ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ラスト・エクソシズム』

2011-07-28 22:30:15 | 新作映画
(原題:The Last Exorcism)


----えっ?“エクソシスト”の話ニャの?
もう、いやだニャあ。
でも、これで“最後”か…。安心。
「(笑)。何言ってんの。
ハリウッドが、こんな金脈をそのままにするわけないじゃない。
まあ、それ以前に、この映画の“ラスト”は意味が違うけどね。
主人公は、コットン(パトリック・ファビアン)という名前のひとりの牧師。
彼は、父親の策略で、
天啓があったとして幼いころから牧師の仕事に携わってきた。
その中のひとつに、エクソシズム、つまりは悪魔祓いもあったわけだけど、
コットン自身は、その効果を信じちゃいない。
そんな中、ローマでエクソシスト養成を本格的に始めると聞き、
実際にはそれが何の効果もないということを暴露し、
この仕事から身を引こうとする。
つまり“最後”のエクソシズムにしようというわけだ。
かくしてコットンは
エクソシズムの真実を追うドキュメンタリー映画に協力。
彼の元に届いた、
悪魔が取りついているという少女ネル(アシュリー・ベル)のいる牧場に向かうが…

----オモシロそうだね。
でも、出演者は、あまり聞いたことがない。
「それは仕方ないよ。
これはフェイク・ドキュメンタリーだからね」

----あらら、“フェイク”って、明かしちゃっていいの?
「いやあ、そこなんだよね。
この映画のオモシロさというか
潔さは…。
ぼくが散々けなしてしまった『THE 4TH KIND フォース・カインド』みたいに、
いかにもそれが真実であるかのような言い回しはとっていない。
カメラこそ一人称で、
冒頭はインタビューから始まるけど、
これはその“POV”方式を使ったホラーというだけのこと。
つまり、それによって観客をミスリードしようなどということはせずに、
その方式で恐がってくださいと言っている。
だから、通常のドキュメンタリーではありえない、
いかにも“脚本”を練り上げて作ったという感じの
どんでん返しやショッキング演出が次々に飛び出す。
最後の方なんて、その昔に観た
ピーター・フォンダ、ウォーレン・オーツ『悪魔の追跡』
思いださないでもなかったけどね」

----でも、その方式だと、
たとえばCGなどのSFXが使いにくくて、
ショッキング演出にも限界があるのでは?
「いやいや。
ぼくもそう思っていたら、
エンドクレジットには、
延々と、ポストプロダクションに関わった人の名前が続く。
監督こそドイツの新鋭ダニエル・スタムだけど、
製作の中に、この人の名を見つけて納得。
なんと、イーライ・ロスが絡んでるんだ」

----ニャるほど。


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「しかし、恐い映画ばかり続くのニャ」もう寝る
※日本映画では『ノロイ』に近い度

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『ザ・ウォード 監禁病棟』(気づけば、「ラムの大通り」いつの間にか8年目に突入付き)

2011-07-26 22:33:27 | 新作映画
※ちょっとネタバレチック。カンの鋭い人はご注意!




(原題:The Ward)


----えっ。これってジョン・カーペンター監督作品ニャんだ。
久しぶりだね。
「うん。ひとつ前の日本公開作品が、
もう10年前。
ここの『ラムの大通り』を始める前だからね。
そうそう、ここも実は気が付くと8年目に突入していたんだけど…。
と、それはともかくとして、
やはり日本でのジョン・カーペンター人気は高いね。
試写室のTCCが超満員」

----それは、このビジュアルと
日本語のタイトルにも理由があるんじゃニャいの?
“監禁病棟”の副題で、
泣き叫ぶ女性の下着姿…。
しかも、後ろには怖そうな人がいるし…。
「うん。そっちが強いよね。
というのも、
物語自体は観る前にぼくが想像した通りの話だったしね。
クリステン(アンバー・ハード)は、
放火の罪で異常のあるもののみを収容する
精神病院の監禁病棟へ送られる。
そこには同じような境遇の少女が4人。
で、ここまでは、まあ、普通のお話なんだけど、
収容されて一日目の夜。
鍵がかかっているはずの病室内に、なぜか異様な人影が。
さらには病棟の廊下をうろつくゾンビ、
いやミイラといった方がいいかな。
いずれにしても腐乱死体のようなおぞましい姿の少女を目撃。
しかもその少女は、収容されている少女たちを捕まえては、
次々と残虐な殺戮を始める…というもの」

