モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

美術系高校受験生に今、伝えたい事

2024-11-23 20:06:30 | 美大・美術高校受験生作品

昼と夜の気温差に踊らされています、カサネです。昨日のサトル先生に続いて高校受験組のデッサンご紹介です。
今年はミオスに10人以上の受験生が在籍していますが、それぞれ目指す進路が本当に多様で、川総、弥栄、芸高、橘、女子美、トキワ...と初めて全員の志望校を聞いた時は驚きました。

私の代(4年前)はミオスの受験生全員が川崎総合科学デザイン科が第一志望だったので、それに比べると組むモチーフにも幅が生まれ、良い刺激になっていると思います。私もかつて同じ場所で同じ時間を過ごした身として、当時のことを思い出しつつ、効果的だった練習法を書いていこうと思います。

この時期になるとエスキース帳(下書きやアドバイスを書き留めるスケッチブック)にも厚みが出てきて、自分自身が冷静に判断でき、目が肥えた状態になってきていると思います。講評会で聞く自己評価でも先生の視点と重なってきて、客観的に見えるようになってきたなぁと感じます。しかしその分、自分のデッサンの粗さ・拙さも気付いてくるでしょう。講評会で何度も何度も同じことを言われると「なんで分かってるのにできないんだ...」と焦りますよね。

みんなに、90分制作に慣れてきた今だからこそ、やっておいて欲しいことが3つあります。すでにやったことがあっても、もう一度やるとまた違った学びがありますから。デッサンに「冷静に見直す時間」が必要なように、今の自分を冷静に見直してこれから何をするべきか課題を明確にしていくことが大切です。
デッサンは「慣れの集積」です。「基礎」ができているか今一度一緒に確認しましょう。基礎ができていないと、結局どんなモチーフを描いても上手くまとまりません。

①グラデーションスケール
4B〜4Hの全ての濃さを1つずつ、全種類使ってつくるものを1つ、の計11個つくってください。スケール1個1cm×20cmほどのもので構いません。
いまさら鉛筆の使い方!?と思うかもしれません。しかし鉛筆の扱いこそが上手い・下手の最初の別れ道であり、基礎の基礎であるからこそ、ここでの別れ道がつくる亀裂は大きくなります。一番暗いところは紙に穴が空くほど強く濃く、一番明るいところは見えるかさえ怪しいほど優しく薄く。みんなには一度4Bと4Hの全力塗りつぶしがどれほど違うのか体験してほしいです。これができるようになり、鉛筆を自在に扱えるようになると一気に表現の幅が広がり、かなりの時間短縮に繋がります。

②基礎形態
球や立方体などです。物体の基礎として、これもまたとても大事なんです。基礎形態が完璧に取れれば、どれほど複雑な物になろうと追えない形などありません。球、立方体、円柱、円錐の4つを別視点から3つ、横たわった円柱、円錐を1つずつの計14枚。見えないところも透過して描いてください。

③タイムスケジュール
今まで皆のタイムスケジュールを確認したことはありませんでしたが、ちゃんと作っているのでしょうか?頭の中だけではなく、表にしないとダメですよ。
タイムスケジュールの役割は大きく分けて2つあります。
 1.「立ち止まる」を無くす
 いつ何をするのか明確にしておくことで、デッサン中に「次何をしよう」などと考える余計な時間を短縮できます。
 2.自分の作業スピードを客観的に見ることができる
 時間に区切りを作ってあげることで「形取りに手間取って残り30分しかない」などの状況を防ぎます。
初めてつくるタイムスケジュールは「完璧な理想」のものを作ってください。そしてそれを横目に置きつつ数枚デッサンをします。見るべきところは、「どこでどれほどズレたか」そのズレを見て初めて、客観的に自分の得意・不得意分野が分かるんです。
以前美大の友人に「形取る時間とか、モチーフによって変わらない?」と言われたことがあります。もちろん変わります。でも、だからこそ大事なんです。どんなモチーフが得意で不得意かもよく知ることができるので「なんか上手く描けない」という漠然とした焦りを抱くことがなくなります。「急ぐ」必要はありますが「焦る」必要はありませんからね。
もしタイムスケジュールの作り方が分からなければ一緒につくるので声をかけてください。
①〜③ができたら誰でも先生に見せてください。

