ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『ブランカニエベス』

2013-11-27 18:29:56 | 新作映画
(原題:Blancanieves)


----この『ブランカニエベス』って、
いま話題の作品だよね。
スペイン映画と聞いたけど、
このタイトルってどういう意味?
「スペイン語で『白雪姫』。
観る前までぼくは
映画の一部にその要素が入っているのかなと…。
ところが、これはもうウソみたいに『白雪姫』そのもの。
なにせ、小人たちから毒りんごまで登場するんだから」

----ということは
悪い継母も出てくるの?
「もちろん。
よく知られた物語との大きな違いは、
ヒロインが王女ではなく、
闘牛士の娘ということ。
それとエンディングくらいかな」

----モノクロでサイレントなんだよね。
どっちかと言うと
アートフィルムって感じなのかニャ?
そうだったら観るのがキツそう…。
「ノンノン。
まったく逆。
というか、
そこが今日、フォーンに話したいポイントなんだけど、
アカデミー作品賞を受賞した『アーティスト』と言い、
この『ブランカニエベス』と言い、
サイレント映画の基本に忠実に映像化がされている」

----それって
セリフが字幕で出るってこと?
「もちろんそれもあるけど、
もっと重要なのは、
カットとカットの切り返し、
つまりモンタージュによって映画を見せていること」

----モンタージュ??
「そう。
映画は、最初音声を持たなかった。
そんな中、
映画で語られる物語、
あるいは状況、感情を分り易く説明するには、
このモンタージュというのは実に有効なんだ。
たとえば、この『ブランカニエベス』で言えば、
牛と向かい合う闘牛士、
そしてそれを見守る闘牛士の妻、
あるいは他の観客などを
細かくカットバックすることで、
サスペンスフルに、
しかもそれぞれの心理をもスリリングに描き切っちゃう」

----ニャんだか、
それって映画を作る上で
当たり前のような気がするけど…」
「ところが、そうでもないんだ。。
これはぼくが10代の頃に読んだ映画の本に書いてあったんだけど、
このモンタージュなる手法は、
作者の主観としての映像のみを見せ、
結果的に、ひとつの思想に観客を導いていくとして、
第二次世界大戦後、激しい非難を浴びるんだ。
ナチスもそうやって映画を利用した。
その反省の上に立ち、
現実を客観的に見つめることが必要ではないかと…。
そんな流れの中から出てきたのが
イタリアのネオリアリズム…」

----それって、今じゃ考えられない。
自分の考えをきちんと観客に伝えることを放棄しているみたい。
「(汗)まあ、そういう時代もあったということで…。
現在、世界の映画界を見まわしても、
このモンタージュを基本に映画を構築しているのがハリウッドのエンタメ系。
片や、作家性の強いアート系の映画は
じっくりと長回しで対象を見つめていく。
ぼくは、
どっちにもそれぞれのオモシロさがあると思うけど、
『アーティスト』『ブランカニエベス』は、
モノクロ、サイレントという映画の中で何かを語り伝えるには
モンタージュという手法がいかに有効かを再認識させてくれた。
しかも、それがとても分りやすくオモシロい。
ぼくはこの分りやすさに感動すら覚えた。
温故知新ってヤツだね。
『子曰く、故きを温ねて、新しきを知れば、以って師と為るべし』
もちろん、この『ブランカニエベス』
モンタージュだけではないモノクロ映画の表現も見せてくれる。
ドイツ表現主義を彷彿とさせる影を強調した映像などがそれだね。
議論を呼びそうなそのラストも含めて、
これはやはり“現代”の映画であることは間違いないね」



フォーンの一言「基本はとにかく『白雪姫』なのニャ」身を乗り出す

※難しそうと身構えないことだ度

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『ザ・イースト』

2013-11-25 23:11:25 | 新作映画
(原題:Only Lovers Left Alive)


----『ザ・イースト』ってタイトル、ちょっと変。
普通だったら、『ジ・イースト』だよね。
「うん。
いまどき、こういう
中学生レベルのミスやっちゃうなんて…。
でもまあ、これはこれで戦略的。
あえてやっているんだろうな。
さて、話を映画に移して…。
この“イースト”というのは、
とある環境テロ団体の名前。
彼らは、この地球を汚している“悪徳”企業に対して
“目には目を…”と、
それぞれの“悪”に応じた“制裁”を加えている」

