起こり、
その騒ぎの首謀者の一人として、
ジュンシクは日本軍に強制徴用されて戦場へ送られる。
ノモンハンでソ連軍相手に戦いの日々を送るジュンシク。
そこへ、冷酷な軍人と化した辰雄が情感として現れる。
辰雄はジュンシクに特攻を命じるが…。
と、ここまでにしておこう。
いま、こうして振り返ってみると、
あまりにも辰雄が非情な人間すぎて、
この映画が迎えるラストは、
どう考えてもありえない気もするんだけど、
観ている間は、その疑いを抱く暇がない。
それほど、各戦争シーンが凄まじい」

----確か、ツイッターでは
“リアルさは『プライベート・ライアン』に比肩し、
狂気は『プラトーン』を凌駕する”
みたいなこと言ってなかった?
「うん。その気持ちは今も変わらない。
プレスを見たところ
ソ連式戦車の製作を『プライベート・ライアン』のスタッフに依頼したとかで、
まんざら、的外れの見解でもなかったようだ。
監督は、多分にあの映画を意識しているね。
ところで、さっきタフと言ったけど、
ノモンハン事件、独ソ戦、そしてノルマンディー上陸作戦と、
一つの映画で、第二次世界大戦のキーとなる戦いを
こんなにも描き込んだ作品なんて、あまりぼくの記憶にはない。
辰雄、ジュンシクのふたりは、
その戦いの中を、日本、ソ連、ドイツの軍服を着て戦いぬく」

----なぜ、そんなことに?
「そこがこの映画のテーマでもあるんだけど、
“生きて故郷に帰るため”
彼らは、この3つの戦いの中で、
戦争の狂気、
戦争が人をいかに変えてゆくかを身を持って知ることとなる。
といっても、辰雄は自らが狂気そのものだけどね。
昔のフォーク、ピート・シガーの『腰まで泥まみれ』の隊長。
しかし、それは日本に限らず、ソ連にもいるし、
温和だったジュンシクの仲間も、
立場が変わったとたん、自分もそうなってしまう。
つまり、監督は
どの国がいいとか、どの国が悪いとかではなく、
国家によって引き裂かれ運命を狂わされてしまう個人を描いている」

----監督って誰だっけ?
『シュリ』『ブラザーフッド』のカン・ジェギュ
過去のこの2作品も描いているところは同じ。
ほんとうに彼はブレのない監督だね。
そうそう、この物語、
アメリカ国立公文書館に保管されていた一枚の写真が元になっているとかで、
そこに、
日の丸をつけて走った韓国の国民的英雄ソン・ギジョンのエピソード、
あるいは幻の東京オリンピックといった歴史的事実を加味して
映画として膨らませている」

----オダギリジョーはどうだった?
「もう、これは驚くしかない。
よくここまでの悪役を演じきったものだ。
何かがのり移ったとしか思えない。
あっ、あとファン・ビンビン
今年は彼女の年といってもいいくらい
日本に多数、出演作がやってきたけど、
これはその中でも異色。
何せ、『フルメタル・ジャケット』だもの」

----ニャ、ニャんだ、それ?