長々と書いてしまいましたが、とても伝えたいことだったんです。基礎練習はやればやるほど効果が出るので、サトル先生も言っていたように学校の隙間時間に適当でもいいのでやりまくると、「私頑張ってる」と気持ちも落ち着き吉です。
最近どんどん寒くなり受験の冬が近づいて、90分完成が当たり前になり「いよいよ」という感じがしてきますよね。私がそうだったのですが、この時期は「不安定」が天敵になります。気温や天気の不安定、それに伴う体調の不安定、そして本番に近付くにつれ大きくなる精神的な不安定...たくさんあります。
この「不安定」を支えて、踏ん張らせてくれるのが「基礎」です。よく寝て、よく食べ、よく学ぶという生活の基礎、手洗いうがいお風呂などの健康面の基礎、何が出ても対応できるようにするデッサンの基礎。これからより踏ん張るためにも、強かな地盤づくりが必要です。今の時期だからこそ、しっかりと定着させましょう。
分からないことや不安なこと、デッサンだけでなくても何かあったら何でも話してください。一生懸命描いて、未来に向かって努力する皆さんを応援しています。身体を温かくして、風邪に気を付けてくださいね。残りの約2ヶ月半、一緒に頑張りましょう。

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隙間時間を活かすデッサン勉強法

2024-11-22 20:24:38 | 美大・美術高校受験生作品

日曜クラス担当のサトルです!今回は高校受験対策のデッサンを見ながら、僕が受験時代に意識していたことや、デッサンのコツについて解説しようと思います。

今から8年前の中学3年生の頃、僕も川崎総合科学高校のデザイン科を受験しました。高校受験のデッサンは90分制限で、かなりのスピードで描かないと完成せず、毎日タイマーを掛けて急いで描いていたのを覚えています。

デッサンにおいて最も大切な要素の一つは形の正確性だと思います。どんなに質感がリアルに描写されていても、狂った形だと鑑賞者に対して違和感を持たせてしまいます。そこで僕が受験時代やっていたトレーニングの一つが、スケッチブックに何も見ないで、想定の立方体、球体、円柱の想定デッサンをひたすら描くことでした。スケッチブックと鉛筆があればどこでも出来たので、学校の休み時間や家で暇な時にやっていました。
最初の頃は立方体のパースもガタガタ、円の形も左右対称に描けず、円柱の楕円もラグビーボール型になってしまったりとダメダメでした。それでも毎日続けていると少しずつ上達して、受験の前日には完璧な形で想定デッサンが描ける様になりました。
形を取る力も付きますが、鉛筆を扱う能力も上がります。綺麗な形を取るのは思ったより難しく、完璧に形を取ろうとするとかなり繊細な作業が必要ですし、形をとった後に光を設定して明暗をつける作業も、出来るだけ綺麗に均一に塗る様にすると練習になります。

高校受験で使われることの多いシリウス紙やサンフラワーM画用紙はザラ目が強く、中々綺麗に塗るのが難しいです。モチーフの質感によってはザラ目を生かして表現する技法もありますが、小さい画面のデッサンの場合、モチーフに対してザラ目のサイズが大きすぎてノイズになる場合がほとんどです。多くの生徒が白がブチブチとザラ目状に残ったままの生っぽい質感のデッサンになってしまっているので、ベースを乗せたらしっかりと擦ってその上から硬い鉛筆でザラ目を潰す様に描写していくと上手くいくでしょう。

ほとんどの生徒が公立中学ですから、これが初めての受験。しかもデッサンという自分以外の同級生は誰もやらない試験なので、僕も当時はとても不安でした。試験当日、緊張からあまり色がのらず、普段より薄いデッサンになってしまいました。落ちるかもしれないと軽く絶望していたのですが、結果を見てみると意外と高得点でびっくりしました。自分では良くないと思っていても意外と平気です。落ち着いて、普段ミオスでやっている通りに描けば大丈夫!

これから受験シーズンに入ってくるので一層緊張感を持って描いていくことになりますが、体調に気をつけて頑張っていきましょう!

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藝大デザイン科合格!

2024-04-23 00:43:17 | 美大・美術高校受験生作品

「ん?晴さんって、聞いた事ある名前のような?」と思ったミオスフリークの皆様、そう、武蔵美の油絵科に合格しているハルです。ちゃんと第一志望の藝大デザイン科も現役合格しました!
余談ですが、外看板に『藝大デザイン科、現役合格!ハルおめでとう!』と貼って自慢していたら、通りすがりの方に「大学って普通現役で合格するものじゃないんですか?」と声を掛けられました。しないから!藝大は多浪が当たり前だから!そんな話をハルにしたら「でも今年のデザイン科は現役5人もいますよ!」とのことで、入学してから現役合格でイジメられる心配もなくなりホッとしました。