----たとえば?
「大西洋を原油で汚染した石油王の屋敷に
大量の原油を流し込むとか…」

----へぇ~っ。
オモシロいけど、
そんなに過激じゃニャいよね。
「いやいや、
この後が次第にエスカレート。
たとえば、
強い副作用が疑われる新薬。
これを製薬会社のパーティで
シャンパンに混ぜて飲ませるだの、
汚染水を流している鉱業会社のトップとその妻を裸にして
汚染にまみれた湖の中に投げ入れるとかね…」

----うわうわうわ。
「さて、物語は
主人公のジェーン(ブリット・マーリング)が、
イーストへの潜入指令を受けることによって動き始める。
彼女は元FBIエージェント。
今は、テロからクライアント企業を守る会社に勤めている。
髪の色を変え、サラという名で
アナーキストやゴミを回収して再利用するフリーガンの若者たちの中に溶け込むジェーン。
ところがある日、無賃乗車した列車に乗り込んだところを、
警察に捕まり拘束されてしまう。
そんな彼女を助けたのがルカという名の青年。
彼の車に<イースト>のトレードマークらしきものを見つけたサラは、
とっさに自分の腕を傷つける」

---ニャんでそんなことをするの?
「怪我をしていることで、
相手を油断させ、
彼らの仲間の元へという算段だね。
その思惑どおり、
イーストのアジト潜入に成功したサラだったが…」

----あっ、もう分っちゃった。
サラは、彼らと一緒に生活をしているうちに、
その生き方に共鳴しちゃう…。
そうでしょう?
『マーサ、あるいはマーシー・メイ』 もそんな感じだったし…。
「ズバリ正解。
…って、これは誰でも読めちゃうよね。(笑)
ただ、“洗脳”の恐怖がテーマとなっていた『マーサ、あるいはマーシー・メイ』 に対して、
こちらは、その要素は薄まっている。
身に及ぶ危険が計り知れないにも関わらず、
相手の懐へと入り込むわけだから、
その精神力は強靭。
家族との折り合いが巧くいかなところを付け込まれるような
柔な女性とは真逆の位置にいる」

----ということは、
これはどちらかというと
スパイ映画的な面白さってワケだニャ。
「そうだね。
しかも、イーストに仲間と認められるには
彼らと一緒の考えを持ち
同じ行動をしなくてはならない。
しかし、それが相手に危害を加えるものであったとしたら…」

----ニャるほど。
この映画の見どころが分かってきた。
「しかも一方では
ストックホルム症候群>とまではいかないけど、
サラ=ジェーンの中にも、
イーストへの理解が芽生えてくるんだ」

----ふむふむ。
エレン・ペイジ、ジュリア・オーモンド、
パトリシア・クラークリン
と、
演技派の女優陣がそれぞれに自分の持ち味を発揮するし、
けっこう見ごたえはあるよ。
細かいことに目を瞑ればだけどね…」



フォーンの一言「何に目を瞑るのニャ?」身を乗り出す

※リーダー、ベンジ―(アレキサンダー・スカルスガルド)のイメージがワンパターンだ度

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『セッションズ』

2013-11-23 13:46:14 | 新作映画
(原題:The Sessions)


----この『セッションズ』って、
ツイッターでときどき見かけるタイトルだよね。
「うん。
どんなお話かと思ったら、
これがポリオが原因で首から下が全く動かない男性、
マーク・オブライエンのセックスをめぐる物語」

----うわあ。
フォーンにはちょっときつそう。
『最強のふたり』とはかなり違うニャあ。
「まさに。
これはいわゆる健常者と障がい者の絆という
言葉でくくれる映画とは少し異なる。
6歳でかかったポリオが原因でマーク・オブライエン(ジョン・ホークス)は、
ずっと横になったまま。
さらに重度の呼吸器障害からカプセル型の呼吸器の中で人生の大半を過ごしている。
時は1988年。
マークはカリフォルニア大学の卒業を果たし、
今は詩人やジャーナリストとして暮らしている。
そんな彼の習慣の一つに、教会に通うことがある。
新しく赴任したブレンダン神父(ウィリアム・H・メイシー)に相談して、
横暴なヘルパーをクビにしたマークは、
若く美しいアマンダ(アニタ・マークス)を雇う。
アマンダの優しさに心奪われたマークは、
彼女に『愛してる。結婚したい』と告白」

