モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

威風堂々

2023-05-31 23:47:36 | 学生


海良 高2 油彩

あっという間に6月ですね、ナツメです。今回は木曜学生クラスの海良の油絵をご紹介します!本物のクジャクの羽を左手に、右手に筆を、良く観察しながらコツコツ制作していた油絵が、ようやく終わりました。

顔の側の模様と、顔から離れた模様の鮮やかさ・描き込みに差を付けました。
主役の顔が手前に感じるように、
顔周りは彩度を落とし暗めな色を使っています。また描き込みも丁寧に、フワフワの細い羽毛を緻密にしました。
顔から離れた場所は、大胆に鮮やかにくっきり大きく描くことで、顔周りのおしり部分が一番凹み(奥)、画面右側が手前にぐっと迫ってきているのが分かりますでしょうか?輪郭を全てフレーム外にしている為、その前後関係を表現するのが難しいのですが、全てが計算尽くしです。
目玉模様の大小(奥は小さく/右手前は大きく)・角度(奥は丸く斜めに/手前は横に長く)・彩度明度(顔の側と下の方は暗く/右上は鮮やかに明るく)・配置の密度(奥はたくさん/手前はパラパラと)・描き込みの粗密(奥は細かく密度高く/手前は太い羽毛を隙間を空けて)・油絵具の盛り(奥はオイル多めに薄く/手前は絵具多めでマチエールを効かせる)の違いを駆使し、非常に上手く表現しています。

細々テクニックの事を書き連ねてしまいましたが、純粋にクジャクの凛々しさが伝わってきます。まるで「僕の美しい羽を見ろ!」と主張しているような、どこか誇らしげな印象も。孔雀が求愛行動のために広げる飾り羽は目玉模様が多かったりより大きく綺麗である方が優れていると言われていますが、画面の外に大きく広げられている様子が想像できるほどいっぱいに描かれた羽のボリューム感が素晴らしい!羽の目玉の模様も全て細い毛で構成されているのですが、その密集している様子や枝分かれした毛の一本一本の小さな凹凸にも反応し最後まで挫けず(一度だけ小原先生に二人羽織で手伝ってもらっていましたが)緻密に描写しました。
真面目だからこそ「見つけたものはできる限り描こう」と苦戦したところも多かったでしょうが、その甲斐あってここまで華麗で気品に溢れた一枚になったのだと思います。私も似たタイプなので気持ちはよくわかりますが、たまには息も抜きつつ、次の作品にも臨めると良いですね!

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描いた方が良いけど

2023-05-20 23:51:08 | 学生


晴 高3 鉛筆デッサン

デッサンの勉強してうまくなりたい。たくさん描いた方がいいのは重々分かっている。けど、今日はなんだか気が乗らない…。でも何もやらないのは負けた気がするし、せっかくアトリエに来た意味がない。

そんな時はコレ。親指1本だけ描く。
なぜ親指かと言うと、他の指をポージングするのは疲れるから。親指は脱力したまま描くことができます。(意味が良く分からない時は、自分の左手を描くつもりで眺めてください。)
小さな絵ならやる気も小さくていいし、ちょと鉛筆を動かすだけでエンジンが温まって来たのが自分で感じるはずですよ。   オバラ

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親子40年の付き合いです

2023-05-19 23:12:30 | 学生


七海 中3 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、学生クラスの七海の油彩作品。4月で退会となった為ミオスでの最後の作品です。
3歳だった年少さんの時に入会してくれた七海。入会時に当校に提出して頂く申込書には七五三の着物を着た写真を貼ってくれているので、その頃から12年間ずっと通い続けてくれたのかと感慨無量です。聞けば、お母様がノリ先生の中学時代の友達だとか!そう考えると40年間の人間関係があるのですね。まだ20代の私には、想像すらできません…。

