モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

水辺に佇むカワセミ

2022-07-07 20:33:13 | 大人 日本画


穴田   岩絵具・胡粉・顔彩・透明水彩/パネルに和紙

ここ最近、アイスを食べる手が止まらないマユカです。今回は穴田さんの日本画をご紹介致します。

カワセミの鮮やかな色合いがとても素敵なこちらの一枚。背景の色数を抑え、淡い色合いにすることでその鮮やかさを一層引き立て、視線が自然とカワセミに向くようになっています。空飛ぶ宝石とも呼ばれるカワセミ特有の羽毛の質感を、ブルーとヒスイ色のグラデーションで表現しており、光が当たってきらきらと光っているようです。枝の先に立って水面をじっと見つめているその姿は、餌になる魚を探しているのでしょうか。小さくてかわいい見た目をしていても、餌を捕らえる時は立派なハンター、こころなしか表情もキリっとして見えてきませんか?

今回、なるべく少ない手数で仕上げられるよう、ベースの下塗りは、和紙の質感を活かした薄塗で、オーカー系(黄土色)の色を全体に塗りました。水干をベースに、胡粉・顔彩・透明水彩を重ねるだけでも、こんなに『日本画』になってしまいます。日本画だからと言って、ガッツリと粗い岩絵具を使わなくても良いのです。敷居が高いと思われがちな日本画にチャレンジする人が増えそうな作品ですね。皆さんも日本画が描きたくなってきたのではないでしょうか。

背景の色彩と構成は、主役を見せるための大切な脇役です。穴田さんが描かれたような美しく整理された背景は、主役をわかりやすくするだけでなく、魅力も引き出してくれます。皆さんも背景の整理整頓に挑戦してみてください!

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きらめき、輝き

2022-07-06 23:11:37 | 大人 日本画


坂本  岩絵具・顔彩・パール/パネルに和紙

毎晩エアコンの稼働具合(?)に悩んでいます、ナツメです。今日は月曜大人クラスの坂本さんの日本画をご紹介します!

ふわっと広がる花びらが幻想的な作品。石の濡れた部分が濃い色になるように、岩絵具は画材の中でも特に乾く前と乾いた後の色の差が激しく扱いが難しく、葉の色のイメージが少し違ったから直します、などと坂本さんもその都度何度も根気強く修正を繰り返し描かれました。その甲斐あって、疎密の関係や花と背景のコントラストなど、構図から色の関係までを隅々までよく考えられて描かれた作品なのが伝わってきます!表現の面では、一枚一枚の花びらの薄さや、特有の柔らかい形が繊細に描かれています。周囲の葉の描写を最低限に留め、花の方で情報量に差をつけているため、白〜ピンクの柔らかい色の変化や質感の書き込みが引き立っています。

パールを花びらの部分に全面的に使っているので、写真の様に真正面から見ると白く見えるのですが少し角度を変えると光が反射して綺麗に輝くようになっています!マットで落ち着きのある岩絵具のテクスチャの中にパールがきらめいている様子が、描画した部分だけでなく質感の面でもさりげなく華やかさを出しています。また、実は葉脈も金色なのですが、パールの光沢と質感が合っているため花が開くような中央から外へと伸びていく流れが作られていて、空気の広がりまで感じさせます。坂本さんご本人は「白だと思って使ってみたら光沢の出る絵の具で意外でした」と仰っていたのですが、画角によって変わる表情を楽しめる醍醐味がありますね!ぜひ通路の壁など、目線が変わるような場所へ飾って下さいね!