----ゴクッ。
ど、どうなったの?
「ほどなくアマンダは去ってしまうんだ。
失意のマークに、
障がい者のセックスについての原稿依頼が舞い込む。
障がい者を取材したマークは、
彼らの体験談を聞き、衝撃を受ける。
しかし、この取材が、
存在すら知らなかった扉を開けた。
新しいヘルパー、ヴェラ(ムーン・ブラッドグッド)に励まされ、
勇気を出してセックス・セラピストに問い合わせるマーク。
そして彼は
女性と深い関係を持てるように心身ともに導いてくれるセックス・サロゲート(代理人)を紹介されるが…」

---ニャるほど、
これは、タブーとも言えそうなお話だニャ。
「だよね。
実はこの映画の前に
宣伝の人が『R18に指定されて、みんな怒っています』とコメント。
果たしてどんな映画かと思って望んだら、
なるほど、そういうことかと…。
実は、この後、
彼が初めての性交に至るまでが
こと細やかに描かれていく。
ところが、そこにあるのは
特に障がい者に限らず、
広く男性全般の初体験にも通じる物語。
未知の領域に踏み込むときに起こる
興味、恐怖、羞恥、期待
など、、
さまざまな感情がないまぜになり、
最初からうまくいくはずはない。
それを、このサロゲート、シェリル(ヘレン・ハント)は、
プロ意識と彼に心から寄り添うことで
根気よく導いていくんだ」

----ニャるほど。
だからセッションか…?
「そういうことだね。
実は“女体の神秘”風にHow To Sexを描いた
西ドイツの医学(?)ドキュメンタリー映画が70年代、
日本にブームを巻き起こしたことがあった。
しかし、これはドキュメンタリーではない。
セックスというものにおける“心の神秘”が繊細に描かれるんだ」

----ふむふむ。
「この映画、
あと上手いなと思ったのは、
そのキャスティング。
神父にウィリアム・H・メイシーなんて
だれが考えつくだろう?
マークの性にまつわる懺悔を広い礼拝堂で聞く。
聖職にある彼が
その言葉にドキッとする表情が
映画にユーモアのエッセンスをもたらしてくれる。
それと個人的にはヴェラに扮したムーン・ブラッドグッド。
このどこにでもいそうな若いヘルパーが
本作に果たした役割は大きい。
一歩踏み出したことから始まる新たな世界への広がり、
そしてそれによって訪れる生きる喜び…。
それらは
だれにでも望み、掴みうる普遍のものであると実感させてくれた、
見事なキャスティングだったと思うよ」



フォーンの一言「R18のレイティングは日本だけなのニャ」複雑だニャ

※ヘレン・ハントのヘアヌードが引っ掛かったわけじゃいと思うけ度

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『インシディアス 第2章』

2013-11-17 18:36:36 | 新作映画
(原題:Insidious Chapter2)


----一週間も間があいて、
その最初がホラーの続編とは、
なんだかニャ~っ。
「まあ、そう言わないで。
ほら、よくできたホラーというのは、
いつまでも記憶に鮮明で喋りやすいから…」

----ふうん。
ということは、
この監督、ノリにノッているってことだニャ。
いま公開中の『死霊館』 も、
怖い怖いと評判だし…。
「そうだね。
ジェイムズ・ワン監督
もう『ホラーは卒業』とか言っているらしいけど、
少し惜しい気がしたな。
あのブライアン・デ・パルマが得意ジャンルを離れてから、
一時期生彩を欠いたようになっちゃったけど、
その二の舞にならなければいいなと…。
ただ、この『インシディアス 第2章』を観ると、
すでに他のジャンルへの準備を始めている、
そんな気がしないでもない」

----えっ。他のジャンルへの準備?
それは気になるニャあ。
ちょっと説明してよ。
「うん。
この映画は、前作『インシディアス』の終ったところから始まる」

----それって、まるで『007/慰めの報酬』みたい。
「厳密に言えばちょっと違うけどね。
今回の物語は、1986年からスタート。
幽体離脱の能力を持つジョシュ(パトリック・ウィルソン)が幼い頃に、
死者に狙われているところを
霊媒師エリーズによって救われるエピソードから開始」

