モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

魅惑の音色

2024-07-19 20:45:22 | 学生


陽飛 高2 不透明水彩

ギリシャ神話に出て来るヤギのパーンを主役に、葦の笛の音色に酔いしれる動物たちを描きました。茶色が多い画面ですので、同じ色味にならないように、何度も何度も塗り直しました。
1匹で聞きに来ている動物もいれば、羊は家族で聞きに来ていたり、ペアで並んでいる動物もいますね。ペア動物はそれぞれメスとオスの姿を書き分けられており、細かい仕事が生きています。動物の形や表情もよく捉えられています。全部で何匹いるんでしょう?よく見ると奥の方に狐もいますね!本来なら隣り合う事の無い動物(捕食者と被捕食者)ウサギが肉食のオオカミとチーターに挟まれていても無事なのですから、よほど美しい音色なのでしょう。食物連鎖をも凌駕する光景は、鑑賞者をも動物達と同じ表情にしてくれるようです。奥の青い山々も美しいですね、雪が積もった山肌を上手く表現しています。
絵本的な雰囲気もあれば、子供っぽすぎる事もない、絶妙なバランスの絵は、どの年代の人が観ても楽しめる1枚だと思います。

小原先生のぼやき「人にしつこく『これで良いですか?』『これ、どう思いますか?』って聞く癖に、私が『なんか隣と色が似てるからもっと工夫して』と言うと、いちいち『え?どこがですか?僕はそうは思いませんけど!』と喧嘩売ってくるんだよね!楽しいけど!」
作品からは想像出来ませんが、意外と先生達とバチバチしている時も。笑 きっとハルトさんもバトルを楽しみながら制作してくれているのでしょう、これからの作品も期待しております。

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遂に完成!水のデザイン

2024-07-18 23:40:57 | 学生


左上 波那 高1 / 右上 凛 中2
左下 百合子 高1 / 右下 沙梨 高1

マユカです!今回もまたまた学生クラス『水のデザイン』の紹介をしていきますよ!このコーナーもラスト10回目になりました。それでは張り切ってまいりましょう!

波那
水滴のぷつぷつとした集合体が爬虫類の表皮のように見えるとカメレオンをモチーフに描きました。なんだか水滴のついた窓に擬態しているようにも見えてきますね。水滴を一色にせず四色織り交ぜて描くことで単調な印象にならず、かといって類似色ばかりを使っているわけではないのにもかかわらずまとまりがあるように描くことが出来ているあたり、色彩センスが高いなと感じます。背景を黒一色にしているのは、色を見せるためなのかなと感じました。


凛はかなり自由な発想で作品を作る子で、このモチーフを決めたときも「ブリを昨日食べたしお腹すいたからこれにする」と、魚を描き始めて驚かされました。デザインというよりは食事処のメニューの挿絵のような雰囲気で、魚を描くから相性が良さそうなレモンを選ぶという凛らしい奔放さ。こんなに自由でありながら皮目のグラデーションや断面の層の質感など、よく観察してアクリルを使いこなしているあたり実力は確かですね。照りのある身がとても美味しそうです。

百合子
水滴がこぼれたときの雫がクラゲになっています。クラゲは95~98%が水分らしく、生物の中では一番水に近いのです。そんなクラゲが雫から生まれ落ちているようなアイデアは、理にかなっていて綺麗にまとまっていますね。構図も下の方をなるべく空けることで浮遊感を表現し、青の対になる黄色が差し色にあしらわれていますが、月の光を反射しているようで、なんだかほんのり光っているように見えますね。ひらひらとした触腕が波のようになっているのも素敵です。

沙梨
水に対しての体験から「あんまり水は描きたくない」と、別のモチーフを配置することにしてデザインを制作しました。自分と同じく水が苦手な猫を描くところ、捻りが利いていますね。鮮やかでありながら優しい風合いのピンクが目を惹き、あえてデッサン調で描かれた猫の頭部との対比でお互いに引き立てあっています。猫の耳のみがぴょこんと飛び出ているのが、とてもデザイン的でいいですね。猫特有のシャープな三角形の耳だけを選択した沙梨のセンスが光っています。

という訳で、『水のデザイン』に挑戦した40人のご紹介が終わりました。もうすぐ夏休みに入る学生達ですので、次の課題は再び「自由に自分で決めてOK」となっております。楽しみにしていてくださいね!

