カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

「ふうわり病の姫様」拾遺

2004-07-11 14:27:31 | Weblog

■2004/07/11 (日) 「ふうわり病の姫様」拾遺

     「ふうわり病の姫様」拾遺      河村壽仁

姫様は手持ちビデオを見尽くして「退屈じゃ」と風神に呟いたとか

風神のヘリコプターはバタバタと宮殿の庭に着陸(風神は慌てて)

(『塔』2004年6月号より)

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光る鯨

2004-07-11 14:26:24 | Weblog

■2004/07/11 (日) 光る鯨

 連作の話しついでに「チョット失敗している(?)
連作の作品例」を公開します。
 もしお時間が有りましたら、この連作のなにがうま
くいって、なにが失敗しているかをそれぞれお考えに
なってみて頂ければ幸いです。

 これを素材に、後日「連作の作品の並べ方」を講釈(?)
させて頂きます(笑)

〈『塔』2004年6月号『特別作品』掲載作品より〉

          光る鯨         河村壽仁

樹々の間(ま)に見えざるものの気配ありて昼間の空は朱く燃えており

畦に立ちてチリリンリンと鈴を振る遍路は右手に蜜柑を提(さ)げており

小禽はうらやましきかな桜森に哀歌を誦しつつひとり歩めば

不意に来た光る鯨の泳ぐ空 祖父は吸い上げられてゆきたり

絹帽子(シルクハット)の訪(おとな)うたびにオルガンのB♭(ビーフラット)の鍵(キー)に陽はやわらかく差しており

皿の枚数を数える吾を見下ろして時折口をはさむ隙間闇(すきまやみ)あり

青き鳥売りたる老婆の小舟の影 橋むこうに消えたら花いちもんめ

この線路をどこまでも行けば会えるサと祖父は右掌を僕の頭(ず)に載せたり

煌煌と路面電車の明るみは風呂屋番台の前を過ぎたり

大鍋のカレーに彼岸の香草類 生者も死者も食卓に揃いぬ

陽暦の一月十日はカレー記念日 父方曾祖母と母方祖父の命日

闇中を光はゆくりと上昇せり サンシャインビル頭上の鯨型宇宙船

シベリウス 宇宙を疾走する光る鯨 庄司紗矢香はヴァイオリンを構えて

ストラヴィンスキーの火の鳥の燃えさしの羽一枚小布施坂(おぶせざか)に落ちていたり

酔狂な笑いを浮かべて透きとおれば ああ あのおんなのこは犬がこわいんだな

くじら型宇宙船 鯨型宇宙船 光る鯨 光るくじら

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短歌の連作について思うこと(その1)

2004-07-11 14:25:03 | Weblog

■2004/07/11 (日) 短歌の連作について思うこと(その1)

 ワセタンたなばた歌会でのこと、ワセタンの幻視
派Eさんが真剣な表情で
「ところで連作に、作り方ってあるんですかね」
と話を切り出したのでした。

私「あるですよ」(鼻毛を二、三本ぬいて指先にのせフッと吹く)

 私は近頃「連作」にはまっています。「ひとに連
作を作らせたくて」うずうずしています(?)。ワ
セタンの鬼才派M君がその被害者(?)です。彼は
先日「東スポの世界観」を詠んだ意欲作を歌会で発
表しましたが、この作品はぜったいに連作にしたら
面白い!!と私は思い、ことあるごとに、連作にし
たら面白いで、面白いで、はよ連作にしてや、とM
君をけしかけているのです。M君は、
「連作のつくりかたがようわからんので・・・・・」
と当惑気味ですが、私は、連作のつくりかたの講釈
もせずに、ただ一方的に「連作つくれ~、つくれ~」
とわめいております。
 ほんまにしまつのわるい悪人ですな、私は。

 連作の作り方って、どうしたらよいのでしょうか?

 私はワセタン以外に塔短歌会にもお世話になってい
ますが、連作に関する塔の先輩たちの意見をまとめて
みると、

>あるテーマ(寂しさ、楽しさ、悲しさ、うれしさ・・
>・・・)で、まずは、一日とか一晩とか時間を区切っ
>て集中してわーっと百首とか五十首とかたくさん歌を
>作って、すこし「寝かせ」て、頭が冷えたところで
>並べ替えます。

>「寝かす」というのを、すこし補足すると、数日間
>集中して、ある程度完成させた作品群を、しばらく
>放置して、もう一度見直してみるというものです。
>自分の作品が新鮮に見えたり、色あせて見えたりし
>ます。続けて見ていると、直したくなるところもあ
>りますが、「寝かした」あとだと「案外初案がいい
>な」と思えたりします。

 最初にわーっと作るときは、質よりも量だそうです。
とにかく短歌のリズムで詠めていればよいのだそうで
す。それ以外のこと(うまいか下手か)に関しては、
いちいち気にしてはいけないそうです。勢いが大事と
いうことですね。

 私もまだ「これがコツ」と言える自説がなく、受け
売りばかりです。次回、またここで、「連作」につい
て書くときは、作品の並べ方について書いてみたいで
す。

 今日はこの辺で。

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落ち込みません、元気です(『魔女の宅急便』より)

2004-07-06 23:21:11 | Weblog

■2004/07/06 (火) 落ち込みません、元気です(『魔女の宅急便』より)

 ただいま帰宅して気付きました。

 やってしまいました!!

