横山 オイルパステル
マユカです。今回は横山さんの作品をご紹介します。
横山さんにとってはアトリエでの初めてのカラー素材。オイルパステルを使用した風景画です。左は白い画用紙に、下塗りとして薄く透明水彩を塗ってから描きました。右は水色の色画用紙に描いています。
だからでしょうか、右の方は朝日を受けてぼうっと光っているような、少し神々しさを感じる仕上がりになっており、右は青空の澄み渡る昼頃の、爽やかな印象を受けます。同じ構図ではありますが、受ける印象がだいぶ変わって見えてくるあたりから、モネの「積みわら」を連想しました。あの作品は陽の光の移り変わりや空気感を朧気ながらも確実に描写したものですが、今回の横山さんの作品も、左から順に朝方~昼頃というようなグラデーションしていく時間を表現しているように見えてきます。
柔らかでありながらもどこか自然の厳しさを感じるような、壮大な空気感を上手く表現されています。山の立体感を出す為わずかに描かれた細かな凹凸が、ごつごつとした雰囲気をかもしだしつつ、描きすぎないことで下方の広大な自然と繋がります。手前の湖もてらてらとした光沢感や、その深さを感じさせるような濃くしっかりとした色遣いにより、奥の山を一層引き立てていますね。
オイルパステルは子供たちが使うクレヨンとよく似ていますが、固めでしっかり描けるクレヨンに比べると、柔らかくて伸びがよいため、色をぼかしたり混ぜたりしやすいのが特徴です。油絵のような立体感や迫力も出しやすいので、油絵の上から併用して使われることもあるほどです。
横山さんの作品ではクレヨン感は薄く、雲より下を見れば油彩と言われても、「そうかも」と思ってしまうほどに何度も何色も塗り重ねてあり、複雑な印象を与える仕上がりになっています。
画用紙の目が残るように描けばさらっとした印象が与えられますし、目をつぶすようにしっかりと塗り重ねれば、重厚感のある絵になります。オイルパステルはもちろん、水彩や油彩等でも塗り方ひとつで見ている人への伝わり方は大きく変わってきます!与えたい印象によって表現を変え、描き比べてみるのも面白いかもしれませんね。