児島 岩絵具/和紙・パネル
大竹です。今回ご紹介させていただくのは、児島さんの日本画作品です。
画面いっぱいに並んだ、愛らしい張り子のような人形たち。それぞれ色や表情、形(体型?)までが異なり、見比べているだけで物語が浮かんでくるようです。喜怒哀楽…ならぬ「喜・驚・楽・悩」とでも言いましょうか、個性豊かな表情が見る人をクスリと笑わせます。4体それぞれに春夏秋冬の花々が描かれており、夏の人形は首元が浴衣のような襟元になっていたり、冬の人形はマフラーを巻いた姿になっていたり(この子の表情、寒さに参っていそうで可愛らしいですね)と、細部にも作者の遊び心が光ります。
日本画は平面的な表現と相性が良く、このようなイラスト的な作風ともマッチしています。背景にはあえて筆跡を残し、和紙の上に塗り重ねた絵の具の質感が、柔らかくも豊かな奥行きを生み出しています。このざらっとした温かみは、日本画ならではの魅力のひとつですね。今作は茶色で塗られ、和の雰囲気に仕上げられていますが、児島さんの作風でしたらパステルカラーのような柔らかい色でも、ポップに映えて合いそうです。
古来より日本人は、ゆるくて愛嬌のあるキャラクターを生み出すことが得意な民族かもしれません。古墳時代の埴輪や、江戸時代の浮世絵に描かれた擬人化された動物たち、そして現代のご当地ゆるキャラまで——その系譜は脈々と続いています。見ているだけで心がほどけ、ふっと笑みがこぼれる…そんな日本的なかわいらしさと遊び心が、この作品に詰まっているように思います。