JR四国より、2000系気動車の先行試作車「TSE(Trans Shikoku Experimental)」の引退が公式発表(PDF注意)されました。
四国の高速鉄道網形成に大きく貢献した振り子式気動車の先駆けです。近年では運用範囲を特急「宇和海」のみに狭めており、松山まで行かないと会えないので私も過去に数回しか見たことはありませんでしたが、昨年末に「バースデイきっぷ」で四国を一周した際(この記事の実質続きとなります)、運よく「宇和海18号」で宇和島→松山の全区間を乗車することができました。固定運用なので目星をつけるのは簡単ですが、当初は予土線の「鉄道ホビートレイン」から接続する16号に乗車する予定だったところ、宇和島駅近くで入ったお店の「鯛めし」が美味でご飯をおかわり(笑)、滞在時間が延びて1本ずらした次第です。
前運用となる「宇和海13号」で宇和島に到着するTSE。折り返し時間は8分とタイトですが、頭端式の宇和島駅ホームにはカメラを構えた同業者が多く、同編成の人気が高いこと、引退が近そうなことは何となく察知できました。
宇和島方の非貫通型先頭車となる2001。量産車(上)と異なりHMが装備されていないのでブラックフェイスがより目立ちます。また、量産車の2000型はグリーン車と普通車が半々の合造車となっていますが、トップナンバーの2001のみ全室が普通車であることも特徴の一つ。
この日乗車したのは、松山方の先頭に立つ2101。前寄り半分の座席が指定席区画となっています。
こちらは量産車の貫通型先頭車・2100型ですが、やはり随分と異なる表情です。
前面の扉モドキ、当初は2分割のプラグドア式できちんと開閉機能を有していたようですが、現在は閉塞されているとのこと。両脇にガイドレールを埋めた跡がうっすらと見えます。痕跡好きとしては観察し甲斐のあるポイントですね。(笑)
しかし、なにぶん試作的要素の強い車両、万一コケた時のために2101の客室後方には団臨としても使えるようソファーが設置されていたとのこと。もし転用されていれば現在の「アイランドエクスプレス四国」のような位置付けが考えられていたのだと思いますが、そうならなくてよかったです。(笑)
その後、量産化改造を受けた際にソファーは撤去され、「跡地」の4列分だけが量産車と同じバックシェルの付いた座席となっています。
側面表示も平成初期のスタンダードと言うべきものですが、今となっては古めかしく見えます。客用ドアも量産車では全て窓が小さいものに交換されていますが、TSEは最後まで原型の大窓を保っています。
実際に乗車しての感想ですが、車齢を感じさせない高速走行に驚きました。途中駅からの乗車や短区間での乗降もみられ、「うずしお」と並ぶ高頻度運転で需要が旺盛なのも頷けます。余談ながら「宇和海18号」の八幡浜到着を以って私はJR四国全線完乗が叶ったのですが、発足最初の特急車であるTSEで乗り潰せたことは良い記念となりました。
松山到着時にはちょうど今治方から8600系が入線、新旧「しおかぜ」の並びも見られました。
この8600系、そして2000系列の後継が期待されて昨年登場した2600系はいずれも空気ばねによる車体傾斜を採用していますが、これはやはり完全な代替とはならなかったようで、2600系については今後は同車をベースに振り子式に仕様を変更した車両を導入する旨が早々にアナウンスされました(PDF注意)。ここ数年、全国的に斜陽が差しつつあった振り子式車両は、その原点となった四国の地でひそかに復権の兆しを見せています。
「TSE」の引退はJRグループのダイヤ改正日にあたる3月17日。当日早朝に松山へ到着する「宇和海2号」での定期運用引退となったのはおそらく運用の都合でしょうが、プレスリリースにもあるように運用終了後もしばらくその雄姿を拝むことは可能で、三度に亘るさよなら運転が実施された後に多度津工場入りが予告されています。その後は……やはり工場もしくは伊予西条の四国鉄道文化館で保存でしょうか。新緑の季節、四国各地に最後の別れを告げるTSEを一度は撮影してみたいものですが、ともかくも、最後まで安全に走り抜けてくれることを願います。
