goo blog サービス終了のお知らせ 

モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

のびのび描く楽しさ

2025-05-29 22:20:13 | 学生


心 / 瑞希  共に高1 油彩

マユカです!今回は学生クラスから二枚作品をご紹介していきたいと思います。

2週間前にアップした高校1年生の学生2人の油絵と同じ3月頃にスタートした二人。
ナツメ先生も書いていましたが、二人とも高校受験から解放されてから、「何でも好きなことして良いよ!題材も画材も自由!」と声をかけると、F3号の小さめキャンバスにペットの犬を描いていました。どちらも犬の性格によって雰囲気が違って素敵です。それでは一人ずつ順番にご紹介していきましょう。

まずは心。柴犬のおっとりとした雰囲気が背景のふわふわとした雰囲気とマッチしてなんだか癒されるような一枚です。心は長らくデッサンを描き続けていたため、色のある作品は久々。そのためか、はじめ一色のみで描いていましたが、それではパンの焼き色のような毛並みの色が表現できないと、オレンジ、赤などの暖色や濃い茶色を乗せたり体のラインに沿って筆を動かしふかふかとした質感を追い求めることで、思わず顔を埋めたくなるような質感に仕上げました。ほしたばっかりの布団のように、おひさまの香りがしそうな作品ですね。

瑞希は3匹並んでいる犬たちを描きましたが、モノトーンな毛色の濃淡に苦戦していました。黒い毛並みであれば影と光の当たっている場所のグレー、目の黒が埋もれないようにするにはどうすればいいか...白い毛並みであれば影色をどうすればいいか...など、沢山考えながら絵具を盛り立体的に描き上げました。犬に彩度がないため、ネクタイや壁面に色を使っていますが、犬たちがつけているのは赤や黄色などの暖色、背景の壁は寒色にしているからこそ色がメインの犬を邪魔せず、見やすく仕上がっています。物語が読み取れてしまいそうなほど表情豊かな犬たちが魅力的です。

久々の油彩画、伸び伸びとした筆跡から彼女たちの「楽しい!」が見ている人に伝わるような作品でしたね、学校が変わって学年が上がると、忙しくなって絵を描くことをやめてしまう子も多いからこそ、彼女たちが変わらず自由に作品を作ってくれることが嬉しいです!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

技術を積んだ卒業制作

2025-05-27 14:27:12 | 学生


瑛太 高3

瑛太さま、お元気ですか?新生活はいかがですか?

サヤカです。今回は学生クラスの作品をご紹介します。こちらの作品の作者は、実は現在一般大学の1年生。(前回の瑛太のブログはこちら)高校3年生の3月、卒業制作としてこのモチーフを選び、仕上げた鉛筆デッサンです。(卒業制作として屍を選ぶところが、ひねくれたというかトンガっているというか、逆に分かりやすいというか…笑)
私もそうでしたが、瑛太も大学が併設されている私立中高でしたので、成績さえ落とさなければ希望する学部に進学できる為、ガツガツ受験勉強に追われることはなく趣味も極められます。大学に入学してから一般入試の人のエピソードを聞くと、受験という体験が人に与える影響の大きさを感じ、もったいないことをしたかなとちょっぴり後悔することもありますが、17歳〜18際の時期に受験に囚われすぎずに自分自身と向き合うこともまた一つの人生経験だったと思います。この時期に感じたことや考えたこと、ミオスという場所で自分の思いを表現することができていたことも、今の選択に活きていることを日々感じます。

瑛太は、趣味を極めるためにアトリエに通っていましたが、基礎的なデッサンに対しても意欲的に取り組み、技術をコツコツと磨いていました。デッサンで培った技術を生かして、油絵やアクリルにも挑戦し、集大成として再びデッサンを選択しました。デッサンで学んだことが他の画材で臨んだ作品で生かされ、その作品たちで学んだことが生きたデッサンになったのではないでしょうか。緻密な描き込みと程よく手を抜く部分によって、バランスの良い画面になっています。

アトリエミオスは美術予備校ではないので、学生クラスの半分が趣味を深めたい人たちです。中高生になって絵を描くことが好き!と自認している人たちは、小さい頃から描いていきた人が大半だと思います。絵を描くことって楽しいですよね。絵を描く理由って何だろうって小難しく考えることもありますが、最終的にはやっぱりそこに辿り着きます。

学生クラスは現在、土日のクラスは満席ですが、火曜・木曜クラスは生徒募集中。ぜひ無料体験にご参加ください。学生クラスの詳細はこちら

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かわいいを作るのは難しい?