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「息つく暇もないらしいのニャ」身を乗り出す

※145分があっという間だ度

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想い出の森田芳光&『僕達急行 A列車で行こう』

2011-12-27 23:21:36 | 新作映画
森田芳光監督が亡くなって、
はや一週間が経とうとしている。
最初にこの訃報に接したのはツイッターだった。
そのツイートをした本人も疑問符の形で書いていたため、
すぐさまウイキペディアにて確認。
だが、にわかには信じられない。
それはそうだろう?
つい最近、『僕達急行 A列車で行こう』という
いまの時代だからこそ嬉しくなる
素敵なプレゼントをもらったばかりだから。
この映画は、最近の日本映画とはベクトルがまったく違っていた。
鉄道マニア、いわゆる“テツ”のふたりの日々を追った映画。
片や、一流会社勤めで九州に転勤命令が下った小町(松山ケンイチ)、
片や、資金繰りに苦労している鉄工所2代目の小玉(瑛太)。
そのふたりが、ちょっとした偶然から
それまで難攻不落とされていた社長(ピエール瀧)と知り合い、
契約を結ぶことに成功するというもの。
いわゆる“芸は身を助く”で、
まあ、『釣りバカ日誌』と似ていなくもない。
いわゆる使い古された設定。
ところが、これがとても心地よい。
というのも、この映画にはピュアな善人しか登場しないのだ。
いまの言葉で言えば、観終わって“ほっこり”。
やはり映画は、それを観る人を幸せにしてこそのものだなと、嬉しくなった。
ゆったり流れるユーモアは森田芳光の初期代表作『ライブイン茅ケ崎』に通底する。
そう、ぼくが、森田芳光の映画に最初に出会ったのは
この『ライブイン茅ケ崎』だった。
そこに流れる、ゆったりとした時間、
何が起こるでもなく、茅ケ崎に暮らす若者たちの日常が描かれる。
『ねぇ、塩ジャケと普通のシャとどっちが好き?』。
いや、『生ジャケと焼いたシャケ』だったか…。
ともあれ、
この映画は、当時の問題意識を全面に出した
他の自主映画とは明らかに位相を異にしていた。
(実は、この映画、『ぴあ自主製作映画展1978』で上映。
瑛社を担当していたぼくは、チョンボを犯すワケだけど、
まあ、それはまた別のお話)。
ところで、この映画の前に、彼はいろんな電車が出てくるドキュメンタリー
『水蒸気急行』を作っている。
もしかして、今回の映画はそれを意識しての、
“初心に帰る”もあったのかもしれない。
というのも、この映画の作りは
会話の間からセリフ回し、撮影、ギャグ…。全てが昭和の映画のノリ。
さすがに、伊東ゆかりの『小指の思い出』ネタは、
やりすぎの感がないでもないけど…。
だが、それでも言えるのは、
こんな芸当は、
一作ごとに作風を変えていく森田芳光監督だからこそ…。
なにせ『39 刑法第三十九条』のすぐ後に『黒い家』
彼は、映画そのものを好きで、
その間口を広げようとした希有な作家。
ある意味、どこを切り取ってもその作家の映画と分かる
園子温監督とは対極にあったと言えよう。
日本映画界は、ほんとうに惜しい人材を失いました。
心よりご冥福をお祈りいたします」



                   (byえい)

※今夜はしんみりだ度

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『TIME タイム』

2011-12-24 18:28:44 | 新作映画
(英題:In Time)


----ん?これって時間旅行の映画?
「いやいや、そうじゃなくて、
“時間”そのものを扱った映画なんだ。
なんと、その“セカイ”では
通貨が“貨幣”ではなく“時間”…」

----どういうこと?
「つまり、モノの売買が“時間”によって行なわれるんだ。
この映画が描く“セカイ”には二つのゾーンがある。
富裕ゾーンとスラム・ゾーン。
彼らの腕には一様に<ボディ・クロック>と呼ばれているデジタル時計が刻まれている。
25歳なった瞬間、そのボディ・クロックが作動を始め、
“余命”がカウントダウンされる。
この“余命”がゼロにならないように
人々は寝る時間をも惜しんで働きはじめる…
というのは、もちろんスラム側に住む人間たちの話。
富裕層たちは、永遠に近い時間が約束されているからカジノやパーティ三昧。
そんな中、富裕ゾーンに住むハミルトンと名乗る男がスラム・ゾーンに現れて
これみよがしに時間を見せつける」

----それって危なくニャい?
狙われてしまうのでは…。
「そのとおり。
主人公のウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は彼にその危険性を指摘するわけだけど、
その男の目的は、無為に暮らすこの日々に別れを告げること。
ハミルトンは、ウィルが寝ている間に自分の持つ“116年”を分け与え、
橋から身を投げ出してしまう。
彼は、その時間を、
自分の母親にも与えようとするが、わずかな差で彼女は死んでしまう。
ハミルトンから、
この世の仕組みについて聞かされていたウィルは
ある目的を持って富裕ゾーンへ潜入する。
だが、そこにすべての人間の時間を厳しく監視する
<時間監視局>(タイムキーパー)のレオンが立ちはだかる」

----これはオモシロそうだ。
監督は誰ニャの?
『ガタカ』で根強い人気を誇るアンドリュー・ニコル
脚本を手がけた『トゥルーマン・ショー』もそうだけど、
発想のユニークさは当世随一だね。
彼の描く世界は、こことは違う別の<セカイ>で展開。
そのため、ビジュアル的にも斬新で
それだけで目を奪われる。
さらに、現代への風刺がその<セカイ>から照射される」

