ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

夢幻飛行

2013年12月16日 | ノンジャンル
青空に向かって飛び立つフライトは、出発の時にこそ
ふさわしい。

疲れて帰国する時に、あまりにまぶしい空へと
向かうのは、かえって気が休まらない。

深夜便で早朝に到着するのは、確かに疲れるが、
帰国の時には、むしろゆったりとした時間を
満喫できる。

窓の外は、手が届きそうな無数の星が見える
こともあれば、雲間に飛行機のフラッシュが瞬いて、
白く鈍く反射する単調な眺めに、頭の中も
白濁としてくる。

その中で、いい音楽があれば、それは至福の
ひと時である。

乗務員もバタバタすることなく、静かな挙措で
サービスをして回るのも心地よい。

多くの乗客がいるにもかかわらず、ふと自分一人が
何か別の世界にいるような錯覚に陥る。

そんな微睡むようなひと時が、いわゆる充電という
事なのであろう。

静寂と闇は、決して忌み嫌うものではなく、喧噪と光の
対極でありながら一体のものである。

やがて、強烈な朝日が闇を払って、現実の世界へと
私たちを押し出していく。

夜の空港と、深夜便は、決して嫌いではない。
ただ、やはりそれは為すことを終えて帰国する際にこそ
最も似つかわしいと思うのである。