----ほほ~っ。
オカルトが絡んでくるわけね。
これは無敵のホラーだ。
「いやいや(笑)。
実を言うと、観ながらツッコミだらけだったんだけどね。
途中、クリステンが仲間のひとりと脱走を試みる。
こんなの、どう考えたってすぐに捕まりそうなのに、
なぜか病院側は
非常体制をとるわけでもなく、
その緩い状況の中、
次々と殺戮が進行していく…。
あるいは、主任看護婦らしき女性の
あまりにも(よくあるパターンだけど)冷ややかな態度、
そして彼女が口にした『今度はクリステン…』。
でも、全部観終わると、
これがすべてストンと難得するところに落ち着いちゃう。
そういう意味では、これはよくできた脚本。
疑問が全部、解消されちゃうんだ。
くだんのおぞましい少女の姿が
最近の映画にしてはチープなことまで納得いっちゃう」

----ニャんだか、よくよく聞いていると
謎が解けてきそうな?
精神病院が舞台ということもあるし、
これって、『シャッターアイランド』と同じような設定ニャのでは?
「しっ。
まあ、あれほど鳴り物入りの超大作でなく、
若干のエロスが加わり、
しかもゴーストみたいなものまで出てくるという
一種のB級、いやC級のテイストがこの映画の持ち味。
撮影法も、どこか昔っぽい。
最後のワンショットにしても
“何かあるぞあるぞ”と思わせ、
その通り、期待に答えてくれるところもね。
しかし、つくづく思うけど、
もう『キャリー』の手は通用しないんだな」

----それって皮肉じゃニャいよね。
「もちろん」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンはともかく、ファンはみんな行くのニャ」もう寝る
※89分というのも捨てがたい度

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画像はイタリアのポスター。

『インシディアス』

2011-07-22 22:10:54 | 新作映画
(原題:Insidious)


----これ、一昨日観たばかりだよね。
珍しいんじゃニャい。こんなに早く話すのって…。
「うん。この手の映画は喋りやすいからね。
結局、怖いかどうかに尽きるワケだし…。
監督がジェームズ・ワン(『ソウ』)
製作がオーレン・ぺリ(『パラノーマル・アクティビティ』)

----で、こうして喋っているってことは
けっこう、怖かったわけだね。
「う~ん。まあ、それはおいおい話すとして…。
実は、内覧試写ですでにこの映画を観たという知人から
『怖い!怖すぎます 斜め前に座っていたオヤジさんが
ビックリして転げ落ちました。
一人暮らしの人は決して観てはいけない映画』とのメール。
そう言われれば、どんなものか観たくなるじゃない」

----でも、意外と冷静に喋って。
「そうだね。
やはり、若い頃に観た『ローズマリーの赤ちゃん』『エクソシスト』に比べるとね…。
この映画、これネタバレになるかもしれないけど、
取り扱っているのは“幽体離脱”。
ほんと、ストーリーは説明しやすくって…。
物語は、ある一家のお話。
ルネ(ローズ・バーン)と夫のジョシュ(『パトリック・ウィルソン』は3人の子供たちと新居に引っ越してくる。
ところがある日、小学生の息子ダルトン(タイ・シンプキンス)が
こん睡状態の意識不明に。
でも、体にはどこも異常がない。
時を同じくして、家の中では奇怪な現象が起こり始める。
これは家が呪われているんだとばかりに、
一家は引っ越しするんだけど、そこでも怪奇現象は続く。
そこで、ルネとジョンは霊媒師や牧師までを呼んで
ありとあらゆる手段を尽くす。
その結果、分かった思わぬ事実とは…」

