駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

やはりそうか!

2011年11月07日 | 小考

 

 ロナルド・ドーアという人が「金融が乗っ取る世界経済」と言う本を出した。タイトルを見ただけで中身は読んでいないが、ド素人の私でもそうだろうなあと首肯できる。実は私も以前からそうではないかと疑っていたのだ。それは丸の内を歩いてみれば分かる。都市銀行の立派で巨大なビルが林立している。どうして金融機関がこんなに立派な大きなビルを必要とするのか理解出来なかったが、最近はそれだけ利潤があり、ステイタスを誇示する必要があるからだと読み解いていた。どうもそれが当たっていたようだ。

 収入が多いと言われる開業医の私の稼ぎはサラリーマンの数倍であるが、それは沢山働いて診療する患者数が多い(月に千人前後)からで、開業医の収入はさほどのものではない。金融機関は資金を動かすだけで短時間に天文学的な利益を稼ぎ出すと聞く、金融機関から見れば開業医の収益など雀の涙だ。勿論、読み間違えれば損失も大きいとは思うが。

 金融の生み出す収益、これは労働の見返りとしての報酬という概念とはかけ離れている。頭脳労働だと反論されても、得心のゆくものではない。つまり金融機関の収益は労働の報酬とは似て非なるものと捉える必要があると思う。そして、そのために感覚の異なる運用が生まれていると考える。

 バブルから類推されるように、帳簿上と言うか数字だけの利益は危うい。競り上がって生まれた価格など張り子の虎だ。アメリカが転けたら世界経済が危機に陥るというのは素人でも分かる。BRICsもさほどの信用はあるまい。

 ここで冷静に観察すれば北関東東北大地震と福島原発事故に拘わらず、二流政治家が統治するに拘わらず、日本は機能している。それは街を歩いてみればわかる。日本人の底力はまだまだ世界で信用されているのではないか、腐りかけでも鯛なのだ。それが証拠に円が強い。

 私が言いたいのは浮き足立つなということ、日本人同士で相手を悪く言い過ぎるなということだ。政治家、ジャーナリストや評論家は王貞治、岡田武史、羽生善治・・・を見習うといい。最低限、国民の足を引っ張らないでいただきたい。

コメント
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