----今回は、どんな点を?
「ぼくたちがいま生きているこの世の仕組みそのものだね。
分かりやすく言えば、ここにあるまとまった“お金”があるとする。
それをみんなが少しでも多く欲しがるのは当たり前。
でも、数は限られているわけだから、
多い人少ない人が生じる。
一部の人が多く持とうとすればするほど、
残りの人たちの分け前は少なくなる。
いわゆる資本主義世界の仕組みをさらに進めたのが、この<セカイ>。
そこでは一部の人がより多い時間を持つべく、
残りの人の人生を少なくしようとするんだ。
それには彼らに早く死んでもらうことが必要。
というのが、この<セカイ>の仕組み」

----ひぇ~っ。
残酷だニャあ。
「で、この映画がさらにオモシロいのは、
ウィルが富裕ゾーンで出会った大富豪の娘シルビアを
人質にさらい、連れ回しているうちに、
ストックホルム症候群じゃないけど、
シルビアの中に、反体制意識が芽生えること。
ふたりは、まるで
ボニー&クライドか『ボウイ&キーチ』のように、
時間強盗を始める」
----時間強盗?
「うん。時間は
銀行に預けられているんだ。
しかも利息が付く。
だからスラム・ゾーンでは質屋まである。
俳優も見どころいっぱいで、
なかでも、これまでのイメージを一新したアマンダ・セイフライドは出色。
レオンに扮したキリアン・マーフィ
ハードボイルド的な要素、
『ブレードランナー』のハリソン・フォードを思わせる
スタイリングだったよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ということは、お金が一番大事じゃない世界が来ても
人間の世界は変わらないということなのかニャ」小首ニャ

※まあ、そのセカイでは時間がお金というわけだけ度…

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『ドットハック セカイの向こうに』

2011-12-20 22:32:09 | 新作映画
----最近、時間があまり取れなくて
試写に行く回数が減っているのに、
まさか、こういうアニメを観に行くとは思わなかったニャあ。
「うん。決め手は舞台が福岡の柳川ってことかな。
プロットを読むと近未来なのに、
あの昭和的な、お堀の街という組み合わせが気になったんだ」

----そういえば、昔はよく柳川に行って
船に揺られていたよね。
「うん。中には思い出したくないことも…。
あらあら、何を喋らせるんだ。
さて、映画ではその柳川
大林宣彦『廃市』が有名だね。
竹中直人にも『東京日和』というのがあるけど、
やはりこちらかな」

----で、物語は?
「うん。
舞台は少し先の未来。
主人公は高校生の有城そら(桜庭ななみ)。
まず、この描き方がとてもオモシロかった。
試験はiPadのようなディスプレイに
それぞれが答案を書いて送信。
スマートフォンは必携品(今でもだけど)。
高校生は全世界規模のオンラインゲームに夢中になっている。
そんな中、有城そらは、
ひとりだけ、ゲームには興味なし。
その理由が、ゲーム嫌いの頑固者の祖父の存在。
ところが、その祖父まで、
最近話題の『THE WORLD』にハマっていることが分かり、
彼女もゲームに入っていく。
あっ、言い忘れたけど、この作品は3Dアニメ。
実を言うと、これがスゴク自然で、
今公開中の『friends -フレンズ- もののけ島のナキ』よりも
ぼくは楽しめた」

----へぇ~っ。
あの映画に比べてこちらのキャラはリアル。
よく言われる“不気味の谷”は大丈夫だったの?
「それもまったく感じなかった。
もしかして3Dの思わぬ効果?
なんて思わないでもなかったけど、
よく観てみると、
少女漫画的なタッチを残しているんだよね。
実際にいる人間そっくりというワケじゃない」

----で、そのゲームってどういうものニャの?
「う~ん。ゲームといえばゲームなんだろうね。
その“セカイ”の中で、遅いくる獰猛な生き物を倒したり、
買い物をしたりするから…。
でも、何よりも特筆すべきなのは、
ゲームのプレイヤーがキャラクター・メイクして
その“セカイ”の住人として生きるということ。
“セカイ”には、クラスメイトもいっぱいいるわけで、
リアルな世界では言えなかったことなどが、
そこでは言えたりする。
たとえば好きな子に“コクる”とかね。
映画は、そのこともテーマとして出してきてはいるけど、
残念なことに物語が途中からありふれたものとなってしまう」

----どういう風に?
「その“セカイ”が
黒い影で覆われ始めるんだ。
いわゆるウイルスなんだけど、
それを滅ぼすことができる鍵を持っているのは有城そらのみ。
こういうことをクライマックスにするのって
仕方ないんだろうけど、
もう見飽きた気がする」