----それが幽体離脱というわけだニャ。
「そういうこと。
ダルトンは、その意識が遠く離れたところまで行って
帰ってこれなくなっている。
そしてその間に、資料たちがその体を乗っ取ろうとしているわけだ。
さて、問題はその恐怖表現の描写だけど、
これがけっこ、ジャパニーズ・ホラーの影響が大。
大きな音やショック演出でワッと驚かせるのではなく、
ただ、そこにいる
あるいは、『リング』以来、よく使われている、
骨がきしむような音と、カクカクッという動き。
これに壁をゴキブリのようにささっと走る、
ハリウッド・ホラーの動きをミックス。
そうそう、『シャイニング』のような
双子少女(だったと思う)二人もいたね。
で、まあ、これがいちばんのキャラクターになるんだけど、
顔が赤くて目が黒い悪魔のような…。
そう、ダース・モールを彷彿させるラスボス。
いや、ラスボスは別にいたか…」

----ニャんだか、話バラバラ。
「うん。
思い出し思い出し喋っているからね。
さて、この映画、
父ジョシュの過去の織り込み方などもあって、
けっこうオモシロいんだけど、
怖さに関しては思ったほどではなかった。
他のホラーと同じで、
すんなり終わらずあるオチがあるんだけど、
それも想像がつく範囲。」

----慣れもあるのかニャあ…。

                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「そうは言っても、フォーンは恐いのニャ」もう寝る
※“呪いの家”じゃないところがハリウッド・ホラーにしては新しい度

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原田芳雄追悼(『大鹿村騒動記』公開中に…)

2011-07-19 22:39:10 | 映画
「今夜はしっとりといくからね…」
-----そうか、原田芳雄が亡くなっちゃったんだよね。
「うん。実は『大鹿村騒動記』を観に行った時、
ある人から『これは、原田芳雄の最後の作品』と聞かされて、
えっ?と問い返したことが…。
その人の話によると、癌が再発したのだとか…。
映画を観た後にぼくはそれを知ったわけだけど、
この映画、原田芳雄久々の主演ということもあり、
彼は役を喜々として演じている感が。
で、印象に残ったのが、
エンドクレジットに写される彼のスナップ的写真。
それがあまりにもよくって、
これは阪本順治監督の彼への愛だなと…。
映画には、それこそ大御所がずらり顔を揃えていて、
もしかしたら、クランクイン前から
その遠くはないであろう死を察した友人たちが
大挙、友情出演したのかなとも…」

-----ふうん。
ところで、えいの原田芳雄との出会いは?
「これはね。脇も脇、
ほんの1,2シーンしか出演していない、
『八月の濡れた砂』の神父役。
ちょっとコミカルな彼の演技がとても印象的で、
順序を逆にして、後で観た『野良猫ロック・暴走集団’71』で、
その強烈な個性に完全に虜となってしまった。
この映画は、『野良猫ロック』シリーズの掉尾を飾る作品。
主人公たちは新宿にたむろするヒッピー。
原田芳雄はドテラ姿。
これも後で知ったんだけど、
この映画は、正月映画として公開。
それにドテラはないだろうと、当時の日活の上層部は怒り心頭だったらしい」

-----その頃から、反権力、反体制のイメージが
出来上がっていたってわけだね。
「そうだね。
フォーンは彼が阪本竜馬を演じているのを知っているかな。
黒木和雄監督『竜馬暗殺』には、
彼のほかに松田優作、石橋蓮司、桃井かおり、中川梨絵らが出演。
この映画は、ストーリーよりもその“言葉”がオモシロい。
まるで当時の学生のような政治的な会話が交わされるんだ」

-----へぇ~っ。でも、えいのおススメは
『祭りの準備』だったよね。
「そう。個人的にはこれが一番。
市国の閉塞的な海辺の町に
がんじがらめになっている主人公・楯男。
彼がラスト、ついにこの街から逃げだし、
東京へ向う時に見せた原田芳雄の演技は、
数ある彼の名シーンの中でもベスト!
両手を挙げて『バンザイ、バンザイ、バンザイ』と、
走り去る列車をどこまでも追いかけていく。
底にかぶさる松村禎三のテーマ曲。
あの高揚感こそ映画だね」

-----他には?
若松孝二『われに撃つ用意あり』だね。
原田芳雄演じる主人公・郷田は元全共闘。
その元同志・李津子を桃井かおりが演じる。
ふたりは、ラスト、
ヤクザと警察を向うに激しい銃撃戦を繰り広げるんだ。
あの時代の熱い心は失っていない、
そんな気概が感じられる映画だったね。
最近では『亡国のイージス』で総理大臣まで演じ、
その意外なキャスティングに、心底驚いたものだけど、
彼にはやはりこういう役が似合う。
もちろん『歩いても歩いても』のおじいさんもいいけどね。
しかしなあ…」