レッサーパンダの写真を見ながら制作していきました。七海は真面目そうな見た目に反してマイペース中の超マイペース、筆は遅めのタイプ(というより、おしゃべりしたり気がつくとケータイを触ったりしているので、その度に「そんなんだから遅いんじゃ!」とよく講師陣に後ろから小突かれていました。笑)でしたので、日々尻叩きで追い立てておりました。口を開いてぽや〜んとしたなんとも言えない表情は、どこか作者に似た雰囲気を感じさせます。
毛並みの質感を出す為、少しずつ色を変化させながら毛の流れを作っていきました。背景の木も体と同じ茶色系の色合いですので、変化をつける為に青を多めに入れて空気の層を作ったり、タッチを変えたりして工夫しました。背景の空の色はやや絵の具のべったり感は拭えませんが、光を透かした葉の色を捉えようと、明るい色を入れたお陰でそこまで重たい印象はありません。1番の主役である顔を可愛らしくする為、目や口は気合を入れて望んでいましたが、本人も納得する出来栄えになりました。

中学3年生になりアトリエは退会してしまいましたが、ずっと美術が好きでいてくれたら嬉しいです!また気が向いたらいつでも顔を出しにきてね!

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しっかり、のびのび、学生クラス

2023-05-17 23:41:01 | 学生


愛菜 中2 / 詩哉 中3 / 心結 高2

突然の夏日にバテています、ナツメです。今回は学生クラスの様子をご紹介します!4月のブログでも「学生クラスでは春なので基本に立ち返りデッサン月間にしている」旨を書いていましたが、美術の授業のように皆で同じカリキュラムを行う時と、上記の作品ような『描きたい題材・画材を自由に選び、好きなように描く』個人プレーの制作の時があります。しっかり&のびのびのメリハリが効いている分、どちらの作品もクオリティーが高く仕上がります。

私も中1から高2まで学生クラスに在籍していましたが、やっぱり絵を描くのが大好きなので、日常でもそこかしこに落書きをしていましたが、自分で一枚作品を完成させるという経験はなかなかできるものではありません。意欲があっても学業もあるため、授業のように決まった時間が確保されていなければ「いつか何か制作できたらいいな」と思いながら、機会に恵まれず過ごしていたような気がします。また、何か一つを完成させることで、次の作品を良くするために技術を身につけたいと思うようにもなり、技術を学び次の自分の作品に活かす、という好循環がうまれることも魅力の一つです!

全体のカリキュラムというほどではありませんが、小学生クラスで制作している同じカリキュラムを一斉に作ることもあります。例えば以前ブログでご紹介した銀箔画や兜なども、せっかく材料が揃っているので「興味があればやってみない?」といった風に声をかけています。アクリルや水彩画だけでなく滅多に触れることができないような画材が使えますし、学生になると小さい頃には難しかった複雑で細かい作業や独自の工夫もできるようになっているということもあり、より本格的な作品を制作できることへの喜びはひとしおです。

現在、火曜学生クラス18:30~20:30と、木曜学生クラス19:00~21:00の2クラスのみ空席がございます。
土曜・日曜クラスはウェイティングされている方が控えている状況です。
無料体験授業やキャンセル待ちのお申込み・ご質問は、メールにて承ります。学生クラスの詳細はこちらをご覧ください。

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移ろいゆく空

2023-05-10 22:55:21 | 学生


香那 中3 油彩

皆さんGWはいかがお過ごしでしたか?ナツメです。今日は木曜学生クラスより香那の作品を2枚ご紹介します!

右の作品では夕暮れ時の山脈を描きました。日が沈んでいくにつれて夜空の暗い青色がじわじわと降りてくるような、時間の移つろいまで伝わってくる一枚ですね。曖昧な夕焼けとの境を点描で色を交錯させることによってだしています。山脈の澄んだ空気感も素晴らしい!実際に山が描かれているのは画面の僅か1/5にも満たない面積ですが、その中でも遠くなるにつれて空気遠近法により奥の山は空に馴染み薄く、ぼやけています。また、空を構成する点描も下にいくに従って細かくなっているため、遠近感と橙を青が覆っていく、という色の関係性が表現されているようです。

二枚目は「君の名は」の舞台にもなった糸森町の風景。深い夜空に一筋の流れ星が幻想的です。一枚目と同じく空を点描で描いていますが、比べて見てみると夜空の煌めきを表現するような役割になっています。また、湖の空に対して筆を寝かせて絵の具を乗せ、水鏡になるほど風のない静寂さが伝わってきます!

こうして二枚並べてみると対になっているようにも見えますね!私は夜になると少しわくわくした気持ちになるのですが、このような点描での表現にも夜への高揚感のようなものを感じます。今回描いたのは空でしたが、同じような描画方法で別のものを描いてみたり、逆に空を違う方法で描いてみたりと今後ぜひ表現の幅を広げていってほしいです!

