モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

色の魔法

2020-10-20 22:41:37 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル  /  キャンバスボード

髪が暖かい事を実感しています、一平です!本日は水曜夜間大人クラスの秦野さんのアクリル画をご紹介します。

長閑な公園の風景です。青系の絵具をここまで沢山使っているのにもかかわらず、葉っぱがしっかりと緑に感じられますね。全体的にブルー系の色味で涼しげなトーンがとても素敵です。公園なのに人がいない、という事が公園という見慣れた風景の中で良い違和感になっていて絵の魅力の1つになっています。手前の木の葉っぱ部分の量感や、奥に続いていく木々の明暗の諧調の差が絶妙な色味のバランスで保たれています。

秦野さんの絵を見ていると、デッサンの重要さをいつも思い起こされます。絵を描かれる時ご自分で写真を撮ってくる事が多い秦野さん。今回もそうでしたが、持ってこられた写真はなんの変哲も無い普通の公園の道と緑の葉っぱが沢山生えた大きな木の写真でした。ですが明度は変えず、色味を変える事でとても魅力的な絵を作り上げました。絵を描いている方なら分かると思いますが、模写はある程度のレベルまで行けば「この色とこの色を混ぜればこの写真の色になりそう、じゃあこれを塗って」とプロセスをなんとなく想像できると思います。ところが色味を変えるというのは1から色のバランスを考え直さなければいけないのでとても難しいのです。デッサンで色があるものを白黒の紙と鉛筆だけで表現するのが難しいのと同じですね。ですがそれをマスターすれば、寒そうな部屋をまるでストーブがあるような暖かい空間にする事も可能です。それほど「色」は絵から受ける印象を操作しているのです。秦野さんはその点、絵の印象を自在に変えてしまいます。まるで魔法ですね

みなさんも秦野さんの魔法に酔いしれましょう!

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バランス感覚に長けた作品

2020-10-17 20:21:33 | 大人 油絵・アクリル

古田 アクリル

ここ最近、土曜日は雨が続きます。岩田です。

今回、ご紹介する作品は土曜午後クラスに通われている古田さんのアクリル画です。
アクリル絵の具を使って描いている生徒さんは、比較的少ないように感じますが、その利点としては速乾性なので仕事がサクサク進んで行くこと。
芸術系大学受験の実技試験でもアクリル絵の具が使われる理由はそこで、6時間程の試験時間の中でも完成度の高い作品を描くことが可能です。

こちらに挙げた2点の作品も実に明快で美しい出来映えですが、古田さんの手際の良さも相まって割合短い時間で仕上がっているのです。しかもアクリル絵の具を使ってモノを描写したのもまだ数枚ながら、モノを素直な視点で捉え、その自然な佇まいを画面に表現されています。

右手はエスプレッソメーカー。アルミの鈍く光る質感を良く捉えています。平筆を使い、絵の具に加える水を少なめにして、殆どドライブラシ状態で色を重ねていく描画方でモチーフを描きつつ、台上の反射は滲みを活かして表現方法を変えるといったテクニックも駆使しています。

左手の花の描写を見ても古田さんの色使いの美しさが目を引きます。特に花弁同士が折り重なって出来た陰の色が何とも絶妙です。構造、空間といったポイントをしっかり押さえ、実に活き活きとした花を描き出しました。

バランス感覚に長けた作品を描かれる古田さん、先週から取り組み始めた油画の方もどんな作品が出来上がるか楽しみです。

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ひとつの枠には納まりようもない。

2020-10-10 23:48:49 | 大人 油絵・アクリル


河内 油彩

肌寒さも時に感じるこの頃、皆さん元気でお過ごしでしょうか。岩田です。

本日は、土曜午前クラスの河内さんの作品をご紹介します。
これまでも多様なものを様々な画材で描かれていますが、こちらの2点の油彩は基本的に風景を描いたものになります。
とはいえ、アプローチの仕方は両者全く違うもので、左手の作品はご自身が撮影された身近な日常の場所を題材として選ばれました。