----エリーズって、
息子ダルトンを“彼方の世界”から連れ帰ることに成功した
ジョシュに憑依した何かに殺害されたんだったよね。
「そう。
実はこれらのことをきちんと覚えていないと、
この物語には、ついていけなくなる。
さて、そのジョシュは警察からエリーズ殺しの犯人と決めつけられ、
自宅を取り調べられることに。
その間、一家は
ジョシュの母ロレイン(バーバラ・ハーシー)の家に身を寄せるのだが…」

----分った。
ところがそこでも恐怖の現象が相次ぐ。
つまりこの悪霊は、
家に憑いているんじゃないということだニャ。
「まさしく。
そこがこの映画のキモだね。
そんな中、ジョシュの妻ルネ(ローズ・バーン)は、
夫への不信を募らせていく。
一方、ロレインは、エリーズの助手をしていたスペックスとタッカーの元を訪れ、
この出来事を何とか解決しようと奔走する…」

----ニャ~んだ。
分りやすい話。
「いやいや。
それがそうじゃないんだ。
現代、80年代、そしてその両方を繋ぐ“彼方の世界”。
この独自の世界観の中で物語は進行していく。
そしてジョシュはその3つの世界全てに姿を現すんだ。
そして、ここがこの映画の上手いところだけど、
たとえば86年において姿を現したジョシュは、
幼いジョシュにしかそれが見えない。
もちろん、観客にもね」

----そうか。
姿が見えなければ、
普通、それは悪霊と思っちゃうよね。
あれれ、そんな重要なこと、
ここで喋っていいの?
「大丈夫じゃないかな。
おそらくこのヒントだけでは、
映画のどの部分での話をしているのか分らないはずだし…。
それに
“彼方の世界”を通してふたつの時代を行き来するという、
この映画の根本に関わる部分を喋らないと、
その魅力は語れないから。
ぼくなんか、
前作を観ていても少し混乱しちゃったくらいだから、
『第2章』で初めて『インシディアス』の世界に触れる人は、
この程度は頭に入れておいた方がいいんじゃないかと…。
ぼくはそう思ったわけだ」

----確かに。
よくある“タイムスリップ”とは違うものニャ。
“彼方の世界”、
えっ、フォーンはそこから喋っているの?
「おいおい。
ゾクッとさせないでよ」


フォーンの一言「怖いかどうかは、あまり喋らなかったニャ」身を乗り出す

※『シャイニング』に似ているところもあったりしたけど構成が凝りすぎていて、
いつしか恐怖はどこかへ飛んで行った度

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『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』

2013-11-10 18:35:41 | 新作映画
(原題:Only Lovers Left Alive)

----ニャんだか、舌を噛みそうなタイトルだけど、
これって、ジム・ジャームッシュ監督の新作ニャんだって?
「そう。
それもドラキュラ映画なんだ」

----へぇ~っ。
ドラキュラっていうと
映画では、
これまで耽美的に作られていた気がするけど…。
ジム・ジャームッシュのイメージからは遠くニャい?
「そうだね。
フォーンも知ってのとおり、
このジャームッシュという監督、
ぼくは苦手としている方。
80年代に登場したインディーズ・ムービーの中でも、
まあ、とんがっているというか、
それまでの映画のドラマトゥルギーのセオリーを無視しているというか、
彼を一躍有名にした『ストレンジャー・ザン・パラダイス』にしても
お話が淡々と進み、はてどこがいいのやら…」

----おっ。そんなこと言ってもいいの?
「いいと思うよ。
どんな映画でも、
すべて好きだなんて言ったら、
それはそれでちょっと嘘っぽくなるし、
これくらいは許して…ということで。
でもいわゆるアンチ・ジャームッシュのぼくでも
『ゴースト・ドッグ』とか『ブロークン・フラワーズ』みたいに、
好きなものも一応はあるんだ」

----で、今回はどうだったの?
「いや、これが意外と楽しめて…。
ジャームッシュ=“乾いた映画”のイメージがあるんだけど、
さっきフォーンも言っていたように、
これはドラキュラ映画ということもあり、
全体的にしっとりとした濡れたような映像
だからと言って、
物語もそうかと言うと、
この映画の主人公のドラキュラ、アダムは
やたらロックギターに詳しかったりもする。
それもそのはず、彼はどんな弦楽器でも弾くことができる “幻のミュージシャン”。
この設定がまずオモシロい。
ドラキュラは永遠の命。
だから、ある意味、なんでも身につけることができるだけの“時間”がある。
さらに言えば、
気が遠くなるほど長く生きているワケだから、
歴史に名を残す各時代の作家、哲学者、さらにはアーティストと知り合いでもある」