-----ニャに?
「昔、『新宿アウトローぶっ飛ばせ』
文芸地下で観たとき、
ある友人がこう言ったんだ。
『横浜の港のシーン。
従来からのスターであった
渡哲也からのバトンタッチを
見たみたいだ』って…(実際は原田芳雄が一つ上)。
まさか、その原田芳雄が先に逝くとは…。
ほんとうに、ひとつの時代が終わった気がする。
松田優作は、彼の一挙手一投足を研究し、模倣したとか。
そして、その松田優作は原田芳雄より先に逝き、
原田芳雄の家の神棚には、
藤田敏八監督と松田優作の遺影が飾ってあったという。
なんと言っていいのか、ほんとやりきれないね」


                   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ご冥福をお祈りします」悲しい


※たくさん喋ったけど、まだまだ喋りたりない度


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『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』

2011-07-16 13:03:40 | 新作映画
(原題:Transformers : Dark of the Moon)

※※ネタバレ注:一部キーワードを書きました。カンの鋭い方はご覧なってからお読みください。




----このシリーズ、あまり相性が良くなかったのでは?
前回の『トランスフォーマー/リベンジ』なんか、フォーンが喋っちゃたし…。
それにしてはニャんだか、ずいぶん期待していたようだけど…。
「うん。
トレーラーがあまりによくできていたからね。
3Dの特性を生かしたアクションという気がして…。
でも、結論から言うと、
やはりこのシリーズは、自分には向かない。
だれがみてもその技術のハイレベルには感嘆すること間違いないし、
全篇クライマックスと言っていいほどのバトルには圧倒されるけどね」




----じゃあ、いったいどこが合わニャいの?
「うん。
いわゆる、ぞの全篇バトルという作りだね。
最初の方は、凝った設定で
ほほ~っ。これはイケるとなるんだけどね」

----その設定って?
「1960年代の
宇宙への進出をめぐる米ソの競争。
それは、月の裏側に未知の生命体のモノと思われる宇宙船をめぐってのもの。
映画は、1969年7月20日、月面着陸に成功したアポロ11号の
アームストロング船長とオルドリン操縦士が
地球との交信が途絶える間の僅かな時間で、
その宇宙船を探りに行くところから始まる。
もう、このあたりは、
その発想にわくわく。
しかも当時の大統領などがニュースフィルムで登場。
ピンク・フロイドの『狂気』(The Dark Side of the Moon)の話まで飛び出し、
おっ、これは…と、思わせるんだけど、
その後は、まあ、いつもの展開。
オートボットディセプティコンとの間で、
ある<大きな裏切り>があり、
また、人間をも交えた<善良な嘘>があり。
あまり言うと、ネタバレになっちゃうから言えないけど、
そういう、ちょっとしたドラマを入れながらも、
その基本は、<九死に一生を得る>の連続。
本来なら、いくつあっても足りない命が、
とにかくギリギリで助かり、
逃げまどう間もなくホッとする間もなく、また逃げまどう。
一般人なのに、どれだけスタミナあるんだ…って感じ。
で、それが息つく間もないスピード、しかも3Dなもんだから
目が疲れ、脳内がしびれてきちゃう」




----そう言えば前回、
「マイケル・ベイはいつからかトニー・スコットみたいに夕陽を撮るようになった」
と言ってたけど、今回はどうだった?
「そこそこ。
またまた、印象的な夕陽のシーンが、
惜しみなく投入されていたね。
なんて、こんな別角度からしか喋れないから、
ほんと、相性よくないんだろうな、この映画」




フォーンの一言「そうは言っても、好きな人が観たらたまらなくうれしい映画なのニャ」
いいねぇ

※敵を欺くには、まず味方からだ度

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画像はアメリカ・オフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。

『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2』

2011-07-10 13:48:31 | 新作映画
※一部、ネタバレにも触れています。原作未読者はご注意。

(原題:Harry Potter and the Deathlly Hallows Part II)