四国の高速鉄道網形成に大きく貢献した振り子式気動車の先駆けです。近年では運用範囲を特急「宇和海」のみに狭めており、松山まで行かないと会えないので私も過去に数回しか見たことはありませんでしたが、昨年末に「バースデイきっぷ」で四国を一周した際(この記事の実質続きとなります)、運よく「宇和海18号」で宇和島→松山の全区間を乗車することができました。固定運用なので目星をつけるのは簡単ですが、当初は予土線の「鉄道ホビートレイン」から接続する16号に乗車する予定だったところ、宇和島駅近くで入ったお店の「鯛めし」が美味でご飯をおかわり(笑)、滞在時間が延びて1本ずらした次第です。
前運用となる「宇和海13号」で宇和島に到着するTSE。折り返し時間は8分とタイトですが、頭端式の宇和島駅ホームにはカメラを構えた同業者が多く、同編成の人気が高いこと、引退が近そうなことは何となく察知できました。
宇和島方の非貫通型先頭車となる2001。量産車(上)と異なりHMが装備されていないのでブラックフェイスがより目立ちます。また、量産車の2000型はグリーン車と普通車が半々の合造車となっていますが、トップナンバーの2001のみ全室が普通車であることも特徴の一つ。
この日乗車したのは、松山方の先頭に立つ2101。前寄り半分の座席が指定席区画となっています。
こちらは量産車の貫通型先頭車・2100型ですが、やはり随分と異なる表情です。
前面の扉モドキ、当初は2分割のプラグドア式できちんと開閉機能を有していたようですが、現在は閉塞されているとのこと。両脇にガイドレールを埋めた跡がうっすらと見えます。痕跡好きとしては観察し甲斐のあるポイントですね。(笑)
しかし、なにぶん試作的要素の強い車両、万一コケた時のために2101の客室後方には団臨としても使えるようソファーが設置されていたとのこと。もし転用されていれば現在の「アイランドエクスプレス四国」のような位置付けが考えられていたのだと思いますが、そうならなくてよかったです。(笑)
その後、量産化改造を受けた際にソファーは撤去され、「跡地」の4列分だけが量産車と同じバックシェルの付いた座席となっています。
側面表示も平成初期のスタンダードと言うべきものですが、今となっては古めかしく見えます。客用ドアも量産車では全て窓が小さいものに交換されていますが、TSEは最後まで原型の大窓を保っています。
実際に乗車しての感想ですが、車齢を感じさせない高速走行に驚きました。途中駅からの乗車や短区間での乗降もみられ、「うずしお」と並ぶ高頻度運転で需要が旺盛なのも頷けます。余談ながら「宇和海18号」の八幡浜到着を以って私はJR四国全線完乗が叶ったのですが、発足最初の特急車であるTSEで乗り潰せたことは良い記念となりました。
松山到着時にはちょうど今治方から8600系が入線、新旧「しおかぜ」の並びも見られました。
この8600系、そして2000系列の後継が期待されて昨年登場した2600系はいずれも空気ばねによる車体傾斜を採用していますが、これはやはり完全な代替とはならなかったようで、2600系については今後は同車をベースに振り子式に仕様を変更した車両を導入する旨が早々にアナウンスされました(PDF注意)。ここ数年、全国的に斜陽が差しつつあった振り子式車両は、その原点となった四国の地でひそかに復権の兆しを見せています。
「TSE」の引退はJRグループのダイヤ改正日にあたる3月17日。当日早朝に松山へ到着する「宇和海2号」での定期運用引退となったのはおそらく運用の都合でしょうが、プレスリリースにもあるように運用終了後もしばらくその雄姿を拝むことは可能で、三度に亘るさよなら運転が実施された後に多度津工場入りが予告されています。その後は……やはり工場もしくは伊予西条の四国鉄道文化館で保存でしょうか。新緑の季節、四国各地に最後の別れを告げるTSEを一度は撮影してみたいものですが、ともかくも、最後まで安全に走り抜けてくれることを願います。