しかし彼女はいつもソツなくなんでも器用にこなし、必死さがまるでない人なんです。恵まれた才能で、苦労もしないで余裕で合格したように見えるクールビューティー。(ルックスも良い!)藝大にいるんですよね、こういう人。同じ年だったら嫉妬で絶対ハルと友達になってないわ!(笑)


晴 高3(現在大学1年生) デザイン画

藝大のデザイン科と私大のデザイン科の試験内容の違いは多々ありますが、まずはコレ↑。藝大は絵具をグラデーションにしていいこと。ファインに近いセンスですね。私大はグラデーション禁止なので、立体的に見せたい場合などは、混ぜないように隣同士の色を少しずつ変えていきます。


上段-ケント紙(左はプラス飴) / 下段-水粘土

物凄い違いはコレ↑ 紙立体 or 水粘土立体がある!
試験の問題例
与えられた「ケント紙」「トレーシングペーパー」「紙風船」を用い、各々の材料の特性を活かしながら「空気」をテーマに立体構成しなさい。
言葉(動詞)をテーマに、巻き段ボールと一辺が5㎝の立方体をモチーフにして、粘土で造形表現をしなさい。(隠れる・朽ちる・叫ぶ・笑うetc)

以下、藝大HPから抜粋
発想力・問題読解力・適応力・展開力を判定する機会として考えています。問題の要点を理解し、柔軟な発想で自分なりの答えを探し出し、それを独自の表現として定着させる──そうした高度の表現力・造形力を求めます。
あらゆるデザインの現場では、制約を柔軟な発想をもって積極的に受け入れる適応力が必要とされています。藝大デザイン科では、日頃から物事を綿密に観察して対象の中から本質的要素を引き出す描写力をもつと同時に、与えられた問題に対してこれまで訓練してきた表現を繰り返すだけでなく、その場で考えて自分の引き出しの中の経験や技術を組み合わせて適応していく能力をもつ人材を求めます。

紹介する順番が前後してしまいましたが、一次選抜は 石膏像デッサンか構成デッサン選択制の「鉛筆写生」です。まず第一関門を突破しなくては、デザイン画も立体もチャレンジできません。

以下、藝大HPから抜粋
石膏像デッサン」は石膏像を中心とした三次元のモチーフを観察し、自らの判断力で対象のもつ形態的特徴や精神性を抽出し、二次元に再構築する描写能力を判定します。
「構成デッサン」は与えられたモチーフや想定モチーフを自由に構成してデッサンを描く試験です。写実力に加えて、自分なりの意図をもって画面を構成する設計力(デザイン力)を求めます。着想の斬新さを重視する試験ではなく、設計意図を美的形式に落とし込む基礎描写力を見ていきます。

と、ベールに包まれた藝大デザイン科の話で長くなってしまいましたが、ハルも3月からミオスで講師をしてくれていますので、皆さんと会う機会もその内あるでしょう。お楽しみに!

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藝大日本画合格!

2024-04-16 00:11:22 | 美大・美術高校受験生作品


聡 透明水彩・鉛筆デッサン

「さて私、高木聡はアトリエ・ミオスを長期でお休みさせていただきます。高校3年生になり、受験に本腰を入れるためです。私が受ける大学は東京藝大一本!落ちたらもう一年!そんな茨の道でパワーアップしてミオスに舞い戻ってきます!それまで僕のことを憶えていてください(笑)。」(2019年4月18日)
このブログを覚えている方はいらっしゃいますでしょうか?

報告が大変遅くなりましたが、藝大の日本画科を4浪で合格しました!4浪とは言っても、1浪までは油画科で浪人していたので、実質3浪で合格を勝ち取ったことになります。お見事。

モチーフと真摯に向き合う姿勢まで伝わる絵です。長い期間予備校で制作していると、テクニックに走り鼻に付くようになってしまった事もあったでしょう。沢山の課題を克服して辿り着いた心境だろうと察します。

藝大の日本画科は神の領域と言われています。藝大は、合格さえすれば通わなくてもいい(実際フェードアウトする学生も多く、卒業していなくても藝大ブランドの価値は生涯色褪せる事はありません)と言われている中、日本画科だけは透明水彩で試験を受け、日本画の画材『岩絵具・膠』は入学後に初めて教わるので、4年間しっかり制作しないといけない大変な学部です。「こんなに上手いのに、まだまだ教わることがあるなんて!」と思いますよね?
私は油絵科ですが、高校生の内にすでに技術は身に付いているので、教わるのではなく極めるだけ。(教授は課題を出すだけ。)

自分に厳しく、心が折れそうになりながらも踏ん張り耐えた精神力、尊敬します。本当におめでとう。
これからは時々スタッフとして来てくれますので、皆様楽しみにしていてください!過去の聡先生はこちら→I'll be back

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少しの勇気と沢山の努力

2024-03-14 23:30:08 | 美大・美術高校受験生作品

マユカです。先日、美大受験のために学生クラスから美術予備校へ移っていたひとみが合格報告の挨拶に来てくれました!武蔵美と多摩美、受けた学部学科は全て合格したそうです!