----ついに、このシリーズ終わっちゃったね。
えいは、原作をすべて初版で買いそろえたほどのファン。
感慨深いのでは?
「う~ん。それがそうでもないんだな。
思えば第一作『ハリー・ポッターと賢者の石』
衛星回線による記者会見に言ってから10年。
確かに時の流れは早い。
でも、このシリーズが『スター・ウォーズ』の時ほどに
ときめきを感じさせないのは、
おそらく、原作が出版されて、
その後追いの形で順次映画化…という、
その構造にあったと思う。
まあ、これは原作ものの宿命で仕方がないんだけどね。
ただ、そのためぼくのような原作既読者にとっては、
それがどう映像化されているかの確認作業となるわけで、
センス・オブ・ワンダーに乏しくなる。
その最たる例がスネイプ(アラン・リックマン)
映画でのみ接しているファンの多くの興味は、
おそらく彼のポジショニングにあると思うしね。
ちょっとネタバレチックになるけど、
ぼくは原作を読んだ時、
『これはスネイプの愛の物語だ…』と…」

----あと、てダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)
ほんとうに亡くなっているのかも、
気になるところ。
「あっ。そうか。
それもやはり人によっては信じたくない話だし、
どこかで何かがおおるのではと思うかもだね。
と、結局、物語寄りに語ってしまっているけど、
今回の特徴は90%以上にもわたるナイトシーン。
ドラキュラ映画じゃあるまいし、
ここまで夜が延々と続く映画は、
これだけのブロックバスター・ムービーにしては珍しい」

----へぇ~っ。
今回初の3Dでしょ。
それだけ夜のシーンが多いときつそう。
「それが(おそらく)新しい3Dメガネの登場もあってか、
さほどは気にならなかったね。
しかも、鏡の中を動き回るシーンなど、
今回、この映画に関しては
想像していたよりかは遥かに効果的だったと思う。
あるものが爆破して眼前いっぱいに、その破片が
ひらひら舞い落ちてくるシーンとかも、
こちらは逆に“飛び出す”効果がうまくいっていた」

----おおっ。意外と誉めているニャ。
「そうだね、
ただ、これは原作がそうだから仕方がないことだけど、
あまりに内容が暗いのに加えて、ナイトシーンが多いので、
もはや子どもたちには厳しい映画になっている。
一方、最終章を二部に分けたことについいては正解で、
ホグワーツでの戦いも、
じっくり時間をかけて描かれる。
それも、これまでのスペクタクル戦闘シーンとは、
まったく趣を異にしていて、
血で血を洗う戦いが繰り広げられる。
一種の戦争映画と言ってもいいかもしれない。
そのシーンに限らず
グリンゴッツ銀行への潜入と、ドラゴンの背に乗っての脱出、
炎に包まれた部屋でのドラコ・マルフォイ (トム・フェルトン)との箒二人乗りなど、
原作の映像化としては
これ以上望めないほどのスペクタクルを堪能させてくれる
ただ、それでも新たな登場人物それぞれの関係に関しては言及不足で、
兄アッバス・ダンブルドアに対する弟アバーフォースの確執。
あるいは、ふたりの妹アリアナについても
なんのことか分からない人もいるのでは…と思ったね」




----俳優の方はどうニャの?
「いやあ。
まずその演技に敬意を表したいのが
ヘレナ・ボナム・カーター
映画の中で、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)
ベラトリックスに変身しているシーンがあるんだけど、
一瞬、どっちが演じているのかわかんなくなっちゃったくらい。
外面はベラトリックス、内面はハーマイオニーって感じ。
エマ・ワトソンが出てきたついでに話せば
ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント…。
いずれも、みんな成長しすぎの感は否めない。
ただ、ネビル・ロングボトムを演じた
マシュー・ルイスは、
その大きくなった体の中、
自らの弱さを克服しようとしている感じがよく出てたと思う。
あっ、そうそう。
ハーマイオニーとロン、
ハリーとジニ―(ボニー・ライト)のキスシーンもあるので、
こちらも楽しみにね」





                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これだけのヒット・シリーズ、このまま終わるのもったいないニャ」小首ニャ

※ロンがハーマイオニーに、ハリーのいびきについて訊くシーンがオモシロい度

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画像はオフィシャルより。

『復讐捜査線』

2011-07-07 22:39:42 | 新作映画
(原題:Edge of Darkness)


