ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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リアル鬼ごっこ(園子温監督版)

2015-05-26 14:50:01 | 新作映画
---ええっ。
久しぶりの映画がこれ?
確か園子温監督の新作だよね。
『新宿スワン』とか『ラブ・アンド・ピース』の方が話題性が多そうだけど…
「まあ、一般的にはそうかもね。
昨日クランクアップしたばかりの『みんなエスパーだよ!』
さらには『ひそひそ星』と、
今年はもう園子温監督イヤーって感じ。
でもすでに観た『新宿スワン』『ラブ・アンド・ピース』『リアル鬼ごっこ』
これら3本に限って言えば
ぼくはこの『リアル鬼ごっこ』が園監督の個性がいちばん出ていたと思う」

----どういうところが?
確か、Twitterでは
『ラブ・アンド・ピース』も
自主映画みたいだ
とか言っていなかったっけ?
「うん。
あの映画は、
普通に考えれば商業映画として企画が成立したのが不思議なくらいの作品。
うだつの上がらないサラリーマンがロックスターへの道を駆け上がる――
そのサクセスストーリーが
下水道の奥に住む
壊れて捨てられた人形、
あるいは飼い主に見放されたペット…といったおとぎ話風ファンタジーと絡み合っていく。
まるで『トイ・ストーリー2』のようでもあり
『バットマン・リターンズ』のようでもあるんだ」

----でしょ。
それに比べて
これって前にヒットした映画のリメイクだよね。
「いや、
厳密にいえばリブート(再起動)
まず“追いかけられて殺される”のは“佐藤さん”ではなく“女子高生”。
で、ヒロインが次々にその姿が変わっていく」

----えっ、それじゃあ『リアル鬼ごっこ』とは言えニャいよ。
「いやいや、そんなことはないんだ。
前シリーズ『リアル鬼ごっこ』のラストにおいて、
この“追いかけられて殺される”物語は、
多元世界のいたるところで行われていることが示される。
この映画は、それを踏まえた上で
3つの次元が異なる世界が登場する。
で、オモシロいことにそれらはすべて“女性だけの世界”なんだ。
これまで『アラビアのロレンス』『戦場のメリークリスマス』のように
男しか出てこない映画はあったけど、その逆。
どこまでいっても女性しかいない。
こんな異様な世界、ぼくは観たことがない。
なにせエキストラ、そう街の住人まですべてが女性。
そんな中を、トリンドル玲奈篠田麻里子真野恵里菜
3人のヒロイン(と言っても姿だけ、意識は同じ)が
殺されまいと疾走する」

----ニャるほど。
園子温監督だから殺しも派手そう。
「そこそこ。
観たときの衝撃を考えて深くは話さないけど、
最初の殺戮からして衝撃!
修学旅行中の女子高生たちが一斉に
あっという間に切断、輪切りにされる」

---ええっ。大丈夫ニャの?
最近も『チャッピー』で自主規制が働いたばかりじゃニャい?
「うん。
まあ、この作品が劇画チックというのもあるのかもしれないけど、
それぞれの会社の意向もあるかもね。
『チャッピー』の配給ソニー・ピクチャーズは
園子温監督『新宿スワン』を配給。
果たしてこの『リアル鬼ごっこ』だったらどうか?
この作品、松竹、アスミック・エースの共同配給。
ぼくの知る限り、松竹と名が付いた映画で
これほどの殺戮数、血のりは観たことがない。
園監督自身も『みんなが僕に求めているもの、
期待している園子温を久々に出せると思います』
と語っている」

---ということはかなりエログロ?
「いや、エロはほとんどないね。
女子高生のパンティくらい。
でもグロは全開。
それもCGに頼ったものではなく
西村喜廣による特殊造形の力によるところが大きい。
あっ、この西村監督の新作『忍者 虎影』も必見。
実をいうと、観ている間、
この『忍者 虎影』は、今年の裏ベストともいえるんじゃないかと思ったくらい」

---その話も聞きたいニャあ。
「ぼくも喋りたいけど、
収拾がつかなくなるからね。
ということで『リアル鬼ごっこ』
こちらは、基本設定こそ同じだけど
あとはフリー。
園子温監督のシュールな世界が次々とお飛び出す。
いわゆる全篇が“終わりのない悪夢”
筒井康隆の世界をもっとグロくした感じ。
でも、これってただ映像に置き換えただけだと
イメージの羅列で死んだ画になってしまう。
園子温度監督は『原作をあえて読まず、
前からやりたかったこと、企画が結実しなかった作品のプロットをいくつも導入し、
位置から脚本を書いた』
とのこと。
おそらく頭の中で、
何度もそれらのイメージが反復していたんだろうね。
でなければ、ここまで生きた画にはならないもの。
やはり、こういうのを映画的才能というんだろうな」