色々な日用品や鉢植などが雑多に置かれた空間。こうした昭和の雰囲気を残した風景は、私が住んでいる都心から少し離れた地域では今でも時々目にしますが、開発がまっしぐらに進んでいるようなところでは、どんどん見ることが出来なくなっていますね。
こちらの絵もそうした生活感が漂っていて、人間臭さが感じ取られます。だけどもそれらをとても美しい色合いで、尚且つ温かい目線で捉えているところが河内さんならではです。

うって変わって右手の作品は、アメリカのアンテロープキャニオン、長年による水の浸食で、砂岩が様々な形状に変化した場所。そんな画像を題材に、抽象的な作品を制作しようというのがこの作品のコンセプト。
中々落としどころが難しい取り組みですが、結果的にとても面白い画面になりました。岩場を描写しているような雰囲気を残しつつ、様々な色を用いた実験的取り組みといえます。

ひとつの枠には到底納まりきれない河内さんの取り組み。これからも楽しみにしています。

 
アンテロープキャニオンは柔らかい砂岩を深く侵食して出来た、洞窟・穴のような渓谷。一番の見どころは太陽の光でできた"ビーム"とのこと。朝3時頃に出発してひたすらバスに揺られ、ようやく見られる幻想的なツアーだそうです。

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苦労と色を重ねて

2020-10-09 11:11:33 | 大人 油絵・アクリル


大坪 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは大坪さんの油彩作品です。
元々豆より小さいてんとう虫を、これまた小さなキャンバスに描いていったので、制作中は非常に苦労されていたそうです。また、ボリューム感を出す為に、背中の硬い前ばね(上翅-じょうし)にペインティングナイフでかなり油絵具を盛ったので、最終的にテカテカにするのにも苦労されていました。てんとう虫は小学校の校庭の隅の植木でよく目にしていましたが、こうして拡大して描かれたのを見ているととても可愛らしく見えます。苦労されただけあって、てんとう虫特有のコロッとしたシルエットや、ツヤツヤの体の質感がよく伝わってきます。
また、葉に落ちる影も自然に見せる事にも苦労されたそうです。この青みがかった影により、夏の強い日差しが間接的に感じられます。なんだかてんとう虫が日陰を求めて葉の上を歩いている様にも見えてきて微笑ましいですね。
葉の緑には沢山の色を薄塗で重ねているので、そこから様々な色味を感じられ非常に魅力的です。油絵のこうした色の響き合いは見ていて気持ちが良いですね。この葉の緑とてんとう虫の赤は補色の関係にもなっているので、お互いの色を引き立てる組み合わせとなっています。(クリスマスのカラーにも同じ様に赤と緑がよく使われていますね)
構図に注目してみると、全面を緑の葉で埋めるのではなく、右側の上下に空間の抜けを作る事で小さい画面の中に葉の向こう側の空間を生み出しています。こうした抜けは画面全体のバランスを取る上でも重要になってきます。皆さんも画面構成に行き詰まった際は、空間の抜け感を意識してみてはどうでしょうか?

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大自然パワー!

2020-10-06 22:59:53 | 大人 油絵・アクリル


植松 油彩

気圧の変化に見事にやられています、一平です!本日は日曜クラスの植松さんの油絵をご紹介します。

海の浸食により荒々しく削られている崖の迫力が強烈な一枚。ペインティングナイフを初めて使われたという事でしたが1回目には見えない巧みなテクニックを感じます。麻場さんのこの絵からマチエールの付け方にヒントを得てチャレンジされました。

生物が生存するには過酷すぎる環境だからこそこのようなモスグリーンの植物しか生えていないのかと思うと、大自然の厳しさがより強調されているようです。そしてもちろん海や崖にもただ青!茶色!ではなくピーコックグリーンやイエローオーカーなど様々な色を駆使していて、より深みを与えています。今小学生たちが油絵をやっていますが、めんどくさがって単色ですぐ塗って済ませようとする子たちに見せてあげたいような絵です。(めんどくさがる子達は我々がもちろんタダじゃ済ませませんが