----ニャるほど、
それはいいところに目を付けたニャ。
「さて、そのアダムとは何世紀にも渡って恋人関係にあるイヴ(ティルダ・スウィントン)が、
ある日、彼にiPhoneでコンタクトを取ってくる。
テレビモニターに彼女を大きく映し出したりもしていたから
どうやら、アプリの方もいろいろと使いこなしているようだ」

----あらあら。(笑)
「久しぶりの再会、愛を確かめあうふたり。
ところがそこに、
かつて問題を起こしてアダムの怒りを買った
イヴの妹エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が現れたことから…」

----大事件が起こるんだ!?
「う~ん、ドラキュラ映画だったら、
この程度はあたりまえ…というようなことがね。
ただ、21世紀だから
事件は大っぴらになっちゃいけない、
と、まあ、そんな感覚」

----ふむふむ。
いわゆるオフビートってヤツだニャ。
「う~ん。
ここでその言葉はどうかと思うけど…(笑)。
でも確かに、
このドラキュラは
これまで映画に現れた<吸血鬼>とはかなり違っている。
そもそも<吸血鬼>でありながら
アダムは安易に生きた人間を襲いはしない。
自分の血液型にあった血液を人間からこっそり譲り受ける。
ファウストという名のドクターに化けてね」

----ぶっ。
「ところが、
その血液を渡すドクター・ワトソン
彼をドクター・ストレンジラブ(『博士の異常な愛情』)や
『カリガリ博士』と呼び間違える」

----つまり映画への目くばせも多いということだニャ。
「そうだね。
なかでも執拗なほどに出てくるのがゾンビ
このアダムに言わせれば、
いまの人間はゾンビと変わらないとか…。
まあ、これ昨今なぜかもてはやされるゾンビ映画に対する
ジャームッシュのキツイ皮肉だろうけどね。
実は、この作品、
<映画>だけでなく、
文明が行きすぎた今の<社会>への風刺もかなり込められている。
ぼくは、それらがジャームッシュではなく、
ドラキュラが言っているかのように錯覚させられた…」

----ということは、
いつしか映画の中に入り込んでいたということだニャ。
やはり、これはよくできた映画なのニャ。
「ヤバッ」


                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「ふと気づいたけど、ジャームッシュって夜の映画が多くニャい?」小首ニャ

※映画館も真っ暗。ドラキュラが出てくるにはピッタリだ度
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『いとしきエブリデイ』

2013-11-07 22:09:44 | 新作映画
(原題:Everyday)

ネタバレとまではいきませんが人によっては要注意。
この映画の核について触れています。


「う~ん。
やはりこの映画のことだけは
語らないわけにはいかないだろうな」

----おおおっ。
大きく出たニャ。
それって同じ日に公開の『清州会議』とかよりも
押さえなきゃいけない映画ニャの?
「そうだね。
この映画を観ると、
『あっ、映画にはまだその手があったか…』って。
ただ、このことを成し遂げるにはかなりの根気が必要。
もし、映画を自分の一生の仕事とする覚悟がなければ、
到底無理な話ではあるんだけどね」

----mmm。
どういうこと。
これって、
そんなに画期的なお話ニャの?
「いやいや。
物語自体は実にありふれているんだ。
とある微罪を犯して獄中の人となる夫。
映画は、
その夫の面会に通う妻と、
その日に応じて彼女が連れていく
3人の子どもたちの5年の日々を描く」

----う~ん。
じゃあ、どこがそんなに珍しいの?
「もしもこれが妻だけの話だったら分る。
ところが夫との間に生まれた子どもたちは
上から8歳、6歳、そして4歳。
夫の出所まで5年。
その間に、
彼らは、それぞれ13歳、11歳、9歳と成長していく。
ここに代役を使うことはまず無理。
そこで監督のマイケル・ウィンターボトム
この3人をそのまま使って撮影。
もちろん、彼らがそんなに早く成長するわけはない。
つまり、映画はなんと5年に渡って
じっくり撮られていったんだ。
個人で作る採算無視の映画ならともかく、
劇場にかけられる商業映画で、
ここまで覚悟を決めてどっしりと構えた映画は、
寡聞にして
他にぼくは知らない。
しかも、この3人の子どもたちは実際の兄妹でもある。
そんな彼らが、
プロの俳優たちを相手に
演技と言うにはあまりにもリアルな表情、仕草を見せる。
彼らは、映画の中の父親を実の父親であるかのように、
必死に目で探し求め、
その別れに際して涙を流すんだ」

