モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

優しいタッチと対照的に

2025-04-03 22:12:23 | 大人 水彩


木佐貫 透明水彩

こんにちは、マユカです!今回は木佐貫さんの作品をご紹介していきたいと思います。

右の作品は紅茶と花、これはラベンダーでしょうか。左の作品は木に止まるアオバズクが描かれています。どちらも透明水彩らしい優しい雰囲気のある作品ですが、メインモチーフにしっかりと焦点を当て、他の部分はすこしぼやかして描き上げることでピントの調節をすることで自然な遠近感の表現がされています。
特に右の作品は大きくぼかす背景がないにもかかわらず、ティーカップにすぐ目がいくのはやはりカップの反射やツヤにより陶器の質感がパキッと硬そうに描かれているからこそ、背景や花のように滲んでふんわりした質感が特徴的な水彩画でいっそう美しく映えるのでしょう。影の色が強く濃いのも、メリハリが出てより見やすく感じます。どちらも同系色と同じ彩度でまとめられているため一体感のある仕上がりになっていますね。

今回、木佐貫さんはアオバズクのふわふわとした感触を出すことに少し苦戦しておりましたが、水彩のにじみを利用して輪郭線をふわっとさせ、胸元の羽の模様も絵具の重なりで表現することで羽の柔らかさを出し、明るい背景との対比を使って手前を暗く見せることにより、くっきりとした輪郭線が無くてもアオバズクが際立たせることに成功しています。

画材の特性を使いこなすことでぐっとリアリティの高い作品に仕上がります。木佐貫さんは、そういった画材の特性を理解しているからこそ水彩の水分量を調節し、ピントを合わせたり、反対にぼかしたりと画面の見え方をコントロールすることが出来ているのでしょう。

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目に見えないところまで

2025-04-02 10:39:31 | 大人 水彩


川上 透明水

サヤカです。4月に入り、新生活を迎えた方も多いかと思います。体調に気をつけつつ、無理せず頑張りましょう!

今回は大人クラスの川上さんの作品をご紹介します。前回・前々回ブログで紹介させていただいた時も、シズル感満載の食品を描かれていましたが、今回も引き続き食べ物を魅力的に描かれました。

どちらの作品も潔くモチーフをセンターに置き、まるで自分がテーブルを目の前にしているような臨場感がありますね。シンプルな構図で描くことによって、食べ物を美味しそうに描きたい!という川上さんの思いがストレートに伝わってきます。

食品の温度が伝わってくるような描き込みも素晴らしいですが、現場(飲食店)の雰囲気を感じさせる光の描き方がさらに臨場感を生んでいます。光は目に見えませんが、作品の趣を決める大きな要素です。左のオムライスは、卵やソースに強いハイライトが入っていることから、日差しが気持ちい日の昼下がり、右の冷麺は、寒色でまとまっていて冷房が効いているひんやりとした店内を想像します。透明水彩で光を描く場合、塗り残したり、逆に影を作ったりすることで表現できますが、完全に塗り残しても、暗くしすぎても光と影を表現できるわけではなく、調節が難しいです。モチーフを観察した上で、どんな光を表現したいのかを考えなくてはいけません。

私は無類の冷麺好きなのでブログ執筆中も冷麺欲が暴走しそうで大変でした(笑)おいしかったという感想だけでなく、食べた日の天気や感情まで想像してしまうような素敵な作品でした。川上さんの新しい作品も楽しみにしています!

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期待を背に

2025-03-19 20:20:01 | 大人 水彩


松下 透明水彩

まだまだマスクが手放せません、ナツメです。今日は日曜クラスの松下さんの作品をご紹介します!

これまで油絵でご家族の姿を描かれていた松下さんですが、今回は水彩画で家族を描くことに挑戦されました。毎年元住吉で開催される『住吉神社の夏祭り』、息子さんが楽しげに屋台を巡る様子を描いた一枚です。  私も昨年このお祭りに訪れましたが、作品から伝わる臨場感に思わず「ああ、あの場所だ!」と懐かしさを覚えました。

金魚すくいにリンゴ飴、じゃがバタに焼きそば、ヨーヨー釣り……所狭しと並ぶ色とりどりの屋台は、小学生にとってまさに夢のような世界。次はどこへ行こうかと足早に進む息子さんの後ろ姿には、大冒険に胸を躍らせる子どもらしい無邪気さがありながら、どこか勇者のような凛々しさも漂います。

手前には落ち着いた無彩色に近い色を使い、奥に進むにつれて暖色を増やすことで、屋台の楽しそうな様子に加え、「向こうには何があるんだろう?」という息子さんの期待感やワクワクする気持ちが伝わってきますね!

