大竹です!今回は水曜夜間クラスの長沼さんの油彩作品をご紹介させて頂きます。何度か水曜日クラスにはお邪魔したことがありますが、その数回でも長沼さんの作品に対する情熱は強く印象に残っております。この二枚の作品も、顔を見なくても作者の人柄や生命力を強く感じられますね。どちらも神が宿る聖地を描いているのもあるのでしょうか。
まず左の作品ですが、並木と石畳の対比がとても面白いですね。石畳にはよく見ると様々な色が使われていて神秘的な雰囲気を画面に作り出しています。紫や黄色、緑など本来なら石畳には無い色でもうまくまとまっていて、ここの部分だけ見ていてもしばらく楽しめるほど色使いが素晴らしいですね。それに対して並木の方は重量感たっぷりに絵の具が乗っていますね。強めの赤や青があえて残されているのもこの画面作りに一役買っています。手前の木の光が当たる部分には明るい黄色が使われている事により、並木全体が暗くなりすぎずバランスがとれています。並木と石畳ではそれぞれ全く違う色作りをされているのに、こうして一つの作品として噛み合っているのが何より魅力的ですね。
そして左の作品ですが、こちらも油絵の具らしさが存分に発揮されています。白い絵の具のかすれ具合によって、滝の勢いや水しぶきが上がっている描写が上手く表現されています。崖の荒々しい岩肌もこだわって何度も絵の具を重ねられたのが見てとれます。こちらも左下の方にある原色の赤や青があえて残されていますね。残しすぎず潰しすぎず良い残し具合となっています。また、空の色がクリーム色というのもバッチリですね!草木の青を補色の関係で引き立ててくれますし、薄めの色味で塗って仕上げてある事により、画面の中に"抜け"ができ重すぎない仕上がりとなっています。
話しが飛びますが、最近私は鉱物を集めるのにハマっています。この作品の青の色使いを見たときに藍銅鉱(らんどうこう)という石が思い浮かびました。長沼さんの作品は、鉱物を見た時に感じる魅力と似たものを感じます。
そんな長沼さんが現在熱中されている作家さんが絹谷 幸二というフレスコ画家だそうです。私も気になって調べて見ましたが、パワフルで圧倒される作品を一目見て(長沼さんが好きそう……!!!)と納得しました。しかし、長沼さんの補色の下塗りを大胆に残した筆跡も、まさにその神がかり的な力強さで負けていないと思います!なにしろ小学生の油絵の中に混ぜて飾っていても分からない若さとパワーがありますから…!(半世紀以上年上なのに!?)