モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

初めての油彩画

2015-05-31 17:32:27 | 大人 油絵・アクリル
左 原 / 右 鈴木

土曜・大人クラスの京谷です。
今回は、輝ける油彩画第一作目を完成されたお二方、水曜夜間クラスの原さんと鈴木さんの作品をご紹介したいと思います。
小原先生より、確かに初めて油絵の具で制作・・・と伺っていたのですが、お二人とも堂々たる仕上がりです。構図については、今までデッサンなどで鍛えていらっしゃったとお察しいたします。とても安定感のあるモチーフの配置ですね。

原さんの作品の画面下方、ストライプのテーブルクロス部分をやや多めにとって、前景がゆったりとした構図。赤いホーローポットがしっかりと、また表情豊かなタッチで描かれています。モチーフそれぞれの質感をとらえて描き分けるのは油彩だけではなくて、どんな画材でも難しいことですが、洋梨の微妙な肌の色や小さなガラスの花瓶の透明感のあるブルーなどなど、一作目とは思えない描写です。

かわって鈴木さんの作品。やはり三角形の構図なのですが、ここでの主役は花瓶に生けられた大輪の花々。画面からはみ出さんばかりの勢いです。拝見している側に、あふれんばかりの生命力を感じさせてくれます。花弁のひとひらひとひらを丁寧に追いかけて描いていらっしゃいます。チェックのテーブルクロスもですが、その下のテーブルの存在をしっかりととらえていらっしゃるところ、素晴らしいです。

油彩絵の具の本来もっている特徴あるいは魅力として、重厚な絵はだがあげられますが、私はむしろゆっくりと熟成されていく色彩の輝きや艶のような、ちょっと化学反応的な部分にも惹かれます。市販の油彩用画材も、最近では本当にバリエーションに富み、溶き油から各種メディウム、筆洗油に至るまで、沢山の選択肢があります。「環境に優しい」をうたい文句にしているメーカーもありますね。そのどれもが、作者の目指す色彩や絵はだや(ある意味)ポリシーやコンセプトみたいなものを実現するための材料です。色々な画材を是非使って試してみてください。実験のようで、きっと描く事に、また新たな楽しみを感じていただけるかもしれません。

すでに次の作品の構想で頭が一杯だという原さんと鈴木さん、お二方のこの静物画には、すでにそれぞれの個性があります。油彩画はそういうところがすぐに出るので、本当に不思議です。まだご経験のないかたも、是非是非奥の深い油彩画に挑戦してみてください。

原さん、鈴木さん、次回作がとても待ち遠しいです!
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簡単に信用するな

2015-05-29 22:30:08 | スタッフ講師
 東京新聞
オバラです。先々週、新聞に私のインタビュー記事が小さく載りました。アトリエのHPから取材に結びついたようです。何人かの生徒さんから「見ましたよー!」と言われましたが、実家に画材を取りに行った時に会った両親に「新聞に載った」と告げると父は「なにー!?お前は何やってんだ!」、母は「えぇ、まさか!?やめてよ!」と、全く信用のない言葉をもらいました。年老いた親にいまだに心配を掛ける自分…。

