ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

中国出張

2008年03月08日 | ノンジャンル
4日間の出張に出ていました。

上海へ2時間と少しのフライト、到着してから目的地までは車で
5時間。途中で夕食をとって、現地入りしたのがもう9時を
回っていました。とにかく広大な大陸です。

海側の開発地域は、毎月その姿が変わっていくほどの建設ラッシュ
ですが、ひとたび内陸に入ると様相は一変し、荒涼たる
風景ばかりです。

日本でも格差社会が云々と論争されますが、そんな比では
ありません。極端とも言える格差、貧富の差は、とても同じ国の
中とは想像も出来ないほどです。

製造工場の監査を主旨として、3箇所ほど工場を廻りましたが、
いずれも外資系の製造社で、現場の作業者と、マネージャー
クラスの収入は雲泥の差です。
月に2-3万円の収入で生計を立てている一般の人にとって、
一杯千円もするコーヒーをホテルで飲む人は、どんな人かと
不思議な思いでしょう。

それでも多くの若い人達が製造の現場で汗を流している姿は、
今の日本ではもうあまり見る事の出来ないものでした。

諸外国の投資家が、争って中国に投資し、製造の拠点を移した
事から、自由競争の民主主義的なものがどんどん現実的に湾岸を
中心に広がり、莫大な富をもたらしています。

これとは打って変わって、これまでの社会主義的な政府の統制下に
従前通りあり続ける地方はどんどん疲弊し、格差の広がりは
止め処もありません。
そういう、何となく燻ったものが蓄積されていく中、オリンピック、
国際エキスポと、様々な意味で転機となる大きなイベントが
ある事が、その蓄積されたものに点火する機縁とならないかという
懸念があります。

これまでの歴史的経緯を見ても、その危険性は非常に高く、
世界的に大きな影響をもたらす事となるやも知れません。
なにがどうであれ、共産主義、社会主義の国である事は間違い
ありません。点火、大爆発の前兆である小爆発の兆候を見た時に
政府がどういう極端な転回をするかは想像だにできません。

湾岸都市の発達は、現実的には先進国の中国におけるコピペの
ようなものであり、根本的なところで地盤の無い浮き草のような
危うさを感じます。
まるで40年前の日本の姿を見るようで、社会主義であるが故に、
この40年間に日本が相対して来た様々な問題がより複雑な形で
これから表れて来るのではないかと感じました。

ひるがえって、日本を見れば、そのもの造りの国の姿は激変し、
製造の空洞化があっという間に進んでしまいました。
もはや、これからの課題は、いかに最先端技術やノウハウを守る
のではなく、研究開発し続けていけるか、そしてそれを可能にする
教育がなされていくかという事であろうかと思います。

製造というハード面が消えていく中、ソフトとしての発展が、
永続的に不可欠となる以上、教育の重要性はさらに高まっていく
でしょう。

成長の真っ只中にいる間は、自然な流れの中で自身も成長して
いける土壌と背景があるのですが、成熟し、下降線に入った時を
生きる世代は、非常に厳しい環境化におかれる事となります。

その環境下で生きていくには、やはり具体的に動ける健全な精神と、
それを支える健全な肉体が根本的に必要とされるでしょう。

教育を授ける側、受ける側、共に心身の健康が無ければ、
これからの時代は非常に生き辛いものとなってしまうに違い
ありません。

隣国の姿を目の当たりにして、かえって自国の現実が良く見える
ようになった旅でもあったと思います。

それにしても、大陸というのは広大で、一直線の高速を何時間
走っても変わらぬ風景が続きます。
移動、工場視察、接待で、寝る間も惜しんでの4日間でしたが、
旅を終えて、また視界が広がったような気もします。
外に出てみないと見えない事は確かにあるものなのです。