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モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

夕焼けが与える印象

2025-08-07 18:01:01 | 学生


左 貫志 / 右 李薫  共に中1  岩絵具・和紙・パネル

こんにちは、マユカです!今回ご紹介するのは、先々週のブログに続き、ノリ先生に烈火の如く怒られる中1チームの一員、貫志と李薫の作品です。

それではまず貫志から。
貫志は夕方の陽に照らされるお城を描きました。高く建てられた日本らしい城は、高くそびえる石垣や塀を見るに、相当にセキュリティの強固なお城だと分かります。貫志は小学生のころから油絵などでも日本のお城をモチーフに絵を描いていました。好きなものだからこそ、かなり細かな書き込みが必要なお城の立体感や積まれた石、周囲の木々等で集中力を保ち、チームの中でも最後まで比較的真面目に描いていました。描くところが多く、絵の具の乗りも普段と違うものでもクオリティを高く保ちながら仕上げられていますね

李薫は竹林の間を悠々と泳ぐ金魚を描きました。写真では少し見づらいですが、赤紫の背景にオレンジの金魚と黒い金魚が泳いでいます。アクアリウムのような幻想的な風景の中にも、少しの不気味さがあり、目を離せなくなるような魅力があります。これは日本画という特徴的な画材だからこそ出せる味だと感じます。また、暗くなり過ぎないように明るい色を各所に散りばめました。左側の竹には光を受けて少し透けているようにも感じる黄色を、手前から奥へと続く桟橋の先には、沈みゆく太陽があるのか夕日が明るく周囲を照らしています。これらの光が画面を明るくし、メリハリを作ってくれているんですね。

どちらも夕焼けをバックにした作品でしたが、片やノスタルジックな雰囲気を醸し出し、片や少し不気味な印象を受ける対照的な描き方の絵。彼らの作品は、時間の感じ方を受け取り手に正しく伝えたいときに参考になるかもしれません。

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魅力の在処

2025-08-06 23:21:57 | 学生


左 未奈 / 右 美月  共に高2  岩絵具・和紙・パネル

ナツメです。本日も学生による日本画を2点ご紹介します!

まずは左の未奈の絵。白い百合を大きく画面に配した作品です。ぱっと見て印象的なのは、花の存在感の大きさと潔さ。白く塗られた花弁は影や濃淡を抑え、あえてのっぺりと平面的にまとめられていますが、そのぶん造形そのものの美しさが際立ち形の面白さに目がいきます。細かな陰影でリアルに寄せるのではなく、色面とシルエットの強さで見せる、とても日本画らしいアプローチです。花弁の縁の曲がりやくるりと跳ねる先端の描き方にも実際の百合をよく観察した様子がうかがえ、おおらかな花のリズムが感じられます。
背景の濃い青とのコントラストも印象的で、白い花が浮かび上がるように見える構成となっています。余白の大胆さ、色面の構成、そして重心の低い構図といった点が、作品に安定感と力強さをもたらしています。細かく描き込みすぎない、形で捉える思い切りの良さが魅力的です。

そして右の美月の作品は、夜空に咲く桜を描いたものです。こちらは非常に細やかな描写が光る一枚。空には夜雲の重なりや月の色の変化など、水分量をコントロールしながら丁寧に描かれており、水面には月光が反射し揺らぐ様子までが繊細に表現されています。桜の花にも花弁一枚一枚に濃淡がつけられ、花の密度や光の当たり具合をしっかりと観察して描き分けられているのがわかります。
また、水面の光のにじみや桜の花びらが風に乗って舞う様子など、空気や時間の流れを感じさせる描写が美しく、前後の景色まで想像させるような物語性を感じますね。全体的に暗い色調のなかに花の艶やかな朱色が映えており、心に残る作品です。

この2枚を並べて見ることでまた新たな発見があります。どちらも花というモチーフを選んでいますが、ひとつは余白や形の面白さに着目し、もうひとつは光や空気感など花のある空間に焦点を当てています。それぞれ単体で見ても魅力的ですが、並べてみることで見る視点や表現の方法の違いが際立ち、より個性が伝わる面白さを感じました。

