モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

丁寧に描かれた作品

2018-12-01 23:24:41 | 大人 油絵・アクリル

河内 油彩

本日もお世話になります岩田です。
こちら、パリの街角。交差点に犬と共に佇む女性のいる風景を描いたのは、土曜日午前クラスに在籍の河内さん。

毎回、とても繊細な作品を描かれていますが、今回の油彩も柔らかな印象を醸し出しています。
何気なく撮られた写真を河内さんというフィルターを通し、独自の空気感に変換してしまうのは、流石のものです。

手前から奥へと続く横断歩道、アスファルトに引かれた白線に、幾度となく車や人が行きかった時間が刻まれています。白線もところどころ色があせ、アスファルト自体もひび割れ、そんな経年の変化を決してわざとらしくなく、且つここまで美しく表現できるのは河内さんならでは。

今回のキャンバスのサイズは3号ほど、ご自身も小さい画面の方が好みとのことです。確かに大きな画面で意識が散漫になってしまうより、比較的小さめのサイズで、丁寧に丁寧に仕事を重ね、じっくり描いていく河内さんのスタイルはとてもフィットしていると感じます。
これからもご自身のスタンスを大切に、素晴らしい制作をされて下さい。

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変化を恐れない

2018-11-30 22:21:30 | 大人 油絵・アクリル

長沼 油彩

お久しぶりです!一平です!
今回紹介させて頂くのは、いつもパワフルな長沼さんの作品です!
この絵たち、目を惹かれるのはなんと言ってもこの独特の雰囲気や、綺麗な色彩で少し奇抜な動物達でしょう。
普段、写真を見ながら描いていく事が多い長沼さんですが、今回は写真全体を描くのではなく写真の中から自分が描きたいものを抽出し、四角や丸、三角と言った幾何学図形を平面構成的にした背景と組み合わせ、リアルな動物が現実世界ではあり得ない世界にいる、面白く不思議な雰囲気を作りだしました。

色や動物達など素晴らしい所は沢山ありますが、今回長沼さんがトライした1番の事は、「いつもの描き方を大きく変えた」ということです。(いつもの描き方な前回の作品はこちら
これは実はとても勇気がいる事なのです。
なぜなら「描き方を変える」というのは今まで経験してきた事が、無駄になってしまう気がしてしまうからです。
新しい事をするのは自分でも自信が無く失敗も怖いですし、周りからの評価もどうなるか分からない。そんな状況になんの躊躇も無く飛び込めるのが我らがミズ・チャレンジャー長沼さん!!
僕のように、上手く描かなきゃ…どうしたらもっと素敵に…と考えていくうちに、がんじがらめになり絵が描けなくなってしまう人達からしたら、いつも自分の楽しい事を追求していき、そのためならどんなチャレンジでもする長沼さんのような人は輝いて見えます(笑)。
「面白そうだからやってみるわ!」となんでも貪欲に挑戦する長沼さんだからこそ、まだまだ絵に変化が見られそうです!

そしてこちらのカエルが水に飛び込んでいる芭蕉の句が聴こえてきそうな涼しげな1枚。サインを水の流れに浮かべ漂うように書いています。
サインが自然に入っていて全体感を壊さずにとても素敵になっていますね。ですが、この仕上げに行く前に立ちはだかるのは我らがミズ・鬼教官 小原先生!!
最初、左下に大きく「ナーツーコー‼」のように太文字で『夏子』と書いていたようで(残念ながらこの状況は僕は見ていませんでした)、ここで鬼教官の鉄拳が飛んだわけですね。
「どんだけ自己主張強いんですか!!主役はカエルでしょうが!?下品ですよ!!」とアドバイス(一喝?)をし、長沼さんがへこたれる訳もなく見事、遊び心のある素敵なサインの1枚に仕上がったのでした!

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無意識の願望?

2018-11-23 04:51:22 | 大人 油絵・アクリル

植松 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは植松さんの油彩作品です。小樽の夜景の写真を元に制作されています。

ライトアップされた白い壁の、茶色や黄色の入り混じった複雑な色味がよく表現されています。夜空の黒も、ただ黒色をベタッと塗られているのではなく、少し青色が顔を覗かせているので柔らかい印象になっていますね。水面の揺らぎや映り込む建物のタッチも凄く良いですね!筆の扱い方がどんどん上達しています。
奥の方からオレンジ色の賑やかな光がぼんやりと見えている為か、こちら側は喧騒から解放された、隠れ家のような雰囲気がありますね。

植松さんの作品には、主役が人の多い場所から離れていたり静かな場所だったり隠れ家のような要素が共通してあるように感じます。また、これまでブログでご紹介させて頂いた作品の中には、人が描かれた風景は一枚もありませんでしたね。もしかしたら、本当は誰もいない静かな場所でゆったりひっそりのんびりと生きていたい…といった植松さんの願望が無意識にモチーフ選びに現れていたりするのかもしれません。(植松さん、実際のところどうでしょうか?笑)枚数を重ねていくと、こうした絵の傾向や共通する要素が見えてきて面白いですね!