話は変りますが先日、5年生男子の会話が面白かったのでご紹介。「先生何歳?」「よんじゅーご」「結婚してる?」「えーっと、その質問をする意味が非常に知りたいんだけど…」と言うと、隣の親友が「こいつ最近、独身女性への興味が半端ないんだよ!」「あ、それを言うなよー!」と取っ組み合いが始まりました。そばでニヤニヤしながら様子を見ていた6年生女子に「あいつ今10歳だから、9歳までは人妻に興味があったってことだよね?そして、独身であれば年齢は関係ないんだね!」と深読みを耳打ちし、二人で爆笑しました。
だいたい4年生までは、親や教師に言われたことを素直に受け入れます。5年生あたりから反抗期が始まり、言うことをあまり聞かなくなります。そうして、社会や友達の影響を受けながら、自分の意思をもって決断ができるようになっていくのが正常な成長の過程だと思います。親や教師の言うことが、自分と全く同じ考えだったとしても「げー!こんな汚い大人と同じ考えだったなんて、正論だとしてもムカつくから、もういっそ自分の考えを変える!」くらいへそ曲がりで上等です。反抗期がないと、親の言う事を聞かないのはかわいそうだと信じ、大人になっても何の疑いもなく親の管理下にいて、自分の判断基準がない人間になります。安心を保証されたことだけを選ぶようになり、自分の考えで行動する経験値が低い為、騙されやすい傾向があります。
反抗期がない素直な子は心配なので、私は物凄く酷い意地悪や、残酷な悪口や嘘をつくようにしています。「先生はいつも清く正しいなんてあり得ない。こんないい加減な大人の事を自分の考えも無しに信用したらどうなるか、目にもの見せてやるわ!騙されるのは想像力が足りないんだ!グハハハハ-!」です。生徒が強くなるなら悪にでもなります。失敗しても傷付いてもいいから、自分で確かめる経験を沢山させたい。いざという時、自分が頼りになるように。自分で責任を取れるように。
学生達へ
親や先生には心配掛けさせてナンボだ。反抗は遠慮なくしてくれ。その代り新聞に載るような犯行は控えめにして欲しい。でも、やっちゃった時の柄受けは任せなさい!(なんか話が逸れて来たのでこの辺で…)
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ぎょうれつ ぎょうれつ 街づくり

2015-05-28 23:40:33 | 親子

親子クラス

本日は、久しぶりのご紹介となる親子クラスの授業風景です。
ただでさえ2・3歳児にとって大きな紙である模造紙ですが、それを何枚も並べて繋げて、さらに大きな1枚の紙にできるかなという制作から始まりました。
紙と紙を並べる(繋げる)イメージ作りを小さい子にも分かり易いように、導入として読んだのが絵本『ぎょうれつ ぎょうれつ』。
この絵本は、主人公であるこどもが、こども部屋からお母さんがいるキッチンまでの距離を積木やおもちゃなど床にどんどん並べて道を作ってたどり着くというお話です。ストーリーの中に度々出てくる「ぎょうれつ ぎょうれつ」という単語が耳に残り、制作中もその言葉を言いながら繋げていくことができました。

教室内いっぱいに広がった白い大きな紙。
この日は、紙の上にのってもOK!
ローラー絵の具を持ってコロコロ転がしながら、紙の上をお散歩していくと、赤や青の線路と道があちこちで交差して、何だか賑やかな街になってきます。最初は、お友達が作った線路とぶつからないように進んでいたところ、どんどん楽しくなってしまい、街中線路だらけ。これでは家が建たないよね~ということで、小さな空き地や道の上に動物やキャラクターをお母さん達が描いてくれました。

街が出来たところで、今度は電車作りです。
電車制作で出来るようになってほしいことは、材料を自分で選ぶこと、色画用紙を糊で貼ること。
予めカットされた色画用紙から、好きな形や色を選んでどのように貼るか、お母さんの手を借りずに子ども自身がやってみる。
毎回制作過程の中で、この部分は一人でできるかな?というところ、ここはお母さんと一緒にやってほしいなと、意図してそんな場面も作っています。
親子で向き合って過ごす時間に、基本のところはしっかり身につけてほしいなと思います。

伊藤 絵里
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あめあめふれふれ

2015-05-27 22:36:22 | 幼児


5月も最後の週ということで、
本日の幼児クラスの授業はズバリ!「my傘作り」です!
おやこかたつむりの傘、をテーマに制作していきました。
ひたすらに「つるつるな素材×油性ペン」な今日の幼児クラス。

まず、無色透明のビニール傘に油性ペンでおやかたつむりを描き、さらに虹やお花など、各々が好きなものを描いていきます。
正直、ビニール傘にペンで絵を描くのは、紙にクレヨンで絵を描くよりもはるかに描きづらかったと思うのですが、そんな心配をよそに黙々と絵を描く子供たち。
一人一人のオリジナル性が出ていて、見ているこっちまで楽しくなってしまうようなカラフルなかたつむりの殻になりました!
むしろ自分も子供たちと一緒にmy傘にいろいろ描きたくなってきます。