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二つの武器の使い方

2022-06-22 23:51:44 | 大人 日本画


馬込  岩絵具・顔彩/パネルに和紙

行きたい展覧会や観たい映画が沢山あるのに肝心の時間がないです、ナツメです。今日は月曜大人クラスの馬込さんの作品をご紹介します!今回は2枚の日本画を制作されました。

まず左の作品。構成が非常に面白く、兎を渦巻く波の下には真上から見た亀甲模様が描かれています。

兎、波、亀と聞くと「因幡の白兎」や「うさぎとかめ」などの物語が連想されますが、まさに物語のように背景が気になってくる一枚です。甲羅の模様や兎の毛並みの線を墨で描くという平面的な描写をされているのですが、間に青色で濃淡をつけた波を挟むことでレイヤーのような階層構造になりました。渦の流れも相まって、観ていると奥へ奥へとまるで海の下に引き込まれていくような気分になります。普段パワフルな油絵を描かれる馬込さんですが、この絵にもそんな力強さが表れているように感じます。

 

そして右の作品。左の作品とは打って変わって、今度は写実的に描かれました。めいいっぱい目を上に伸ばしているカタツムリが可愛らしいですね!こんな風景を丁度梅雨のこの時期に見かけることが出来そうです。

淡い色合いの背景の滲みの使い方が非常に効果的で、境界も曖昧になるほど色が広がり重なり合っているため、雨上がりのような明るく湿度のある印象を受けます。また、全体としては明度の同じパステルカラーなのですが、左下に少し暗く彩度も高い青を置くことで左下から右上への視線誘導までされています、素晴らしい!カタツムリも殻の硬くて凸凹のある質感や体が少し透けている様子など、「リアルすぎて若干気持ち悪い」とまでは行かない一歩手前のところで高い観察力で緻密に描写しています。

本当に同じ人が描いたんだろうか?と思ってしまうほど表現の振り幅が大きい2枚ですが、見事に画面に合わせて強さと繊細さの二つの力を使いこなしているのは、馬込さんの成せる技です。どちらも武器に、今後の作品にも使い分けて下さいね!

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寄り添う2匹

2022-06-01 22:32:34 | 大人 日本画


藤原 岩絵具・墨/パネルに和紙

いつのまにか上半期も終わりに差し掛かっていて驚愕しています、ナツメです。今日は月曜大人クラスの藤原さんの日本画をご紹介します!

どこか遠くを見つめる2匹の虎。仲良く寄り添って、心を許した仲間にしか見せないような寛いでいる表情にほっこりしてしまいますね。藤原さんご本人が寅年の双子ということで、この絵を描かれたそうです!

粒子の荒い岩絵具を使い紙に盛るようにして塗っているため、下の色が粒子の隙間から少し覗き、絵具の厚みも相まって立体的な表現になっています。日本画ならではのマチエールを虎の毛並みに合わせて。素敵な毛並みについ目が行ってしまいますが、しっとりとした鼻の質感や耳の厚みなど、触れてみたくなるほど描き込まれた細部も素晴らしいです。

そしてこの作品に特徴的なのは、手前と奥でほとんど描き方に差をつけていないところです。虎同士の境界となる部分には強めに明度差をつけていますが、色やタッチでの遠近感の表現は最低限に留めてあるため、パッとこの絵を見た時に2匹が同時に目に飛び込んできます。この光景を選ばれた経緯からも、おそらく藤原さんは「虎のいる風景」ではなく、「2匹の虎」に意識を向けて描かれたのでしょう。デッサンを終えられてはじめての制作だとは思えないほど意図に沿った表現の選択ができています!

一枚の写真を元に描くと言っても、何を意識するか、どこに重きを置くのかによって完成する絵は大きく変わってきます。皆さんも何かを描きたい!と思った時にそのモチーフや写真の何が描きたいのかを1度考えてみると、最終的により魅力的な作品になりますよ!

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描いていないのに…

2022-03-22 23:45:42 | 大人 日本画


杉本 岩絵具・銀箔・金箔/パネルに和紙

花粉症マジ最悪です、一平です!本日は水曜クラスの杉本さんの日本画をご紹介します。

猛々しく咆哮する虎の表情を切り取ったこちらの一枚、初日本画とは思えないくらい自在に画材を操っていますね。瞳の金箔と牙の銀箔もいやらしくなく使われているので非常に上品でありながら野生の力強さも感じられて素晴らしいです!普通の黄色い虎ではなく、青い虎として描いているのも中国神話に登場する神獣のような特別感を演出しています。そして画面の中ではほとんど顔だけを描写していますが、絵を見ている人に絵の外側にきちんと虎の身体をイメージさせる確かなデッサン力の高さを感じます。実はこれはかなり難しい事なのです。