そんな自然の強さを感じる絵の左上を見てみると、過酷な環境下でも波から身を守るための外壁を作り、住むための家を建てて生活してしまう人間がいるようです。そんな人間の生命力や逞しさが、少しの植物しか生えていない崖とのコントラストでより強く感じられます。晴々とした空と鮮やかな海、そして断崖絶壁という大自然の中に対照的に存在する人工物のギャップが上手く作用しているのだと思います。

僕は若干海洋恐怖症なのですが、植松さんのこの絵を見ていると良い意味でブルッとしてしまいました!見ている人に何かしらの気持ちを想起させるのは絵に力がある証拠ですね。そのくらい荒々しいけれども深く美しく、時に恐ろしい海の魅力を感じます。

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客観的な視点と配慮

2020-10-03 17:03:52 | 大人 油絵・アクリル


麻場 油彩

土曜日は、岩田が担当致します。

本日は、午前クラスに通われている麻場さんの作品は剱崎。こちらの作品を見ても感じられるように、三浦半島の中で最も突き出ている場所。
波の浸食でできた岩礁は様々に入り組み、目をくぎ付けにするような光景をも見せてくれます。

今回の麻場さんの作品もそうした岩同士が織りなす変化と質感を魅力的に捉えています。ご本人がここを訪れた際、目の前に広がる風景に心を奪われ、思わずシャッターを切った(推測)というような心情がダイレクトに画面に現れている作品だと感じます。

岩礁の形体的変化のみを忠実に捉えようとするだけでなく色彩の変化にも面白みを与え、全体の統一した印象を大切にしている辺りを見ても、ちゃんと客観的な視点からの絵づくりを忘れていません。
又、灯台の立つ突端を見つめながら話をする男女を違和感なく描き入れ、ストーリー性をも構築しています。

バランス感覚に優れ、画面の隅々にまで配慮を怠らない麻場さんの作品は、完成度も高いです。もうそろそろ個展をされてみては?そこから学ぶことも色々あるはずです。

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光あれ!

2020-09-29 21:41:49 | 大人 油絵・アクリル


木村 油彩

ユーチューバーデビューした一平です!しかし、小学生クラスの生徒に「小学生には長過ぎて途中で飽きるよ!ちゃんと編集して!」と怒られました。技術が無くてすみません。
気を取り直して本日は、日曜クラスの木村さんの油絵をご紹介したいと思います。

鮮やかなサンセットを砂浜から見つめる女性がとてもロマンチックですね。海上に浮かぶ雲も奥行きをグーっと作り出してくれていたり、青い空が段々とオレンジ色に滲んでいく様や、その空が映し出されている海面の非常に繊細で美しい光の階調からは、その場の温度までも感じとれそうな見れば見るほど引き込まれる絵です。

また、女性の陰の濃さから強めの夕日が当たっているのだなと感じることが出来ます。この女性の逆光がある事で暗さを手前に作り、光源であると同時に背景でもある夕日をより鮮やかに美しく感じさせているのです。手前の女性よりも奥の夕日の方が絵の中で主人公のように感じられますよね。このように光をメインに設定し、女性をここまで暗くしても絵の中でノイズにならないのは、やはり木村さんの光の扱いが素晴らしい動かぬ証拠です!