画面の中の人や建物が非常に多く、描き込みすぎてもごちゃごちゃして見辛くしまう、でもそつなく描くと今度は雑多な雰囲気が出ない…という難しい画ですが、手前を緻密に描くことで情報量をしっかり持たせつつ、奥へ進むにつれてディテールを省略することで見やすさと臨場感が両立しています。さらに、主役である息子さんは、周囲よりも陰影のコントラストを強くして際立たせ、視線が自然と彼に向かうよう工夫されています。しっかりと存在感がありながらも背景が主役よりも主張しすぎない巧みなバランス加減です。

今までの油絵とはまた違った、水彩ならではの透明感やにじみを活かした画面。新しい技法にも果敢に挑戦しながら、ここまで完成度の高い作品を仕上げられる松下さんの表現の幅の広さを感じます。

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伸び伸びと、大らかに

2025-03-15 23:14:33 | 大人 水彩


田 透明水彩

岩田です。今回は、田さんの作品をご紹介します。

こちらは、ハガキサイズ位の大きさの画用紙に描いた作品。
実際にご自身で行かれた旅行先で撮った写真を元にしています。小さいながらも、下描きから丁寧に描き進め、しっかりと時間をかけて完成に漕ぎつけました。

パース感覚を養いたいということで、建物や内装を中心に今まで描いてきた田さん。
今回は、建物単体ではなく、それらが風景の中に溶け込んだかたちを描くことで、むしろパースを気にし過ぎず、肩の力を抜いて描けたのかなと感じています。
そうした意味では、建物が少し歪んで見えるものの、逆に作者の大らかな人柄や、やさしさが素直に絵に反映されていて、観ているこちらが、何となく和んでくるのです。

描いていく中で、路面や木々、建物の質感の違いをどのように出したら良いかというところに特に関心を持っていたようで、画面が小さい中でも面相筆を使って、それらを描き分けていこうという前向きな気持ちが絵からも見えます。
まだ透明水彩で描いた枚数が少なく、少し躊躇しながら進めていたこともあり、中々思うようにいかなかった部分もあったようですが、同じ画材で描いている周りの生徒さんにもアドバイスを求めたり、途中経過を参考にしたりしながら楽しんで描けたようです。

次は、あらたに鳥をモチーフに描き始めた田さん。
先ずは、カチッとしたものでなく、そうした動植物から描いていく方が、作者にとっては、上達する近道かもしれません。新作もどうぞ伸び伸びと、楽しんで描いていって欲しいです。

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ビビッてない

2025-03-01 20:55:12 | 大人 水彩


黒木 透明水彩

岩田です。今回は、黒木さんの作品をご紹介します。
透明水彩で描いた2点の作品。どこか何気なく、ゆったりとした時間の流れを感じさせ、歩いていたり、家でくつろいでいたりする日常の1シーンを切り取ったような、飾らない雰囲気が魅力の作品達です。

左の絵は、小原先生の旅行写真からピックアップした、冬のチェコの川辺。
こちら側が逆光になっていて、川から向こう岸が光に包まれている美しい情景です。暗いセピアトーンの向こうに、うっすらと有彩色で描かれた風景がとても美しい。画像では認識できませんが、近くに寄ってみると、水が絵の具と紙の上で、自在に混ざり合いながら、繊細な滲みの表情を作り出しています。

黒木さんが継続して取り組んでいる透明水彩。特に最近は、紙と道具の扱い方みたいなものを感覚的に掴んできていらっしゃるなぁと感じています。上手くいかなかったことも含め経験が増えることで、描画材との距離感が徐々に分かってきたのかな。そんな印象を受けています。

右手の猫の絵も、まだ階段を登る途中段階にはいるのですが、どこか無理がない。
この紙にこの道具を使って、こう描けばこうなるみたいなものが、理屈ではないところで捉えられてきているので全然ビビッていないんです。猫自体も良いんですが、この絵の背景を見ると、そんな心持ちが垣間見れます。

黒木さんが、描くのが本当に面白くなってくるのはこれからです。良くここまで頑張ってきました。例えば、ちょっと高いかなと思う筆や、種類の違うスケッチブックなどを新調して、今までのものと描き比べてみて下さい。表現の幅が広がってくるかもしれませんよ。

