ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『幸せの始まりは』

2011-01-29 18:21:05 | 新作映画
(原題:How Do You Know)


----こういう感じの映画って、
一年に何本かは必ず出てくるよね。
「おおおっ。こういう感じって…、
フォーンは、この映画をどんな感じと思っているの?」

----う~ん。順風満帆な人生を送っているかに見えていた人が、
ある“壁”にぶち当たって、
いったんは落ち込むものの、
どうにか立ち直っていく。
で、その多くは“真実(ほんとう)の愛”に出会ったのがきっかけ?
「あらら。ほんとだ。
分かっている。
じゃあ、もう言わなくてもいいか。
この映画は、
20代の情熱をソフトボールに賭けてきたリサ(リース・ウィザースプーン)が主人公。
31歳になった彼女に、ある日、クビの宣告が下る。
そんな彼女にもボーイフレンドはいる。
メジャーリーガーのリリーフ投手、マティ(オーウェン・ウィルソン)だ。
彼は、セレブなマンションに住む根アカのプレイボーイ。
決して悪い男じゃないけど、
こういうときに彼女の気持ちに寄り添えるタイプじゃない。
そんな中、かねてよりチームメイトに紹介されていた
青年実業家のジョージ(ポール・ラッド)とデートするリサだったが、
ジョージは国税局のメスが入り、
父親の代わりに収監されるかもしれにという窮地に立たされていた…」

----へぇ~っ。単純そうに見えて
いろいろと肉付けが施されている…。
「そういうことだね。
この映画の監督はジェームズ・L・ブルックス
彼ほど、自分の立ち位置がしっかりしている監督もあまりいないだろうね。
たとえば、彼がSF大作やホラーを手掛けるというのは、
まず想像がつかない。
そのほとんどが、都会に住む男女の心の機微を、
それぞれの人生のドラマの中で丁寧に描くといったモノ。
機知に富んだ言葉がスクリーンを飛び交い、
それに対する相手の反応を、その表情で見せる。
今回は、大苦境に立たされた彼女に、
恋人はもちろんのこと、仲間がどんな言葉をかけどんな、態度を取るかを
なるほどな…という形で提示して見せ、
そしてそれは、正しいのか正しくないのかも、
ヒロインの立場ではっきりと答を出してゆく。
そういう意味では
主人公がどうしたらいいのか、
グダグダ感が強かった『僕が結婚を決めたワケ』に比べて、
潔いというか、問題の先送りをしない」

----あらら。公開が始まった途端に厳しいニャあ。
この映画を褒めているように見えるけど、
もし公開されたら、また厳しいこと言うのでは?
「(汗)ヤバいヤバい。
じゃあ、いまのうちから少し厳しい言葉も。
この監督の映画、ちょっとセリフに頼りすぎ。
少しうるさいくらいにね。
字幕があるからいいけど、そうじゃなかったら
役者の表情だけで読み取らなくてはいけなくなる。
と、言いつつ、また少しこの映画のいいところを。
さっきまでの話だと、
ヒロインを始め、何が正しくて何がダメかを
教条主義的に見せているようにも聞こえるけど、
ちゃんと、男の内なる欲望も描いているのが嬉しい。
なんとか、一歩進んだ関係にと願うジョージの行動や表情が
けっこう笑えるんだ。
というようにこの映画、
特別に悪い人も出ないけど、特別に言い人も出てこない。
あっ、キャスリーン・ハーン演じるジョージの秘書アニーは別。
ほんとうに上司思い。
こういう秘書がいたら、ほんと助かるだろうな。
あと、ジェームズ・L・ブルックス作品に欠かせない
ジャック・ニコルソンも見逃せない。
彼はジョージの父親役。
比較的冒頭の方で、
アニーが彼を殴ろうとするシーンがあるくらい、
ほんとにいやなエゴの塊なんだけど、
その彼が息子が彼女とうまくいっているのを見て
父親ならではの笑みを浮かべ、
しかしすぐにあることに気づく…。
そのときのなんとも微妙な表情。
これは、この映画のひとつの見どころだね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ふうん。役者は揃っているみたいだニャ」
身を乗り出す
なぜか『グッバイガール』を思い出した度


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画像はアメリカ・オフィシャル(壁紙ダウンロードサイトより。


『パラノーマル・アクティビティ2』

2011-01-27 22:34:02 | 新作映画
(英題:Paranormal Activity 2)



「いやあ。驚いた。
『これは再現ドラマではない。』とは、
なんてよく考えたコピーだろう。
確かに
『これは再現ドラマではない。』

----えっ。それってどういうこと?
じゃあ、この映画ってドキュメンタリー?
「いやいや、そうじゃない。
なぜ“再現ドラマじゃない”のか?
だって、こんな事件は初めから起こっていないモノ。
この映画のオリジナルは、
2006年、21日間に渡ってホームビデオに記録された
サンディエゴ郊外で起こった謎の未解決事件。
今回は、それと同じような不可解な現象(パラノーマル・アクティビティ)が、
ごく普通の幸せそうな家庭で起こるというもの。
で、その現象を家中に設置されたカメラがとらえるという筋書き。
で、これは明らかにモキュメンタリー。
ぼくが、すごいなと思ったのは、
ここまで、だれが見てもこれは“フェイク”と分かる作りにしてありながら、
全米で大ヒットを記録したこと。
アメリカの映画ファンは、
とにかく、映画を楽しんじゃおう。
楽しんだ者が勝ち…という考えが根底にあるということがよく分かる。
そういう意味では、いかにも実際に起こったことを再現したように見せている
『THE 4TH KIND フォース・カインド』よりも、
この映画は遥かに潔いと思うね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「で、ニャにが起こったのニャ」
ご不満
だから、不可解な現象(パラノーマル・アクティビティ)だ度