みなさん建物や花、人間など目に見える物質や生物を絵の主人公に据える事が多いと思いますが、木村さんの凄い所は光という実体が無いものを主人公に設定している所です。水などの不定形なものともまた違う難しいテーマでありモチーフですが、サンセットという場面の空の色が変わっていたりなどの条件を利用し、見事に空間を意識させ、さらに見ていると温かいような視覚以外の五感にも響いてくる素敵な絵になっています。

今回の木村さんの絵を紹介するにあたり光という言葉をよく使ってきましたが、僕らはこの「光」が無ければ何も見えず、ずーっと闇の中です。人間は猿人の頃から常に火や雷など光にすがって生きてきています。そして電気が発明された近代では当たり前になっている光の暖かさ、どれだけ我々の生活を照らしてくれているのかという光の恩恵を、木村さんの絵の事を書いている中で改めて考えちゃいました。もしかしたら木村さんはそんな事全然考えてないかもしれませんが、僕はそんな人間の原始的な喜びがこの絵に表現されていると思います。こんなご時世でまだまだどうなるかわかりませんが、希望を強く感じられるポジティブでとても優しい一枚です!

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希望の形

2020-09-17 00:39:23 | 大人 油絵・アクリル


鈴木 油彩(F20号ー727×606の大作です)

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは鈴木さんの油彩の作品です。最初は小さいキャンバスで描かれていましたが、これは大きな画面で描いた方が良いと、改めて30号という大きなキャンバスで制作されています。

子供達のモデルはお孫さん(一番おチビちゃん)とご近所のお友達との事。コロナが少しおさまって来た頃の場面だそうです。外出するにも感染の不安が付き纏い、顔には常にマスクで息苦しさを覚える毎日が続く中で、子供たちが楽しげに地面に転がっている姿は暗い気持ちを吹き飛ばしてくれますね。この子達がこんな笑顔でいられるなら、この先もきっとなんとかなるんだろう!と、そういった希望さえ芽生えてくるような気がします。下敷きになっている青い服の子なんて、マスクに隠れているのにその下には弾けるような笑顔がある事がよく伝わってきます。色作りも何度も繰り返されたのでしょう、地面には様々な色が組み込まれています。子供達の落書きの電車の出発点は暗く淀み、線路の向かう先は明るくなっています。子供達も表情から体の捻れまでも良く観察されていますね!楽しく遊んでいるうちに、もつれて地面に転がってしっちゃかめっちゃかになってしまうのもまた楽しい!というこのシーンに至るまでの動きも予想させてくれます。小さな丸みを帯びた靴も子供らしくて可愛いですね。

私はこの作品を観ていると、なんだかこの先やりたい事や行ってみたい場所がいつくも浮かんできます。そうした事を考えている時は、実際に行動している時よりも楽しく、明るい気持ちになりませんか?先の不安で暗い気持ちになった時は、またコチラの作品を観に来ようと思います。

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清涼感のある自然

2020-09-11 22:09:41 | 大人 油絵・アクリル


佐竹 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは佐竹さんの油彩の作品です。

こちらの作品はコロナ禍以前から制作されていました。私がお休みの間もオバラ先生に厳しく指導されながらも、何度も塗っては直し塗っては直しを繰り返されたのでしょう。今月に入り久しぶりに作品を拝見した時は、同じ作品だとは思えない程見違えるものとなっており大変驚きました。田舎らしい茶色い家屋は緑に囲まれてほぼ屋根しか見えませんが、様々な色が何層にも重ねられその重みと存在感をしっかりと表現されています。家の周りの緑は色だけではなく筆のタッチも様々ですね。枝に茂る葉っぱは画面を突くように細かく筆を動かし、地面から伸びる草は縦に筆を短く動かす事で差を付けています。家屋や自然で絵の具を沢山使った分、もったりとした重たい印象になってしまいそうですが、上半分を占める空に浮かぶ夏らしい厚みのある雲と、そこから覗く清々しいほどの青色がその重い印象を和らげてくれています。目には見えないはずの空気が、とても美味しそうに感じられますね。

油彩は絵具の厚みや筆使いによって様々な表情を出す事が出来るので、是非色々と試してみて頂きたいと思います。偶然出来た色合いが、その作品の一番のチャームポイントになるなんて事もあったり

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柔らかい質感、柔らかい光

2020-09-01 23:25:02 | 大人 油絵・アクリル

古谷 アクリル

クーラーがあってもうちわが手放せません、一平です!本日は日曜クラスの古谷さんのアクリル画をご紹介します!