----これは、メル・ギブソンの主演作。
“完全復活!”って、どういうこと?
「(笑)この言い方って確か、
『クリフ・ハンガー』のときの
シルベスター・スタローンもそうじゃなかったかな。
この作品の場合、
メルギブの出演作は『サイン』以来、8年ぶり。
ただ、日本に限って言えば、
彼がブレイクしたのが『マッドマックス』ということもあって
アクションスターのイメージが強い。
そういう意味で今回映画には“完全”が付いたんだろうな」

----そうか。
タイトルからしてもアクションだものね。
「うん。ちょっと
チャック・ノリスっぽいけどね(笑)。
さて、物語はシンプル。
久しぶりに娘と再会したベテラン刑事トーマス・クレイブン(メルギブ)が、
その最愛の娘を自宅の玄関で、それも目の前で殺されてしまったことから、
独自に捜査を進めるというモノ」

----えっ。父親と間違われたわけじゃないんだ。
「うん。
実は、事件の陰に、
娘が勤務していた軍需産業、
そして、そこと連なる政府の裏の姿までが顔を現してくる。
しかも、それが“核”がらみとあって、
なんだか背筋が寒くなったね。
なんとガイガーカウンターまで出てくるんだ」

----ふうむ。偶然とはいえ、
ちょっと怖くなるニャ。
「実はこの映画、
『グリーンランタン』の公開も控える
マーティン・キャンベル監督作品。
『007/カジノ・ロワイヤル』などのヒットメーカーとして知らる彼だけど、
イギリス人の彼がハリウッドに招かれるきっかけとなったのが、
この映画のオリジナルであるBBC製作のミニ・シリーズ、
『刑事ロニ―・クレイブン』」

----ニャるほど、セルフ・リメイクってわけか。
「うん。それだけに余裕の演出。
昨今の映画ののように、
カーチェイスもガンファイトも
むやみに延々続くことはない。
それぞれの使い方をよく心得ている。
ここぞというときに車は登場。そしてクラッシュ。
同じく銃も、その発砲の時を無駄にはしない。
しかも、登場人物もなかなかオモシロい。
なかでも、
レイ・ウィンストンが演じるプロの始末屋ジェドバーグが見モノ。
彼の最後の行動とキメのセリフ。
これがまた今の日本の現状と見事に符合しているんだ。
この映画を観たおかげで、
最近観た他のアクション映画がかすんでしまっちゃったよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「一見、B級っぽいけどニャ」小首ニャ

※そこがいいのだ度

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『コクリコ坂から』

2011-07-05 23:00:28 | 新作映画

----これって、宮崎吾朗監督の新作だよね。
「うん。
実を言うと、この監督の前作
『ゲド戦記』のとき、
ぼくはけっこうほめちぎって、
周りの信用(?)を失ったことが…(汗)。
そのせいもあって、
今回は、少し引いて観てみたんだけど…。
いやあ、これは一言で言えば珍作(いい意味で)。
ぼくは、まだついていくことができたけど
いまの若い人にはどうなんだろう?
この世界観がすんなり受け入れられるのかな?」

----えっ、そうニャの?
ここ数年、昭和、特に30年代がブームだし、
それは心配いらないんじゃニャいの?
「いや。
ぼくが言っているのは背景となっている時代じゃなくて、
その時代に作られた映画、
とりわけ日活青春・学園映画のノリだということ。
ここにはあの時代の映画のノリがそのまま。
浜田光男、吉永小百合。
高橋英樹、芦川いづみ、田代みどり
といった
懐かしの青春映画の顔が、
アニメの中にダブって見えてくるんだ」

----ふうん。でも、顔は全然違うけど…。
「なんと言ったらいいのかな。
その会話とか仕草だね。
そうそう、画の色遣いもそう。
港の夜空の色が深く濃い緑だったりとかね…。
さて、ここで簡単なあらすじを…。
舞台は1963年。
主人公は、港の見える丘にあるコクリコ荘という
下宿屋を切り盛りする
16歳の少女・海(長澤まさみ)。
彼女の父は、朝鮮戦争のあおりを食らって海で亡くなっている。
そんな父を待つかのように、毎朝、海に向かって彼女は信号旗を揚げる。
そしてタグボートで通学していた17歳の少年。俊(岡田准一)は、
海の上からその旗をいつも見ていた。
物語は、このふたりの初恋を縦軸に、
歴史と思い出の詰まった古い文化部部室の建物、
通称カルチェラタンの保存をめぐる学生たちの戦いを横軸に、
展開していく」

