眼を瞑ると目眩。なんだか乱気流に揺すられている飛行機にいるようだ。亡き父は、僕とレストラン正面入り口のガラス窓から中を覗き込み、母と妹たちの姿を奥のテーブルに認めると、僕をその場に置いてきぼりにしたまま中に急ぎ足でつかつかと入っていき、母と嬉しそうに談笑しはじめた。僕は、ああ、よかったな、と窓ガラス越しにそれを見ていた。そうして亡き父は、最後、〈僕は川口飛行場から帰るから、みんな、またね〉とあちらの世界に帰っていった。
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