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息子さん達を描き続けて16年

2025-02-14 21:23:43 | 大人 水彩


佐々木 透明水彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、佐々木さんの水彩画です。2009年から始まりました息子さんの成長画シリーズ、いよいよ16年目に突入!(アトリエは2007年から通われていますので、18年目!)今回の作品も次男君。2016年にご紹介させて頂いたブログでは赤ちゃんの頃の姿を見る事が出来ます。毎回思うのですが、こんなに小さな赤ちゃんが、たった数年で沢山食べ、走り回り、喋れる様になるのってとっても不思議です。人間ってすごい!

左の作品は、野外のイベントでしょうか?黄色い飲み物が沢山見受けられるので、ビールフェス?周りで大人たちがお酒を交わす中で、嬉しそうにポテトをつまむ姿が微笑ましいですね。見ている私も一緒に食べている様な気持ちになってきます。水彩の柔らかい色合いを活かし、日常にある穏やかで優しい時間を絵の中に作り出しています。何より、作者の人柄や子供に対する暖かい気持ちといった、本来は目には見えないそれらが、絵の具を通じて可視化されている様に思います。思い出と噛み締めながら、一筆一筆を丁寧に重ねていかれたのでしょう。
主役である次男君以外はかなり思い切って薄く仕上げました。それにより、絵の中にメリハリが生まれ主題が分かりやすくなっています。顔がハッキリと描かれているのは子供だけですが、画面に映る人たちの指先からも動きや感情が伝わってきますね。

右の作品はキャッチボールですね!お父さんと息子といえばコレ!ボールの軌道をしっかり見つめ、キャッチしようと構えている瞬間をよく捉えられています。シャツを白く見せる為の影の色やジーンズのくすみも、さり気無く描かれいるようで実は巧みに表現されています。水彩画、特に人物の肌などは色を濁らずに表現するのが難しいものですが、子供らしい健康的な肌の色に仕上げられています。16年間、息子さん達を描き続けた経験が活かされているのでしょう。背景の柔らかな光を感じるタッチも素敵です。

絵の中の息子さん達と一緒に、佐々木さんの技術も成長されているのでしょう。今後も成長を楽しみながら、制作して頂けたらと思います。

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主役を引き立てる影

2025-02-07 20:25:07 | 大人 水彩


釘宮 透明水彩

サトルです。今日は僕の担当している日曜クラスの釘宮さんの作品を紹介します!

晴れの日の美しい光の差し込む浅草寺と、参拝客が緻密かつ軽やかに描かれていますね。とても情報量の多い風景で、参拝客を一人一人描くだけでも非常に時間のかかる大変な題材です。賑わいを表現する為にここまで沢山人を描かないと行けない時、焦って雑になってしまいがちですが、釘宮さんはデッサンの段階から計画的に描かれていました。水彩画を写実的に描く際、油画やアクリル画の様に途中で形を変えることが出来ないので、デッサンのクオリティが作品の完成度に直結します。完成した作品からはわかりませんが、参拝客以外の部分の下描きがとても丁寧に描かれており、そのおかげで宝蔵門や看板の文字まで絵具で細かく仕上げることができました。

門に差し込む光が美しく描かれています。光を描くということは影を描くということです。美しい光を描くためには美しい影の色が必要です。門の影の色に注目してください。正面の柱は強くはっきりとした色で影を描き、それに対して門の奥、提灯左の柱などは背後から差し込む光を紫に近い色にして、奥行きのある表現がされています。また、最も太陽に近い位置の屋根を少々はっきりと描き過ぎてしまった為、青と白の瓦の対比を最後に洗い流しました。そのおかげで主役となる提灯が手前に感じられて立体感が出たのです。

この作品を見た時まず主役となる提灯や手前に描かれた参拝客のクオリティに目が行くのですが、それは主役を引き立たせる影の表現がとても繊細に描かれているからです。緻密で美しい表現がこの作品の一番の魅力ですが、それを活かす絵全体の組み立てが釘宮さんはとても上手です。デッサンから焦らず時間を掛けて絵作りしたおかげで完成した素晴らしい作品ですね。