そのあとは、プラバンにこどもかたつむりの絵を描いて、トースターで縮めて傘用のチャームをつくります。
さっき大きなかたつむりを描いたので、ちいさなかたつむりを描くのはもうみんな朝飯前!
中にはこどもかたつむりの上に、まごかたつむり、ひまごかたつむりまで描いている子も。
にぎやかになっていいですね!
トースターの中で小さくなる、と説明すると、やったことがある子もない子も興味津々でトースターの前に大集合!
「トースターさわったらどうなるの?」
「もうね、あちちってなって・・・とにかく大変なことになるよ!(必死)」
なんてやり取りをしながら(失敗したらどうしようと内心激しく緊張しながら)、私が割り箸でプラバンを取り出している様子を、みんな真剣に見守ってくれます。
出来上がったプラバンときらきらのビーズを、テグスで傘からぶらさげたら完成!
自分がすっぽり入ってテントになってしまうような、子供たちにとっては大きな傘でしたが、みんな時には丁寧に、時には大胆に、それぞれが世界に一つだけのmy傘を完成させました。
この傘があれば、これからの梅雨も雨の日が楽しみになっちゃうかも!?

磯辺 弥月
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展示会のお知らせ

2015-05-26 21:40:40 | 大人 パステル・色鉛筆・他
 Sugawara 『鎮魂』 彫刻

アトリエでは鉛筆デッサンで基礎固めをされているSugawaraさんは、ご自宅では彫刻を制作されています。今までは具象が多かったのですが、今回は抽象的な立体の造形美に挑戦されました。その作品が公募展で入選されました。
「抽象は分からないので困る。説明して欲しい。」とよく聞きます。人体や動物など、何かの形に似せて作っている具象彫刻については「良くできてる」「そっくりだ」と安心して鑑賞できますが、しかしそれだけで満足してしまう事も多いでしょう。本来鑑賞というものは表面的なうまさより、その作者の心の動き、取組みを読み取ることが大事なのです。
良い作品はまず表面上の形状から鑑賞者の視覚的な触覚を刺激し、自然と作者の心の中に引きずり込むような内面に訴えかけるオーラがあります。存在を意識しないわけにはいかない力を感じます。そして、鑑賞眼が豊かであればあるほど、作品の価値は大きくなるのです。
マルセル・ブリョンは『抽象芸術』の中で「芸術は新しい形体を発見するためには、模倣的であることをやめねばならない」と書いています。ぜひSugawaraさんの新しい自己開拓、リアリズムへの反発、抽象的な内面世界をご堪能下さい。   オバラ

第63回創型展 彫刻 立体・空間造形
会期:2015年6月2日(火)~9日(火)AM9:30~PM5:30 (入場PM5:00まで 最終日PM2:00まで)
会場:東京都美術館・ギャラリー(上野公園内)
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箸休めの割り箸

2015-05-25 21:47:14 | 小学生 工作

小学生クラス 割りばし鉄砲

どうも幸介です!本日ご紹介するのは、小学生クラスで行ったカリキュラムの「割りばし鉄砲作り」です!ここのところのカリキュラムは、難しい手順も多い日本画に、しっかり観察して描く油絵。ハードです。日本画も油絵もクオリティの高い作品に仕上げるため、講師陣もいつもより少し厳しめ。そんなハードな課題ばっかりだと疲れてしまう、ということで箸休めも兼ねての割りばし鉄砲作りです。

いつもだと先生が作り方を説明して、手順を追って生徒の皆と制作していきます。ですが、今回は完成した割りばし鉄砲をポンっと机の上に置き「これを参考に自由に作ってね。先生は特に何も言わないから!」というフリーダムな制作でした。

割りばしも輪ゴムも使い放題で、どんな形になってもOK!!これはさぞ小学生たちが喜ぶであろう!と思っていましたが、中には自由すぎて(放任されすぎて)ヤル気が出ない生徒もいた模様。一から全部オリジナルで考え黙々と作る生徒、ちょっとちょっかいを出して煽ったほうが進む生徒、一緒に組み立てようか!と隣にいることで手が動き出す生徒と、皆のモチベーションの上がり方も実に様々。「好きにやっていいよ=子どもが喜ぶ」という図式は成り立つと勝手に思っていたけれど、全く持って間違いということが分かりました。

そしてアトリエの壁に飾ってある油絵で大人クラスの皆さまもお気づきかとは思いますが、毎年恒例の小学生クラス油絵制作が始まっております。箸休めは終わって、これからは先生達もビシバシといきます。完成へ向けて、小学生クラスのみんなは気合を入れていきましょう!!