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『悪魔を見た』

2011-01-25 23:57:51 | 新作映画
悪魔を見た(英題:I Saw The Devil)



----またまた、韓国の殺人鬼ホラーだ。
この頃、韓国映画と言ったらそういったのばかりのような…。
「いや。そうとも限らないよ。
刑務所内で合唱団が結成される『ハーモニー 心をつなぐ歌』だとか、
女性兵士の奮闘を描いた『大韓民国1%』なんてのもある。
でも、どれか一本を選ぶとしたら、やはりこれかな。
実力派俳優チェ・ミンシク
イ・ビョンホンががっぷり四つに組んだ作品」





----それ。それが聞きたかったとこ。
“悪魔”を演じているのはどっちのほうニャの?
確か、この映画って
恋人を殺された捜査官(イ・ビョンホン)が
猟奇殺人鬼(チェ・ミンシク)を執拗に追い詰めるってお話でしょ。
結局、復讐鬼になるわけだよね。
あまりにも執拗なその姿が
まるで“悪魔”と言っているようにも見えるけど…。
「そうだね。
普通に考えると、悪魔はこの殺人鬼ギョンチョルの方だけど、
プレスの表2にはニーチェの言葉
『怪物と戦うものは自らが怪物と化さぬよう心せよ。
お前が信念を覗きこむ時、
信念もまたお前を覗きこんでいるのだ』が掲載。
映画を観ても、
捜査官スヒョンの執拗さが悪魔をさらなる怪物にしたようにも取れる。
このスヒョンは、いつでもギョンチョルを殺すことができるのに、
残虐な方法で痛みと恐怖を与えては逃がす。
そして追い詰めて、さらなる痛みを与える。
これを繰り返してゆくんだ。
いわゆる“倍返し”。
骨を砕き、アキレス腱を切断し、気絶するまで殴打する…」

----つまり、被害者である恋人の恐怖は、
こんなものではすまないぞ…ってわけだね。
でも、どうしてそんな風に
一回逃がして、
また追いつめることが可能ニャの?
「ギョンチョルの体内にGPSとマイクを仕込ませているんだね。
さて映画は、この体内の異物にギョンチョルが気づくところから、
次のステップへと向かう。
それまで
だれがなぜ自分を狙っているか分からなかったギョンチョル。
やっとスヒョンの正体に気づいた彼は、反撃へと出る
『俺を生かしたことを後悔するぜ。
待ってろ。もうすぐほんとうの苦しみを教えてやる』」

----ゴクン。やっぱりこっちが悪魔だ。
「悪魔は他にも出てくるけどね。
途中で、ギョンチョルの仲間の猟奇殺人カップルが…。
この映画でぼくが
うまいなあと、感心するところは、
“追いつめる” ということの繰り返しに過ぎないのに、
2時間半近くの長丁場を持たせきっているところ。
このカップルの登場させ方もそのひとつだね。
アクション面も見ごたえあって、
警察に自首に向かい、
もはやスヒョンの復讐も、もはやこれまでかと思われてからの
信じられない奪還劇など、
ハリウッド映画真っ青のシャープかつダイナミックな演出」




----だけど、どこまでいけば、スヒョンの心は収まるんだろう。
決着はどうやってつくの?
「それは観てのお楽しみ。
ビジュアル的にも、心理的にも、
これ以上はない壮絶なエンディングが待ち構えている。
『完璧なる報復』と見比べると
ハリウッド映画とは異なる、
振り子の振り切り方が、よくわかるよ」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「う~ん。ラストが知りたいのニャ」
ご不満
これは忘れられない度


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『アンチクライスト』

2011-01-23 16:02:54 | 新作映画
(英題:ANTICHRIST)


----この映画、日本での公開は絶望視されていたとか。
監督がラース・フォン・トリアーで、
主演のシャーロット・ゲンズブール
カンヌ映画祭主演女優賞受賞しているのに、なぜ?
「まあ、そのふたつの事実で
おおよその想像はつくよね。
かなりに過激な描写が含まれ、
しかもそれをゲンズブールが演じているってこと。
観た直後に思ったのは、
これは(パゾリーニ『ソドムの市』)以来の神をも恐れぬ映画。
物語は…。
愛し合っている最中に幼い息子を事故で失った夫婦。
深い悲しみと自責の念から妻(ゲンズブール)は神経を病んでいく。
セラピストの夫(ウィレム・デフォー)は、
この病院は薬を出しすぎだと、無理矢理退院させ、
自宅治療を試みるが、
妻は哀しみをお夫とのセックスで埋めようとする。
夫は、それを避け、さらなるセラピーを施すため、
催眠療法で妻の恐れている場所を聞き出し、
彼らがエデンと呼ぶ森の小屋へと向かう」