ひとみは最初に決めた予備校を、自分の制作スタイルとは合わないと途中で変えました。きっととても悩んだ上での判断だと思います。ただでさえ不安な受験期の限られた時間の中では、合わないと思っていても現状維持の選択をする人の方が多いことでしょう。しかし環境を変えて良い結果を出そうと踏ん張りました。良い作品作りは自分に合う環境作りから...ストレスを感じながらでは良いアイデアも出てきませんからね!勇気ある決断ができるのは素晴らしいです。

美術大学の試験では、学科試験の他にデッサンと色彩構成、もしくはどちらかを用いた試験があり、出される課題は大学や学部によって様々ですが、そのどれもが3時間~5時間の中で描かなければなりません。周囲にはライバルたちが座っており、距離も近いため非常に気が散ります。
私は特に問題への答え方に自信が無いタイプだったため、周囲がかなり気になっていましたが、そんな時はミオスでよく言われていた「受験は自分とだけの闘い、周囲の人は戦友」と言われていたことを思い出しながら、がむしゃらにデッサンやデザインに打ち込んだ記憶があります。

ひとみは武蔵美と多摩美で少し似た学科を受けていたため、どちらへ進学するかで悩んでいました。これは多くの人が悩むところでしょう。実際に授業を受けてみないと分からない部分が多いため、どちらかの大学・学部しか選べない受験生にとっては結構不親切かもしれません。それに際してヒトミには、今後やりたいことや、卒業後はどんな進路に進んでいる人が多いかを踏まえて決めると良いと話をしましたが、人によっては点数が良かった方(自分の評価を高くしてくれた方)に入る人もいたり、家からの近さで決める人もいるようです。私は受験のスタイルが違う2校を受ける気になれず「多摩美の方が5時間も試験時間があるから!」という理由で、そもそも武蔵美を受けませんでした。入学時の友人達との話から十人十色な進学理由があることを知り、そこにも個性豊かな美術大学らしさを感じたものです。

下記にひとみが受けた学科の合格再現作品を掲載しております。これだけの描写力や発想力は、彼女の努力の結晶が可視化されているようです。何枚も何枚も描き続けてきた証でしょう。受験に打ち込んだ期間にできなかった分、大学生活でめいっぱい好きなことをして楽しんでくださいね!合格、本当におめでとうございます!

武蔵美 工芸工業デザイン学科

作品左:「重なる」または「重ねる」をテーマとして、指定された枠内に、立体的に色彩表現しなさい。
この問いに、私は『虫眼鏡』を描きました。

作品右:台上にセットされたモチーフをデッサンしなさい。

多摩美 プロダクトデザイン専攻

作品左:「透ける(すける)」を主たるイメージモチーフとして、美しい色彩構成をしなさい。
私は『メッセージボトル』を描きました。

作品右:手と透明の器を想定してデッサンしなさい。
コップに花を生ける手を描きました。

多摩美 統合デザイン学科

作品左:「100」をテーマに構成表現しなさい。どのように「100」を解釈したのかが分かるように、タイトルを別紙に表しなさい。
私は『お湯に浸かる情景』を描きました。 タイトル『99!100!よし上がる!』

作品右:失敗している手を描きなさい。作品タイトルを別紙に表しなさい。
ホッチキスを外す手を描きました。 タイトル『止める場所間違えた!』

多摩美 工芸学科

5種のモチーフが台の上に置かれた状態を想定して、鉛筆で描写しなさい。
ハンギングプランター、ストライプ布、大根、鍬、ステンレストレーをそれぞれ一つ描くこと。

5種のモチーフがバラバラに卓上に並べてあり、そこから配置は自分の想像で描写しました。

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相模原弥栄・川崎総合、美術高校合格!

2024-03-07 22:03:32 | 美大・美術高校受験生作品

マユカです!今回は高校受験生達のご報告をさせて頂きたいと思います。

まずは合格、おめでとうございます!一年間、受験勉強やデッサンお疲れ様でした!!二人の努力が実り、本当に嬉しい限りです。特に弥栄高校などは倍率が2倍以上あり、難関突破です!すごい!