田中幸介
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日々の研鑽。

2015-05-23 14:52:14 | 大人 水彩
小木 『Spring』 透明水彩

もう夏の気配が漂っていますね。土曜日に現れる岩田です。
今回はチケットで来られている小木さんの描かれた作品。水曜日まで新宿で二人展を開かれていらっしゃいましたが、この作品も出品されていました。小木さんは透明水彩一身に制作を続けられています。
とても絵に対して熱心で向上心に溢れた方で、ご自宅でも空いた時間を使っては、何枚も同じモチーフを描いたりと日々研鑽を重ねています。

自分の気に入った風景などを絵にすることが多い小木さんですが、こちらは里山の茅葺屋根のある風景を描かれたものですね。季節的には桜の頃ですが背景にまだ雪が残る山々がそびえ、それが美しい対比となっています。
技法にも徹底して拘る小木さん。今回も空や山、木々などを描いていく上で様々な筆や道具を使って表現しているのが分かります。雪山の影色など絶妙な色使いで表現されていますね。雲の描き方も何度となく練習を重ねて来ただけあります。
透明水彩を始められた頃に中々上手く行かなくて悔しい思いをされていた木の表情なども、それぞれの木の違いも含めてリアルに描かれていると思います。

現在は小木さんの描くモチーフも徐々に変化してきていて、静物や子供をモチーフに描かれることも多くなってきました。風景とは又違って、人の顔を描く上では新たなハードルも多く、ご苦労されている感じもあるようですが、この短時間で凄い速度で上達しているのを見ると難なく突破できることでしょう。

次の展覧会楽しみにしています!
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「車窓にて」

2015-05-22 23:04:00 | 大人 油絵・アクリル
 野中 『車窓にて』 油彩

普段は水曜日にブログを担当しておりますが、今日は金曜日に現れました、磯辺弥月です。

今回は、水曜朝の大人クラスの野中さんの作品を紹介させていただきます。
作品の画像を見ていただいても分かるように、とても繊細なタッチで丁寧に仕上げられている作品なのですが、なんと野中さん、油絵の作品はこれが2枚目だそうです。(一枚目はこちら

「以前描いていた水彩の癖が抜けなくて、どうしても細かい筆で仕上げないと完成した気がしない」と仰っていたのですが、その細かいタッチが、人物のコントラストの強さと組み合わさって、絵全体で柔らかさと強さを兼ね備えた美しい光の表現を創り上げていますね。背景のグラデーションの色合い(私は個人的にここの部分の青の色合いがとても好きです)も、そのタッチを活かすのに一役買っていると思います。
そしてタンクトップの赤。ご本人も狙って描いたと仰っていたこの赤色、少し色の判断を間違うと、アクセントを通り越してそこだけが目立ってしまったりするのですが、この絵では非常に良いアクセントになっています。
それから何と言っても、「そろそろ完成しそうですね」と言っても、「まだまだ上手く表現できていないんです」と仰って、時間をかけてじっくり描かれていた、透け感のあるショール。こだわりのポイントで、透け感の出し方に苦労されたのですが、完成した絵ではしっかり透け感の出た涼しげなショールになっております!
実は私がミオスで働き始めた時、野中さんはすでにこの絵を描かれていたので、私は描き始めの頃を全く知らなかったのですが、完成した時は、とても嬉しいような、でも少しこの絵を描いているのを見られなくなるのは寂しいような、不思議な気持ちでした。

野中さんは現在、新しい人物の油絵を描かれているのですが、そちらはまた違ったテイストで、魅力的な雰囲気になっておりますので、是非完成をお楽しみに!
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距離感・重なりをイメージ

2015-05-21 22:23:24 | 幼児

幼児クラス

『動物園で好きな動物を見ているところを描きましょう』という、一般的な幼稚園生のお絵描きのテーマでありますが、このお題、、、かなり難題です。
動物の檻を現す線の描き方を誤ってしまうと、ナント!動物と自分が一緒に檻の中に住んでいる設定の絵になってしまいます!