動物でも人間でも顔だけ描いて!と言われると意外と皆さん描けたりするものですが身体を描くとなると腕が不自然な長さだったりおかしな方向に関節が曲がっていたり、急に難易度が上がります。なので身体が描きたくないから顔だけ大きく描いて絵力を保たせよう、という人がたまにいますが(勿論それも作戦の一つですので悪いことでも何でもありませんよ!)そういった方は表情は感じられるけれども中々画面外の身体を感じない、という事が多いのです。ですが杉本さんのこちらの虎も大胆に身体をカットしている構図なのに、描いていないはずの身体を感じるのです!僕の勝手なイメージでは、前足で踏ん張って少し低姿勢になっていて今から獲物に飛びかかろうとしているような、身体だけでなくそんな場面まで絵を見ていると感じます。もう一度言いますが、描いていないのに、です。人間の脳とはなんとも不思議ですが、ここまで脳みそに想像させているのは杉本さんのデッサン力の高さがあってこそ!こんなにも繊細に虎の模様や毛の流れを表現しているのに、ちゃんと立体感を感じますよね。瞳もただ金箔を貼っただけでなく、瞼に近くなるにつれて暗くなっている。舌などの口内を暗めにすることでヒゲの明るさと銀色の牙の鋭さがより際立ちます。そういった細かい気遣いが後々絵に大きな影響を与えるのです!そろそろ皆さんも画面外に描いていないはずの身体が見えてきましたか?

最終的にとても縁起が良さそうな作品に仕上がったので、寅年の時だけとは言わず来年以降も是非ご自宅に飾って欲しいですね、家宝確定!

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夜闇の中で

2022-02-02 22:23:59 | 大人 日本画


井口 岩絵具・銀箔・金箔/パネルに和紙

最近静電気に悩まされています、ナツメです。今回は学生クラスの井口さんの作品をご紹介します!

月に照らされる蝶と彼岸花の日本画で月には銀箔を、蝶の鱗粉にも金箔を散らして表現しています。まず目に飛び込んでくるのは眩しい満月ですが、明暗の使い方に技巧が凝らされています。月をとびきり明るく、周りはかなり暗くと画面の明度を大きく2つに分けた上で、暗い側にモチーフを配置してその中で微妙な差を描写しています。また、手前にある蝶と花のみを描き込むことで疎密の関係も取り入れているため暗い中でも見せ場がはっきりしていますね!

日本画はこれが初めてとのことですが、蝶の翅や背景の暗がりなどの濃淡の使い方が繊細で素晴らしいです。強い太陽光とは違って蝶と花に当たっている光は仄暗く、真夜中のひっそりとした空気感と岩絵具特有の滲みや絵の具の重なりとの相性が抜群です。彼岸花も全身は見えず照らされていない部分はぼんやりと闇に溶けていて、全体的に光を意識しているのがわかります。そして右下に書かれたサインですが、日本画で筆記体!?と思われた方も多いのではないでしょうか?もし漢字で書かれていたらもう少し厳かな印象になっていたと思いますが、英語で描くことにより更に上品な雰囲気が伝わりますね。ところで蝶は西洋絵画では魂の象徴として描かれ、仏教でも輪廻転生などのシンボルとされています。偶然かもしれませんが、そんな蝶が夜の闇の中で彼岸花に寄り添っているという見ていてどこか不思議な気分にもさせられる一枚です。

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暖かい日にぴったりな1枚

2021-07-13 22:13:06 | 大人 日本画


古谷 日本画(岩絵具・和紙・顔彩)