----へぇ~っ。
それって監督の演出なのかニャ?
「う~ん。
そこがぼくにも読めない。
だから、これはある意味、
ドキュメンタリーのようにも見えてしまう」

----だよね。
でも、その面会と日常を追っただけじゃ、
あまりオモシロくなさそう。
こう言っちゃ悪いけど、
あまりドラマチックじゃニャい。
「いや、
実はここにある大きな事件が起こる。
長い夫の不在。
その寂しさに耐えかねた妻が
夫の友人の優しさに負け、
不適切な関係を持ってしまうんだ」

----ありゃりゃ。
それってまずくニャい。
すぐにバレそう?
「そうなんだ。
ここは孤独な大都会じゃない。
隣人の目はしっかりとそこにある。
だから、彼女は
夫が出てきてすぐに自らその話をしてしまう。
バレる前にってワケだね」

----うわっ。ヤバい。
普通は隠そうとするよね。
「うん。
実は、この<隠さず話す>という映画には
かつてアニェス・ヴァルダの『幸福』という名画がある。
あの映画では、
印象派の絵画もかくやの淡く端麗な映像、
そして主旋律となるモーツァルトの流麗な音楽とは
まったく裏腹の残酷なエンディングが訪れる。
ところがこの映画では
同じく夫婦と子どもたちが手を繋ぎながらも…
ああ、ここは喋っちゃいけないんだろうな。
ただ、ぼくは
マイケル・ナイマンの美しい音楽が
<家族の幸福>な映像に覆いかぶさっていく、
そのあまりの<やさしい>ラストに涙を禁じえなかった。
それを言いたいために
公開直前の今日、
あわててこの映画のお話をしたと言っても過言じゃないね」


                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「う~む。ニャにが起こるんだろう?」小首ニャ

※妻を演じているのは『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の嘆きのマートル、シャーリー・ヘンダーソンだ度
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『ザ・コール 【緊急通報司令室】』

2013-11-03 18:24:07 | 新作映画
(原題:The Cali)



----『ザ・コール』って、
携帯電話を使ったスリラーでしょ。
今にも回線が切れるか切れないか…
そのサスペンスと誘拐をダブらせた映画って前にもなかったっけ?
「香港映画の『コネクテッド』のことだね。
その元となっているのはキム・ベイジンガー主演の『セルラー』
ただ、この作品は
その形態がプリペイド式というところが新しい」

----普通の携帯とは、どう違うの?
「その携帯が使われている場所を探す、
いわゆるGPS機能が付いていないんだ。
そのため、せっかく911(日本の110番)に救助要請の電話がつながっても、
当人がいる場所が特定できない」

----ニャるほど。
そrは話がオモシロくなりそうだ。
「じゃあ、簡単に物語を…。
美少女ばかりを狙う残忍なシリアルキラー。
彼が今回誘拐したのは、
今しがた友だちと別れたばかりのケイシー(アビゲイル・ブレスリン)。
彼女は、その友だちが置き忘れていった携帯を持っていた。
移動中の車のトランクの中、
そのことに気づいたケイシーは911に助けを求めるが…」

----しかし、それがGPSのないプリペイド携帯だったというワケだニャ。
トランクの中だと、車の外は見えニャいし、
う~ん、これは厳しいニャあ。
「でしょ。
さあ、その絶体絶命の状況の中、
ケイシーはどのようにして自分の居場所を911に知らせるのか?
そのコンタクト方法を
あれこれ想像してから映画を観に行くのも楽しいかも…」

----ニャるほど。
あれ、いま映画の前半と言ったけど、
後半はどうニャるの?
「ベテラン・オペレーターのジョーダン(ハル・ベリー)が
このシリアルキラーの隠れ家に単身乗り込み、
ケイシーを救出しようとするんだ」

----あれれ。
ハル・ベリーがその役を演じているということは
女性だよね?
ニャんで、ひとりでそんな危ないことを?
「実は、
ジョーダンは、
少し前に自分の判断ミスで
ひとりの美少女の命を救い損ねている。
それが彼女の傷となり、今は一線を退いていたんだ。
ところが相手の受け答えから、
ジョーダンは、今回の犯人がそのときと同一犯ということに気づくんだ」