 某歌会の詠草提出締め切り22時ということをうっかり
していました。

 選歌とコメントのところでしっかり参加していこうと思
います(立ち直りの早いのだけが私の取り柄です^^)。

 大したことではありませんので、大丈夫です。ただ、短
歌作品の批評の場所に自作を出せなかったことは、イタイ
です。歌会は、非常に勉強になるのです。

「空」というお題でして、一応もやもやっとしたものを
なんとなく形をととのえていたところではありましたが、
別の歌会のときに出すことにします。

 ところで今日は、大学の授業で日高尭子先生の短歌実
作演習ゼミがありました。お題は「青」です。

 私が提出した歌は、

曼珠沙華 きみの天使をすてられない僕には僕の蒼き明日あり 河村壽仁

 「青」というお題だったので、色を三色(青・赤・白)
用意して歌謡曲風の語彙で歌にしてみようと(ちょうど、
阿久悠さんの詩集をぱらぱらっと見たところでしたので)
仏教思想とキリスト教思想を歌のバックボーンにおいて
(?作りましたが、案の定、予想していたとおり、授業
中ゼミ仲間から頂戴したコメントは、大体、「歌謡曲風
で、よく見る表現で新味にとぼしい」というものでした。

 日高先生は、「壮大なテーマ(仏教思想とキリスト教思
想のことです)もよいけれど、読み手にその意図したバッ
クボーンも伝わるような、読み手と作者をつなぐ回路の工
夫が必要ではないか」というコメントを下さいました。

 いわゆる、小手先短歌は駄目なんですね(^^)

 ちょっと反省させられました(^^)。

 そうそう、話はかわりますが、早稲田の沖縄食堂の話題
はまた今度とりあげることにします。今日はたまたま沖縄
料理のレシピの話を聞く機会がありました。沖縄の料理文
化の話は、本当に面白いです。

 今日はこの辺で。

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サイトサブタイトル「ふうわり病の姫様」のこと

2004-07-06 14:17:54 | Weblog

■2004/07/06 (火) サイトサブタイトル「ふうわり病の姫様」のこと

 先日私は、題詠マラソン2004に参加し、お蔭様で完走できま
した。
http://www.sweetswan.com/daiei-2004/

 そのマラソンの中で、いま某短歌会のメール歌会でもご一緒して
いる歌友の田丸まひるさん出題の「姫」というお題がありました。

 「姫」とは難しいなあと三日三晩悩み苦しんだ末に、天啓のよう
に「ふうわり病の姫様」というアイディアが降りてきたのでした。

**********************************

    「ふうわり病の姫様」による連作   作・河村壽仁
    (題詠マラソン2004への投稿歌の中から)

姫様はふうわり病に罹られた この空にのびる紐の先に

(王立天文台のくるーざー博士によれば姫様は成層圏ぎりぎりのところにおられるらしい)
姫様を救出すべし 東方の三博士を招集諮問すも老博士の頭脳は混沌として

(三博士は姫様のことが心配ではないのだろうか)
「天の川 姫は倒れて眠りをらむ」字余りですな 誰の句でしたかな

【*天の川 鷹は飼われて眠りをり 加藤楸邨】

(天空におられる姫様はお手持ちのビデオをすべて見尽くしたと言われる)
お城中の映画ビデオを気球に乗せ姫様にお届けに私奴(わたくしめ)もあがる

(孫の修学旅行土産のコックローチのペンダント)
姫様はわたしの胸元のペンダントにシュウーと殺虫剤を噴射された

(コックローチ殺虫剤事件で大臣が昏倒されたので、急遽わたしが抜擢された。家にもなかなか帰れない。家では生まれたばかりの子どもの世話に妻は掛かりきりである)
電話鳴る「はい、お城です。」なにっ、伝い歩きした?!(喜)「ばかもの、あとで掛けなおす!」ガチャッ

(姫様の携帯から「私はカモメ」といふメールが届いた)
姫様のふうわり病を治す注射はここに用意できた 問題はどうやって軟着陸して頂くかだな

(王国新聞トップ記事「姫様、ご生還!救出作戦大成功」)
姫様を宮殿屋根に引っ掛けたことはご内密に 「無事救出」をネットで配信

**********************************

私は、これらも短歌作品のひとつだと信じていますが、「短歌では
ない!」と否定される方もいらっしゃいます。いろいろな考え方、
感じ方があってよいのです。

あなたはこの連作を読まれて、どう思われましたか?

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