----そこまでは、よく紹介記事で読むよ。
どこが問題か、あまり分からニャい。
「実はこの映画、
プロローグとエピローグを含む6つのチャプターに分かれている。
最初、子供が窓から転落死するまでのプロローグが、
粋を飲むほど美しいハイスピードカメラによるモノクローム映像。
映画『あこがれ美しく燃え』でも使用された
ヘンデルのアリア『私を泣かせて下さい』が、
そのシーンを宗教的な高みにまでもっていく。
ところが、同じ行為=セックスでも、
これがひとたび、森の中に移ると
あまりにもおぞましい、悪魔の儀式に変わってゆくんだ。
“自然は悪魔の教会”とされ、屋根を叩くどんぐりから
“カオスが支配する”と喋るキツネなど、
あらゆるものが、悪意を伴って彼らに襲いかかる。
そんな中、妻の状態はあらに悪化していき…
と、ここからネタバレにもなるし、言えないけど、
ゲンズブール演じる妻の行為はそのエロス性において
世界のトップスターならずとも、
だれもが尻込みするようなことを次々とやってしまう。
それは残虐性においても同じ。
“痛い”ホラー全盛の今でさえも目をそむけなくなるような行為を
夫のみならず、自分にもしちゃうんだね」

----でも、そんな映画が評価されるのには
ワケがあるよね。
「それはそうだね。
『冷たい熱帯魚』がそうだったように、
たとえ、その描写に一瞬目を閉じたとしても、
結果的にはスクリーンを凝視してしまう。
それだけ映像の持つ吸引力にはスゴイものがある。
監督は、『リング』を始めとするジャパニーズ・ホラーにインスパイアされたとか。
ショッキング・シーンも多いけど、
空気で恐怖を感じさせる演出は見モノ。
それと、やはりエンディングだろうなあ。
今考えると、あれこそジャパニーズ・ホラーの影響だ」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「もう、森には行きたくないのニャ」
ご不満
砥石 はかんべんだ度




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『グリーン・ホーネット』

2011-01-20 11:35:27 | 新作映画
(原題:The Green Hornet)



----- えいは、風邪をひいたみたいで、
せき込んでいる。
でも、あまりここをお留守にするのもなんだからって、
今日はフォーンが枕元でインタビュー…。
選んだのは『グリーン・ホーネット』
今週末に公開だし、
なんと、あの独特の語り口で人気、
『エターナル・サンシャイン』
ミシェル・ゴンドリーが監督。
いったい、どんな映画になっているの?
「立派だった父が急死して、
急に新聞社の社長を務めることになったブリット・リイド(セス・ローゲン)
ひょんなことから、使用人のカトージェイ・チョウ
たぐいまれな才能を見ぬいた彼は、
全身グリーンのスーツとマスクで身を包み、
グリーン・ホーネットとして街中の犯罪者と戦う!
まあ、基本のストーリーは、
こんな感じかな」

----- よくある感じのお話だね。
もとは、テレビシリーズだったって聞いたけど?
「そう。
カトー役をブルース・リーが演じていた。
今回は、そのオマージュとして、
スケッチが上手いカトーのスケッチブックの中に、
そのブルース・リーの姿もある。
というように、
あちこち遊びをちりばめているのが
この映画の特徴かな。
カトーは、ブリットとの主従関係に関し得t、
とてもナーバス。
映画の中には、
ふたりの関係を
ブリットがサイモン、カトーがガーファンクルなんてのもある。
あと、この映画は3Dで作られているんだけど、
スプリット・スクリーンを使用したりする。
つまり分割され画面、それぞれが微妙に異なる立体効果を見せるんだ。
と、まあ、すぐに思い出されるのはこんなとこかな。
ギャングの支配者、ベンジャミン・コドンフスキーに
『イングロリアス・バスターズ』クリストフ・ヴァルツ
また『アイアンマン』グウィネス・パルトロウ意識してか、
こちらでは、キャメロン・ディアスをめぐる
恋のさや当てなんてのもあるよ。
ということで、風邪気味なので今日はこんなとこで…」


          (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これ、ヒットするかニャ?」
複雑だニャ

ジェイ・チョウが得していた度


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画像はオフィシャル(Gallery)より。


『あしたのジョー』

2011-01-15 23:00:31 | 新作映画
※作品も出演者もけなしてはいませんが、
人によっては不快に思われるかもしれないということが
いただいたコメントで分かりました。
ファンの方は、スルーされた方がいいかも。




----この映画の原作の高森朝雄って、
いま話題の『タイガーマスク』伊達直人を生みだした
梶原一騎のもうひとつのペンネームなんだよね。
「おっ、そこからきたか。
この『あしたのジョー』は、
漫画があまりにも有名。
ぼくも『少年マガジン』で連載開始から終了まで
欠かさず読んだくらい。
そのブームの頂点は
第106話で力石徹が死んだとき。
2ヶ月後には、あの寺山修司も参加して、
『あしたのジョーファンの集い(力石徹告別式)』が開催。
その一週間後に起きた「よど号ハイジャック事件」では、
犯人グループが『われわれは明日のジョーである』という犯行声明も出した」

----へぇ~っ。話としてはオモシロいけど、
そろそろ映画の方に進んでよ。
「まあ、待って。
このことでも分かるように、
当時ならともかく、
いまや神聖犯すべからず――という感じで、
この原作の映画化はアンタッチャブル。
だれも手をつけようとはしなかった。
ぼくも、実を言うと平成での映画化には危惧があった。
いったい、だれがジョーを、
そして力石を演じるのか?」

----mmm。
「で、結論から言うと、
今の若い役者ではあのジョーを演じるのは難しい。
あまりにも時代背景が違いすぎる。
あっ、誤解されないように言うけど、
これは、山下智久がどうのということじゃないよ。
クールだのニヒルだのって感じは
確かに今の役者でも出せる。
ただ、決定的に違うのが言葉。
ふだんから使っている言葉のアクセントが
どうしても出てしまう。
キムタクに代表される今の若者ならではの
ちょっとぶっきらぼうな言葉遣いがね。
だから、カッコよすぎてしまうんだ。
彼らのスター的イメージが、ジョーからはほど遠い。
ぼくがジョーに抱いているイメージ、
それは、いくら熱くても、どこか寂しげ。
コートの中を北風が吹いているような…