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特徴を捉えて

2024-07-17 22:12:58 | 学生


左 梅 / 右 優心 共に高2・色画用紙に色鉛筆

昨日ひとつ歳をとりました、ナツメです。本日は木曜学生クラスより2人の作品をご紹介します!今回は動物をモチーフに、色鉛筆を用い描きました。早速見ていきましょう!


鋭い目つきの猫を描きました。顔や脚は短く、体を覆う他の毛は長くといったように場所によって短い毛と長い毛を描き分けているため、どんな感触なのかが一目で分かります。また、その中でも顔周りのコントラストを強くしているためニヤリと笑う表情のインパクトが強くなっています。

優心
優心が描いたのはアオサギ。獲物を狙っているのか、低い姿勢で歩いている様子には思わず息を潜めてしまうような緊張感が漂います。「溜め」の動きに合わせて上を空けて全体的に下に寄せた構図の妙も効いていますね。水平ではなく少し傾くように描かれた足場とサギの描き込みの対比や、目と嘴に限定した有彩色の使い所など画面構成が非常に良く考えられています。

どちらの作品も元の画用紙の色をベースに使う色の計画を立てており、しっかりと描きつつも地との親和性がありますね。ここまで描ける2人なので次はもう少し陰影を足してほしいと欲が出てしまいますが、観察する力や画材に適応する力は素晴らしい!ぜひ自由で柔軟な今の時期だからこそ、いろんなモチーフ、いろんな画材で様々な絵に挑戦して欲しいです。

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魅力につながるこだわり

2024-07-09 22:34:47 | 学生

サヤカです!息ができないような暑さになってきましたね…。

本日は、学生クラスの作品をご紹介します。二人共、美術系進学希望ではありませんが、受験勉強の息抜きに通っている高校3年生と、中学3年生です。


海良 高3 アクリル

なんとも飯テロな作品ですね!箸に持ち上げられた最初の一口が特に美味しそうに見えるように強くハイライトが入れられています。また、ハイライトという点では、重箱のふちに強くハイライトが入っていて、茶色系でまとめられた画面の中で、主役のうなぎに目が行くようになっています。個人的にうな重の魅力はお米だと思っているのですが、海良が描いたうな重のお米もタレの輝きや染み込み具合が再現されていてとっても美味しそう!


璃久 中3 鉛筆

2作品とも海の生物を鉛筆で描き切りました。左の作品は『水』のデザインがテーマの基、制作した作品です。トビウオの吸い込まれるような瞳も魅力的ですが、水飛沫を画面の中心に置き、テーマである『水』が際立つ構図になっています。メンダコを描いた作品は、最後までヌメッと感にこだわりました!深海生物らしいヌメッと感と、メンダコのコロっとしたフォルムが陰影から感じ取れます。メンダコの足元から気泡が出ているのは、メンダコの口は体の下にあるためで璃久の生き物への知識が伺えます。

2人とも細かなところまでこだわりを持って取り組んでることが伝わってきました。これからも自分のペースで創作活動を楽しんでください!

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光と温度を感じさせる

2024-07-05 21:07:45 | 学生


明美 中3 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、明美の油彩作品です。森からの恵みのシャワーのような木洩れ日を、両の掌に受け止めています。題材や色の選び方に美的センスを感じますね。元はお母さんが撮ってくれた写真だそうです。
光を受ける掌以外は全て緑という思い切った色作りが目を見張ります。実は写真も手の影の部分まで緑でしたが、普通だったら肌の色(影なのでこげ茶など)で塗ってしまいそうな所を、森と同じ色で合わせているのでドキッとします。
一面の緑も見ていて飽きないほど様々な色合いを持っています。暗い色の中に瑞々しい葉っぱが生い茂り、光を受けた葉は青く輝いているようです。森の冷たい空気が画面からも感じられ、木漏れ日を受ける掌の暖かさと対比になっているのでしょう。光を受ける掌の透明感も美しいですね。
強いて言うなら、真ん中の葉っぱの形が少し単調であり、薄さも感じられ難くなっています。掌の形がすごく上手いので、葉っぱの光が透けるような薄さや、葉脈や捲れた形なども細かく追っていけると良いでしょう。