フォーンの一言「この映画、ある大きな秘密があるらしいのニャ」身を乗り出す

※「うん。その世界観は、かつてある日本のアニメ監督がやっている度


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『チャッピー』

2015-05-15 23:56:25 | 新作映画


(原題:Chappie)


※注意:人によってはネタバレと感じるかも。
映画をご覧になってから読まれることをお勧めします。



----チャッピーってかわいい名前だよね。
アニメのキャラみたい。
「うん。
ぼくも懐かしのTVアニメ『宇宙少年ソラン』を思い出した。
あのアニメでのチャッピーは主人公ソランの肩の上に乗るリスみたいな生きもの。
いま考えるにピカチュウの原点みたいなものかな」

----ニャんか、
話がそれすぎていニャい?
「ごめんごめん。
この映画のチャッピーは
兵器企業会社に勤める開発者のディオン(デーヴ・パテル)が
苦労の末に作り出したAI(人工知能)」

----えっ、それって
スピルバーグの映画にもあったよね。
もともとはキューブリックの企画だったという…。
「ズバリ、『A.I.』のことだね。
自分自身で“感じ”、“考え”。
と、ここまではこの映画も同じ。
ただ、次の一点が大きく異なる。
それはこのAIが“成長する”こと。
実はチャッピーはみんなから祝福されて生まれてきたわけではない」

----どういうこと?
「ディオンは長年AIを生み出すことに没頭。
ようやく完成したそれをさっそく搭載!―-と気がはやるものの
上司のミシェル(シガーニー・ウィーヴァ―)にその申請を却下されてしまう。
やむなく彼はスクラップ寸前のロボットを盗み出し秘密裡に搭載。
最初は、それこそ言葉も分からずおびえるだけの
赤ちゃんのようなチャッピー。
しかし周りの“教育”によって
急速にその“個性”が出来上がっていく」

----周りって?
ディオンだけじゃないの?
「うん。
ディオンは自分たちの無法の邪魔をする兵器ロボットの動きを押さえ込もうとする
ストリートギャングによってロボットとともに誘拐されてしまうんだ。
つまり、このロボット、チャッピーの周りにいるのは
彼の創造者であるディオンと、そしてギャングたち。
そのギャングも母性を持つ女性(ヨ―ランディ)もいれば、
チャッピーを使って悪事を働こうとするニンジャもいるもんだから、
超ユニークな個性が身に付いてゆく。
つまりここには教育をも含む人間社会の環境と成長、その関係の縮図が描かれているんだ」

----ニャるほど。
もとより人工知能だから、
成長のスピードは速い…というわけだニャ。
まるで『寄生獣』のミギーだ。
「そうなんだよね。
監督のニール・ブロムカンプ
あの原作を読んでるんじゃないかな。
さて、ここにこのディオンを妬んでいるひとりの男が登場する。
それが同僚の科学者ヴィンセント(ヒュー・ジャックマン)。
彼は自らの開発した重武装ロボット、ムースの優位性を誇示するため、
兵器ロボットのデータに侵入してその動きにストップをかける。
つまりそれによって街が無法状態となったところで
ムースを出動させようと目論むわけだ。
そしてさらにはチャッピーを壊すべく攻撃を仕掛けてくる。
ここでぼくの脳裏によみがえったのが
『鉄腕アトム』と『鉄人28号』

---どういうこと?
「つまり自分の意志で動くロボットと操縦型ロボット。
日本の漫画創世記に
手塚治虫横山光輝が生み出した
ふたつのパターンのロボットが
いまハリウッドで“夢の対決”をするわけだ」

---でも主人公はチャッピーだから、
どっちが勝つかは読めちゃうよ。
「まあね。
でも問題はここから。
実はチャッピーはスクラップ寸前ということもあり
バッテリーが5日しか持たない。
しかし彼はもうすっかり成長し、
人間と同じ感情がある。
死ぬのは嫌だ!
でも死ぬって?
ここに、おそらく人類最古にして永遠の課題、
“命の意味”がチャッピーの前に横たわる。
体はなくなっても、
この数日で彼の中に膨らんだものが残れば、
それは死んだことにはならないのではないか?
かくして彼は今の体を捨て
その膨らんだもの“意識”を残そうとする…。
あっ、ちょっと喋りすぎたかな。
でも、これはここを話さないと意味がないからなあ」