受験間際は私も彼女たちの隣に座り、同じ時間で一緒にデッサンをして『時間配分・塗りの強さ濃さ・緩急つけたペース』などを、体で覚えてもらいました。(中央が私のデッサンです。)

どうしても1時間半という短い時間の中では、描くことができるモチーフや細密さに限界があります。二人は特にどのモチーフも完璧に!という意識があり、それは大切な事ではあるのですが、時間制限を加味すると、一つのモチーフだけに集中することで他が未完成となってしまうことが多くなってしまいます。そのため満遍なく全体的に手を付けることや、満遍なく描いたあとは全体が同じ色っぽくなってしまいがちなため、一部分、それもメインに置きたいモチーフの手前だけ特にしっかりと描き込むこと等、素早いけれど上手く見える技法を使い、短い時間の中で完成させる必要があるんですね。


左 みづき(相模原弥栄高校・美術科) / 右 ほまれ(川崎総合科学高校・デザイン)

好きなものも我慢して、目標に向かってひたすら努力するしかないこの1年間、受験の為だけに絵を頑張って、時には嫌になることもあったでしょう。改めて合格おめでとうございます!高校の3年間を是非、素敵なものにしてくださいね!

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武蔵美・多摩美デザイン科合格!

2024-03-06 23:54:05 | 美大・美術高校受験生作品

ナツメです。先日、美大受験のために学生クラスから予備校へ移っていた風音が合格報告に来てくれました。武蔵美と多摩美、受けた学部学科は全て合格したそうです。素晴らしい!

下に沢山の再現作品(実際に受験で出した作品を後日描いたもの)と出題、制作意図などを送ってもらったものを載せています。僅か3-5時間でここまで考え、描かなければなりません。

再現作品を見ていただくと分かる通りデザイン科の実技試験には「鉛筆デッサン」「アクリルガッシュでのデザイン」の二つの課題が出されます。受験直前にたくさんの作品を持ってミオスにアドバイスをもらいに来たのですが、風音はデザインの方で伸び悩んでいるようでした。

直前になればなるほど出来ていないことに焦ってしまうため、アイディアよりもまずは配色を綺麗にすることに集中しようとアドバイスをしました。見た目が良くない広告は中身なんて見てもらえませんからね。そして自分の色を見つけるために、「広告などの配色は参考になるけど課題にそっくりそのまま引用できるわけではないから、どんな色合いが綺麗とされているかを学ぶ材料にしよう」と伝えたところ、一筋の光明を見たそうで、その後の作品はグンと良くなったそうです。私も受験生の頃同じように行き詰まったので、自分の経験が彼女の役に立てたことに嬉しくなりました!私も予備校で散々アドバイスはもらっていましたが、やっぱり最後はミオスで安心感と自信を持たせてもらいたく、直前にふらりと立ち寄ったことを昨日のように思い出します。

自分の功績(!?)を鼻高々と書き連ねましたが、最後の最後まで努力を怠らず、風音が今まで一生懸命積み上げてきたものがあったからこそ掴み取った合格だと思います。たくさん休んで、遊んで、大学生活も楽しんで下さい!!おめでとう!!!

多摩美グラフィックデザイン

デザイン 『食べ物をモチーフに、EATの文字を配して表現しなさい』
◯直前、予備校でdelivery(右)をやっていたので、それを少し変えてそのまま描いた。
◯deliveryの時より色の役割が分かりやすくなるよう意識した。

多摩美グラフィックデザイン

右 デッサン 『両手をモチーフとして、音をデッサンしなさい』
◯最近の「▲▲と両手」とは違った出題形式だった。両手から出る音=ノック、ドアというのが分かるようにドアノブをモチーフに選んだが、これだとドアノブを回してる音なのかノックの音なのか、どっちが主人公か分かりにくいので失敗だった。
◯遠目の印象が良くなるように腕を交差させた。画面が重くならないように注意した。

武蔵美視覚伝達デザイン

左 デザイン 『あなたと周りにいる人の関係をイメージしなさい。20字以内の説明を加える事』
◯タイトル:一筋縄では終われないおばあちゃんとの会話
◯紙粘土の独特なちぎれ方・くっつき方に着目し、なかなかちぎれない紙粘土と、おばあちゃんの話を重ねて描いた。
ただそれだけだと凡だと思ったので追い攻撃も加えた。
黄色いほうが元気なおばあちゃん、紫がちょっと嫌がってる私。シンプルな構想なので、どっちがどっちを表してるかちゃんと伝わるように色と配置に気を付けた。
◯パワーが加わってる、というのを表したくてちぎれ目にオレンジを配したが、2色だけの方が対比がわかりやすかったので少し失敗。

