黒木 透明水彩
とうとう夏休みが終わってしまいました、ナツメです。今回は大人クラスより黒木さんの作品をご紹介します!
まるでターナーの水彩画を見ているような美しい景色。写真集の見開きのページから画題を選ばれました。淡く優しい色遣いが印象的ですね。まるで空を割って現れたかのように輝く太陽にも、眩しいながらギラギラとした強さはなく落ち着いた雰囲気を感じます。
空の中心部には紫、青、黄色…など様々な色相から選んで乗せています。絵の具が重なった部分にまた新しい色彩が生まれ、透明水彩ならではの複雑な色合いがとても効果的に使われていますね。この幻想的なトーンがここまで綺麗に見えるのは、周囲に暗い箇所を作っているためです。左右上の空や水面の向こうに見える街などもしっかりと暗さをつけ描かれているため明るい空との対比が際立つように設計されています。同じく手前の海は暗く、遠くにいくほど段々と水面が明るくなっているため遠近感の表現だけでなくビネット効果のように中心へと視線を集めることにも一役買っています。光を強く演出するような明度計画が素晴らしい!
横長の構図もしまって、閑静な空気の中で穏やかに波が寄せていく音や雰囲気がありありと伝わってくるような臨場感あふれる作品となりました。
ワンポイントアドバイス 横長のパノラマのような画角によってまるでその場にいるかのような視点になっていますが、こういう広がりのある風景を描く時は大きめの紙を使い、余白まで筆を止めずにはみ出しながら描くことが、のびのびと感じさせるコツです。