匂いや温度、湿度といった目に見えないものを絵で表す事は困難ですが、明美はそれらを捉えるセンスを持っていると思います。是非そのセンスを磨き研ぎ澄ましていきながら、キャンバスに向かっていって下さい。

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水、水、水、水

2024-07-03 23:56:57 | 学生


左上 まなは 中3 / 右上 未奈 高1
左下 陽南 中3 / 右下 美月 高1

程よい冷房の温度を探り中です、ナツメです。
今回は学生クラスより、アクリルガッシュによる水のデザイン画をご紹介します!美術系高校を進学希望の中学3年生と、美術系高校に入学した高校1年生を集めましたので、完成度が非常に高いです。早速見ていきましょう!

まなは
青と赤の対比が美しい作品。2色をメインに据え、見せ場の注ぎ口は彩度を高く、他の部分は彩度を下げることで巧く視線誘導をしています。水の勢いや透明感なども丁寧に描写しており、外部の気温・水の温度までが伝わってくるような清涼感のある一枚になりました。

未奈
雨上がりでしょうか、水滴の乗った葉を描きました。厚みのある葉の描写もさることながら、水滴が葉脈に溜まっていたり水滴や下へ落ちていく様子などよく観察したことで説得力が生まれていますね。背景の白の抜けも軽快な印象で美しいですが、深緑に塗ってみると水滴が強調されてまた印象が変わります。

陽南
黄金色とも言われる蜂蜜ですが、ハニーディッパーから垂れている様子を色を変えて表現しており、そのメリハリからまさに黄金のような輝きを感じます。特有の粘度を出すために気泡や屈折も根気良く描きました。ディッパーをはじめとした基本的な明暗もバッチリ抑えています!

美月
一度描いたものの「これじゃ納得できません!」と上から全て描き直し、触った時のひんやりとした温度まで想像できる金属光沢を持った蛇口になりました。そのこだわりから、明るい色と暗い色のコントラストを使い分け、金属のきらめきと水滴の透明感の両方を高い質で描画しています。

4枚が並ぶと赤、黄、緑、青と連作のような相乗効果が生まれ、一枚一枚を単体で見た時とはまた違った印象になりますね。これまでにも学生クラスの水のデザイン画を紹介してきましたが、「水」というテーマ一つからここまで解釈を広げ、画面を構成する創造力に脱帽です。

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魅力を詰め込んで

2024-06-25 23:04:56 | 学生

サヤカです!突然の暑さにくらくらしますね…!どうか体調にお気をつけください。今回は学生クラスのペン画を紹介します。


瑞希 中3

瑞希は、蛇や鳥、昆虫など生き物を生き生きと、それぞれの魅力を引き出す作品をたくさん描いていますが、こちらのドラゴンの作品も見た人に「ドラゴンってかっこいい!」と思わせるような作品ですね。ドラゴンのデザインの細かさからもこだわりが感じられ、丁寧に重ねられた影の線は自然な立体感を生み出しています。また、背景も世界観を深めつつ、主役のドラゴンをより際立たせていて良いバランスです。


圭介 中2

こちらはカードゲームのキャラクターのようなポップさも感じられる恐竜たちを描いた作品です。どの恐竜も一目見て種類がわかるようにチャーミングに描かれ、見どころがありますね!シンプルでポップなタッチでありながら、恐竜の力強さ、しなやかさはしっかり表現されています。飛行する恐竜は下から、背中に特徴がある恐竜は後ろからなどアングルの工夫によって、特徴が目に入りやすく、かつ迫力のある作品になっています。

2人とも美術系に進学する訳ではありませんが、好きな事を貫いている人たちです。作品からものびのびとした「好き」の気持ちが感じられ、見ている人にもその熱量が伝わってくるようです。ぜひこれからも楽しく、自由に創作を続けてください!

