最近は病院と診療所の連携が医師会全体の課題としてしきりに取り上げられるようになった。病診連携というのは個人医院と総合病院が各々その機能を生かして、手を携えて患者さんに質の高い医療を提供する診療形態のことだ。
開業当初から個別で病院連携をやってきたので格別目新しくもないのだが、それでも体系化されいろんな便宜が図られるようになるのはありがたいことだ。
病診連携の形は疾患ごとに異なり、上手くゆきやすい疾患と手こずる疾患とがある。上手くゆきそうで手こずるのが、糖尿病の病診連携である。何処で躓くかと言うと、最初の一歩なのだ。糖尿病の患者さんは総合病院での診察を勧めても嫌がる、開業医への移行を進めても嫌がるという独特の反応性をもっている。慣れたところがいい、遠くまで行くのは面倒だ、小さいところは不安だという反応は他の疾患でもあるのだが、糖尿病の患者さんで顕著なのだ。勿論、糖尿病の病診連携が上手くいっている地域(多くは山の手)もあるので、いろいろ工夫すればある程度克服できるのだろうが、下町では以外に高いハードルなのだ。
易しいようで、嫌がる人に何かをさせるというのは、たとえ患者さんでも非常に難しい。おまけにようやく腰を上げさせても、こんなにひどくなるまで依頼してこないなんてという青い勤務医(嘗ては自分がそうだった)の眼が楽しくはない。