カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

〈生きる〉。

2019-10-30 07:10:38 | Weblog

いまこの国が失ってしまった大事なもの。いまこの国が取り戻さなければいけない大事なもの。沖縄の地で相良さんが朗読された素晴らしい詩を、今朝、またあらためて読ませて頂いた。


『生きる』相良倫子

私は、生きている。
マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、
心地よい湿気を孕んだ風を全身に受け、
草の匂いを鼻孔に感じ、
遠くから聞こえてくる潮騒に耳を傾けて。

私は今、生きている。

私の生きるこの島は、
何と美しい島だろう。
青く輝く海、
岩に打ち寄せしぶきを上げて光る波、
山羊の嘶き、
小川のせせらぎ、
畑に続く小道、
萌え出づる山の緑、
優しい三線の響き、
照りつける太陽の光。

私はなんと美しい島に、
生まれ育ったのだろう。

ありったけの私の感覚器で、感受性で、
島を感じる。心がじわりと熱くなる。

私はこの瞬間を、生きている。

この瞬間の素晴らしさが
この瞬間の愛おしさが
今と言う安らぎとなり
私の中に広がりゆく。

たまらなく込み上げるこの気持ちを
どう表現しよう。
大切な今よ
かけがえのない今よ

私の生きる、この今よ。

七十三年前、
私の愛する島が、死の島と化したあの日。
小鳥のさえずりは、恐怖の悲鳴と変わった。
優しく響く三線は、爆撃の轟に消えた。
青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった。
草の匂いは死臭で濁り、
光り輝いていた海の水面は、
戦艦で埋め尽くされた。
火炎放射器から吹き出す炎、幼子の泣き声、
燃えつくされた民家、火薬の匂い。
着弾に揺れる大地。血に染まった海。
魑魅魍魎の如く、姿を変えた人々。
阿鼻叫喚の壮絶な戦の記憶。

みんな、生きていたのだ。
私と何も変わらない、
懸命に生きる命だったのだ。
彼らの人生を、それぞれの未来を。
疑うことなく、思い描いていたんだ。
家族がいて、仲間がいて、恋人がいた。
仕事があった。生きがいがあった。
日々の小さな幸せを喜んだ。手をとり合って生きてきた、私と同じ、人間だった。
それなのに。
壊されて、奪われた。
生きた時代が違う。ただ、それだけで。
無辜の命を。あたり前に生きていた、あの日々を。

摩文仁の丘。眼下に広がる穏やかな海。
悲しくて、忘れることのできない、この島の全て。
私は手を強く握り、誓う。
奪われた命に想いを馳せて、
心から、誓う。

私が生きている限り、
こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。
もう二度と過去を未来にしないこと。
全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。
生きる事、命を大切にできることを、
誰からも侵されない世界を創ること。
平和を創造する努力を、厭わないことを。

あなたも、感じるだろう。
この島の美しさを。
あなたも、知っているだろう。
この島の悲しみを。
そして、あなたも、
私と同じこの瞬間(とき)を
一緒に生きているのだ。

今を一緒に、生きているのだ。

だから、きっとわかるはずなんだ。
戦争の無意味さを。本当の平和を。
頭じゃなくて、その心で。
戦力という愚かな力を持つことで、
得られる平和など、本当は無いことを。
平和とは、あたり前に生きること。
その命を精一杯輝かせて生きることだということを。

私は、今を生きている。
みんなと一緒に。
そして、これからも生きていく。
一日一日を大切に。
平和を想って。平和を祈って。
なぜなら、未来は、
この瞬間の延長線上にあるからだ。
つまり、未来は、今なんだ。

大好きな、私の島。
誇り高き、みんなの島。
そして、この島に生きる、すべての命。
私と共に今を生きる、私の友。私の家族。

これからも、共に生きてゆこう。
この青に囲まれた美しい故郷から。
真の平和を発進しよう。
一人一人が立ち上がって、
みんなで未来を歩んでいこう。

摩文仁の丘の風に吹かれ、
私の命が鳴っている。
過去と現在、未来の共鳴。
鎮魂歌よ届け。悲しみの過去に。
命よ響け。生きゆく未来に。
私は今を、生きていく。

https://youtu.be/ZO6IROwP-Uw

今朝、胸の奥で再び鳴り出したヴァイオリン協奏曲。 取り敢えず30小節ほどメモ。
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やはり。