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デザイン イズ メッセージ

2024-06-20 23:13:32 | 学生


左上 千紘 中1 / 右上 ひなた 中3
左下 杏 高2 / 右下 香那 高1

マユカです!学生たちのデザインも様々な物がありましたね。先週に引き続き、ご紹介していきます!

学生クラスに入ったばかりの中1千紘は、なつめ先生のテキストに素直に従った絵。水の透明感を大切にしているのが伝わってきます。真っ直ぐになってしまっている水面がもっと波打っているとさらに自然に見えますが、光が入っている場所や真横から見た水の薄さ、円形に広がっている波紋を表す為に底面にしっかりと楕円を描いている辺りから、立体感とリアリティを感じますね。水の姿をよくとらえることが出来ているように思います。

ひなたは環境問題と水を絡めてポスターをイメージしながら描きました。ジュースの入ったペットボトルと、水が混ざり合ってしまっている様子を表現するために紫などの毒々しい色を使用し、ビビットさを損なわないようにしながらも、前後感と流れている様子を色の差で表現しました。差し色の黄色がよく目立ち、目を惹かれますね!青や紫のアクリル絵の具は、鮮やかなままで使うとかなり塗りムラが出来てしまいがちなのですが、乾いてからさらに上に塗る を繰り返すことで塗りムラを押さえ、綺麗な画面作りに尽力していました。

杏は美術系を目指しているだけあってデザイン的。塗りムラも少なく、溝引きもうまくできています。ミルククラウンの様に広がった水の様子を描きましたが、それだけでは面白くないということで背景にストライプを配置し、水を挟んで透けて見えるストライプの揺らぎを描きこむことで見ごたえを上げました。手前と奥とで塗り方と見え方を変えることで前後感を出し、さらに一色違う色を挟むことで画面にメリハリがついています。色数を抑えることでシンプルで統一感のある画面を作ることが出来ていますね。

香那は社会の風刺を描いた啓蒙ポスター的で、解釈が面白いですね。水をテーマに置く…と聞いて、海面上昇だったり荒廃した世界を想像する発想力を画面に出力する際に、アクリル絵の具特有のベタ塗りはあまり使用せず、油画の様に少しずつ厚塗りを重ねていました。世界観が強く出ており、「デザインらしさ」はないものの、作品として完成されていますね。水面の描写の緻密さが特に、落ちている影に揺らぐ水面の光が重なることでこの少しファンタジーな世界観に説得力をしっかりと持たせ、今後こう言った未来があるかもと思わせる一枚になっています。

デザインは、自分の想いや考え、伝えたいメッセージを伝える手段なため、ポスターと相性がいいんですね。皆様も是非自分の想いを画面に乗せて、「デザイン」してみてくださいね

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清涼感、夏の香り

2024-06-13 23:07:49 | 学生


左上 悠華 中3 / 右上 心 中3
左下 明美 中3 / 右下 璃子 中2

マユカです!!引き続きデザインのご紹介をしていきますよ~!!今回は中学生特集です。なんだかフレッシュ!最近は特に暑い日が続いているため、今回の作品たちは涼し気で爽やかな雰囲気が心地いいです。

まずは悠華。ふわふわと美しいひれをなびかせて泳ぐ金魚が美しく、水中から金魚を見上げているような構図になっているため鮮やかな赤色が目に眩しく、より引き立って見えます。水面を単色ではなく、緑や紫、濃さの違う青を乗せることで単調にならないように工夫されています。よく見れば背だけでなくお腹側にも小さな鱗が描かれており、きらきらと反射しているような雰囲気を感じます。水滴や水面のしぶきなど、水の形を描いている作品が多い中で、水面という切り口を見つけているあたり、アイデアの出し方が上手いなと感じます。

