三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

中島恵『中国人の誤解 日本人の誤解』(2)

2014年09月21日 | 

中国人は日本人と顔が似ているし、漢字を使うから、通じ合えて当然という気持ちがあるが、日本人も中国人もお互いの国、国民を理解できていないと、中島恵『中国人の誤解 日本人の誤解』にある。

同じ東アジアの国という認識から、日本人の常識、基準から外れた部分に対して、他の地域であれば、「そういうもの」と受け入れられる「文化」の違いに対して、寛容さも欠いていたのだろう。


私の知らなかったことをご紹介しましょう。
日本人的コミュニケーション術は中国人にとって「推測+期待+テレパシー」なんだそうだ。
私は説明が下手くそなもんで、相手がわかってくれるはずと期待している。
日本人なら「あ・うんの呼吸」というか、曖昧なままでもなんとかなるが、中国人には理解できない。
中国はとことん話して理解することを重視する社会。

中国人は怒っているようにしゃべると思っていたが、ある中国人の説明。

中国語の口語は一つの単語でもさまざまな意味があるでしょう? 声調も変えたらもっと多くの意味があって、とても誤解しやすいんです。地方によっては学校で学んだ標準語とは違う声調に変化してしまう場合もありますし。だから、中国人は(誤解がないように)大声でしゃべってるんですよ。

なるほど。

中国語は言い回しが大げさで、「良い」を英語では「good」だけで通用するが、「very good」とするように、大げさな表現のほうが比較的好まれる。

中国語では「偉大な~」「尊敬する~」といったような、日本語ではあまり用いられない表現もよく使う(北朝鮮でも同様である)。
日本では「偉大な」といったら、よほどの歴史的英雄や偉人でなければつけられない。というより、そもそもそうのような「枕詞」は紋切り表現になるので避けられるのが一般的だと思うが、中国語では「偉大な領導者(指導者)」などのように、頻繁に使ういい回し、馴染みがある。
「尊敬する~」も丁寧な文章などを書くとき、相手の名前の前につけるものとして一般的だ。

「偉大なる同志○○」とか「尊敬する××先生」は、日本語に翻訳するときには「偉大な」や「尊敬する」を省略したほうがいいかもしれない。
ところがマスコミは、逆に「偉大なる」や「○○様」を強調し、中国や北朝鮮は気持ち悪いというイメージを作っているように思う。

中国の日系企業にとって行事を避けるべき日が1年に6日ある。
5月4日(五四運動が起きた日)
7月7日(蘆溝橋事件)
8月15日(対日戦勝記念日)
9月3日(抗日戦争勝利記念日)
9月18日(柳条湖事件)
12月13日(日本軍が南京占領した日)
中国は「日本に痛めつけられた被害者」としての意識が強いので、日本人はこれらの日はおとなしく過ごしたほうがいいそうだ。

知人が「中国人は絶対に謝らない」と言ってて、日本人ならとりあえず「ごめんなさい」と頭を下げておけば治まるという感じがあるが、そこらも文化、習慣の違いなんでしょうね。
へえと思ったのが、一般の中国人は日本の「異常さ」を理解していないという張(24歳)の指摘である。

普通の国家ならば、常に国益を主張し、経済発展すれば世界での発言力も増し、自らの国に対して自信を深めていくものだが、日本人はここまで経済発展し、優秀な民族であるにも関わらず、日本人であるということに、なかなか自信を持てないでいる。そして、とことん平和を愛している国でもある。

ちょっとうれしい。
知り合いが、日本は世界中からバカにされている、自分の国を自分で守れないからだと言っていたが、それは自虐だと思う。

中島恵氏はこう言う。

私たち日本人も、中国に行く際は、一人ひとりが民間大使になったつもりで中国人と接することも必要だと思う。
大げさだと思われるかもしれないが、人間は、自分が出会った「人」で、その国の善し悪しを判断してしまうものではないだろうか。
国のイメージというと漠然としているが、そのイメージは私たち一人ひとりの言動によって作られてしまうのだということを、もう一度自覚したい。

ヘイトスピーチする輩は日本のイメージを悪くしているわけで、彼らこそ日本の国益を損なっているのではないかと思った。

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