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三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

堀江宗正編『いま宗教に向きあう1 現代日本の宗教事情』(2)

2025年04月30日 | 仏教
『いま宗教に向きあう1』に、宗教、霊魂、あの世などについてのアンケート結果が引用されています。
日本人の霊魂観、死後観について、そうなのかという内容です。

朝日新聞の死生観調査(2010年)
「宗教は大切」と答える人は、20代が10%、30代15%、40代21%、50代30%、60代は37%、70歳以上は57%。
「霊魂は残る」と答える人は、20代54%、30代57%、40代53%だが、50代46%、60代38%、70歳以上38%。
高齢者のほうが宗教を重視し、若者のほうが死後も霊魂は残ると考えている。

統計数理研究所「日本人の国民性調査」(2013年)でも、あの世の存在を信じる若い人は多い。
「宗教を信じる」20代13%、30代20%、40代30%、50代37%、60代31%、70歳以上44%。
「あの世を信じる」20代45%、30代41%、40代48%、50代47%、60代34%、70歳以上31%。
1958年の調査では、「あの世を信じる」20代13%、30代14%、40代21%、50代9%、60代39%、70歳以上37%だった。

2010年、大学生にこの世とあの世と魂のイメージを描かせた。
この世は都会的な暗いイメージで、あの世は空の上にある明るい自然の楽園として描かれる。
魂は足、身体の順になくなり、輪郭も希薄になって、軽くなって上昇してゆく。
鬼や化け物や妖怪は見られない。

「死後はある」と答えるのは約7割、「天国がある」は約5割、「地獄がある」は約4割。
死後の世界は現世よりも明るく、地獄イメージは弱く、死ぬと多くは浄化コースをたどり、十分に休息を取ってから、先祖にはならずに生まれ代わるというイメージが、若年から中年世代に有力である。

地獄を説く宗教は多いですが、死後の苦しい世界はイメージされていないようです。
あの世や霊魂という概念は宗教と切り離せないと思うのですが、先祖供養を必要としないということは、死後の世界はこの世の延長上にあると考えているのでしょうか。

とはいえ、墓を大切にする意識は若い人にもあります。
朝日新聞の調査だと、両親や祖父母の墓を守るのは子どもの義務だと思う割合は、全世代で7割以上で、20代は77%、70歳以上80%。

子どもに負担をかけたくないから墓じまいをすると言う人が少なくないです。
それは親の世代が子供や孫の墓に対する気持ちを誤解しているということです。

墓地に埋葬せず、山や海に遺灰を撒く自然葬に関心がある人は、20代が54%だが、70歳以上は25%。
墓を守ることは義務だと考える一方で自然葬に関心を持つということは、自分の死についてと、家族や先祖への思いが違うからではないでしょうか。
これは延命治療について、自分の時は何もしないでほしいと思っても、家族の場合は簡単には割り切れないのと同じことだと思います。

世論調査で「宗教を信じていますか」「信心深いほうですか」といった質問に対し、「わからない」という回答が多いことに対し日本人の宗教に対する「曖昧な立場」を表すものとされます。

そのことについて、真鍋一史「「日本人の国民性調査」の二次分析の試み」は、そうした解釈を批判しています。
人はある事項について知れば知るほど、その事項について単純に判断することができなくなる。

たしかに、「私は宗教を信じている」とか「信じていない」と単純には言えません。
ですから、日本人の死後観はこうだとか、若い人はこういう霊魂観だと言い切ってはいけないのでしょう。

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