午後八時に投票が締め切られてすぐさま当確情報を流すことを当たり前のようにマスコミが行っていることへの不可思議さと不気味さと薄気味悪さを栗木屋六兵衛は大いに感じ、そんなことはそもそも可怪しいんじゃないか、と又もや肌にぞわぞわと粟粒を立てて、もう聞きとうないわいとラジオのスイッチを切った。東京都の水道を勝手に民営化するとか、都有地を三井不動産へ勝手に９割引で売り渡すとか、儂らは一切賛成しとらんのに何故じゃ。ご飯茶碗に水道水をじゃぶと汲み、ごくりと飲んだ。落ち着け、落ち着くんじゃ。儂らを絶望させるのが奴らの狙いじゃから、悲観的になり過ぎてはならん。
オーケストラのためのノクターン。
