モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

蠱惑と、侘びさびと

2021-02-27 23:18:57 | 大人 日本画


當山 左/日本画(岩絵具)  右/鉛筆・色鉛筆

寒さ和らぐ日も多くなりました。岩田です。
本日は、土曜日午前クラスの當山さんの作品をご紹介します。

様々な生物をモチーフとして、見ているとどこかゾワゾワしてくるような、或いは気持ち悪さと美しさが同居するような蠱惑的な絵画を制作しています。
今回掲げた作品もそうした雰囲気が封じ込まれているのが見て取れます。

左手は蝉を描いたもの。数年もの間土の中で幼虫として過ごしたのち、地上に出て鳴き声を謳歌する時期はほんの数週間。
木の幹から地面に落ち、やがて風化し土に還っていく。こちらの作品を見ていると、そんな成虫期の命の儚さのようなものまで表現しているのではと感じられてくるのです。
静寂の中で朽ちていく儚さに美を見出す。いわゆる侘びやさびといった日本人の世界観をも作者は表現したかったのでしょう。

右手はカメレオンを大きく画面に取り入れた作品。
一点集中、質感までも徹底して描いています。こちらは蝉の作品に対して非常に大胆な印象を受けます。思わずグっと見入ってしまいますね。
色を使ってそこはかとなく描きこんだ部分とモノトーンで描き放ったところが美しく対比され、當山さんの柔軟な発想が功を奏した作品と言えるでしょう。

色々な引き出しから作品のアイデアを取り出し、一枚の作品へ仕上げていく姿に今後も期待します。

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春を呼ぶ祈り

2021-02-26 23:31:44 | 大人 油絵・アクリル


野中 油彩

大竹です。本日ご紹介させて頂くのは野中さんの油彩の作品です。
えんぶりと呼ばれる、春を呼ぶお祭りの舞手を描いています。見ているだけでも凍えてしまいそうな、雪が降り頻る冷たい空気が伝わってきますね。寒さから身を守る為の着物の厚みや、そこに積もる雪の質感は見事としか言えません。これだけの描写へ持っていく為には、長い時間が必要だったかと思います。
人物を引き立たせる為に、背景の色をどう扱うか悩まれていましたが、油彩の性質を生かし、単純なベタ塗りにならない様に様々な色をほんのり滲ませつつ、全体を邪魔しないバランスの取れた仕上がりとなりましたね。
人物の描写も、絵の前で何時間でもじっくりと眺めていられるほど、細部まで丁重に描かれています。黒やグレーが画面全体を占める中で、烏帽子の美しい赤色が鮮やかに引き締めています。着物はガチガチに凍り冷たく重く、凍てつく空気の中、杖の鳴り物を振りながら踊る姿は神聖ですね。暗い画面の中で照らし出される舞手は、手が真っ赤になるほどの雪の冷たさを、まるで感じていないかのように静かな雰囲気を纏います。農民による春への祈りを込めたお祭りである事をこの表情が表していますね。この時世、外に出ることも躊躇われる様な暗く重い冬の中で、暖かく喜びに満ちた春は何よりも待ち遠しいものです。こちらの作品にも、きっと作者の野中さんによる祈りが込められているのでしょう。

残念ながら今年のえんぶりは中止となってしまったそうですが、全ての人へ暖かい春が来てくれる事を願います。

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繋いでつないで基地作り

2021-02-25 19:01:10 | 親子

本日は、親子クラスの制作をご紹介します。紙テープをふんだんに使った造形遊びです♪この日は、参加者が教室に入った時に楽しくなる仕掛けをして待っていました。仕掛けは、7色の紙テープです。長い紙テープを教室の端から端に向かって貼ることで、虹のようにも見えるし、イベントの飾りのようにも見えるし、これから何がはじまるのかな?とワクワクしながら始まりました。こども達も好きな色の紙テープを選んで、仕掛けのテープに続けて貼ったり繋げたり、どんどん増やしていきました。教室内が紙テープでいっぱいになると、何だか蜘蛛の巣のようになってきて、次に紙テープを貼るために移動するのが大変になってきました。テープの下を四つん這いになってくぐって通ったり、テープをまたいだり、高いところに貼りたいときは椅子にのぼってみたり、あっちにもこっちにも、繋げてつなげて大忙し!さらに丸・三角・四角など色々な形の色画用紙を紙テープの好きなところに貼っていきます。