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余白を生かして

2025-08-05 17:56:40 | 学生


浩子 中3  岩絵具・和紙・パネル

サヤカです。今回は学生クラスより中学三年生の日本画を2枚ご紹介します。2人とも鳥をモチーフに選びました。

まず浩子は、青色の鳥と桜をメインに、鮮やかな橙色と黄色のグラデーションが目を惹く作品を描きました。日本画の作品を参考に模写したため、陰影を抑えた簡潔な表現や、余白を生かした構成といった日本画らしさが表現に取り込まれています。全体は暖色で描かれていますが、鳥の深い青が一際印象的で、画面に軽やかさや爽やかさを生んでいます。春のぬくもりの中に、吹き抜ける心地よい風のような心地よい作品に仕上がりました。


郁人 中3  岩絵具・和紙・パネル

郁人は、雀をメインに桜や満月、五重塔といった日本的なモチーフを散りばめ、背景にも多くのこだわりを詰め込みました。山の陰影には木々の存在感がにじみ、五重塔は階段の一段一段まで細やかに描き込まれています。一方で、雲や星などの背景をデフォルメして描くことで、細部の緻密さと表現の余白のバランスが巧みに保たれています。満月を見つめる雀の姿は、物思いに耽っているのか、野心に満ちているのか…。鳥の表情は読み取れませんが、なんとも想像力を掻き立てる愛らしさがあります。

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写実とデザインの日本画

2025-07-28 23:05:38 | 学生


左 凛 / 右 翼  共に中1  岩絵具・和紙・パネル

ひとみです。今日も学生クラスから、凛と翼の日本画作品を紹介したいと思います。二人とも同じ、鳥と自然をモチーフにして描いていますが、写実とデザイン化された絵で、だいぶ雰囲気が違いますね。

凛は緑溢れる林の中にいるメジロを描いています。メジロと林、どちらも同じ緑ということで、「色が被ってしまう!主役が目立たなくなってしまう!」と色選びに苦戦しました。けれども背景の緑=中間色に青を追加し寒色寄りに、メジロの緑には黄味寄りの暖色を選び、羽などの絶妙な色の変化を捉えることで、埋もれることなく主役を映えさせることに成功しました。実際に梅の木に止まって休憩をしているかのような生き生きとした様子を感じられる1枚になったと思います。

続いて翼は、レトロなイラストを選び模写しました。紅葉舞う水辺にとまっている鳥の様子です。しかし全くの模写ではなく、尾形光琳の屏風絵ようなモダンな要素を加えることで、オリジナリティーを出しています。あえて鳥や波紋を平面的かつ線的な描き方にすることで、装飾的でデザイン性の高い1枚に仕上がりました。画面上部に鶯色の補色となる紅葉の鮮やかな朱色を入れ、下部は統一感を大切に、水に落ち着いた色を選びました。バランスの保った画面になっています。

同じモチーフを扱った二人でしたが、色や描き方でそれぞれの良さを感じられます。凛はウグイスと木々にぐっと迫って写実に描くことに、翼は画面としてのまとまりを出すことにフォーカスをしています。どこに焦点を定めるかでここまでの違いがみられて、二人が何を大事に描いているか感じられたのではないでしょうか。

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生き物の良さを引き出す描き方

2025-07-24 23:03:46 | 学生


結衣 中3  岩絵具・和紙・パネル

こんにちは、マユカです!こんかいも学生たちの日本画を紹介していきますよ!

結衣は丸まって眠るキツネを描きました。実はこの絵、参考にしている写真には背景の落ち葉や木々がなく、彼女が自分で考えて描いたものになります。狐のイメージとも合致しますし、その上季節感を感じることが出来るため、より情景的で美しい仕上がりになっています。狐がふかふかとした落ち葉の寝床で気持ちよさそうに寝ている様子が伝わって来て、見ていてなんだかほっこりとしますね。彼女はこの作品で狐の毛並みの描写にこだわり、一本一本細い筆で絵の具を塗り重ね、尻尾から背中までふっくらと描いています。思わず触って見たくなるようなふわふわとした立体感を大事にしていることが伺えますね。