----えっ、学生運動が絡むの?
「いや、それはちょっと違う。
原作にはそれが滲んでいるようだけどね。
さて、少し話を戻すと、
学生たちの間でこの建物を壊すべきか保存すべきかの
それこそつかみあいにまで発展するような大討論が
学生集会で交わされる。
と、突然、生徒会長が歌を歌い始め、
みんながそれに合わせて合唱を始める」

----ぷっ。ニャにそれ?
「実は、先生が見回りに来るんだね。
で、仲良くやっているように見せるため、
彼らは争いを止め、歌で物事を治めちゃう。
その発想といい、
昭和唱歌か歌声喫茶かといった感じのその歌といい、
これは、まさに60年代の日活青春映画」

----ニャるほど。そういうことか…。
でも、そんなに古くっちゃ、
確かに今の映画ファンには付いていけないかも…。
「そこなんだよ。
ぼくが逆に強調したいのは、
この映画の中でもっともドキッとさせられたセリフ。
それは『古いものを壊すということは過去を捨てるということと同じじゃないのか』
『人が生きて死んでいった過去の記憶を捨てることと同じじゃないのか!?』
という俊のセリフ。
後で、プレスを読んでビックリしたんだけど、
これは宮崎吾朗監督自身が脚本につけ加えたセリフらしい。
つまり彼は『過去の中から、未来が生まれる』と言おうとしているわけだ。
だからこそ、宮崎吾朗は映画そのものも
このようなスタイルを取った。
日活の青春・学園映画という、
今では一部の映画マニアにしか目にしなくなった文化を
こういう形で語り継ごうとしたわけだ。
この物語そのものには、
“ふたりの出生の秘密が邪魔する恋の行方”など、
手垢のついた感がないでもない部分も多いけど、
このスタイルひとつとっても、これは画期的な映画。
そしてそれをやれるのはジブリしかない…ぼくは、そう思うよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「あれっ。音楽は久石譲じゃニャいんだニャ」ぱっちり
※ナイショ。タイトルは原題の方がいいなあ。
そうそう。武部聡志、これがまたテンポがいい。
ベンチャーズを彷彿させる曲もある度

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猫ニュー

『モールス』

2011-07-03 19:28:13 | 新作映画
(原題:Let Me In)


----これはスゴい評判。
観る前から、胸わくわくさせていたけど、
どうだった?
「いやあ。
噂にたがわぬ映画。
だけど、この映画の魅力を語るのって
けっこう難しい。
オリジナルが、
『ぼくのエリ、200歳の少女』
すでに傑作との評価を得ている、
あのスウェーデン映画を、どうハリウッド・リメイクするのか?
雰囲気が壊れるんじゃないかということが
もっとも懸念されたところだけど、
いまの作家はたいしたものだね。
『クローバーフィールド/HAKAISHA』で名を挙げた監督のマット・リーヴスは、
前作とはまったく違うタイプの画作り。
雪がしんしんと降る森閑とした夜の空気の中、
結ばれるはずのない、
幼い少年オーウェン(コディ・スミット=マクフィー)と少女アビーの恋の行方を情感たっぷりに映し出す」

----結ばれるはずのない?
「あっ、これはもちろん話してもいいことだけど、
この少女は、いわゆる吸血鬼。
血がなければ生きていけないし、
日光に浴びたら死んでしまうわけだから、
ふたりの逢瀬は夜に限られる。
だからこそ映画は余計にムーディなものに。
また、そのバックでずっと映像に寄り添う
マイケル・ジアッキノの音楽がいいんだ」

----ニャるほど。
そのアビーを演じているのがクロエ・グレース・モレッツだよね。
「そう。
『キック・アス』と同じ女優とはとても思えない。
触れたら手の中で溶けて消えてしまいそうな
淡雪のような儚さを体中からにじませている。
この映画は、彼女なしでは成立し得なかったと言っても過言じゃないだろうね」