2025-05-22 23:43:58 | 学生


杏 高3 アクリル

マユカです!今回はアンの作品をご紹介いたします。皆さん、こちら作者の名前、つい最近見たような気がしませんか?そうGW明けにも大竹先生が彼女の作品を4枚紹介しているのです。何しろ週5日アトリエに通っていますので、それは作品もどんどん完成しますよね。家で制作した作品も良く見せてくれるのですが、本当に絵が好きなんだなぁと感じます。

ただ、とても自分に厳しい性格で、かなりしっかりと描けているように見えるこの写真模写も、「うちの子はもっとかわいいのに…。可愛く描くのって難しいんですね。」と言っていました。イラスト以外の写実路線の絵は、『カッコイイ』より断然『カワイイ』方が難しいのです。話が反れますが、今制作中の小学生クラスの日本画の題材で人気の小鳥『シマエナガ』を描いている女の子が多いのですが、みんな全く絵にならず大変苦労しています。ただの白い円になってしまったり、イラストチックになってしまったりと、目や口の大きさやバランスの難しさに四苦八苦しております。平面に描き起こすと光の加減や視点の位置の変化で脳内処理される情報が、一瞬に固定されてしまうため影の入り方や表情で可愛さを表現することが一層難しくなってしまうんですね。

写実的に描いていて、可愛さを上手く表現できないときは意図的に影を消したり、ハイライトを足したりなど調整することで可愛くなったりすることもあります。より一層慎重に描き進めることで、自身の思う「かわいい」の表現を突き詰めることが出来るでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木炭デッサンの効用

2025-05-19 10:25:04 | 学生


陽音 中3 木炭デッサン

サトルです。今回は中学生の描いた木炭デッサンの紹介になります。ヘルメットを被った裸の像がマルス、マントを掛けている像がジョルジョです。頭部と体の比率も良く合わせられていますし、石膏像の大きな立体感も感じられます。

元々鉛筆で石膏像を何枚も描いていたので形を取ることや描写力は中学生離れしていたのですが、石膏像の大きい立体感や光が当たって起こる、明るい所から暗い所へのグラデーションがうまく出せませんでした。木炭を使うことでその弱点を克服し、二枚目に描いたジョルジョはボリューム感をよく出し見事に仕上げました。

木炭は黒くて描きづらそう……と敬遠しがちだと思うので、ここで木炭デッサンのコツを紹介しようと思います。

木炭の最大の特徴は「強い黒が塗りやすく、消しやすい」ことです。木炭を画面に塗ると、筆圧の関係なく真っ黒い線がでてきます。これが木炭の難しいところで、単純な塗り重ねで色の濃さの調節が出来ないため、食パンや練りゴムで木炭の粉を取ったりしてグレートーンに調節しなくてはなりません。食パンや練りゴムの他にも、擦筆(さっぴつ)・スポンジなどは、小さな面積や少しだけ色を明るくしたい時の微調整に使えますし、ガーゼや手のひらで大きい範囲を一気に擦ることも可能です。(陽音のジョルジョの体の部分は、このようなテクニックを積み重ね使い分け上手く描けています。)一度大きく光と影を塗り分け大まかに整えてから、練りゴムなどで光側に白い線を引くように木炭を取っていく。木炭デッサンはこのようなプロセスを踏むことで効率よく大きなボリューム感と細部の質感を両立させることができます。

少しトーンの調整に慣れが必要な木炭ですが、鉛筆に比べて圧倒的に早く広い範囲を塗る事が出来ます。僕はクロッキーや大きいデッサンを描く時は木炭で大きく色を乗せて細かい所を鉛筆で描いています。人によっては鉛筆より木炭の方が得意なこともあるので、石膏デッサンなどの大きい作品のときに挑戦してみると新しい発見があるかもしれませんね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プリミティブ・パワー

