一年に一度の運行! 京都バス免許維持路線・95系統に乗る

2014年03月21日 20時59分59秒 | バス関係

強い寒の戻りに見舞われた、2014年の春分の日。
京都バスでは年に一度だけ設定されている幾つかの「免許維持路線」が運行される日ということで、そのうちの2つ、以前から気になっていた95系統(大原→鞍馬)と、その送り込みを兼ねた便(高野車庫→大原)に乗車してきました。

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追記1(2015年12月20日):
検索で辿り着かれる方が多いようなので、Wikipedia「免許維持路線」へのリンクを設けておきます。

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朝10時の高野車庫。


95系統とその送り込みには例年小型車(リエッセ)が充当されているということで、幕車の充当を期待しますが……


待つことしばし、LED表示のリエッセ・144号車が回送されてきました。
この日走る免許維持路線は他にも高野車庫→(北大路通・白川通経由)→大原、高野車庫→(下鴨中通経由)→北山駅前といった便が設定されており、全て午前中で完結、同じ車両が運用に入ります。
これは時間的にも北山駅前行きの運用を終えて戻ってきたものと推測されますから、おそらくこの車両が大原行きとなるのでしょう。
それにしても、写真の二枚目と三枚目、四枚目では天気が目まぐるしく変わっています。今日はほんとうによく分からない空模様でした……。

そして、雨の降り始めた10時15分。




出庫してきた144号車充当の大原行きに乗車します。
同好の士は15名ほど。ちょうど全席が埋まる具合で、雲ケ畑線37系統の最終日を思い起こさせます。途中の停留所からはたまたま乗り合わせた一般客の乗降もあり、(一応は)補完系統としての役割も垣間見ることが出来ました。

大原までの道中は他の系統とほぼ同じですが、野村別れからは免許維持区間の細道を経由します。
実は京都に20年以上も住んでいながら大原へ到達するのは今回が初めてのこと。窓の外には京都らしからぬ長閑な里山の景色が広がり、改めて左京区の広さを実感します。


免許維持区間に当たる寂光院道停留所。
色褪せた旧来のバス停標識、小さな貼紙が年一回の運行をひっそりと告げています。

やがて終点の大原に到着。高野車庫からの420円を払って下車します。
5分のインターバルで同じ車両がいよいよ95系統の鞍馬行きに化けますが、待合所には予想を超えた長蛇の列!
一旦降ろされることは分かっていましたが、大原で待っている同業者がこれほど多いとは思わず、年に一度の希少性、その凄まじさを目の当たりにしたのでした。


案内所からは律儀にも「鞍馬行きです」との放送が流れ、いざ超満員の95系統へ。
大原滞在は僅か5分、次回はきちんと観光で再訪することを誓って小型のハコに収まります。ヲタ率100%の車内は独特の雰囲気ですが、私を含めソロ活動者が中心だったために意外と物静か。鉄道のそれに比べれば、何ともまあ、穏やかなものです。


「北山バーディー号」の愛称も持つ95系統は、大原から市原を経由して鞍馬へ向かいますが、途中差し掛かる江文(えぶみ)峠が免許維持区間となります。






免許維持区間にかかわる停留所表示。
江文峠口、江文神社前、江文峠と続き、さしずめ江文三兄弟と言ったところでしょうか。連続するカーブとアップダウンで、まさに峠越えの風情を味わうことが出来ました。
年に一度しかバスの走らないこの区間を乗車する、みな目的は同じですから、この辺りでは妙な一体感が生まれていたように思います。(笑)


驚くことに、免許維持区間での乗降も。
まさにこの日しか成し得ることの出来ない芸当ではありますが、ほぼ全員が大原→鞍馬を乗り通すと思われたなか、まさに年に一度の停留所が機能する様子を実見出来たのは大きな収穫でありました。

峠を下りた市原からは叡電沿いに進み、工事中の二ノ瀬バイパスを横目に見つつ終点鞍馬に到着。
鞍馬からの運賃は400円でした。左京区の二大観光地を結ぶ路線ですから、宣伝次第ではそれなりに需要がありそうな気はするのですが(事実、数年前まではシーズンの休日に運転していた)、おそらくは今後もこのスタイルを維持していくのでしょうね。




無事、今年の運行を終えた95系統。
次の運行は(廃止されなければ)来年の春分の日ということになります。


吹雪の中、一瞬の撮影大会。
究極の免許維持路線ここに極まれり。その珍しさ・面白さを実乗をもって体感することが出来ました。

さて、冬に逆戻りの様相を呈しつつある鞍馬。年に一度の95系統と相俟ってまさに「なごり雪」と言ったところですが、あまりの寒さに叡電鞍馬駅へ駆け込み。すぐにやって来た電車で出町へと戻り、今日限りで現行幕表示が見納めとなる京都市バスの各系統を記録しながら帰路についたのでした。

追記2(2015年12月20日):
翌2015年の運行も乗りに行きました。記事はこちらです。 → 京都バス免許維持路線・95系統(大原→鞍馬)

追記3(2017年3月13日):
3月18日のダイヤ改定で55系統(大原~貴船口、江文峠経由)が新設され、江文峠の免許維持区間がまさかの通年運行を再開。(京都バスのプレスリリースはこちら、ダイヤ改定についての当ブログ記事はこちらへ)

追記4(2017年3月14日):
年1本しか走らないバス路線、なぜ存在? 背景にある「理由」とは(乗りものニュース)
こちらの記事によると「95系統も引き続き年1回運行」とあります。しかし、京都バスの新ダイヤでは記載がないことから(その他の庫系統はは記載アリ)、真相は春分の日まで分かりません。(笑)

追記5(2017年3月21日):
存続が懸念されていた95系統ですが、今年も出庫系統を含む4路線が無事に運行されたようです。
去る18日のダイヤ改定に対応した京都バスHPの路線図(PDF注意)にも記載されていることから、おそらく今後も運行されるものと思われます。

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