カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

「MASS」など。

2012-06-30 08:17:02 | Weblog

近頃の日記は身体の不調に関する愚痴ばかりになつてしまつてゐるかもしれぬなどと時折反省もしてみるが、今朝も咳き込みで目が覚め、仕事の出がけに洟をかんだら右の鼻腔から鼻血が噴き出してきて慌てた。なにかのツケなのか老化なのか、本当にどうなつてゐるのやら。もはや残時間は長くないのかもしれないが、こちらにゐる間にやらなければならないリストにはまだまだたくさん項目が残つてゐるので、さう簡単にはくたばれない。鼻に脱脂綿詰めてマスクして、くたばつてなるものかといふ意気込みで出勤する。

昨日は終演後、ホールロビーのタワーレコード売店で、ジェイムズ・マクミラン氏の「ミサ曲~オルガンと合唱のための~」のCDを購入した。今日、早速職場に持参してBGMに掛けてみてゐる。響きや旋律がじつに美しくて深みがあつて、心が濯はれるやうだ。これまでマクミラン氏の音楽を正面向いてきちんと聴いたことがなかつたので、昨日のヴァイオリン協奏曲で受けた感動は衝撃的だつた。機会があつたら、今後いろいろ聴いてみたいと思つてゐる。

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時の彼方へ

2012-06-29 22:49:45 | Weblog


今晩は仕事のあとで初台の東京オペラシティのコンサートホールへ。恒例のN響のミュージックトゥモローを聴かせて頂きました。指揮はジェイムズ・マクミラン氏、ヴァイオリン独奏は諏訪内晶子さん。いはゆる現代音楽のコンサートでしたが、客席はかなり埋まつてゐて、広上淳一氏、西村朗氏、池辺晋一郎氏などのお姿もありました。


今宵のプログラム、どれも面白かつたですが、なかでも私がとりわけ感動してしびれたのは、尾高惇忠氏の『交響曲~時の彼方へ~』とジェイムズ・マクミラン氏の『ヴァイオリン協奏曲』の2曲。聴きやすくて何べんも聴きたくなつてしかも深みを感じる音楽でした。


画像は、終演後のホールロビーで頂いた尾高さんのサイン。

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『ルーノ』鑑賞ノート(8)

2012-06-29 07:52:31 | Weblog

『ルーノ』鑑賞ノート(8)

 

大辻さんの歌集『ルーノ』冒頭第一連「夏のかけら」の12首目。

 

星合(ほしあひ)といふバス停にバスを待つぼくたち、夏の風をみつめて  大辻隆弘

 

美しくて魅力的な初句冒頭「星合」は、三重県松阪市に実在する地名かもしれないし或るいは空想上の土地の名前かもしれない。七夕伝説を想起させるやうな、美しくて印象的な地名だ。なんとなく高原のやうな匂ひもする。さういへば地名が一首のなかで効果をあげてゐる例で、小中英之氏の有名な「蛍田てふ駅に降りたち一分の間(かん)にみたざる虹とあひたり」がある。「蛍田」は神奈川県小田原市近郊の地名であり、駅名といふ。小中氏の一首も、「蛍田」と「虹」の組み合はせから立ち上がつてくるイメージがなんとも美しくて心地よくて魅力的で愛誦したくなる。さて、この「星合」の一首、「バスを待つぼくたち」といふ若々しい措辞からすうつと開かれてくるイメージがある。それは、<待つてゐるバスが来たらそれに乗つてどこかへ出発してゆく希望に満ち溢れたぼくたち>の姿。「未知の期待に満ちた季節への出発」と言ひ換へることもできるかもしれない。ある意味<若さの特権>。さういふ<若さ>と<夏>の組み合はせがよく利いてゐると思ふ。爽やかで魅力的。そして、「星合」といふ語に潜んでゐる、星に近い高度感、さきに「高原のやうな匂ひ」と書いたが、それも面白い。

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『ルーノ』鑑賞ノート(7)

2012-06-27 08:10:49 | Weblog

『ルーノ』鑑賞ノート(7)


先日鑑賞ノート(6)で取り上げた歌集『ルーノ』冒頭第一連「夏のかけら」からの8首目。

 

川底で見あげる空は揺らめいて過ぎゆくハンス少年の夏  大辻隆弘

 

「ハンス少年」について、後で大辻さんから「あの素材はヘッセの『車輪の下』のハンス少年です。」と教へて頂いた。さう言はれるとこの一首がストンと納得、理解できる気がする。大辻さん、有難うございました。

 

今回は、冒頭第一連「夏のかけら」の10首目と11首目。

 

滅びゆく鼻濁音「が」のやさしさを聞いてゐる夜、君とゐること  大辻隆弘

 

火をかこむ古代の人のつぶやける単音節の母国語あはれ  大辻隆弘

 