暗い水中を漂うクラゲと夜の街を照らす東京タワー、どちらもご自分で撮られた写真を元に制作しました。大小さまざまな大きさのクラゲが遊泳している絵を最初に、東京タワーの絵を2枚目に描かれました。

1枚目、ゆらゆらと泳ぐクラゲがとても幻想的ですね。クラゲの可愛らしさも勿論ですが、何も見えず少し怖いけれどなんだか神秘的で興味を惹かれる、そんな深海のイメージを絵の中から強く感じます。少し怖い背景と対照的にクラゲたちはホワホワと柔らかく水中を浮いている感じが愛らしいですね。個人的な見解ですが柔らかいものは硬いものよりも描くのが難しいです。不定形であったり、独特のシワが付いていたりと正直言ってめんどくさい!ですがそんな所も丁寧に描いていて絵の主人公として見劣りせずバッチリです。

また、クラゲたちのレイアウトもとても良いと思います。大きいクラゲと小さいクラゲのバランス、どのくらい空間を空けるのかなどがよく考えられていて、ポスターなどのグラフィックデザインのような見ていて気持ちのいい構図です。普通、クラゲだけだと物足りない気がして海藻を描いたり水中の色のトーンをもう少しブルー系に寄せてしまったりしてしまいそうなものですが、そう言った事はせず余計なものをどんどん省く事でキッチリと見せたい世界観を描写されています。

続いて2枚目、東京タワーを下から見た構図の絵ですが、こちらは古谷さんが毎日仕事帰りに見る光景だそうです。クラゲとは打って変わって東京タワーが出す光がフワッと空に広がり絵全体が柔らかい印象ですね。1枚目はクラゲが柔らかく背景をグッと暗い色にする事でとても綺麗な対比が生まれていましたが、2枚目は背景が柔らかく東京タワーや車を硬くカッチリと描く事でまた気持ちのいい対比が生まれています。

そしてやはり東京タワーが照らす夜の空がとても魅力的です。東京タワーの光を受け、暗い空が明るくなっている。ここの光のグラデーションが本当に綺麗にできています。左右の木の陰の暗さから相当強い光がここまで届いている、というのが分かりますね。車などの光沢感が難しいものもしっかりと描ききっていてとても好感が持てる仕上がりです!

やはり並べて見てみると技能面での変化や選ぶモチーフの違いなどが比べられてとても面白いですね。皆さんも今描いているものと前描いたものを見比べると面白い所が沢山あると思います、是非探してみてください!

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松尾さんの世界

2020-08-29 18:46:06 | 大人 油絵・アクリル


松尾 油彩・板

ほんの少しだけ秋の気配を感じ始めました。岩田です。

今回は土曜午前クラスの松尾さんの作品。
こちら支持体は自作の木製のパネルです。
しっかりと厚めにファンデーションホワイトを塗り、ツルツルになるまでやすりで磨き、残したい部分(今回は墨の筆跡)をマスキングしてから、実際の色の反対色(緑の庭は赤etc)で下塗りをしています。
サンディングなども含め、重層的に仕事を重ねる故、キャンバスでは強度が弱く木製のパネルというのも納得です。

左手の画像は完成作品、右手は途中経過です。このようなかたちで毎回綿密な計画性を持って取り組まれているのです。

寺院の渡り廊下を描いた描写も実に緻密なのですが、そうした風景中に突然アールヌーボー的ビジュアルが毛筆で書かれたようなシルエットの中に描き出されています。
時代や場所も全く異なった世界感を一枚の作品の中に同居させ、今までに見たこともない世界感を再構築していく。
松尾さんにしてみると描くということは、目に見える状況を自分なりに絵に落とし込んでいくのではなく、自己を如何に表現しうるかのチャレンジであり、自分でもまだ見ぬ世界への扉を開くことなのでしょう。そうした意味では下地等への拘りも含め、一流の一表現者であるといえます。

