木曜日。
ほんの思いつきで、友人と叡電に乗って紅葉を見に行くことになりました。(笑)
目当てはライトアップですが、夕刻までお互いの予定が詰まっていたこともあり、出町で待ち合わせたのはなんと20時!
まずは駅窓口で「貴船口往復ではないですね?」と確認されながら一日乗車券(1000円)を求め、せめて雰囲気だけでもと修学院止まりの「きらら」に乗り込みます。
因みに貴船口の往復であれば820円ですから一日乗車券は不要となりますが、今回はその他にもいろいろと途中下車をする予定です。そう、この時間から。(笑)
さて、「修学院」の行先が示す通りこれは入庫を兼ねた運用で、もちろん観光客の姿はなく帰宅客が中心。
シーズンならばもう一往復ほど動かしても良いと思うのですが、夜間は単行が中心の鞍馬線、両数減でコスト削減の狙いもあるのかもしれません。
暗い住宅街を通り抜ける数分のミニトリップを終え(笑)、修学院では乗客を降ろすと慌ただしく反対方向へ走り去っていきます。
車庫の配線上、スイッチバックが日常的に見られる叡電の風景です。
少しの待ち時間で後続の鞍馬行きに乗車。
こちらも観光客はまばらでしたが、市原からは車掌さんが乗り込み、ライトアップ区間の案内と室内灯のON/OFF装置の操作を始めます。
そしていよいよ、市原~二ノ瀬間で期間・時間限定で実施されている「紅葉のトンネル」へ。
空いている車内で楽しめるのはやはり20時台の鞍馬方面行きでしょう。このように一般車両だと側面窓からの眺望は「きらら」の大窓に劣るものの、
前面窓は同様に大きくとってありますから、こちらからの眺望はバツグンです。
ところで、乗ってきたはずの車掌さんが見当たらない……と思ったら、ライトアップ区間では撮影客への配慮から乗務員室の片隅でうずくまっておられました。ちょっと申し訳ない。(^^;
まずは最初の目的地・貴船口で下車。
ホームには既に出町へ戻る観光客の列が出来ており、臨時駅員が配置され、土産物店も営業中。
既に21時前の山奥にありながらイレギュラーな光景が展開されています。まさに掻き入れ時なのでしょう。
駅前では京都バスの貴船神社行きが案内されていました。
この便が最終の一往復だそうなので、乗車してみることに。
実はこのバスに古参のレインボーRB(かの雲ケ畑線で運用されていた)が充当されているとの情報を得てやって来たのですが、本日の運用は2台ともリエッセ。
昼間や休日であれば本数も増えて3台体制だと思われますから、ひょっとするとこの日は既に回送で帰ってしまったのかもしれません。
貴船口駅前と貴船(神社)を結ぶ33系統。全区間で自由乗降が可能となっています。
これまでにも何度か乗車していますが、その運行距離の短さゆえに自由乗降の現場に出くわしたことはありません。機会があれば当事者になってみるのもアリですが……?(笑)
そのただでさえ距離が短い33系統ですが、紅葉シーズンは更に距離が短縮され、間に唯一ある停留所「梅宮橋」の更に手前の駐車場で客扱いをおこないます。もちろん歩ける距離でもありますが、寒い夜間の山道は出来ればご遠慮願いたいもの。そこでこの33系統が夜間増便されているのです。
臨時バス停の様子。
こちらも叡電同様、帰っていく人の方が多く見られます。
折り返し時間は25分ほどということで、急いで貴船神社へ。
今年は
7月の水まつりで既に訪れているので特段の感想はありませんが、夜の方がパワースポットの感があります。
閉門していたので周囲をぐるっと歩いただけですが、人知れず掃除に勤しんでおられる仲居さんの姿が見えたりと、川床で賑わっていた夏季とはまた表情の異なる料亭・旅館街でありました。
そして最終バスに乗って再び貴船口駅へ。
乗ってきたバスは係員さん・誘導員さんを乗せて高野車庫へ回送されていきました。きっと車中では互いを労う会話が繰り広げられているのでしょう。(笑)
寒さを我慢して橋を渡り、出町柳行きを撮影します。
よく撮影されるポイントですが、紅葉でもない限り夜間にこんなところには来ないので新鮮です。
そういえば、7月の訪問時はこの先のバス停から国際会館行きの52系統に乗車したのでした。
さて、ここからは一日乗車券のモトをとるべく、いったん鞍馬へ向かいます。
さすがに22時前ともなると乗客の姿はありません。
室内写真も撮り放題です。(笑)
鞍馬駅。
まるで丑三つ時のような静けさです。こんな時に山に登ればそれこそ牛若丸にでも遭遇するんじゃないでしょうか。(笑)
駅前に保存されているデナ21のカットボディ。
森見登美彦原作のアニメ「有頂天家族」に登場する偽叡山電車をイメージした装飾がされ、前照灯も点いています。物語ではこれが夜な夜な寺町界隈を走り抜けるという設定ですが、この時間帯に見るとリアリティが増しますね。
そういえば同じ森見作品でアニメ化された「四畳半神話大系」では、主人公の「私」と友人の「小津」が叡電の鞍馬や貴船の界隈から出町に逃げる描写があったと思います。二ノ瀬の辺りで捕まりそうになるところを行きつけのラーメン店店主に助けられるんでしたね。もう4年も前になるんだなぁ……。
と、そんなことを思いながら折り返し列車を宝ヶ池で下車、今度は無意味に八瀬を往復します。
三宅八幡でほとんどの乗客が下車しましたが、これは辺りに住宅地が広がっているからでしょう。終点の八瀬比叡山口も、文字通り比叡山へのアクセス需要を除いてはひっそりとしています。
昔は八瀬遊園というレジャー施設があり、列車からも見えるプールで遊んだ後、今はなきデオ600に乗って帰ったことを覚えています。
モダンな八瀬比叡山口駅舎に佇むデオ731。
奇遇にも「有頂天家族」ラッピング車に当たりました。
「ラッピング」と言えども京都では条例の関係でささやかな装飾に抑えられており、
そのぶん、室内で「見せる」部分が多いのが特徴です。
ラッピング車両も記録出来たことで、いよいよ出町へ戻る……と思いきや、最後の悪あがき(?)、一乗寺で下車。
ラーメン街道の外れにある「豚人(ぶたんちゅ)」で、冷えた体を暖めてからの帰宅と相成りました。
画像の品はしょうゆとんこつラーメン(700円)で、麺は好奇心で「極太ドラゴン」を選択。固めでしたが太いぶん量が少なく感じたので、替え玉(100円)では細麺にしました。こちらの方がスープにも合って私は好みです。
そして再び叡電に揺られ、帰宅したのは日付が変わる直前。
普通運賃だと合計1480円かかったことになりますから、十分にモトのとれた夜遊びだったと言えるでしょう。