「君」は恋人のやうなひとなのかもしれない。優しげな火を囲みともに見つめながら、恋人である彼女の優しい鼻濁音を聞いてゐる作中主体の脳裏に、ふつと遠い古代の先祖たちが同様に火を囲み鼻濁音豊かな単音節で語らひ憩ふ姿が浮かんできたのかもしれない。

 

この2首はそんなことを想像させます。

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『葵徳川三代』

2012-06-27 04:39:08 | Weblog
今朝の夢の中で、NHK大河ドラマ『葵徳川三代』(2000年、第39作目)の太くてやや悲壮な感じのする岩代太郎氏作曲の美しいテーマ音楽の旋律がずつと背景に鳴つてゐたが、夢から醒めてみると不思議と夢本体のことはなにひとつ憶えてゐない。これも困つたものだ。


外国帰りの職場後輩は大変な読書家で、中学高校の頃になにも読んで来なかつたからいま寸暇を惜しんで読んでゐるんですと呟いてはいつも図書館の分厚い本を抱へて次々に読破して小まめに詳細な読書ノートをつけてゐる。その様子をデスクの傍らで見てゐると、怠惰なこちらとしてはただただ感心してしまふ。昨日は仕事の空き時間に漱石の個人主義についてどう思ひますかと訊かれて、ひとしきり語り合つた。そして漱石の生まれ育ちや日本の家制度、戸主制の話から漱石のイギリス留学時代のことにまで話が及んだ。そのあと、漱石の作品で何がいちばん好きですかと尋ねられたから、『草枕』かなと答へた。いや、じつは『夢十夜』でもよかつたのだけれども、なんとなく『草枕』がさきに浮かんだのでさう答へると、後輩は、僕はまだ『草枕』のよさがよくわからないのです、あの日本語がよくわからんのですと悔しさうに言つた。さういふもんかなと思つた。


今朝は、富岡幸一郎氏の『使徒的人間―カール・バルト―』(講談社文芸文庫)が面白くて仕方がない。
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忘れられた井戸を覗き込んだやうな。

2012-06-26 05:28:42 | Weblog
夜半、現代版にアレンジされたミュージカル『ウェストサイドストーリー』のナンバーにひとりしづかに耳傾けてゐると妙に寂しく居たたまれない気持ちになつた。オリジナル版に比べて音や響きにどこかもの足らない、充たされない不安感を覚えさせられるのだ。しかし、アレンジに致命的な問題があるわけではない。上手く説明できないが、草原にぽつんと忘れられた古井戸を覗き込んだやうな寂しさに似てゐるかもしれない。なんだらう。
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戦後音楽史

2012-06-25 06:04:27 | Weblog
いまならべて読んでゐる林光著『私の戦後音楽史』(平凡社ライブラリー)と日本戦後音楽史研究会編『日本戦後音楽史』上・下(平凡社)の二著作が滅法面白くてはまつてゐる。〈戦後〉といふのは1945年から。これまでの67年間で何が変はつたのか、そして、何が変はつてゐないのか。
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のど飴

2012-06-24 19:47:08 | Weblog
最近のど飴を持ち歩いてゐる。こんなことは小学校低学年以来の珍事かもしれない。物心ついてから○○アレルギーといふほどでもないがのど飴やキャラメル飴やチョコレイトキャンディを舐めてゐるといやな頭痛が起き出す体質になつてしまつて、なるたけ避けて近寄らなかつた。でも、なにか手を打たないとお経をあげてゐるときに不様に咳き込んでしまふからのど飴の助けを求めないわけにはいかない。そこで重宝してゐるのが、ロッテのど飴。これがいちばん効くみたいです。
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最近

2012-06-23 06:58:34 | Weblog
最近、反原発デモに関する記事を読んでゐてびんびんと感じますが、流れはこれまでと明らかに変はつてきてゐます。つぎの記事も、国の山河を本当に真摯に愛するといふことがどういふことなのか、この国で漸く理解されるやうになつてきた証左のひとつと感じられ、嬉しくなります。




(東京新聞記事)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012062202000232.html







そして最近、帚木蓬生氏の小説『日御子』(講談社)にも感動しました。
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今朝の夢

2012-06-22 07:52:21 | Weblog

今朝見た不思議な夢のメモです。

 

どこかの広い和室の真ん中に十人ぐらいのひとびとと一緒に座つてゐると、TシャツGパンの可愛らしい女性がにこやかにしづかに入つてきました。その女性の姿を見た瞬間に「このひとは神さまだ」と感じました。年の頃は二十歳そこそこでせうか。その女性は、ひとりひとりの前に立つて、その人が果たすべき仕事のことを話されてゐるやうでした。私の左隣りの人への話が終はつていよいよ私の番に。何を言はれるのだらうとドキドキして待つてゐました。するとその女性は優しく微笑んで私を見つめて「作曲をしてください。それがあなたの本来の仕事ですから。時間はあまりありませんよ」とすうつと言はれました。私は、その女性にいくつか質問をしたくて口を開きかけたのですが、残念ながらそこで目が覚めてしまひました。。。。

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