初夏の伯備線を撮る

2023年04月27日 00時20分22秒 | 鉄道関係
4月も下旬に差し掛かり、新年度も徐々に落ち着きつつあります。
好天に恵まれた22日(土)に伯備線沿線を訪れました。

行きは京都から新幹線。
この日は早朝に名古屋と岐阜羽島の間で線路内立ち入りがあったようで、東海道新幹線は7時頃から順次運転見合わせとのことでしたが、乗車した「ひかり531号」は定刻通りだった(京都7:20発)ところをみると、不通区間をギリギリのところで潜り抜けてきたようです。観光需要の戻りからか京都からの乗車も降車も多く、指定席は満席とのアナウンスが流れていましたが、自由席は2号車まで移動すると空席がちらほらあり、山陽区間に入ると窓側にも空席が見受けられました。

ちょうど1時間ほどで岡山に到着し、山陽本線に乗り換えます。


在来線ホームでは115系が未だゴロゴロしています。
京都では113系が昨年度末でついに引退してしまいましたが、ここ岡山でも227系の投入が決まっており、この当たり前の光景も徐々に貴重となっていくことでしょう。

やって来た三原行きに乗って庭瀬で下車。撮影地を目指して歩きます。


踏切が鳴ったので構えてみると、213系の6連がやって来ました。
今は115系や117系の陰に隠れていますが、いずれ最後の国鉄型として注目されることになるのでしょうか。

庭瀬駅での下車は実は10数年ぶり。
前回は学生時代、駅から北に歩いて犬養木堂記念館を訪れましたが、今回は線路沿いを西に歩いて足守川の鉄橋を目指します。


後方の木々がやや気になりますが、緩やかな勾配が良い感じのポイントです。
練習の電車が115系というのも今や贅沢。末期色とも揶揄されるカラーですが、10年も経って見慣れると風景に合う色に見えてくるから不思議です。


待つこと10数分、「スーパーやくも」塗装に復刻された「やくも5号」が築堤を駆け上がってきました。
撮りたかったパノラマ型グリーン車が先頭。紫を基調としたカラーリングが懐かしくもカッコいいです。


ロゴマークもバッチリ復活。「スーパー」廃止後、「ゆったり」にリニューアルされるまでの間は「SUPER」が消されていた覚えがあります。
国鉄色のヒゲをアレンジした(?)前頭部回りの塗装もいま見るとなかなか似合っていますね。幼少期に図鑑で見た記憶、家族旅行で乗せてもらった記憶が鮮やかに蘇りました。

庭瀬からは伯備線直通の電車に乗り換え、備中川面へ。


こちらは昨年8月以来の下車でしたが、今度は駅から北側、方谷駅方面に向けて歩きます。


10分ほど歩き、踏切を渡ると、よく作例を見かける鉄橋が見えてきました。
この日は国鉄色が走らないせいか、一日を通して沿線での撮影者はほとんど見かけず。ここも先客が1名いらしただけで、後方で構えさせていただきました。


「やくも10号」が車体を傾けながら鉄橋を渡っていきます。
新緑に映えるゆったりやくもカラー。かつて幅広く見られた、西日本の国鉄型特急に施された前面バーコード塗装もこの381系を残すのみとなりました。

さらに歩いて別の撮影地を探します。


途中、立派な道路橋を渡りました。
たもとの案内板によると、昭和12年に架けられた田井橋というトラス橋で、近代化土木遺産に指定されているようです。

橋を渡って神社のそばを通るとS字カーブが見えてきました。前回訪問の際、車窓から気になっていたポイントです。


祠の脇を213系の普通列車が走っていきます。
黄色の115系を期待していたのですが、これはこれでケーブル類が目立たないので良いかも?


踏切からS字カーブに差し掛かる「やくも9号」を。
検査時以外は国鉄色が充当される列車です。意外と障害物が多く、あまり満足していません。


振り返って、方谷で交換してきた「やくも12号」を正面から。


後追い。線路際には祠があり、これも絵になります。
朝の新幹線運転見合わせの影響を引きずって「やくも」は上下列車とも5分ほどの遅れがありましたが、やや早歩きで駅に戻り、後続の普通列車(定刻)に乗って新見へ。
さらに県境越えの普通列車に揺られ、鳥取県の上菅に降り立ちました。


伯備線でも高所に位置するためか、ちょうど八重桜が満開でした。






上菅駅は無人駅ではあるものの、「上菅よりどころStation」と命名され、待合室やトイレなどが地域の方によって清潔に保たれていました。
木造駅舎も幾つか残る伯備線ですが、こうした一見無機質な駅舎にも人の温もりが感じられます。

この界隈も幾つか撮影ポイントが点在していますが、今回は駅から黒坂駅方面に歩き、山道からの俯瞰を狙いました。


着いてしばらくすると普通列車が通過して行きました。
G編成の黄色2連が田園風景に映えます。福知山でも2連の113系が少数残存していますが、岡山でもやはりこのG編成あたりが最後まで残るのでしょうか。




遠くまで見渡すと、このような感じです。


続いて「やくも13号」。
曜日指定の臨時列車ゆえかこちらは4両編成。なんとも模型的で可愛らしいです。


「やくも20号」はスーパーやくも塗装。
朝、庭瀬で撮影した編成が出雲市で折り返してきました。国鉄色もそうですが、このカラーもどんな風景にも馴染みます。

30分ほどの滞在で効率よく3本が撮れたので、上菅駅に戻ります。
途中で集落の人とすれ違ったので軽くご挨拶。「どこから?」と尋ねられたので京都からと答え来意を告げると、「ご苦労様、気をつけてね」と声を掛けていただき、非常に心が温まる思いがしました。直前にこういうニュース(樹木の無断伐採、ごみの放置、路上駐車が後を絶たず… 「撮り鉄」のマナー違反どう防ぐ 自治体など対策へ)を見ていただけに多少の歩きづらさもあったのですが、こうして好意的に接していただいたことで今回非常に思い出深い土地となりました。こういう関係性をいつまでも大切にしていきたいものです。

再訪を誓いながら、帰りの列車に乗り込みます。


やって来た生山行きはキハ121の2連。伯備線で2往復のみの気動車列車です。


生山からは接続する「やくも22号」に乗車し一気に南下。
381系を撮って381系に乗って帰るというのも考えてみれば贅沢なものです。自然振り子に身を任せるといつの間にか睡魔に襲われ、目が覚めると複線区間を爆走していました。
岡山まで乗りたいところですが、乗継割引がなくなったので生山から100km以内に収まる倉敷までの乗車とし、普通列車に乗り換えて岡山へ。岡山で家族へのお土産を大量に購入し(ここが重要です)、姫路まで新幹線、姫路でえきそばを啜ってから乗継割引の効く「スーパーはくと14号」で帰洛しました。

久々の撮影メインの遠出でしたが、当然一回で満足するはずはなく、取りこぼしや課題も多く見つかりました。
これからますます新緑の眩しくなる伯備線沿線、さて次はいつ訪れましょうか。