2025-05-17 23:32:16 | 学生

岩田です。今回は、桂吾の作品をご紹介します。
いつも力強く、プリミティブな印象が魅力的な作品を描く作者。自由な発想で脳内にある彼独自の世界を2次元に落とし込んでいます。

1枚目は、北京の銀河SOHOがモチーフ。建築家のザハ・ハディド氏は、実現化されなかった新国立競技場をデザインした建築家としても有名。彼の書いた解説文には、4つの建築物が3次元的に連なった有機的な建物として記されています。
こちらの絵では、月夜をバックにした天守閣を彷彿とさせるダイナミックな情景が描大胆に描かれています。見方によっては、巨大なアリ塚のようにも見えてくる何とも面白い作品です。

2枚目は、鉛筆のみで描いた作品。モノトーンの世界が古い時代を起草させるようです。
舞台がニューヨーク証券取引所とありますが、蒸気機関や歯車といった産業革命期の世界と未来的なイメージが融合した、いわばレトロフューチャー、またはスチームパンク的な印象を感じさせる1枚です。

近代的な建築物も彼の手にかかれば、有機的な線描と相まって、三内丸山遺跡にあったであろう縄文時代の巨大なやぐらのようにも見えてくる不思議。何千年の時代を超越し、見ているこちらが、まるでタイムマシーンに乗って旅をしているような感覚さえ湧き上がってくるのです。

こちらのタイトルは、表象というだけあって、感覚的、直感的に描かれた作品。太極図を中心にしたレインボーワールドに様々なアイコンや文字、数式のようなものが浮遊しています。

今この瞬間には認知していないけれど、記憶の中に刻まれた多種多様なイメージをかき集め、とても面白い世界を作り上げています。作者自身は、けして意識はしていないけれど、どこかパウル・クレーを彷彿とさせる、実に魅力的な作品です。

敢えて桂吾の作品を一言で言い表すならば、「プリミティブ・パワー」といった言葉が良く似合うのではないかと思います。

絵の魅力の一つは、自由な世界を構築できることです。モノを見て描き写すことも練習しつつ、彼のような柔軟な発想で、皆さんも描くことを楽しんでいってくださいね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

丁寧さは仕上げの魔法

2025-05-15 20:01:52 | 学生


浩子 油彩 / 聖菜 水彩  共に中3

マユカです!今回は中学3年生二人の作品をご紹介していきたいと思います。
少しファンタジーな世界観を感じるようなベニテングダケの油絵と、自分でモチーフを組んだ静物の水彩画です。浩子も聖菜も丁寧な塗りと色使いからきちんと描こうという誠実さが表れていますね。それでは一人ずつご紹介していきたいと思います

まずは浩子、白雪姫の森の中のような雰囲気のある1枚で、奥の方はぼんやりさせ、手前の描き込みにしっかりピントを合わせる手法や、キノコ以外の色味を少し抑えめにすることで赤色がビビットに見えるような色彩のバランスなど、画面の調整がとてもうまいですね。白の斑点部分は少し絵具を多めに乗せ、立体感が強く出るようになっています。どこか異世界のような空気感が強く伝わってくるため、神秘的なイメージを受けますね。この色調を映えさせる白っぽい額に入れ飾りたくなるような作品です。

お次に聖菜。水彩絵の具ですが青色が綺麗に発色しており、慎重に塗り進めて行ったのが分かります。水彩絵の具は塗り重ねすぎると色がくすんでしまって少しぼんやりとした仕上がりになってしまうのですが、聖菜の作品は全体的に鮮やかに仕上がっていますね。
布、レンガ、ガラス、そしてぬいぐるみ...と、素材の描きわけができており、触れたときにどんな触感なのか伝わってくるようです。ハイライトの入れ方や影の濃さ、シルエットも含め、モチーフと真摯に向き合い、らしさを表現しようと工夫したことが見て取れます。

最初から丁寧に描き進めることで、仕上げの工程が少なくなるだけでなく、調整もしやすくなり、完成した時に美しい画面になる確率が高いです。その分時間はかかってしまいますが、時には考えながら筆を進めるのもいいかもしれません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小さなキャンバスに広がる世界