続いて心。メロンソーダが溶けていく様子を描きました。このデザインの要素としては結露の水滴と、アイスの垂れた粘性のある液体の感じの描き分けでしょう。反射や映り込みの激しい水滴に対し、もったりとしたマットな雰囲気のアイスの雫は液体の姿の差をよく表していますね。また色彩の使い方が素敵です。色的にはオレンジが目立つ色ではあるのですが、大きく白をあしらっていることにより空白に目が行き、そこから書き込みの多いメロンソーダへと視線が移ります。大きな面に目立つ色を置いているからこそ、小さな画面にしても目をしっかりと引きます。

お次は明美。懐中時計が水に投げ入れられているようなダイナミックで躍動感のある構図になっています。とても動きを感じる要因は、その水の動きから来ています。水滴が端へ溜まることでどの向きに水が進んでいるのか、この後どういった動きをするのかを想像することが出来、また中心のアナログな時計の機工に少し手間取っていましたが、金属らしさや水の透け感、揺らぎなど、細かい所にたくさんのこだわりが詰まっています。薄く淡い水彩の塗りの中に、パキッと鋭い色をのせているので、ハッとさせられるような鮮明さがありますね。

最後に璃子の作品です。紅茶を注ぐ様子を描きました。彼女の画風の特徴として、とにかくよく観察して、正確に写しとるところがあげられるのですが、その観察眼はなかなかに鋭く、特に紅茶を注いているポット、そこから流れる液体の流動感はまるで写真のよう。使う色の選び方がとてもうまく、丁寧な色選びをしながら少しずつ描いていきました。実はポットとカップで参照している画像は別で、少し想像で補完しながら描いていました。画面構成においてオリジナリティを出すことが出来ており、ただの模写ではなく、彼女の作品として昇華させられています。

今回の作品たちはデザイン的、というよりは一枚の作品としていいなと思うものが多かったかと思います。これからもデザインをする!という時は、より分かりやすく暖色を用いた画面を心がけて色や構図を作ってあげると、広告のような作品が描けるようになっていくのではないかなと思います。

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思い切りを大事に

2024-06-12 22:14:20 | 学生


左上 舞 中3 / 右上 圭介 中2
左下 心寧 中2 / 右下 空

梅雨入り前なのに夏日が続いて毎日ヘトヘトです、ナツメです。本日も学生クラスより水のデザイン作品のご紹介です!


「水」と言われて鼻水や涎をテーマにする大胆さ!鼻水もここまで丁寧に描き込まれると美しく見えてくるので不思議です。半開きの口やほんのりと赤い頬など大きくトリミングした構図の中でも赤ちゃんだと伝わる要素を取り入れています。肝心の水の表現も透明感に加え粘性も感じる描きわけが素晴らしいです。

圭介
勢いよく噴火している火山。下から見上げている構図は迫力満点ですね!ゴツゴツとした素朴な岩肌もさることながら、泡立つ溶岩の描写には目を見張るものがあります。無彩色の山に対し鮮やかな暖色を使うことで、危険だけれど思わず近づきたくなるような、引き込まれてしまう魅力が増しています。

心寧
こちらの人物も中々挑戦的な切り取り方をしていますね。汗も水として描きましたが、瞳に写っているのも海、と二種類の水を描いています。接写で画面に収まっているのは顔の一部ですが瞳に写り込んだ景色から周りに広がっている景色も想起されます。夏でしょうか、うだるような熱さを感じる色選びもgoodです!


最後にご紹介するのは傘のデザイン。背景を青、水は黄色と見せたい部分に効果的に色を使っています。傘の骨がある部分は水も少し盛り上がっていたりと、水とモチーフの関係性を非常によく観察して捉えていることが伝わってきます。閉じた状態、少し開いた状態と様々な段階を描き機能面の描写もバッチリです!