通り雨のせいで傘を買いました、一平です!本日は日曜クラスの古谷さんの日本画をご紹介します。

旅先の風景を日本画に収め、非常に味わいのある質感に仕上がっています。草が生い茂っているような立体感の与えづらい部分の描き方から、ピンク色のブーゲンビリア(違ったらすみません)のトーンまでとてもこだわって描かれていました。そういったこだわりのポイント(ここまで描きたいというゴール)をしっかりと定めて、そこに向かって着実に歩みを進めていく古谷さんの丁寧さは絵からとても感じるのですが、僕がいつも思うのは古谷さんの質問のレベルの高さです。例えば陰影の付け方を質問される方はいらっしゃるのですが古谷さんの場合、「ここの花の影は形を観察しながら付けていったのですが、なんだか違和感があるのでどこが変か言ってください!」と一旦ご自身で考え実行しそれでも掴みきれなかった部分を先生に聞いてみる、という質問の仕方なので我々としても遠慮なく言えますし、古谷さん的にも違和感の正体が分かるという非常にwin winの関係が築ける質問の仕方なのです。

また、絵に関して手前奥の演出はもちろん素晴らしいのですが、影が特に素晴らしいです。絵のレイアウトとして茂みがかなり大きく入っていて、普通ならここで空間が潰れてしまいそうなものですが、地面に落ちる影のおかげでどのくらいの質量感なのか、どのくらい強い光が当たっているのかという所を推測でき、それにより結果的に絵の中で奥行きが生まれています。絵の定石として地面に光と影を順番に何本も配置する事で奥行きになっていきますが、この絵の中では手前の影と奥の光の2つだけでこんなにも自然にスーッと奥に行っていますすごい。素晴らしいのですがなんだかどこか悔しい気持ちです

今回ブログで書いたことは普段絵を描かない人からしたら細かい部分で、もしかしたら気づかないところかもしれません。ですが絵はもちろん、僕が専攻しているデザインを含めた「美術」とはそういった人の目には触れづらい水面下のこだわりの積み重ねだと思います。そういった意味でも「美は細部に宿る」という言葉がとても似合う一枚です。

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暖かい景色の中で

2021-07-06 22:24:35 | 大人 日本画


加藤 日本画(岩絵具・顔彩・金泥・和紙・パネル)

雨が止まらないですね、一平です!本日は日曜クラスの加藤さんの日本画をご紹介します。

暖かい空気感の中に広がる花畑がとても美しいこちら。麦わら帽子を被った少年が虫カゴを持って通りかかりそうですね。これだけ沢山の花を描いていながら花びら一枚一枚の薄さ、独特の透け感まで感じるような繊細なタッチに目を惹かれます。花は基本的に上向きに咲くものが多いので、慣れていないと描くときに全てひまわりのように正面を向いて平面的になり絵に奥行きを出しづらくなってしまいがちですが、そんな気配を1ミリも感じさせず爽やかな夏の雰囲気を描き切りました。よーく見ると蜂が花にとまっています。この場合、蜂を主人公にして絵を構成していきそうなものですが本当に花畑の中を歩いている時に偶然蜂を見かけて、そーっと歩いていく様な情景が浮かぶくらいとても自然でありながら生命感も感じる気配感です。

また、素晴らしい描写力のリアルな花畑と蜂だけでは終わらず、絵全体が暖かい色彩だけだと画面が緩く見えてしまうためキュッと引き締める爽やかなブルーも挿しています。色彩の構成、どのくらいの塩梅で色を入れるのかの判断も本当に素晴らしいです。花びらや背景に少し使われている金も上品で良いですね。

日本画1枚目とは思えない加藤さんの勘の鋭さと確かなデッサン力を感じる表現に僕は毎回「めっちゃいいっすね!」「最高っす!」しか言えなくなってしまい本当に不甲斐ない限り、お恥ずかしい!