2025-05-14 17:56:04 | 学生


佳美 / 杏和  共に高1 油彩

ナツメです。本日は学生の作品から、佳美と杏和の油彩をご紹介します。
二人とも、高校受験が終わり晴れて自由の身になってから、「何でも好きなことして良いよ!題材も画材も自由!」と声をかけると、今までデッサンばかりで色のない制作ばかりだったこともあり、「油絵に挑戦したいです!」とF3号の小さめのキャンバスに取り組みました。

佳美
題材に選んだのはマリーゴールド。手前の一番見せたい花は細かくはっきりと、奥にいくほど描き込みを抑え、オレンジ色をふんわり置くことで距離感を演出しています。遠近の差は描写の密度だけでなく背景の色でも工夫されており、上部の深い緑から下にかけてのグラデーションがつけられていることで、手前の花ほどコントラストが強くなりシルエットがくっきりするようになっています。葉や茎の緑も単調にならないよう微妙に変化をつけており、全体に静かににじむような色彩が印象的です。小さな画面の中に、描きたい対象をどう印象的に見せるかをしっかり考えて構成していて、とても見ごたえのある一枚になりました。

杏和
うちの子の小型犬を描きました。おすわりしたポーズと、こちらを見つめる少し困ったような優しい表情がとても愛らしいですね!絵の具をぽんぽんと置いていくような筆致で、全体を通して柔らかな質感が表現されており、毛並みのふわふわした印象が伝わってきます。背景には、赤やオレンジを大きめのタッチでざっくりと塗り重ねており、あたたかみのある空間を作っています。細部を描き込みすぎず、シンプルにまとめたことで、モチーフの魅力がより際立ちました。動物の絵は「かわいく描こう」と意識しすぎるとキャラクターのようになってしまいがちですが、アンナの絵は飾らない素直な表現が魅力で、見る人の気持ちをほっと和ませてくれる一枚動物画になりました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由を形に

2025-05-13 23:05:17 | 学生


上段左 郁人 中2 / 右 凛 中2
下段 悠華 中3
石塑粘土 アクリル絵具

お久しぶりです、サヤカです。今回は学生クラスの作品を紹介させていただきます。

小学生クラスの埴輪に触発されて、「なんか粘土で作りたーい!余ってる粘土あったらちょうだい!」と学生クラスの3人が作り始めました。この面子、アトリエにはほぼ遊びに来ている人たちなので、ベラベラしゃべりながらいたずらしているようにしか見えないのですが、素晴らしいクオリティーです。アドバイスは、「そのエスキースだと華奢で立たないから、中心にワイヤー入れな。ほら、安定感を出す為にこの太い針金を使っていいよ。」のみ。

郁人は、今にも走り出しそうな様子の馬をモチーフに選びました。シンプルなポーズですが、立て髪や尻尾に風を切っているような勢いがつけられていて、疾走感のある仕上がりです。胸や太ももの筋肉とスラリとした脚のバランスがよく、筋肉をよく観察し、表現できています。

凛は、大胆でユニークなポーズの猫を作りました。獲物を狙っているのかな?手足がぐんと伸びているのが、なんとも可愛らしいですね。なかなか自立が難しいポーズですが、尻尾を上手く使って支えを3点にしていて、安定するような工夫を感じます。写真は一枚ですが、大きなポーズをとっている猫ちゃんは360度どこから見ても楽しい作品に仕上がりました。

悠華は、幻想的なオリジナルの動物を作品にしました。シャチをモチーフにしたのでしょうか?シャチの特徴的な柄と丸みを帯びたフォルムが生かされています。尾びれや背びれのデザインとボディのデザインが引き立て合い、世界観を作っています。長生きしたシャチが超自然な存在になったのかな?それとも進化系なのかな?なんて考えてしまいました。

三者三様どれも素敵な作品です!これからも三人の作品作りを楽しみにしています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