そんな恐ろしい絵にならないようにと、動物と自分との間にある檻の位置関係を分かり易く解説するために、人形と動物(ぬいぐるみ)と網を用意して、実際に子ども達の前で動物園を再現して見せました。
頭の中で考えるだけでなく、時には今回のように小道具を使ったり、写真を見せたり、こども達がより分かり易い方法はないか毎回の授業で実践してます。

人物と動物の距離感や重なりを具体的にイメージするのは、年長児でもなかなか難しいですが、先生達の繰り返しの説明を何度も聞き、見事に描くことができました!
年少児にとっては、3つの物の重なりの話はさすがに難し過ぎるので、動物と檻の関係性だけ先に描いて、後から手前にいる自分の絵を貼ることで、重なりのある構図となっています。

今回は、少々ハードルを上げたテーマとなりましたが、どうです?!この完成度!

伊藤 絵里
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石から岩絵具作り

2015-05-20 22:47:34 | 小学生 絵画
オバラです。日本画レポート第2段。

下絵(念紙) 写し(カーボン紙) 骨描き(墨) 青岩絵具(下塗りⅡ)  時間設定90分

①今回は蓮・睡蓮の写真か葉牡丹の植木のどちらか好きな方を選び、コピー用紙に下描き(念紙作成)
②カーボン紙で写すが、小さく描き過ぎた子は拡大コピーをし、構図が悪い子はトリミングする
③墨で骨描き カーボン紙の写りが悪い場合(原因は泥に砂が交じっている)念紙を見ながら描き写す
④青岩絵具(るり色と群青)で絵の構図を考えながら背景下塗り(塗り過ぎると骨描きが見えなくなるので注意) 高学年は完成図を念頭に置き、青のリズムを考えさせる
⑤背景だけを塗るのではなく、モチーフの中も塗るようにする(但し、土の色が残るように荒く塗る)

顔彩・透明水彩で着彩(白はジェッソ) 最終段階で岩絵具を重ねる 例外‐土に直接着彩で終了  時間設定130分

①顔彩・透明水彩で着彩後、最終的に岩絵具(岩絵具はグラム売りで高価な為、無駄遣いを防ぐ)
②3月で卒業や退会する子は時間がないので青下塗りは無し(泥の上に直接着彩すると落ち着いた色合いが美しく、最終的に岩絵具も使わなかったが金箔は散らしたので、渋さと派手さが絶妙にマッチし、また違った作品に活かせそうな完成度があった)

岩絵具作り  時間設定30分

①今回使用した石は紫水晶/ラピスラズリ/ピンクストーン/金鉱石(扱い易いよう、予め5㎜ 程の大きさに割っておく)
②選んだ石を木の器(木片にドリルで穴を開け、ベニヤの底板を貼ったもの)の底に敷いた鉄板の上に置き、ボルトと金槌で粉砕する
③だんだん木の器の底と鉄板の間に石の欠片が入り込み砕けなくなるので、途中で石を皿にあけて再び鉄板の上へ置く(石が小さくなるまで何度か繰り返す)
④タイルの上で/乳鉢で/絵皿の中で/タイル同士でこすりあわせ、更に細かく粉砕し、粉状になったら岩絵具の完成

金箔貼り 自作岩絵具貼り 消しゴム判子で雅印制作(岩絵具が荒いので朱肉ではなくポスターカラー使用)   時間設定20分

①金箔を付けたい部分に膠を塗り、箸で金箔を付けていく
②自分で砕いた石を付けたい場所に膠を塗り、パラパラと撒く あまり細かく砕けなかった石は、花粉の部分に(ボンド使用)

上記行程4時間半(1時間半で1回の授業として3回) 下描きや着彩に時間を掛けたいタイプの子に予備日として2回(3時間)用意

感想
この日本画は『泥で水干絵具作り』『石で岩絵具作り』と、絵画制作と同量の作業があった為、絵が苦手だと劣等感を持っている児童にも受け入れられるカリキュラムである。また技術的指導より作業メインである故、専門が日本画科ではない講師でも容易に指導ができ、完成作品もバラエティに富む。泥の上に岩絵具の青を重ねる発色効果により、透けて見える泥が金色に見えると評判であった。今回は泥と青を活かす為にモチーフを『水面に浮かぶ蓮や睡蓮』『葉の色が豊かな葉牡丹』に絞ったことも成功要因である。
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泥の下地