----話題になった『サマーウォーズ』もそうだったものね。
ウイルスじゃないけども…。
「うん。
やはり別のアプローチを見せないと分が悪いよね。
近未来の高校生の描き方はぼく好みだっただけに、
後半のクライマックスで失速した感があって残念。
うまくいけば『カラフル』路線でやれたのに…」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「アニメもいろいろだニャ」気持ちいいニャ


※なんでも観てみるもんだ度

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『J・エドガー』

2011-12-17 23:50:49 | 新作映画
(英題:J. Edgar)


----J.・エドガーって何した人?
「何をしたというよりも、
ある地位に君臨し続けたという方が分かりやすい。
J・エドガー、J・E・フーバーは、FBIの初代長官。
20代にして、FBI前身組織の長となり、
以後、死ぬまで長官であり続けた男。
20世紀の半分を占める約50年もの間、
大統領さえ及ばない権限を手中にしていたんだ。
その50年間に入れ替わった大統領は実に8人にも上るとか」

----へぇ~っ。
まさに影の実力者だね。
常識では信じられないような話だけど、
この映画の監督はクリント・イーストウッド
ある意味、興味深いニャあ。
「うん。
実は観る前まで、あまりいい評判も聞かなかったし、
賞レースにもほとんど関わってきていないことから、
もっと地味な映画かと…。
ところがところが…
さすがはイーストウッド。
映画は晩年のフーバーが部下に命じて、
自分の回顧録を書きとらせる現在からスタート。
FBI誕生以前、
20代の彼が目にした爆弾テロがきっかけで、
共産主義者などを取り締まる責任者の地位を任せられ、
かつての仲間をもふるい落としながら
のし上がっていく姿が現在と交互に描かれる」

----ふるい落とすって?
「政治的な力を持った彼は、
部下に対して規律を厳しくするんだ。
着る服にまで注文を付ける。
気に入った側近のみで周囲を固めていくところなんか、
近年のどこかの国の地方自治の長を思い出したよ」

----あらら。危険な発言。
「で、最初のうちは
イーストウッドの愛国主義が前面に出た映画なのかと思いきや、
徐々にフーパーの奇妙な人間関係が浮き彫りになってくる。
プロポーズを断りつつも死ぬまで個人秘書として彼を支えたヘレン(ナオミ・ワッツ)、
彼を溺愛した強権的母親(ジュディ・デンチ)、
そして、生涯に渡って彼の片腕となるクライド・トルソン(アーミー・ハ―マー)…。
しかもそれらの関係性は、
マザーコンプレックス、あるいはホモセクシャルというように、
それこそが映画の見どころといわんばかりに、
一種、グロテスクな描写によって描き込んでいくんだ。
で、この異様なキャラクター設定を軸に、
映画は、フーパーが逮捕したとされる禁酒法時代のギャングたち、
あるいは、国民的英雄である飛行家リンドバーグの愛児誘拐事件など、
アメリカ犯罪史を辿っていく」

----ニャるほど、それはオモシロくならないはずがないニャあ。
ん?“逮捕したとされる”というのは…?
「フーパーといえば、
コミックや映画では、
ギャングを逮捕した英雄的存在。
しかし実はそうではなく
後で彼が自分の人気を作りだすために演出したのだと、
この映画は語る。
その名声欲、そして権力を維持するために、
フーバーは、ときの大統領のスキャンダルを徹底的に調査。
そのため、ルーズベルトは彼に逆らえず、
J・F・ケネディも彼の監視下に置かれた。
そこに最後に現れたのがニクソン。
この大統領だけは、これまでのようにはいかなかった」

----彼の権力への野望は並大抵のものではなかった…ってワケだニャ。
「そういうこと。
この映画を観ると
ウォーター事件、つまり大統領の犯罪を二クソンが起こしたのもうなずける…。
さて、一気にしゃべっちゃったけど、
もう、イーストウッドの映画だから、
美術や衣装などの時代考証がどうのというような
瑣末なことを言う必要はまったくない。
そういう脇を固める部分は
映画として“魅せる”という意味では完璧だからね。
でも、これだけは言いたい。
なぜ、主演のレオナルド・ディカプリオの演技が話題にならないのか?
この映画、ディカプリオが演じているということを途中で忘れさせてしまうほどの名演。
まるでアーネスト・ボーグナイン(と、これは言いすぎか)。
これでオスカー取れなかったら、
アカデミー会員は彼に恨みでもあるんじゃないかと
疑いたくなるほどだね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「確かにディカプリオには見えないのニャ」なにこれ?