左脳でなく右脳で

2025-05-10 19:27:51 | 学生


陽南 高1 油彩

岩田です。今回は、陽南の作品をご紹介します。

描くことが大好きな高校1年生。初めての油彩ですが、何の躊躇もなく楽しみながら描き進めていきました。

横位置の画面を上手く使って、猫と野の花々をバランスよく構成しています。描くものを全て始めから決めているのではなく、ある程度の配置を決め、そこからイメージしたものをどんどん描き足し、自分の世界を構築していく様は、実に見事。

そうしたことを心から楽しんでいるのが画面から伝わってきます。

猫の毛の様子や花などは、上から絵の具を重ね合わせ、切り株は、下に置いた暗い色を残し、年輪に見立て、上から木の明るい部分を描いていくといった工夫も見られますが、かといって、周到に段取りを考えている訳ではなく、あくまでも右脳を主体に、感覚的に進めているところが良いのです。

油絵でもなんでも、そうした行為をアカデミックに体系化して「技法」という枠に嵌めてしまうのですが、技法というのは、本来は全て、描いていく中で感覚的に生まれたものなのです。

巨匠でも、始めは美術学校に通ってアカデミックに絵を学んでいたけれど、辞めて独学で描き始めるといった人もいます。そうした人達は、描くという行為にまつわる枠や区分みたいなものに我慢できなくなって、ワクワクドキドキしながら描くという、絵本来の自由さを求め始めるのです。

作者も、幾つになっても絵を絵を描き続けて欲しいし、何よりも、臨機応変に感覚的に描くということを楽しんでいって欲しいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春のデッサン基礎講座

2025-05-08 23:12:36 | 学生

こんにちは!マユカです 今回は学生クラス恒例の春のデッサン講座についてお話したいと思います!
春は新中学生含め沢山の学生が入ってくれるため、この時期は全員で仲を深めるためにも足並み揃えてデッサンを行います。小学生クラスから学生クラスに上がってきた子はちょっと難易度が上がった学生クラスの講座をみて「学校の授業みたい」と目を回しておりました

まずは皆の前でデモンストレーションをしながらデッサンの工程を説明しました。正中線を用いたバランスのとり方、楕円を左右対称に描くための方法、立体的に見える影のつけ方などを段階的に伝え、その都度描いてもらうことで手を動かしながら手順を覚えることが出来たかなと思います。今回の授業で覚えた描き方...特に楕円を綺麗に描く方法なんかは、他のデッサンにも使うことが出来るので是非応用してみてね!

学生同士もここはどうするんだったっけ、こう描いたらいいんじゃない、など会話が飛び交う教室はいつにも増して和気あいあいとしていました。上手い友達の描き方を真似するだけでもかなり上達します

皆が苦手な楕円形を小瓶などで沢山練習した後で応用としてボウルとジョッキを描き、質感の表現などにも挑戦してもらいました。ただ描くだけではつまらない!ということで、軽い講評も行い、全員の上達度合いと上手な人の描き方などを解説したりしました。

ジョッキにしろボウルにしろ、その素材を見たまま描写するだけでは「らしさ」が出せない場合がありますが、これは例えばツルツルした面の画用紙の目を潰すことが出来ているか、重いものの影が強く濃くなっているかなど、少し細かな所に「らしさ」を表現する手段が隠されています。意外とデッサンは見たまま描くよりも、少しうそを織り交ぜて描いた方が上手く見える場合があったりもするので、もし「なんだかイメージと違う仕上がりだな…」と思った時には、重さや硬さを描写していないということがあるため、映り込みにぐっと強い色を乗せてみたり、指でこすって滑らかにしてみたりすることで質感がアップします。きっとミオスにいればこれから何枚も描くことになるデッサンですから、こういったちょっとしたテクニックを、心に留めておいてもらえたら嬉しいです!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中学生の自画像 木版画

2025-05-06 19:06:57 | 学生


中1の自画像版画

オバラです。とうとう今日でゴールデンウィークも終わり。さて、版画紹介ラストを飾るのは中学1年生の5人。学生クラスのカリキュラムは自由な為、一応80人全員に声を掛けましたが「やる」と言ったのは中1の女子5人のみ。まぁ思春期は、自分の顔や存在が嫌いな子も多いです。些細な出来事にも敏感に反応して、不安になって、反抗して、後悔して、自分が嫌いになる…ミオスに来ている子は絵で発散する分、自己処理が上手にできるので、表に出せずうじうじしている子は少ないですが、悩みは普通にたくさんあると思います。

