お休みのいちにち。ヘルメット被って愛車ペダル漕ぎ、いつものデパート屋上庭園のテラス席へ出掛けて書き物の用事幾つかを済ませ、デパート前の郵便局で無事に投函。そのすぐ近くのコメダ珈琲でジェリコなどを頂いて北森鴻先生の遺作『うさぎ幻化行』(創元推理文庫)を読んでいると、隣りのテーブルの老紳士とその娘さんという二人連れが本日の東京芸術劇場コンサートホールの開場時刻の話しを熱心にされている声が耳に入った。何があるのだろうとスマホネットで調べてみると、法政大学交響楽団のマーラー交響曲第一番がプログラムメインの特別コンサートがあるらしい。これは今年のコンサート聴き納めに良さそうと急遽聴きに行くことにした。
脚本家田向正健さんがことばを紡がれたNHK大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』(1992年)。その主題曲(毛利蔵人さんの作曲)の作詞も田向さん。
嗚呼、闇の彼方
聴けよ、星の歩み、月のうた
未知なる海に辿りつかむ
近ごろ偶々、膨大な数で存在する我が家の先祖のひとりらしい河尻秀隆という人物の、織田家家臣としての恐ろしい生きざま悲しい死にざまをいろいろと読むことがあって、その主人である信長という人物への見方や印象も明らかに従前よりも変わってきたような気がするのだが、無論、それはまだまだ言語化出来ていないもやもやな塊である。
とにかく、この主題曲は傑作と思う。
推敲メモから。
〈失踪中〉の部屋前に漂ふパンの香り 規制線の朝もふかく濃くありき
あのひとは温かく優しき声音のひとだつた その朝はもう写真のみとなりて
〈事件現場の残り屁にはライムの香り〉と刑事が鼻をヒクつかせてゐる午後
セプテムバーの海に投げてきた青きトマト 新宿駅の雑沓に踏む
あの夏も〈あの人たち〉に裏切られた夏だつた国会売店のトマト饅頭、トマト饅頭
デモ隊は手に手にトマト齧りつつ海辺の首相私邸を目指せり
〈あの人〉はトマトに似てゐると今更に海への坂できみはぼそりと
〈恥〉を知らぬ〈あの人〉の前で麦わら帽のわれはトマトを投げつけてゐたり
朕のつきし虚言見抜けぬ君らの問題とインターフォン越しに言ひ放つ〈あの人〉
泣いた、泣いた グアバジュース放水銃トラックの警官隊に追ひ返されて
今日もこれから仕事。
九大フィル第92回定期演奏会
1964/06/19(金)小倉市民会館(第3回小倉演奏会)
1964/06/20(土)福岡市民会館
指揮:穴山 健、三木 鶏郎
〈曲目〉
ウェーバー作曲:「オベロン」序曲
ベートーベン作曲:交響曲第5番「運命」
シベリウス作曲:交響詩「フィンランディア」
バッハ作曲(ストコフスキー編曲):パッカサリアとフーガ
三木鶏郎作曲:ピアノと合唱とオーケストラのための交響詩「かぐや姫」
非常に興味を惹かれる。
どういうわけだか心寂しい殺人鬼の横行する恐ろしい世界の哀しい悪夢を見ていて、その世界から何としても脱出したいと藻掻いて足掻いて強引に目覚め、暫くぼおっとしていた。胸奥で歪なワルツが鳴ったので、取り敢えずメモしてみた。
今日ももうすぐしたら仕事。
今日もこれから仕事。