芽生 中3  岩絵具・和紙・パネル

芽生はホワイトタイガーを描きました。模様をあえて鮮やかなピンク色にし、一部黒にするという何とも大胆で面白い描き方をしました。黒く残した模様の位置も絶妙で、ここ以外の部分をさらに黒くしてしまうとピンクの良さが薄くなってしまいますし、逆に全部ピンクにしてしまうと鮮やかすぎて締まりがなくなってしまうため、今の配色がベストと言えます。目や背景には金を散らし、威厳を感じさせるような仕上がりになっていますね。虎の顔が半分しか出ていないからこそ、眼力にフォーカスして描写しており、口を見せるよりも上品で、虎の強く気高い力を感じるような作品です。

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同じモチーフ、違った表情

2025-07-22 17:55:30 | 学生


左 紗希 / 右 希  共に中2  岩絵具・和紙・パネル

サヤカです。今回は先週に引き続き学生クラスの日本画をご紹介します。二人とも小学生クラスの時からの友人で、現在中学2年生です。偶然にも同じ鳥居を選びましたが、二つの作品が並ぶと違った表情の鳥居が楽しめますね。

まず、紗希は厳島神社の海の中に現れる鳥居を描きました。海と空の群青と鳥居の堂々とした朱色が引き立てあっています。高く伸びた入道雲や、鳥居に落ちたコントラストの強い影は、夏の季節感をよく表現しています。複雑な鳥居の構造や雲の質感に苦戦していましたが、画面いっぱいの鳥居の表情はとても生き生きしていますね!また、海の透明感や波の表現が素晴らしい。飄々と描く本人からは想像ができない(笑)細やかな観察力の賜物でしょう。

次に、希の作品です。紗希の作品とは打って変わって、落ち着いた夜の鳥居を描きました。夏祭りでしょうか、画面下にはカラフルな提灯が連なっているにもかかわらず、人の賑わいは感じません。そのせいか提灯の灯りが優しく、周りを照らす様子が幻想的です。下から煽られた鳥居にあたる光がお見事。鳥居と提灯の遠近感も良いですね。大きく構えた鳥居は荘厳な雰囲気、こちら側に伸びてくる提灯はまるでこの景色の中にいるような臨場感を生んでいます。

鳥居というモチーフは同じでしたが、シチュエーション、時間帯の違いによって対照的な雰囲気の作品になっています。二人がどんな景色に魅力を感じるのかといった違いが表現されているようで面白いですね。これからも二人の感じた世界の魅力を作品に落とし込んでください、楽しみにしています!

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闇夜に吠えろ!

2025-07-17 23:17:52 | 学生


左 恵菜 / 右 小鈴  共に中3  岩絵具・和紙・パネル

こんにちは、マユカです!昨日に続けて本日も学生クラスから日本画を二枚、ご紹介いたします。

どちらも猛々しい雰囲気を放つこちらの作品たち。日本画らしくも、2人の個性が光っています。それでは一枚ずつ見ていきましょう!

まずは左の恵菜から。大きく口を開け吠えているホワイトタイガーを描きました。岩絵の具で描いているのに厚みがあり、日本画というよりも油彩画に近い面白い描き方をしていました。そのおかげか更に迫力が増し、今にも食べられてしまうのではないかと思うほど、力強さを感じます。ちなみに背景も面白い手法で制作されました。赤の水干をぼたぼたと画面にこぼし、手で叩いて広げたことにより、荒々しさと虎の獰猛な様子が前面に表れ、よりしっかりと怖さが伝わってきます。

右の小鈴は龍を描きました。目や角、鱗などには金の岩絵の具を使い、暗闇で神秘的でありながら威厳を放つような眼差しを描写しています。小鈴は龍のうねる蛇のような身体に少し苦戦していました。試行錯誤の上で下書きを描き上げ、色を乗せる際も、どうやればより密度を上げ、見ごたえのある作品になるのか...と描いては悩み、悩んでは描き...を繰り返した結果、顔が前面に見えるよう明るい色を塗り重ね、白だけになりがちな腹部には赤が反射させ重厚に見えるように工夫したため、一見シンプルに見える色使いでも満足感のある一枚です。