沢山の色が重なりあったり、絡み合ったり、360度見渡す限りカラフルな楽しい空間できましたよ!!「みんなの基地」の完成ですね!制作の最後には、基地の中の好きな空間に座って、基地の隊員が被る冠(?帽子かな?)を作りました。

3月の授業は、9日(火)・23日(火) 10:30~11:30です。ご参加をお待ちしています。(Eri Ito)

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優しい色調

2021-02-23 21:11:09 | 大人 油絵・アクリル


八木橋 油彩

花粉の足音を感じます、一平です!本日は日曜クラスの八木橋さんの油絵をご紹介します。

白い洋風の建物が目を引くこちらの一枚。静かですが重厚感を感じます。白い外壁ということも相まって気品高い老舗の洋服屋さんのような高貴な感じがしますね。決して派手な絵ではありませんが魅力的な作品です。こちらの作品、初めての油彩という事でしたが、全然1枚目には見えませんね。シンプルだからこそ作者の基本的なスキルの差が顕著に出やすい構図だと思いますが、建物の遠近感、柵への光の入り方、二階のレンガ部分の風合いなどが初めての方とは見えず素晴らしい。「この人はきっとデッサンもうまいだろうなぁ…」とこの絵を見る人は感じると思います。実際八木橋さんのこれまでのデッサンは形どりや質感のかき分けが繊細に行われていたので、そこで培われた技術やスキルが画材が変わってもここまで応用されているのを見ると我々講師として本当には嬉しい限りです。絵とはその時描きたいものを描くスピード感ももちろん大事ですが、身に付けた力がどこで活きてくるのかをしっかり見極める応用力も重要です。なので八木橋さんの丁寧さがバッチリ活かされていたと思います!

また、今回は静かな印象の風景だったので次は南国のド派手な花であったり、動物であったりと全く雰囲気や色彩が異なるモチーフ選ばれてみてはいかがでしょうか?使う絵具の色調が分かりやすく変わってきて面白いですよ!また、今現在は水彩に挑戦されている八木橋さん、様々な画材に挑戦して楽しいモノを見つけていただきたいです!

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小学校受験の成功術

2021-02-22 23:15:41 | 小学校受験


『割りピン人形を使って、公園の遊具で遊んでいる所を描く授業』と、『宇宙で活躍する乗り物を紙皿・紙コップで制作し、お友達と一緒に宇宙空間を描く授業』

小学校受験クラスの前回のブログでは、人と人の重なりを描いていましたが、今回は遊具と体の関係性を考えたカリキュラムのご紹介です。
「ブランコに乗っている時は、お尻が板に乗っていないと落ちちゃうよね?腕はV字に曲がっているね。」「鉄棒で前回りをする時、遊具とお尻はどっちが前?鉄棒はどこの部分に挟んだらいいの?」など考えながら割りピン人形をポージングし、それを見ながら絵を描いていくという授業ですが、いかがでしょう?年中さんでもこんなに上手に描けました!

また右は『与えられた材料を全て使い切り、宇宙の乗り物を作りましょう』という授業です。
年少さん対象のキッズ受験クラスの直後に、年中さん対象の小学校受験クラスがある関係で、毎回見本や材料を出しっぱなしにしているのですが、それを見た年少さんの保護者様達に「あとたった1年で、一人でここまで出来るようになるのですか?うちの子がとてもここまで成長するとは思えないのですが…」などと声を掛けられることが良くあります。
「信じられないかもしれませんが、全員一人で出来るようになるんです!中身の見えないコップの中にはどんどん知識と言う水が溜まっていて、残念ながら溢れるまではどのくらい溜まっているかは確認できませんが、ちゃんと蓄積されているんですよ!お子様を信じてあげてくださいね。」と話すと「うちの子、コップの底に穴が開いてるみたいです。」など冗談を言うお母様もいらっしゃいますが、私にはどの位コップに水が入っているかがちゃんと見えます。穴の開いたコップの子どもなど一人もおりません。但し水の溜まる速度は人それぞれ。器の形も入る量も違います。応援するのとは違う、信じて待つという気持ちを持ち続けて頂きたいと思います。   オバラ

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ちゃんとカンニングしてきた?

