〈月夜〉堀口大學
月の光の照る辻に
ピエロさびしく立ちにけり。
ピエロの姿白ければ
月の光に濡れにけり。
あたりしみじみ見まわせど
コロンビーヌの影もなし。
あまりに事のかなしさに
ピエロは涙ながしけり。
この年の瀬。今日は、頭髪を刈りに大塚に出たあと、池袋へ。西武百貨店地下の叶匠壽庵で実家の仏前用に大好きなお菓子「あも」を買い、東武百貨店七階の鳩居堂で寒中見舞い用の罫線葉書を大量購入。来年の干支「午(うま)」に因む短歌一首がここに来てもまだできていないことが少々気掛かりも、最後は奥の手のプルネグロ飛行男爵を使って切り抜けるかもしれぬ、とか考えています。いろんなことがあって、いろんなことが起きて、いろんなことのまざまざと見えた今年だったように思います。来年がどうぞみなさまにとって素晴らしい年になりますように。
近頃のこと。あっかんべーは赤目から、ということを知る。あっ勘兵衛、ではなかった。そして、昨日は昼間も揺れたけれども、揺れながら普通にしごとをしていた。そして、その理由を聞けば、たしかに、と思うも、導音に重嬰記号をつけるのを回避するために#(シャープ)6個が付く嬰ニ短調は♭(フラット)が6個付く変ホ短調に書き換えるのが通例、ということを恥ずかしながらこれまで知らなかった。どうして知らなかったのだろう。早速書き換えなければ。そして、澤村斉美さんの第二歌集の装丁が本当に美しくて気持ちがいい。本の中身も素晴らしいけれども、装丁にこんな風につよく惹かれたことはこれまでになかった。今朝は、録音しておいた永さんのラジオを聴きながら、澤村さんを読んでいます。
短歌メモから、です。
〈例ふれば、マーラー、此星(ここ)より地球へ向かひぬ〉と先代町長揮毫の石碑
〈此星(ここ)よりは数多なるひと輩出してをり〉と、地球(あちら)にも火星(こちら)にも
波止場隣り憩ひホームは多彩なる星での役目終へたるひとびと
マーラーは蒼きグラスに水注いでちびちび呑みをり地球(ほし)ながめつつ
〈帰還船〉と呼ばるるシップその朝も町の波止場へ、一際華やぐ
シップにはマーラー九番流れたり、船長の名はブルノ・ワルター
その朝もシップ窓際に客人あり帽子にひるがほブローチつけて
今朝。未明のラジオから、小泉今日子さんの『木枯らしに抱かれて』(作詞/作曲・高見沢俊彦、編曲・井上鑑)が流れてきました。独特の哀調。おお、懐かしい、本当に佳い曲だなとあらためて思いました。小泉今日子さんの歌では、『ヤマトナデシコ七変化』(作詞・康珍化、作曲・筒美京平)や、『潮騒のメモリー』(作詞・宮藤官九郎、作曲・大友良英/Sachiko M)も好きです。そういえば、『あまちゃん 完全シナリオ集』(角川書店)の巻末に『潮騒のメモリー』の歌詞が掲載されていて、その第一行目「来てよ その火を 飛び越えて」を見たとき、三島由紀夫の『潮騒』そのまんまだったのか、と思いました。「来てよ その日を 飛び越えて」とばかり思っていたからです。勘違いしていました。