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思い出を落とし込む

2025-01-29 23:34:43 | 大人 水彩


横山 透明水彩

今になってようやく布団を冬掛けに変えました、ナツメです。本日は、土曜大人クラスより横山さんの作品をご紹介します!
今回は、ご自身が撮影された写真をもとに水彩画を描かれました。たくさんの高級そうな果物が乗ったババロアが、まるで作家もののような器に美しく盛られています。思わず「食べるのがもったいない!」と思ってしまうほど、魅力的な一枚です。

テーブルの奥に設置された天然の小枝は、カフェの雰囲気や居心地の良さを伝える重要なポイントです。ところどころに映り込む葉や、赤寄りの茶色を基調とした色使いからは、素朴で温かみのある空気感が伝わってきます。

背景もババロアも暖色系で統一されているため、全体的に柔らかく温かみのある印象になっていますが、それだけでは主役がぼやけてしまいがちです。今回は器の左側に接する木の影に青を取り入れることで、デザートをより美しく際立てる工夫をされました。また、お皿に落ちる器の影や、ババロアの上に添えられたフルーツにも青系の色を使うことで、暖色の中にさりげなくコントラストを生み出し作品全体を引き締めています。このように周囲から引き立つように見栄え(見映え)をする効果は、補色(反対色)を効果的に使うと色のバランスがより洗練されうまくいきます。

まるで雑誌のグルメ特集に掲載されていそうな、美しく魅力的な一枚。見ているだけで「これを食べてみたい!」という気持ちになります。それはきっと、横山さんが実際にこのデザートを味わったときの「美味しかった」「楽しかった」という記憶や、素敵な時間を過ごした思い出が込められているからこそ。そんな温かい気持ちまで伝わってくる作品です。

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雰囲気や状況によって描き分けてみる

2025-01-18 21:59:44 | 大人 水彩


真愛 透明水彩

岩田です。今年最初の投稿は、真愛さんの作品をご紹介します。こちらは、インド象と戯れる男性を描いたものですが、まるで少年のように見えるこの人物は、旦那さんです。

今までも人物を中心に透明水彩で描くことを続けてきた真愛さんですが、今回は、特に全体の色調も綺麗で、鮮やかな作品に仕上がりました。

いつも淡い色調の作品が多く、それはそれで作者の個性が表れていて良いのですが、どうしても空間を出したり、立体的な表現をする上では、物足りない印象を持っていました。しかし、この絵に関しては、影に思い切って暗さを乗せたことで、逆に光を感じると共に、背景との距離感も上手く演出することが出来ました。

作者の場合、色使いのセンスが良く、紙白が透けた淡い色調のペールトーンがいつも美しさに繋がっているのですが、作品の場所も熱帯のバリ島で、真っ黄色のTシャツを着ている今回のような場合は、ビビッドで、コントラストの強い印象が場の雰囲気にも合いますね。

モチーフの雰囲気や状況によって、様々に印象を演出できるようになると、描くことが更に楽しくなってくるでしょう。

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大人な雰囲気

2024-11-28 22:53:47 | 大人 水彩


川上 透明水彩

二週間振りです、マユカです!今回は川上さんの作品をご紹介していきたいと思います。

バーで飲んだカクテルを描いたこちらの一枚。オレンジの皮の独創的な切り方や、使われているグラスがとてもスタイリッシュで、芸術品のようです。しかし、それゆえ絵にするとなると非常に高い技術が要求されます。カウンターの向こうから差し込む間接照明の表現にも苦労されました。グラスがかなり複雑な構造をしているため、ここにおそらく長く時間をかけられたのでしょう。質感の表現や、持ったときのずっしりとした重さが伝わってくるようです。

奥を薄い色、手前にはしっかりとした色を使用することで狭いバーカウンターの中にも奥行きを作り、二次元的なのっぺりとした仕上がりにならないよう工夫がされています。これは見せたいものをくっきりと強調させる効果もあるので、細密に描写されたグラスの凹凸感や、映り込み、反射等のこだわりポイントに注目しやすくなっていますね。全体的にオレンジベースの色味をしていることもあってか、鮮やかな青が際立ちます。また、手前に影を濃く入れているのも、奥からの照明によるものなのだというのが伝わってきますし、光の強さや周囲の暗さまでもが分かる要因となっているあたり、よく考えて描かれているなぁと感じました。

複雑で難しいモチーフだからこその楽しさや工夫のされ方が見える、オシャレなバーに行ったような気分になれる作品でした。いつかこんな素敵なお店に、私も行ってみたいです!

