カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

推敲。

2018-11-27 05:34:47 | Weblog

毛糸帽は露西亜紅茶(ロシアンティ)の気香るもの 頭皮(あたま)さむし道場にて抜かれたるわが頭髪(かみ)思(も)へば


警察道場から医務室へと運ばれ来たり 相手の掌(て)の中のごつそりわが頭髪(かみ)


〈頭髪(かみ)抜き〉は反則技ぞ 医務官もわれも知らざりき頭髪(かみ)もどす術(すべ)を


わが禿頭(とくとう)を何故同僚(ひと)らは笑ふのか 事件後只管(ひたすら)、山川草木に身を浸してみたし


〈禿頭(とくとう)傷心休暇。〉と書きてのち申請書をトイレ中の部長の机に置き帰る


〈狐火〉てふ海端の駅に降りたち一分の間にみたざる〈人形〉とあひたり


村人は誰もがそのこと知つてをり〈昼の狐火〉〈人形〉の事件


《幾つもの〈狐火〉浮かぶ森の昼 そは近寄り来たり海端の崖より》


片時も毛糸帽離せぬ身となりぬ モーニング珈琲は宿屋主人の心尽くしの


雨戸のむかう薄霧の庭ながめつつゆつくりすする朝の珈琲

夜想曲。
コメント
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