Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

楽園モルディブの30年後

2014年10月07日 | 旅行

私が最初にモルディブに行ったのは、1983年の暮れから1984年の年始。

モルディブが外国人観光客を受け入れだしたのは1976年からだと思いますが、その頃はまだ日本人にとってはあまり知られていないリゾートで、取り扱っていたツアー会社も限られていました。(ダイヴィングをしている人は、個人で行く人もいたでしょう。)

シンガポール1泊、スリランカ1泊、モルディブ5泊の9日間ツアー。値段も大晦日にかけてということもあって、当時で38万円代。職場の先輩と二人で参加。

私たち以外のツアー参加者は、世界各国を旅行してもう行き場所がなくなったという東京に貸しビルをいくつか持っているという6,70代の男性とその奥様と妹さん、そして名古屋から「従業員たちに年末年始の挨拶に気を使わせたくないから、年末年始は海外で過ごすことにしている」という5,60代の中小企業の社長と奥様だけでした。

モルディブのキャッチコピーは、「地上の楽園」「インド洋の真珠」。

私たちが利用したのは、空港の島からも近い、ヴィリンギリ島という、比較的大きなリゾートの島。

そこには、旅行者の駐在員をしていた20代前半の男性が一人、そして、ダイビングインストラクターとして20代後半の男性が一人、そして私たちツアーの面々しか日本人はおらず、あとはモルディブ人の従業員、欧米人の観光客、東洋系では1名の、タイ人の女性のみ。

海外旅行はそれまで、イギリスとフランス、フィリピンを経験していた私でしたが、小さな島のなかで外国人(ま、ここでは私が外国人ですが・・・)に囲まれて1週間弱過ごす経験は初めてでした。

「昔、軍で日本の八幡に滞在していたことがある」といっていた一人旅のギリシャ人のコスタス小父さんは、いつも気難しい顔をして、一人ぼっち。
お互いがお互いのカメラのシャッターを押すのを頼んだことをきっかけに、言葉を交わすようになりました。

「日本人をホームステイさせたことがある」と言っていたオーストラリアからの旅行のアンとジャック夫妻は、とても素敵なカップル。

ハンサムなスイス人のウィンドサーフィンインストラクターのウーリー、ウォッカの飲み比べをした陽気なイタリア人たち。

現地では、ホテルのオーナーだというディディ(リゾート自体はドイツ資本のものらしいので、「支配人」だったか。)-翌年日本人、さとみさんという女性と結婚するという話を嬉しそうにしてくれたり、大晦日の晩、コテージのカギを持った先輩とはぐれてしまって困っていた私を助けてくれたり。

コテージの電気工事をしに来て、自分が二人目の奥さんをもらうことを嬉しそうに話してくれた電気技師さん。(この人は再訪時に偶然再会)

甲斐甲斐しくお世話をしてくれた、一寸憂いを秘めたまなざしをしていたレストランのボーイさん(名前を失念。再訪のときは、彼はリゾートを去っていました。ボーイさんのラウルさんにその時聞いた話では、「断食中に、冷蔵庫の中から何かを取って食べた」という疑いを受けて辞めさせられたようでした。)。

そのほか、休憩時間に、小さなテレビの前に群がって、ドラマを見ていた従業員の人達や、写真を撮らせてもらおうとすると、直立不動になってしまう素朴な現地の人達。

リゾートは、全室シャワーのみ。シャワーから出るのは一応真水ではありましたが、水しか出ないし、シャワー室とトイレはむき出しのコンクリート。

そうであっても、何かコスモポリタン的な空間と、白いサンゴ礁に囲まれたこの素朴なリゾート-これはまさしく「地上の楽園」でした。

私がこの島を再訪したのは、1985年の春。

(成田に向かうリムジンのなかで新聞を読んでいましたが、トップニュースがこれから向かうモルディブで日本人の保険金殺人事件だったので、驚きました。)

このときは、モルディブは日本人のハネムーンに人気のスポットとなり、日本人も大勢押しかけるようになっていました。

モルディブの人達も近代化(失礼!)していて、お土産やチップ用に持っていったタバコを、以前は皆喜んでくれていましたが、85年には「タバコは体に悪い」と言って断る人も出てきたりしていました。
タバコをお土産に持って行った私(私はタバコは吸いません)が言うのはなんですが、これは喜ばしい変化。

リゾート
の朝食ビュッフェには、お味噌汁も並んだり、品数も豊富になっていました。
(モルディブは、作物が取れないし、牧畜もできないので、ほとんどが輸入もの。鰹は名産品なので、鰹節を使う料理は歓迎だったかも。)

コテージも、シャワーからはお湯が出て、バスタブ付きの部屋もできたり、と、観光客のニーズに合わせて近代化。

この国の旅行客
が増えたのと合わせて、無人島だった島も外国企業によって次から次へと設備を備えた高級リゾートに変わり、観光客も増えていきました。

しかし、2年弱の変化は良いことばかりではなく、リゾートの裏側に行くと、海岸に打ち上げられたペットボトルのごみがたくさんあったり、「ハワイと違って何もなくてつまらない」と愚痴を言う旅行者がいたり。 

「モルディブは裕福になるかもしれないけど、大きな代償も払うのではないか」 

この2度目の旅行も十分楽しんだものの、私のモルディブ熱は急激に冷めていってしまいました。

 

(私が宿泊したリゾートのヴィリンギリは、もうずっと前にリゾートを閉鎖。首都の島マーレからあふれた人達が住む島になりました。)
 

それでも気にはなるモルディブ-「地球温暖化でモルディブが沈むかもしれない」と心配し、日本の企業が水の技術提供(海水淡水化だったか・・)を行っているというのをTV番組で観れば、うれしく思い、政情不安があればニュースをチェックし・・・。
 

この何年もあまりモルディブの記事も目にしなくなっていましたが、昨日、ハフィントンポストにモルディブのタイトルを見つけ開いてみれば以下の記事。
 

ハフィントン・ポスト(2014106日) 

モルジブの無人島とビキニ。しかし、それはゴミでできている 

http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/06/alison-teal-visits-the-maldives_n_5938086.html?utm_hp_ref=japan-world

そしてもう一つ、動画も見つけました。
 

AFPBB News 動画 

「地上の楽園」が抱える「毒の爆弾」、モルディブのゴミの島 

http://www.youtube.com/watch?v=tNPueyrj8zI

問題点には目をつむり続け、欲に任せて進み続ける結果、引き返すことができないほど問題を大きくしてしまうことが、世の中には多いです。 

戦争や原発もそう、そして環境悪化。

 

モルディブは今後どうなっていくのでしょうか。

 

モルディブだけではなく、最近、地球が本当に人間の住めるところではなくなってしまうのではないかとさえ思っています。 

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