写真の撮られ方に、個性が出ていて面白いですね。しかし上手いなぁ。影の作り方も何も言いませんでしたが、自分で考えてどう残すか決めている。彫り方もただ筋肉の方向に沿わせるのではなく、立体感や骨まで感じさせるように彫っています。デッサンとは一味違う良さが出ました。こんなに素晴らしい出来になるなら、有無を言わせず強制的に全員やらせれば良かったなぁ。  オバラ

明日の5月7日(水)は、小学校受験クラスとプライベートレッスン以外、授業がお休みです。お間違えのないよう、お気を付けください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の暑さにコントラストを添えて

2025-04-24 20:45:07 | 学生


冴妃 高1 油彩

最近見たミュージカル映画の曲がずっと頭から離れないマユカです!今回は冴妃の作品をご紹介していきたいと思います!

波打ち際で遊ぶ2人の女の子。押し寄せる緩やかな波と追いかけっこをしているかのような躍動感の溢れる一枚です。こちら、実は彼女にとって初めての油絵ですが、画材に対する勘の良い人で、波の透明感なども一人でどんどん描き進めてくれました。乾かし中に壁に掛けていますが、それを見た大人クラスの生徒さん達からすこぶる評判が良かった作品です。水の表現は私でも参考にしたいほどで、透明感だけではなく波の厚みや立体感までもが美しく描写され、どのくらいの深さなのかまで想像することが出来ます。潮風の心地よい涼しさが画面越しに伝わってくるようです。

海の奥の方は青や水色だけでなく紫や薄い緑、よく見ると赤っぽい色も入っていますね これだけのたくさんの色を塗り重ねることで、海がのっぺりとせず、深みが生まれて見ごたえのあるものになっています。海が寒色なので、これだけの面積を青で埋めるとどうしても少しだけ寒そうな印象に寄りがちなのですが、黄色い砂浜や強く光の当たったメインの女の子2人の楽しげな雰囲気や小麦色の肌、強く落ちた影によって明るい印象が強く、良く晴れた暑い夏の日を想起させてくれます。青と黄色は補色に近く、コントラストが強くなることで印象的に映る効果があるため、一度見たら忘れられない作品に仕上がっているなと感じます。

強い影や色相のコントラストの差は、強い印象を与えてくれます。暑さや明るさ、楽しさなどを伝えたい場合はとても効果的で、逆に淡い色や近似した色相は優し気で落ち着いたイメージを与えます。モチーフや各々のイメージに合わせてコントラストの調整をするのも、絵作りにいい効果を与えてくれるかもしれません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜闇を照らす

2025-04-23 23:02:19 | 学生


万里菜 高1 油彩

ナツメです。昨日は中学生、今日と明日は高校1年生の作品が続きます。本日はマリナの作品をご紹介!

高校受験が終わり、好きなものを描いていいよ!と言ったところ、油絵に挑戦してみたいとのことで、初めて臨みました。そんなマリナがモチーフに選んだのは小原先生の写真から海外の夜の路地裏。イタリアのヴェローナという街でシェークスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台になった街だそうです。観ていると少し怖いような、ワクワクするような、そんな気持ちになってきます。

まず目を惹くのは、光と影のコントラスト。街灯に照らされた壁面のレモン色が周囲の暗がりを怪しく照らし出し、夜の静けさを破ります。路地へ誘うかのように建物の奥へ進むほどに光が増えてゆき、ほんの少し見える夜空の青との補色効果も相まって、まるで芝居を盛り立てる背景のような夜の妖艶さも感じます。

敢えて斜めにデッサンを狂わし安定感を奪う手法は、見る人にめまいがするような不安を煽る効果があります。石畳は少し厚めに絵の具を盛り、壁面は色彩に大きく変化をつけることで、それぞれの質感を伝える工夫をしました。丁寧なグラデーションではなく、少しざっくりとしたタッチで色の移ろいを重ねていくことで、ゴツゴツとした面の硬さや時間の経過を想像させます。単なる風景ではなくどこか物語性のある画面に仕上がっているのが印象的です。