----へぇ~っ。
他のキャラはどうだったの?
「おそらく丹下段平を漫画そっくりに演じた香川照之
原作を地で行くの壮絶な減量をして力石を演じた伊勢谷友介
話題になると思うけど、
ぼくは白木葉子を演じた香里奈
いちばんイメージに近かったな。
あっ、そうそう。
これ、真っ白な灰はもちろんのこと
ホセ・メンドーサが出るところまでも描かれていない。
もしかして続編も考えているのかもね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも、昔も実写版があったらしいニャ」
ぱっちり
長谷部安春監督、石橋正次主演だ度


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『婚前特急』

2011-01-13 22:03:18 | 新作映画
----これって、吉高由里子
4人だか5人だかの男とキスしたとかで話題になっている映画だよね。
「うん。
まあ、確かにそういう煽り方もあるんだろうけど、
ぼくは正直言って、
逆にその煽りで、熱が冷めちゃって…」

----観る前は、気乗り薄だったもんね。
「そうなんだ。
その前に観たある映画があまりにもオモシロくって、
いよいよ、気持ちは離れていって…。
ところが!!!!!!!
これは、ほんとうの拾いモノ。
冒頭の、特急ならぬ普通の私鉄でのいきなりキスに始まり、
エンディングの古い私鉄でのとあるエピソードまで、
ヒロイン、千江(吉高由里子)のあららな毎日が
スクリーンいっぱいに放たれる」

----「あららな毎日」って。
「じゃあ、その物語から。
人生は楽しまなければ損というのが信条のチエは
5人の彼氏と付き合っている。
たとえば食事。
もし、彼氏がひとりだと、
その彼氏がNGになったとき、
自分はひとりで食事をしなければならなくなる。
そういうことが、彼女には我慢できないわけだ。
付き合っているのは次の5人。
●仕事の愚痴を言いたいときは包容力のあるバツイチ・西尾(加瀬亮
●旅行に行くならリッチな年上・三宅(榎木孝明
●スカっとしたい時はバイク乗りの出口(青木崇高
●癒されたい時はかわいい年下・野村(吉村卓也
●ラクしたい時は気取らずにいられる冴えない男・田無(浜野謙太
ところが、結婚したばかりで幸せいっぱいの友人のトシコ()の幸せそうな顔を見て、
5人の彼氏の査定をすることに。
『査定して最後に残った人と、いっそのこと結婚しちゃえば』と言う杏。
まずは、手始めにデメリットだらけの田無と別れることに。
ところが、別れを告げたにもかかわらず田無は
『なんで?俺たち付き合ってないじゃん』と、
これまでどおり、体の関係を続けようと言う。
『はぁ~っ。私フラれたってこと!?』。
かくして、チエは田無に自分を惚れさせ、
そしてフルという、ややこしい復讐(?)に出るが…」

----ニャんだか、ややこしそうだね。
「人の名前がたくさん出てくるからね。
でも、そんなことはないよ。
さて、この映画、
どこがオモシロいかって…。
そのキャラ作り。
少なくとも自分の記憶の中において、
日本映画にこんなヒロインは観たことがない。
勝気で自己チュウ。高飛車で人を見下す。
しかも、自分のプライドのために、
わざわざやらなくてもいいことを、あれやこれや仕掛けていく。
まあ、その奥にある寂しさを分かり、
『かわいいからそれでいいや』という
度量の大きい男もいるだろうけど、
一般に考えると、映画のヒロインたりえない女」

----それは、だれも演じたくないだろうね。
「でしょ。
チエをふった田無は
自分が勤めるパン工場の社長令嬢ミカ(石橋杏奈)に舞い上がってしまうんだけど、
このミカが、人を見かけで判断しない
いわゆる昔ながらのヒロイン・タイプ。
これなら分かるけど…って感じ。
そういう意味じゃ、吉高由里子はよく引き受けたよね。
しかも彼女自身がかぶさって見えるほどの自然体の演技。
途中、周りが百人一首で盛り上がっているときの疎外感の表現、
そしてその後の爆発の仕方なんて、
もう恐れ入ったという感じ。
この映画の監督・脚本の前田弘二って
不覚にもこれまで知らなかったけど、彼はなかなかの逸材。
この映画の落としどころなんて、
ほんと、してやられたって感じ。
なんでもテアトル新宿のレイトショーで彼の特集が組まれ、
新記録を作ったのだとか。
世の中、鋭敏なアンテナを持っている人が
いっぱいいるんだなって再確認したよ」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「日本映画の才能、次々に出てくるのニャ」
身を乗り出す
この監督は期待していいのだ度


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『恋とニュースのつくり方』

2011-01-12 22:37:06 | 新作映画
(英題:Morning Glory)


「これは、映画に対して
特別難しいことを求めない人だったら、
だれもがほっこりと、幸せな気分になる映画。
この冬のおススメ第一弾だね」

----えっ。そうニャの?
テレビ局を舞台にしたサクセス・ストーリーでしょ。
夢を見る分にはいいかもだけど、
どうしても、一部のエグゼクティブの人の話に見えちゃう。
「まあ、確かにテレビ局というのは
そんなイメージがないでもないけどね。
でも、この映画のヒロイン、ベッキー(レイチェル・マクアダムズ)は
のっけから失業してしまうし、
同じ“ワーキング・ガール”を描いても
『プラダを着た悪魔』とは、ちょっと違うかな。
そうそう、脚本もその『プラダを着た悪魔』の
アライン・ブロッシュ・マッケンナだけどね」