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猫ファンの皆様へ

2021-06-01 23:02:58 | 大人 日本画


渥美 岩絵具・和紙(日本画)

半ズボンを解禁しました、一平です!本日は日曜クラスの渥美さんの日本画をご紹介します。

初めての日本画はご実家の猫を描かれました。縁側に佇む姿が可愛らしくもあり、凛々しくも見えます。ちなみに初めてとは思えない描写力に、我々講師陣はタジタジでした。
実際には『
猫の身体は細く、毛のボリュームがある』という特徴を感じさせるような毛並み。また、その毛並みがあるにも関わらず、なんとなく身体がどう丸まっているのかが分かるのも素晴らしい箇所の一つ。いざ描こうと思うと毛に埋もれた関節が分からなくなってしまいがちなのですが、そんな事もなく自然に体勢が見えてきます。
背景を寒色、猫を暖色でまとめているのも絵として非常にわかりやすく見やすいですね。背景のブルー系でのまとめ方も立体感が破綻せず描写されており、涼しげでとても良い感じです。
渥美さんのデッサンを見ているとモノの立体感、またそれがどうそこに置かれているのかを捉える、空間の感覚が非常に鋭いと感じます。今回の背景の青い空間のように実際のモノ、空間と色味は変えていても、絵の中で立体感が自然に見えて来る、というのは実は凄く難しいのです。

自分が気に入った風景を探してきてそれを描くのももちろん良いのですが、渥美さんの場合は経験、記憶を描いているので、猫を飼っていない僕でも絵から愛を感じますね。今までデッサンを沢山されていた分、ここからは好きなモノや場所をどんどん描いていただきたいです!ちなみに現在渥美さんは油彩に挑戦中。またまたご実家の猫を描かれています。ミオスの猫ファンの皆様、乞うご期待!

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季節の変わり目です

2021-04-06 23:47:35 | 大人 日本画


古谷  左 アクリル  /  右 日本画(岩絵具・パネル貼り和紙)

三つ編みが快適な事に気付きました、一平です!本日は日曜クラスの古谷さんの作品をご紹介します!

左がアクリル、右が岩絵具で描かれています。画材は違いますが季節の変化を作品の流れから感じますね。寒い冬を耐え忍び、ようやく暖かい春が来て蝶が飛び立っていくようなストーリーを連想してしまいます(古谷さんはその気は無いかもしれませんが

左の風景画はご自身で撮ってきた写真を参考に描かれています。日本らしい少し重たい雰囲気の雪景色の描写が非常に素晴らしいです。自然の中の雪景色ではなく、住宅街という人工物の中の雪景色を描いているという点が意外と新鮮で見ていて面白いですね。そんな一見すると冬眠中のような静かな絵ですが、よーく見てみると雪の中に足跡があり、ここで生活、もっと言えば生命を感じられます。このように一枚の中に時間の経過を感じさせる物、現象を配置するのは見ている人の想像をかき立てさせますね!

次はこれからの季節にぴったりの爽やかな作品。一枚目とは打って変わって暖かい雰囲気が素敵です。岩絵具は初めて使ったとの事でしたが、疑ってしまいたくなるほど要領を掴むのが早く、日本画初回とは思えなかったですね。飛んでいるアゲハ蝶の羽根の色分けや重なり合っている部分の、微妙な明暗の差が丁寧に描かれています。アゲハ蝶という小さい生き物をここまで大きく入れた事もダイナミックで気持ちのいい構図を作るのに一役買っていて、一枚目でここまで伸び伸びとした物が出来上がった事が凄い。古谷さんはキチンと物事を理解してから進めるタイプだと絵を見て思っていたので、こういった思い切りが見えて新しい一面が見えた気がして嬉しいです!

筆が早く、ご自身で考えられた事をどんどん実践していく古谷さん、現在はまた新しい日本画を制作しています。次の作品が既に楽しみです!

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蠱惑と、侘びさびと

2021-02-27 23:18:57 | 大人 日本画


當山 左/日本画(岩絵具)  右/鉛筆・色鉛筆

寒さ和らぐ日も多くなりました。岩田です。
本日は、土曜日午前クラスの當山さんの作品をご紹介します。

様々な生物をモチーフとして、見ているとどこかゾワゾワしてくるような、或いは気持ち悪さと美しさが同居するような蠱惑的な絵画を制作しています。
今回掲げた作品もそうした雰囲気が封じ込まれているのが見て取れます。

