サトルです!日本画講座第二弾【胡粉の使い方】今回は胡粉を使った描き方を何種類か紹介します。第一弾【描き出し編】はこちら
①盛り上げ塗り
その名の通り胡粉を厚く盛り上げる様に塗る方法です。ムラなく綺麗に塗れる事が特徴で、絵具の厚みを出す事が出来ます。
筆にたっぷりと胡粉を染み込ませ、塗りたい部分にドロッと垂らします。この時、筆跡が残らないくらい分厚くなる様に垂らしてください。最後に紙ヤスリで磨いて表面の肌理(きめ)を整えるのがおすすめです。
②混色
胡粉と水干絵具は混ぜる事が出来ます。左・人物の肌の部分のように、同じ皿に粉を出して完全に混色してから使う方法が一つ。
別々に膠と混ぜて置いて、パレットの様に混ぜながら塗ることも出来ます。また、画面上で乾かないうちに様々な色を重ねて複雑な質感を作ることも出来ます。右・桜は両方のやり方を混合しています。
③薄塗り
盛り上げ塗りと逆で、水で薄めた胡粉で霧の様に淡く塗る方法です。単純に薄く塗るだけですが、左・風景画のように霧の様な空気感が出せるので魅力的です。水を敷いてから胡粉を塗るとキワがぼけて霧の様に出来ます。
右・紫陽花は、下地に塗っておいた暗い色を活かし、胡粉をたっぷり塗った所は上部ハイライト、下部の影の部分は水で薄めた胡粉を使い、白黒でデッサンしたようなボリューム感を出しています。
一つ注意したいのが、膠の量です。薄める時には水を多用します。膠を多く入れ薄めようとすると、光沢が出てしまいますので注意しましょう。
④厚塗り
濃いめの胡粉で筆跡を生かして描くことです。左・富士山の雪の表現や、右・鯉の動きを出すのにぴったりですね。しっかりとした表現が出来ますので、主役のモチーフに最適です。この塗り方は他の画材と使い方が一緒なので、最も馴染みのある方法だと思います。
また、胡粉に限らず濃いめの絵具を、紙パレットなどに大まか・大胆に置き、デカルコマニ―のようにパネルを押し付け偶然の下地を作るスタンピングなども可能です。
今回紹介した技法以外にも沢山の胡粉の使い方があります。これらはあくまでもメジャーな使い方ですので、これ以外の描き方をしても全く問題ありません。自分のイメージした雰囲気にならない時に参考にする程度で丁度良いと思います。
日本画も完成に近づいている人が多くなって来ました。作品が完成すると達成感もありますが、同時に少し寂しい気分になります。楽しく描いている作品ほどその気持ちは大きく、いつまでも描いていたくなります。しかし完成させるためにはどこかで区切りを付けなくてはならないのは、辛いことだなぁと、しみじみ思います。