こうして並ぶと、友達ではあるものの、それぞれ違う子が描いたものにもかかわらず、シリーズかな?と思うほどには綺麗に対照的で、2枚揃えて飾りたくなる魅力がありますね!仲が良いからこそ、無意識でも揃ってしまうのかと思うとなんだか面白いです。

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描きたい気持ちのかたち

2025-07-16 22:49:03 | 学生


左 彩希 高3 / 右 朱音 高2  岩絵具・和紙・パネル

ナツメです。今日も学生クラスから日本画を二枚、ご紹介いたします。

まずは左の彩希の作品。画面から勢いよく飛び出してきそうな一羽の鳥が、深い青の背景を羽ばたいています。力強く荒々しい羽のタッチ、紫や赤が差し込まれた深い黒の重なり…どの要素をとっても、「描きたい!」というエネルギーがそのまま絵の中に流れ込んでいるようです。
輪郭を細かく取るのではなく、大きな面や動きで捉える描き方も印象的で、画面全体にスピード感があります。かと思えば、目や爪など小さな部分にぐっと集中した繊細な描写があり、そのメリハリが見る人の視線を自然と誘導してくれます。
背景の青も単なる空色ではなく、深く混色された層のある色。木の枝や小さな花のモチーフも散りばめられており、鳥の存在感を引き立てながら、空間全体に豊かさを与えています。筆の勢いと色の重なりの中に、「この瞬間を描きたい」という気持ちがまっすぐに現れたような一枚です。

 

続いて右の朱音の作品。まっすぐ伸びた茎の先に、鮮やかな黄色のユリがのびのびと咲いています。花の形や動きが自然に捉えられていて、見ていて気持ちがすっと明るくなるような絵です。
花びらはどれも丁寧に描き分けられていて、濃淡のつけ方、筋の入れ方に迷いがなく、観察しながら丁寧に描いてきた様子が伝わってきます。黄色一色ではなく、部分的に混ぜられたオレンジや赤も効いていて、画面にリズムが生まれています。
背景は柔らかな白をベースに、ほんのりピンクや黄土が混ざっていて、単調にならず、花の明るさを引き立てています。構図も気持ちのいいバランスで、真面目に花と向き合いながらも、どこかのびのびとした気配が画面にあって、それがこの絵のいちばんの魅力かもしれません。

 

どちらも画面の中央に力強いモチーフを据えた構成ですが、その迫り方はまったく異なります。左の鳥は画面を引き裂くように羽を広げ、背景を揺らすほどの存在感を放つ一方、右のユリは光の中で静かに咲き、見る人の心に穏やかに広がっていきます。

一見対照的なようでいて、どちらの作品にも「形にとらわれすぎない大胆さ」と「色に対するまなざしの鋭さ」が共通して感じられるのが面白いところです。正確に描くこと以上に、自分の目で見て感じたことをどう画面に残すか。それぞれが違った角度からその問いに向き合っているようにも思えます。

全然ちがう2枚なのに、なぜか並んだときにしっくりくる——そんな不思議な関係性も含めて、見応えのある2作品でした。

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日本画で色づくどうぶつたち

2025-07-15 10:34:34 | 学生


左 ゆず / 右 心虹  共に中1  岩絵具・和紙・パネル

 

サヤカです。今回は学生クラスから日本画を二枚、ご紹介いたします!2人とも溌剌とした中学一年生です。いつも学校生や部活のことを楽しそうにおしゃべりしながら描いています。日本画のモチーフには、2人とも動物の姿を選びました。

まず、ゆずの作品はカピバラの露天風呂。自身の名前とリンクしたゆず風呂ですね(笑)カラーチョイスが上手で、温泉の温度や香りが伝わってくるような温かみのある画面になっています。カピバラには茶色から黄色と複数色を使い、チャーミングなフォルムや少し硬そうな毛質を再現しています。薬湯のような色味、水面の揺れもとても気持ちよさそう!背景も暖かいオレンジと黄色のグラデーションに湯気を描き、ほのぼのとした世界観を作り上げました。