2021-02-20 17:58:00 | 学生

暖かい日に感謝。岩田です。

今週は学生作品の紹介が続きます。本日も受験生のデッサンをご紹介します。

川崎総合科学高校、通称カワソウ。エレベーターがついているような立派で美しい建物を有し、公立高校としては大変人気のある学校です。
今年の倍率は1.5倍と決して低くはありません。そんな中、今年もカワソウを目指しアトリエミオスでも受験生達が切磋琢磨し受験に挑みました。

こちらに挙げた6枚のデッサン。
こうして見ると台所用スポンジやプラスチックコップといったモチーフ、無機質で何の魅力もありませんね....。
受験において、数多く並んだデッサンを採点する時に最初から一枚一枚じっくり見てくれるようなことはありません。先ずは「粗より」といって、描けているどうかで幾つかのグループに分けるのです。
その際に大切なのは第一印象。ぱっと見です。
描くものが日常にあるようなものだからこそモチーフとまじまじと見比べるまでもなく、それらしいかどうかが肌感覚でぱっと分かってしまいます。故にたかが日用品などとあなどってはいけないのです。逆にそうしたものだからこそ努々(ゆめゆめ)慎重に観察をして欲しいのです。
そういう意味で上に挙げたデッサンは、ぱっと見の印象がとても良いなあと皆さんも感じると思います。

学科試験に比べデッサンの試験はカンニングが許されている試験です。つまり目の前の答え=「モチーフ」を漏れなく観察し、それらをありのままに紙に描き移せば良いのです。こんな親切な試験他にありますか!?

受験生の皆さんは会場で心行くまでカンニングしたかな?ここに挙げた皆さんは、デッサンを見る限りしっかりちゃっかりカンニングできたのではないかと思います。
自分は思う存分全力でカンニングしてきた!ということであればもうそれで良いのです。受かるかなぁ...なんていくら心配しても後はあちらが決めることです。
先ずは結果がでるまで、自分の生活を心置きなく楽しんでもらえればと思います。

本当にお疲れ様でした!

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女子美付属高校合格者作品

2021-02-19 19:48:06 | 学生

大竹です。先日は川崎総合の受験作品の紹介でしたが、こちらは女子美附属高校の合格者作品です。どうでしょう、中学生の作品とは思えないほどの完成度だと思いませんか?絵具の持つ色の美しさをひき出し、モチーフの質感をよく捉えています。私が思う『良い絵』とは、見ていると自分も絵が描きたくなってしょうがなくなるような、描く喜びが伝わってくるものだと考えているのですが、まさにこれらの絵がそうですね。受験の為の制作なんて時間も限られているし、自分の好きなものを描けるわけでもありません。それでもこれだけ描く喜びが伝わってくるのは、楽しいと思えるまでに沢山描いて描いて描きまくり、自分が思った通りに物が描けるようになったからなのでしょう。


この二人が11月に描いた作品紹介はこちら。より絵としての魅せ方が上手し、レベルアップしてるのが分かりますね!モチーフだけではなく、地面や背景の色までしっかりと塗らなければならないので、全体を踏まえての色選びにもセンスが問われてきます。


上記4枚は一般受験の試験に合わせ、2時間で描いた作品です。たった2時間で、構図を考えて形も取って着彩もしなければならないなんて本当に受験生は大忙しです…二人共お疲れ様でした!これからは好きな絵をめいいっぱい描いて楽しんでね!

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色使いで引き立てる

2021-02-18 23:25:52 | 学生

ホノカです。先週に引き続き学生クラスで行っていた日本画の紹介です!
先週とはまた雰囲気の違った作品が並んでいますので順にご紹介したいと思います。


左から 莉奈 中3 / 由夏 中3 / 晴名 高1

まずは莉奈の作品です。深い青の中に凛と浮かぶ桜が際立っています。背景の青は夜の空とも湖のような水面とも考えられ、見る側に様々な解釈をもたせてくれます。また花びらの白は岩絵の具や水干ではなく、アクリル画の下地材として使用されるジェッソを仕上げに使いましたので、より一層輪郭が際立ち、儚い花というよりは生命力の逞しい桜の木の一部として強さを感じさせています。