これからも独自性溢れる作品の益々の発展を望んでいます。

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香りや温度を感じさせる風景

2020-08-28 23:22:36 | 大人 油絵・アクリル


綱島 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは綱島さんの油彩の作品です。

コロナ禍以前から制作されていましたが、途中から私は水曜大人クラスをお休みする事になり、今回初めて完成した姿を拝見し大変感動致しました。甘い香りを放つ小さな黄色い花達が伸び伸びと育つような穏やかな気温、その脇をゆっくりと流れる青空の色が映り込んだ小川、遠くでは風車が風を受けて静かに回っています。そこへ行った事がない人でも、この作品の前に立てば風景の色や姿だけではなく、音や匂い、温度まで感じる事ができるしょう。こちらの作品の制作を始めて間もないころ、花の黄色についてどのようにしていくか悩まれていましたが、良い答えが出ましたようで何よりです。一本一本、手を抜く事なく描かれた花々は星の様です。奥に立ち並ぶ風車や民家の色合いも、何度も何度も色を重ねては直しを繰り返して描かれたのでしょう。それにより小さいながらも重みや年季を感じさせてくれます。手前から奥へと伸びる道はその先にある向こうの風景を想像させ、風景の一部を切り取った画面の中から広大な大地を見る事ができますね。

長い時間をかけて一つの作品に取り組む事は、時には苦痛を伴いますが、綱島さんにとっては心を落ち着かせる為の写経の様な制作だったのではないでしょうか。疲弊した人々の心に、陽の光のような暖かさをもたらしてくれる優しい作品だと思います。

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暗闇の理由

2020-08-25 22:16:52 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

冷房を作った人に全力のハグをしてあげたいです、一平です!本日は水曜夜クラスの増村さんの油絵をご紹介します!

今回描いたのはイタリアのバイオリン職人。マエストロ(maestro)の写真を撮ってこられ、それを元に制作しました。

何故、絵全体がここまで暗いのかというと、職人がバイオリンを作る際、暗い部屋の中で一方方向からスタンドで光を当て、わずかな板のカーブを注視しながら削っていくそうで、工房の中は昼間でも真っ暗にしているそうです。

やはり暗い中で作業をしている職人に目を奪われますよね。絵の中に主人公(この場合、職人)がいると、どこを見てほしい絵なのかとても分かりやすく、絵を見てる人の心にスッと入ってきます。寒色のライトではなく、暖色のライトにしたのも憎い演出です。寒色のライトでは暗い中で作業している職人がホラー映画の犯人のように恐ろしく冷たい人間に見えてしまいそうですが、暖色のライトにする事で職人の何十年もバイオリンを作ってきた情熱を感じられたり、暗闇の怖い、不気味といった印象を和らげて優しい雰囲気にしています。また、きちんとライトに近い物に光が強く当たり、ライトから遠い物に光が弱く当たっているので、暗闇の中でほとんど足元が見えていない状態でも距離感を感じさせやすくなっています。

増村さんは今まで人物+美しい背景で魅せる絵が多かった印象でしたが、今回このように人がメインになっている、しかも背景もほとんど暗闇といった絵の中の距離感、見てる人への印象の伝え方(自分の絵をどう見て欲しいのか)が難しい題材を扱い、それを見事昇華し、ご自身の中の絵の引き出しを増やされたように思います。

自分の中の絵の引き出しを増やすために新しい挑戦や一歩踏み出すのには勇気がいりますが、まずはそこに飛び込む所からでしょう。確かに難しいかもしれませんが「ここにこの光が来るとこうなるのか」「この色は意外とこの色に合うな」と発見だらけだと思いますよ!