多摩美情報デザイン

デッサン 『配布した紙皿と、自分の手を観察して描きなさい』
◯条件3に「紙皿を切るなどの加工をしてはいけません」とあったので一切手を加えなかった。◯紙皿の薄さ、縁の凸凹、手に奥行き、が出るように人差し指を前に持ってきて、紙皿は斜めに持った。

デザイン 『階段をテーマに、任意の幾何学形態を用いて表現しなさい』
◯多摩グラのデザインと違って「モチーフの解釈、表現方法は自由」という記載がなかったので一般的な階段で描いた。
◯すごく限定的なテーマなうえ、たぶん私同様多くの人は外れるのを恐れて一般的な階段を描くので、階段のどこを描くかが重要だと思った。限定的な瞬間の階段に焦点を当てて、「雪が積もった日、階段の滑り止めに安心する」というのを表現した。

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武蔵美の油、合格しました

2024-03-04 13:17:38 | 美大・美術高校受験生作品

オバラです。1年以上前の高2の秋に大手美術予備校に追い出した、藝大デザイン科志望の晴が「デザインは楽しいし好きだけど、どうしても油絵科が気になる。受験しなかったら絶対後悔する。でも予備校でそんなこと言ったら『ただでさえ浪人しないと受からない藝大を受験するのに、他の学部を受けるなんて許さん!』と言われるのがオチ。ちょっとだけ予備校休むので、油絵を教えてください!」と冬休み前に突然やってきました。ミオスに通っていた時に2枚だけ描いた小さな油絵制作の高揚感が、心にずっとくすぶり忘れられなかったとのこと。(以前描いた作品はこちら


晴 高3 油彩(左は下塗り)

予備校で描いたデザイン・デッサンを見せてもらいましたが、豊かな創造性を感じ、独自の表現力を磨いてきたのが良く分かる作品でした。これなら受験直前とは言え、新しいメディアや技術への挑戦が、デザインの理解を深めることにも繋がると快諾しました。

しかしほぼ初めてに近い画材で、いきなりF15号(652mm×530mm)の大きなキャンバスに6時間で完成させられるのは、畑違いのジャンルとは言えやはり予備校で厳しく訓練してきたからでしょう。デザインで培ったセンスと勘で、木炭デッサン1枚と油絵2枚を制作しただけで、倍率7倍の武蔵野美術大学油絵科合格を見事勝ち取りました!(滑り止めの、空間演出デザイン科-倍率5倍も合格でした。)


右は木炭

今は藝大の1次試験(デッサン)真っ最中。「どっちも受かっちゃったらどうすんの?」と聞くと「えー!?受かってから悩みます。」そんな贅沢な悩みができるよう祈っています。それと、何十枚も油絵と木炭デッサンだけ描いてきて不合格だった人に、妬まれないように祈ってるわ!(笑)

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女子美付属高校合格

2024-02-12 14:48:58 | 美大・美術高校受験生作品


みつき 中3 左-透明水彩 / 右‐鉛筆デッサン

合格速報です。みつきが女子美術大学付属高等学校に合格しました!おめでとうございます!
着彩もデッサンも「出されたモチーフ全てを、食わず嫌いせずに余すところなく描き切ってやろう!」と取り組む姿勢まで伝わる絵が描けるようになりました。妥協したり、手を抜いた部分は一切ありません。中学生でここまで真摯に絵を描けるとは素晴らしいです。落ちる要素はありませんでした。

精神的にも不安定なところがなく順調に上達、1mmも心配がありませんでしたので、これからのことを書いていきたいと思います。
・並べられたモチーフの中で、主役、脇役の序列を決め、主役は重量感までしっかり伝わるように描く
・主役から離れるに従って上手く手を抜く
・画面の中で硬柔、重軽、遠近、静動、明暗のメリハリをつける

モチーフを愛し、自分がモチーフから感じた想いを一枚の紙に再現するテクニックはすでに習得しています。ただその意気込みが強すぎると肩に力が入って視野が狭くなり、全てを同じように再現しようとしてしまうので、脇役や背景は『良い意味で手を抜く=遊び心を持つ』これができるようになると、魅力が増してくるでしょう。
何はともあれ、合格おめでとう!高校には猛者がたくさんいます。刺激を受けながら更に磨きを掛けてください。 オバラ