----『ワーキング・ガール』といえば、
あの映画に主演したハリソン・フォードも出ているんだよね。
「うん。最近の彼は
正直、イマイチ役に恵まれなかった感じがあるけど、
これはよかったね。
彼が演じるのは、政治と国際関係の世界において
かつて名を馳せた伝説の報道キャスター、マイク。
ベッキーは、全国ネットのテレビ局で
視聴率低迷にあえぐ朝の情報番組を任せられる。
そこはなんともぬる~い現場。
ベッキーは改革の手始めに、
協調性がないメインキャスターのポールをクビに。
そして代わりにキャスター就任を依頼したのが、
この放送一筋のマイクというわけ」

----でも、それって難しそう。
そんな報道畑の人が朝の情報番組を引き受けるとは思えない。
「そういうこと。
というわけで、この映画の第一幕は、
ベッキーがいかにしてマイクを引きずり出すか。
そして第二幕では、
仕方なくキャスター引き受けた彼が、
にこりともせず、番組の雰囲気を壊してしまうさまが描かれる。
しかもプライドだけは高いものだから、
パートナー役でお局でもある
元ミスコン女王のコリーンと衝突ばかり」

----それがダイアン・キートンだね。
「うん。彼女は彼女でプライドがある。
このふたりがマシンガントークの応酬で
火花を散らせるさまは、
この映画の白眉だね。
番組の締めの『さようなら』をどっちが言うかだけでも大変。
お互いに、自分が、自分がで、エンドレスに挨拶が続いていく。
で、視聴率は下がり続け、
ついに上司のジェリー(ジェフ・ゴールドブラム)は、
6週間以内に視聴率をUPしなければ番組は打ち切りと宣告。
そこで、ベッキーは……」

----へぇ~っ。蠅男も出てるんだ(笑)。
しかし、ハリソン、ダイアン、
役がかぶっちゃってる気も…。
「うん。でもふたりには決定的な違いが…。
徐々にバラエティ志向になって行く番組に対して
コリーンはノリノリになるのに、
マイクはつねにムスッ。
このシーンのダイアン・キートンは最高だったね。
50CENTと一緒に歌ったり、
力士相手に着ぐるみで相撲をとったり、
さらにはなんと、カエルにキスまでしてしまう。
それまでナルシストで、お高くとまっていただけに、
この変化はとても楽しかった。
さて、一方のハリソン・フォードはというと…。
まあ、これは明かせないけど、
この映画の彼は、かなりおいしい役どころ。
マイクの復活が最初の感動ポイントだしね」

----そうか。これはコメディはコメディでも
ハートフル・コメディなんだね?
「そう。
この手の映画のお約束事としてで、
最後は、誰もが望む大団円が待ち受けているわけだけど、
その持っていき方が実に心地いい。
ユーモアとしゃれっ気と、そして映像に溶け込む音楽…」

----へぇ~っ。監督は?
ロジャー・ミッシェル
最近は、あまり聞かなかったけど、
あのロマンチック・コメディの傑作『ノッティングヒルの恋人』の監督だよ」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「あれっ?恋の方はどうなっているのニャ?」
うららかフォーン
こちらのお相手は、パトリック・ウィルソンだ度


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『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』

2011-01-09 21:37:30 | 新作映画
----これって、ずいぶん前から期待していた映画だよね。
あまり、戦争映画には興味がないと思っていたけど…。
「監督が贔屓の平山秀幸
最近の日本の戦争映画って、
潜水艦や戦艦など海戦中心で、
こういう本格的な地上戦は
あまり描かれなかっただけに
ちょっと興味があったんだ」

----ニャるほど。
でもキャッチコピーは「生きて、日本に帰ろう」。
戦(いくさ)の勇ましさは、抑えられているような気が…。
「いやいや。
なかなかどうして、これは見ごたえあった。
この映画を観るまでは、
このままでは、戦闘シーンを描ける監督は日本にはだれもいなくなり、
ついには戦争映画というジャンルさえも消えるのではないかと…
密かに危惧していたから、よけいにね。
でも、急いで付け加えるなら、
これもまたぼくの早とちり。
実は、この映画は平山秀幸だけが監督したわけじゃないんだ」

----えっ、どういうこと?
「もうひとり、
『サイドウェイズ』で初監督のチェリン・グラック
アメリカ兵のパートを監督している」

----どういうこと?
どうしてそんなことしたの?
「アメリカ人の内面を描くにあたり
英語がネイティブでない日本人監督が演出するよりも、
グラック監督の方が
アメリカ人の俳優が生き生きと演じられるだろうというわけだ。
その分け方も明快。
日本人パートとアメリカ人パートを、
そのシーンを支配している言語で分けている」

----でも、『硫黄島からの手紙』
アメリカ人監督クリント・イーストウッドだったけど、
まるで日本映画のように自然だったよ。
「あの人は特別(汗)。
さて、お話の方も少し触れなくては…。
まず話しておかなければならないのは、これは実話ということ。
太平洋戦争の激戦地の一つ、サイパン島。
アメリカ軍の圧倒的な兵力のもと、
次々と玉砕、自決していく過酷な極限状況の中、
たった47人で敵に立ち向かい、
多くの民間人を守り抜き、
アメリカ軍からは“フォックス”と呼ばれ、
賞賛された、ひとりの誇り高き日本人の話。
彼は、みんなに祖国の地を踏ませることを念頭に、
無駄死にをさせないように徹底させた」