次に由夏の絵はご紹介する中では唯一の人物を描いた作品です。日本画特有の線と面としての塗りで、紅の華やかな着物と白塗りされた肌を表現しました。紅白という大胆に主張しあう色がメインであっても、背景に落ち着いた藍をもってくることでまとまりが生まれています。写真では伝わりにくいですがそれとは対照的に、髪飾りの部分に金箔を貼り繊細な細工を丁寧にあしらいました。また奥の格子に同じ赤でも明度を抑えた色を使い、単調な印象を与えないようにしている気遣いも素晴らしいですね。

最後は晴名の作品です。月で照らされた木々とその向こうに佇む猪という、どこか幻想的な印象を受けるこの作品。月の淡い光で全体が柔らかい雰囲気になっておりますが、影の暗い部分をハッキリ描くことで月明りの当たる場所がより際立ち、猪の存在感が増していますね。花札の猪鹿蝶をイメージしたとのことですが、輪郭がある花札の図柄とは異なって主線がないことで、繊細さがより醸し出されたのではないかと思います。

以上になりますが、学生の作品はいかがでしたか?アトリエに通っていると水彩絵具やアクリル、油絵具に触れる機会は多くありますが、岩絵具などの日本画で用いられる画材はなかなか使用することがないかと思います。
このように普段使用しない画材に触れることもアトリエでしか経験できないことですので、デッサンや絵画のスキルを上げるだけでなく新しいことへのチャレンジも楽しんでみてください!

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自画自賛上等!

2021-02-16 22:05:54 | 学生

最近あったかいですね、一平です!本日は川崎総合科学デザイン科の受験の記事を昨日のオバラ先生に続けて書かせて頂きます!
昨日の小原先生のブログでは同一のモチーフを描いたみんなのデッサンを紹介していましたが、今回は木、プラスチック、金属、スポンジ、アルミホイルなどなど様々な質感のモチーフを載せております。見ていて楽しいですね。デッサンは質感が違う物を描き分けるという作業の連続であり、硬い、柔らかい、黒い、汚れている、薄いなどのモチーフの「情報」を描いていくものです。これらの作品、全て丁寧かつ克明に「情報」が描かれていて見応えたっぷりです。是非実物を見て欲しかったですね…(見た事がある大人クラスの方もいるかも?)
ご存知の方も多いかと思いますが、美術系高校の試験はデッサンが多く、かつ与えられたモチーフを自分で構成しなさいという課題が多いです。正直めちゃくちゃ大変!僕は高校は普通科だったので高校一年生の時に予備校でデッサンを初めてやりましたが、こんなに大変なのか…と昔の僕は嘆いていました。と同時に中学生の頃からこの大変さを味わっている彼らの事を本当に尊敬します。君達はスゴイ!!
周りは勉強しているなか自分達は勉強に加えて絵も描かなきゃいけない、しかも人によっては「絵描けば受かるんでしょ」とぶっ飛ばしたくなるような事を言ってくる奴もいたかもしれません。不安やイライラで押しつぶされそうな日もあったでしょう。でも何年か後には笑い話に出来るし、そんなキツイ環境下でも腐らず絵を描き続けた事は絵以外の事でも活きてくると思います。忍耐力は美術系には必要なスキルの1つなので!僕は受験が終わった直後は受かっているかな...というドキドキよりもやっと終わった!最高!という解放感の方が先に来たのでみんなにも変に気負いせず今まで頑張った自分を褒めてあげて欲しいです。自画自賛上等!
ちなみに僕の受験期は「明日急に俺の他の受験生みんな消えちまえ…」「明日から一生ハワイで過ごしたいな…」とネガティブモードを拗らせまくっていたのですがみんなはどうだったのでしょう。落ち着いたらみんなの受験の感想、愚痴、先生たちへの感謝、または罵詈雑言をドシドシ受け付けたいと思います!最後になりますがみんな本当にお疲れ様でした、心置きなく爆睡してね!

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川崎総合デザインのデッサン試験内容

2021-02-15 23:08:53 | 学生

オバラです。本日ザーザー降りの雨の中、川崎市の公立高校の受験が行われました。
川崎総合科学デザイン科の今年の倍率は1.5倍。公立高校では高めでしょうか?
ミオスからは5人が挑みましたが、「3人に一人落ちるってことは、ミオスの受験生5人の中から一人か二人は落ちるってことか…」と弱気になる学生もいたので、「バカだなー、うちからは一人も落ちる訳ないじゃん。ミオス史上、川総の受験者がいなかった年は無いんだけど、26年間で一人しか落ちたことないんだから!」「あー、でも一人は落ちたんだ…。俺が二人目になるかもしれない…。」加余子先生がすかさず「私が川総受験した時は、公立高校にあるまじき3倍だったんだからね!3人に一人しか受からなかったんだよ!?それでもミオスからの受験者は全員合格したし!倍率半分で良かったって思ってくれないと!」と言っても救いにならない学生もいて、一平先生が「メンタル弱過ぎだろ!」と嘆いていました。