どの作品も目の付け所がユニークでとても面白いですね!見せ方を工夫したり、モチーフ選びに拘ったりと純粋に水を描くのではない試行錯誤の様子が見て取れます。思い切りの良さが気持ちよく、この感性を今後も大切にして欲しいと思うばかりです。

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「なんだかいいな」を投影して

2024-06-11 23:13:37 | 学生


左上 凌太郎 中3 / 右上 浩子 中2
左下 夏葵 中3 / 右下 彩希 高2

サヤカです!2024年の上半期の終わりが着々と近づいていることに恐怖を感じる毎日です。今回は先週に引き続き、学生クラスの水のデザインを紹介します!

凌太郎
いくらの軍艦に醤油をかける瞬間と、これはまた面白い場面を切り取っていますね!題材選びのセンスも光ることながら、描きたいものをしっかり作品に落とし込む力も感じられます。反射や液体の躍動感などリアリティを持って描いている部分も素晴らしいですが、醤油さしと背景の境界線を白で縁取っているのがなんともオシャレ!縁取ることで物体を視認しやすくなることに加え、デザイン性も高まっていますね。

浩子
ブタのおしりがなんともキュート!こちらも描きたいものが分かりやすく伝わってくる作品です。シュールなブタの後ろ姿と繊細な着彩をした水飛沫の組み合わせは、大胆でコラージュのような効果を生んでいて面白いですね。水に透けた後ろ足がとっても美しい!王冠のような水面の波紋には、赤、青、黄色、緑などなど様々な色が使われ、作品全体のアクセントとなっています。

夏葵
優しい桃色から春を連想しますね。水のデザインを始めたのが春先だったため、季節にぴったりの作品でした。あまりアクリルに慣れていなかったため苦戦したそうですが、傘の軸の部分は金属らしさや遠近感が自然に表現され、技術の高さが伝わってきます。まるでダイヤモンドのような水滴は、しっかり輪郭を描く部分と淡く輪郭を描く部分を描き分け、光の反射を表現しています。

彩希
はつらつとしたパンジーの姿が目を惹く作品です。花びらは何枚なのか、どんな模様なのか、理科の授業を思い出すような丁寧な観察を繰り返して完成しました。アクリルの特徴を活かしたパキッとしたタッチがすがすがしいですね!深い青が主役のパンジーの華やかさを際立てています。はっきりとしたタッチとは対照的に、水滴の反射は複数の色で反射を表現していてより繊細さが感じられますね。

4人とも描きたい物が何なのか一目見てわかる作品で、日常で「なんだかいいな、面白いな、かわいいな」と感じられる物や瞬間を切り取ったことが伝わり、私の心までときめきました。これからも日常の「なんだかいいな」を活かし、作品に投影してみてください!

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対象を見る

2024-06-05 22:52:47 | 学生


彩希 高2 油彩

暑かったり涼しかったり毎日服選びに悩まされています、ナツメです。今回は学生クラスのアキの油絵を2点ご紹介します!

まずは左の虎の絵。座ってリラックスしている様子ですが、こちらを見据える目には貫禄がありますね。顔は細い筆を使って細かく、体は大まかに、そして背景はさらにざっくりと色をぼかして置くなど、見せたい順番によって描き込み具合をコントロールしているため様々な色が置かれている中でもとても見やすい画面になりました。顔周りや手など、要所要所に置かれている鮮やかな黄色も効果的です。

そして2枚目は静物画。1枚目との間にデザインの平面構成を制作したのが功を奏し、シャープではっきりとした線が引けています。それぞれの質感の差が素晴らしいですね!特にポットは、周りのモチーフが赤いものに映るとどんな色になるのかを考えながら絵の具を作るのに試行錯誤していました。その苦戦の甲斐あって、手で触った時の感触が伝わってくるようなツヤツヤ感が出ています。一つ一つの立体感はとても素晴らしいので、パースにも意識を向けられるとより自然な絵になると思います。

どちらもモノの色をよく観察して描いているのが好印象です。虎の絵は画面全体が馴染むようなタッチなのに対して静物画はそれぞれのモチーフがはっきりとわかるように明瞭に描いているのが特徴的なので、今後は両方のいいとこ取りをして絵やモチーフによって描き方の使い分けにも挑戦してみて下さい!