※でも、決して後味のいい映画じゃない度

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『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

2011-12-15 22:59:52 | 新作映画

(原題:Mission:Impossible Ghost Protocol)



----これ、もう明日から公開だね。
スゴく興奮している割には、
ギリギリまで話さなかったけど…。
「だって、
この映画、何を喋っていいのやら。
もうエンターテイメントとしては完璧。
これぞ、お正月映画の王道…
これだけで済むような気がして…」

----でも、ほら。
世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファでのアクションとか…。
「そうそう、あのシーンが実に象徴的。
ビルを使ったアクションは
バスター・キートンの時代から数多くあって、
たとえば、ジャッキー・チェンの映画『WHO AM I? フー・アム・アイ?』にも出てくるけど、
あれはまだ少し傾斜があった。
ところが、これは垂直。
しかも命綱アクションだけでなく、
壁に吸盤のように吸いつく手袋という新機軸でスリル満点。
高所恐怖症のぼくなんて、
『カプリコン・1』以来、久しぶりに手に汗の泉ができた」

----アクションに一ひねりあるってこと?
「そういうこと。
カー・アクションにしても
砂嵐の中でのチェイス。
前方がまったく見えない中、
スマートフォン(?)の中のレーダーを頼りに動いていく。
『M:I-II』のときよりも時代はさらに進み、
IT系の小道具が大活躍。
でも、それがより身近に感じられるところが
この映画のオモシロいところでもあるね」

----物語はどうニャの?
ロシア・クレムリン爆破事件の犯行容疑がかけられたイーサン・ハント(トム・クルーズ)。
アメリカ大統領は政府の関与への疑いを避けるべく、ゴースト・プロトコルを発令。
つまり切り捨てられた…ってことだよね。
「「うん。でも実は…ってヤツ。
映画は冒頭、ロシアの刑務所に入っているイーサン・ハントが脱獄するところからスタート。
どうやら殺人を犯したようなんだけど、、
なぜ、そんなことになったか、
詳しくは分からない。
しかし、そこにジェレミー・レナー扮する政府の要人が絡み、
しかも、スパイ顔負けの身体能力を発揮するなど、
謎が謎を呼びつつも、
同時に、一つひとつ謎が解き明かされ、
やがてはそれらがすべて回収され、大団円を迎える。
いやあ、このシナリオは巧い。
そして、やはり何よりもやはりこれまでもっぱらアニメを演出してきた
ブラッド・バード監督の演出。
立体駐車場におけるブリーフケースの争奪戦のシーンなど、
まさにアニメチック。
監督は違うけど『モンスターズ・インク』を思い出した。
まあ、娯楽として文句のつけようのないこの映画、
もう一度言うけど、
これはお正月映画向き。
年末に観るのを我慢して
年明けに
お屠蘇気分で出かけるのもいいかも」



フォーンの一言「ありゃりゃ。大絶賛だニャ」
身を乗り出す

※トム・クルーズはやはり大スターだ度


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画像はオフィシャルより。
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『ニューイヤーズ・イブ』

2011-12-13 23:53:30 | 新作映画
(英題:New Year's Eve)




----これって、ニャんだか想像ついちゃうよね。
何組かの物語が同時進行するってヤツでしょ。
「そうそう。
『ラブ・アクチュアリー』以来、定番になったよね。
つい、2年前にも同じゲイリー・マーシャル監督『バレンタインデー』というのもあったし…。
この手の映画の常として
オールスター・ムービーの形を取り、
そして最後にみんな
なんらかの幸せを掴むというのが
もう決まった流れだね」

----つまり、安心して観られるってことだね。
今回の顔ぶれを見ると
一気に若返ったような気もするけど…。



「うん。
アビゲイル・ブレスリンまで出ているしね。
大物と言えば、
ロバート・デ・ニーロミシェル・ファイファー
それにヒラリー・スワンクくらい。
あとは、ザック・エフロンだのアシュトン・カッチャーだの、
演技派というよりイケメンのスターガスクリーンを賑わせ、
さらにはサラ・ジェシカ・パーカーのように、
テレビでの人気の方が上回る女優、
そしてジョン・ボン・ジョヴィまでロックスター役で出て、
まさにお祭り騒ぎ」




----ほんとだ。
みんなではしゃいでいる感じ。
「うん。
でも、それでいいのかもねこういうイベントムービーは…。
365日の中でも、
年が改まり、みんなだハッピー・ニュー・イヤーを言いあう特別な日。
それもタイムスクエアガーデンのカウントダウンを軸に話が進むんだから、
その浮かれたところが映画の空気にあっている。
映画は、そんな彼らが織りなすいくつかのエピソードが
交互に紹介されながらクライマックスへと突き進む。
いわばニューヨークというホテルを舞台ん敷いた
グランドホテル形式の映画。
そしてこれは
『バレンタインデー』を引き継いだ手法でもあるんだけど、
最後になって
この人の娘は誰か?
この人が会う約束をしたのは誰か?
という、いくつかの意図的に隠された関係が
クライマックスで一気に明らかになる」

