増村 油彩
この夏遂に日傘デビューしました、ナツメです。本日は水曜大人クラスより増村さんの作品をご紹介します!
光の降り注ぐ大聖堂を描かれました。F10号(高さ0.5mほど)という少し大きいサイズのキャンバスなので迫力満点です。
仄暗く描かれた聖堂内部からは、静寂で神聖な雰囲気が伝わってくるようです。画面には正面から見た教会の一部分のみが映っていますが、ドーム状の緩やかな曲線や柱の位置関係、絵の具の置き方などに非常に気を配って描かれたため後方の広々とした空間も想像することができます。
なんと言っても光が魅力的なこちらの作品。去年イギリスへ行った時聖堂をいくつか巡ったのですが、増村さんの絵のようにどこも薄暗く、電気照明で照らすのではなく主に外からの光に光源を頼っているのが印象的でした。今回の作品では天窓からの光に加えて両側の小窓からもうっすらと光が入ってきており、まるでスポットライトのようにキリスト像や、祈りを捧げる司祭を照らしています。
明るい紫を効果的に使ったコントラストも素晴らしい!チューブの絵具そのままの色味に頼っていた以前に比べ、色彩の扱い方がぐんと上達しているように感じるのは、おそらく「こんな絵にしたい」と強くイメージされているため、アウトプットが洗練されてきたのでしょう。雰囲気・空気感を捉えることに長けている増村さんの作品、次回も乞うご期待です!
聖堂内の光明、静寂、敬虔、厳粛を少しでも表現できれば、と思い描いてみました。約半年の試行錯誤でした。
イタリア·スペイン他の聖堂をたくさん見てきましたが、何気なく自然と祈りを捧げる少女の姿に強く感動し、そんな雰囲気を描きたくて…
油絵の場合、その時間が味になる唯一の画材(他の画材は限界が早く、紙などの媒体がダメになったり、絵具が剥離したり割れたり)ですから、勝ちを急がず色々試してもらいたいです。試行錯誤した時間だけ得るものも大きいですから。
ヨーロッパのキリスト教文化は無宗教に近い日本人からすると、心を打たれますね。教会は公園くらい身近でたくさんありますし、それだけ自然に存在する場所での祈りは日常の一コマで、決して特別なことではないのに、目にすると感動してしまいます。
地球上全ての絵画は元々、祈りを表現することでした。原点回帰。いえ、年を重ねると『原点こそ到達点』だと感じます。
増村さんがアトリエに入会した2010年4月7日から早14年。さぁ、到達点へは辿り着けるでしょうか?