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画面から伝わる創作意欲

2024-06-04 21:37:57 | 学生


左上 あかり 高1 / 右上 小鈴 中2
左下 芽依 中1 / 右下 愛菜 中3

サヤカです!連日の大雨で6月に入ったことを実感しました。今回は、学生クラスの水のデザインの紹介していきます!

あかり
花びらが水を弾く瞬間をフューチャーした作品です。花びらの折れ曲がり方に苦戦すると、実際にお風呂場で試して写真を持ってくる意欲・向上心の高さ!水彩の扱い方はさすがですね。生き生きとした花や、水流の立体感、遠近感がよく表現されています。うす黄色の背景は暖かな春を連想させ、全体にまとまりを与えています。

小鈴
なんだか不穏な雰囲気を感じ、どんな情景なのか想像が膨らむ作品ですね!普段人物を描くことが多い小鈴ですが、傘と長靴をモチーフにし、実物をよく観察して完成させました。青の対照色であるオレンジ、それに近い赤を使うことで、メリハリのある画面になり、長靴に自然に目がいきます。

芽依
小学生クラスから学生クラスに上がり初めての作品ですが、描きたいものが何なのか一目見て主役がわかる力強さがあって素晴らしいです!水たまりを踏んで、水が跳ねている躍動感が赤の背景によく映えています。複雑な靴紐や側面の立体感に苦戦しましたが、トライを繰り返し、自然な靴の形を再現することができました。

愛菜
対称に整えられた美しい構図が目を惹く作品ですね。色水が広がる一瞬という刹那的な現象にぴったりな、繊細なタッチで描かれています。写真に写しきれていませんが、右下に広がる色水は、濃淡が丁寧に調節され、水の揺らぎが表現されています。波紋や雫、ガラス管に吸い上げられた水の反射などなど水の描き方を習得し、完全にマスターしたことが伝わってきます!

4人とも画面から様々な工夫、試行錯誤をしたことが伝わってくる作品でした。これからも創作意欲たっぷりな作品を楽しみにしています!

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ポスターにしたらどう見える?

2024-05-23 22:53:06 | 学生


左上 恵菜 中2 / 右上 梅 高2
左下 優心 高2 / 右下 暁希 中3

マユカです!今回もサヤカ先生やナツメ先生に引き続き、学生クラスの水のデザインの紹介をしていきます!
今回は学生たちに足並み揃えて同じテーマを与え、作品を作ってもらいました。水をテーマにしたデザインということで、広告を作るイメージで構図を大きく、見せたいものを分かりやすくしよう!と伝えてみたところ、かなり大きく画面にモチーフを配置してくれました。どの作品もポスターなど、遠くから見られるような媒体に移しても目立ってくれそうなほど大胆な構図をしています!

恵菜
手と水を組み合わせ描きました。このデザインを制作する前は手のデッサンに挑戦したりと、「手」というモチーフに意欲を感じ、多摩美の受験期に一生分の手を描いていた私からしたら少し嬉しかったり…水を手の甲に流すことで指先から下へと滴っていく雫や水の流れが、手の形と合わさり逆三角形になっているのが分かるでしょうか。これは不安定な構図になっており、安定した構図よりも人の目を惹くという効果があります。背景を黒にすることで手と水の対になっている配色が分かりやすく見えてきますね。扱いの難しいアクリルもうまく使えています!


こちらは水彩絵の具で描きました。色を重ね、紫、水色、青、緑と様々な色彩が見えてくる様は実際の水晶の様に光を反射してきらきらと輝いているようです。多面的な立体はかなり描くのが難しいのですが、影に当たる部分に鮮やかな青と紫を重ねることで暗さを表現しつつ画面を濁らせないなど、配色一つをとっても工夫を感じます。また、彼女の構図も逆三角形になっていますね。上から下へと視線が移動し、一枚の絵に物語性が宿るのです。それによって印象に残りやすくなるんですね。