----ニャるほど、パターン化してきたニャあ。
「そういうこと。
でも、そうなると、
今度はこちらはそのパターンを頭に入れて
関係性を推理しながら映画を楽しめばいいわけで、
あと、いくつアメリカのイベントとなる日があるかは知らないけど、
まだ、何本かは作られそうだね。
うきうきするのは間違いないからね。
次はイースターかもね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも、その日が終わったら、映画館はどうなるのかニャ」小首ニャ

※劇中には映画の『バレンタインデ―』も出てくる度

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『聯合艦隊司令長官・山本五十六』

2011-12-11 00:11:13 | 新作映画

----この映画、今年一番の“驚き”と言っていたよね。
ツイッターで、おおよそのことは分かったけど、
ブログではそこを詳しく…。
「うん。
東映が作る戦争映画って
これまで“勇ましさ”が前に出ていて、
ことの是非はともかく好戦的な印象が強かった。
そんな中、たとえば『男たちの大和 YAMATO』のように、
戦闘シーンを徹底して描くことで
戦争の残虐さを浮き彫りにするなど、
作家サイドの死相を織り込ませることがあっても
こういう形での主張を試みた戦争映画は、ぼくが観た限りでは初めて。
これは、戦争映画というよりも
むしろ反戦映画。
しかも、今の時代とリンクしている」

----どういうところが?
聯合艦隊総司令官・山本五十六って真珠湾攻撃を行った人でしょ?
「ぼくは日本史には明るい方じゃないけど(汗)。
この映画を観る限り、
山本五十六は
日独伊の三国同盟にずっと反対していたこと、
その理由として、国力が遥かに上のアメリカと一戦を交えることは
何が何でも避けるべきだとの信念を持っている人として描かれている。
そのため、海軍中央と衝突し、
また好戦的な一部の部下からは指令を無視されたりもする。
真珠湾攻撃の際にも、後々のことを考えて
アメリカに宣戦布告を伝えたかを何度でも確かめる。
この真珠湾攻撃も、
空母を撃沈することでアメリカの武力を一気に低下させようというのが理由。
それも最終の目的は、
戦争が長引くと日本には不利に働くゆえ故、
とにかく早く講和に持ち込もうというモノ。
だからこそ、
五十六の狙う空母が湾内にいなかったことから、
周囲は勝利に酔うも、
彼はこの真珠湾攻撃を決して成功とはとらえていない」

----へぇ~っ。
でも、国民は大喝采したんだよね。
「うん。
当時の国民は、
不況にあえぎ、雇用不安と所得格差に苦しんでいた。
この閉塞状況から抜け出し、なんとか風穴を開けたい。
それには石油の全面禁輸で
自分たちを苦しめているアメリカを叩けばいい…
と、まあこういう風に世論が動いていったんだね。
さてそうなると、
その尻馬に乗るのが新聞を始めとするマスコミ。
売れるためには、世の中の人々が望む記事を書けばいい。
かくして、軍部、マスコミ、国民が一体となって
アメリカとの戦争に突入していくんだ。
この映画は、その<戦争への道>をこれでもかというまで
徹底して見せつける。
こんな東映の戦争映画、ぼくはこれまで観たことがない。
戦争映画と言えば情緒を盛り上げるために必ず描かれていた
“銃後を守る妻”もここには一切なく、
家族は山本五十六と一緒の食事のシーンで出てくるのみ」

----確かにそれは新しいニャあ。
「もっと言えば、
この映画には感情を左右する音楽が用いられず、
ほぼ言葉だけで見せていく。
人によっては映画として物足りなく感じるかもだね。
戦争シーンだって、全然派手さはなく、
そのほんの一部を切り取って描くだけ。
なにせ、戦争で死ぬ人がたったひとりしか描かれないんだから」

----それも珍しい。
監督はだれニャの?
「今年、
『八日目の蝉』で気を吐いた成島出
逆にプレスを読んで分からないのは。
『あの戦争以後、あれほど美しかった日本の風日本の風景や、
日本人の心は一体どこに行ってしまったのか。
敗戦を機に自己批判と反省を繰り返すと同時に、
一番大切なものまでも否定してきたのではないか』の一節。
この映画は、それどころか、
閉塞状況で理性的判断を失う国民と
それを利用する軍中央部、マスコミが描かれ、
今も昔も変わらないと言っているように
ぼくには思えたね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「こういう戦争映画もありなのニャ」ぱっちり