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切磋琢磨

2023-05-08 23:46:38 | 学生


左 夏波 / 右 瑛太  共に高2 鉛筆デッサン

オバラです。皆様ゴールデンウィークはどのように過ごされましたか?何年か振りに大手を振って旅行を楽しんだ方も多いのではないでしょうか?私も大人になった元生徒たち数人と会い、5時間以上のダラダラ食い飲みを連チャンでしておりました。こういう飲み会も、もうコソコソしなくていいんだ!(ですよね?)うおー!

さてこちらのデッサン、どちらも瓶を中央にドンと配置し、長い物を巻き付けた、安定感のある二等辺三角形の構図。自分でモチーフを選び、自分で構成しました。

夏波は美術系進学を希望しているので、厳しく「構図が悪かったら、描き続ける意味がない。『頑張ったで賞』の努力点なんか稼いでも仕方ないし、見たくない。」と、7割方描けていたものを途中で破棄させました。なのでこの絵は2枚目(反省するようにわざと裏に描かせた)の作品です。とは言え、まだ高2になったばかりですから、構図だけ直し他は同じに描いていたらモチベーションが下がります。「短時間で格好良くキメて終わりにする」課題にし、3時間で仕上げました。描きどころを差別化する作戦に出たようですね。

一方、瑛太の方は趣味を極める為にアトリエに来ています。しかしその割にはストイックにデッサンばかりやっているので、鉛筆がチビたものしかなく、よくそんな扱いにくい道具でこんな迫力が出せるものだと驚きです。頭の良い人間だと感じるのは、観察力。技術不足で表現しきれていない部分もありますが、目(頭)では実物との違いを見付け、誤差を減らす努力をしています。またそれに加え、描き込みの量が半端ない!黙々系男子の力業・根性に脱帽。なんとなく美術系を目指している不届きな輩に、爪の垢をあげて欲しいところです。

二人は同じ学年で同じクラスに通い、隣同士で描いています。女子高と男子校、目指す進路も違い、お互い干渉することは一切ありませんが、こういうタイプは側に座らせると物凄い化学変化が期待できるのです。なんて気持ちの良いデッサンでしょう!好きだー!

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衝撃的なタイトル

2023-04-15 19:36:53 | 学生


桂吾 高2『死というものが祝福ならば、辛い人生より死を選ぶ』
右 桂吾 高3 『ギュスターヴ・クールベ 【波】の模写』 水彩

学生クラスに通う桂吾です。左の絵は1月のブログにも載せてもらいましたが、川崎市美術展に出品し、優秀賞を頂きました。

スペインのバルセロナにあるサンタ・エウラリア大聖堂の祭壇をモチーフにしています。
しかし実際の教会とは少し変え、中央部分の祭壇の柱にイエス・キリストの肖像とパイプオルガンを描いてみました。また椅子の影と窓から差し込む光の明度を、強く差をつけるように表現してみたり、より印象に残るよう細部のところで多くの工夫を施しています。

タイトルは、古代ギリシャの哲学者の一人、ソクラテスの名言の一つである「死というものは、実は人間にとって最大の祝福なのかもしれない。」という言葉と、古代ギリシャの詩人の一人、アイスキュロスの名言の一つである「辛い人生より死を選ぶ。」という言葉を組み合わせたものになります。

ちなみに市美術展の講評では「詩人の言葉にもある衝撃的なタイトルとは反対に、厳かで心地よい水彩絵の具の表現が素晴らしい。」と言われました。

右の作品は、ギュスターヴ・クールベ (フランスの写実主義の画家)の 【波】という油絵を模写したもので、本日完成しました。先生には油彩を勧められているのですが、ずっと水彩絵の具で勝負しています。