2019-10-28 05:57:52 | Weblog

インスタント麺でいちばん美味しくて好きなのはやはり〈サッポロ一番・塩ラーメン〉だと昨晩丼にお湯を注ぎながら思った。

つい何日か前、編集長に〈今年の三冊〉アンケート回答を送る。やはり、中上さん、ブラームス、ラフマニノフのラインナップ。


ブラームスといえば、今朝目が覚めると、ブラームスが頭の奥のほうで滔々と鳴っていた。

 

父方又従姉に当たる方と不思議な偶然から繋がって見せて頂いている古い文書からわかってきたことは、高祖父も曾祖父も人柄温厚できわめて学力優秀、しかも豊かな芸術的センスある人たちだったということ。亡き父の若い頃からの卓抜な書道の才能も、突然変異などではなくて、やはり、父方の血によるものであったことが理解できた。

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息苦しさ。

2019-10-27 07:43:57 | Weblog

詩人の感性とは鋭く繊細で豊かな直感力だと思う。日頃から感性豊かな短歌作品を詠まれるUさんが、こんな鋭いツイートをなさっていた。以下。。



自己肯定感の希薄がこの世の息を苦しくさせて、その根深さにときどきぞっとする。

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楽しみ。

2019-10-26 06:54:54 | Weblog
今朝、ラジオ番組表を眺めていて、NHKFM午後1時からの『歌謡スクランブル』に「原田知世特集」とあるのを見て、これは録音予約しておかなければ、と思った。今宵のマエストロ・ブロムシュテットのモーツァルト40番とチャイコフスキー5番、それから、片山先生の湯浅さん特集も楽しみ。
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今年の私の三冊。

2019-10-24 17:36:17 | Weblog

もしも、どこかの誰かから、今年読んだ本の中から三冊を挙げてください、と頼まれたとする。しばらく考え込んで、取り敢えず思い付く三冊を挙げてみる。どれもびっくりするぐらいに古いものばかり。最近は新しいものになかなか手を伸ばせない。

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大村達齋。

2019-10-23 12:06:11 | Weblog

記事メモ。。特集記事「同志社医学教育の歩みー同志社病院と京都看病婦学校ー」同志社時報第139号(2015年4月)https://t.co/9x3PLhAsF4


古い文書を眺めていて分かったこと。父方高祖父は、どうしても長男である曾祖父を自分と同じ医者の後継ぎにしたくて、京都に大村達齋が開いていた「けい(さんずい+「炯」の右側の作り)酌医学校」に曾祖父を入れたらしい。大村達齋は、岡山県津山市の北方の奥津(いまの鏡野町)で代々医家を営んでいた石田家に生まれ、医師となり、第14代将軍徳川家茂の正室和宮内親王の侍医を務め、明治天皇に初めて種痘を行い、現行の医師国家試験の基盤を作った人物という。「同志社時報」にけい(さんずい+「炯」の右側の作り)酌医学校に関する記述があった。

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作品82。

2019-10-23 08:52:24 | Weblog
休みを頂いた今朝、ややのんびりしてラジオを点けると、思いがけずエルガーのまことに美しい「ヴァイオリン・ソナタホ短調作品82」が流れてきて、耳をそばだてて一心に聴いた。音楽には、それを紙に書き留めた作曲者の心がどれほど無垢で透明で優しく美しかったかが素直にそのまま反映されてしまうところがある。

古い文書の読み解きを少しずつでも進めてみたい。
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今朝。

2019-10-21 08:31:15 | Weblog
仕事場への途中。
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仕事の前。

2019-10-20 07:41:52 | Weblog
今朝、仕事の前。胸の奥で唐突に鳴る。
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至福。

2019-10-19 18:26:18 | Weblog

今朝、仕事場へ向かいながら、胸の中でチャイコフスキーの交響曲第4番が鳴り出し、それは一日中ずっと鳴っていた。

ラジオから、昨晩はトゥガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団で、今宵はヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団で、チャイコフスキーの交響曲第4番をたっぷり聴かせて頂ける至福。本当に至福だ。

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