2015-05-19 22:10:29 | 小学生 絵画
オバラです。小学生の日本画が先週まででほぼ全作品紹介されました(あと数人が続行中です)が、どのような制作方法だったかレポートします。私は専門が油画の為、今回は大学の日本画研究会に参加して得た知識です。普及に努めたいと思います。
まずは初回1日目の授業から…

事前準備(下塗り用『泥絵具』Ⅰ)

①土…公園の土なども実験してみたが、畑の土が滑らかで子供にも濾しやすい
②ふるいにかけておく(時間があれば子供にやらせても良い)
③コーヒーフィルターをコップの径に合わせ折り曲げる(子供にやらせると穴を開ける)
④キッチンペーパーで濾してみたが、グシャグシャになり失敗
⑤一人に付き プラカップ3つ・土・フィルター・割箸 を用意

上澄みを抽出(下塗り用『泥絵具』Ⅱ)  時間設定20分

①子供達への最初の説明は黒板に粒子の図を描き「大きい粒と小さい粒はどちらが早く沈むか?」聞き、「ストークスの法則を使った選別方法。粒子の沈降速度は粒径の2乗に反比例するので、上澄み的に流した粒子の小さい方を最終的に沈殿させてそれを泥絵の具とする。」と説明
その後、実際の作業を一通りやって見せる
②土の入った手前のカップに水をそそぐ(作業中は元々土が入っていたカップに割り箸を入れっぱなししすると、目印になる)
③良くかき混ぜ5秒数えてから左のカップの半分まで上澄みを注ぐ(事前に10秒~5秒で実験したが、子供は作業が遅いので、早めの時間設定でちょうどよいと感じた。もたもたしていると小さな粒子まで沈んでしまい、上澄みの中に粒子が少なくなってしまう。)
④⑤元々土の入っていた手前のカップに再び水を入れ、同じ作業をし、上澄みを左のカップ一杯に作る

水貼り(パネルにドーサ{にじみ止め}引き和紙を水貼り) 時間設定20分

①泥が沈澱するのを待つ間に水貼り(やり方の説明以外に、和紙はデリケートだと注意)
②和紙の裏に太筆でたっぷり水を塗る(紙を均一に伸ばす為、水は紙に対して×に塗ってから十字に塗る)
③耳が均一に残るよう、パネルを置く(上から覗き込むようにすると上手くできる)
④真ん中から紙を抑えて空気を抜く際、ゴシゴシやると紙が痛むので気を付ける
⑤耳にヤマト糊をつける

濾す(下塗り用『泥絵具』Ⅲ)  時間設定30分

①水貼りしている途中、講師が泥が沈澱して上澄みが澄んできたか様子を見て順次一人ずつタイミングよく呼び、透明になっている上澄みの部分のみバケツに捨てさせる(勢いよく傾けると、下に溜まった泥まで流れてしまうので、少しずつそっと流す)
②残った水と泥を、カップをグルグル回して均一混ぜる(これをやらないでフィルターに注ぐと、上澄みの水だけが先に入り、カップの底に泥がくっついて残ってしまう)
③回した勢いのまま、ザバッと一気にフィルターにあけ、水が濾されるまで待つ(待つ間、また水貼り作業に戻る)
④⑤鳥の手羽先を15羽煮て油分を取り除いたコラーゲンエキス(膠)を、直接フィルターの中に入れ糊にする(最初に鳥を食べさせたり、スープを飲ませると、食べ物で描く事に大興奮)

下塗り(『泥絵具』Ⅳ) 時間設定20分(内片付け5分)