----少女が吸血鬼の映画と言えば、
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』があるけど…。
「そうだね。
でも、この永遠にさすらう吸血鬼の哀しみとしては、
むしろ萩尾望都『ポーの一族』が近いかも。
ただ、あれはエドガーとアラン、
ふたりとも男性だったけど、
ここに出てくるふたりは男女。
映画としては、雪のイメージもあってか
『ジェレミー』を思い出したね。
さて、物語は、
このふたりに、連続猟奇殺人事件が絡んでくるという構図。
この殺人事件は、吸血鬼がらみなわけだけど、
その描き方がなかなか凄まじい。
このあたりが、ハリウッドならでは。
アビーにしても、いったんその正体を現すと、
まるで、『エクソシスト』の、
あのリーガンをも凌ぐおぞましさ。
さて、その正体を目の前で見たオーウェンが
最後に選んだ道とは…。
いやあ、何度でも観たくなる映画だなこれは…」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ところで、モールスの意味はなんなのニャ」小首ニャ

※ナイショ。タイトルは原題の方がいいなあ。
そうそう。フランコ・ゼフィレッリ版『ロミオとジュリエット』が巧く生かされている度

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猫ニュー



『スリーデイズ』

2011-07-02 16:45:00 | 新作映画
(原題:The Next Three Days)



----これって、フランス映画『すべて彼女のために』のリメイクだよね。
「そう。
前作も緊迫感に溢れていてオモシロかったけど、
これもなかなか。
最初はランニングタイムが134分と聞いて、
正直、ビビっちゃったんだけどね。
なにせ、監督がポール・ハギス
『クラッシュ』だとか『告発のとき』だとかの
硬質な映画を手掛けているだけに、
変に社会臭がいっぱいになっていたら
ちょっといやだなと…」

----ニャるほど。それは分かる気がするニャあ。
「ところが、
これが実に巧くできている。
詳しいお話は、
『すべて彼女のために』を参考にしてもらうことにして、
さわりだけを…。
上司殺害の罪に問われた妻ララ・ブレナン(エリザベス・バンクス
無罪を確信する夫ジョン(エリザベス・バンクス)は裁判のため奔走するが、
殺人罪が確定してしまう。
そこで、彼は、脱獄のプロ(リーアム・ニーソン)と会い、
彼から聞いた話を基に、
妻を脱獄させ息子とともに海外へ脱出するという、
だれが見ても不可能としか思えない大胆な作戦を実行する」

----どうだったの?
「前作は、ぜい肉をそぎ落とした、
そのスピーディな展開がお見事。
さて、これにどう肉付けするのかな?というのが、
今回の最大の注目ポイントとなったわけだけど…。
エピソード的には、
オープニングに、ララと殺害される上司とのわだかまり、
そして、エンディングに、
殺害現場での刑事たちの再検証を入れたことかな。
実は、この検証のシーンでぼくは
『殺人の追憶』)を思い出したんだけどね」

----ニャるほど、余韻があるわけだね。
でも、それだけじゃ持たないでしょ?
「もちろん。
その分、ポール・ハギスは
映像として魅せる部分をいくつも取り入れている。
なかでも白眉なのが、
車で脱走する途中、
絶望感に襲われた妻が車から身を投げようとするシーン。
片手でハンドルを握り、
片手で妻の手をつかみ引き上げる。
当然に車は蛇行し、あわや大惨事に…。
これをポール・ハギスは、
『M:I-2』)ばりの
華麗な映像で見せるからたまらない」

----そうか、元より、
普通に考えれば、不可能な物語だけに、
映像で迫るわけだニャ。
「うん。
それでも映画の根底に流れる
“妻への揺るがぬ信頼と愛”、
“絶対に、なんとかする!”。
このふたつが、
しっかりと引き継がれているだけに、
感動と興奮は揺らぐことはない。
大きな声じゃ言えないけど、
ぼくは、ポール・ハギスの中では
今回が、いちばん楽しめたね」





                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「家族の絆は何よりも強いのニャ」ぱっちり
ブライアン・デネヒーの出演も嬉しかった度

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画像はポーランド・ポスターより。