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美しいトーンで描かれた作品

2018-09-29 17:53:03 | 大人 油絵・アクリル

本山 油彩

岩田です。今回、ご紹介しますのは、土曜日午後クラスの本山さんの油彩です。

豪華なソファに横たわる裸婦。全体的に美しいトーンで描かれた作品です。
特に裸体は明るい色調で描かれつつも、光を受けるパートと影のパートを微細な色の諧調で表現しており、白人女性ならではの血管が透き通るような肌色を魅力的に描き出しています。

又、見逃せないのはソファの色で、裸婦と同じく、影側の色味にも気を使っており、影の中にも淡い光を湛えたような美しさを感じ取れます。花柄の明暗の移り変わりも、とても自然な印象を受けますね。

本山さん、色感の良い方で、ペールからダークまでのトーンの中での色の遊びがとても上手いです。今度はビビッドなトーンも使い、作品を描かれてみては如何でしょう。
そうすることで、更に表現の幅も増えることでしょう。

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花が綺麗に見える理由

2018-09-28 21:56:35 | 大人 油絵・アクリル
菊地 アクリル

すっかり秋ですね。秋服がなくて困っている一平です!
本日紹介させていただくのは先月に引越しのため退会された菊地さん最後の作品のアクリル画です。僕が担当していた時は写真模写などをよくされており、今回もその一環で花や果物・魚の干物など多種類のモチーフ達の絵の模写でした。
まず第一印象、とても明るく見やすい絵です。その理由は、左上からの明確な「光」をしっかりと感じさせるように、布に当てているからだと言えるでしょう。

そして一見鮮やかなモチーフに目が行きがちですが、花が入っているグラスの表情を見て下さい。表現し辛い透明のガラスの質感・光や立体感を、少ない手数でしっかりと捉えています。

後ろの白い布だけがある無表情な空間の表現はどうでしょう?こういう背景の処理は意外と難しいのです。ベタ塗りをするわけにもいかず、かといって何色を塗れば出しゃばらずさり気なく存在してくれるかなど、絵を描いている人にとっては色々考えてしまうところだと思います。
菊地さんは「特筆すべきものが少ない所」を、部屋に自然光が差し込んで出来た美しい影を優しく描くことによって、しっかりとそこに存在感を示しました。
手前の布のたわみなどの陰影も、背景とは違う少し強い色(黄色や赤などの暖色、ブルーグレー系の寒色)で表現し、奥の布との距離感を出しており飽きさせません!

菊地さんには描き辛くて無意識に描くのを避けてしまう箇所が無いのか?と考えてしまう程、モチーフそのものの色の鮮やかさを惹き立てるように、周りの布や空間など何気ないものがしっかりと表現されています。
ここまでアクリル絵の具を使いこなせれば、もうお一人でも十分制作を楽しむことが出来ますね!菊地さんどうぞこれからもお元気で絵を描き続けてください!

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全体の構成を考えながら

2018-09-01 23:07:01 | 大人 油絵・アクリル

立野 油彩 

岩田です。九月に入ってもこの暑さ、皆さんお体ご自愛下さい。

今回は、土曜午前クラス立野さんの油彩をご紹介。縞馬が佇む動物園の風景を描いています。ブログにアップした作品画像をあらためて客観的に見てみても、独特な世界観を湛えた魅力的な作品です。

空のブルーとアンバー系の対比が美しく映えている画面ですが、縞馬の体の色も良く見る色合いとは異なり、モスグリーンと赤味を帯びた縞で構成されています。
確かにこの雰囲気の中に白黒の縞馬がいても興覚めかもしれません。単体でみると不思議な色をした縞馬もこの絵の中で見てみると、しごく自然な佇まいに見えるのが何とも不思議で良いですね。その辺りも全体的な構成を俯瞰して考えていらっしゃるのだと感じます。

更にこれだけ至る所にアンバー系の色を使っていると、どうしても色が似通ってしまうところですが、下に高彩度の赤や青を置き、見え方が単調にならないよう工夫をしているのです。
立野さん、モノを描写する力は既に有していますので、これからは油彩における「絵作り」をテーマに色々なチャレンジをされているところです。

次回作もどのような仕上がりになるか実に楽しみです。

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たくさんの花と1つの理由

2018-08-20 23:48:41 | 大人 油絵・アクリル

長沼 油彩

一平です!本日はいつも孫のように可愛がっていただいている、長沼さんの作品をご紹介させていただきます!
今回描いた花達には物理的な「厚み」があります。実際にキャンバスから2~3mm程厚みができているのです。これは油絵特有の重ね塗り(マチエール)によって出来るものですが、これがあるおかげで絵に立体感が生まれます。長沼さんは主役の花には多めに重ね塗りをする事で手前と奥を表現しようと考えたのでしょう。また背景に青色を使った絵が何種類か見られますが、青色は後退色と言って後ろに下がってくれる色なので、背景にはピッタリです。しかも青色は、花の鮮やかなピンクや黄色を引き立て、より花が綺麗に見えます。

そして、長沼さんの絵には遠目で見ても伝わってくる迫力があります。良くも悪くも「目立つ」という事はとても大事だと僕は考えています。なぜなら「無関心」という絵を描く人にとって最悪の状況を回避することができるからです。そういうところで、長沼さんの絵は重ね塗りや色の組み合わせなどもあり、とても良い目立ち方をしています!
次は立体感に伴った陰影や、明暗の色の作り方をもう少し細かくやってみると良いかもしれません。丁寧に見ないと気付かないような小さな面積でも、人が近くに寄って来てくれた時にそういう細やかな心遣いで、もっと絵は魅力的に見えるのだと思います!

ちなみに長沼さんが描かれているのは、一番上の作品(6号)以外、キャンバスの0号というサイズ。18cm×14cmという可愛らしい大きさです。
いつも2~3枚の油絵を同時進行で進めています。なぜ複数描くのか理由を聞いてみますと、いたってシンプル「1枚だと飽きちゃうのよ!」だそうです。いつも元気でパワフルな長沼さんらしい答えですね!  前回の作品はこちら

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見たもの 感じたもの

2018-08-18 02:48:07 | 大人 油絵・アクリル

田中 油彩 

岩田です。朝晩涼しい日が続きます。
本日は、水曜日午前クラスの田中さんの油彩をご紹介致します。風景を題材にすることが多い田中さん。前回の作品はこちら

今回は風景画2作品ですがお互い少し趣の異なる作品といえるでしょう。
左手の作品は昔ながらのレンガ造りの建物を描いたもの。どこかヨーロッパに位置する郊外の風景のようです。全体的に柔らかい雰囲気で描かれており、建物に絡まるつる性植物も活き活きとした表情です。
田中さんは、こうした「モノ」を描きこむ技量もお持ちなのですが、私がいつも感心するのは絵が持ち合わせている情緒というか、その佇まいです。

その情緒を特に感じさせてくれるのが右手の油彩。前述の作品はその場に赴き、そこで見て取れる情報を主に描き出している感じなのですが、こちらの作品は、目に見えた情報を描くのではなく、対岸にあるものを只々傍観し、そこから自分が感じ取れるものや想像するものを描いてるような気がしてならない。
「見たモノ」を主体に表現する、「感じたもの」を主体に表現する、2つの作品には作者のそうした描く上での感覚の違いがあるように感じます。

僕は特に右の作品、味わいがあってとても好きだなあ。

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原さんならではの気遣い

2018-08-04 16:32:02 | 大人 油絵・アクリル

原 油彩

岩田でーす。
今回は、水曜夜間クラスの原さんの油彩をご紹介致します。
こちらは写真を元に描かれたもの。落ち着いた色合いの中に、アジサイやブドウなどの果物といった植物の生命力が満ち溢れています。
この絵からは、そうしたモチーフから感じる生気を写真以上に如何に画面に表現してやろうかという思いを感じることができます。

主役のアジサイ、正にその絶頂期を迎え花瓶からこぼれ落ちそうなほどに咲き誇っているその様を斯くも生々しく、又つややかに表現しています。
写真からとはいえ、花びら一枚一枚に見られる筆致にさえ実際の花を目の前にして描いているかのような観察眼を見てとれます。
しかも小さい花ひとつづつを描きながらも、その集合体であるアジサイという花のボリュームも感じさせてくれています。

花瓶に落ちるその影もとても柔らかく描写されており、その曲面の形状に沿って影色を丁寧に変化させることで自然と目が奥へと誘導されていきます。
そんな脇役にも手を抜かず細かいところまで気遣いがされているのも、原さんならではといえるでしょう。

モチーフ、描き方といつもチャレンジを忘れぬ原さん。これからの作品もどのようなものが飛び出してくるのでしょうか。とても楽しみです。

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逆光の絵

2018-07-27 22:52:45 | 大人 油絵・アクリル

 

植松『樹海』油彩 

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは植松さんの油彩の作品です。こちらは富士の樹海の写真を元に制作されました。洞穴から見える樹海に面白さを感じてその写真を選び、樹の繁り具合、奥行き感、逆光の表現などがとにかく難しかったそうです。しかし、それだけ力を注いだだけあって、見応えのある魅力的な作品になりました!

暗い洞穴を抜けた先に広がる木々とそこから漏れる光は、見る人に明るい予感や神秘的な印象をもたらしてくれます。空へ伸びている木々が段々と明るくなっていく色合いや、繁る葉の隙間から漏れる光の描写が非常に美しいです。
葉の色や形もよく観察し描き分けられており、富士の樹海には沢山の自然が満ちている事を教えてくれます。
手前の木や洞穴の壁の黒も、ただ絵の具のチューブから出したままの色ではなく、様々な色を重ねて深みのある黒に仕上げられています。
真っ直ぐに伸びる木々と洞穴の歪んだ形の組み合わせも面白いですね。作品を観る度に新しい魅力が発見されそうです。

森のヒンヤリとした空気って凄く気持ちいいですよね。年に一度、友人の長野の山の別荘へ遊びにいくのですが、こちらの作品を観ていると、その時に森で息をおもいきり吸い込み味わった空気の美味しさが思い出されます。

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横浜大桟橋ウッドデッキにて

2018-07-14 02:45:02 | 大人 油絵・アクリル

英保 油彩

皆様暑さでやられてませんか?水を沢山飲んで下さい。岩田です。

本日は、土曜午前クラスの英保さんの油彩をご紹介です。
モチーフとなっているこちらの場所は、横浜大桟橋屋上のウッドデッキ。調べてみるとこちら「くじらの背中」という愛称を持っているようで、長い距離を縦方向に敷き詰められたデッキが有機的な表情を醸し出しています。
そうした魅力的な場所に足繁く赴いて、絵になるであろうアングルを切り取って作品のネタにしてしまおうという英保さん流石ですが、特に今回は夕方にかけて日が沈んでいく、まさに絵になる時間帯を逃さずシャッターを切っているところなど、やはり持ってる人だと感じさせてくれます。

一見して今までの油彩と比べてクオリティーが高くなっているのは空。様々な色をブレンドし複雑な雲の表情を出しているのは勿論のこと、手前から奥に視点がスーッと至極自然に移動していくのです。空を見ているだけでも相当に見ごたえのある一枚といえます。
右手の低い位置から日差しが当たることでウッドデッキにも強い光の反射が表れます。カップルの足元から伸びる影も、白い反射とのコントラストがシャープで目を引きます。それ以外の部分は木の質感を重視し、パステルやペインティングナイフを使い試行錯誤をしながら描き進めていったのでした。
因みに左手に立つ人物は奥様です。

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ナイフとアルプス

2018-07-13 02:53:32 | 大人 油絵・アクリル

佐藤T 油彩


大竹です!今回ご紹介させて頂くのは佐藤さんの油彩の作品です。(佐藤さんの前作はこちら
ペインティングナイフを多用して日本アルプスの荒々しい山肌を見事に表現しています。
私もナイフで表情を作るのが大好きで、制作の際にはよく使用します。絵の具を置いて画面を撫でると、キャンバス地のデコボコも相まって掠れた表情になるんですよね。そこから削ったり、また絵の具を乗せたりするのが楽しくて気持ちよくて、ついついやりすぎてしまい画面がうるさくなってしまうんです。しかし、佐藤さんはナイフで沢山弄りたいのをグッと我慢して、この美しい作品を完成させたのでしょう。かすれた絵の具が重なり合っている部分が特に魅力的ですね!皆さんにも、写真ではなく実物を近くでじっくりと見て頂きたいです。
また、雪の白からところどころ覗いている青が非常に良い働きをしていますね。他の場所で使用した色を別の場所に使う事で、画面の中に一体感が生まれます。この場合だと空の青にあたります。右側の暗い部分にも少し青が入っているので黒の印象が柔らかくなっています。
山肌や地面は絵の具を盛って表情を付けた代わりに、空の方は薄くフラットに仕上げられています。これも画面が重たくなり過ぎないよう工夫されていますね。素晴らしいです!

アルプスと聞くと天然水が浮かびます。佐藤さんの作品も天然水のパッケージに合いそうな清涼感があります。暑い夏にピッタリの作品になりましたね!

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閑寂を楽しむ絵

2018-07-12 22:31:39 | 大人 油絵・アクリル

矢作 油彩

四月から水曜の夜と日曜日の社会人の方のクラスをお手伝いをさせて頂いている一平です!
矢作さんの絵は途中からでしたが、完成までを見させて頂いたので今日ご紹介させていただきます!
来年80歳になる矢作さん。(僕の祖母より年上です!)雨が降るとお休みしがちですが、かなりお元気に、そしてのんびりと楽しく制作されています。

これは京都の寺院の裏庭の写真から。手前の野菊がこの絵の主役ですが、まるで野原に咲いているような飾らぬ風情にわびさびを感じます。
子供っぽくならないピンクを作るためには赤と白の基本的な混色に、色相環で赤に隣り合わせる一色を足すと深みのある大人のピンクになります。矢作さんは紫を足していますが、オレンジを足したサーモンピンクでも落ち着きのあるピンクになります。

そして後ろの寺院。寺院を見ると微弱な光を左側から感じますが、見る人に光が自然に伝わる理由は障子の色合いです。左側の障子に暖色のイエローオーカー、右側に寒色のブルー系の色の影を置くことで、美しい和紙の質感、光陰が生まれました。この障子は上品で控えめな名脇役と言えるでしょう。
また寺院の土台はサラッと仕上げることで、手前の野菊の丁寧な描写が際立ち、空間や距離感を演出する事に成功しています。
一見地味な絵に見えるかもしれませんが、静けさの中に奥深い趣が感じられる絵になったと思います!

ちなみに菊と聞くと僕は白を連想してしまいますが、実はピンク色、黄色、赤色、紫色などたくさんあるそうですね。ピンクの菊の花言葉は「愛情」だそうです。矢作さん(だけでなく生徒の皆さん!)、これからも愛情たっぷりで絵を描いていきましょう!

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暖かな家庭

2018-06-22 00:30:58 | 大人 油絵・アクリル

                                                  石山 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは石山さんの油彩です。こちらはルノワールの「シャルパンティエ夫人とその子供たち」の模写です。ルノワールの出世作となった作品であり、見たこともある方は多いのではないでしょうか。

背景の暖かみのある暖色や夫人のゆったりと寛いでいる雰囲気、子供達の愛らしさなど、元の作品の良さがよく捉えられています。特に子供達の柔らかそうな金髪や、足の座っている為に力が抜けている感じが上手いですね。夫人のボリュームのある黒いドレスも画面を引き締め、全体の華やかさに一役買っています。
模写する事で、鑑賞した時とはまた違った作品の一面が見えてくると思います。私も大学入学前にモネの作品を模写したりしていました。パレットの上で実際に同じ色を作って見ると、こんなに暗い色だったの?!と驚いて、塗って見ると違和感なく溶け込むことに更に驚いたり…きっと石山さんも、制作の中で驚かれたり発見があったと思います。

ちなみに2人の子供たちの内、真ん中の子は実は男の子なんだそうです。19世紀のヨーロッパでは男の子は早死にするとされ、大きくなるまでは女の子として育てられるそうです。勢力争いから跡取りとして命を狙われる事も多かったのでしょうか?しかし、女の子として育てられていたのに、ある日突然あなたは今日から男の子です!と言われた子は、一体どうなってしまうんでしょうかね...?

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パリにて

2018-06-16 18:20:02 | 大人 油絵・アクリル

増村 油彩 

今日は少し肌寒い日でした・・。岩田です。

本日ご紹介するのは、水曜夜間クラスの増村さんの作品。
舞台はパリ。ご自身が旅行で現地に行かれた際に撮影した画像を見て描いたものですが、こちら撮ったものをそのままという訳ではなく、シチュエーションをちょっと変えてご自身で絵づくりをしているのです。

寒空の下、パリの街の川沿いにビビッドな赤のマフラーとグリーンコートを羽織った紳士が犬を連れて散歩をしています。その鮮やかないでたちが何とも印象的です。
暗く描かれた影の世界から徐々に明るく演出された道の奥に向かって歩いて行くその先には、カップルが仲睦まじくこちらに向かって歩いてきます。この両者が道半ばですれ違う時、お互い何かの言葉が交わされるのだろうか?といったまだ見ぬちょっとしたドラマをついつい想像してしまいたくなりますね。

紅葉した木々、川の流れに沿ってきちんと並んだ建物、それらの景色が映り込んだ川の描写もさることながら、人にもドラマ性を加味し見せ場を作りだしている魅力的な作品です。

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