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水彩マスター!?

2024-11-27 22:17:52 | 大人 水彩


福嶋 透明水彩

冷え性なので近頃の寒さが堪えます、ナツメです。今回は月曜大人クラスより福嶋さんの作品をご紹介します!右上、右下、左の順で水彩画の描き方テキストを参考に、風景画を模写して描かれました。

右上の作品は海外の街並みです。かなりパースが効いている構図のためデッサンの線の角度に苦労されていましたが、真摯に調節を繰り返しながら奥行きを見事に描かれました建物の側面や地面にしっかりと影を落とし、左側からの光がとても綺麗に見えます。柵や壁のレンガなどの細かい箇所も細い筆を巧みに使い表現されました。

続いて右下の川の絵ではぐっとした暗さを入れることに注力されました。川の流れがとても丁寧に描かれていて、見ているとその場の空気や水の音まで感じられるようです。透明感や流れの勢いを筆のタッチで表現されていて、動きを錯覚してしまうような生き生きとした印象を受けます。岩のゴツゴツした質感や色の微妙な変化も絶妙で、自然そのもののリアルさと美しさを伝えていますね。全体的にやわらかな色合いが心地よく、川辺に佇んでいるような穏やかな気持ちになれる素敵な作品です。

そして、左のモン・サン・ミシェルと船を描いたものが1番新しい作品です。風景全体が柔らかな色合いで描かれていて、とても穏やかで心地よさを覚えます。手前の砂浜に停泊した船の描写が大変細やかながら力強く、前から見た時の形も上手に捉えられているため見る人の視線を自然と引き込みます。マストやロープのラインも繊細に描かれていますね。船、海を挟んで島とモン・サン・ミシェルの順に乗せる絵の具の段々と薄くしていき、手前は濃く、奥は淡くと言った遠近感が見事に表現されています。物語の一場面を切り取ったかのような風景です。

このように並べて見てみると、手前遠くの空間の出し方や明暗のコントロールなど、枚数を重ねるにつれメキメキと上達しているのがわかりますね!長く水彩を描かれてきたので、次から油絵に挑戦されるとのこと。どんな作品になるのか今から楽しみです。

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観る、描く

2024-10-16 22:04:02 | 大人 水彩


加藤 透明水彩

武蔵美では芸祭準備期間が始まり、浮き足立った気分になっています、ナツメです。本日は日曜大人クラスより加藤さんの水彩画を2枚ご紹介します!

ひとつめの作品では神戸の風景を描かれました。夕方頃でしょうか、少し陽が落ちている時間帯の影と光の加減が絶妙です。一方向からの光を意識して、物や地面の影を描いているので光が綺麗に見える上、その中でも手前はコントラストを強く、奥は弱めに描いているので一体感がありつつも距離も感じるようになっています。風景画は、次にご紹介する静物画と比べてもどこをどれだけ描くかという全体の描き込み度合いのバランスを取ることが難しいのですが、遠近に合わせて難なく描かれています。

そして2枚目は静物画。以前の水彩画に続きアトリエにあるモチーフをご自分で組んで描かれました。風景画よりもモチーフひとつひとつに手を入れられる分、とても精密に描写されています。ちょっとした反射や映り込みによりズレなどの非常に細かな部分まで追っているため、ガラスにプラスチック、木などどれも素材が違う中でそれぞれの質感が手に取るように伝わってきます。

ご紹介する順番が前後してしまいましたが、はじめの風景画が1番新しい作品になります。加藤さんは静物画に続いて風景シリーズの制作を計画されているそうで、今回の絵の次はどんな作品になるのか非常に楽しみです!

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美しさを引き立てる工夫

2024-10-10 23:22:27 | 大人 水彩


木佐貫 透明水彩

マユカです!今回は木佐貫さんの作品をご紹介していきたいと思います。

神社などで時々目にする『花手水』。心まで清められてしまいそうなくらい美しいその様子を、水彩で描かれたこちらの一枚。同系色ではなく、様々な色の花が浮いているのも目に楽しく、「この花の名前は何というのだろう?」なんて考えながら見てしまいました。

花の美しさに目が奪われてしまいますが、今回の作品では水の冷たさ・フレーム外の手水舎の素材(石)を感じさせる、水の表現が画面においてとてもいい作用をしています。竹から流れる水は透明度を高くするため後ろの色を描きこむことで透明感を出し、濃紺で水面を描写し深さがあることを伝えます。