※一種の日本人論だ度

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『痛み』

2011-12-07 20:16:52 | 新作映画
(英題:Pained)


----あれ、今日はこっちから?
噂の大作の方が公開迫っているじゃニャい…。
「まあ、それは後のお楽しみ。
この『痛み』クォン・サンウ主演だけあって喋りやすい」

----それってどういう意味?
タイトルだけ聞くと、キム・ギドクあたりを連想するけど…。
「いや。
監督は『友へ チング』という名作を持つクァク・ギョンテク。
物語は、事故の後遺症で無痛症になった男・ナムスンと、
白血病の女・ドンヒョンの出会いと恋の物語。
ナムスンは、痛みをまったく感じない体を利用して
殴られ屋をやっている」

----殴られ屋?
「うん。
借金の取り立て先で先輩に殴られ、
血を流すところを相手に見せて
無言の脅しをかけるんだ」

----ひどいニャあ。
「その彼が取り立て先で知り合ったのが、
父親の多額の借金の肩代わりをしているドンヒョン。
まあ、後は想像つくだろうけど、
このふたりが同居を始めて、
そして恋が芽生えていく。
片や、痛みを感じないことから肉体に対して投げやりな男、
片や、血を流すと止まらないことから神経を使わなくてはならない女。
この対照的なふたりを配したところが
この映画の特徴かな」

----で、ふたりは
恋による心の痛みを知る…。
「そのとおり。
再開発に反対する住民と、
彼らに威しを賭ける組織という
二人を取り囲む殺伐とした世界が、
彼らの純愛を際立たせる。
と言えば、聞こえはいいけど、
やはりこれはクォン・サンウらしいメロドラマ。
ファンは安心して観られると思うよ」





                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ドンヒョンも可愛いのニャ」ぱっちり

※演じているのはチョン・リョウォン、日本で言えばきゃぴきゃぴだ度

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『ALWAYS 三丁目の夕日’64』

2011-12-03 19:14:36 | 新作映画
----これって、何年か前に大ヒットした
『ALWAYS 三丁目の夕日』
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
の続きだよね。
“寅さん”みたいにシリーズ化するの?
「いや、さすがにそれはないと思うけど…。
今回は、3Dということ、
そして年代が、前作から5年後ということ。
このふたつがポイントだね」

----3Dってアクション映画とかSFの専売特許って感じがしていたけど、
こういうドラマでは珍しいよね。
効果はどうだった?
「う~ん。
もっとも効果的だったのは、
オープニングの東京タワーかな。
真俯瞰で捉えられたタワーも先端が
観客席に突き出してくるんだ。
このシリーズは今や国民的な映画に。
ふだんは映画を観ない人も、
これで初めて3D鑑賞というケースもあるだろうし、
けっこう驚きを持って迎えられるんじゃないかな」

----おっ。好意的だニャあ。
「ただ、
スクリーンの明度が低いのはちょっとね。
話としては、前向きな中身だけに、
これは改善の余地ありだね」

----その“前向きな中身”って?
「それを話す前に、
さっきのもうひとつのポイントに戻るね。
この映画の原作、西岸良平の漫画では、
一平(小清水一輝)や淳之介(須賀健太)はずっと小学生のまま
『うる星やつら2★ビューティフル・ドリーマー★』じゃないけど、
登場人物は歳を取らず、
さまざまなエピソードが三丁目で繰り広げられる。
ところが、本作では東京オリンピックが開かれた昭和39年に設定」

----その“昭和39年”というのがミソなんだね?
「そういうこと。
劇中の宅間先生(三浦友和)の言葉を借りれば
『今はみなが上を目指している時代』。
だが、六子(堀北真希)が恋する医師・菊池(森山未來)の生き方を例えに、
『幸せとは、お金持ちになるとか出世するとか、
そういうことだけじゃない』と語る」

----えっ、六子の恋の話が出てくるの?
しかも、相手を演じるのが森山未來…。
「そうなんだ。
彼は、人の喜ぶ顔を見るのが嬉しいと言う。
これが、この映画が、現代に向けて放っているメッセージ。
今回は、この六子と菊池のエピソード、
そして茶川竜之介の連載が休止になったことと、
それに絡む淳之介との関係が大きな軸になっている。
あっ、そこに竜之介を勘当した父・林太郎(米倉斉加年)の話も。
そうそう、大森南朋が編集者の役で出ていることも話しておかなくちゃ」