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様々な花々

2023-03-30 23:52:56 | 学生

食欲の春!マユカです!本日は学生クラスでの銀箔画をご紹介します!!
ホノカ先生が紹介した、学生クラスの銀箔画はこちら


中・高生の銀箔画(下も) 銀箔・胡粉ジェッソ・不透明水彩/黒ボード

小学生クラスとは違い、かなり自由に描いてもらったこともあり、構図や色合い・背景にも工夫が見られます。金魚や月、花弁が散っていたり、サイケデリックな葉っぱのあるも素敵ですね!彼らにも小学生の皆と同じく、山茶花を見て描いてもらっていましたが、自分でちゃんと椿を調べて描いている子もいました。やはり学生になっても絵が好きで通ってくれている子たちですから、一つの作品に対しての熱意がすごい。花の立体感にこだわる子、あえて平面的に、日本画らしく描く子など、様々でしたがどれも一つ一つのパーツを大切に描写しており、見ていてとても楽しい作品ばかりですね。

これは全員に共通して言えることなのですが、銀箔の隙間がとても少なく、全面にぴっちりときれいに貼れています。とはいえ小学生クラスの子たちと同様、下地の箔を貼る作業は学生も当然難しく、例として見せた小学生の作品を見て「こんなきれいに貼れるものなの!?」と驚いている子もかなりいました。
「小学生には負けたくない!!」と奮闘し(穴が開いてても下地が見えてかっこいいのですが…)納得がいかないのか小さな破片を駆使して隙間にもぴったりと箔を敷き詰め、細かい銀箔破片入れの箱がすっからかんになるのもかなり早かったですね…。ですがしっかりと箔を貼ったおかげで胡粉ジェッソのノリもよく、色鮮やかな画面が描きやすかったかと思います。


健一郎 高3 +金箔

こちら高校卒業制作でしたので、健一郎だけ特別に金箔も使用許可を出しました。期待を裏切らない金箔の使い方!けばけばしくなりがちな金の豪華絢爛さに、抑えめな花の色調が加わり雅。大きな空間がある場所には多めに箔を張り、主役である花がある中心は箔を少なめに散らし、センスの良さが伺えます。またこの写真では分かり辛いですが、四角い箔のふちが重なった部分が整然と格子状に残り、器用さはまるで職人レベル!控えめながら自分に自信があり、毅然とした主張・信念を持つ彼の人柄が現れているようです。

健一郎は毎回の作品作りに、かなり遊び心をもって取り組んでいたのが印象的でした。妥協はせず、自分が満足するまで向き合い、描き続ける姿勢は私も見習いたいくらいです。大学へ行ったら忙しくなるだろうけど、ミオスにも時々遊びに来てね!

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去年の今頃と比べると?

2023-03-14 20:43:17 | 学生


中学生の銀箔画(下も) 銀箔・胡粉ジェッソ・不透明水彩/黒ボード

ホノカです!私事ですが先日無事に卒業式を迎えました!これまで様々な条件と照らしながら、アトリエのアルバイトに間に合う様に時間割を組んだこともいい思い出になりました。
さて、今回ご紹介するのはこの春卒業ではなく進級を迎える(3年生の子は卒業おめでとう!)中学生たちの銀箔画です。
銀箔画は小学生クラス1月のカリキュラムでしたが、それに続く形で学生クラスでも珍しい体験なので。と挑戦してもらいました。銀箔の貼り方や、描き方についてはこちらのブログでご紹介しているので、こちらもよろしければご覧ください!

学生クラスでも、小学生クラスと同様に山茶花をモチーフとして置いていましたが、人によってはその色をシックな青に変えたり、自身で図鑑を使い調べながら別の花を描いたりと、様々になっています。全体を見てみると、渋い色で描かれる花が多いことが小学生たちの作品より少し大人っぽい印象にもつながっていますね。そんな色のチョイスや塗り方はさすが学生クラスの生徒たち!と言える丁寧さで、葉っぱの一枚も適当にやらないという気概さえも感じさせてくれます。

しかし順調に見えても多くの生徒は花びらの描き方に苦戦していた様に思います。花全体の色をつけて、影をつけて〜という風に進めると、どうしても花びら全体が一個のかたまりの様に見えてしまい、今一つ花らしさが表現できません。また、塗り方も花びらの下にとりあえず影を塗るという単調な作業になってしまい、作り物の様な質感になってしまいます。
ただそこもさすが学生クラスの生徒たち。塗り進める内に影の入り方を観察してみたり、影の色も黒だけでなく青や緑も使い違いをつけてみたりと工夫がみられました。

写実性を重視して細かい立体感を描き込んだ作品、日本画のように輪郭線が残るような描き方をした作品。やはり同じモチーフを参考にしていてもイメージが異なる作品が完成するのは何度見ても興味深いですね!小学生の頃から使い慣れた水彩絵具を使っていながらも大人っぽい作品に仕上がったのはもちろん銀箔の力もありますが、その時よりも観察力が成長した証なのではないでしょうか。制作お疲れさま!少し前になってしまったけれど、銀箔を貼った時の大変さを思い出して自分を褒めてくださいねー!