---う~ん。難しいところだニャあ。
でも、結末を言ってニャいからいいんじゃニャいの。
フォーンは、そう思うよ。



フォーンの一言「この映画、いろんなテーマが詰まっているのニャ」身を乗り出す

※「それを一気呵成に見せてくれる度

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『ラン・オールナイト』

2015-05-09 13:26:10 | 新作映画

(原題:Run Allnight)


----これってリーアム・ニーソン主演のアクションだよね。
最近、似たような役が続いているような…。
「そうだね。
彼は本来は、アクション以外もできる性格俳優だと思うんだけど、
『96時間』シリーズがヒットしてからというもの、
“家族のために体を張る男”というイメージがついたみたい」

----ということは、
今回もその路線ってことかニャ?
「うん。
しかもそれが今回のはピタっとハマっている。
この映画は、
タイトルでも分かるように、一晩の物語。
広い意味でのタイムリミット・サスペンス。
しかも夜のお話ということもあり、
ノワール・イメージを全編に漂わせることができる。
いや、物語自体はよくあるものなんだ。
主人公は殺し屋として闇の世界に生きるジミー(リーアム・ニーソン)。
そんな父のせいで、
家族バラバラになったことを恨む一人息子のマイク(ジョエル・キナマン)。
ボクシングジムで親のいない子供たちの指導をするなど、
父とは真反対の道を歩む彼だが、
ある日偶然から、NYを牛耳るマフィアのボス、ショーン(エド・ハリス)の息子ダニーの殺人現場を目撃してしまう。
息子の命を救うべく、やむなくダニーを殺すジミー。
ショーンとは固い絆で結ばれた30年来の親友だったが、
息子を殺されたショーンは、歎き、怒り、ジミーに宣告する。
『お前の息子を殺して、お前も殺す』と…。
かくして、ニューヨーク中を敵に回した
父と子の長い夜が始まる…」

----ええっ、ニューヨーク中って…。
警官はどうしてるのよ?
「(笑)フォーン、分かっていて聞いていない?
警官はマフィアに買収されているんだ。
この映画のオモシロさは、
そのエピソードに関わらず、
これまでにもよくあったような設定やエピソードが、
それぞれブラッシュアップされて出てくるところなんだ。
だから、カーチェイスもあればガンアクションもある。
しかしそのカーチェイスは
敵である警官に捕われた息子のパトカーを追ってのもの。
また、ガンアクションの方も
拳銃もあれば猟銃もある。
瀕死の体で猟銃に弾丸を装填するシーンのサスペンスなんて
ほんと見モノだったね。
しかもその決闘場所も操車場だったり森の中だったりと、
互いのいる位置を探りながら。
あと、警官隊、そしてプロの殺し屋に取り囲まれるマンション。
ここも香港映画定番の
アパートの上下階への追いつ追われつがパワーアップ。
そうそう地下鉄ホームも『フレンチ・コネクション』を思い出したね」

----ニャるほど。
目新しさはないけど、
一つひとつが丁寧だってことだニャ。
「うん。
目新しさといえば、
ニューヨークの街の中を大上空からの鳥瞰撮影で移動するカメラかな、
ジミーの物語、マイクの物語、ダニーの物語。
それぞれ、どこで何が行われているかを
まさに“神”の視点で見せる。
とはいえ、
これも実はアラン・レネ監督の遺作『愛して 飲んで 歌って』でも使われていたけどね」
----ふうん。
でも、テーマとしても新しくなく、
シーンとしても、
どこかにあった感じなのに、
ただブラッシュアップってだけで
そんなに気に入っているのはニャんで?
「それはつまりこういうこと。
映画は、やはり見せて魅せるもの
とりわけこんなエンタメ作品において
観客は目新しいテーマを求めたりはしていない。
父への不信を抱いて30年生きてきた息子が
父とふたりで夜中、逃げ回り、
生死を共にするうちに、
その絆が回復されていく。
だれも嫌うはずがないこのテーマを
どれだけふくよかに見せてくれるか、
これってなぜ人は映画を観るかをを考える中で、
意外と、映画の秘密に近づいているのかも…
と、ぼくはそう思ったわけ」

---ニャるほど、それでこの映画の紹介ってわけか…。



フォーンの一言「主人公が息子の敵を狙うボスと親友ということもポイントなのだニャ」身を乗り出す

※「エド・ハリスならではの見せ場もある度


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