次に心虹は、向日葵と猫をモチーフに選びました。猫ちゃんのつぶらな瞳がとても魅力的です。着彩に苦戦し、小原先生に「子どもっぽい!」と指摘されていましたが、全くそんなことを感じさせない仕上がりですね。葉脈や草むらはさまざまな緑色を使い分け、丁寧に描いています。また、向日葵と夜というコンビネーションもいいですね!向日葵は夏や太陽というイメージの方が強いですが、彩度が低い背景によって鮮やかな黄色がまるで満月のように映えています。

2人とも動物の表情を魅力的に描き切りました!使い慣れない画材に苦戦しつつ、楽しんでいた姿が印象に残っています。これからも2人の作品を楽しみにしています!

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真逆な「水」の えがきかた

2025-07-10 23:34:28 | 学生


  左 祥英 / 右 岳  共に中1  岩絵具・和紙・パネル

こんにちは、マユカです!今回は学生クラスから日本画を二枚、ご紹介いたします!

こんなに見事な日本画を描く人間とは思えない程、とてもやんちゃな中学1年生男子達です。毎週ノリ先生に「どれだけの事をしでかせば、そこまで激しく怒られるの…?」と耳を疑うほど、こってり叱られている姿を目にします。先週・先々週はうるささの余り、とうとう教室から追い出され、1階の踊り場で描かせられていました!しかし商店街を歩く人たちからの好奇の目が、むしろ楽しいようで、反省はしていない様子。楽しいのは良いことですが、ちょっとの間だけでもいいから集中して描いてほしいな~!と、思うばかりです

さて、ではショウエイの作品から紹介していきましょう!

錦鯉が優雅に泳ぐ様子を描きました。泳ぐ=水の中=背景は青...と、結びつきがちですが、オレンジにすることで鮮やかで面白い作品になっています。しかしちゃんと水の中を泳いでいるように見えるのが素晴らしいですね、鯉のしなやかな身の動かし方や、浮いている睡蓮の花や葉のおかげか、透明な水が見えてくるようです。白を強く入れてしまうと全体の上品さが損なわれてしまうため、薄めに白を背に入れ、鱗のようにキラキラと輝いて見えるように処理されています。

お次のガクの魚は原始的なサメの特徴を残すことから「生きている化石」とも言われる深海魚「ラブカ」。暗い水中でこちらを見つめ、ギラギラとした歯を見せつけて不敵に笑っているようにも見えます。鱗というよりはぬめぬめとした質感を感じるような体表のため、背に使われている金色がてらてらと光を放っているようで、恐ろしくもカッコいい一枚になっています。深海の深さを表現するために何度も何度も黒や紺を重ね、光が一切届かないほどの暗さを表現しました。

同じ魚類というくくりでも住んでいる場所が全く違うため、受ける印象も大きく変わってきますね。異なる水の表現が光る2枚でした。これだけの素敵な絵が制作できるのだから、しっかり集中して描いた2人の作品が見てみたいものです。

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彩りに宿る静けさ

2025-07-08 19:02:52 | 学生

サヤカです。今回は学生クラスの日本画をご紹介します。


圭介 中3 岩絵具/和紙・パネル

渋い配色に錦鯉の鮮やかさが光ります。赤と白の配色の錦鯉は「紅白」と呼ばれ、200年以上前に遡る日本の錦鯉の始まりとも言える種類だそうです。シンプルな配色ですが、鮮やかな赤と光が反射した橙色をうまく使い分け、映えるモチーフになっています。また、植物や池の配色も見事です。鯉以外の植物や池の水面はグッと彩度を下げ、鯉の鮮やかさがより強調されています。また、輪郭を残した線が日本画らしさを生み、とても完成度の高い作品に仕上がりました。


千紘 中2 岩絵具/和紙・パネル

花の存在感が印象的な一枚です。エーデルワイスにも見えますが、睡蓮です。花びらが淡いグラデーションになっていたり、縁が紫色で描かれていたりと繊細な仕事が伝わってきます。睡蓮の儚さと対照的な紫色で睡蓮を囲うことで、睡蓮へ視線が誘導されますね。背景は滲みを使い、幻想的な雰囲気を演出しています。写真ではお伝えしづらいですが、実際に見ると岩絵具の煌めきも加わり、ふと池を覗いた時に美しい花を見つけたささやかな昂りを感じられる作品になっています。

二人とも中学生とは思えないほどの落ち着いた作風に驚かされました。モチーフも自然の風景を選び、日本画にしかできない表現をしっかり作品に落とし込んでいます。これからも二人の作品を楽しみにしています!