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こだわりの作品

2023-03-07 23:57:14 | 学生


明莉 中1 岩絵具・顔彩・金泥/パネルに和紙

今年も自分は花粉症じゃないと念じながら生活したいと意気込んでいます。ホノカです。
今回のブログでは学生クラスの明莉の日本画をご紹介します。

まず作品を見て思うのは、彩度の高い色と、低い色。明度の高い色と低い色。それぞれのバランスがとても良いですね!色選びも、緑と赤の補色同士の関係ではありますが、彩度を落とした組み合わせにすることで大人っぽさと、緑一辺倒になりがちな自然の作品が締まった印象になっています。
全体は塗り重ねられ重厚感がある中に、明るい光の当たっている葉があることで、コントラストが生み出され、重量が重たい印象にならず、風が吹いたらなびく植物らしさが表現されています。右上の部分は白のように見えますが、金泥が塗られているため、光を反射して白っぽくなっています。ここも全体に光が降らせるのではなく、スポットを絞って強い光を差し込んでいることで、葉のしげる中に光が差し込む情景がより鮮烈になっているように思います。

また、参考にした写真は実の部分にピントが合っていたため、後ろの方にある葉はぼやけていました。写真のように全体がぼや〜っとした描き方は非常に難しいですが、こちらの作品では葉をシンプルに描くことで、実の部分に目が向き自然と葉が後ろに見えるように描かれています。
そしてこの作品は写真よりもぐっと彩度を落として描かれているのですが、その中でも色の選び方であったり、影に埋もれている部分を作るなどのアレンジに明莉のセンスを感じます。元の写真からは想像のつかなかったミステリアスな雰囲気をまとっていて素敵です!

明莉のじっくり作品に向き合って自分の満足できる所まで頑張れる力、見習いたい部分です。完成までおつかれさまでした!

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静かな夜に

2023-02-15 23:46:34 | 学生


心結 高2 水彩

ナツメです。今回は月曜学生クラスより心結の水彩画をご紹介します!

自分で撮影した近所の夜の風景を描きました。誰もいない街をふらっと散歩したくなってくるような、冬の夜の閑散としていて冷たい空気が伝わってきます。参考にした写真はかなり遅くに撮影したものでもう1段階ほど暗かったのですが、空を中心に全体的に明るくすることで見えている明度よりも広がる空間がでています。また、どうしても街の風景をそのまま描くと色味が少なくなりもの寂しくなってしまうため、看板や屋根などは彩度を上げて道路や空との差別化をしつつ存在感を引き上げました。

駐車場の看板の細かい文字から柵の線の一本一本まで、「そこまで描くの!?」と思うほど写真から拾えるだけの情報を拾い、細部まで手を抜かずに描きました。適当に誤魔化してしまいそうになるような部分まで真摯に向き合った姿勢は素晴らしいです。今回が初めての透明水彩だったので絵の具の扱いが難しい部分もあり、道路の広くて何もない面がムラがちになってしまったり細かい部分も筆だと下書きのようにはハッキリ色が乗らなかったりと思うように行かない部分もあったと思います。納得のいかない部分は塗り直して自分でカバーして描き切ったことに拍手!今後枚数を増やして絵の具と仲良くなれれば、もっと幅広い表現ができるようになるかと思います。

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キリッと仕上げる

2023-02-14 23:58:35 | 学生


美月 中2 アクリル

寒さには慣れてきましたが、天気が崩れた時の空気の冷たさにびっくりしてしまいます、ホノカです。
今回のブログでは、学生クラスの美月の写真模写をご紹介します。
雑誌に掲載されていたこの子に惹かれて描くことにしたそうです。写真模写ということで、写真と画用紙それぞれに同じ比率になるようにグリッドを描き、それをガイドとした下描きから始まりました。