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ここから、これから

2023-04-26 23:53:59 | 美大・美術高校受験生作品


彩里 高3 木炭デッサン

花粉症でティッシュが恋人です、ナツメです。今日は学生のアヤリの牛骨デッサンをご紹介します!初めての木炭デッサンです。木炭デッサンとはその名の通り柳の枝を焼いて作った木炭で描き、食パンのやわらかい部分で消し、ガーゼでこするといった鉛筆デッサンとは使う道具も描き方も違うものです。濃淡の幅が広い明暗のグラデーションを自然に作る事が出来る反面、その場所、質感、明度に合わせ効果的に手を動かさなくてはいけないのが特徴です。

今回はじめての牛骨デッサンでしたが形はよく取れており、細部まで観察ができています。しかし骨に入ったヒビなどの細かい部分を追っているうちに上面の光が弱くなり、細部は若干目立ちすぎています。見つけるのも描くのも楽しくて、つい描きすぎてしまう気持ちはよくわかる!ですが、「デッサンはモノではなく空間を描く作業」と言われるほど空間への意識が重要です。大きな明暗はその意識への第一歩。次回は強く当たる光を意識してみて欲しいです。

左端ギリギリになってしまった構図のミスに対し、空いてしまった右側に背景を置き自力で対応したのは良かったですね。受験においても、どれだけ練習を重ねて万全に対策をしたとしても、やらかしちゃった!と普段からは考えられないようなミスをすることもあります。そんな時に焦りを受け入れ臨機応変に対応する力があるかないかでは変わってきます。そうは言っても構図が命!実はこのデッサン、右上からの光だったところを左に詰めて描いたため最後に光の向きを左上からに変えました。次回は滑り出しから意識できたら良いですね。今はまだやりたいことに技術が追いついておらずもどかしい部分も多いと思いますが、意欲的で吸収速度が早いので今後の成長に期待が高まります。

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美術高校受験

2023-04-08 18:15:36 | 美大・美術高校受験生作品


中3 美術系高校受験前の冬期講習で描いた作品より

オバラです。2ヶ月間、土曜ブログ担当の岩田先生がお休みですので、作品写真のみ、もしくは、文章少な目なブログをアップしていこうかと思います。
この4月に高校生になった子達が、冬休み中の特別講習で描いたデッサンです。受験用ですので90分で描かせています。受験前は「まだまだ全然ダメだ!同じこと二度言わせんな!一度で覚えろ!」なんて怒ってばかりいましたが、こうして改めて見ると、ちゃんとグレイの色幅が出ていますね。うん、中学生にしてはなかなか良いんじゃない?ヨシヨシ。合格させてやったんだから暴言は許せ!と、口が悪いだけでなく恩着せがましいのに、この子達は高校生になっても通ってくれています。


受験直前の2月には、ここまで描けるようになりました!

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石膏デッサン

2023-03-25 18:28:13 | 美大・美術高校受験生作品


岩田先生の予備校時代の鉛筆デッサン

岩田先生が6月までお休みなので、土曜日ですがオバラです。アトリエの壁に貼ってある『サモトラケのニケ』の石膏デッサン。大理石の本物はルーブル美術館にドカーンと飾ってあるので、フランスで見た方も多いのでは?
画用紙の大きさは110㎝。イメージが付きやすい様にカサブランカと一緒に撮影してみました。彫像は244㎝との事ですので、おおよそ半分の大きさに縮小して描いています。
現在、大人クラスでは石膏デッサンが静かなブームで、どのクラスでも数人の方がチャレンジされていらっしゃいます。石膏像の平均的サイズ(高さ)は80㎝前後で、石膏デッサン用の画用紙は65㎝×50㎝。かなりの大きさですので、描く前から躊躇してしまいそうなのに、果敢にチャレンジされる生徒さんに敬意を表します。
最近は藝大以外の美大では石膏デッサンが出題されなくなり、美大出身でもほとんど描いたことがない人も多い中、素人の生徒さんが取り組んでくださるとは嬉しい限り!
まだ描いたことがない方も、ぜひ勇気を出してチャレンジして欲しい!
のですが、先週20㎏近くあるブルータスを140㎝の石膏台に乗せようと持ち上げて、ぎっくり腰になってしまいました。しばらく怖くて持てません。弱気ですみません。

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藝大への道

2023-03-20 23:54:18 | 美大・美術高校受験生作品

小原です。土曜日の岩田先生のブログでも書いてありましたが、住吉桜はすでに咲き始め、アトリエの窓からはお花見が楽しめる風景がご覧頂けます。
しかし、ミオスでの桜と言えば受験!今年、藝大の日本画科を受験していた二人からは、不合格の知らせをもらいました。