優心
優心は目、涙をモチーフにデザインしました。目というモチーフは強く、それだけで画面が成立してしまうため他のモチーフを差し込むと目立たなくなってしまう(目にしか視線が行かなくなる)のですが、彼女はそこの水の扱いを涙として処理し、更に一番視線が行く瞳の部分を溶けたような表現にして涙と繋げました。そのため水の描き方は勿論、その色彩の複雑さにも注目できます。組み合わせによって双方を引き立たせる描き方は素敵ですね。

暁希
暁希はペットボトルと水を描きました。一番身近な液体は飲料だと思いますが、そんな身近な飲料ボトルからスライムの様に粘度のある液体が出たらどうだろう?というアイデアをデザインに落とし込みました。でろでろとした質感が液体の映り込みによって表現され、濃い青や薄い青の中に背景のオレンジが映り込み透明感を出しつつ、差し色としても機能しています。青とオレンジは相性がとてもよく、対色にとても近いです。引き立てあう効果があるためどちらもくすまず鮮やかに目に映りますね。

「デザイン」は絵画とは違い、自分の好きな物を描くだけではうまくいきません。常に見る人のことを考え、どんなに難解な内容だとしても視覚だけで一発で分かるような画面を作ること。そうしないと一瞬しか見てもらえない広告は興味を持ってもらう前にスルーされてしまう。
注目を得るには?分かりやすくするためには?情報量は足りてる?それとも多い?等、何度も何度も考えながら画面を作ることでいいデザインは生み出されてきたんですね。もし街中で気になるポスターがあったら「どうして自分はこれが気になったんだろう」と分析して見てください。もしかしたらその中に良いデザインのヒントが隠されているかもしれません…!

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水のデザイン-学生編-

2024-05-22 22:26:05 | 学生


左上 瑞希 中3 / 右上 千佳 高2
左下 明日菜 高1 / 右下 郁人 中2

ナツメです。今回は学生クラスより水のデザイン作品をご紹介します!4月に作ったテキスト「無色透明の水の描き方」を参考にして描きました。流石は学生と言うべきか、素晴らしい描写力と独創性です。作例として本に載せたいくらいの力作揃いですね!本の中で紹介した波紋の描き方に加え、「上級編」と称して巻末に掲載した水の王冠にもチャレンジしています。

瑞希
鳥の足先から広がる波紋。目に飛び込んでくる赤色が印象深いですね。脚が水に反射している様子、丁寧に描かれた波紋など非常によく観察して描いているのが伝わります。水面のコントラストを強くするため明るいところはあまり塗らずに残しており、透き通った水の清涼感が出ています。

千佳
水を受ける両手を描きました。恐らくカサネ先生が描いた表紙の水滴を参考にしてくれたのだと思います。映り込みを捉えた水自体の描写も素晴らしいですが、水と手が関わった時に起こる現象の方にスポットを当てることで千佳がどこに興味を持ったのかがダイレクトに伝わるメッセージ性の強い画面になりました。

明日菜
水の王冠を描くだけに留まらず、水中の様子まで描いてくれました。ぱしゃっと軽い音が聴こえて来そうな躍動感。形だけではなく空気中の水は黄色、水中の水は紫と色で対比させることで違いを明確に表現しています。奥行きを出し辛い真横からの構図でよくぞここまでよくぞここまで描きました。

郁人
ペットボトルの水を勢いよく注ぐ様子。水面に暗めの緑青をメインで置いているため、注がれて跳ねる水飛沫がとても見やすいですね。水面の波紋は細い筆でストロークを重ねて描いているのに対し暗い深緑はざっくりと乗せているので水深の深さも感じます。カラフルながらどこか涼しげな一枚です。

予備校時代、デザインでとにかく一番大事なのは「わかる」ことだと耳が痛くなるほど教わり、大学の制作でもそれを実感しています。ターゲットに正しく伝わらない限りどんなにいい商品を作っても手に取ってもらうことができません。その点で、今回の4人の作品は何を描きたかったか、水のどこを面白いと感じたかが一目で伝わることがまず素晴らしい!液体をリアルに描く描写力だけでなく、伝えるための構成力も引き続き培っていって欲しいです。

 

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