この作品のポイントは大きく2点。一つは毛並みの表現、もう一点はネコの顔つきです。
まず1点目の毛並みですが、こちらは写真を見て頂ければ分かるくらい細やかに描写されています。始めは大まかにぺっとりと色を塗っていましたが、そこから描き進めるにつれて細い筆で毛並みを一本ずつ描き足していったことで、フワッとした体毛がよく表さました。
また、毛並み自体の色だけでなく、そこに影や光を意識した暗めの色、明るめの色も重ねたことで体の立体感にも繋がっています。
最初にかたまり的にざっくりと塗られていた状態から、ここまでふんわりとした毛並みが表現されるネコにするには沢山手をかける必要がありましたが、そこを根気強く仕上げていった美月の集中力には感服です。

また、2点目の顔つきについては、今回模写ということで本人も似せる事をかなり意識したかと思います。写真のネコは座り姿勢からも分かる様にキリッとした凛々しめの表情をしていたので、本人もその点を再現できるように写真と睨めっこしていましたね。ネコというと小柄でくりっとした瞳が可愛らしい印象が強いですが、今回模写したネコは可愛いながらも結構シャープな目つきをしていたので、そのバランスが描く上で困難だったことでしょう。

アクリル絵具は不透明な絵具なので、常に完成をイメージして、毛並みと立体感を考えながら塗る必要がありましたが、とりあえず塗って試してみるという勢いがとても良かったですね。何事もまずは一歩目が大事になるので、今後もその姿勢でガツガツやってみましょう!お疲れ様でした。

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もしもの視界

2023-01-24 20:42:46 | 学生


桂吾 高2 『死というものが祝福ならば、辛い人生より死を選ぶ』 水彩

年を経るごとに重ね着の枚数が増えているので、気づいたら10枚くらい着ていそうで怖いですね!ホノカです。
今回は桂吾の作品のご紹介です。
渋い木の色で描かれる厳かな教会の内部、十字架の後ろからは窓で光が取り込まれて、まさしく後光がさしています。教会の中は左右対称に作られ、窓や奥に見えるパイプオルガン、神父が立つであろう祭壇などは光に照らされています。

よくデッサンの構図で「左右は非対称にしましょう。対称なものは宗教画などには有効です」というお話を耳にされるかもしれません。左右対称で均整が取れていることは安定感がある反面、つまらない構図にもなりがちなためその様に言われています。ですが、宗教画においてはトップに位置するものが分かりやすく伝わる様に、左右対称の構図が用いられているとされており、この作品でもそのような宗教性を持たせるという意図で左右対称に描かれているのではないでしょうか。ただ、この作品では揺らめくロウソクの火だけが大きく左右で非対称になっており、そこに左右対称の完璧さが少し崩れる片鱗が見え、不安な気持ちを感じさせる部分になっています。

また、この作品では見る人が教会の入り口近くにいるような場所から描き始められています。ここでは通路が手前側に描かれることで、視線が手前から奥に向かって移動し、自然に十字架の方に目が向きます。実際に自らが教会に入った時のように、内部の広さや高さに驚き上を見上げる時と同じ体験ができるような構図になっていますね。そして、この景色を見た人はタイトルにもあるように、辛い人生から死へ向かうことの祝福を求めて遮二無二なりながらこの地へ赴いたのかもしれません。フリーハンドの感じが残るこの作品ですが、本当は人工的に整えられた直線でも必死に渇望する人から見ると、汗や涙で視界が歪んで見えているのかもしれないと思わせてくれます。

生まれて洗礼を受けた空間でその命を終わらせる。カトリックでは命は神から預けられたものとされており、実際はその命を自身の意志で断つことは禁じられています(もちろん他にも様々な捉え方があります)。ですがそれが祝福となれば、現世からは存在を消して、主の元に向かうことが幸福になり得るのかもしれません。
タイトル、絵とどちらも併せて一つの作品として考えながら楽しませて頂きました。この世界ではどの様な人々が暮らしているのかなどなど、次々に世界観に興味を惹かれる作品でした。

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マイペース制作

2023-01-20 21:14:42 | 学生


波那 中2 『舞台上の思い出』 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは学生クラスの波那の油彩作品です。習い事のダンス教室の(タイトルからして発表会でしょうか?)自身の写真を見ながら制作していました。こちらは市美術展に向けて制作しています。