----ニャるほど。生きて帰ること…か。
サミュエル・フラー『最前線物語』を思い出すニャ。


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「竹之内豊
が主演というのも驚きニャ」
身を乗り出す
真摯な作りの映画だ度


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『GANTZ』

2011-01-07 21:51:03 | 新作映画
※『PART2』の大胆予測もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


----あらら。これもコミックの映画化だ。
「残された最後のカリスマ漫画」
また、大きく出たもんだニャあ…。
「う~ん。
漫画は、その多くが若い人をターゲットにしているし、
それだけ時代の空気を反映したものになっているというのが、
映画化が相次ぐ理由なのかも。
もちろん、内容が斬新ということもあるけどね」

----ということは、これも斬新ニャんだ。
「さあ。そこが微妙。
円谷怪獣映画のようでもあるし…。
“死んだはずの人間”が“GANTZ”に召喚され異星人と戦う…。
確かに、この設定は新しい。
映画を観た限りだと、確かに主人公のふたり(二宮和也、松山ケンイチ)は死んでいる。
なのに、なぜかとある部屋で生きて(?)いる。
しかも、体が輪切りにされて、
ここと、異星人がいる世界、そして元いた世界を行ったり来たり。
どうなっているのか、ワケを知りたいところだけど、
どうやら、今日観たのは『PART1』らしく、
全ての謎が明かされるのは4月公開の『PART2』まで待たなくちゃならない。
実をいうと、映画オリジナルとかいう触れ込みのこの『PART2』の予告が
本篇以上にわくわくさせるんだけどね。
ちょっと、見せすぎの気もしないでもないけど…。
なにせ、死んだはずの人が再登場するし、
ラスボスの正体も、ほの見えるし…
(予告だと小島多恵(吉高由里子)のような)」

----でも、その言い方だと、
今回の『PART1』はそうでもなかったというように
聞こえちゃうけど…。
「う~ん。
ネギ星人、田中星人は新しい意匠だと感心してたんだけど、
おこりんぼう星人がね。
こういう大きな星人との戦いというと、
あの松本人志『大日本人』を思い出しちゃう(汗)」

----mmmmmm……。
「まあ、それはともかく、
この設定はあの『CUBE』をも思い出したね。
ワケも分からず一か所に集められた人間。
そこは1DKのような部屋で、
時間内にミッションをやり遂げないと命に関わってくる。
輪切りのイメージも含めて、
原作者の頭には『CUBE』があったと、ぼくは思うね」

----ちょ、ちょっと待って。
“命に関わる”って、みんな死んでるんじゃないの?
「だから、そこが分からないの。
やはり、これは『PART2』が観たくなる映画だなあ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ちょっと喋りすぎたんじゃないのかニャ」
小首ニャ

監督は『LOVE SONG』佐藤信介だ度


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『僕が結婚を決めたワケ』

2011-01-06 22:27:53 | 新作映画
(英題:The Dilemma)



----へぇ~っ。この映画、
ロン・ハワード監督作品ニャンだ。
タイトルだけ聞くと、軽いコメディって感じだけど…。
「うん。まさしくそう。
ロン・ハワードって、大作の監督のイメージがあるけど、
実は彼を一躍有名にしたのは
ファンタジックなラブコメ、『スプラッシュ』
日本で“国辱映画”と問題になった『ガン・ホー』もコメディだしね。
そうそう、この映画も『ガン・ホー』と同じく、
自動車業界が背景となっている。
あいもかわらず、映画の中で、
日本に対する辛辣なセリフが出てくる」

----へぇ~っ。
主役はだれニャの?
「う~ん。一人に絞るならロニ―を演じるヴィンス・ヴォーンかな。
さて、簡単なあらすじを…。
ロニ―は、親友のニック(ケヴィン・ジェームズ)をビジネス・パートナーに
自動車のベンチャー企業を営んでいる。
そんなふたりは、あるアイデアによって、ビッグなビジネス・チャンスを得る。
そのアイデアとは、エコという時代の流れの中、
電気自動車に、かつての重量級のアメ車の排気音と振動を組み込むというもの。
ところが、試作車製作に取り組みはじめて間もなくのこと、
ロニ―は、ニックの妻(ウィノナ・ライダー)の不倫の現場を目の当たりにしてしまう。
この事実を友人に話すべきか話さぬべきか。
話せばニックの仕事に差しさわりがある。
しかし、友人としては真実を言うべきだ。
ジレンマ(これが原題ね)の中、
決定的瞬間をカメラに収めようと、
彼はストーカーまがいの行動に出る。が…」

----ははあ~。これはオモシロい着想だ。
知りたくもないことを知ってしまった男の話ってことだね。
でも日本語タイトルの意味がよく分からニャい。
「うん。
ここに、ロニ―の恋人ベス(ジェニファー・コネリー)との問題が絡んでくるんだ。
ロニ―は、これまでいろんな女と付き合ってきた。
しかし、ベス以上の女性はいない。
ニックの妻の勧めもあって結婚を決断。
だけど、ニック夫妻を見ていると、
“結婚って、ほんとうにいいものなの?”」