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ふたつの初挑戦

2025-07-01 23:41:07 | 学生


楓 高1

お久しぶりです、サヤカです。今回は、学生クラスの楓の作品をご紹介します。油彩と日本画ですが、なんとどちらも初挑戦!

油絵の方のモチーフは、月明かりの下で踊る少女を選びました。油絵の何度でも塗り重ねられるという利点もあり、恐れることなく色を重ねていきました。印象的なのは少女の表情です。元の画像は、表情は見えないほど人物が小さかったので、楓自身が想像して描きました。青みがかった背景と一人踊る少女という画から、寂しい表情を想像してしまっていたのですが、凛々しく力強い表情が非常に魅力的です。

日本画の方のモチーフは、柿をフラットに描き、大胆さも目新しさもある作品に仕上げました。教室中にずらっと並んだ日本画の中でも、一線を画す雰囲気を放っています。土曜クラスの岩田先生が「初めての日本画で、こんなに潔く大胆に描ける人なんている?脱帽だよ。俺は壁に掛かってる100枚の日本画の中で一番好きかも…」とつぶやいていました。
ちなみに、このフラットな背景の描き方は日本画特有の塗り方ではありますが、グラデーションと同じく最も難しいテクニックを要します。この技法にチャレンジされた方は(小原先生が最初に脅したにも関わらず)5人程いらっしゃいますが、皆さん難航し成功したのは楓だけ。100人に1人しかうまくいかない至難の業を克服した猛者なのです。

どちらも初めての画材ながら、臆することなく堂々とした作品を完成させました。いろんな画材や技法に取り組んだ経験はきっと楓の今後の創作活動を豊かにするでしょう。これからもたくさんの挑戦をしていく、楓の作品を楽しみにしています!

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のびのび描く楽しさ

2025-05-29 22:20:13 | 学生


心 / 瑞希  共に高1 油彩

マユカです!今回は学生クラスから二枚作品をご紹介していきたいと思います。

2週間前にアップした高校1年生の学生2人の油絵と同じ3月頃にスタートした二人。
ナツメ先生も書いていましたが、二人とも高校受験から解放されてから、「何でも好きなことして良いよ!題材も画材も自由!」と声をかけると、F3号の小さめキャンバスにペットの犬を描いていました。どちらも犬の性格によって雰囲気が違って素敵です。それでは一人ずつ順番にご紹介していきましょう。

まずは心。柴犬のおっとりとした雰囲気が背景のふわふわとした雰囲気とマッチしてなんだか癒されるような一枚です。心は長らくデッサンを描き続けていたため、色のある作品は久々。そのためか、はじめ一色のみで描いていましたが、それではパンの焼き色のような毛並みの色が表現できないと、オレンジ、赤などの暖色や濃い茶色を乗せたり体のラインに沿って筆を動かしふかふかとした質感を追い求めることで、思わず顔を埋めたくなるような質感に仕上げました。ほしたばっかりの布団のように、おひさまの香りがしそうな作品ですね。

瑞希は3匹並んでいる犬たちを描きましたが、モノトーンな毛色の濃淡に苦戦していました。黒い毛並みであれば影と光の当たっている場所のグレー、目の黒が埋もれないようにするにはどうすればいいか...白い毛並みであれば影色をどうすればいいか...など、沢山考えながら絵具を盛り立体的に描き上げました。犬に彩度がないため、ネクタイや壁面に色を使っていますが、犬たちがつけているのは赤や黄色などの暖色、背景の壁は寒色にしているからこそ色がメインの犬を邪魔せず、見やすく仕上がっています。物語が読み取れてしまいそうなほど表情豊かな犬たちが魅力的です。

久々の油彩画、伸び伸びとした筆跡から彼女たちの「楽しい!」が見ている人に伝わるような作品でしたね、学校が変わって学年が上がると、忙しくなって絵を描くことをやめてしまう子も多いからこそ、彼女たちが変わらず自由に作品を作ってくれることが嬉しいです!

