カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

角川春樹氏

2011-09-30 07:54:25 | Weblog
『ユリイカ』特集現代俳句の新しい波(2011年10月号)の角川春樹氏へのインタビュー記事《「魂の一行詩」の揮う力》を今朝開いていると、




東日本大震災は、いままでの詩歌の見方を変えた。改めて詩歌には命と魂しかないと感じた。同情して、「わたしもこんなに苦しんだ」というのは詩じゃない。客観的に詩として成立する言葉を出さなければ詩人とは言えない。半径50センチの盆栽俳句、盆栽短歌は認められない。それではもうなんの力にもならない。




というような文字列が目に飛び込んできました。この主張、あらためて新鮮に心に響いてきます。
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力強いヴィオラ

2011-09-30 00:14:18 | Weblog

最近、実家に帰るたび、封印していたはずの親からの愛情を十分にかけてもらえなかった幼児期の記憶(悲しくて混乱した感情)が引っ張り出されて、そのときの場面がありありと蘇ってきてしまって、いまさらその対処を自分で自分にしなければならないことに激しい疲れを感じています。でも、私がこのままこの先生きていくためには、いかに疲れようともこれを通り抜けなければいけません。逃げられないぞと思っています。



今晩、いつものように風呂に入っていて、どうしようもない不協和音の連続のなかに一本、ヴィオラの力強い旋律が鳴っているイメージが突然降りて来ました。不思議に、なんだか救われた気分になりました。
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うたた寝

2011-09-29 21:58:32 | Weblog
あるメールになにかに憑かれたようにひとりだけ熱い返事を打ちおわって、妙に疲れてついうたた寝をして、はっと起きてから先ほどの熱はいったいなんだったのだろうと冷静に考え込んでしまうのです。ちかごろ。
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虚には希という伴侶がある

2011-09-27 08:07:26 | Weblog
岡井さんの歌集『人生の視える場所』の「噂の大魚」の一連の詞書に次なる一節があります。






福岡県遠賀郡手斧村にさらりと棲みついたあの年の初冬、虚(きょ)という大魚のうわさを聞いた。黄昏、一瞬蒼ざめんばかりの人をはげまして、

(短歌略)



ところがその道を路肩一ぱいきしませて夜目にも紅いバスが走る。猛然と震ふ座席に居て「虚には希(き)という伴侶がある」ともきいた。

(短歌略)







「虚には希(き)という伴侶がある」とは、読み手の想像力をいたく刺激してくるフレーズで、面白いです。
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マンナ

2011-09-27 00:18:21 | Weblog
ああ大人よいつかはそこへしかしいまはあかるい嘘がマンナ降り来る  岡井隆(『天河庭園集[新編]』)



マンナは、旧約聖書『出エジプト記』第16章に出てくるManna(マナ)。民の上に天から降りて来る食べ物。
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土曜日日曜日

2011-09-26 17:03:59 | Weblog

土曜日はお昼過ぎまで仕事でした。仕事を終えて、遅い昼ごはんを頂くべく、四ツ谷しんみち通りの洋食屋「エリーゼ」へ。いつものように絶品の鮭のバター焼きを頼もうとお店前のメニューサンプルのショーケースを見ると、「しばらくの間メニューを揚げ物に限定して営業します」との掲示。厨房を覗くと竹田店長おひとりの姿だけ。これまでおられたほかのコックさんが見当たりません。どうやら何かの事情でしばらく竹田店長おひとりで厨房を回さなければならなくなって、メニューを限定しての営業とされた模様です。仕方がないので、揚げ物メニューのなかから、チキンカツのデミグラスソース掛けをいただくことにしました。とは申せ、エリーゼはすべてのメニューが絶品なので、チキンカツもデミグラスソースもすばらしく美味しかったです。で、食事の後、有楽町の東宝シャンテで話題の映画「ミケランジェロの暗号」を鑑賞。なかなか面白かったです。日曜日は朝から夕方までお寺のお手伝いをさせていただきました。お寺からの帰り、久しぶりにジュンク堂書店池袋本店に寄ると、歌誌「塔」の売れ行きはおかげさまで引き続き好調のよう。前々から欲しくて仕方なかった『岡井隆全歌集』第二巻第三巻を購入して帰宅。

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記憶にありませんな。

2011-09-25 07:42:38 | Weblog
某メール歌会で最近「俵さんの東急ハンズの歌」が話題にのぼった。生憎私はその歌がどんな歌だったかすぐに思い浮かべることができなくてちょこちょことネットで検索してみた。そうしたらすぐに出てきた。



大きければいよいよ豊かなる気分東急ハンズの買物袋  俵万智(『サラダ記念日』)




『サラダ記念日』は昔読んでいるはずなのだけれども、この一首は記憶に残っていなかった。この歌に限らず、歌集などで読んだけれども忘れてしまっている歌がたくさんあることにあらためて愕然とした。
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変ロ短調

2011-09-24 08:32:43 | Weblog

チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の調性は「変ロ短調」。シミラレソにフラットがつきます。フラットが5つ。小学校二三年の頃、このチャイコフスキーのコンチェルトが大好きで母親に頼んでよくレコードをかけてもらっていましたが、家にはハ長調の木琴しかなくて、レコード聴いて耳コピーして大好きなメロディを叩きたくてもどうあがこうがもがこうが正確な音程を叩くことが叶わず、結局イ短調にずらして叩くしかなくて非常に無念だった記憶があります。


さて。一昨々日の21日午後、台風のために職場が一斉に早く退けたので、まだなんとか動いていた地下鉄を乗り継いでサントリーホールへ。当日券を手に入れて御年82歳のブロムシュテットさん指揮のN響定期演奏会を聴きました。シューベルト未完成とブルックナー7番ノヴァーク版。どちらの曲も、天上界に流れている音楽とは斯くやと思わせるほど、まことに素晴らしい演奏でした。このコンサート、台風で交通機関がストップしたせいで多くの方がホールに来られず、ホール客席はこれまで見たことがないくらいに空席だらけでがらがらでしたが、ホール内は熱かったです。演奏が終わって何べんも挨拶があって最後楽員の方たちがステージ袖に入った後も、客席の多くはなかなか席を立とうとせず熱い拍手をいつまでも送り続けていました。そんな拍手に応えてブロムシュテットさんはわざわざまたステージに出て来られてステージ近くに寄ってきた聴衆に声を掛けられていました。私はそういう場面を初めて見ましたが、これを、ブロムシュテットさんの熱烈なファンによる恒例の一般参賀と呼ぶそうです。本当に素晴らしい演奏会でした。

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水溜

2011-09-21 06:46:04 | Weblog
台風は午後には東京近くにも来て夕方風速20メートル以上の暴風雨になるのでなるべく家にいて外に出ないようにしてくださいとラジオニュースが言っているも、今日は朝から夕方まで仕事に行かねばならぬ予定。休んでいられません。



今朝、葛原さんの歌集『朱霊』を開いていて、


水溜(みづたまり)いくつも繋がりゐるところ空漠非現実なるところ  葛原妙子


はもしかしたら、河野先生の有名な一首、


君は今小さき水たまりをまたぎしかわが磨く匙のふと暗みたり  河野裕子


の源流(もと)かもしれないと思いました。
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ここのところ

2011-09-20 06:37:51 | Weblog
土曜から今日までお寺の法務のお手伝ひ連投。明日からは仕事。今日は秋の彼岸入りです。雨。


さういへば、指揮者のクルト・ザンデルリンク氏が亡くなられたさうですね。氏の振られたブラームス一番の名演を頭のなかでイメージ(妄想)しながら。



では行つてきます。
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