駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

御免では済まないのでは

2011年11月21日 | 医療

            

 土曜の午後は休みなのだが、Yさんの奥さんから尿が真っ赤という電話で雨風の中を出かけた。午前の診療が終わって一息付いていたのにと嫌になるが、病気は容赦してくれない。

 Yさん(61歳)は交通事故で下半身が不自由になり、4年前から寝たきりだ。膀胱にバルーンという管が入っている。話を聞くと、昨夕施設から戻る時、運んでくれた男二人がバルーンの管を踏んだか挟んだかで強く引っ張ったらしい。「痛い!」。とYさんは叫んだのだが「ごめん」。でお仕舞い。今朝、溜まった尿を見たら真っ赤なのでびっくり、様子を見ていたが改善しないので申し訳ないのですが、お電話しましたとのこと。「いつもは女性の方が付いてくるのに男の人ばかりで心配したんですが、どうも乱暴で」。と言う。Yさん違和感はあるが痛みはもうないという。応急処置をして、血尿が続いたり、尿の出が悪ければ明朝電話するよう指示する。

 時々ある事故なのだ。家の人や本人の粗相なら仕方がないが、こうした病人を扱い慣れているはずの介護施設の人間がそんなドジでどうする。これは御免じゃあ済まないと腹が立った。治療費を請求してもよいのではと言うと、奥さんは預かってもらえなくなると困るから言いにくいと情けない顔をする。それが現実なのだ。あれこれ管が入った患者さんを預かってくれる施設は少ない、みんな頼み込んで受けてもらっている。 

コメント
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