また、浮いている花の彩度と明度が全体的に高めなため、濃紺が締め色となり、隣り合う花が混ざり合わず、くっきりと浮き上がって見えてくる効果もあります。ここが白っぽいと、花の色が何だか散って見えたり、広がっているような間延びした印象を受けてしまうのですが、しっかりと暗い色を使っているからこそ柔らかい花の質感との対比もできているのですね。よく見てみれば、手前の花は花弁の一つ一つまでしっかり描きこまれており、輪郭もはっきりと見えますが、奥の花や葉はあえてふんわりとした描き方をすることで手前のピントを合わせ、凛とした空気感まで伝わってくるのです。

この締め色、背景ではあるのですが、見方を変えると隣り合う色となります。隣り合う色というのはモチーフと差をつけた色であることが好ましいです。これはデッサンなどでも言えることで、同じような濃さで画面を塗ると融合しているように見えたり、どこで区切られているのか、立体感はどこなのか…と、なってしまうこともしばしば。色のある水彩画、油彩画などでも隣に似たような色を置くとなんだか間延びして見えてしまいますから、意識的に差のある色を選んでみるのもいいでしょう。

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食欲を刺激する

2024-09-18 22:13:07 | 大人 水彩


川上 透明水彩

九月も後半に入ってきましたが長袖の服を出すにはまだ早そうですね。早く涼しくなって欲しいです、ナツメです。

本日は土曜大人クラスの川上さんの作品をご紹介します!ボリュームたっぷりなハンバーガーを透明水彩で描かれました。

今すぐかぶりつきたくなるような、食欲をそそるシズル感が素晴らしい!一つ一つの具材を丁寧に描かれていて、ジューシーなパティや瑞々しいレタスなどそれぞれの口当たりが浮かんでくるような魅力がありますね。

透明水彩というと淡い色合いの画面になりがちなところを、主役であるハンバーガーを中心に手前にしっかりと鮮やかで濃い色を乗せています。食べ物の写真を撮る時に、より美味しそうに見せるために「コントラストを強めにする・彩度を上げる」加工をすると良いとされているのですが、まさにそのポイントを抑えた描き方をされています。

ハンバーグ以外のものを描き過ぎない加減に苦労されたとのことですが、その塩梅も丁度良いですね!遠くは薄くぼんやりと、手前ははっきり鮮やかに描かれていることに加え、その中間にあるコップや椅子などは淡くなりすぎずぼかしすぎず、という非常に難しいラインを見事に見極めて表現されているので、自然に手前の主役に目がいく画面になっています。

主役だけでなく周りの見え方の加減もコントロールすることで、お腹が空いていてハンバーガーがとても魅力的に見えて仕方ない、といったまさに今食べようとしている時のような視点が伝わってきますね。見ている内に本当に食べたくなってきてしまったので、明日のお昼ご飯はハンバーガーにしようと思います。

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雨上がりの紫陽花階段

2024-09-06 19:40:53 | 大人 水彩


釘宮 透明水彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、釘宮さんの水彩画です。この作品を見てもお分かりになるように、紫陽花の季節=つまり5月から制作されていらっしゃいました。雨に濡れた黒い石の階段や、雨上がりの優しい日差しが左上から右側の花に当たっているところ、門の中にお宮参りというよりは観光客であろうご婦人たち、全てが自然に調和するように注意を払って描かれています。
光を受けて葉が透けるように明るくなっている柔らかな色合いが美しいですね。奥は絵の具を薄く塗っているのに対し、陰になる左手前などは黒や近しい濃い色を思い切りのせて差を付けています。画面全体のバランスを注意しながら制作されて行ったのでしょう、どこを観ていても心地よい1枚だと思います。紫陽花の青色も美しいですね。紫陽花は小さな花びらが集合して1つの塊となっているので、どこまで描き込むかの判断が難しいものですが、釘宮さんはその塩梅を見極めて描かれていますね。

陽光や湿度、匂いといった形のないものを表現するのは難しいですが、風景を描く上ではいかにそれらを観賞者に感じさせることが出来るかが重要になってきます。一筆一筆に作者が目指したかった優しい風景への思いが込められているのでしょう、じっと見つめていると、雨と紫陽花が混ざった匂い、遠くで談笑する人々のかすかな声、葉っぱに反射する陽光が、まるで実際に体験したかのように頭の中に広がっていきます。

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