----はは~っ。そういうワケね。



「さて、見どころをいくつか。
ひとつはウィノナ・ライダーの悪女演技。
とあるカフェで見せる“涙の告白”の“演技”。
おそらく監督の脳裏には
『恋人たちの予感』メグ・ライアンがあったんじゃないかな。
もうひとつは、プロポーズの方法。
これには、虚を突かれたね。
あんるほど、こういうやり方もあるのかと、
みんな感心すること間違いないよ」




           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「しかし楽しそうな映画だニャ」
もう寝る
忘れてた。ロニ―は元ギャンブル依存症の設定だ度


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画像はアメリカ・オフィ
シャル(壁紙ダウンロードサイト)
より。

『ウッドストックがやってくる!』

2011-01-05 21:19:09 | 新作映画
(英題:Taking Woodstock)


----ウッドストックって、1969年に行われた
あのロックのフェスティバルのことだよね。
「そう。
日本でそのドキュメンタリーが公開されたときには
“愛と平和と音楽の3日間”という副題も付けられていた」

----監督はだれニャの?
マイケル・ウォドレー
もう、あまり口にする人もいないけど、
彼はその後、『ウルフェン』なんて狼映画も作ったけどね。
でもどちらかというと、
あのマーティン・スコセッシが撮影で参加していたという方が、
いまや映画史に残るのかもしれないな」

----ニャるほど。スコセッシなら分かるニャあ。
『ラスト・ワルツ』
最近では『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』も作っているものね。
でもこの映画って、あのアン・リーの監督作品だよね。
ちょっと不思議。
「そうでもないよ。
彼は、この時代というか
ヒッピー・ゼネレーションには
特別な思い入れがあるようで、
『アイス・ストーム』では
その時代に青春を送った人々が
数年後、家族を営み、
そしてその家庭が崩壊してゆくさまを
哀切をこめて描いている」

----へぇ~っ。
で、この映画は、
そのバックステージを描いているってわけ?
「まあ、バックステージと言えば言えるかな。
主人公は、34歳の青年エリオット。
別の街で開催される予定だった
ウッドストック・フェスティバルが、
住民の反対で宙に浮いたと知った彼は、
地元のニューヨーク州ホワイトレイクに誘致しようとする。
視察にやってきた主宰者のマイケル・ラングは
近郊の町べセルの牧場をコンサート会場に作り替え、
エリオットの両親が営むモーテルを運営本部にする。
かくして、最初は単なる町おこしのつもりだったエリオットは、
このとてつもないムーブメントの中心に入り込むことになる」

----へぇ~っ。
それは生活が一変しちゃうね。
コンサートもたくさん見られるだろうし。
「いやいや。ところがそうじゃないんだな。
このイベントに集まった若者が40万人以上と言われていることでも分かるように、
そのメインステージにたどり着くのも大変。
まるでゴダールの『ウイークエンド』みたいに、
車の渋滞が延々と続く。
違うのは、その大半が長髪の若者ということ。
それまで、自分の生き方にさして疑問を持たずに生きてきたエリオット。
彼は、その列をステージの方に進みながら
<時代>の熱を身を持って体感する」

----それはわくわくするだろうね。
エリオットは、その仕掛け人のひとりでもあるわけだから。
「そういうこと。
ぼくはこのシーンに『未知との遭遇』リチャード・ドレイファスがダブったね。
自分が初めて、歴史的な事件の中心にいるという高揚感。
音楽は、遠くから聞こえるだけという、
ある意味、大胆な作りだったけど、
それでもなお、時代の空気を伝えて余りあったと思うよ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも音楽も、もう少し聞かせてほしいのニャ」
ご不満
ザ・バンド『アイ・シャル・ビー・リリースト』が聴ける度


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『最後の忠臣蔵』

2011-01-04 13:24:30 | 映画
----昨日は、三が日の最後ということで、
三社詣りの後、フォーンも一緒に映画館へ。
でも、まさか正月からこんな映画を観るとは…。
討ち入り切腹なんて、あまりにも年始にふさわしくないよね。
フォーンはあきれちゃった。
「う~ん。
ぼくも監督がテレビ出身の杉田成道だし、
まったく予定に入れていなかったんだけど、
年末から、あちこちで
『最後に凄い映画が現れた』という
絶賛の声が聞こえるものだから…」

----そうそう“号泣”という言葉もあったよね。
「うん。それだけに身構えていたんだけど、
いやあ、これは確かに泣かせる映画だったね。
しかも、物語で泣かせるのではなく、
“動く画”として泣かせる。
そういう意味では、まさに“映画”だね。
物語は、赤穂浪士、四十六士が切腹して主君に殉じた中、
ひそかに生き残ったふたりの男の物語。
ひとりは、討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。
その彼が、討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)の姿を目にしたところから
物語は動き始める。
ふたりは、かつて命を捧げることを誓い合った同志。
なのに、なぜ?
しかしその理由は、観客に対してすぐ解き明かされる。
というわけで、この映画はいわゆるミステリーではなく、
汚名とともに、その後を生きていかねばならなかった孫左衛門の
それでも与えられた使命を全うしようとする
ひとりの男の生きざまを描いた作品となっている」