左手は蝉を描いたもの。数年もの間土の中で幼虫として過ごしたのち、地上に出て鳴き声を謳歌する時期はほんの数週間。
木の幹から地面に落ち、やがて風化し土に還っていく。こちらの作品を見ていると、そんな成虫期の命の儚さのようなものまで表現しているのではと感じられてくるのです。
静寂の中で朽ちていく儚さに美を見出す。いわゆる侘びやさびといった日本人の世界観をも作者は表現したかったのでしょう。

右手はカメレオンを大きく画面に取り入れた作品。
一点集中、質感までも徹底して描いています。こちらは蝉の作品に対して非常に大胆な印象を受けます。思わずグっと見入ってしまいますね。
色を使ってそこはかとなく描きこんだ部分とモノトーンで描き放ったところが美しく対比され、當山さんの柔軟な発想が功を奏した作品と言えるでしょう。

色々な引き出しから作品のアイデアを取り出し、一枚の作品へ仕上げていく姿に今後も期待します。

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柔らかい光

2020-07-10 22:40:08 | 大人 日本画

米本  岩絵具・顔彩 / 和紙・パネル

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、米本さんの日本画の作品です。こちらは長い時間をかけて制作され、ようやく完成しました。

制作中に近しい方に関わる事故があり、当時は絵を描く気力もなくしてしまったそうです。少しずつこの竹の絵と向き合いながら心を静めていかれたのでしょうか、ほの暗い竹やぶは奥に行くにつれ少しずつ明るくなっていきます。この明るい光の部分には銀なども使用されており、上品な輝きを持っています。ところどころに黄緑色も使われているおかげで、絵の中で白が強く出てきてしまうのを抑えているのでしょう。地面の土も細かく丁寧に書き込まれており、歩けば足に柔らかい感触が返ってくる様な質感がよく伝わってきますね。奥に行くにつれ青みがかった色に変化していく竹の色合いも美しいです。下書きの際に竹の位置や大きさに気を使われていた記憶がありますが、そのおかげで竹の配置のバランスも良く、安定した画面になりましたね。顔料そのものの色の良さも相まって、見る人の心の癒しになるような、全体的に優しく穏やかな雰囲気となっています。

生きていく上で、理不尽な悪意や不幸に傷付けられる事は少なくありません。まだ20年ちょっとしか生きてない私には想像も出来ないような事が沢山あるのだと思います。そうした傷の癒し方は人それぞれですが、ミオスで制作に取り組む時間が米本さんにとって少しでも癒しとなって下されば幸いです。

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日本人としての表現

2020-06-20 20:52:44 | 大人 日本画


當山 岩絵具(日本画)

本日は岩田がお伝えします。
今回、ご紹介しますのは土曜午後クラス在籍、當山さんの作品です。
當山さんの前回の金魚の作品はこちら
前回、今回と耽美な世界を岩絵具という描画材を用いて描き出されています。

花鳥風月を主題に、どことなく暗部を纏ったこうした作者の表現は、自然が多く、湿度を伴う風土を有した日本人ならではの感覚を根源としており、欧米的なオーバーリアクションで何かを伝播したりするものや、哲学偏重で難解なそれらの表現とは全く違った魅力に溢れています。

主体となるものを派手に主張させるでなく、静かに淡々とそれらがうごめく様を紙の上に描く、故に絵を見ているこちらが多様なものを想像する余地を与えてくれているのでしょう。
又、色同士を織り重ねた美しい背景を作りつつ、所謂、時、場所、場面といった具体性を排しているところも、その一端を担っています。

とはいえ、ここから當山さんに期待したいのは、、生物を如何に魅力的に描き出すかということ。
印刷物からの情報だけでは限界があるので、実際に野山に分け入り、スケッチなどを重ねたり、描く対象を自ら撮影したりすることで、新たな発見や感動を得て欲しいと思います。

そうすることで、真に素晴らしい作品へと昇華していくことでしょう。

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清らかな印象を与える絵

2019-10-05 19:58:28 | 大人 日本画


七菜子 岩絵具

岩田です。最近は暑かったり涼しかったりで大変です。
本日は、土曜日午前クラスに通われている七菜子さんの作品をご紹介。
以前にもお伝えしたように、こちらのクラスは夏に日本画を同時スタートした方々が数名いらっしゃいますが、その中でも七菜子さんは、時にチケットを追加購入し午後の時間も使いながらじっくりと時間をかけ制作をされてきました。