----堤真一、薬師丸ひろ子、小雪ももちろん出ているんだよね?
「もちろん。
なかでも、薬師丸ひろ子の『シェーッ』は見モノ。
『はつ恋』では田中麗奈も見せてくれたけどね」

----セットとか小道具も楽しみ。
「それはこの映画の軸だからね。
挙げだすときりがないけど、
個人的には加山雄三『ハワイの若大将』、植木等『お呼びでない』『あなたの息子を信じなさい』
夢の超特急、ベンチャーズのテケテケ、パプリカ、
VANジャケット、カラーテレビで白黒放送

こんなところかな。
これ、思い出したら、またここに追加しようっと…」





                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「マンネリになってもいいから“寅さん”のようにシリーズ化すればいいのにニャ」うららかフォーン


※それは予算が違いすぎる度

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『グッド・ドクター 禁断のカルテ』

2011-12-01 22:51:22 | 新作映画
※注:少々辛口です。

(原題:The Good Doctor)


----ニャに。この映画?
“グッド・ドクター”っていうから
てっきりヒューマン・ドラマなのかニャと思ったら
禁断のカルテなんて、副題が付いている。
「そうだね。
劇中でも主人公が“グッド・ドクター”の条件を先輩ドクターに尋ねたり、
患者の言葉の中にも、
『先生はグッド・ドクター』というのがあったりもするし、
そのテーマを掘り下げていると思われがちか…。
でも、実は副題『禁断のカルテ』がすべてを語っている。
そう、これは、いわゆる医療サスペンス。
なんと、あのオーランド・ブルームが
とんでもない役をやっているんだ。
プレスにも書いてあるから、
ネタバレ承知で思いきって言っちゃうけど、
彼の役は殺人犯」

----あらら。
確かこの映画は昨年の製作だよね。
ということは、
『三銃士・王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』の時に言われた
“初の悪役”って嘘になるじゃニャい。
「う~ん。そうなるのかな。
でも、
悪役というのは、
正義の味方の主人公がいることを前提にして使われる言葉。
この映画では、主人公をオーランド・ブルームが演じているわけだし、
悪役というよりも、これは悪人役かな」

----ニャんだか、こじつけっぽいニャあ…(笑)。
で、彼はどんな殺人を犯すの?
「オーリー演じる主人公マーティン・ブレイクは
いたってまじめな研修医。
ただ、上昇志向は強い。
ところがそれが空回りして失敗ばかり。
しかもベテラン看護師から理不尽な仕打ちを受けたりで、
彼の焦燥感は高まる一方。
そんなある日、18歳の美しい少女ダイアン(ライリー・キーオ)が入院してくる。
マーティンの献身的で誠実な治療で彼女は順調に回復。
だが、退院してしまうと
彼の医師としての熱意は執着に。
ダイアンの家に招かれたのをいいことに、
薬をすり替え、彼女の病気を再発させてしまう。
思惑どおりダイアンは入院。
退院させたくない彼は、
今度は彼女が寝ている間に
点滴を入れ替えたりまでしてしまう」

----それはヒドイい!
取り返し付かない。
「そういうことだね。
しかも、ダイアンの死後に
掃除係のジミー(マイケル・ベーニャ)が
二人の関係を書いたと思われる彼女の日記を見つけ、
マーティンを脅迫。
ヤク中のジミーは、
周囲に知られたくなかったら
薬を横流ししろとマーティンに迫る…」

----ニャるほど。
話としてはオモシロいけど、
こんなの、すぐバレるんじゃニャいの?
薬の保管とか厳重なはずだし、
調べればすぐに分かりそう。
「そう、そこがこの映画のポイント。
“医師による完全犯罪”という、
そのプロットはありえるんだけど、
それを観客に納得させるには、
それ相応の描写がなければ難しい。
ところがこの映画は、
ディテールがあまり描き込まれていない。
そのため、彼が点滴すり替えなどの犯行に及んでいる時も、
ハラハラドキドキのサスペンスが失せ、
逆に“ありえない”感が先立ってしまう。
犯行に使用した注射器等の処理にしてもそう。
こんないい加減な捨て方が通用するはずはないのでは?
というクエスチョンが頭をもたげてくる。
そういう意味では、これは惜しい映画だね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも、オーリーのファンなら観るのニャ」ぱっちり

ライリー・キーオはプレスリーの孫娘だ度

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