子供によっては、泥が少なかったり(ストークスの選別で時間が掛かり、捨てる方の大きく荒い土の中に細かい土も沈んでしまった)、荒くて砂っぽかったり(ストークスの選別で慌てて、大きい土が沈みきる前に上澄みを取ってしまった)と差が出る為、予備を作っておくとよい(場合によっては、子供が帰ってから講師が塗り直す必要がある)
タイトスケジュールな為、筆を水入れで洗うのみで、机を拭くなどの掃除はせずに終了
ここまでで、1回(1時間半)の授業  続きは明日!
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白と黒の彩度

2015-05-18 20:45:39 | 大人 油絵・アクリル

上橋 「二人だけの思い出」 油彩 

どうも幸介です!本日は大人クラスより上橋さんの油彩をご紹介したいと思います。ご自身で用意した写真をモチーフに制作した作品です。まずは上橋さんのコメントからどうぞ↓


「2015年1月、米国マウイ島での様子です。学生時代、研究で住んでいた島の濃い青い空を、いつか描きたいと思っていました。適当な写真もあり、絵にしてみた次第です。」


南国の強い日差しと青々とした自然、それぞれ淡い絵の具をベースに着彩したとは思えないほど鮮やかに感じますね。屋根の色や床なども、わりと彩度を落とした色彩で描かれているのに、鮮やかに感じる。これは、絵の中心であるウェディングドレスとタキシードの「白と黒」のコントラストによる効果ですね!

白と黒には他の色を引き立てる効果があります。例えば、青や赤など色のついた車が汚れるよりも、白や黒の車が汚れた方が目立つと思いませんか?企業のロゴや看板なんかも、白や黒に赤などの文字、なんてのも多いと思いませんか?まぁ白と黒は無彩色ですので、そこに有彩色が隣接すれば目立つのは当然なのですが、この効果を使って上橋さんは背景の景色をドギツい原色など使わずに鮮やかに見せているんですね。ドレスのふんわりしたタッチも美しいです!

ここのところ油彩を続けて完成させた上橋さんですが、描写に加えて色彩調整にも磨きがかかってきています。この次はいっそ、すんごいカラフルなフルーツタルトでも描いてほしいなぁ、なんて思いました!

田中幸介
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紙と透明水彩、そして光と空気が生まれる不思議

2015-05-16 04:20:53 | 大人 水彩

鈴木 透明水彩

土曜・大人クラスの京谷です。長いインターバルから復帰いたしました。
みなさま、ゴールデンウィークでリフレッシュなさいましたか?

さてさて本日は、水曜午前クラスの鈴木さんの透明水彩作品をご紹介したいと思います。
私はなかなかお目にかかる機会がないのですが、その素晴らしい数々の水彩画作品のお噂はちらりほらり伺っておりました。改めて今回の作品2点を拝見してまず、「ああ、なんてやさしい光なんだろう」という感想を持ちました。
透明水彩の、画材としての扱いにくさについては、岩田先生もここ何回かのブログで触れられ、沢山のアドバイスをなさっていらっしゃいますが、そこがまたこの画材の魅力でもあります。パレット上のみでなく、紙の上で薄い絵の具の層を重ねての混色や、それぞれに溶く水の分量を変えた複数の色をにじませ、偶然性を楽しむ混色があったり。鈴木さんの素晴らしいところは、そんな透明水彩の「透明」という特徴を十分に生かしていらっしゃるところ。画用紙の白が美しい「光」として極自然に扱われているところにあるのではないでしょうか。二つの作品ともに、前景から背景までなんともナチュラルに空気が流れているのです。写真をもとに描くにしろ、現場スケッチするにしろ、まずは画用紙との対話から始まると思うのですが、どの程度白い画面を絵の具で覆っていくかは、なかなかに難題ですね。反射や輝いている場所に単に白い絵の具を塗るのではなくて、紙の「白」を生かす訳ですから、作業初期段階であれこれ予想しながら制作を進めることになります。ついつい考えすぎて、筆が止まってしまうこともよくあることでしょう。ただごくまれに、すでにこの感覚を身につけられていて、画面上にあっという間に「空気」が流れ始める、そんな方がいらっしゃいますが、鈴木さんもそのお一人だと思います。