長い間受験対策のデッサンをしていたので、絵の具を扱うことが久々だったと思いますが、先生に怒られない分描いている姿は生き生きとして見えました。筆の置き方や色の選び方も堂々としていて、何よりも楽しんで描いたことが伝わってきます。長い受験期間を終えて、ようやく筆を持つことができた嬉しさが、そのまま絵の開放感として表れているように感じました。 自分で写真を選んで、初めての画材で一枚を仕上げた経験は、これからの制作にきっと繋がっていくはずです。夜の路地に灯る明かりのように、この絵がこれからの道を照らしてくれるものになれば嬉しいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

魅力を引き出す背景

2025-04-22 23:33:12 | 学生


左 咲歩 / 右 心寧  共に中3 油彩

サヤカです。今日は学生クラスの油彩作品をご紹介します。二人とも初めての油彩に挑戦しました。

咲歩がモチーフに選んだのは、こちらを大きな瞳で見つめる猫ちゃん。くりっとした瞳やダンボールに引っかかった頬の毛のふわふわ感など、咲歩がかわいいと感じたであろう箇所がとても魅力的に描かれています。猫の描写もさることながら、背景の描き込みも素晴らしいですね。緩衝材の紙のくしゃっと感、ダンボールのディティールなど丁寧に観察したことが伝わってきます。背景を丁寧に書き込むことで、この猫ちゃんに対する解像度がより高まり、作品に説得力が生まれます。

心寧は、怪しげな目元が印象的なフクロウをモチーフに選びました。真っ白の動物を描く時は、模様で誤魔化せないので、体の形を再現するのは大変ですが、絶妙な色使いで影を表現し、フクロウのフォルムをしっかり追っています。また、主人公であるフクロウと背景のタッチに差をつけることで、フクロウの存在感が強くなっています。描き込みやコントラストにおいても、背景とフクロウにきちんと差がついていて、よりフクロウにスポットライトが当たったように視線が誘導されます。色使いも知的なフクロウの魅力を引き出しています!

二人ともモチーフに対する印象を作品に落とし込むのがとても上手です!ただ模写をするのではなく、モチーフのどんな魅力を描きたいのか、どんな雰囲気を描きたいので背景や色彩を決めることが大切です。これからも二人の作品を楽しみにしています!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品を自然に見せる創意工夫

2025-04-17 20:18:37 | 学生


波那 高2 油彩

こんにちは、マユカです!今回はハナの作品を紹介していきたいと思います。
どこかほのぼのするような表情でこちらを見つめているミユビナマケモノ。しっかり木につかまるためのおおきな爪が三本あるのが特徴です。木と同じような毛の色と、体に生えた苔で擬態し、天敵から身を隠しています。ハナが描いたナマケモノは、よりポーズや形が分かるように木と少し色を変える画作りをしているため、パッと見たときにナマケモノのかわいらしさをより感じやすくなっています。木、体毛、葉の質感の描き分けがうまく、触ったときの感触が画面越しに伝わり、手前の葉との遠近感も良く感じられる一枚です。

小学1年生の頃から何枚も油彩作品を仕上げているハナだからこそ、動物の立体感を毛並みで表現する技法だったり、手前と奥で葉っぱのテクスチャを変えて雰囲気を調整したりと慣れた様子が画面から伝わってきます。特にナマケモノの表情は特に時間をかけて描いていたため、模様や陰影によって表現された顔のやさしさは見ている私たちもなんだかほっこりしてしまいますよね。毛の下にある表情筋の柔らかさまで伝わってくるようです。また、木の幹の影部分とナマケモノの身体の地肌には青っぽい絵具が使われているためか、少し赤みがかった木やグレーの体毛が背景に対して浮かずに馴染み、実在感が増して見えます。

同系色を混ぜると真逆の色味も画面に落とし込むことができ、これは「なんだかここだけ浮いて見えるなぁ…」となったときにも使うことが出来ます。反射光をメインの色と同系色にしてグラデーションでなじませることで自然な雰囲気に近づけることが出来るため、皆様も困ったとき是非つかってみてくださいね!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする