モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

雨上がりの紫陽花階段

2024-09-06 19:40:53 | 大人 水彩


釘宮 透明水彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、釘宮さんの水彩画です。この作品を見てもお分かりになるように、紫陽花の季節=つまり5月から制作されていらっしゃいました。雨に濡れた黒い石の階段や、雨上がりの優しい日差しが左上から右側の花に当たっているところ、門の中にお宮参りというよりは観光客であろうご婦人たち、全てが自然に調和するように注意を払って描かれています。
光を受けて葉が透けるように明るくなっている柔らかな色合いが美しいですね。奥は絵の具を薄く塗っているのに対し、陰になる左手前などは黒や近しい濃い色を思い切りのせて差を付けています。画面全体のバランスを注意しながら制作されて行ったのでしょう、どこを観ていても心地よい1枚だと思います。紫陽花の青色も美しいですね。紫陽花は小さな花びらが集合して1つの塊となっているので、どこまで描き込むかの判断が難しいものですが、釘宮さんはその塩梅を見極めて描かれていますね。

陽光や湿度、匂いといった形のないものを表現するのは難しいですが、風景を描く上ではいかにそれらを観賞者に感じさせることが出来るかが重要になってきます。一筆一筆に作者が目指したかった優しい風景への思いが込められているのでしょう、じっと見つめていると、雨と紫陽花が混ざった匂い、遠くで談笑する人々のかすかな声、葉っぱに反射する陽光が、まるで実際に体験したかのように頭の中に広がっていきます。

コメント
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