こちらは、古道具のピューター(中世のイギリスなどで盛んに作られた錫の皿)にアケビをのせた様を描いたものです。
先ず、日本画でこのモチーフを選ぶというところにセンスの良さを感じざるをえません。
何層にも重ねた岩絵具のマットな質感が、経年の変化で古びた皿の佇まいと大変マッチしています。アケビのくすんだ緑も非常に美しい色合いで表現されており、野山から摘んできて直ぐのような瑞々しささえも湛えています。
花などの自然のものを特に透明水彩を使って描き続けてきた七菜子さんにとって、独特の描き方を求められる岩絵具という素材は中々思い通りにいかないという部分を含みながらも、不思議と波長が合っているようにも見受けられます。
もしかしたら描き始めの時点で、完成予想図が頭の中に割合しっかりとイメージできていたのではないでしょうか。
非常に透明感があり、清らかな印象を見る者に与える作品です。

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ちょっと怖いけど

2019-09-16 23:39:45 | 大人 日本画

 
馬込 岩絵具・金泥(日本画) 

今週は3連休でしたがアトリエは通常通り授業がありました。来週の3連休はおやすみですよ、一平です!本日は水曜クラスの馬込さんの日本画を紹介したいと思います!

今回描かれたのは動物のような、中国の神獣のような、はたまたお化けのようななんだか不思議な生き物(生き物なのかも分からない)です。
馬のような足に、鬼のように真っ赤なツノをたずさえ、体にはサラサラの白い毛。そしてお腹の部分からはカラフルな巾着のようなものが溢れ出ています。一見、少し不気味ですが、ずっと見ていると可愛らしくエサを待つ犬のようにも見えてきます。

お祭りのヨーヨーのようなポップな色合いと影の部分に少し青を入れた涼しげな白い毛の色の対比がとても美しいです。背景の黄土色(金泥)の濃淡は3パターンほどで床と背景の色がしっかりと描き分けられています。写真屋さんのロールスクリーンのように、同じ色味で背景と床を描き分けるのはなかなか難しいのです!また背景が控えめな色な分、謎の生き物の色が際立ち、とても不思議な存在感を強く感じます。仕上げに左上に雅印を押し、完成です。

ちなみに僕の中での「不思議な」というのは神様のような目に見えないものを絵を通して見ているような感覚の事です。本来見えないはずのものが絵の上なら見ることができる、という特別な感覚は昔の人の方が強かったかもしれません。
昔の人は自然災害のような人間にはどうしようもない脅威、雨や穀物など自然の恵みも全て神様や妖怪のせい、おかげだと考えていました。どうあがいても避けられない事への恐れや感謝、祈りを向ける対象が欲しくてお地蔵様が出来たとも言われています。

今回の馬込さんの絵からは少し怖いけれど惹きつけられる、脅威も恵みももたらす、かつての日本の神様のような捉え方にも似た不思議な力を僕は感じました。
  と、ここまで神聖に持ち上げて書いたのに、小原先生からこの絵が自画像だと伺いました!ええー!?自画像だったのですか?もしや目の周りの赤いのは眼鏡?胸の巾着のようなものはおっぱい!?騙された。ちょっとショック…

8月の終わりに水曜夜間大人クラスの皆様に加余子先生、旭先生、僕の3人、通称「平均年齢下げ部隊」を誘って頂き、暑気払いに参加させて頂きました!
アトリエで絵を描かれている皆様しか知らないので、普段やっている事、好きなもの、日本の将来、嫌いな人のタイプなどなど授業では聞く事ができない話をおいしい串カツを食べながら聞く、とてもおもしろい時間でした!僕の大学での事や好きなものもたくさん話させていただいて、聞くのも話すのも楽しかったです!
僕たち若者三人はご馳走になってしまいました。皆様本当にありがとうございました!

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