----ふむふむ。
いかにもハリウッド的だニャ。
「そう。
かつて致命的なミスを犯した男が
引退を余儀なくされたときと似たような状況に再び追い込まれ、
しかしそれを乗り越え、雄々しく復活を遂げる。
『クリフハンガー』『ホステージ』などで何度も語られてきた
このヒーロー設定が女性にも…ということだね。
正直、後半は描写もどぎつくて
ぼくは正視できなかったけど、
<痛み>に耐えうる人だったら
これはサスペンスとホラーの両方が楽しめる、
いわゆる一粒で二度おいしい作品となるだろうね」


                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「犯人役のマイケル・エクランド、人気が出るかもニャ」小首ニャ

※監督は“不眠症”映画『マシニスト』のブラッド・アンダーソンだ度
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『麦子さんと』

2013-11-02 15:19:54 | 新作映画
----『麦子さんと』って、
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
吉田恵輔監督の作品だよね。
「そう。
『ばしゃ馬さん~』も
“夢をあきらめること”を題材としたユニークな作品で
嫌いじゃないんだけど、
ぼくは、こちらを推したいな」

----“麦子さん”を演じているのが堀北真希だっけ?
「うん。
物語自体は、たいしたものじゃないんだ。

声優を目指して、専門学校への入学金をアルバイトで稼いでいる麦子は、兄・憲男と二人暮らし。
ある日、自分たちを捨てた母親・彩子(余貴美子)が突然舞い戻ってくる。
顔も覚えていない母との生活に戸惑う麦子。
『あなたのこと、母親だと思っていないから』。
ところがその母が、肝臓癌で急死してしまう。
兄に押し付けられて母の故郷へ納骨に行く麦子。
そこで彼女は、母がかつて町のアイドルだったことを知る。
しかも、麦子は母の昔の姿にうり二つ。
行く先々で人々からの歓待を受けるのだった…」

----確かに、たいした話じゃないニャあ。
ちょっぴり変わってはいるけど…。
「そうなんだ。
吉田恵輔監督の映画は、
たいていは“日常”が基本。
そして出てくる人物たちは、みな普通。
取り立てて変わった人というのはいない。
しかしそれって、
いわゆる映画の中では異端に属する。
通常、映画には、必ずと言っていいほど、
どこか強い個性を持った人が出てくるもの。
しかし、吉田監督の世界にあっては、
人それぞれに育ってきた歴史がある”を前提としている。
そのため、みなどこにでもいるようで、
でもここが他とは違うよ…という
それぞれに血が通った、ちょっぴりの個性”が強調される。
でも、その “ちょっぴり個性”は、
本人たちにとってはとても重要、生きていく上での核となる部分でもある。
それゆえにその二つは完全には交わらない。
どこかギクシャクしたものに。
そして、そこから映画に独自の“おかしみ”が生まれる。
だから、彼のコメディはいつもオモシロい。
おかしな奴を出してきて、
ボケ、ツッコミで笑いをとる“バラエティ”映画とはまるで違う」

----それ、ちょっと過激(笑)。
だけど、今回は、周りが泣いていたんでしょ…?
「うん。ご多分にもれずぼくもね。
それはね、
何もお母さんが亡くなったからとか、
なのに麦子が冷たい態度を取ったからとか、
そういうこととは微妙に違う。
麦子が、
完全に解け合うことは不可能”が前提であるはずの
“違う個性”の中に
あえて足を踏み入れていくからなんだ。
しかし、それは相手を傷つけるばかりではなく
自分も傷つくという痛い代償を伴う。
でも、そうせざるを得ない麦子。
ここに、ぼくは吉田恵輔監督の次なるステップを見た気がした。
『純喫茶磯辺』同様、
その転換は居酒屋で行われる。
アルコールの力を借りてのそれはいかにも危うい。
ただそれでも
本音バトルで映画を屹立させようとした吉田恵輔監督の気概を、
ぼくは買いたいな」


                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「なんか、本筋が語られていに気がするのニャ」小首ニャ

「赤いスイートピー」、温水洋一のボウリング、ふせえりのたこ焼き、そして麻生裕未…
語り出したらキリがない度
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