「お久しぶりですサトルです。
藝大日本画、今年も二次で落ちました。
実力はついてきていたのですが、あと一歩及びませんでした、、、。
4浪します!!!
来年は圧倒的なレベルの絵を描いて受かって来ます!!!!!!」
「お久しぶりです。マヤです。
チョコのお礼が遅くなってすみません。美味しかったです。ありがとうございました!
今年も落ちたので二浪します(笑)
色々な物事と良い距離感を保ちつつ、頑張っていきます。」

長い時間ものすごく努力したのだから、その価値を保証する結果が欲しかったでしょう。
がむしゃらに手繰り寄せた糸が、求める未来に繋がっているという希望が欲しかったでしょう。
35年前の私は藝大受験の失敗に打ちのめされ、自分の無能さに反吐が出るほど嫌気が指しました。「視野が広がったからそう感じる」なんてきれい事、耳に入らなかった。自分を信じられず、未来を予見できなかった。
二人を敬服します。

5浪して藝大に入った岩田先生から
「おー!落ちましたか!
4浪すれば、流石に受かるでしょう。
頑張って欲しいですね。」
「2浪すると、入ってからだいぶ楽ですね!
浪人生活、楽しんで欲しいです!(笑)」
ミオスには、頼もしい先生がいて良かった。

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桜が咲くとは限らない

2023-03-13 23:22:46 | 美大・美術高校受験生作品

オバラです。今年の受験も、明後日の藝大二次試験の発表を持って終了です。大人クラスに交じって絵を描いていた受験生もいたので、きっと心の中で応援してくださっていた社会人の生徒さんもいらっしゃいますよね?「自分の描くデッサンより数倍上手くて速いのに、けちょんけちょんに怒られてる!」と恐れおののきながら矛盾を感じたこともあったでしょう。申し訳ございませんでした。

しかし「今までご声援をありがとうございました!無事、みんな合格頂きました!」と、言えないところが人生。上の4時間で制作した水彩画を描いた中学生は、残念な結果に終わりました。今年の倍率は高校受験にあるまじき5倍だったとの事、非常に高い競争率でした。

限界まで頑張ったのに、私達の力不足で本当に申し訳ないです。しかし今の彼女が持てる力を最大限出せたと思います。それでダメだったのですから、辛くて悲しいけど受け入れるしかありません。
しばらくメソメソして、嫌いな事、苦手な人は避けて、好きなものに囲まれる時間を多く持ちながら、ゆっくり気持ちを整えて欲しいです。美術が大好きで、描きたくてたまらない気持ちは、きっと変わらないと思います。美大受験にシフトして、そこでまたトライしましょう。ずっと応援しています。

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白山高校美術科 合格再現作品

2023-03-09 23:30:01 | 美大・美術高校受験生作品


こころ 鉛筆デッサン 左が合格再現作品

マユカです!今回は白山高校の美術科に合格したこころのデッサンをご紹介します

アトリエでは受験する高校がどこかに関わらず、基本的に形をとるのが難しかったり、描きこみが複雑なモチーフを組んでデッサンしてもらっています。もちろん受験の時期が近づいてくれば、高校ごとに特化したモチーフでのデッサンをしますが、実際の試験で「こんなの描けない!」とパニックにならないように、どんな課題を出されても、試験時間内で描き切ることが出来るようにと、受験期中盤辺りまではあえて難しいモチーフに取り組んでもらっています。
こころは初めからしっかりと強い黒を入れて、積極的に描くことが出来ていたため、そんな難しいモチーフにも「時間足りないです!」とは言いつつも全体的に完成させていたのですが、その代わり描きこみがかなり大雑把になってしまいがちでした。冬休みを経て、その描きこみにもかなり繊細さがプラスされ、ただガシガシと描くだけでなく、細部までよく観察し、繊細なタッチもできるようになっていましたね。受験前に描いた針金のうねりや影の乗せ方、ゴム手袋の表現でも「すごく繊細に描けるようになったなぁ」と感動していたのですが、参考作品での紙コップの描き方なんて、最初見たときこころだと分からなかったくらい!奥にあるものだからと控えめに描かれていても、描きこみは忘れていませんでした。何枚も描いていく中で目が肥えてしっかりと観察ができるようになり、時間にも余裕が出来たのだと思います。手前はしっかり描きこんで、ぐっと強い黒を入れることで目立たせ、遠近感を強調しよう!というデッサンのポイントもしっかり押さえられていますね。

勉強も絵も頑張らなくてはいけない美術系の学科は、やることが多くて大変だったと思います。改めて受験お疲れ様でした。合格、おめでとうございます!

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