カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

ラフマニノフとコンドラシン

2006-11-09 08:25:44 | Weblog
 ラフマニノフというとどうしてもコンドラシンの名前を思い出します。

 私がラフマニノフの名前と音楽を初めて知ったのは小学校の3年の頃だったような記憶があります。家にあった河出の世界音楽大全集の「ケーレルの独奏ピアノとコンドラシン指揮モスクワフィルの演奏によるラフマニノフのピアノ協奏曲第二番」のレコードを聴いたのがきっかけで、その解説書からコンドラシンの名前も憶えました。このレコードの演奏については今でも、コンドラシンの名演奏のひとつではないかと思っています。。。

+++

河出書房 世界大音楽全集
http://www2.ttcn.ne.jp/~wall/record_book/kawade/kawade_main.htm#kawade_mokuji

監修:堀内敬三/村田武雄/野呂信次郎
編集:座右宝刊行会
レコード製作:日本ビクター
定価:各巻2,800円

■1968年刊行
第16巻 チャイコフスキー 1 1月
第5巻 ベートーヴェン 1 3月
第4巻 モーツァルト 4月
第18巻 ドヴォルザーク 7月
第6巻 ベートーヴェン 2 9月
第9巻 ショパン 11月

■1969年刊行
第1巻 ヴィヴァルディ 1月
第7巻 シューベルト/メンデルスゾーン 3月
第12巻 ブラームス 5月
第8巻 ベルリオーズ 7月
第10巻 リスト/パガニーニ 9月
第2巻 バッハ 11月

■1970年刊行
第17巻 チャイコフスキー 2 1月
第19巻 グリーク/シベリウス 3月
第13巻 ビゼー/グノー/シャブリエ 5月
第15巻 グリンカ/ムソルグスキー/ボロディン/リムスキー=コルサコフ 7月
第20巻 ドビュッシー/ラベル 9月
第3巻 ヘンデル/ハイドン 11月

■1971年刊行
第11巻 ワーグナー/リヒャルト・シュトラウス 1月
第21巻 ラフマニノフ/バルトーク 3月
第14巻 サン=サーンス/ラロ/フランク 5月
第22巻 ストラヴィンスキー 7月
第23巻 プロコフィエフ/ハチャトゥリアン 9月
第24巻 ショスタコーヴィチ 11月

■1972年発行
第27巻 シューマン 3月
第25巻 バッハ 2 9月
第26巻 モーツァルト 2
第28巻 ヴェルディ
第29巻 プッチーニ
第30巻 ヨハン・シュトラウス

 河出書房が1968年から5年の歳月をかけて刊行した、全30巻の大規模なクラシック・レコード全集です。当初は24巻として企画されましたが、その後6巻が追加刊行されました。ウォールはこのうち26巻を持っています。30cmLPレコードと同じ大きさの60ページほどの解説書に、30cmステレオLPレコードが2枚付いた豪華版。1巻ずつ立派なケースに収められています。解説書の用紙は厚めのものが使われており、じつに重く堅牢なつくりです。
 この全集は、出版元が1967年~70年に刊行した「世界音楽全集」の兄貴分的な存在です。「世界音楽全集」のレコードは17cmLPが2枚のため、収録曲はどうしても小曲と大曲の一部が中心となります(それでも「運命」、「未完成」、「田園」、「ジュピター」、「新世界」、「ます五重奏曲」などの大曲を全曲収録しているのは立派です)。これに対して、もっと本格的なレコード全集がほしいという要望に応えたのがこの「世界大音楽全集」です。大手出版社が刊行したレコード全集としては、おそらくもっとも大規模なものです。しかし、現在ではポピュラーとなったマーラーとブルックナーは収録されていません。当時はまだそれほど一般的な人気はなかったことがうかがわれます。

