駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

夏の診察には平常心

2015年06月27日 | 小験

                     

 今朝は雨こそ降っていないが、どんよりと曇り湿度は80%以上ありそうだ。こういう日は音が良く伝わる。特に遠くの低い音がよく聞こえる。家を出て暫くすると寺の鐘の音が聞こえた。果て七時十分とは妙な時間だ。引退和尚が突いているのだなと想像した。数百メートル先の寺の和尚さんが先頃交代した。先代は身体は健在だがちょっと認知が始まったようで、妙な時間に鐘を突いて困るという噂だ。どうもそれらしい。時間は狂っても突きかたは忘れていないようで、気持ちの良い音が聞こえた。

 診察する時、暑さ寒さどちらも困ることがある。寒い季節は手が冷たくてすいませんと私が謝るのだが、今の季節は患者さんが謝る。それは汗だ。患者さんによっては臍に池が出来るほど汗を掻いている人が居る。申し訳ありませんを聞きながら何食わぬ顔をして触診ができるようになるにはちょいと修行がいる。院内は空調が効いているのだが、炎天下徒歩や自転車で来て、待ち時間が短いと、どっと出た汗のまま診察室に入ってこられるわけだ。

 どういうわけか百人に一人の美形には汗だくの人は居ない。勿論、汗ばみはするのだが、おばさんのように手が滑りそうになるほど汗まみれの人は居ない。美人という物は作りが違うようだ。まあ、本当の美人というのはそれこそ数千人に一人くらいで滅多にお目にかかれないが、不思議というか特別な存在なのは確かだ。本当の美人には女性も一目置くようで、五年に一度くらい看護師が今の方お綺麗でしたねと番外の感想を述べることがある。

 

コメント (4)
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