三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

楊尚眞「日本で知られていない同性愛と同性婚の真相」(1)

2024年07月13日 | キリスト教
アメリカでは、同性愛や同性婚を認めないキリスト教の宗派があるようです。

ダーレン・アロノフスキー『ザ・ホエール』で、同性愛者のアパートを訪れたキリスト教系新興宗教(?)の宣教師が、同性愛では救われない、だから考えを改めるように勧めます。
カルト教団の挿話は原作の戯曲を書いたサミュエル・D・ハンターの実体験に基づくそうです。

エレガンス・ブラットン『インスペクション』は監督の自伝的映画です。
16歳の時、母親に自分はゲイだと告白したら、家を追い出されて10年間ホームレスとして生活しました。
母親の部屋はテレビの伝道番組がつけっぱなしになってたので、同性愛を否定する宗派の信者なのでしょう。
息子より信仰を選んだわけです。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_64cb148ae4b03ad2b89cbf22

ジョエル・エドガートン『ある少年の告白』の原作者ガラルド・コンリーは2004年に同性愛矯正施設に入っていました。
https://www.vogue.co.jp/celebrity/deep-talk/2019-04-22/boyerased

牧師の息子が両親にゲイだとカミングアウトしたら、父から「心の底から変わりたいと思うか」と問われ、同性愛の治療施設に入ります。

「同性愛の「矯正治療」にNOを突きつけた青年 アメリカの実話をもとにした映画ジョエル・エドガートン『ある少年の告白』」に、アメリカ社会の同性愛の受容について書かれています。
アメリカでは1970年代まで同性愛は精神障害とみなされていた。
1973年にアメリカ精神医学会が精神病のカテゴリーから同性愛を外した。
1990年には世界保健機関も「国際疾病分類」から同性愛を削除した。
しかし、その後も性的指向やジェンダー・アイデンティティーを「治療」によって変更させようとする「矯正治療」が行われてきた。
これまでに約70万人の成人が矯正治療を経験したとされる。
https://www.asahi.com/dialog/articles/12279689

日本でも同性愛は治療すべきだと考える人たちがいます。
2022年6月、神道政治連盟国会議員懇談会(会長 安倍晋三)で配布された冊子に収録されていた楊尚眞弘前学院大学教授の講演録「同性愛と同性婚の真相を知る」が性的少数者に対して差別的だと問題になりました。
どんな主張かと思ってネットを調べ、楊尚眞「日本で知られていない同性愛と同性婚の真相」(『歴史認識問題研究』第10号)を読みました。
http://harc.tokyo/wp/wp-content/uploads/2022/03/47590307ea94621dbbc70c2e33f54b07.pdf

金城克哉「楊尚眞(2022)「日本で知られていない同性愛と同性婚の真相」への反論」(反論(2)もある)に楊尚眞さんの主張を3点あげています。
file:///C:/Users/enkoj/Downloads/CV_20240701_No30p1.pdf

(1)同性愛は後天的なものである。
同性愛者、両性愛、性同一性障害は先天的なものではなく、いずれも幼少期の経験、生活環境に影響された後天的な障害で、生まれつきで変わることがない性的指向ではない。
医療的治療の対象になっており、治療で治ることがあり、自然に治ることもある。
加齢によって同性愛の性的指向の比率は減少する。

弱くリーダーシップがない父親、愛がなく無関心な父親、強い男らしさを低評価する母親、夫から愛されず無視される母親が息子を過剰保護し、愛の対象者とすることが、子供を同性愛者とさせる原因である。
多くの同性愛者は幼少期に同性の大人から性的虐待を受けた。

同性愛を擁護する社会的な環境、同性愛を好感的に表現している映画や動画やBL/GL漫画に興味を抱き、同性愛行為をすることによって同性愛者になることもある。

欧米では、同性婚合法化、同性愛容認の雰囲気、性倫理の変質、社会思想 、フリーセックスの風潮、性的自己決定権、性の多様性、ポリティカル・コレクトネスというイデオロギーが、同性愛を助長させている。

同性愛を正常な性愛として擁護すべきだと主張する新マルクス主義思想や、ジェンダーイデオロギーに影響された学者たちの主張に基づいて、差別禁止法等によって同性愛を正常な性愛と認め、学校や社会で同性愛を正常な性愛として教えることで急速に、次世代での同性愛者の数が増加することが、米国やカナダや英国等で起きている。

(2)同性愛と同性婚を権利として容認することによって公共の福祉が侵される。
同性婚の合法化は単純に同性婚を容認することに留まらない。

同性婚合法化によって差別禁止法が制定されるので、同性婚や同性愛に反対する行動や言動をすれば差別行為としてみなされたり、訴えられる逆差別が生まれる。

多重婚、近親婚をする権利要求が出てくる。
同性婚が容認されたヨーロッパでは、近親相姦、少児性愛、獣姦など、極端な性行為も個人の性的指向であると容認される様相を見せている。

人工授精を通して子供をつくることで、子供は自分の片方の親を知ることもできず、愛されることもできないので、人間の根源的・精神的な問題を抱えることになる。

同性愛者が直面しているリスクとして、同性愛の性行為はエイズと密接な関係をもっている、同性愛者の自殺率は高いなどがある。

(3)LGBT を含めすべての人の尊厳性や人格は尊重されねばならないが、LGBTのライフスタイルは問題である。
性的少数者の性的ライフスタイルは問題性のないものとして正当化されるべきではないのは、それが家庭と社会を崩壊させて社会問題となるから。
LGBT人権運動家は、同性婚合法化で人権の主張を終えることはありません。次から次へと様々な権利を主張し、権利が拡大され、彼らの権利に反対する者を処罰し、社会を壊し、自分たちの理想とするジェンダーフリーの社会実現をすることにあります。これが、彼らが目論んでいる世界的な性革命です。ジェンダーフリーの社会実現は、新マルクス主義がその思想であり、権利となるものは、倫理道徳に反しない、公共の福祉を犯してはならないことが最低条件です。

同性愛と同性婚を権利として容認することよって、社会の多くの領域(教育、法律、医療等)が大きく変わることは、公共の福祉を侵すことになり。社会の混乱と対立を招き、多数の人たちのための幸福な社会形成に逆行する。
性規範を崩壊させ、家庭を解体させ、社会病理現象は深刻化し、国家は衰え、国家は存亡危機に直面することになる。

こういった主張がなされています。
楊尚眞さんは在日大韓基督教会牧師をされていました。
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