+++++

『決定盤・世界大音楽全集』刊行に際し『LPステレオ盤世界音楽全集』のご愛読者へ

謹啓
 小社の『世界音楽全集』を発刊以来、引続きお買い求めくださいましてありがとうございます。厚くお礼申し上げます。
 ”読む、見る、聞く”の立体的全集として、小社の総力を結集した本全集は、全集出版に新しい波をまき起こした記念碑的存在であると自負しておりますが、おかげさまで40万名様もの音楽愛好のみなさまの熱いご支持を賜わることができました。今回の「ヨハン・シュトラウス」、どうか心ゆくまでお楽しみください。
 さて、すでに新聞広告などでお知らせしてまいりましたが、小社ではこのほど本全集の姉妹版として『決定版世界大音楽全集』全24巻を刊行することになりました。これにつきまして、ひとことご説明申し上げ、あわせてよりいっそうのご愛顧を賜わりますようお願いする次第でございます。
 いま皆様にご愛聴いただいている『世界音楽全集』を刊行以来、10万名様にもおよぶご愛読者のみなさまから励ましのおことばや暖かい助言をいただきました。文学や絵画などは現代人の基礎教養に欠くべからざるものとして一般に深く浸透しているにもかかわらず、ひとり音楽教養だけは体系的に編集された全集が存在しなかったことに対するみなさまのご不満がここに結集したものであり、私どもは改めて私どもの使命の重大さを肝に銘じたものでございます。そして”次の機会にはぜひ30cm盤レコードの決定盤を!”という圧倒的なご意見をちょうだいし、小社ではソビエト政府RCAビクター、日本ビクターの協力を得て、専門家にもご満足いただける、音楽芸術の集大成を目標にして、文字通り完璧の音楽全集を研究してまいりました。
 本全集は17cm盤ながら、音質、品質ともに完全なものですが、収録曲の面では比較的親しまれている作曲家や曲目を収録しており、いわば音楽教養を身につけるためには、一度は聞かねばならない入門版としての性格をもっております。一方、この度の『決定版・世界大音楽全集』は、入門版を卒業した人たちが、さらに深い、高度な音楽芸術に触れることができるよう研究、編集されたものです。ヴィヴァルディなどのバロック音楽から現代音楽まで、37人の楽聖の代表作を現代超一流と定評のあるアーチストの演奏で収めました。さらに、この全集で特筆すべきことは、収録曲がいわゆるさわりだけを集めたハイライト盤ではなく、各曲を完全に収めた完全収録で貫かれていることです。したがって109曲がすべて完全な形で紹介され、レコード・コレクションとしての価値を著しく高めています。
 さらに、ぜひともつけ加えておきたいことは、『決定版・世界大音楽全集』収録曲のうち、本全集と重複しているのはわずか11曲だということでございます。それもべートーヴェン『交響曲第5番運命』、シューベルト『未完成交響曲』、メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲』、ドヴォルザーク『交響曲第9番新世界より』など、全集として欠かすことのできない名曲中の名曲ばかりです。しかし、指揮者も楽団も本全集に収録したものとは異なっています。すでにご存知のように、同じ曲でも指揮者や演奏者が異なれば、曲の雰囲気や味わいも全く異なるものでございます。その意味で申しますと、本全集と『決定版・世界大音楽全集』で、重複するものは全くないということがいえると思います。
 以上、ご説明申し上げましたが、本全集と『決定版・世界大音楽全集』は同じ音楽全集でありながら、全集の基本的な性格において、全く別のものであることが、ご納得いただけたと思います。本全集は依然として音楽教養の入門版としては欠かせないものでございます。今後ともよりいっそう、本全集を可愛いがってくださいますよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。そして、さらに音楽芸術の深みに分け入るべく『決定版・世界大音楽全集』をご併読いただきますれば、これにすぎた喜びはございません。
敬具

昭和四十三年一月
株式会社河出書房

 ご愛読者様各位

+++++

 収録曲は米国ビクトローラ(ビクター)と旧ソ連の新世界(メロディア)の音源が使われています。ビクトローラのほうは特に珍しいものはないようですが、新世界音源ではネーメ・ヤルヴィの若い頃の演奏やイワノフの「英雄」、「悲愴」といった興味深いものが含まれています。解説もリストによる「ショパンの生涯」、スタンダールによる「モーツァルトの生涯」、ロマン・ロランによる「ベートーヴェンの生涯」など、本格派の評伝を取り上げていて、この全集の性格をよく表しています。

+++++

第21巻 ラフマニノフ/バルトーク
初版:1971年3月
レーベル:shinsekai

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
ルドルフ・ケーレル(p)
キリル・コンドラシン指揮 モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第1番
ダヴィッド・オイストラフ(vn)
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮 モスクワ放送交響楽団