花の刺繍がふんだんに施された黒いドレスが、情熱的な赤い背景に浮かび上がって美しいですね。ちょうど顔の部分の明暗がくっきりとしている写真だったので、制作の際もメリハリをはっきりさせて塗っていきました。制作中は肌の色や黒いドレスの明暗の色作りに苦労していましたが、肌はイエローオーカーを中心に、青や緑を混ぜて暗くしたり頰には背景のオレンジを反射光の様に入れたりと、単調にならない様に工夫をしています。フリルや刺繍、レースなど細々した装飾が多い衣装ですが、こうした模様が沢山ある題材は、細かい部分に捉われず大きな部分(黒い布の立体感など)から取り掛かる必要があります。彼女の場合、花の刺繍に入ってからかなりの時間を要してしまいましたが…笑。全体に手は入っていますが、控えめなのか節約(悪く言えばケチンボ)なのか絵の具は薄めに塗られています。しっとりとした大人びた仕上がりになりますが、折角の油絵ですので、次回はたっぷりどっぶり絵の具を使いマチエールも盛り盛りで描いてみましょう!

かなり長い時間制作していたので、制作後半は今日どこ進んだの?と間違い探しをしているような感覚でした。マイペースに制作していた為、パレットに絵の具を出して描き始めるのに15分もかかったりして「遅い!!!寝ながら準備してる?もっと早く!!」と尻叩きされる事も。誰よりも早く出品作品を描き始めていましたが、それでも提出ギリギリになってしまったので、私のミオスでの今年度の目標は「波那の制作締め切り設定と厳格なスケジュール管理&尻叩き」とさせて頂きたいと思います。

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細部のクオリティにこそ

2023-01-19 23:44:32 | 学生


優 高2 『8:50 救済拒否』 油彩

大学が春休みに入り、ついに家から出なくなりつつあるマユカです!
今回は、優の市美術展出展作品をご紹介します。

大仏様が耳を塞いでおり、何かにうんざりとしているような表情をしているようなこちらの1枚。大仏様の背後には音楽を流すためのスピーカーや、アンテナ、目覚まし時計のようなものなど、様々な音が出る機械が山のように積み重なっています。上から吊り下がっているネクタイは一体誰のものなのでしょう?学生?サラリーマン?あるいは両方かもしれません。優が描いた様々なモチーフは、一見すると繋がりがなさそうに見えますが、タイトルと合わせて考えると、社会をコンセプチュアルに表現しているような雰囲気です。スポットライトのように当たる光も、色濃く影を落とす、という意味ではなんだか考察できそうな気すらしてきます。

そしてこちら、もちろん油彩で描かれているのですが、大仏様の背後にある機械の細かさに注目してみてください。小さなスイッチの一つ一つすら、工場で制作された物らしく、形が揃っているように見えます。デッサンで工業製品を描く時ですら、均一にそろえて描くことはかなり難しいのに、より小回りの利かない油彩でこんなにも繊細な表現ができる優の技術には驚かされました。こんなにたくさん描きこんでいるのに、機械や色鮮やかなネクタイよりも、真っ先に目に入るのはちゃんとメインモチーフの大仏様であるところに、優の構成力の高さが伺えますね。
ラフスケッチの時点で何案も考え、イメージが固まってからも色に悩み…冬休みは自宅へ持ち帰ってまで手を加え、最終的にはネクタイなどはペインティングナイフでかなり厚塗りにしました。この作品にかける情熱が半端じゃない!!機械などを描くのが好きだと言っていましたので、好きだからこそのめりこんでたくさん描くことが出来るのでしょう。去年の市美術展で大賞を受賞したので、2匹目のどじょうを狙っていますが、どうなることやら?

優のように細かく色々なものを描くのは、私も結構好きだったのですが、かなり時間と根気が必要です。完成させた時の達成感はものすごい反面、学業の忙しさを言い訳に、最近はそういった細かな作品を描くのもやめてしまっていました。しかし優の作品を見ていたら、自分もまた描きたいな、という気持ちになってきましたね…。機械の配線や、工場のパイプの並びなどは、モチーフとして選ぶと嫌でも細かくたくさん描きこむことが出来るので、たくさん描きこんでみたい、細かいものが描いてみたい!という方という方は是非、工業系のものをモチーフに選んでみてください!

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