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技術を積んだ卒業制作

2025-05-27 14:27:12 | 学生


瑛太 高3

瑛太さま、お元気ですか?新生活はいかがですか?

サヤカです。今回は学生クラスの作品をご紹介します。こちらの作品の作者は、実は現在一般大学の1年生。(前回の瑛太のブログはこちら)高校3年生の3月、卒業制作としてこのモチーフを選び、仕上げた鉛筆デッサンです。(卒業制作として屍を選ぶところが、ひねくれたというかトンガっているというか、逆に分かりやすいというか…笑)
私もそうでしたが、瑛太も大学が併設されている私立中高でしたので、成績さえ落とさなければ希望する学部に進学できる為、ガツガツ受験勉強に追われることはなく趣味も極められます。大学に入学してから一般入試の人のエピソードを聞くと、受験という体験が人に与える影響の大きさを感じ、もったいないことをしたかなとちょっぴり後悔することもありますが、17歳〜18際の時期に受験に囚われすぎずに自分自身と向き合うこともまた一つの人生経験だったと思います。この時期に感じたことや考えたこと、ミオスという場所で自分の思いを表現することができていたことも、今の選択に活きていることを日々感じます。

瑛太は、趣味を極めるためにアトリエに通っていましたが、基礎的なデッサンに対しても意欲的に取り組み、技術をコツコツと磨いていました。デッサンで培った技術を生かして、油絵やアクリルにも挑戦し、集大成として再びデッサンを選択しました。デッサンで学んだことが他の画材で臨んだ作品で生かされ、その作品たちで学んだことが生きたデッサンになったのではないでしょうか。緻密な描き込みと程よく手を抜く部分によって、バランスの良い画面になっています。

アトリエミオスは美術予備校ではないので、学生クラスの半分が趣味を深めたい人たちです。中高生になって絵を描くことが好き!と自認している人たちは、小さい頃から描いていきた人が大半だと思います。絵を描くことって楽しいですよね。絵を描く理由って何だろうって小難しく考えることもありますが、最終的にはやっぱりそこに辿り着きます。

学生クラスは現在、土日のクラスは満席ですが、火曜・木曜クラスは生徒募集中。ぜひ無料体験にご参加ください。学生クラスの詳細はこちら

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かわいいを作るのは難しい?

2025-05-22 23:43:58 | 学生


杏 高3 アクリル

マユカです!今回はアンの作品をご紹介いたします。皆さん、こちら作者の名前、つい最近見たような気がしませんか?そうGW明けにも大竹先生が彼女の作品を4枚紹介しているのです。何しろ週5日アトリエに通っていますので、それは作品もどんどん完成しますよね。家で制作した作品も良く見せてくれるのですが、本当に絵が好きなんだなぁと感じます。

ただ、とても自分に厳しい性格で、かなりしっかりと描けているように見えるこの写真模写も、「うちの子はもっとかわいいのに…。可愛く描くのって難しいんですね。」と言っていました。イラスト以外の写実路線の絵は、『カッコイイ』より断然『カワイイ』方が難しいのです。話が反れますが、今制作中の小学生クラスの日本画の題材で人気の小鳥『シマエナガ』を描いている女の子が多いのですが、みんな全く絵にならず大変苦労しています。ただの白い円になってしまったり、イラストチックになってしまったりと、目や口の大きさやバランスの難しさに四苦八苦しております。平面に描き起こすと光の加減や視点の位置の変化で脳内処理される情報が、一瞬に固定されてしまうため影の入り方や表情で可愛さを表現することが一層難しくなってしまうんですね。

写実的に描いていて、可愛さを上手く表現できないときは意図的に影を消したり、ハイライトを足したりなど調整することで可愛くなったりすることもあります。より一層慎重に描き進めることで、自身の思う「かわいい」の表現を突き詰めることが出来るでしょう。

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