----そうそう。彼は大石内蔵助から
その隠し子を世間の目から逃れながら立派に育て上げるという
密命を与えられていたんだよね。
「うん。『これも時代だね』…で、
片づけてしまえないこともないけれど、
まったくそうとも言い切れない。
上意下達はこの現代でも、
会社に関わらず、絶対的なものとして組織内に残っている。
大石は言う『わしに命をくれ』。
孫左衛門は、今回の討ち入りによって武士として死に場所を得ていた。
ところがそれを取りあげられた上、
死の恐怖から討ち入り前に逃亡した…という汚名を着せられるわけだ。
これでもう想像がつくように、
映画のクライマックスは
その汚名が返上されていくシーンとなる。
かつて彼に罵声を浴びせていた者たちの詫び、そして賞賛。
この変化を内蔵助の娘・可音(桜庭ななみ)の嫁入りの行列の増幅で見せ、
それと共に、観客の感情の昂りも膨らんでいく。
原作を読んでいないから断言はできないけど、
これは映画ならではの効果だと思うね。
映画を知り尽くした脚本家・田中陽造ならではの仕事だ」

----観る前は“愛の物語”と思っていたんだよね。
「うん。
嫁入り前の別れのシーン。
可音を強く抱きしめる孫左衛門。
その時間を少しでも引き延ばしたいかのように、
カメラはゆっくりとゆっくりとふたりに近づいていく。
ここは長沼六男のカメラワークが息をのむ。
カメラで言えば、孫佐衛門と吉右衛門が唯一、刀を交えるシーンも秀逸。
人の背丈ほどもありそうな草むらの中。
横へ横へと位置取りしていくときの、溢れんばかりの緊迫美。
そうそう。ここは録音もよかったね。
もちろん、役所広司、佐藤浩市。
日本を代表するふたりの目を中心とした演技も。
可音に連れられた吉右衛門と孫佐衛門が
和解するシーンなんて、目の演技だけで泣けたからね」

----ふうむ。ニャるほど。
さすが、話題になるだけのことはあるってことだニャ。

           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも泣けたけど、最後は困るのニャ」
悲しい
※泣けるだけでなく、幸福感に満たされる映画だ度


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『英国王のスピーチ』

2011-01-02 23:49:46 | 新作映画
(原題:The King's Speech)

※ちょっと辛辣な表現もあります。
期待されている方はごめんなさい。


----この『英国王のスピーチ』って
いまスゴく騒がれているよね。
どんなお話ニャの?
「そうだね。
ゴールデン・グローブ賞に至っては最多7部門ノミネートだしね。
で、物語はというと、これが意外に説明が簡単なんだ。
現イギリス女王エリザベス2世の父、ジョージ6世。
彼は、実は吃音症を抱えていた。
いつも内気で人前に出ることは苦手なそのジョージ6世が、
オーストラリア人言語聴覚士の助けを借りて障がいを克服。
第2次世界大戦開戦にあたって
国民を勇気づけ心をひとつにする見事なスピーチを披露する――」

----へぇ~っ。
確かにシンプルだけど、
これは聞いただけで感動的。
えいも泣いたでしょ?
「いやあ。それがそうでもなかったんだな。
前半はまだオモシロかったんだ。
英国の王家。
つまりトップ中のトップにいるジョージ5世が
妻のエリザベスが見つけてきた
スピーチ矯正の専門家ライオネルの元へお忍びで通う。
ライオネルはオーストラリア人。
それもあってか、
普通ではとても言えないようなことを平気で言ってのける。
王太子を愛称で呼び、
プライベートについての無遠慮な質問をぶつけ、
結果、ジョージを怒らせてしまう。
このふたりの関係がスリリングかつ、笑いを誘う」

----ニャるほどね。
でもそれじゃあ、
その治療は続かないんじゃニャいの?
「そのはずだよね。
しかし、事態は思わぬ方向に流れていくんだ。
王である父ジョージ5世が亡くなり、
長男のエドワード8世が即位。
しかし、エドワード8世はかねてより
アメリカ人で離婚歴のあるウォリス・シンプソンと交際をしていた。
王位か恋かの選択を迫られた彼は恋を選び、
そのため、ジョージは望まぬ座についてしまう。
そして、大切な王位継承評議会のスピーチで大失敗をしてしまうんだ」

----うわあ。それは大変だ。
それで彼は再びライオネルを訪ねる――
と、こういうわけだね。
「そういうこと。
さて、問題なのはここから。
ジョージは戴冠式のスピーチを無事に済ませる。
そこをクライマックスにすればよかったんだけど、
この映画は、
ヒトラーの率いるナチスドイツとの開戦直前、
国民の心をひとつにするためにジョージ6世が行った
<戦争スピーチ>にそれを持ってくるんだ。
どうもこれが、ぼくにはあわなかった。
こんなところで、この映画を引き合いに出していいのかどうか、
『ボビー』のクライマックスでのスピーチのようには、
ぼくの心を揺さぶらなかったんだ」

----う~ん。でも、それは個人的な体質の問題で、
映画自体の問題じゃニャいよね…。
「確かに、だからこの映画は語りにくかった。
演技陣は、みな素晴らしかっただけに、
ほんとうに申し訳ないって感じ。
ジョージを演じるコリン・ファースはもちろんのこと、
その兄エドワード8世役のガイ・ピアースにしろ、
ライオネル役のジェフリー・ラッシュにしろ代りの役者が思いつかない。
そんな中、意表を突いたのがエリザベス役のヘレナ・ボナム・カーター
いつものエキセントリック・イメージをうまく役に活かしている。
王家にありながら市井の中に入り込んでいくという大胆さは、
なるほど、彼女ならやりかねない――と、そう思わせるんだ」

----ニャるほど。
でも、ハリポタやティム・バートン映画での彼女しか知らない人にとっては、
この役そのものが、驚きニャのかもね。

           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも、話題になりそうだニャ」
複雑だニャ

※日本ではこういう映画作るのは難しい度



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画像はイギリス・オフィ
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