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葡萄農家の哀愁

2020-08-22 16:40:55 | 大人 油絵・アクリル


西 油彩

ようやく暑さも峠を越えそうです。岩田です。

本日は土曜日午後クラス、西さんの作品をご紹介します。
初めての油彩ですが、じっくり時間をかけて魅力的な作品に仕上げました。

こちら昭和41年に発行された『東欧州』というおんぼろの写真集から選ばれたワンシーンです。
本の中には「ポーランドの国民性は〝反抗〟、チェコスロバキアは〝忍耐〟、ハンガリーは〝剛毅〟と色分けする。」と紹介されており、当時の国際関係が垣間見れるようです。
今でももしかしたら、オートメーション化された現代においても共産国時代のこうした牧歌的な風景がみられるのかもしれません。

西さんの選んだ写真には「ぶどうを荷馬車に積み込む農民。ハンガリーのぶどう酒、特にトカイ酒は世界に知れ渡った逸品である。」と注釈があり、トカイ酒を調べてみましたら1本1万もする貴腐ワインでした!(シャンパンのように、シャンパーニュ地方で作った発泡ワイン以外は『シャンパン』と呼んではいけないように、この地方で作った貴腐ワイン以外では『トカイ』と呼ぶことが禁止されているほど有名なものだそう。)

収穫した葡萄を大きい木桶に集め台車で運ぶという何とも地道な作業風景を描こうと思った西さんに面白さを感じると共に、土埃を纏ったような叔父さんが淡々と作業を進めている姿や、使い古されくたびれかけた台車に言い知れぬ哀愁を感じるのは私だけではないでしょう。手前に置かれた桶の錆びついた鉄の補強にさえ深い味わいを感じます。

1枚目の油彩故に、描きたくとも描き切れなかった部分などあると思いますがアースカラーで統一された全体の色使い、それぞれが持つ質感など見どころに溢れた1枚となりました。

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視線の先に

2020-08-06 00:07:49 | 大人 油絵・アクリル

       
                大澤 油彩

汗をかかない体になりたいです、一平です!本日は水曜クラスの大澤さんの油絵をご紹介します。

普段は旅行先の風景などを描くことが多い大澤さんの絵では珍しく人間のアップ、しかも3人も!横並びに並んだアフリカ系の子供たちの表情がとても良いですね。何か食べ物のようなものを差し出している子、背後のどこかを見ている子などとても豊かな表情が見る側の気持ちを楽しくさせてくれます。つぶらな瞳や口元の微笑んでいる雰囲気などが可愛らしくとても暖かい絵になっています。

ニカッと白い歯が見えるような笑顔を描くよりも、このように感情が曖昧に見えるような表情を描写する事の方が難しいです。また、赤青黄のTシャツがベタ塗りのようにならず、暗いところは暗く、明るいところは明るくできています。当たり前のように聞こえますがデッサンのように白黒ではなく、色があるものの立体感、特に暗い部分を描くのは実は結構難しいのです。
そこを繊細に描写できた経験は今後風景を描く時も必ず役に立ちますよ、観察眼が成長したという事ですから!

この大澤さんの絵からは日本とは全く違う異国の子供達の空気感を感じられ、なんだかジッと見られてドキッとしてしまいます。

ちなみに先日のブログでも書きましたが僕は4月〜6月末までミオスを自粛期間でお休みしていまして、僕はほとんど途中経過を見られていませんが、最初の方はなんだか宇宙人みたいになってしまっていたり、動物っぽくなっていたりと色々と大変そうでしたですが久々にミオスに来てみるとどうでしょう。ちゃんと人間の子供になっているのはもちろんのこと、立体感がちゃんとしているからこそ生まれる綺麗な奥行きが感じられ、絵が持つ魅力が底上げされています。人が3人もいて若干逆光気味の描きにくい構図や場面設定にも関わらずしっかりと描き切った事は素晴らしいです!

やはり基本的な事が出来ていると絵はとても強くなりますね!才能やセンスだけではなくコツコツやる事もとても重要というのを改めて思い知らされます!

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