左右どちらの作品も、沢山のモチーフが丁寧に描かれていますね。
左は青果店のスイカや台の下の空き箱、客である少し物悲しい感じの背中をした年配男性の、特に肘から下の腕・買い物カゴまでの描写が秀逸です。
そして右の作品でまず目に飛び込んでくるのは、南仏あたりで見かけるグリーンの陶器セット。艶やかな上薬の感じがとてもよく表現されています。桃と葡萄も質感が出ていてすごく美味しそうです!彩色に絶妙な強弱があり、筆のタッチも変化に富んでいるため単調なリズムにならず、笑顔の女性とともに楽しい雰囲気に繋がっています。

画用紙に、鈴木さんの眼差しと水彩絵の具がのっかって、美しい光と空気が生み出されています。
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日本画ラスト-木クラス

2015-05-15 00:07:19 | 小学生 絵画
ゴールデンウィーク明け木曜小学生クラス、一発目の更新です!

みなさん楽しい休暇を満喫されましたか?
私は旅行前に体調を崩したり旅行に行ってまた体調を崩したり、厄年らしさ満載の素晴らしいゴールデンウィークを過ごしました…。

さて、先日の磯辺先生の記事に続きまして、日本画でございます!

手順としては、泥の絵具(前記事参照)を全体に塗る→コピー用紙に下書きを描き(念紙)カーボン紙で写す→墨汁でなぞる(骨描き)→全体に青系の岩絵具を塗る→着色→金箔を貼り、完成です。
いつものように下描きをしてからすぐに色を塗っていくのとは違い、様々な工程を踏んでいかなくてはならないので、やきもきした生徒もいるはずですが…。
全ての工程に意味があるんだ、頑張れ小学生!

そして完成したのがこちら。


う~ん、とても良い出来ですね!
荒さはともかく、小学生が描いたとは思えない落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
日本画は構図が命!と最初からうるさく言っていましたが、自分なりにズームして写真を切り取って配置して、工夫して上手いことやっていました。
また、みんなを褒めたいのが配色です!葉っぱが緑だからといって、ものすごい黄緑色で塗ったりした生徒はおらず、きちんと写真を見て適した配色ができていたこと、個々の能力の高さが伺えました。
葉に主張を抑えた色を選んだことによってハッキリした色の花と彩度の差がつき、きちんと主役を引き立たせることができましたね!やるじゃんミオスキッズ!

この完成度の高さは生徒たちも自信になったはずだけど、それは今までの面倒臭い工程全ての賜物なんだということを感じていてくれたら嬉しいです!
また、手順を踏んで色を重ねていき深みを出す手法は、油絵に近いです。
東洋の日本画、西洋の油絵と、土地や画材は違えど同じアプローチをしているのが面白いですね!
ということで今週から油絵製作なので、日本画で学んだことを生かしてくれたら最高です!

今回の日本画は、みんなが胸を張ってお家に飾れる作品になったことと思います。
是非よく見える所に飾ってあげてください☆

菅原
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愛おしい

2015-05-14 23:04:08 | 幼児

幼児クラス

最近、幼児クラスのこども達から粘土制作の要望が非常に多く、毎回「きょうは ねんど やる?」と聞かれるほど。
自分の手や指の働きで簡単に次々と形が変化し、単純なものから細かな複雑なものまで、一人一人の力に応じて制作できる魅力は、こども達のやりたい作りたい気持ちを高める素材ですね。

市販されている粘土の種類も豊富です。一昔前の油粘土と言えば、臭いイメージでなかなか手についた匂いがとれませんでしたが、今は油の質が高くなり気になる臭いはほとんどしません。

今回の粘土は、軽量紙粘土とカラー小麦粉粘土を使いました。
この2つはとても柔らかいので成形しやすく、今回のような箱庭風の牧場に対してのミニチュアサイズのウシを作るのにはちょうど扱いやすい粘土です。
本来ならウシの体の模様は黒ですが、そこをあえてカラーの模様にして、オリジナリティを出してみましたが、どうでしょうか?

作っているこども達は、カラーの模様をつけた時点で、小動物を愛おしく可愛がる仕草になってしまいました。
ウシといえども、できた作品がちょうど手の平の上にのせられるハムスターサイズなので、両手で大事そうに抱える姿がありました。
みんな粘土が大好きなだけあって、作品は細部までよくできていますね!!

伊藤
コメント
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