東日本大震災は、いままでの詩歌の見方を変えた。改めて詩歌には命と魂しかないと感じた。同情して、「わたしもこんなに苦しんだ」というのは詩じゃない。客観的に詩として成立する言葉を出さなければ詩人とは言えない。半径50センチの盆栽俳句、盆栽短歌は認められない。それではもうなんの力にもならない。
というような文字列が目に飛び込んできました。この主張、あらためて新鮮に心に響いてきます。
土曜日はお昼過ぎまで仕事でした。仕事を終えて、遅い昼ごはんを頂くべく、四ツ谷しんみち通りの洋食屋「エリーゼ」へ。いつものように絶品の鮭のバター焼きを頼もうとお店前のメニューサンプルのショーケースを見ると、「しばらくの間メニューを揚げ物に限定して営業します」との掲示。厨房を覗くと竹田店長おひとりの姿だけ。これまでおられたほかのコックさんが見当たりません。どうやら何かの事情でしばらく竹田店長おひとりで厨房を回さなければならなくなって、メニューを限定しての営業とされた模様です。仕方がないので、揚げ物メニューのなかから、チキンカツのデミグラスソース掛けをいただくことにしました。とは申せ、エリーゼはすべてのメニューが絶品なので、チキンカツもデミグラスソースもすばらしく美味しかったです。で、食事の後、有楽町の東宝シャンテで話題の映画「ミケランジェロの暗号」を鑑賞。なかなか面白かったです。日曜日は朝から夕方までお寺のお手伝いをさせていただきました。お寺からの帰り、久しぶりにジュンク堂書店池袋本店に寄ると、歌誌「塔」の売れ行きはおかげさまで引き続き好調のよう。前々から欲しくて仕方なかった『岡井隆全歌集』第二巻第三巻を購入して帰宅。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の調性は「変ロ短調」。シミラレソにフラットがつきます。フラットが5つ。小学校二三年の頃、このチャイコフスキーのコンチェルトが大好きで母親に頼んでよくレコードをかけてもらっていましたが、家にはハ長調の木琴しかなくて、レコード聴いて耳コピーして大好きなメロディを叩きたくてもどうあがこうがもがこうが正確な音程を叩くことが叶わず、結局イ短調にずらして叩くしかなくて非常に無念だった記憶があります。
さて。一昨々日の21日午後、台風のために職場が一斉に早く退けたので、まだなんとか動いていた地下鉄を乗り継いでサントリーホールへ。当日券を手に入れて御年82歳のブロムシュテットさん指揮のN響定期演奏会を聴きました。シューベルト未完成とブルックナー7番ノヴァーク版。どちらの曲も、天上界に流れている音楽とは斯くやと思わせるほど、まことに素晴らしい演奏でした。このコンサート、台風で交通機関がストップしたせいで多くの方がホールに来られず、ホール客席はこれまで見たことがないくらいに空席だらけでがらがらでしたが、ホール内は熱かったです。演奏が終わって何べんも挨拶があって最後楽員の方たちがステージ袖に入った後も、客席の多くはなかなか席を立とうとせず熱い拍手をいつまでも送り続けていました。そんな拍手に応えてブロムシュテットさんはわざわざまたステージに出て来られてステージ近くに寄ってきた聴衆に声を掛けられていました。私はそういう場面を初めて見ましたが、これを、ブロムシュテットさんの熱烈なファンによる恒例の一般参賀と呼ぶそうです。本当に素晴らしい演奏会でした。