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欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)

2014年07月27日 | ISS(国際宇宙ステーション)
欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げている欧州補給機(ATV)
今回の打ち上げ(ATV-5号機)でラストフライトになるとのこと…?

はて?、当初の計画では7号機まであったはずですが、どうしたことでしょう?
ちょっと興味がわいたので、ATVのことについてまとめてみました。

ATVはロシアのプログレス補給船を補完する目的で計画されたもので、プログレスの3倍の輸送能力を持ち、特筆すべきは自力でISSへドッキングする能力を有しているところです。

この点が、HTVやシグナス、ドラゴン補給船とは大きく違うところ…。そのため、ATVはISSの高度を引き上げるり・ブーストという重要な任務も担っています。

これまでATVは4回打ち上げられていますが、ISS拡大撮影の副産物としてATVが写っていたものがあるので、今まで撮影したISS拡大撮影データから探してみました。

欧州補給機(Automated Transfer Vehicle:ATV)初号機、「ジュール・ヴェルヌ」
打上げ日時 2008年3月9日午後1時03分(日本時間)
軌道投入高度:約260km
ISSとのドッキング高度:約340km
ドッキング日時 2008年4月3日午後11時45分(日本時間)
分離日時 2008年9月5日午後4時29分(米国中部夏時間)
  *初号機は約5ヶ月間ドッキングしていました。

「ジュール・ヴェルヌ」ファーストショット

2008.4.14 18:51:14 D300mm F10 D50 1/320

「きぼう」設置直前のISSにドッキング中の「ジュール・ヴェルヌ」

2008.5.23 19:41:16 D300mm F10 D50 ISO1600 1/500

「きぼう」設置直後です。STS-124(ディスカバリー号)もドッキング中…

2008.6.9 19:41:26 D300mm F10 D50 ISO1600 1/400

ATV初号機「ジュール・ヴェルヌ」

2008.8.6 19:43:00 D300mm F10 D50 ISO1600 1/1000

ATV2号機、「ヨハネス・ケプラー」
打上げ日時 2011年2月17日午前6時50分(日本時間)
軌道投入高度:約260km
ISSとのドッキング高度:約350km(平均高度)
ドッキング日時 2011年2月25日午前0時59分(日本時間)
分離日時 2011年6月20日午後11時46分(日本時間)
 *初号機から一年半を経て2号機がリフトオフ…、ドッキング期間は約4ヶ月でした。

データを確認したところ、この期間に撮影したISSの写真はありませんでした。
唯一あったのが、下記の写真、この3日後に東日本大震災が起きました。

ATV2号機「ヨハネス・ケプラー」ドッキング中のISS

2011.3.8 18:10:16 f18mm F4.2 5sec

ATV3号機「エドアルド・アマルディ」
打上げ日時 2012年3月23日午後1時34分(日本時間)
軌道投入高度:約260km
ISSとのドッキング高度:約390km(平均高度)
ドッキング日時 2012年3月29日午前7時31分(日本時間)
分離日時 2012年9月29日午前6時44分(日本時間)
 *3号機は2号機から13か月後に打ち上げられた。ドッキング期間は6ヶ月。

「エドアルド・アマルディ」ファーストショット

2012.8.7 03:34:02 D300mm F10 D90 ISO800 1/1600

ATV3号機「エドアルド・アマルディ」

2012.8.7 20:12:23 D300mm F10 D90 ISO800 1/1600

ATV3号機「エドアルド・アマルディ」

2012.9.16 4:31:34 D300mm F10 D90 ISO800 1/1250

ATV4号機「アルベルト・アインシュタイン」
打上げ日時 2013年6月6日午前6時52分(日本時間)
軌道投入高度:約260km
ISSとのドッキング高度:約416km(平均高度)
ドッキング日時 2013年6月15日午後11時07分(日本時間)
分離日時 2013年10月28日午後5時55分(日本時間)
再突入日時 2013年11月2日午後9時04分(日本時間)

ATV4号機「アルベルト・アインシュタイン」

2013.8.7 19:21:27 D300mm F10 D90 ISO800 1/2500

ATV4号機「アルベルト・アインシュタイン」

2013.8.25 19:19:05 D300mm F10 D90 ISO800 1/1600

ATV5号機、「ジョルジュ・ルメートル」
ATV5フライトは、最後のATVの飛行ミッション
打上げ予定日時 2014年7月30日午前8時44分(日本時間)
軌道投入高度:273km
ISSとのドッキング高度:約416km(平均高度)
ドッキング予定日 2014年8月12日

さて、ATV5号機が最終機となってしまう理由ですが…
いろいろ調べてみると、NASAのオリオン宇宙船(MPCV)の推進機構にATVの技術を使うことが決定したため…のようです。

どーも、2013年1月にNASAが欧州宇宙機関がオリオンの開発に参加すると発表したことを受けて、ESAは当初は7号機まであった計画を2機をキャンセルし、今後はATV の技術を元にオリオン宇宙船(MPCV)の推進機構の開発に注力する…としたようですね。

メモ:ATVの主な部分はEADSアストリアム・スペーストランスポーテーション社(ドイツのブレーメン)で製造(与圧貨物室は与圧カーゴ区画担当のイタリアのタレス・アレーニア・スペース社がトリノで製造)。「EADS」は2014年1月1日に「エアバス・グループ」と社名を変更。宇宙産業部門は防衛・宇宙関連担当のエアバス・ディフェンス&スペースが引き継ぐ。

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