まぁしかし、そんな危なっかしいやり取りがあったとは思えない作品をご紹介します。
この絵は昨日=つまり受験前日に試験と同じ90分で描かせた作品です。そつなく上手く描けるようになりました。
今日の試験問題は『発泡スチロール製フェイクレンガ・針金・紙コップ』だったそうですが、3つのモチーフ全て何度も描かせたものばかりですし、前日のこのCD-ROMの方がずっと難しいので、簡単に感じて余裕で描けたのではないかと思います。

試験時間が短い場合、必要なのは技術というより反射神経です。
この素材が来たらこの強さで、この大きさならこの場所に置き、これとこれの組み合わせならこっちを実物よりも少し大きく濃く、というような事を一瞬(5秒くらい)で判断して取り組む。その反射神経を何度も何度も繰り返し鍛えました。
最後に掛けた言葉も、「テニスでボールが飛んできた時じっくり考えてラケット振ったら、もうボールは自分の後ろに行っちゃってんだろ?脊髄反射でベストな攻撃の選択をしなけりゃ負けんだよ。
武器は十分与えた。武器の使い方も教えた。あとはどの敵に、どの武器で、どの技を、どの位の強さで、どのタイミングで繰り出すかだけど、それも実践で戦えるまでになってる。もう敵が出てきた瞬間に勝手に手が動いちゃってるはずだから、自分を信じて描けばいい。
もし今まで見た事もない敵が出て来ても、過去に戦った似ているタイプの敵に使った技で立ち向かえるはずだし、受験生全員『えー?なにコレ!?』とビビってると思えば落ち着いて怖くなくなる。緊張して足がすくんでも、手はガンガン動くから心配すんな!」というような感じでした。

5人の中で同じ中学校の生徒はいませんでしたが、当然顔も名前も覚えています。「朝お互いに合ったらニッコリ『おはよう!頑張ろうね。』と必ず挨拶すること」とも助言したので、ちょっとは心強いことでしょう。5人は敵ではなくて戦友なんですから。
いやまぁ皆お疲れ様でした。発表まで半月もあってドキドキだけど、自分を労ってあげてね。長かった受験戦争ご苦労様でした。

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もの語る視線

2021-02-13 17:40:04 | 大人 油絵・アクリル


林 油彩

待ちどうしい春。受験生も最後のひと頑張りです。
本日は、土曜午前クラスに在籍の林さんの作品をご紹介します。

一貫して女性の姿を油彩で描き続けている林さん。今回は3点の作品を掲載しました。
最初は1号位の小さい画面でスタートし、現在では比較的大型の画面に挑戦されています。
それぞれのシチュエーションは異なりますが、真正面をしっかり見据えた顔が印象的です。

時に微笑み、時にキリリとした表情で描かれた対象を見ていると、作者はただ表面的なビジュアルだけ追いたいのではなく、描く女性の内面を感じ、それを描きたいのだということが分かります。モデルたちの表情がその時々の心を語っているようです。

林さんが人を描くうえで大切にしているのは目でしょう。
描かれた目元を見てみると特段に描きこんでいたり、絵の具を厚く盛っているという訳ではなく、比較的さらっと描いているように見えるのですが、何故だかその視線がちゃんと言葉を発しているように感じられるでしょう。
絵筆に自身の思いがちゃんと伝わっていて、的確な仕事が最大限の効果を生んでいるのですね。

下段の作品は「ひかり」というタイトルでホルベインの油絵コンテストで入選されました。おめでとうございます!

 

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幼児クラスの様子

2021-02-12 10:38:30 | 幼児

大竹です。幼児クラスの工作、絵画の授業の様子をご報告させて頂きます。
上の写真は工作の授業の風景です。赤、青、黄の色の紙粘土を混ぜてどんな色ができるかの実験をしました。出来上がった色はお団子にして青虫にしていきます。好きな順番でお団子をくっつけていくので、それぞれみんな違った色合いの青虫たちが生まれました。完成したら、今度はその青虫が成長した蝶々をクレヨンで描いていきます。蝶々の足は何本あるかな?どこから生えているかな?4枚の羽を思い思いの色と模様で塗ったら素敵な蝶々の完成です。左右対称な模様にする子もいれば、4枚とも全て違う色の蝶々にする子もおりその子の性格とこだわりが現れていますね。

そして絵画の授業では傘をさしている絵と雪合戦の絵を描きました。
傘の絵では、実際に講師が傘を持ちポーズを取りながら描き方を説明していきます。「雨が降っているから、ガッカリしている顔にしようか?」と言ったら「でも僕は雨が好きだから、笑ってる顔にする!」という子もいたので、雨が好きな子は笑顔で描くことにしました。たしかに、子供の頃は雨の日に可愛い傘やレインコートを使う度にワクワクしていましたね…。
傘の色や模様は自由に描きましたが、みんなそれぞれ自分が欲しい傘や持っている傘を描いていました。どれもみんな素敵な傘になりましたね!

雪合戦の絵では、黒い紙に白いクレヨンで雪を描いていきました。ボールを投げる時の腕の形に気をつけながら体を描きます。寒いのでマフラーもしっかり巻いてあげましょう!洋服の色合いも、同じ色にならなように選びながら塗っていきます。最後に沢山の雪を降らせたら完成です。雪が降り積もったらこの絵みたいに雪合戦してみたいですね。

 

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岩絵具への挑戦

2021-02-11 23:44:34 | 学生

小学生クラスと学生クラスを担当しています、ホノカです!
今回のブログでは少し前に学生クラスで行っていた日本画をご紹介します!

日本画は普段使うことのない石やガラスを砕いた岩絵具というキラキラした宝石のような粒子を、膠(うさぎや鹿のコラーゲン)を接着剤として使うため扱いに手間取ることも多かったと思いますが、苦闘しながらもどれも素敵な作品に仕上がっています!


上段左から 桃香 高1 / りん 中2
下段左から 夏波 中2 / 愛美 中1

まず桃香の作品は畳と猫の相性のいい組み合わせにおやつのパッケージが入ってメリハリのある作品に。畳に猫が寝転ぶ柔らかな雰囲気が日本画らしいですが、あえて異色の(花鳥風月が日本画らしさとするならタブーにも近い)商品を入れたところに彼女らしい遊び心が見て取れます。鈍い緑の自然色の中にパキッとした赤の色や文字が相まって画面が引き締まって見えます。本人は猫が好きとのことで毛並みや表情がとても丁寧に描かれていて可愛いですね!最後に細かい部分を顔彩で丁寧に仕上げをしていたのがとても効いています。

次にりんの作品は厳島神社の鳥居と海のコントラストが目を引く仕上がり。鳥居の朱色が、補色を使った背景の海や山の自然の色と引き立てあっているのはもちろんですが、日本画的なグラデーション(岩絵具は染料ではなく粒子なので、色同士は混ざりません。少しずつ違う岩絵具を選択しグラデーションに見せなければなりません。)を岩絵具の質感を生かして塗った部分が素敵です。また空と海は意識をして青の色味に変化をつけています。海には粗い波の大胆な塗りと透き通るような繊細な塗りの差がとてもいい味になっています。

そして夏波は深い色の空に浮かび上がるような純白の鳥が丁寧に描かれた作品で、今回紹介する中では一番日本画らしいモチーフかと思われます。背景の面積が広い分グラデーションに苦戦していましたが、粗い岩絵具を使う前に、水干と呼ばれる細かい泥からできた絵具を多用することで綺麗な仕上がりになりました。また鳥の毛並みを一本一本面相筆で描いたことで、冬の鳥らしいふわふわとした質感が現れており、枝にあたる僅かな木漏れ日のような細かい明暗部分にまでこだわっていることが更に全体の完成度を上げています!

最後は愛美の作品です。大きな蓮の葉と花が画面いっぱいに広がって力強さと繊細さが同時に感じられる作品です。蓮の葉は色味を豊かに見せる為にたくさんの種類の緑を用いてある上に、葉脈のハッキリした線が全体に巡っていることで画面の一体感や蓮の葉の大きさが感じられます。そしてメインである花は色を重ねるとくすみがちになる難しいピンクをここまで鮮やかに透明感を出し、花びらは丁寧に形を追って描かれていて綺麗です。根元や先に少し入っている白もピンクや赤を際立たせていますね!

以上学生クラスで行っていた日本画のご紹介その1になります。その2も来週アップする予定ですのでお楽しみに!
私も小学生クラス・学生クラスの時に何度か日本画に挑戦したことがあるのですが、絵具の粒が大きく、筆先がなかなか細くならずに細かいところでとても苦労した記憶があります。ですが今回の作品はどれも日本画的なグラデーションやメインのモチーフの繊細な描写がされていて素晴らしいです。ぜひお部屋などに飾ってみてください!

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澄んだ影

2021-02-09 22:43:09 | 大人 油絵・アクリル


大坪 油彩

花粉がすぐそこまで来ているような気がします、一平です!本日は月曜クラスの大坪さんの油彩をご紹介します!

画面の主役となっているダリアが目を引き、道ゆく人も足を止めるようなとても強い絵になっています。ダリアは花びらが密集したボールのような花で描くのがとても難しかったと思いますが、立体感が崩れる事なく丁寧に描写されています。まず球体の立体感を付けてから、一枚一枚の花びらの明暗を付けていくことで全体感が崩れず美しいダリアが出来上がっていきますが、そんな素晴らしい立体感の中でも注目したい箇所はダリアの陰影です。明るい部分の色彩である鮮やかなピンクが綺麗に見えるのは暗い部分、つまり陰影が美しいからです。
よく僕はデッサンのアドバイスで「絵がぼやけて見えてきたら大体影が薄くなってしまっているか光が汚れてきている、暗いところがしっかり暗くないと光も綺麗に見えてこない。」という事を言うのですが、この大坪さんの作品はデッサンではありませんがまさにその「明暗の差」が感じられます。明るい部分はもちろんの事、暗い部分の色彩、ここが素晴らしいです。普通暗い部分の色を作るとなったら色を混ぜていくうちに濁っていってしまいがちなのですが、このダリアの暗い部分はそんなことはなく、花本来の鮮やかな色彩を残したまま暗い色になっているのです。暗い所を描く時に暗い所ばかりに気を取られているのではなく、同時に明るい所も気に掛けながらやらなくてはならないという事がわかりますね。大坪さんの色彩感覚が鋭いのでしょう!

もちろん先述した濁った色が全てダメという訳ではなく、絵によっては鮮やかな色の中にアクセント的に入れたりするのはもちろんアリです。鮮やか過ぎると綺麗ですが目がチカチカしてきてしまうので暗い色も入れて目が休まるところを作らなければならない、明暗の塩梅が絵の難しい所の1つですね。
また、大坪さんのこの色彩感覚であれば近所の道や公園などの日常の風景をとても魅力的に表現することが出来ると思います。是非次はお近くのもので題材探しをされてみてはいかがでしょうか!

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小学校受験絵画の本

2021-02-08 22:50:41 | 小学校受験

上記は、小学校受験クラスのカリキュラム。
当校では『割りピン人形』と呼んでいて、20年ほど前に考案してから毎年課題の中に取り入れているカリキュラムの一つです。
開校当初は、絵画や漫画で使う『球体関節人形』を使用して教えていましたが、立体を二次元に落とし込むのが幼児には難し過ぎました。良い方法は?と試行錯誤して生まれたこの『割りピン人形』はボール紙製のぺちゃんこ人間なので、平面(人形)から平面(自分の絵)に置き換えるだけで手前・奥・重なりを考える事が出来る優れた教材であると自負しております。
写真左のように、枠を作り一部分隠すことで、見せ場(主役)を目立たせる構図を学ぶことも可能です。

また人形を2体組み合わせた場面を見ながら描くことで、幼稚園児でもここまで画力を上げるお子様もいらっしゃいます。何をしている親子の絵か、説明は不要でしょう。

現在、小学校受験クラスは、キッズ受験クラス・プレ受験クラス・月曜受験クラス(水曜受験クラスは空きがございます)がキャンセル待ち状態となっておりご迷惑をお掛けしています。
また指導者講座の方も、コロナの影響でしばらく開催は控える予定です。
当校に通えなくても絵画が得意になってもらえるよう、現在この割りピン人形を使った新しいテキストを制作中ですので、どうぞご期待ください。
 ※現在販売中のテキストはこちら

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