バルトーク:弦楽のための喜遊曲
ルドルフ・バルシャイ指揮 モスクワ室内管弦楽団

北沢方邦:ラフマニノフの生涯
北沢方邦:バルトークの生涯
藤田由之:レコード解説
河端宏子:年譜・作品表

+++++

 指揮者キリル・コンドラシンのこと。



〔キリル・ペトローヴィチ・コンドラシン〕サイト
http://www.geocities.jp/exist2ok/kondrashin.html
 このページはソヴィエト時代の指揮者キリル・ペトローヴィチ・コンドラシン(1914-1981)について紹介する目的で作成しています。彼によって残された録音の質の高さとクラシック音楽史上における彼の知名度を比べるにつけ、その評価は不当なまでに低く、ごく一部のファンの間で知られている以外はほぼ黙殺されている感を禁じえません。
 石造建築のように腰の据わった構成。テンポを揺らさず大胆に強弱をつけ曲の陰影を浮き彫りにする解釈。音楽の中に感情を読み取りつつ、しかもそれを理知の力によって増幅するコントロール。冷めた情熱を秘めた名匠と言えるでしょう。しかし一生を通して己の音楽を十全に表現する機会に恵まれませんでした。オーケストラに恵まれず常に不自由の中で音楽を創造しなければならなかったにもかかわらず、そのレベルは異常な高さに到達しています。晩年、数々のハイレベルなオーケストラに客演した際の演奏録音が例外なく名演奏足りえている事実が、この指揮者の尋常ならない能力を証明しています。
 ソヴィエトの官僚主義に翻弄され亡命先で客死するほかなかったこの指揮者の人生は、ひとえに20世紀の政治と芸術の間に横たわる深淵に引き裂かれた不幸なものだったといえるでしょう。ショスタコーヴィチと並んで、音楽を芸術として追求することで支払わなければならなかった代償がこれほど大きい人物もめずらしいといわねばなりません。
 彼自身ソヴィエト音楽演奏史上重要な役を担っている面が少なくないにもかかわらず、今ひとつその生涯の詳しい事実が明らかになっていません。亡命前数年間にわたって行われたインタビューを元にした『コンドラシンは語る』、また、それ以前に指揮者自身の手になる三冊の著作がありますので、指揮者の思想、交友関係などかなりのことが明らかになると思われます。読解が進めば漸次反映させてゆきます。このページにおいては音源の感想とともに指揮者にまつわるエピソード等の収集・発表などを行ってゆくつもりです。
 以上のように、このページの作成目的は、情報収集、識者の方々との交流・情報交換に限られるということをおことわりしておきます。厳密に趣味の範囲に限局される以上いろいろと掲載情報の間違い等もあるかと思います。お気づきの点があれば、どうかご指摘くださいますよう、お願いいたします。

++

『キリル・コンドラシンは語る』
http://kirill-kondrashin.com/talksabout/
コンドラシンの関連著作より一部の抜粋翻訳を公開。半月に一度、ロシア語からおがわが翻訳します。

《「コンドラシンは語る」記事一覧》
「指揮芸術について」より ヴァン・クライバーン 2
「指揮芸術について」より ヴァン・クライバーン 1
「コンドラシンは語る」より ウィーンの聴衆 3
「コンドラシンは語る」より ウィーンの聴衆 2
「コンドラシンは語る」より ウィーンの聴衆 1
「コンドラシンは語る」より アルトゥール・ルービンシュテイン
「コンドラシンは語る」より ヨーロッパ音楽概観
「コンドラシンは語る」より アメリカのアマチュア・オーケストラ
「コンドラシンは語る」より アイザック・スターン
「コンドラシンは語る」より ピアティゴルスキー
「コンドラシンは語る」より パリ管 2
「コンドラシンは語る」より パリ管 1
「コンドラシンは語る」より ドレスデン・シュターツカペレ
「コンドラシンは語る」より オーケストラのレベル
「コンドラシンは語る」より ストコフスキー 2
「コンドラシンは語る」より ストコフスキー 1
「コンドラシンは語る」より ストラヴィンスキー
「コンドラシンは語る」より ミケランジェリ 2
「コンドラシンは語る」より ミケランジェリ 1
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする