モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

静かなデッサン

2020-10-13 22:23:52 | 大人 デッサン


瀬戸 鉛筆

眼精疲労で目が石のようです、一平です!本日は日曜クラスの瀬戸さんのデッサンをご紹介します。

夜に見たらヒヤッとしてしまいそうな雰囲気の骸骨と頭像のデッサンです。2枚どちらも瀬戸さんご本人のように淑やかな空気感が流れていて、絵を見ているとこの骸骨や頭像が置かれている空間を思い浮かべてしまうような、そんな絵以外の思考の広がりも持たせているとても素敵な出来栄えです。

一見、明度差の少ない暗めのデッサンで目立たなさそうに思えるかもしれませんが、平面の台上にしっかりと置かれているように見えたり、表面の凹凸だけでなく、大まかな立体感や重量感を出し、モチーフと空間の関係性を絵を見ている人に違和感なく理解させる、などデッサンにおいて大切な事がしっかりと落とし込まれています。確かな基礎力を感じさせる静かな強さがあるデッサンです。瀬戸さんは今まで木炭紙大という大きいサイズで描いていましたが、この二枚は八切りという少し小さめのサイズで描かれました。サイズダウンする事で描きやすかったのではないでしょうか??受験生は描いているサイズを選べませんが、ミオスの生徒の方々は選ぶことが出来ます。ぜひその権利をフル活用して自分に合ったサイズを見つけていただきたいと思います。

デッサンは基本的に受験のためのもの、絵を始めたての人がやるチュートリアル的なものなどと思われてしまいがちですが、瀬戸さんのレベルまできたら誰が見ても「作品」と言えますね、素晴らしい!

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全ての基本がここに

2020-09-08 23:08:27 | 大人 デッサン


堀 鉛筆

通り雨にまんまとやられました、一平です!
本日は月曜クラスの堀さんのデッサンをご紹介します!
普段僕は月曜日の夜のクラスにはほとんど顔を出さないのですが、大学の夏休み中に月曜の小学生クラスに出ていて、小学生クラスが終わったその後の流れで堀さんをご指導させて頂きました。

まずなんと言っても銅製のヤカンの金属感がとても素晴らしいですね。
色が濃いブドウと透明な電球など苦労するモチーフもあるのに加え、ここまで量感があり、さらには金属質なものを描き分けなければならないのは大変だったと思います。とても整理され見やすい良いデッサンです。

ですが堀さん、最初の方は金属の質感が出ず、金属が曇ってしまうと悩んでいました。現実では金属はキラッと光るもののはずなのに、デッサン上では発泡スチロールのようにあまり陰影が付いないもののように見えていたら変ですよね。しかも陰影が弱目についていると、綿のように質量が軽く見えてしまいます。重い、フワフワ、美味しそう、透明など描いているモチーフの情報を正確に伝えるはずのデッサンが、絵を見る人に別の印象を与えかねません。

デッサンでモチーフが曇ってるように見える原因は大抵、表面の明るさや反射の明るさがキッチリ取れてないか、陰影の部分の色の濃さが足りてないか、もしくはその両方に絞れます。要は明るい所はキチンと練りゴムなどで明るくし、暗い所はB系の鉛筆でグッと暗くするという事です。

その事を僕が説明し、少しヤカンに練りゴムで光を入れただけで即座に理解して頂けたようで、一気にこのクオリティにまで駆け上がりました、素晴らしいです!誰が見ても金属質の硬そうなヤカンに見えますね。そのモノがそれらしく見える、当たり前のように聞こえますがとても難しいです。ヤカンのクオリティに周りのモチーフも引っ張られ、デッサンとしてのレベルもグッとあがりました。

絵の入り口として親しまれているデッサンはちょっとした気づきやテクニックで劇的に変わっていきます。今は「油絵などと比べて面白くなさそう」「勉強ぽくて退屈そう」と思っている人もデッサン中に培った事は必ずその後の創作に役に立ちますよ!日進月歩!

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いくつもの山を越えて

2020-07-18 21:02:32 | 大人 デッサン

箕輪 木炭デッサン

皆さん如何お過ごしですか。土曜日の男、岩田です。
今日は勉強会の最終のリハーサルをしました。当日は出来るだけ内容を分かり易くお伝えしたいと思っています。
まだ募集をしていますので、興味はあるけど迷っているという方も思い切って参加してみて下さい。

今回は、土曜午前クラスの箕輪さんの木炭デッサンをご紹介します。
最近、木炭でデッサンを描き続けている箕輪さん。前回までアトリエにある一連の石膏を描き続け、ここにきて牛骨をデッサンされました。
鉛筆を扱っていると、木炭という素材は最初は特に扱いにくい描画材という印象を持ちますが、その深さとバリエーションのある色合いに魅かれていきます。箕輪さんもそうした木炭の持つ魅力に魅かれていらっしゃるのでしょう。

石膏像は人の手で作られたものですが、牛骨は人為的なものではないので形が大変複雑。微妙な面の変化を読んでいかなければいけません。
全体的には、クリーム色のような統一感のある色に見えますが、実際は歯や骨の部位によって、微妙に色が変化しているので明暗の変化が捉えにくいモチーフです。

掲載した画像、左が一枚目、右がその次に描いたものです。その捉え方が格段に良くなっているのが一目瞭然です。
デッサンを描く上でどうしても細かい部分に囚われてしまうということをご自身でもお話されていますが、2枚目のデッサンは、どこかそういった次元から抜け出たような印象を受けるのです。

箕輪さん、現在は牛骨3枚目に挑戦中。といっても大変難しい角度から描かれているので苦戦を強いられるかもしれませんが、その山を見事乗り越えていかれることと思います。

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多年の一瞬

2020-03-06 00:46:51 | 大人 デッサン


鈴木 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、鈴木さんの油彩です。熊川哲也のカルメンのポスターを見て制作された30号の大作です!美術館や大学では見慣れた大きさでしたが、アトリエで見るとより大きく感じますねー!

 動きを感じられるポーズや服の皺の表情すばらしいですね。描いては消し直しては消しを何度も繰り返してここまで辿り着かれています。時間と共に重ねられたさまざまな色により、一目で12週間で作られた画面ではないと分かります。暗い部分は美しい深みが感じられ、それに引き立てられるスポットライトの光がドラマチックに舞台の二人を際立たせます。映像では一瞬のシーンでも、絵画になるとその一瞬を沢山の時間をかけて再現、作り上げていける事が面白いですよね。ただ、納得する形が見えて来ずに時間だけが過ぎていくと、その絵に向かう事自体が嫌になってしまうものですが、鈴木さんは辛くなろうともこの絵に向き合い続けておられました。その姿勢にはもはや拍手よりも畏怖の念から思わず手を合わせてしまいます。私は上手くいかない絵があると、別の絵に逃げたり投げ出したりしてしまう学生でしたから…)完成された時も、完成というよりも開放という感覚を感じられていたのではないでしょうか?

開放後の鈴木さんが次はどんな作品に囚われてしまうのか、講師側としては楽しみでもあります。作品から気持ち良く開放されるよう、少しでもお手伝いできましたら幸いです。

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全く違う世界観を作り出す。

2020-01-25 15:22:46 | 大人 デッサン

長沼 油彩

寒い日が続きますね。岩田です。

本日は、水曜日夜のクラスに在籍されている長沼さんの作品をご紹介します。

サバンナで暮らしているような動物たちをモチーフに力強い色彩で迫ってくる長沼さんの作品群。活き活きとした栄気がみなぎっています。
どの作品を見ても長沼さんならではの独特の佇まいを有しているのですが、感心するのはどれを見ても同じような色使いが一つとして無いというところです。

パレットに置いた絵の具を感覚的に使っていると意識的に絵の雰囲気を変えているつもりが、あまり変わらない色使いとなり、結果的に同じような絵になってしまうことが私なんかは多々あります。
しかしここに掲載した作品は、一貫した作風でありながらどれも全く違う方向性と世界観を示してるのです。

例えば同じように象を描いた作品でも、左上のものは赤く塗られた象と背景がヴィヴィッドな色でまとめられ、現実と乖離した異空間の中に迷い込んだようにも見えます。それに対して右下のものは、夕闇の中を一団の象の群れがこちらに突進してくるような現実の風景として捉えることもできるでしょう。

長沼さんは、絵具を素材に描くことを心から楽しんでいらっしゃるのではないかと思います。

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暗さを活かす

2019-01-21 22:02:34 | 大人 デッサン

杉浦 鉛筆

どうも幸介です!本日ご紹介するのは、月曜大人クラスより杉浦さんのデッサンです。英字のブロックと電球などのモチーフを集めた配置。どれも小さなモチーフではありますが、それぞれディテールが豊富で描き込み甲斐のあるモチーフですね。

ここのところかなり筆も早くなり、一気に描き上げてしまう杉浦さん。完成したデッサンも力強い印象です。そんな「強さ」や「勢い」が魅力の杉浦さんですが、今回の作品は背景を暗くグラデショーンにし、とても落ち着いた作品になりました。電球の映り込み、ブロックの英字のちょっとした立体感など、繊細な部分の描き込みもしっかりしていますね。質感やモチーフの重さも感じます。背景の暗さにより奥行きが増したので、全体的にこじんまりとせずに空間を感じる事ができるんですね。暗さとの対比で、電球やブロックなどのハイライトも気持ちいいです。

今回のように暗さを描くデッサン、杉浦さんに合ってる気がします。もともと筆にスピード感はありますが、そこにさらに重厚感も加わって説得力が増しました。デッサンにしろ着彩にしろ、次回作は是非「暗さ」を取り入れた絵を描いていただきたいなぁと思います(塗るのが面倒でなければ…笑)!!

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それぞれの花

2018-07-03 20:06:03 | 大人 デッサン

左 ー 金 / 右 ー 長谷部  共に鉛筆デッサン

どうも幸介です!本日ご紹介するのは、大人クラスより生物デッサンが2枚。いずれも金属製の花瓶と花を描いた作品ですね。描きどころが多く難しいモチーフですが、お二方ともしっかりと完成いたしました!

左側、金さんの作品ですが、大ぶりな花が豪華に咲いて力強いデッサンですね!花びらの一枚一枚の傾きや皺などもしっかりと追い、デッサンながらも単調でない、油絵のような重厚さを感じるデッサンになりました。まだミオスに通い出して数枚目のデッサンですが、とても熱心な金さん。いきなりここまでの大物モチーフを描ききり、尊敬いたします。人工物や台の傾斜などの精度を上げていけば、もっと良くなると思いますので、今後の作品にも期待しております!

そして右側の長谷部さんの作品。水差しも花も洋風といいますか、決して和のモチーフではないのですが、なんというか日本庭園のような静けさを感じます。地に足の着いた印象が良いですね!床に敷いた紙のささやかな起伏や、水差しの陰影、そして花びらの一枚一枚と、細やかにモチーフと向き合っているなぁと感じました。モチーフを見る目が真摯なんですね!次回は是非、隅から隅まで描かずに、あえて手を抜く(間をあける)場所を設けたような作品も見てみたいです!しっかり描く部分とのメリハリで素敵な作品に仕上がるのではないでしょうか。

ということで、同じ花のデッサンでも方向性が様々で興味深いですね。久々のブログ執筆の幸介でしたー!!

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グレーデッサン

2018-06-02 17:56:47 | 大人 デッサン

左2枚 當山 / 右 杉浦  どちらもグレーの紙に白・黒・灰色のコンテ・チャコペン・パステル 

岩田です!今回はグレーデッサン特集です。
先ずグレーデッサンとは・・。通常のデッサンは白い紙の上に鉛筆などを使って黒い色をのせて描いていきます。グレーデッサンというのは、中間色の紙の上に白と黒の描画材を使って描いていきます。中間色の紙といってもグレーであることはなく緑、茶色、青といった有彩色の紙でも大丈夫です。描画材もチャコペン、コンテなど柔らかく使い易いものを選んでください。
特に最初は、有彩色の紙だと描きにくい場合もあるかと思いますのでグレーの紙を使うのをお勧めします。

さて、今回ご紹介のお二人はグレーデッサン初ですが、良く描いていますね。
左、中央のデッサンを描かれた當山さんは、紙の色がモチーフのどの辺りの色と同じかを良く見極めています。白から黒までの色幅もとても綺麗です。コーラの瓶も良く描けていますが、大顔面の中の明るい世界、影の世界を上手に表現しています。
壁に投影されている影も的確、リアリティーを感じます。

右側は杉浦さんのデッサン。先日の骨格ゼミに参加し頭蓋骨をしっかり描きたいとのことで今回チャレンジしました。
眼球の入る部分、側頭部など微妙な色合いの反射光を美しく表現しています。頭蓋骨はかなり複雑な作りになっているので描く際に相当の観察が必要だったことでしょう。
背景とモチーフの際を更にしっかり描写することで背景の抜けも良くなることと思います。

皆さんも是非描いてみて下さい。

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モノトーンも美しく。

2018-05-26 17:45:27 | 大人 デッサン

白仁田 鉛筆 

暑い日が続きますが皆様お元気でいらっしゃいますか。岩田です。
今回は、土曜午前クラス白仁田さんの作品。こちらデクスターゴードンというジャズサックスプレーヤーのアルバム「BALLADS」のジャケット写真を元に描きました。

こちら完成までに約4ヶ月。全て鉛筆で描かれているのですが、モノトーンの色調が大変綺麗な作品となりました。
画像をみて頂ければ、私の評などいらない位説得力のある出来栄えです。奏者の表情、サックスの描写、まさに文句のつけようがないというもの。使い込まれた金管楽器ならではの鈍い輝きもカッコ良く、指で押さえるキーの部分も緻密な表現が目を引きます。

最初から白く残す箇所、後から消しゴムを使って逆に白で描いていくような箇所、様々な試行錯誤の上に描き出した煙草の煙も黒バックに映え、実に美しく表現されています。こうした工夫を感覚的にサラっとやってのける白仁田さん。やはり只者ではないです。

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鉛筆模写と静物デッサン

2018-05-12 18:19:18 | 大人 デッサン

左 室谷 / 右 大西 

岩田です。本日は土曜日午後クラスから、鉛筆で描かれた作品2点をご紹介致します。

右手は大西さんの作品。最近建物といった人工物を中心に写真からの模写を多く制作しています。
こちらトライアンフというイギリス製のバイクですがクラシックな印象の一台です。
このオールドスタイルのモチーフを鉛筆を使って白黒の世界に落とし込もうという試みが渋くて良いなーと思うのですが、大西さん、まだお若い女性でいらっしゃいます。
ピカピカに磨かれたタンクの質感などリアルに再現されていますね。タイヤとホイールの関係性に若干怪しい部分はあるのですが、複雑に見えるエンジンも実に細部まで徹底して描かれているのです。車体のデザインと相まって、古き良き時代に撮った白黒写真のような印象を思わせる仕上がりとなりました。

左手は室谷さんの作品ですが、とにかく徹底的に描き切るスタイル。こちらもじっくり時間をかけて制作された一枚です。
一つ前のデッサンで紙風船を描いた室谷さん、その時に課題となった「シワがよった紙」の描写を今回も引継ぎ、モチーフに取り込みました。
紙風船の時は、いまいちシワを描くコツを掴み切れなかった様子でしたが、今回は確実にレベルアップしています。
ランタンのガラス部分、錆びた金属の表情も上手く捉えることが出来ました。最後の最後に描き込んだランタンと紙の設置部分が良いですね。互いの関係性をしっかり描き、説明づけることで、それぞれのモチーフの存在感をより引き出すことができるのです。

鉛筆で描くことが好きなお二人、それぞれのテーマで、これからも素晴らしい作品を描いていって下さいね!

 

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素晴らしい作品なので、ちょっと難しそうに考えてみました。

2018-03-07 20:25:41 | 大人 デッサン

松岡 鉛筆

 

松岡 水墨画

水曜日担当の滝口です。
 今回は、水曜午前クラスの松岡さんの鉛筆画、水彩画の紹介と共に、僕自身色々と考えて書いてみたいと思います。

 松岡さんは僕がミオスに来てから、もう既に描いていくスタンスやスタイルなども確立されていて、正直何かを具体的に技術などを教えた記憶がありません。ここに掲載されている「崖と海」や「海の渦」の作品に関しても、このブログだと小さく見えてしまいますが、それなりの大きさ(F10号、12号程度)はあるでしょうか、鉛筆画は1ヶ月以上毎回描いているかと思います。厳密に構図を練り、色合いや描きどころも吟味を繰り返し、最初は鉛筆画で終わるのかと思っていましたが、それらはあくまで水墨画で描くための下図であるとおしゃっていました。でも、なかなか水墨画に移って行かれなかったので、水墨画に移ったらまた大変なんだろうなと思っていたら、それは全くの思い違いでした。

 鉛筆画を終え、翌週来てみるとなんと水墨画が一気に完成されていた作品を持って来て、どうでしょうかと見せてくださいました。これには本当に驚きました。水墨画の持っている技術は並外れていて、深みがあり、到底僕には描くことができません。鉛筆画で何度も何度も吟味されているが故の表現の的確さで、ここまでしっかりとスタイルが確立されているとは、本当に驚きました。しかも、この鉛筆画と水墨画の間に、もうワンクッション展開があり、水墨画を描く原寸大の大きさに鉛筆画をコピーしてから更に修正ペンなどで加筆・修正されていました。そのプロセス自体が美術作品で成り立つものだなと思いました。

 この松岡さんの作品の紹介で考えられることを、いくつか挙げてみたいと思います。
作品は、どうしても展示されたり完成された1点のみを見ることが多いかと思いますが、実はこの完成に至るまでのプロセスもしっかりと提示することも、また作品として成り立つということです。
⑴きっかけとなった写真(小さなL判などだといいですね)や切り抜きなど  
⑵下図やアイデアスケッチなど
⑶途中で制作された、実験などで使用したものたち(松岡さんのだとコピーして貼り合わせた紙でしょうか)
⑷制作で使用した道具たち(筆や鉛筆など)
⑸完成作品
これらが実際の展示などでもあると、鑑賞者の視点も変わるかもしれません。美術館で巨匠の展示ではありますよね。
どこまでを見せるのかということは考える一つのきっかけですが、僕は色々な価値観があっていいと思うので、あまり人がしないことっていうのもやってみるのもいいですよね。

 もう一つ考えたのは、教える/教わるという立場です。僕は、正直松岡さんに色々と教わりました。大人な話だと、やはりお金を払っている/もらっている立場もあると、何も指導しないで自分が教わってるって?!となりますが、僕は美術教育は、お互いの相互関係で成長していくものと思っています。僕も美術を本格的に勉強や経験をし始めてかれこれ20年以上経っています。今でも、美術史を再度学び直し勉強に励んでおります。でも、やはりこの膨大な美術の世界では、全てを完全に習得していくことは不可能です。価値観の違いもあるし、それぞれの専門性もあります。その中で、ミオスでの体験や学校での教える/教わるという立場は、『気づき』の場でもあります。知識や技能の伝授だけでなく、制作されていく皆さんの姿や作品を通して、僕も何かを気づき、それを伝えていく。または、きっかけを与えていく。松岡さんの作品を通じて、上記に書いたような提案をしてみる。そんなことも、美術教育の中では大事なんではないかなと思ったりしています。

 ちょっと今回は長くなってしまいましたが、松岡さんの作品を見て、僕なりに考えてみたことを書いてみました。こんな難しそうなこと考えなくても、ぜひ楽しんで描いてもらえば良いですけどね。
ちなみに、水曜日午前中クラスの皆さんで、グループ展示が来月開催されます。それにも率先して松岡さんは参加されていて、熱心でDMも制作されています。とても楽しみです! 

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色々な建物の模写

2018-02-24 20:10:22 | 大人 デッサン

大西 鉛筆

岩田です。今回は土曜午後クラス、大西さんの作品です。
こちらはお手持ちの資料からの模写。古い建物の前に鎮座する甕と郵便ポストがとても印象的な写真です。田舎の建物というより、都会の喧騒の中、路地を入るとそこにひっそり建っているといった佇まいを感じます。

甕の上には打ち水用の柄杓、画面左手には朝顔棚と今に残る江戸の風情を感じさせてくれます。数寄屋門を潜ったところに矢竹のような細めの竹が見えます。笹の葉が密集していて描くのにはかなりの根気が試されます。
こうしたものを鉛筆を削りつつ描くのは大変。そこで今回は、笹の葉だけではなく木目の描写などもシャープペンシルを使って描いているのです。削る手間が省けるとこうした緻密なものも描くのが楽しくなってくるものです。

大西さん、今昔拘わらず色々な建物を鉛筆で模写されています。時に線の曲がりも許さぬような直線ばかりの近代的なビル、かたや今回のようなクラシックな古びた家屋。こうした経験がご自身で描かれているイラストにもきっと活きてくるでしょう。これからはデッサンをベースに透明水彩などの色を使って描いてみるのも良いと思います。

 

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徹底した観察眼、描画材への柔軟な姿勢。

2018-02-03 15:21:45 | 大人 デッサン

左 殿山 / 右 當山

どうもです、岩田です。
今回は土曜クラス、男性お二人のデッサンです。
午前クラスからは殿山さん。静物を主体にデッサンを描き続けてきました。こちらはミオスのモチーフの中でも難易度の高いランタン。しかしながら慎重に形体を追いながらじっくりと攻めていく殿山さんにとっては格好のモチーフだったでしょう。
この描き手心を誘う古びた質感を湛えながらも、その思いに反するがごとく幾重にも重なる大小の楕円。一度は描いてはみたいが途中で挫折してしまうかもと思わせる中々憎いモチーフですが如何でしょうこの佇まい。やや曇りがちなガラスの表情も含め見事なまでに描き切っていますね。
鉛筆という描画材にもかかわらずここまで自然に、しかもこの錆びかかった緑の金属色をあたかも感じさせるようなレベルの高い作品に仕上げられたのは、殿山さんの徹底した観察眼があるからこそです。

午後クラスの當山さんもデッサンが大好きな方です。近頃は木炭デッサンを続けて描いていらっしゃいますが今回の石膏はジョルジョ。
納得がいかないと何度も何度も描いては消してを繰り返す當山さん。このデッサンも幾度頭部の造作を修正したことでしょう。
特にこの石膏は左右の目の大きさや形状が微妙に異なっているので捉えるのが難しいのですね。尚且つ、細やかな髪の毛の表情が複雑に作り込まれています。
特に木炭という描画材は大きく色を付けたり取ったりとということには適しているのですが細かい表情はどちらかというと捉えにくいものです。ところが當山さんの魅力はそういった既成概念に囚われないところなのです。
こちらのデッサンを見ても分かりますが全体の調子を大きく捉えつつ細部にも抜かりが無い。そんなに多くの枚数を重ねている訳ではないのにここまでしっかり描くことが出来るのは當山さんが有する描画材への柔軟な姿勢故でしょう。

両氏があらたにチャレンジしている新作にも期待しています。

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描き切ったー!

2017-12-16 00:26:50 | 大人 デッサン

室谷 鉛筆デッサン

岩田です。本日は土曜クラス、今年最後の授業でした。(今年は土曜クラスのみ、クリスマスや忘年会とは無縁でした。他の曜日・クラスは全てイベントありとのこと。)

今回は土曜午後クラスの室谷さんの作品。モチーフはアルミ制のエスプレッソポットや紙風船、質感の違いをテーマとし構成しました。
室谷さんじっくりと時間をかけて完成までに至るタイプでこちらのデッサンも夏辺りから始め12月に完成しました!
今までに紙で作られたシワのあるモチーフを描いたことが無いとのことでしたがしっかり最後まで描き切りましたね。

紙風船は少し透けているような薄い紙で作られているのでシワも繊細、更に赤や黄や緑の色を白黒に変換するとどの位の明度になるかということも実に難しいところです。
しかも球体として描かなければならずどこから手を付けて良いのか・・・といった感じのモチーフですがこれが描ければ相当力が付きますよ。ほんとに。
室谷さんはどちらかというとデッサンにおいて、コントラストの幅が狭いほうですがこの紙風船は微妙な色の違いまで良く表現されています。
シワの追い方も実に丁寧。球体としても自然に見えます。そしてレンガの上のポットは紙風船とは対極にあるような質感のモチーフですがアルミの鈍い反射、硬質感も良く描かきました。
年末までに完成しましたね!

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マスコットがいるデッサン

2017-12-08 21:11:21 | 大人 デッサン

瀬戸 鉛筆デッサン

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは瀬戸さんのデッサンです。ガラスと金属の描き分けと物の映り込みが課題となるようなモチーフ選択の為か、受験生のデッサンのような雰囲気がありますね。

紙がボロボロになり描けなくなってしまうほど何度も何度も描いては消してを繰り返し、粘り強く描写を追っていかれていたので、全体を見た時に迫力があります。ジョッキの後ろに隠れているのは、瀬戸さんが持参されたチョッパーの壊れた目覚まし時計。ジョッキ越しに見える姿の輪郭は、少しはみ出ている角や足先とはズレがあるので少々難しくなっておりますが、しっかりと描ききっていますね。帽子上部はガラス一枚越しですが、その下は二枚越しなのでそれぞれが異なる歪み方をしています。その描きわけもバッチリですね!ジョッキの方も白黒のメリハリを効かせつつ、フチや表面の溝、床に落ちているガラスからの光なども細かく追われているので、ガラスの重みや硬さ、冷たさが感じられます。
映り込みや全体の色味に苦戦された丸い金属のピッチャーも、隅々まで要素を見逃さないという意思が感じられます。蛍光灯の光の白が黒っぽい金属の色合いの中でメリハリが効いていて気持ちが良いですね。回り込みの描写も丁寧にされていて、平面のデッサンからでも実際に丸いピッチャーを手に取った時のイメージを浮かべることができます。よーく見てみると、ちゃんとチョッパーくんも映っています!しっかり描かれています!時間をかけてガッツリ描かれた真面目な部分もありつつ、このようなちょっとした可愛らしさも見え隠れしている魅力的なデッサンですね。

瀬戸さんが持参されたチョッパーくん、壊れているにも関わらずモチーフとして持参されたからには相当チョッパーがお好きなのかな?と思いましたが、意外にもキャラの名前もご存知なかったそうで壊れているのに可愛くて捨てがたく、なんとなく持っていらしたと言うご家族のものだそうです。是非チョッパーくんと一緒に、今回のデッサンも大切に取っておいて下さいね!また何枚か描いた後に見返すと面白いですよ!

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